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■オープニング本文 「王様総選挙…人気投票だと?」 「かぶいた催しですな」 アル=カマルの誇る精鋭達の目が点になっていた。 彼等は砂漠の儀の元首を守る護衛達。 一流どころの開拓者には及ばないとはいえ腕も立てば弁も立つ、それぞれ国元では高い地位にある凄腕ばかりだ。 「気に入らん」 陽に焼けた男が吐き捨てる。 アル=カマルの象徴を庶民の娯楽にするようで非常に腹立た…。 「巫女様はお喜びです」 元首側付きのエルフ女性が発言すると、男は怒り顔を一瞬で爽やかな笑みに切り替えた。 「しもじもの行いに目くじらを立てるまでもないということだな」 他の護衛と側付きは華麗にスルー。 男ははわざとらしく咳払いをして空気を変える。 「巫女様はお忍びで見物されるのだろうか」 元首の今後の予定を聞かれ、側付きは静かに首を横に振る。 「直接見に行くのは無理でも途中経過と結果は是非知りたいと」 「是非、ですか」 「うむ。これは気合を入れねば」 「巫女様の優勝に決まっとるが油断はせん」 静かに闘志を燃やす精鋭達。 この連中が乗り込んだら祭りの迷惑になり、ひいては主を悲しませてしまうかもしれない。 側付きは軽くため息をつくと、護衛達を言いくるめてこの場に残らせ、自分は祭り偵察依頼を出すために天儀開拓者ギルドへ向かうのだった。 ●巫女様応援隊。ただし本人に無断 依頼料として差し出されたのは小判ではなく金塊だった。大きすぎ重すぎ机が凹んでいる気がする。 「どのようなご依頼で…」 開拓者ギルド同心(覚醒からくり)の表情は引きつっていた。 どう考えても普通の依頼ではない。 必要経費と報酬込みだとしても、10人以下で超強力なアヤカシ倒してこいと言われてもおかしくない額なのだから。 「祭りの記録と」 フードで顔を隠したエルフ女性が淡々と説明する。 同心が唾を飲み込む。 「セベクネフェル様の宣伝をお願いいたします」 「え?」 予想外の依頼に同心がぽかんと口を開けた。 「宣伝って、いいんですか? セベクネフェル様ってアル=カマルの帝様ですよね? 不敬にあたりません?」 「正確には異なりますが」 主の地位を他儀の者に説明するのは時間がかかると軽く言う。 「他儀の祭りでどう扱われても巫女様の権威に傷はつきません」 圧倒的な自信だった。 「ですので、可能な限り面白おかしくして話の種をつくってください」 人を雇って大々的に宣伝するもよし。 ステージを建てて演劇で宣伝をするもよし。 大量の美麗版画で猫耳巫女さんの宣伝をするもよし。 予算は潤沢という言葉では表現仕切れないほど大量にある。 「セベクネフェル様は大変楽しみにされています。よろしくお願いしますね」 断ったりしたら分かってるだろうな? そう笑顔で言われた気がした。 「ぜ、全力で…」 同心は引きつった笑みを浮かべて、壊れたからくり人形のように何度も頭を下げるのだった。 |
■参加者一覧
柚乃(ia0638)
17歳・女・巫
奈々月琉央(ia1012)
18歳・男・サ
フェンリエッタ(ib0018)
18歳・女・シ
リンスガルト・ギーベリ(ib5184)
10歳・女・泰
リィムナ・ピサレット(ib5201)
10歳・女・魔
ルゥミ・ケイユカイネン(ib5905)
10歳・女・砲
宮坂義乃(ib9942)
23歳・女・志 |
■リプレイ本文 ●巫女様の絵姿 黄金を積み上げるだけでは見ることすら叶わぬ豪邸。 その1室で、宮坂 玄人(ib9942)がたった1人で饗応を受けていた。 給仕をしているのは異国風の、はっきり言えばアル=カマル出身の美人さんだ。 立ち居振る舞いには一欠片の隙も無い。おそらく最低でも物心ついたときから厳しい訓練を受けてきたのだろう。 飾り立てられている訳でもないのに恐ろしく豪華にしか感じられない空間に、彼女は違和感なくなじんでいた。 「そういう事か」 水のように飲みやすい酒を嚥下し天井を見上げる。 確かに稼げる仕事だ。相棒が喜ぶのも当然だ。 「セベクネフェル様! ありがとーございました!」 分厚い扉の向こうから元気な、そして聞き慣れた声が大きく響いた。 少なくとも中堅開拓者相当の力がある護衛が2人、音を立てずに扉を開ける。 「玄人様ー! 下絵が完成しましたーっ!」 満面の笑みを浮かべてスケッチブックを掲げる相棒(からくり)に、胃の鈍痛とこみ上げる胃液のかおりに苛まれる主人(玄人)。 玄人は美人さんに礼を言って立ち上がり、巫女の護衛から桜花を受け取る。 強烈に嫌な予感に耐えてスケッチを見ると、そこには石鏡巫女装束の巫女様34歳のお姿が描かれていた。 「猫耳の巫女とは言ったが…服装は袴じゃないぞ」 「大丈夫! モデルになってもらったから!」 痛覚が限界を超え胃の感覚がなくなった。 「衣装以外は問題ないので特別版って事にしておくか」 玄人本人的には必死に冷静さを保って、客観的にはこれまで通り気品ある態度を崩さず巫女の部下達に視線を向ける。 「良い土産話を期待していますね」 にこりと微笑む巫女様の側付きに、悠然と応える玄人と元気に手を振るからくりであった。 翌日。開拓者ギルド本部。 「ななな何考えてるんだあんた等!」 死相じみた凄い表情の浪士隊幹部が駆け込んできた。 精霊門の使用手続き書類作成中のリンスガルト・ギーベリ(ib5184)がちらりと見て興味を無くす。 翌日のパレードに向けて準備中の羽妖精が、アル=カマルの楽士と共に演奏して中戸採蔵(iz0233)の声を半ばかき消していた。 「いくらなんでもやりすぎだ!」 右手に持った版画を突き出す。 デフォルメされた石鏡巫女装束の巫女さんじゅーよんさいが、とても可愛らしくウィンクをしていた。 「んくっ」 アル=カマル風パイを試食中だったリィムナ・ピサレット(ib5201)が、ぱくりと一口で飲み込み唇を舐める。 瑞々しい唇が、微かではあるが背徳的な色香を醸し出していた。 リィムナは超高位開拓者の身体能力を活かして瞬時に間合いを詰める。 小さく柔らかな指先で中戸の顎下をくすぐり、意外と分厚い男の胸板をつんつんしながら甘い息でささやいた。 「わっちとぬし様の仲ではありんせんか…。万事取り計らっておくんなんし」 遅れて来た浪士隊の平隊士達が騒ぎ出す。 「隊長、まさか」 「女っ気がないのは超年下好みだったから、なのか」 「幻滅…」 若い男女から軽蔑混じりの視線を向けられ、中戸が苦虫を10まとめてかみ潰したようなうめき声をあげる。 「なんてこと言いやがるこの怪獣」 「リィムナ怪獣じゃないもん!」 ぶーぶーと可愛らしく抗議するリィムナ。ただし中戸をからかう指先の動きは止まらない。 「知恵と年齢の分怪獣の方がましだぁ!」 三十路男がマジな泣きするまで、後数秒。 そんな悲喜劇が展開されてはいても、準備は容赦なく進んでいく。 「カタケ?」 大量の金細工で身を飾った…というより髪から足先まで金装備で固めた幼女が首を傾げた。 「少し違うかな。楽しんで楽しませるのは同じだけど」 金装備を外していくと、蒼みがかった銀髪といつもとは異なるゆったりとした砂漠の民の装束が姿を現す。 「柚乃のぼでーがーど? する」 じっと見上げてくる紫の瞳に、柚乃(ia0638)は柔らかく微笑んでうなずいた。 「ありがとう。天澪には巫女様のお付きの格好をしてもらおうかしら」 参考用のスケッチを確認する。 美人度では多分負けていない。ただ、年齢の分熟れ方が足りないし、肌の色は明らかに違っていた。 「うーん…髪の色や肌の色はちょっと無理かな…?」 予め多数準備されたヴェールを手に取り当日の扮装を考える。時間はいくらあっても足りそうになかった。 ●直前宣伝 都の空を迅鷹が舞う。 男衆が集まっている所や艶やかな女衆を見つけると高度を下げて、主から預かった紙を投下した。 「おっ」 「まあ」 紙はセベクネフェルの絵姿だ。 美化はされていないので絶世の美女ではない。 しかし存在感は非常に大きい。国家規模の祭礼やら海千山千の部族長などの相手を十数年もすれば、箱入り巫女もそういう存在にならざるを得ないらしい。 なお、男衆に渡したのは肉感を重視したもので、女性陣に渡したのは豪華さと美に妥協せずに描かれたものだ。 「やあ。君等もパレード見物か?」 迅鷹の蒼空の主、奈々月琉央(ia1012)が友好的な態度で語りかける。 この数時間前。琉央は心底困り果てていた。 パレード開始前の観客集めを任されたのだが、どうにもよい案が浮かばない。 「盛り上げろと言われてもなあ」 黒々とした髪をガシガシとかく。 セベクネフェルの得票数を増やすのが目的で、セベクネフェルの魅力を訴えれば良いとは思うのだが…。 「まあ、巫女様は美人なようだしな」 妻には及ばないがという言葉が極自然に続く。 正直、あまり向いていなかった。 そして数時間後の現在。 「何、未婚!」 男共は目を輝かせ女達は戸惑う。 「お役目でお忙しいのだろう。どれだけ魅力的でも出会いが無ければ先に進まないからな」 年齢の倍は頼りがいのありそうな態度で語る琉央。 多分開拓者としての経験以上に、妻帯者としての自覚が彼に良い意味での重みを与えているのだるう。 女衆から肉食獣の視線が向けられても慣れた様子で受け流し隙を見せない。 「そろそろパレードだ。見逃すともったいないぞ」 こんなイベントも開催中と言って、鞘に入ったままの刃を振り下ろす。 周囲から悲鳴があがる。紙を補給して戻って来た蒼空が両断されるように見えたからだ。 が、煌きの刃で一体化後分離した蒼空が元気に飛び立ち、一斉に拍手がわき起こった。 ●パレード 色取り取りのバラージドレスが一斉に揺れた。 新しいものから古いもの、原色から柔らかな色使いのものまで多種多様。 共通しているのは手入れの良さと舞手の真剣さだけだ。 彼女達の後に続くのは偃月刀を持った砂迅騎達。 武威ではなく故郷の文化を伝えるため集まった彼等は、この日のために連れてきた駱駝にまたがり巫女が乗った山車のまわりを固めている。 山車に乗っているのはアル=カマルの元首セベクネフェル、ではない。 「柚乃?」 山車の間近で小さなからくりが見上げる。 沿道の歓声が大きくほとんどかき消されてはいたが、セベクネフェル役の柚乃の耳にはしっかりと届いていた。 「予想以上に盛況ですね…。天澪、離れないでね」 上品に手を振って愛想を振りまきつつ相棒の面倒もちゃんと見る。 「そろそろボクの出番だね。腕が鳴るよ! で、どいつを殴ればいいんだい?」 山車の脇でしゅばばと高速で小節を繰り出す羽妖精。 緑のツインテールが華やかに拳の軌跡を彩った。 「殴らなくていいからね♪ 大ちゃんがんばろー!」 ルゥミ・ケイユカイネン(ib5905)が余裕のある動きでついて行く。種族は違っても身長にあまり差はなく、並んでいると仲の良い姉妹にしか見えなかった。 「よろしくお願いします」 柚乃のささやきに大きく頷くことで応え、ルゥミは沿道に合図を送る。 楽士の演奏が控えめになり、道の両側の大型店舗から少なくとも十数名の羽妖精が姿が表した。 「あたい達は羽妖精〜♪」 素朴な打楽器と子供らしい声が幾重にも重なり合う。 「巫女様〜大好きよ〜♪」 お菓子の試食でお腹いっぱいの羽妖精達は、演技抜きで本気でそう思っている。 「優しくて〜あったかだから」 くるくる回りながら店から飛び出し。 「みんなで抱き付いちゃう〜よ♪」 踊り手の手を借り、砂迅騎が延ばした手を足場に跳躍する。 「ふふっ」 柚乃は勢いよく立ち上がり羽妖精達を抱き留める。 その拍子にヴェールが吹き飛び付け猫耳がもとれてしまったけれど、それを気にする人は誰もない。 底抜けに明るい羽妖精達と羽妖精を真正面から柔らかく受け止める柚乃の組み合わせは、このパレードのスポンサーの姿勢をこれ以上なく暖かに表現していた。 主が倒れないよう後からささえる天澪を、柚乃が相棒にだけ聞こえる小声で褒めてやる。 「巫女様すごい! 最高! ボ…私は大好き!」 ルゥミの相棒が跳躍し、羽妖精達と入れ替わりに柚乃の膝に着地する。 「妖精女王が保証する! 巫女様は速くて強くてかっこよくて最強だ!」 羽妖精の大ちゃんの服装は巫女様役の柚乃とお揃いのドレスだ。 銀の冠もあしらわれた特大エメラルドもお揃いで、その品の良い豪華さに大勢の見物客が身を乗り出した歓声をあげる。 「とうっ!」 アル=カマルから持ち込まれたらしい宝剣を抜き、巫女と精霊に捧げる舞いをする。 盛り上がる観客が新たな観客を呼んで、広々とした大通りで渋滞が発生しようとしていた。 ●パレードから宴会へ 芸人がジャグリングや蛇使いの技を披露し、精霊門を通じて運び込まれた食材を使ったアル=カマル料理が沿道の人々に振る舞われる。 中戸の隊だけでは間に合わず、非番の浪士組も交通整理や酔っぱらいの隔離に駆り出されていた。 そんな騒がしい祭りの中を、女性ジプシー装備の人妖がふよふよ飛んでいる。 写実的なセベクネフェルの絵が描かれた看板を掲げ、恥ずかしげに、でも精一杯愛想を振りまき振りまき大声で呼びかける。 「総選挙では巫女様に投票をお願いしま…ひゃっ」 風で衣装が外れかけ、涙目になったところを騎士風の同属に助けられる。 ちなみに女性ジプシー装備なのが男性型人妖エイルアード、騎士装備なのが女性型人妖カチューシャである。 「申請書類を4桁書いた甲斐があったわ」 パレードが始まってからは1観客として参加しているリンスガルトが、大きな皿から1つ菓子を取り囓る。 柔らかな生地から複雑で濃厚な甘味が口いっぱいに広がり、目元が優しくなる。 「この甘味は何じゃ! 舌が蕩けそうじゃぞ! ふははは!」 さくらをするまでもなかったかもしれない。演技抜きで美味しいのだから。 「姉上、この様な事をしていて本当に宜しいのですか?」 自分のコートをかけてやったエイルを背中に庇い、困惑の表情でカチューシャがたずねる。 「うむ! これも立派な役目じゃ! 気にせず汝も馳走になるがよい!」 料理人の少年から皿を奪いそのまま差し出す。 人妖達は顔を見合わせ、ハンカチで手を拭き慎重な手つきでアル=カマル風のパイを手に取る。 「…本当においひいです!」 「ほんとだ」 満面の笑みを浮かべた人妖達がリンスガルトを見上げる。が、リンスガルトは気付かず別種のお菓子をほおばっていた。 「うみゃい、うみゃいのじゃあああ!」 彼女のリアクションに誘われ、さらに大勢の客がアル=カマルの料理目指して集まって来ていた。 ●戦いは続くよどこまでも フェンリエッタ(ib0018)は困っていた。 楽しそうだったから参加してはみたものの。 「セベクネフェルさんの事、よく知らないのよね」 投票を呼びかけるポスター(桜花作)を見上げてため息をつく。 集まりすぎた観客でパレードの動きは止まり、芸人や料理人が周囲に散ってただの宴会に変わっていた。 「リエッタ、ウィナ出店巡りしたーい」 人妖がフェンリエッタの袖を引っ張る。 いつの間にかアル=カマルの料理人より天儀の露店の方が多くなり、競うように軽食や飲み物を売っている。 フェンリエッタは片手でウィナフレッドを撫でながら、念のため準備していた資材の元へ向かう。 30分後。 新しくできたオープンカフェに向かって人の流れが出来ていた。 扱っているのは珈琲や紅茶などの飲み物が中心で、砂糖や乳がたっぷり入ったものがアル=カマルから来た人達に飛ぶように売れ、それを見た天儀の人々も我も我もと買いに来ている。 ジルベリア風のメイド装束の店員や可愛らしい人妖店員も目玉の1つ。 しかし最大の目玉は物でも人でもなくフェンリエッタが描き出す芸術だ。 適度な温度のミルクを特注の機具でカップに垂らす。 最初の形は円形。 竹串で形を整えチョコシロップで色を加えると、珈琲の水面に宣伝ポスターのセベクネフェルが再現される。 「おお!」 「俺にも一杯くれ!」 「ウィナ、ウィナも描いて!」 通りの通行人のほとんどが殺到し、その頭上から人妖が覗き込んでいる。 「通行の邪魔だっ」 「お願いですからー」 浪士組の見回りが涙目になって客を誘導しているが焼け石に水だ。 焼きたてのクッキーとマフィンも搬入されるたびにすぐに売り切れ、日が暮れる頃には活動資金として預かった金の倍近くの儲けが出ていた。 「そういえばリエッタも錦絵部門に出てたよね。宣伝もせず裏方やってたけど」 甘ったるい珈琲が入ったカップを両手で抱え、ウィナフレッドがふよふよ浮いている。 「あれは叔父様がエントリーしたのよ、私自身が何をしようと自由で…はい、ありがとうございます」 客を見送った主の肩に人妖が腰を下ろす。 「でもこれ、寧ろリエッタの宣伝になってると思うな」 相棒の指摘に驚く主に驚かれたことに驚く相棒。 陽は傾き、祭りは終わりに近づいていた。 ●祭りの終わり 偉大なる巫女 セベクネフェル 弱き者の味方 優しき微笑 母の腕 「あっ…」 家路を急ぐ子供が空を見上げる。 歌いながら舞うリィムナと本当に浮かんでいる人妖ジプシーは幻想的で、見惚れて時間を経つのを忘れてしまう。 そのため足下が不注意になり転んでしまったのは、多分誰も悪くない。 子供は奥歯を噛みしめて悲鳴をもらさない。 「偉いわ」 柔らかな光が擦過傷を癒して痛みを消した。 目を丸くして見上げると、昼間山車に乗っていた巫女の姿があった。 「巫女様?」 柚乃は一度またたきして、ふわりと優しげに微笑んだ。 「私は…巫女様のお付きの者です」 立たせてやって、着物についた埃を払ってやる。 リィムナに声をかけられたらしい中戸がやつれた顔でやって来て、子供の家の場所を聞き出し連れて行く。 演奏が終わる。 終わると同時に着地したリィムナが上品に礼をする。 激しく上下左右に動き回ったはずなのに、衣装に汚れも乱れもない。 「セベクネフェル様のへの投票、よろしくね!」 答えは、歓声と拍手で返ってきた。 |