秋刀魚の祈り〜満腹屋〜
マスター名:天田洋介
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: やや易
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/08/31 22:17



■オープニング本文

 朱藩の首都、安州。
 海岸線に面するこの街には飛空船の駐屯基地がある。
 開国と同時期に飛空船駐屯地が建設された事により、国外との往来が爆発的に増えた。それはまだ留まる事を知らず、日々多くの旅人が安州を訪れる。
 そんな安州に一階が飯処、二階が宿屋になっている『満腹屋』はあった。


「秋刀魚‥‥サンマ、さんま‥‥、やっぱり秋刀魚といえば塩焼き?」
「新鮮ならお刺身もよろしくてよ」
 満腹屋一階、飯処の仕事が終わった宵の口。智塚姉妹は縁側に座って泰国産のめろぉんで作ったかき氷を食べながら涼んでいた。光奈が妹、鏡子が姉である。
 二人が話題にしていたのは泰国のある町に呼ばれた件についてだ。
 泰国の獣人は『猫族』と表現され、大半が猫か虎に似た特徴を持っている。
 猫族はこの時期、夜空に浮かぶ月へと秋刀魚三尾をお供えする風習を持っていた。捧げる祈りは土地によって様々だが、どれも月を敬う内容のようだ。
 先日、めろぉんを運んできてくれた広域商人・旅泰の中に猫族の響鈴なる娘がいた。満腹屋の料理に感激した響鈴から智塚姉妹が頼まれたのは出張料理。
 響鈴の故郷では自分の幼い頃から天儀料理が流行り続けているという。捧げ物用の秋刀魚料理をいくつか、その他にも美味しい天儀料理を披露してもらいたいと依頼されたのである。泰国への旅行も含めて智塚姉妹は引き受けていた。
 響鈴の故郷は泰国南部の海岸沿いにある大きな町『青染』。その中の一角にある猫族が集まった通称『猫の棲家』が生まれ育った土地。ちなみに猫の棲家といったものは泰国各地に存在する。
 響鈴も智塚姉妹が訪れる頃に故郷へと赴くという。
 翌日、光奈は天儀料理作りと旅の護衛をお願いするために開拓者ギルドを訪れるのであった。


■参加者一覧
慄罹(ia3634
31歳・男・志
和奏(ia8807
17歳・男・志
利穏(ia9760
14歳・男・陰
フェンリエッタ(ib0018
18歳・女・シ
ラムセス(ib0417
10歳・男・吟
常磐(ib3792
12歳・男・陰
ベルナデット東條(ib5223
16歳・女・志
乃亜(ib6747
21歳・女・砂


■リプレイ本文

●泰国南部
 泰国の帝都、朱春の精霊門で開拓者達と待ち合わせた智塚姉妹は中型飛空船に乗船。半日をかけて海岸沿いの町『青染』に到着した。
 青染内にあるのが猫族が生活する区画『猫の棲家』。道を訊ねた瞬間、一行は周囲にいた多くの猫族に歓迎される。
「響鈴様からの連絡で知っているのにゃ〜♪ こちらへどうぞだにゃん♪」
 猫族のちびっ子達に押され引かれて案内されたのは立派な朱色が目立つ建物。響鈴の家族が住む屋敷であり、広間の他に人数分の個室が宛われた。
 響鈴とは旅泰として智塚姉妹が両親と営む満腹屋に泰国の品を届けた娘である。今回の出張料理はその縁によるものだ。どうやら響鈴の実家は地元の名士であるらしい。
 日が暮れて青染は夜の闇に包まれる。明朝に魚市場を訪ねるため、早くに就寝した一行であった。

●魚魚魚
 一行が眠っている夜のうちに響鈴は青染へと到着。夜明けとともに響鈴が魚市場へと案内してくれる。
「こちらが青染の魚市場になります〜♪」
 一睡もしないままのようだが響鈴はとても元気であった。
「安州も魚介類が豊富ですけど、見たこともない魚や貝があるのですよ〜♪」
「本当ね。あれは一体何かしら?」
 智塚姉妹は興味津々に市場を眺める。特に光奈ははしゃぎ気味で料理人としてよりも食いしん坊の血が騒いでいたようだ。
「猫さん達が一杯デス」
 ラムセス(ib0417)は猫族がいっぱいの状況にちょっとだけ舞い上がっていた。ピコッっと動く耳やフリフリと揺れる尻尾がとても気になる。
(「もふもふしてみたいデス‥‥」)
 迅鷹のたんぽぽや、もふらのらいよん丸が一緒じゃなくて落ち込んでいた気分が払拭されたラムセスだ。
「この秋刀魚なんてどうですか? 脂がのってそうだけど」
「おおっ☆」
 フェンリエッタ(ib0018)に連れられた光奈が木箱内の秋刀魚を覗き込む。
(「うーん、満腹屋さんのお噂をよく耳にするからかもしれませんね」)
 フェンリエッタは今回の依頼で初めて知り合ったとは思えない程の親近感を光奈に感じていた。
「これが秋刀魚‥‥。実は初めての食材なんですが、どういう味なんでしょうかねえ?」
 乃亜(ib6747)は光奈とフェンリエッタの横で屈むと木箱に顔を近づける。しばらく光奈から秋刀魚についての説明を受けた。
「市場での魚選びは任せて、せっかくだからちょっと釣ってくるなっ。それにしてもお供えが秋刀魚とは‥面白い風習だなっ」
「釣りたてのお魚、是非〜是非にお願いしますー♪」
 慄罹(ia3634)は響鈴に一言残して海岸の岩場へと向かう。そして自前の釣り竿で糸を垂らして大物を狙った。隣の釣り人から石鯛が狙えると聞かされた慄罹は張り切る。
「秋刀魚は光奈さんに任せるとして、その他に必要な魚を‥‥」
 顎に右の拳を当てながら和奏(ia8807)は並ぶ魚を見定めていた。見かけが新鮮そうな魚よりも、ちゃんと活け締めされたものを選んでゆく。
「この町は空も海も、とても綺麗な所ですね。ここに来れて嬉しいです」
「そういってもらえると〜♪」
 魚選びの途中、利穏(ia9760)は響鈴に釣りへの興味を話す。滞在には余裕があるので機会は充分にあった。
(「月に対して敬う風習があるなんて依頼を読んで初めて知ったからな‥‥」)
 猫族といってもいろいろ。常磐(ib3792)も猫の獣人だが生まれ育った環境では行われなかったようである。この機会に猫族の風習を覚えるつもりでいた。
 ベルナデット東條(ib5223)は、この旅が始まってから護衛としてなるべく智塚姉妹の側にいた。ふと思い出したように鏡子へ響鈴のことを訊ねた。
「響鈴殿はどういった食べ物や味付けが好みだったのかな?」
「天儀料理が本当に好きなようですわ。とても泰国の方とは思えないほどに」
 ベルナデットは響鈴の好みを考えに含めながら魚選びを行うのだった。
 魚市場に隣接して野菜市場もあって一行は食材を買い込んだ。
 響鈴が保存用にと青染に住む氷霊結が使える者に頼んでいくらかの氷を手に入れてくれる。
 お供えは日が暮れてからであった。

●祈り
 響鈴は屋敷に戻るとバタンキュ〜。眠ってしまう。
 青染に辿り着くための徹夜がかなり堪えたようだが、料理を期待する寝言を呟いているところからいっても本望のようであった。
 調理は猫族の寄り合い所の炊事場を借りて行われる。
 時間がかかる者はぼちぼちと、そうでない者は仲間の下ごしらえを手伝った。魚の味見をして一から料理を構築しようとする者、釣りに精を出す者もいる。
 やがて日が暮れて輝く月夜。
 寄り合い所の広場に作られた祈りの祭壇にはお供えの料理が並べられようとしていた。本来は三尾分で充分なのだがここは心意気。多い分には祈られる月も満足だろうとこの地ではたくさんの量が用意されるようである。
「夏バテにも最適だ。月だって輝いているのは疲れるだろうからなっ」
 慄罹が供えたのは柚子で締めた秋刀魚を巻いた手毬寿司。
 薄塩で水分を抜いた秋刀魚の三枚おろしを昆布で挟んで時間を置く。こうすることで旨みが秋刀魚に足される。さらに柚子の果汁に酢、水、醤油を足してものがかけられる。
 手毬寿司は煎り胡麻入りのすし飯を丸めたものだ。柚子の香り漂う秋刀魚を巻いて完成である。
「作り方は見よう見まねですが、家で食べていた料理です」
 和奏が供えたのは『秋刀魚のきずし』と呼ぶ押し寿司だ。
 下ろした秋刀魚を砂糖でまぶして時間を置き、洗い流してさらに塩で。同時期に米酢と砂糖、塩を溶かした中に昆布を浸して漬け汁を作っておく。
 先程の処理が終わった秋刀魚を汁に浸けて冷暗所でしばし保存。刻んだ茗荷、大葉を混ぜた寿司飯で巻いて出来上がり。味が馴染んでいる頃のはずである。
(「みなさんの作った料理、一通りは覚えましたけどちょっと不安だな‥‥」)
 利穏はお供え物として綺麗に皿へと並べた秋刀魚の刺身を用意していた。夏に獲れる秋刀魚は脂控えめで刺身に適していると聞いたからである。
 鏡子から包丁の刃全体を渡るような刺身の切り方を教えてもらい、それを猫族の人達に教えた利穏だ。形は違っても包丁も刀と同じ刃物。サムライの利穏は太刀筋というものを心得ている。本人は大丈夫かどうかと半信半疑であったが覚えは完璧であった。
「みなさん真剣な目をしてますね。糠秋刀魚も時もそうでしたけど」
 フェンリエッタは以前に猫族の秋刀魚漁を手伝ったことがある。糠秋刀魚作りもそのときに覚えた知識だ。
 彼女が作ったのは秋刀魚の春巻き。
 小麦粉で作った薄皮で秋刀魚の切り身や、梅肉、大葉、チーズを巻いて油で揚げてあった。
(「そういえば‥‥」)
 こんがりと揚がった秋刀魚の春巻きをつまみ食いしそうな目で光奈と響鈴が見ていたのを思い出してくすりと笑うフェンリエッタだ。
「コロコロのお団子の、秋刀魚のつみれ団子デス〜」
 ラムセスは天儀で行われるお月見団子から発想して、秋刀魚を細かくしたつみれ団子を作ってみた。
 秋刀魚をすり身にしたものに葱、生姜を足して臭みを消す。片栗粉をまぶして一口大に丸め、茹でた上に冷水でしめて出来上がりだ。食べる際は用意した汁に浸して吸い物にする。
「俺が作った秋刀魚料理は煮付けだ」
 鍋から皿に移したばかりの常磐が作った秋刀魚の煮付けからは湯気が立っていた。
 醤油や砂糖、酒が調味料として使われ、生姜の薄切りに大根の輪切りも合わせてある。
 料理は慄罹と並んで作ったのだが、教えて欲しいと近所の子供達も一緒だった。当然猫族である。
(「後で親に作ってあげるっていったな」)
 鍋に入れた調味料と生姜を軽く煮立て、頭と尾、ワタをとって水洗いするなどの思い出を常磐は脳裏に浮かべた。特に熱心な子には天儀の料理本もあげていた。
「もう少ししたら宴だからそれまでもう少し我慢だよ?」
 ベルナデットが光奈の側で丼によそり、月に供えたのが秋刀魚の炊き込み御飯。綺麗にワタをとって塩焼きにした秋刀魚の身が豊富に使われていた。
 土鍋でだし汁とともに炊かれたもの。醤油や酒で味を調えてある。こちらは特に光奈が注目していた一品だ。宴が始まったら真っ先に箸をつけるに違いない。
「いろいろ試してみて出来上がったのがこれです〜」
 乃亜が用意したお供え料理からはかなり変わった香りが漂う。
 ワタをとった秋刀魚を香辛料入りの小麦粉をかけて油で揚げたものである。香辛料は茴香、蒔蘿、マヨラナが使われている。トマトと黒胡椒、オリーブオイルで作ったソースが非常に独特な風味を醸し出す。
 智塚姉妹がお供えとして用意したのは軽く天日干しをした秋刀魚を焼いたもの。秘伝の汁に浸し、軽く干すことによって旨みを凝縮させたものだ。干物と生の中間といったところである。
「では〜ここはわたしが踊らせてもらいますー」
 睡眠をとってすっかり元気になった響鈴が祭壇の奥で静かな舞いを見せた。それに合わせて猫族の者達が月を敬う歌を口にする。年寄りの中には涙を流す者もいたが、程なく儀式は終了した。
 その後は宴の始まりである。
 お供えの秋刀魚料理は一行によってたくさん用意されていた。その他にも多種多様な料理が並ぶ。
 慄罹が他に用意したのは魚介類がたっぷりの漁師汁。ぶつ切りの魚の身が入っていた。自ら釣った魚もこちらに使われていて食べ応え満点だ。
 慄罹の料理と並んで置かれたのは常磐の赤身魚の昆布巻き。こちらは昆布で巻く作業を慄罹にも手伝ってもらったもの。慄罹に味見をしてもらってほめてもらったのが嬉しい思い出である。
 ベルナデットはお供えにも使った秋刀魚の炊き込み御飯をたくさん用意していた。響鈴を始めとして一緒に用意した天儀酒と緑茶も好評で、この地の猫族が本当に天儀贔屓なのを実感する。ちなみに『義兄さん』と呼んでいる慄罹が三杯もお代わりしてくれたのが結構嬉しかったベルナデットであった。
 和奏は土瓶蒸し。松茸と鯛が使われた豪華なものだ。泰国ではあまり松茸は珍重されておらず、市場での値段の安さに和奏がびっくりした程である。石鯛は慄罹が釣ってくれた大きめの二尾を利用していた。その他の材料として銀杏やエビもあってとても豪華である。
 フェンリエッタが用意したのはジルベリアのガルブツィと呼ばれる料理を天儀風にアレンジしたものだ。ヒラメの身、人参、椎茸を葉物野菜であるキャベツで巻き、だし汁で煮込む。味付けは塩胡椒と醤油で整えられている。炊きたての御飯と一緒に頂く者が多かった。
 ラムセスは秋刀魚のつみれ汁をたくさん用意していた。具として豆腐と葱もたくさん入っていてとても評判になる。やさしい味で特に年輩の方に好評だ。
 利穏はつみれ汁をよそうのを手伝った。結構な大忙しで食べる時間を作るために智塚姉妹が途中変わってくれる程の盛況さだった。
 乃亜が作ったものは満腹屋で辛い丼と呼ばれるものと似た風味の料理だ。違うのは丼ものにせず、具だくさんのスープといった趣になっていたところ。秋刀魚の三枚おろしをオーリブオイルで炒めて同様に処理した人参、玉葱と合わせる。そして湯むきしたトマトで煮込み、辛い丼で使う香辛料を加えて煮込まれていた。
 智塚姉妹はいろいろと考えた末、辛い丼を振る舞った。天儀料理は開拓者達が頑張ってくれているので任せることにしたのである。一度にたくさんの者に振る舞えることも辛い丼に決めた理由の一つだ。具の主役は白身の魚のヒラメである。
 たくさんの猫族が祈りと宴に参加していた。月光を浴びながら八月の夜は更けてゆくのだった。

●海水浴
 月を敬った翌日。一行は各々に海岸へと出かけた。
「秋刀魚の甘露煮もよかったかもな」
「料理は結構楽しいものですね。開拓者になるまで厨房に入ったことがありませんでしたので――」
 慄罹と和奏は海岸の岩場で釣り糸を垂れていた。この後、二人の釣果が今晩の豪華なおかずに変わる。
 釣りをしていたのは慄罹だけではない。利穏と響鈴の姿も近くにあった。
「空と海、綺麗ですね。どちらもとても澄んでいて」
「青染の名の由来なのですー」
 のんびりと利穏と響鈴は釣りを楽しんでいた。釣れても釣れなくてもどちらでも構わないといった様子で。
 散歩していたベルナデットが響鈴と利穏を見つけて二人に駆け寄る。
「響鈴殿、昇徳商会では今後何を商うつもりなのかな? いや収穫の秋は商売人にとっても好機ではと思ってね」
「昨日、気づいたのですけど天儀とは違い、泰国では松茸って普通の人気なのですよー。この話を社長に伝えようと思っているのですけど」
 ベルナデットが響鈴の返事になるほどといった表情を浮かべていると、利穏の竿が大きくしなる。
「まさか釣れるとは‥‥」
 利穏が釣り上げたのは大物の黒鯛。こちらも後に夕食の一品へと化けることとなる。
「空も海も青いな‥‥。―暑い‥頭が暑い‥」
 常磐は木陰で寝ころびながら昨晩の月見を思い出す。一人で寄り合い所の屋上にあがり、思いを込めて呟いたのは『約束は必ず守る。でも、やっぱり―‥兄は遠い‥』といった言葉だった。
「お土産はたくさんあるのデス。きっとおいしそうに食べてくれるのデス〜」
 ラムセスが木陰の砂浜に座って頂いていたのがよく冷えた『めろぉん』である。猫族の人達からお礼としてもらっためろぉんとは別のもの。すぐ近くの浜茶屋で売っていたものだ。
 ラムセスは朋友のための土産もちゃんと買い込んでいた。
「お土産を食べようか悩んでいたところだったので、ちょうどよかったのです〜」
 乃亜がラムセスから教えてもらった浜茶屋でめろぉんを買って戻ってきた。二人でめろぉんを食しながら夏の浜辺でお喋りを楽しむ。
 智塚姉妹と一緒に行動したのがフェンリエッタである。三人とも水着に着替えての海水浴。小舟を借りて三人で沖に繰り出した。
「冷たくて気持ちよいのですよ〜♪」
「光奈さん、あまり離れてはだめよ」
 海辺で育っただけあって光奈の泳ぎは確かだ。鏡子はかなづちのようだが、櫂で漕ぐのはとてもうまかった。
「じゃ〜ん♪ 用意してきたおやつをどうぞ♪」
「おお、いろんな形をしているのです!」
 それはプリャニキと呼ばれるジルベリアのお菓子で、猫、お魚、お月様といった形になっていた。フェンリエッタの手作りである。
「部屋に皆の分もちゃんと残してきましたので遠慮なく♪ そうそう、これって便利なの」
「甘味マップ! ありがとうなのですよ〜。青く澄んだ海と空の下でお茶会なんて、これは非常に贅沢なのです〜♪」
 フェンリエッタ、智塚姉妹は満面の笑みを浮かべる。波は穏やかでゆっくりとした時間が過ぎてゆく。
 それから二日後、一行は感謝する猫族の人達に見送られながら青染の町を後にするのだった。