満腹屋に納品へ 〜鳳〜
マスター名:天田洋介
シナリオ形態: ショート
相棒
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2011/08/22 21:27



■オープニング本文

 泰国は飛空船による物流が盛んである。
 その中心となっているのが旅泰と呼ばれる広域商人の存在。
 必要としている者に珍しい品や食料を運んで利益を得ている人々だ。時に天儀本島の土地にも根ざし、旅泰の町を作る事もあった。
 当然の事ながら泰国の首都『朱春』周辺にもたくさんの旅泰が住んでいた。昇徳商会の若き女社長の李鳳もその中の一人である。


 昇徳商会は新しい商売を開始していた。
 これまでは外部から頼まれた輸送業務のみだったが、自らの資金で商うことにしたのだ。現在は大工に頼んでボロ格納庫横の建物を問屋倉庫として改築中である。
 とはいってもいきなりすべてを切り替えたわけではない。輸送業務も受け付けていた。
「同じ旅泰から仕事を頼まれたのよ。手が足りないらしくて。呂って人物なんだけど」
 昇徳商会の若き女社長『李鳳』は依頼の書類に今一度目を通す。
 それは泰国南部海上にある無人島で果実を積み込み、それを朱藩・安州の満腹屋まで届けて欲しいといった内容だった。満腹屋とは一階が飯処、二階が宿屋といった商売をしているらしい。ちなみに果実の『めろぉん』は一階の飯処で使うようである。
「何でもめろぉんはかき氷に使うとかなんとか。この暑い時期に氷なんて用意できるのかしら?」
「巫女が使える氷霊結で何とかしているんじゃないのかな?」
 疑いの眼をした李鳳に青年『王輝風』が答える。彼は昇徳商会に所属する中型飛空船『翔速号』の操縦士兼整備士である。
「冷たい氷を夏に食べる‥‥なんて贅沢なんでしょう〜。さらにお刺身を乗せたらもっと素晴らしいのです〜♪」
 猫族獣人娘『響鈴』の発言に李鳳と王輝風があきれた表情で「それはないない」と首を横に振る。
 それにも構わずお刺身付きのかき氷を夢見る響鈴だ。ちなみに彼女は昇徳商会所属の中型商用飛空船『浮雲』の主操縦士である。
 たまたま他の仕事がなかったので久しぶりに全員で引き受けることにした。黒い子猫の『ハッピー』も一緒に。
 泰国南部に広がる海の上空でアヤカシに襲撃される事件がいくつか伝わっていた。念のために李鳳は開拓者を護衛として雇うのだった。


■参加者一覧
礼野 真夢紀(ia1144
10歳・女・巫
鞍馬 雪斗(ia5470
21歳・男・巫
十野間 月与(ib0343
22歳・女・サ
壬護 蒼樹(ib0423
29歳・男・志
シヴ(ib0862
27歳・女・サ
九条・亮(ib3142
16歳・女・泰
鳳珠(ib3369
14歳・女・巫
イクス・マギワークス(ib3887
17歳・女・魔


■リプレイ本文

●無人島
 泰国の帝都、朱春近郊を出発して二日目。女社長・李鳳率いる昇徳商会所属、中型飛空船『翔速号』は海面を見下ろしながら南下中であった。
「めろぉんの島にもうすぐ到着のはずですよね」
「輝風さんはそういってたよ。島はどこかな?」
 礼野 真夢紀(ia1144)は駿龍・鈴麗にて、十野間 月与(ib0343)は甲龍・大樹に龍騎して翔速号と併飛行による警戒を行っていた。
 二人の首から垂れ下がる胸元の呼子笛は合図のためのものだ。危険を察知したら翔速号で待機している仲間に報せられるようにと。
 定期の情報交換を終えた二人は翔速号を境にして上下へと分かれる。上は礼野、下は月与の担当だ。
 最初に無人島を視認したのは次の見張り組である。
「何か見えた気がするので少し高くを飛んでみます」
 鳳珠(ib3369)が駿龍・光陰で翔速号の甲板から浮上。すると遠くの眼下に噂に聞いた無人島を発見する。
「島が見つかったようですよ、水蓮君」
 鳳珠からの島発見合図を確認した壬護 蒼樹(ib0423)は、隣で休んでいるミヅチ・水蓮に話しかけてから伝声管で操縦室に発見を報告した。
 それから約二十分後、翔速号は無人島の上空へ到達する。
「目標発見。そのまま真っ直ぐにいけば大丈夫だ」
 操縦室の前方席で監視していたイクス・マギワークス(ib3887)は樹木の頂に取り付けられていた目印の旗を発見。その周辺に良質のめろぉんが育っていると旅泰の呂からの情報に記されていたものだ。
「軽い衝撃があるので気をつけて」
 王輝風の操縦によって翔速号は森の拓けた土地へと静かに着陸した。
 甲板の鞍馬 雪斗(ia5470)は上空を滑るように飛んでいた迅鷹・ティスカを自らの腕に掴まらせてから九条・亮(ib3142)へと振り向いた。
「この漂う甘い香りは例の果物かな?」
「そうだろうね〜。ん〜、かき氷、楽しみだ〜〜」
 鞍馬雪斗と九条亮は急いで船内の階段を駆け下りて大地を踏みしめる。
「この網目模様の実。きっとこいつさね。おーい!」
「は〜い♪」
 先に降りていたシヴ(ib0862)が蔓で枝にぶら下がっていためろぉんを発見して近くの響鈴を呼んだ。ひとまず二人でいくつかのめろぉんを船内に運び入れた。
「冷やした方が美味しいと聞きました」
 鳳珠(ib3369)は氷霊結で作った氷を使ってめろぉんを冷やす。充分に待ってから切り分けてみんなで頂いた。
「あま〜い〜♪」
 何人かは叫び、また口に出さなくても同じような感想が多くの者の心の中で呟かれる。
 熟れためろぉんはとても美味しかったが、安州に運ぶ途中で食べ頃を逃してしまうだろうと考えられた。そこでまだ熟れかけのめろぉんを運ぶことにした。
 全員で協力して日が暮れるまでにもいだめろぉんを積み込み終わる。夜明けと共に翔速号は再び大空へ。届け先の満腹屋がある朱藩の首都、安州へと船首を向けるのだった。

●飛び出してきた敵
 無人島を離陸して約四時間後。かつて嵐の壁であった空域へと辿り着く前に、甲板の壬護蒼樹が目を凝らした。
「何か光ったような‥‥。水蓮さんは何か気づきませんか?」
 展望室の壬護蒼樹はミヅチ・水蓮を胸元で抱えると窓辺で海面を見下ろす。はねた波のきらめきとは別に妙な照り返しを見たような気がした壬護蒼樹だ。
「これは!」
 怪しんでいたところに海面から何かが飛んでくる。壬護蒼樹は一歩下がりながら窓の外で自由落下をし始めた物体を見つめた。
 翔速号と同程度の高さまで到達したのはクラゲのような妙な物体だった。壬護蒼樹は咄嗟に伝声管へと顔を近づけた。
「アヤカシと思われる個体が海から飛び上がってきてます! 拳大と思われる非常に小さいものです!」
 壬護蒼樹の声が船内に響き渡った。続いて水蓮を床に下ろすと窓から身体を乗り出して滑空艇・紫電で併飛行中の九条亮に向けて小型の銅鑼を鳴り響かせた。
 鳴らす合間に壬護蒼樹は懸命に海面を指さした。
「もしかして‥‥真下からなの?」
 九条亮は確かめるために滑空艇・紫電を急降下させる。やがて花火のように打ちあがってくる妙な物体とすれ違った。
 上昇に転じながら海面を確認した九条亮の表情は驚きに満ちていた。波間に大量のクラゲのような物体が漂っていたのである。その妙な物体は体内に溜め込んだ水を一気に吐き出して次々と飛び上がっていた。
 妙な物体に気功波を叩き込んでみると瘴気となって消え去る。アヤカシだと確信した九条亮は滑空艇・紫電を上昇させて甲板の鞍馬雪斗へと近づいた。
「アヤカシに間違いないよ! 波間にたくさんいて、どんどんと打ちあがってきてる!」
 九条亮に声をかけられたその時、鞍馬雪斗の足下にもアヤカシが落ちてきた。
 もぞもぞとした動きで一見危険がないように感じられたが、観察してみるとすぐに脅威が判明した。どうやら船体などをとかす酸を発するようである。
 一体が発する酸は大したことがなくても大量なら脅威となりうる。除去しにくいとなればなおさらだ。
(「さっきの皇帝の逆位置とか、油断はしないようにしたのはやっぱり正しかったな‥」)
 鞍馬雪斗は先程タロットで占った結果を思い出しながら上空を飛んでいる迅鷹・ティスカを一旦呼び寄せて言い聞かせた。拳大のアヤカシを翔速号に近づけさせないようにと。
「上は航行の逆方向に風が強すぎて今の高さが限界なの!」
 李鳳の声が伝声管で響き渡る。その際にアヤカシは透妖と呼ばれることとなった。
 迅鷹・ティスカが上空を舞いながら鋭い爪で次々と透妖を弾いてゆく。
「ようは近づけさせなければいいよね」
 鞍馬雪斗はアゾットと呼ばれる短剣を突き出すように構えた。真夏の大空に突如現れた白き雪が強風へと変化し、甲板に落ちようとした多くの透妖を吹き飛ばした。
「水蓮さんは船に取り憑いてしまった透妖を洗い流してください。僕もがんばりますので」
 壬護蒼樹は展望室の窓から飛んでくる透妖を矢で打ち抜きながらミヅチ・水蓮に指示を出す。水蓮は水柱で船壁にへばりついた透妖を次々と剥がしてくれた。
「全然強くはないけど、数が厄介だな」
 九条亮は滑空艇・紫電で空中を滑るように移動しながら拳を振るう。波間にはまだまだ透妖が漂っていた。
 そうこうするうちに仲間達が次々と参戦してくれる。
「あれは‥‥‥‥! 光陰、急ぎます!」
 雲の中を見回っていた駿龍・光陰に龍騎する鳳珠が戻ってきた。
 アヤカシとの戦いが始まっているのを知って駿龍の高速飛行を発動。火炎で進行方向の透妖を瘴気の塵にしながら甲板へと着地する。
「危なくなったらすぐに駆けつけます」
 鳳珠が準備をしたのは精霊の唄。甲板に現れた仲間達に声をかける。
 甲板から殆ど同時に二体の龍が飛び出す。
 一方の甲龍・大樹の背には月与の姿が。しかしもう一方の駿龍・鈴麗には主である礼野は乗っていなかった。
「月与さんのいう事聞いて、アヤカシ攻撃して!」
 閃癒による回復こそが自分の持ち味と考えた礼野は仲間と接触しやすい甲板に残っていた。鳳珠と重ならないよう分担して傷ついた仲間達を治するために。時には精霊砲で透妖を排除する。
「気になっていたけどやっぱり‥‥」
 翔速号の真下へと潜り込んだ月与は激しく瞬きをしてから眉をひそめた。
 透妖が翔速号の船底にへばりついていたのである。船底にくっついてもうまく取り憑けなかった個体もあるのですべてではなかったが。
 打ちあがってくる新たな透妖は礼野の駿龍・鈴麗に任せて、月与は甲龍・大樹と共にへばりついている透妖の排除に取りかかった。駿龍・鈴麗を霊鎧で防御に徹しさせて自らは大薙刀を振るう。透妖が集中しているところでは回転切りで根こそぎ払った。
 もう一組、船底付近の防衛に尽力してくれたのが鷲獅鳥・アルブスニクスを駆るイクスだ。
「接近戦はその調子でうまくこなしてくれ。後ろは私が対応するから気にするな」
 下から飛んでくる透妖をアルブスニクスの爪が弾き飛ばす。イクスはアルブスニクスが捌ききれない透妖にホーリーアローを放って消滅させてゆく。時にはレ・リカルで仲間を回復させたイクスであった。
 甲板付近での戦いも佳境に入っていた。
 シヴはあえてアーマー・ヴァルハラを発動させず、ロンパイアの長さを活かして透妖を弾いてゆく。
「この辺りはすべて取り去ったさね!」
 シヴが特に注意していたのはアヤカシに中へ侵入されること。
 飛空船の外装部分は日光や雨、潮風にさらされても大丈夫なように造られている。つまり酸にもそれなりに耐久性があるはずだ。しかし内部はそうではないだろうと考えたのである。実際その通りであった。
 戦闘が始まって約二十分後。透妖が漂う海面上空から翔速号は脱した。
 念のためにもう一時間程移動。そこで着水し、船体を海水で洗い流してから再び天儀本島を目指した翔速号であった。

●安州
 戦いがあってから三日後。翔速号は朱藩の首都、安州に隣接する飛空船基地へと無事着陸を果たす。
 昇徳商会一行は現れた満腹屋の面々と一緒に荷車を牽いてめろぉんを店へと運び入れる。
「アヤカシに襲われたとか。大変でしたでしょう。どうか今晩はこちらでおくつろぎを」
 智塚鏡子が一行を二階の宿へと案内してくれた。普段は妹の光奈と共に一階の飯処で給仕をしている娘だ。
「息子がお世話になっています」
「いえいえ〜。お世話になっているのはこちらなのです。とぉ〜ても助かっているのですよ〜♪」
 よい熟し具合のいくつかのめろぉんを地下の氷室兼貯蔵庫に運ぼうとした光奈を手伝ってくれたのは壬護蒼樹だ。果肉を使うにしても冷やしておかなければかき氷には使いにくいからだ。
「この木箱に水を入れてから凍らせているのさ」
 光奈と壬護蒼樹が去った後で、満腹屋に勤める巫女の銀政が礼野と鳳珠の二人を氷室兼貯蔵庫に案内してくれた。
「やはり夏場なので大分氷が減っているようですね」
「氷はいくらあっても構わないでしょうから」
 礼野と鳳珠は銀政と同じく氷霊結が使える。二人が製氷を手伝ってくれたおかげで満腹屋の氷の在庫が増えた。
「智三さん、ここの野菜切っておくね」
「助かるよ、お嬢ちゃん。真吉の奴は暑さでへばっちまってよ」
 礼野と一緒によく満腹屋に出入りしている月与はエプロン姿に着替えて厨房を手伝う。
「変わったメニューが並んでいるのだな」
「聞いたこともない品もあるさね。そぉ〜す? きっとソースのことさね」
 イクスとシヴは一階店内の壁に貼られたお品書きを眺めた。
「‥‥ティスカ、お前はコレ駄目だぞ? 後で魚をもらってやるからな」
 小腹が空いた鞍馬雪斗は辛い丼を宿屋の部屋で頂いていた。窓枠に留まる迅鷹・ティスカが鳴いて欲しがるが身体を捻って丼を隠す。
「ん〜〜美味しいな。暑い日にはこれが一番だ」
 満腹屋の裏庭で砂糖水に練乳を加えたかき氷を頬張っていたのは九条亮。
 新作のめろぉん入りかき氷は夕食時のお楽しみと聞いて先に好物の練乳がけを頂いていた。蝉の鳴き声を耳にしながら木漏れ日の下で食べるかき氷は格別だった。
 李鳳と王輝風は安州の街中を散歩していた。
「この間も感じたけど、やっぱり派手な格好をしている人が多いわね。男も女も」
「女性は別にして男性がここまでかぶいているのは他国では滅多に見ないよね」
 道行く人々の服の柄に目を見張る二人だ。安州の街はあらゆる意味で極彩色に溢れていた。
 その頃、響鈴がいたのは魚市場。背中に担いだ袋から黒い子猫のハッピーが顔を覗かせていた。
「あっちを向いても、こっちも向いてもお魚〜。ここにいるだけで幸せいっぱい〜♪」
 響鈴に呼応してハッピーが『にゃ〜』と鳴いた。満腹屋にて調理してもらう心づもりで響鈴はたくさん魚介類を買い込んだ。
 その日、満腹屋一階の飯処は少し早めに暖簾を下ろす。昇徳商会一行を歓迎するために。
「満腹屋さんは、意欲的で創作的で美味しい料理屋さんなんだよ」
 すっかり店になじんでいた月与は智塚姉妹が料理を運ぶのを手伝う。
 焼きそばやお好み焼きなどのそぉ〜す料理や辛い丼、魚介たっぷりの料理を頂いたところで、締めのかき氷の出番となる。
「これです、これこれ」
 待ってましたとばかりに壬護蒼樹はめろぉん入りかき氷の器を手に取った。匙で掬って口に運ぶ。
 ワタを取る際に零れた果汁を集めて作られたタレが染み込んだ細やかな氷。よく冷やされた果肉のアクセントが壬護蒼樹の心を震わせた。
「お代わりあるのです〜♪」
 壬護蒼樹のあまりの食べっぷりに光奈は思わず驚くのだった。
「せっかく運んだめろぉんだけど」
 甘いものが苦手な鞍馬雪斗はかき氷の代わりにそぉ〜すの辛味を強めにしたたこ焼きで夕食を終わらせる。辛い丼でお腹いっぱいで満足げな笑みを浮かべた。
「やさしい甘みさね」
「なかなかのものだな。扱いによっては高級な晩餐にも合うだろう」
 シヴとイクスがめろぉん入りかき氷に手をつけた。なかなかのもので二人とも二杯を平らげる。
「こんなにかき氷が食べられるなんて」
 九条亮は昼の練乳入りかき氷に続いてめろぉん入りかき氷も頂く。日が落ちたとはいえ、まだまだ蒸し暑さは抜けていない。食べると汗がすっとひいていった。
「ここも少し冷やしましょう」
 鳳珠はタライに張られた水を氷霊結で凍らせて涼みの一つとした。めろぉん入りかき氷を楽しみながら風鈴の囁きに耳を傾ける。
「こちらをどうぞ。響鈴さん」
「こ、これは!」
 こっそりと礼野がもってきてくれたかき氷に響鈴が瞳を大きく見開いた。それは普通のものではなくお刺身がのったかき氷であった。
 響鈴を驚かせたかったので礼野はすべてを自前で用意していた。
「ちゃんと塩味がするのです〜。薄口のお醤油がかかっているのですね♪ はっ!」
 食べ終わって満足げな響鈴は、はたとすねにまとわりつくハッピーに気がついた。
「すぐに出来ますので待っていてくださいね」
 一人で食べてしまったことを懸命にハッピーに謝る響鈴を見て、礼野は新たにもう一杯を作ってあげるのだった。
「今後もよいおつき合いが出来るといいよね、光奈さんと李鳳さん♪」
「そうなのです〜。あ、泰国にあれはあるのかな? ちょっと聞いてみるのですよ」
 月与は光奈と李鳳を近くに座らせていた。二人の間を取りもって商売の話しをしやすくしてあげる。
 泰国の料理は奥深い。まだ未知の食材が眠っているはずと光奈は李鳳にいろいろと訊ねるのだった。
 その晩、智塚姉妹は響鈴から相談を受けるのだがそれはまた別の話である。

●そして
 翌朝、ゆっくりと休んだ昇徳商会一行は安州を後にする。
 数日を経て泰国の帝都、朱春近郊の飛空船基地へと帰還。
「新しい商売に繋がりそうだわ。響鈴もすごく楽しかったみたいだし」
 李鳳達は満足げに開拓者達を見送る。
 満腹屋からもらっためろぉんを手みやげにして精霊門で神楽の都へと戻る開拓者達であった。