包丁の戦い 〜満腹屋〜
マスター名:天田洋介
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: やや易
参加人数: 6人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2012/10/19 18:54



■オープニング本文

 朱藩の首都、安州。
 海岸線に面するこの街には飛空船の駐屯基地がある。
 開国と同時期に飛空船駐屯地が建設された事により、国外との往来が爆発的に増えた。それはまだ留まる事を知らず、日々多くの旅人が安州を訪れる。
 そんな安州に、一階が飯処、二階が宿屋になっている『満腹屋』はあった。


「うむむ‥‥」
 宵の口の満腹屋。すでに暖簾を下ろした店内で智塚光奈は一枚の瓦版に釘付けになっていた。瓦版で紹介されていたのは朱藩・遊界で開かれる料理大会についてだ。
 団体戦で行われる大会の名は『第一回遊界料理祭』。料理の主題は『秋の味覚』。特別審査員五名と一般審査員五十名が評価し、得点の高い方から順位が決まる。
 特別審査員は一名につき十点を上限とした投票権を持つ。一般審査員は一名につき三点上限の投票権だ。つまり参加一団体が得られる最低得点は零点、最高得点が二百点となる。
 一般審査員五十名は当日の参加希望者の中からくじ引きで決まるために傾向はわからない。ただ特別審査員五名については少しだけ特徴が綴られてあった。
 一人目は安州城勤めの男性。年齢は五十歳。
 二人目は神楽の都にある茶屋の看板娘。年齢は十五歳。
 三人目は朱藩・安州にある鮨屋板前の男性。年齢は三十一歳。
 四人目は理穴出身の菓子料理人の女性。年齢は二十六歳。
 五人目は武天出身の肉専門の料理人男性。年齢は二十九歳。
「秋の味覚‥‥。海のものでも山のものでも秋に旬な食材を主として使うなら大丈夫ってことなのですね〜♪」
 光奈は満腹屋の名をさらに広めるために出場を決意した。ただこのために店を休むわけにはいかない。ここはいつものように開拓者に手伝ってもらおうと考えた。
「浮かれた様子でどうしたんだ? なになに‥‥遊界でやるのか。そいつは懐かしいな」
「そういえば昔、遊界には銀政さんを探しにいったことがあったのです〜♪」
 銀政と光奈は知り合った頃の昔話で盛り上がる。遊界に詳しい銀政も参加してもらうこととなる。
 翌朝、光奈は満腹屋が始まる前に朱藩ギルドへと駆け込んで募集を行うのであった。


■参加者一覧
礼野 真夢紀(ia1144
10歳・女・巫
慄罹(ia3634
31歳・男・志
茜ヶ原 ほとり(ia9204
19歳・女・弓
十野間 月与(ib0343
22歳・女・サ
十野間 修(ib3415
22歳・男・志
ベルナデット東條(ib5223
16歳・女・志


■リプレイ本文

●準備
 満腹屋一行を乗せた飛空船が遊界に到着したのは昼頃。空を飛べば遊界は朱藩安州からすぐの距離にある。
 一行は『第一回遊界料理祭』が開かれる闘技場を見学した後で、大会実行の寄り合い所から指定された宿屋へと向かう。参加団体が同じ屋根の下にならないための配慮だ。
 宿屋に他の客はおらず実質的に貸し切り。炊事場付きの大部屋と個室が用意されていた。
「作るものを一から考えるのって結構難しいですの」
「道具は修さんに頼めば揃えてくれるはずだよ」
 礼野 真夢紀(ia1144)と十野間 月与(ib0343)は荷物の紐を解いて持ち込んだ品々を確認する。
 ちなみに月与は『修さん』と呼んだ十野間 修(ib3415)と夫婦。氷菓用の型などは修のお手製である。
「大会でも用意されているようですが、器の一部はこちらで揃えようと。遊界ほどの町ならば様々な種類のものがあるはず。今から出かけてきます」
「一人で大丈夫なのです?」
「月与さんも一緒ですし、宿から荷車を借りました。大変な場合は業者に運ばせます」
「ではお言葉に甘えさせて頂いて、私たちは料理の完成度を追い込ませてもらうのですよ♪」
「それでは月与さん、行きましょう」
 光奈は買い物に出かける修と月与を見送った。
 修はノミなどの工作道具を持ってきたので、購入予定の器に彫刻を施すつもりだという。満腹屋が試合に参加するのは最終の三日目なので時間的な余裕が幸いする。
「これでよしっ」
 慄罹(ia3634)は宿に到着した早々持ち込んだ包丁を研いでいだ。普段から道具の手入れは怠ってないが、気持ちを集中させるための作法のようなものである。
「慄罹兄ぃ、新鮮な卵を譲ってもらう約束を鶏小屋の主人と取り付けてきたよ。これで茶碗蒸しはばっちり。ふひひひ」
 足取り軽い茜ヶ原 ほとり(ia9204)は頭の上にのった猫耳を揺らしながら慄罹へと近づく。
「私は市場で瑞々しい柚子を見つけたよ。後で商人が運んでくるはず‥‥。もし私がいないときであれば払っておいてくれるかな」
 慄罹と茜ヶ原に近づくベルナデット東條(ib5223)も頭の上に猫耳をのせている。
 二人は猫耳をつけていたが色は違う。ベルナデット東條が白で茜ヶ原が黒。試合当日の服装も白黒でまとめるつもりだ。つまり白黒猫コンビということになる。
 一行は持ち込んだ品を点検し、新鮮さが必要な食材や重い食器類を購入するために町中を散策する。
「特別と一般審査員を合わせれば六十人か‥‥。三分の一の量と考えれば三十人前。料理にもよるが普段から店を切り盛りしてるもんにとっちゃ楽勝だな」
「大会を見て食べたいと思った人に定食メニューとして出すことを見越して、そんな感じに盛り付けしてお盆に乗せて出したらどうでしょう?」
 銀政と礼野は作る分量についてを話題にする。またこの二名は氷菓作りの鍵を握る氷霊結使いの巫女でもある。
 時間はあっという間に過ぎていった。一行も観客として一日目と二日目の包丁の戦いを見学する。
「朱藩の料理に偏ると思っていたら、いろいろなのがあったのですよ〜。ジルベリアのじびぃえぃとか美味しそうだったのです☆」
「何か新しい発見があると考えていたんだが収穫はあったな。様々な種類の肉を合わせるやり方は泰国料理にもあるが――」
 光奈と慄罹が肉料理を主として出してきた料理店を話題にする。最近になってこの遊界にもお店が作られたそうだ。その宣伝を兼ねての大会参加のようである。
「ベルちゃん、今のところあったのは普通の銀杏茶碗蒸しだけだね」
「ほとりお義姉ちゃんもそこに注目していたんだね」
 茜ヶ原とベルナデット東條は茶碗蒸し談義である。途中で『義兄』、『慄罹兄ぃ』と呼んでいる慄罹にも意見を求めた。
 宿に戻った月与と礼野は修が器に施した彫刻や型の完成品を見せてもらう。
「この型ならより美味しそうに見えますの」
 礼野は氷菓用の二種類の型を眺めて唸る。葡萄の房と梨の形をモチーフとしていた。
「お盆に刻んだ枝になる柿がよい感じ♪ ゴーフルの型もよさそう」
「それはよかった。それではさっそく作ってみようか」
 月与に誉められた修は特に嬉しそうである。光奈が戻ると銀政も加えて最終的な氷菓の試作が始まった。
「デザートは冷たく、茶わん蒸しとスープは暖かく、が基本ですから、以前のお好み焼きの時のように何度か練習した方が良いですの」
 礼野も張り切る。明日に迫る大会を前にして一行は気合いに満ちていた。

●料理大会
「さあ、本日は三日目! 最後の三団体に競って頂きます!」
 ついにやって来た試合当日。司会にチームの名を呼ばれた満腹屋一行は観客から喝采を浴びる。
「き、緊張するのですよ」
 ぎくしゃくした動きで光奈は周囲を見渡す。闘技場の席は殆どが埋まっていた。
 満腹屋チームと同時に調理をするのは、山間部の幸を使った料理を得意とする『山谷旅館チーム』と海産物を得意とする『大漁浜茶屋チーム』の二つだ。
「山谷旅館チームはおそらく‥‥キノコの鍋を中心にするつもりですの。ここまで香ってくる松茸はきっと最高級品に違いないです」
「大漁浜茶屋チームの方は‥‥秋刀魚もあるけど鰹もよいのが揃っているみたい。春鰹っていうけど本当の旬は秋だし、きっと美味しいはず」
 礼野と月与は敵二チームの食材から作る料理を想像する。終了済みの六チームも当然敵だが、直接比較される今日の二チームの傾向は自分達の料理評価にも影響すること大だからだ。気は抜けなかった。
「なんか目立っているかも」
「そのようですね」
 茜ヶ原は黒猫の耳、黒い服を纏った『黒猫』仕様である。ベルナデット東條はそれとは逆に白猫の耳に白服の『白猫』仕様だ。客席の一部から特別な声援が降り注いだ。
「来てくれてありがとな。わりぃが宜しく頼むぜ、二人共」
 そんな二人に慄罹が声をかける。茜ヶ原とベルナデット東條はそれぞれの仕草で慄罹の力になると意志を表した。
「それでは調理八時間の勝負の始まりです!」
 司会の叫びと同時に試合開始の銅鑼が打ち鳴らされる。
「やるぜ、光奈よ!」
「そ、そうなのです。戸惑っている暇はないのですよ〜」
 銀政の一言で我に返った光奈はまず梨の皮むきから始める。梨も林檎と同じで皮を剥いたままでは変色してしまう。塩水を満たした桶へ次々と放り込んでゆく。
「あたいも時間がかかりそうな葡萄のシャーベットからやろうかな」
 月与も光奈の隣で氷菓作りを始めた。たくさんの葡萄を桶で潰して汁を絞る。その際、苦みとなる種を潰さないよう細心の注意が払われた。
 その後、光奈は梨を蜂蜜を足して鍋で煮てから木べらで潰す。月与が押し蓋に体重をかけると桶に取り付けられた口から葡萄の汁が流れ出た。
「空いた時間で作っておきましょう」
 修は氷菓に添える手作りゴーフルに取りかかる。薄力粉、片栗粉、三温糖、重曹を合わせた粉に水を加えた。だまにならないよう注意しながら混ぜて油も足す。
 出来た生地は休ませる。しばらくしたら金属製の型に垂らして焼き、さらに紅葉やイチョウの葉の形に型枠で切り抜く予定である。
「こっちを先に片づけておこうか」
「それがいいと思いますの」
 銀政と礼野は水が満たされた沢山の木箱を前にして氷霊結を連続使用。巨大な賽子状の氷を大量に作っていった。
 氷菓を作るにあたっていろいろな方法が考えられたが、型に入れた一つずつを氷霊結で凍らせてゆくのは現実的ではない。そこで塩を撒きながら氷を積み上げて、直射日光を避けるために藁束で周囲を囲った簡易の保冷庫を作ろうとしていたのである。
 梨と葡萄の果汁はそれぞれに木箱に詰められて礼野と銀政によって凍らされた。果汁の氷はかき氷削り器で削られて練った上で小さな型に詰められる。そして簡易の保冷庫で再び凍らされた。わざわざこうするのは空気を含ませて食感を軟らかくするためである。
「さて、これからが本番。がんばりますの」
 礼野は簡易の保冷庫が出来上がったところで芋と栗のデザート作りに挑戦していた。銀政は礼野の手伝いとしてサツマイモを洗う。
 修は月与の葡萄絞りを手伝いながら栗を茹で終わる。続いて栗の皮むきだ。礼野はその栗を木ベラで裏ごししていった。
 サツマイモは皮付きで輪切り状にされた形での甘煮になる。
 デザート作りの隣でメインとなる料理作りも進んでいた。慄罹、茜ヶ原、ベルナデット東條の三名が並んでワンタンの生地を作る。
「やっぱり得意分野で勝負するに限るしなっ」
 慄罹が桶の中に両手を突っ込んで勢いよく生地をこね続ける。その速さは志体持ちならではの力強いものだ。
「義兄さんのワンタンは三種の餡かぁ‥、楽しみだね!」
 白猫のベルナデット東條は慄罹がある程度捏ねた生地をさらに麺棒で伸ばしては畳んでゆく。
「茶碗蒸しを作るのはまだまだ余裕があるから大丈夫だね」
 茜ヶ原も同じく麺棒で生地を伸ばす。ワンタンの生地は何時間か寝かす必要があったので茜ヶ原とベルナデット東條が手伝う。
 十分な量の生地が捏ね終わると慄罹はワンタンの餡やスープ作りに取りかかった。茜ヶ原とベルナデット東條は協力し合いながらそれぞれの茶碗蒸しに集中する。
 慄罹はスープ用の湯を沸かしながら、蕎麦米とはと麦を炊く。スープは生秋刀魚と秋刀魚干しで出汁をとる。
 炊いた蕎麦米、はと麦に焼鮭に栗を混ぜたものが主食餡。
 菊花、コクの実、松の実を鶏肉のミンチで混ぜたのが薬膳餡。
 枝豆ときのこをたっぷり使った通常餡。
 この三種が慄罹が作るワンタンだ。生地が熟成するまでにすべてを作り終えようと慄罹は猛風の如く動いた。
「はい、どうぞ。ふひひ」
「ほとりお義姉ちゃん!」
 茜ヶ原が黒豆を一つ摘むとベルナデット東條の口に放り込んで笑う。つまみ食いしたくてたまらなかったベルナデット東條は不意打ちを受けた格好だ。その様子はさながら白黒の猫の姉妹がじゃれているような、そんな印象を周囲に振りまいた。
 茜ヶ原はつやつやに蒸した黒豆をさらに半分に切って黒猫の耳風にして飾りとする。卵を基本にみりん、牛乳、醤油に塩、さらに黒胡麻を混ぜ込んだ。主なる具材は椎茸と鶏肉。
 ベルナデット東條はくり抜いた柚子の器の中に椎茸と銀杏を入れた。具材の主役は海老だ。昆布と鰹で出汁をとり、卵や醤油、みりんを足して柚子の器に注いだ。
 茜ヶ原とベルナデット東條は仲間達の料理の仕上がり具合を見ながら蒸すつもりである。それまでは慄罹のワンタン包みを手伝う。
「ベルナとほとり、そちらはどんな感じだ?」
 慄罹がひょいと作業を覗くと二人は板の上の包み終わったたくさんのワンタンを誇る。特に茜ヶ原は得意げだ。ワンタンの閉じた部分の二カ所を少し伸ばして猫耳風にしてあった。
 四時間が過ぎようとしていた頃、どのチームも仕上げの段階に入っていた。
 八時間すべてを使い切ったチームはこれまでいない。前の二日間でも七時間越えが一チームだけだ。殆どのチームの完成は四時間から五時間に集中している。
「これで終わり♪」
「こっちも終わりましたの」
 月与と礼野は舞茸の炊き込みご飯で小降りの焼きお握りを作り終わる。刻んだ小葱やすりおろした柚子の皮、炒った白ゴマも混ぜ込んであった。
 お握りの具は塩焼きした秋刀魚の身。小骨をとってほぐしたもので、修が煙にまかれながら焼いてくれたものだ。
 後は炭火で軽く炙るだけ。すでに行っていた修と光奈、銀政に礼野と月与が七輪の前に加わる。
 三種のワンタン、二種の茶碗蒸し、それにデザート類も専用の卓に並べられていた。これらの作業は慄罹、茜ヶ原、ベルナデット東條がこなしてくれる。
 焼きお握りが最後になったが他の完成との差はほんのわずか。調理作業は予定通りに進んだといってよい。
「修さん、終わったよ!」
「よし!」
 月与の宣言にエプロンを外していた修が動く。審査順番を決める旗をとるために。
 前を走っていた『大漁浜茶屋チーム』の旗取りが巨体を利用して抜かせてくれない。そこで修は一か八か一瞬走りを緩めてわずかだが助走距離を稼いでから猛ダッシュ。巨体旗取りの頭上を跳び越えた。
 修が空中で逆さまになりながら旗をとって見事に着地。満腹屋チームが三日目審査の一番を勝ち取るのだった。

●審査
 特別審査員席と一般審査員席は明確に分かれていた。
 開拓者達は特別審査員席の方へ。光奈と銀政は一般審査員席の近くへと移動する。
 得点はまだだが特別審査員は感想を述べてくれる。一般審査員席では口々にのぼるであろう評判に聞き耳をたてた。
「三種類あったワンタンのうち、これが一番だ」
 安州城勤めの男性審査員は三種類のうちの薬膳餡を気に入っていた。
「あたしが特に好きなのはこれかな。器の猫ちゃんもかわいいわよね」
 茶屋の看板娘審査員は『黒猫茶碗蒸し』を推す。味がよいのはもちろんだがかわいらしさに打ちのめされたようだ。半分に切った豆が黒猫の耳を表しているのにも気づいてくれた。
「柚子の香りが食欲をそそりました」
 菓子料理人の女性審査員は『柚子茶碗蒸し』をお気に召す。お菓子にも通じるものを感じたという。
「素朴ながら丁寧な作り。感服しましたぞ」
 鮨屋板前の男性審査員はまず焼きお握りについてを語る。非常に丁寧に積み重ねられた仕事が味として昇華していると。
 サツマイモの甘露煮と林檎入り栗金団も高評価だ。これだけの味を引き出すのは並大抵の腕ではないという。
「こういうのうちでもだせたらいいのになあー。肉はうまいがどうしても最後に脂っこさが残っちまうからな。この氷菓についたものがよい舌休めになっているな」
 肉専門の料理人男性審査員が注目したのは肉ではなく氷菓。感心しきりである。
 型のおかげもあって梨と葡萄の氷菓は見た目にも栄えた。ゴーフルのおかげで舌が冷たくなりすぎず味わいも深くなっている。
 甘味四種類のデザートについては特別審査員全員が感想を述べた。辛口評価もあったが、それは好み。そしてどれか一つは好物があったようである。
 満腹屋チームに続いて大漁浜茶屋チームの審査。それから一時間後、山谷旅館チームの審査も終わる。
 これで三日間すべての審査が終了した。得点については厳重に管理された箱の中にしまわれたままだ。
 約一時間後に集計が終わり、夕暮れの中で審査員代表として安州城勤めの男性から発表が行われる。特別賞、三位、二位と発表されて残るは優勝のみ。
「満腹屋チーム、百七十一点。よって優勝は満腹屋チームです」
 優勝が決まった瞬間、満腹屋の一行は抱き合って喜んだ。光奈が代表して優勝を示す掛け軸と賞金を受け取る。
 掛け軸は満腹屋で飾られることとなるだろう。賞金はチームで公平に分配された。
 翌日、戦いきった思い出を胸に一行は飛空船で帰路に就くのであった。