図書館とエルフ〜絵本〜
マスター名:霜月零
シナリオ形態: ショート
危険
難易度: 普通
参加人数: 8人
サポート: 0人
リプレイ完成日時: 2013/03/19 01:22



■開拓者活動絵巻
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■オープニング本文

「まったく、同じような書物ばかりしか扱ってはおらんのかね?」
 天儀図書館で、アッ・ラティーフは気難しい来客に冷や汗を垂らす。
 目の前で神経質そうに眼鏡を押し上げる中年男性は、天儀の小説家。
 アヤカシについての小説を執筆するに当たり、資料を探しに来たらしいのだが……。
「どれもこれもどこかでみたようなものばかり。曖昧で実が無い。もっと詳しい情報はないのかね?」
「今ある資料は、お渡ししたものだけなのですよ〜……」
 ギラリと光る眼鏡の奥の、眼光の鋭さに、ラティーフは小さくなるばかり。
「娘の絵本すら少ないとは、何たる怠慢かね!」
 きっと睨む眼光の鋭さに、もうラティーフは涙目。
 中年男性の隣には、小さな女の子がきゅっとその手を握っている。
 小説家とは似ても似つかない愛らしさなのだが、どうやら親子らしい。
「まぁ。断りでもして、気の弱い司書が倒れて図書館が閉館にでもなったら、天儀が混乱するからね。受け取っておいてやる」
 無いよりはましとばかりに、ラティーフが用意した本と絵本を鞄につめ、不機嫌な小説家は娘と共に立ち去った。
 ラティーフはほっとすると同時に、もう一度天儀図書館を見渡す。
「確かに……もう少し蔵書を増やしたいかもです〜?」
 少し前に開拓者達にお願いして、壊れた本棚の変わりに新しく本棚を作ってもらい、資料室も整理してもらえたからだろうか。
 図書館の棚には以前よりも空きがあり、これなら新しい本を追加しても問題なさそうだ。
 アヤカシの資料もだが、天儀だけでなく世界中の本を追加してみるのも面白いかもしれない。
「そういえば、絵本が少な目かもしれない〜?」
 昔話などはあるものの、最近の絵本は少ないような。
 そもそも、天儀に絵本作家はいるのだろうか?
 そんな事もちょっとわからない。
「でもたしか……ジルベリアで精霊の絵本があるとか、きいたことがあるのですよ〜?」
 うーんと、記憶の奥のほうを探してみる。
 確か、その場所はジルベリア最北領。
 エンジェルハートという、愛らしい精霊の絵本があるとか何とか。 
「とりあえず、善は急げ。いろいろな絵本を買いに、開拓者の皆様にお願いに行きますよ〜♪」
 鼻歌を歌いつつ、ラティーフは開拓者ギルドへと向かうのだった。


■参加者一覧
ルオウ(ia2445
14歳・男・サ
菊池 志郎(ia5584
23歳・男・シ
リューリャ・ドラッケン(ia8037
22歳・男・騎
村雨 紫狼(ia9073
27歳・男・サ
リィムナ・ピサレット(ib5201
10歳・女・魔
クロウ・カルガギラ(ib6817
19歳・男・砂
多由羅(ic0271
20歳・女・サ
ヴィオレット・ハーネス(ic0349
17歳・女・砲


■リプレイ本文

●絵本の種類を調べよう
「確かに、随分と絵本は少ないのな」
 天儀大図書館。
 その一室で、ヴィオレット・ハーネス(ic0349)は軽く屈んで本棚を覘く。
 絵本だからか、子供の手の届きやすい位置に、つまり、一番下の段にそれはあった。
 長身の彼女には、少し見辛い。
 ヴィオレットの隣では、同じぐらい長身の竜哉(ia8037)が「ふむ」と頷く。
「他の蔵書に比べれは少ないようだが、さすがは天儀図書館。ある程度は揃っているね。集めるにしても作るにしても、被りがないようにリスト化してみようか」
 いいながら、竜哉はラティーフを手招きする。
「一応確認するけれど、絵はかける?」
 ふるふると首を振るラティーフ。
 本は好きでも、その挿絵を描く才能はないようだ。
「リスト作りの紙と筆記用具なら、ご用意できますよ〜」
 ほわ〜と竜哉に筆記用具を差し出すラティーフは、一応人の話は聞いている様だが、どこか眠たげ。
「あんた、大丈夫か?」
 ぼーっとしているラティーフに、ヴィオレットは困惑気味に眉を顰めた。
「大丈夫ですよ〜……あっと?」
 何もない所で、思いっきり躓くラティーフをヴィオレットが抱きとめ、思いっきり吹っ飛んだ筆記用具は竜哉がさっとキャッチ。
「おいおい、言ってる側からかっ」
「相変わらずだね」
 ヴィオレットの額に冷や汗が落ち、ラティーフのドジにはもう慣れている竜哉は、軽く苦笑する。
(異国で難儀している同胞は、見捨てれないよな)
 クロウ・カルガギラ(ib6817)は、ラティーフと同じアル=カマル出身なのだろうか。
 天儀とは明らかに違う気配を纏いながら、彼女の為に北の地へ行くつもりのようだ。
「絵本いっぱいあれば、子供喜ぶだろうしなー」
 わくわくわくっ♪
 全身から楽しげな空気を出して、元気少年ルオウ(ia2445)は北の地に思いを馳せる。
 もともとジルベリア人とのハーフ。
 子供の頃、彼が母親に読んでもらった絵本は、ジルベリアの物もあったに違いない。
「ルオウ、一緒に探してみませんか? 色々な絵本を探せればと思います」
 多由羅(ic0271)は天儀図書館の本の多さに圧倒されながら、ルオウに提案。
 地方出身の多由羅にとっては、何もかも珍しく見えるようだ。
「アーたんのためなら、俺も頑張るぜ」
 なかったら作ればいいといって、村雨 紫狼(ia9073)もやる気満々。
「よーし、可愛い絵本を作っちゃうぞ! 買い付けも頑張っちゃう♪」
 リィムナ・ピサレット(ib5201)は、うーんと両腕を頭の後ろに回して伸びをする。
「そうですね。作るのも、買うのも、両方良いでしょう。今回、好きな絵本を買っていいなんて、胸が躍ります」
 今も昔も綺麗なものが好きだという菊池 志郎(ia5584)は、まずは天儀の絵本を探すとか。
 購入組みと、製作組みと。
 開拓者達は二グループに分かれて絵本獲得に乗り出した。


●探しているのは絵本です
「エンジェルハートの絵本……種類をあるだけ全部の買い付けできるといいな」
 リィムナは、ふよふよと飛んでいるエンジェルハートを一匹つついてみる。
 ぷにっとした感触は、噂どおりマシュマロ。
「これがエンジェルハートか。なんというかぶっとば……かわいいな」
 何か不穏な言葉も混じっているヴィオレットも、なんだかんだでエンジェルハートをなでてみたり。
「しかしなんて寒さだよ。これでもこの辺は暖かいほうで、季節的に寒さの峠も越えてるんだって? とんでもねえな」
 ぶるっと身震いをして、クロウはついつい口が悪くなる。
 それもまぁ、仕方のない事だろう。
 アル=カマルは天儀の真夏のような暑さを誇るし、対してこの北の地は天儀の真冬より、更に寒いのだから。
「そうですね。ポアリュアでシェアハウスをお借りした時よりも、暖かくなっています」
 きょろきょろと、多由羅は周囲を見回しながら、クロウに頷く。
 そしてルオウは、足首まで積もった雪を楽しげに踏みしめる。
「これこれ、この感触! 雪は踏むとほんと楽しいよな!」
 さくさくっと小気味よい音を立てて、雪はルオウの足の形に溶けてゆく。
「おい、あんた。可愛いからって、お持ち帰りするなよ?」
 ヴィオレットに呼び止められて、びくっとするラティーフ。
 その振り返った両手には、ぎゅっと抱きしめたエンジェルハート。
 ヴィオレットの言葉は一歩遅くて、エンジェルハートはぷうっと怒ってラティーフに冷たい息を吹き当てる。
 あわあわと慌てて、でも手放すという事を忘れてパニクっているラティーフから、ヴィオレットは、
「……いわんこっちゃない」
 ため息混じりにエンジェルハートを取り上げて、仲間の元へ返してやる。
 ラティーフの腕から逃れたエンジェルハートは、直ぐに機嫌を直して仲間と共に漂っている。
「仲間から引き離すと、怒り出しちゃうんだよなー。持って帰るなら、ほら、あそこで売ってるぬいぐるみにしようぜ」
 しょぼっとしたラティーフを、ルオウが慰める。
「エンジェルハートって、意外と攻撃的なのね。こらこら、持って帰ったりしないから暴れるなって」
 絵本作りの参考に、よくよくエンジェルハートを調べようとしたリィムナは、ほんのちょっぴり怒り出したエンジェルハートを直ぐに手放す。
「あ、ちょっと絵本が買いたいんだけど、この村に絵本って売ってるか?」
 通りすがりの村人に、クロウが声をかけると、村人はにこにこと笑って「よくきなすっただ、それならほれ、あそこの土産物屋でぬいぐるみと一緒に売ってますだ」と指を指す。
「絵本も一緒だったのか」
 ルオウがてててーっと一番にすっ飛んでいく。
「……きゃっ?!」
 雪に足をとられて転びかけるラティーフは、ヴィオレットが「もういっそ背負うか?」といいながら手を引いてやる。
「ダイヤモンドダストとエンジェルハートの絵本もあるのですね」
 多由羅が手に取った絵本は、この地域の名物であるダイヤモンドダストと、この村独自のエンジェルハートを題材にしたもの。
 美しい風景と、幸せそうに踊るエンジェルハートの絵は、大人の多由羅がみても楽しめた。
 土産物屋の店主の話では、もともとこの村ではエンジェルハートのぬいぐるみを主流として売っていたのだが、以前村の子供たちがエンジェルハートを酷く怒らせてしまった時、解決に訪れた開拓者たちが絵本を製作してくれたのだという。
 その絵本が好評だったから、その後も村で様々な絵本を作り出したらしい。
「纏めて買い入れるよ! 豪華絵本のコーナーが図書館に出来る位にね♪」
 並んでいる絵本を全種類抱えて、リィムナはお会計に持っていく。
 もちろん、お支払いはラティーフだ。


 そしてその頃志郎は、天儀の本屋を一軒一軒訪ねていた。
(質の良い本や玩具に囲まれて育った人が少し、羨ましいですね)
 本屋で絵本を選んでいると、ふと、そんな気持ちが頭をよぎる。
 開拓者となった今でこそ、本を買う事が出来るが、志郎の幼少時には本を手にとる機会は少なかったのだろう。
 高級品なのだ。本も、絵本も。
「夢路雪野……この方の絵本が多いですね」
 どの本屋にも必ず数冊置かれているのが、夢路雪野の絵本だった。
「店長、お聞きしたいのですが、この方が今は人気なのですか?」
 夢路の絵本を一冊手に取り、問いかける志郎に店長は頷く。
「大道寺桜、元村英一郎なんかも、お勧めだよ」
 そういって店長に手渡された本も、別の本屋に置かれていたもの。
 竜哉の作った既に図書館にある絵本リストと照らし合わせ、志郎は絵本を選んでいく。
(俺はどんなお話を聞くのが好きだったかな……)
 沢山の絵本を手に、志郎は子供の頃をそっと思い出していた。


●なければ作ろう、沢山の絵本
「クリノカラカミ、ですか〜?」
 ラティーフが、絵本を製作している竜哉の隣に座る。
 以前調べたクリノカラカミの本を読み直しながら、竜哉はカラクリの神の絵本を作っていた。
「姿は少し変更してあるけれどね。そのほうが、伝わりやすいだろうから」
 竜哉の手元には、本来のクリノカラカミの姿をアレンジし、時計の文字盤の顔をした旅人が描かれていた。

 ―― 旅人は、人々に便利な道具を教え、人とそっくりなカラクリまで作って見せた。
 村人と仲良く暮らす旅人は幸せそうで、けれど、その幸せは長くは続かない。
 盗賊に村が襲われ、人々を守った旅人の体からは、いくつもの歯車が零れ落ちてしまって。
 その姿に恐怖した村人たちから逃げるように、旅人は、クリノカラカミは洞窟へと戻っていく。
 知識や、力を持ち、カラクリを作っても、たった一人の寂しさに涙しながら、彼は待ち続ける。
 いつか、自分を受け入れ、友達となってくれる人が来る日まで――

 竜哉の作った絵本は、子供たちにわかりやすく、真実の歴史を残すだろう。
「友達となるために、会いに行く子供たちが現れるかもですね〜」
「そしたら、俺がついていってやらないとな」
 竜哉は丁寧に、羽ペンを走らせる。


「タイトルは『おうごんのけん』だ」
 紫狼が作ったのは、勇者の物語らしい。

 ―― 遥か昔、悪と戦う黄金の騎士がいました。
 騎士は黄金の剣を掲げ、人々を悪から守り続けました。
 なにも望まず、ただただ、人を救い続けて。
 けれど人々は、いつの頃からか騎士を恐れるようになりました。
 騎士を避け、遠ざかる人々を、それでも騎士は守り続けました。
 ボロボロになりながらも。
 騎士は、人の優しさ、愛を信じていたからです。
 そして、騎士が倒れる時が来ました。
 老いた彼の剣は曇り、もう戦う力は残されていませんでした。
 けれど、彼に不安はありませんでした。
 かつて彼が救った子供たちが、立派に成長して黄金の剣を受け継いだからです。
 勇気に満ちた青年が握ると、剣は再び黄金に輝きました。
 こうして、黄金の騎士はいなくなりました。
 けれど黄金の剣はその心と共に、今もどこかの勇者に受け継がれているのです――

「紫狼は勇者の話をつくったんだな」
 エンジェルハートの話を書いていたリィムナが、紫狼の手元を覗き込む。
「まあ……俺の経験談だよ、これはね」
「かっこいいね♪ あたしの作った話も読んでみてよ」
「どれどれ、おにーさんがみてやろう。エンジェルハートとぶさ可愛いもふらがいい感じじゃないか」
「ふふーん♪ 今度、紫狼のところにもやってくるかも?」
「こんな可愛い来客なら歓迎だね。ついでにリィムナちゃんもかもーん!」
 絵本に付けられた、リィムナの手作りのぬいぐるみを持って笑う紫狼。
 エンジェルハートともふら様が今にも踊りだしそう。
 サテンとベルベットを使って、手触りもいい。
 子供たちが触れたなら、とても喜ぶだろう。
「俺は故郷で子供の頃に良く聞いたお話を絵本にしてみたよ」
 クロウがいうと、ラティーフも頷く。
「わたしも聞いた事があるのですよ〜」
「有名な昔話だからね。でも天儀で絵本としてはおいてなかったからさ」
 クロウの知っている昔話は、ランプと魔法使いの話だった。
 昔話の中では結構殺伐としたシーンもあるのだが、その辺は子供たちに恐怖を与えないように、優しくマイルドな表現に差し替え。
 クロウが精一杯頑張って描いたイラストには、異国情緒溢れるアル=カマルの衣装を纏った人々が描かれていた。
「ラティーフさん、俺も紙を頂いていいですか?」
 絵本を買い付けてきた志郎も、みんなを見ていると作りたくなったらしい。
 ラティーフから受け取った紙に、イメージを固めだす。
「私も制作のお手伝いをしましょうか」
 多由羅が志郎の隣に座る。
「助かります。挿絵をお願いしてもよろしいですか」
「絵ですか……嗜みはあるのですが……」
 志郎の提案に、語尾を濁らす多由羅。
 一体、どんな絵本が出来上がるのだろう?
「天儀人のお袋から習ったんだ。紙をおって動物なんかを模した形にするの」
 その隣では、ルオウも絵本を製作している。
 色紙を器用に折り曲げて、動物の形を作り上げる。
 鶴、兎、鼠に牛、猫、そして兜。
「どうせなら、来た子供が楽しめるようにしたいもんな」
 実際に絵本に貼り付けてもいいし、図書館に飾ってもいい。
 折り曲げ手順を絵本にしたら、それも子供が喜びそう。
 そんな器用な技を披露した彼だが、その手元には、なにやら丸っこい不思議な生き物が描かれたイラストが。
「ルオウは何を描いたのですが?」
 志郎の挿絵として豪華な龍を描いていた多由羅が、首を傾げる。
「これか? ほら、ジルベリアに見に行ったエンジェルハート!」
 誇らしげに満足げに、にかっと笑うルオウ。
 よくよく見ると、そうかもしれないようなまったく違うような。
「えっと……はい、エンジェルハートですね」
 多由羅は、軽く動揺しながらも、頷いた。
 

●こんなに沢山出来ました
「わぁ〜。本当に、沢山なのです〜……」
 大量の絵本に、ラティーフは感嘆の溜息を漏らす。
「おいおい、あんまりはしゃいで、転ぶなよ? ……っと」
 絵本を抱きしめて飛び跳ねて、予想通り転んだラティーフを、ヴィオレットはもうわかりきった様子で受け止めた。
 ここ数日で、ヴィオレットは一体何回彼女を受け止めただろうか。
 きっと、片手じゃ足りない。
「リストの倍は集めれたね」
 竜哉が最初にリスト化した絵本の倍以上、テーブルの上にはあった。
 みんなで買い付けた絵本はもちろんの事、世界でたった一つの手作り絵本がなんと6冊も。
 それぞれ特色があって、内容の濃いもの、見た目で楽しませるもの、さまざまだ。
「絵本作りって面白いですね。この世に一冊の本です」
 初めて作った絵本は、志郎にとってもよい記念になったようだ。
 本屋だけでなく版元にまで絵本を探した彼のお陰で、既に絶版となっていた絵本まで天儀図書館に入荷されていた。
「兜の作り方教えてやるからさ。ラティーフはちゃんと覚えて子供たちに作ってやってよ。きっと喜ぶからさ」
 大きな色紙で兜を作り、それを被ったルオウがいう。
 色紙の兜は、大きな紙で作ればこうやって被る事もできるのだ。
 もちろんですと頷くラティーフ。
「もふもふエンジェルダンスも覚えてね。みんなで踊れるようになってるんだ♪」
 リィムナの作った絵本の最後には、踊りの大好きなもふら様と、エンジェルハートが仲良く踊れる『もふもふエンジェルダンス』がイラスト入りで載っていた。
「それと、これは依頼主の娘さんへ」
 クロウが港の村で買っておいた、エンジェルハートのぬいぐるみを取り出す。
 神経質な小説家の可愛い娘は、きっと喜ぶだろう。
「俺もエリナに買っておいたんだよね」
 ぎゅっとぬいぐるみを抱きしめるルオウ。
「実は私も」
「あれ? みんな買ってたの?」
「お土産分も抜かりねぇな」
 口々にいう買出し組みのその手には、エンジェルハートのぬいぐるみ。
 大小さまざまなそれをみんなで分け合って。
 みんなで、絵本コーナーを作り上げたのだった。