●オープニング本文
前回のリプレイを見る「あの‥‥お気持ちは解りますけど、忘れてません?」
コンテナの回収に二度も失敗したエトセトラ。その代表でもあるロバートは、気象研究者の元に来ていた。空を漂わせてしまったコンテナを探すだめだ。
「あの時の風向きとか、風力とかが解ればいいんだが、ダメか?」
「当たり前でしょ? バグアのせいで衛星は軒並み使えない時代なんですよ?」
「あ‥‥そうだったな‥‥」
結局、街や人の多い場所ならともかく、砂漠の様な場所の気象など解るはずもなく。
「まいったな‥‥まだ、戦前の意識が抜けきってなかったか」
公園のベンチでロバートは途方に暮れていた。一度目も二度目も、それなりに手掛りはあったが、今回は自分の手でそれを無くしてしまった状態だ。
「もう、発信機のバッテリーもないだろうしな‥‥」
ふと、陽の光を遮られる。前を見ると、男が一人立っている。
「やっとみつけた、ロバート・夏さんですね?」
「誰だ? オレに何か用でも?」
「セトラーです。至急お伝えした方が良さそうな事がありまして」
男は一枚のディスクを手渡す。そのディスクを受け取ったロバートは、男に礼を告げると公園から一目散で出て行った。
●エシュロン宣戦布告
「お前達は我々の事は覚えてはいないだろうな。しかし! 我々はお前達を忘れない! 傭兵達には恨みはない。奴等も金で利用されたに過ぎないだろうからな。だが、お前達は違う! 我々の施設、船などを襲い、そこから大量の物資の略奪を行なった! 確かに我々もそれなりに悪事は働いている‥‥それは認めよう」
真っ黒な映像に、音声だけが流れている。そして、映像が切り替わり、真っ白なコンテナが映し出される。それは、ロバートが探しているコンテナであった。
「ここに映っているものはお前達『エトセトラ』の大切な物であることは解っている。まずは、これを使ってお前達に宣戦布告だ!」
コンテナを小さな航空機に載せ、離陸させるまでが映し出される。そしてまた映像は切り替わり、ツタに覆われた峡谷にある施設が映し出される。そして、その中央には巨大なサボテンがそそり立っている。
「ここは、キメラに占拠された人類の施設だ。なんの重要性もないため、ここは破棄されている。そんな場所にこのコンテナを突っ込ませてやろう!」
そう音声が流れると、航空機は低空で谷間を抜け、施設へと突っ込んでいく。そして、パイロットらしき人物が脱出した直後、映像はその脱出したパイロットから見た物に切り替わり、航空機のその後が映し出される。
航空機に向け、二発のミサイルが発射される。パイロットの居ない航空機は、それを回避する術を持っておらず、そのまま直撃。しかし、元々ぶつける勢いでの特攻だったためか‥‥。航空機はバラバラになりながらも、施設の中へと墜落する。
「さぁ、どうする? エトセトラよ! あのコンテナがどれほど重要な物なのか知らないが、かなり頑丈に作ってあったから、あの程度では中身までは壊れてはいないだろうな。しかし、あの場所に行かなければ回収は出来ん。後はお前達次第。だが、我々はお前達『エトセトラ』を敵とみなし、戦いを挑む事も厭わない覚悟だ」
黒煙が上がるツタに覆われた施設の映像は、ここで消え、最後に顔が映らないように椅子に座る男性が映る。
「我々はあらゆる情報を掴みとり、その情報の力を使い、バグアの中で確固たる立場を勝ち取ってみせる。それが我々『エシュロン』の目的だ」
●エトセトラVSエシュロン
「やっかいな話だな‥‥」
ロバートそうつぶやくと、傍に居た『赤兎馬』のリーダー李が力強く進言する。
「作戦は、赤兎馬と牛鬼でしっかり練ってある。その施設に関しても軍の施設だが、もはや不要もいい所らしく、情報は簡単に提供してくれた」
「あとは、傭兵達が参加してくれるかどうか‥‥だな」
作戦内容に目を通しながら、ロバートは困惑する。高額の報酬を出せるわけでもない為、傭兵の参加意欲を掻き立てるような要素がなかったからだ。
「そこの点は、どうにかしてあげる。私に考えがあるから」
部屋にリナが入ってきて、ひらひらとチケットの様な物を束にして見せている。そのチケットには、リゾートスパの絵が書かれていた。
●リプレイ本文
●ムササビの戦士
「基本的なレクチャーはここまでだ。そろそろ、上空1400mに到達する。その後数分で降下するから準備しといてくれ」
輸送機の後部格納庫で、ロバート・夏(gz0451)が大声で指示を出している。彼の言うレクチャーとは、ウイングスーツに関してである。
ガコン!
ゴォォォォォォ!
後部ハッチが開き、風を切る音が周囲の音を消し去っていく。
「それじゃ、私達が先に行くわね」
リナ(gz0440)が牛鬼のメンバーを先に降下させ、自身もそれに続く様に降下する。
「よし、それじゃ、みんなも行ってくれ! 無事に帰ってこいよ。あと‥‥」
トゥリム(
gc6022)の方を睨むように視線を向ける。他の傭兵に治療などはしてもらっていたが、負傷した状態には変わりなかった。
「ごめんなさい‥‥」
ロバートの言わんとする事を察して、トゥリムが謝ると、ロバートはトゥリムを掴んで連れて行ってしまった。そして、姿は見えないが声が聞こえる。
「時間がないから、すぐに降下していってくれ!」
ロバートの指示で即座に降下が行なわれていく。
まずはヴァナシェ(
gc8002)が一番で降下する。それに続いて‥‥
「さて、行くか…」
「前回のモービルもそうですが、赤兎馬と牛鬼の方々は絶叫マシン‥‥お好きなのでしょうか?」
蕾霧(
gc7044)と紅苑(
gc7057)が二人仲良く降下する。その後、UNKNOWN(
ga4276)が緊張気味の他の仲間の為にアドバイスをしていく。
「慌てずに、だ。風を良く読んで。顔を上げ視線を先に見て」
そして、降下する。しかし‥‥シクル・ハーツ(
gc1986)、獅堂 梓(
gc2346)、ララ・スティレット(
gc6703)の三人の緊張は解れず、恐る恐る降下することになる。
「空かぁ‥‥わ、我儘は言ってられないよね‥‥」
高所恐怖症のシクルが意を決して降下する。
「すぅ‥‥はぁ‥‥よし、大丈夫っ。頑張れ私、負けるな私。みすみすみすたーグラグライダー!」
深呼吸をすると、ララが助走をつけて飛び出していく。そして、間を空けずに獅堂も飛び降りるが‥‥
「ぃいいいやあああ!!!!!」
風の音にも負けない叫び声をあげながらの降下である。
―――
時速200Km/h近い速度で滑空していく。そこにミサイルが次々と打ち込まれてくる。本来なら誘導性能があるのだが、対人間では発揮されず、ほとんどが逸れていく。逸れなかった物でも、それぞれが見事な身のこなしで回避していく。
「随分と過激なスカイダイビングだな」
ヴァナシェはつぶやきながら右へ左へと回避する。恐怖のあまり叫んでいたララも落ち着きを取り戻し、負けじと旋廻や上昇下降を繰り返し鳥の様に避ける。しかし‥‥
ボン!!
前方で、爆発音がした。ウイングスーツに慣れていたUNKNOWNが、一発のミサイルを迎撃したのだ。音速近いミサイルを高速で滑空する中攻撃するのは、天才的狙撃術を持っていても難しいだろう‥‥しかし、彼は当ててしまったのだ。GooDLuckの効果だったのだろうか?
「ぐはぁっ!」
破片や爆風が一瞬で迫り来る。相対速度の関係で、かなり先での爆発であっても、瞬時にその中に突入してしまう。UNKNOWNがそれに巻き込まれ、最後尾まで吹き飛ばされてしまう。しかし、咄嗟に体を丸めて被害を最小限には出来ている。無事に滑空を再開したUNKNOWNを見て、全員が安堵する。
『そろそろ基地です。みなさん着陸準備お願いします』
リナが無線で合図を送る。着地の際に互いが衝突しない為に、それぞれが前後左右の距離を取る。
バン!
ババン!
蕾霧と紅苑が先陣を切って着地準備に入る。足を抱えるように体を丸めると、スーツに仕込まれたエアバッグが開き、球体に近い状態になり地面を転がる。基地内へと次々に球体が落下していく中、牛鬼のメンバーはミサイル発射施設ギリギリを横切り、その際に爆弾を落としていく。
ボォォオン!
ドドドーン!
施設に爆炎が上がり、全てのミサイル発射施設が沈黙する。これで、赤兎馬の輸送機が接近可能になった。
「さぁ悪魔よ、憂さ晴らしに行く時間だ」
黒い帽子を目深に被り直し、手早く煙草に火をつけると、超機械「カルブンクルス」にキスをし、煙草を咥えて自分を取り囲み始めたヘデラキメラを焼き払い始める。その身のこなしは、舞踏会を彩る紳士の如きである。
「あいたたた‥‥」
別の場所では、獅堂が体をさすりながら起き上がってきた。着地が少々上手くいかなかったのだ。
ガササササ‥‥
ヘデラキメラが蔦を伸ばして捕らえようとする。突如、歌声が聞こえ、ヘデラの動きが鈍り始める。
「心と体に砂を詰め、溺れるように沈みなさい!」
ララがここで大活躍である。敵が複数ではなく、一体であるため、彼女の呪歌の効果が大きな物になっている。鈍っている隙に乗じて、各々が行動を開始する。
ヴァナシェは、破壊されたミサイル施設を再度確認する。そこで、牛鬼のメンバーの一人とも合流するが、ヘデラに巻き付かれて苦戦している。
「そら、君達の相手は俺だよ!」
ガラティーン片手にヘデラの蔦を斬りつけていく。
「すまない、やはり能力者は頼りになるよ」
牛鬼のメンバーは礼を言うと、ヴァナシェと共にミサイル施設内部へと入って行く。その後全てのミサイル施設の破壊完了という報告が入る。
●完全武装
「ボブさん、どうやら小生達の出番です」
「そうか、時間通りってところだな。」
上空待機していた赤兎馬の輸送機が五機。その中の一機、ロバートと赤兎馬リーダー李が乗った機体が、他の四機を引きつれ峡谷へと向かう。
―――基地内
航空機の爆音が遠くから聞こえ始める。それがエトセトラの支援であると、全員が理解した。超低空で、切立った崖の間を機体を回転させる様に見事に潜り抜けて来る。そして、基地の上に到達すると、十三個のボックスが投下される。それは、各自が自分の物と判る様になっており、全員が落下予測地点へと急ぐ。
「数が多くないですか?」
紅苑が、前方のヘデラを避けながら疑問を投げかけと、それに蕾霧が応える。
「降下した人数は、私達が七人、牛鬼が五人だ」
トゥリムの分? という事も考えたが、そもそも降下前にロバートに居残りをさせられている。
ドン! ドン! ドドン!
紅苑と蕾霧の二人の前に、身長より大きなボックスがゆっくりと落ちてくると、急いで中に入り装備を整えていく。そして、その脇に二つのボックスが着地し、それには牛鬼のメンバーが入っていく。
別の場所で、シクルもボックスへと辿り着き、ほっとする。これで全力で戦えるという安心からだ。
「来たか。これで少しは楽になるな」
その横にあったボックスから、獅堂の勇ましい声が聞こえてくる。
「機械装甲『アルストロメリア』‥‥起動!!」
しかし、順調には行っていない者達が居た。ヴァナシェと牛鬼の二名だ。
「まいったね。サボテンの近くとは」
四つのボックスがサボテンキメラの近くに落下してしまったのだ。一回接近を試みたものの、サボテンの棘攻撃に近寄る事は難しかった。そこに、既に装備を回収したララが現れる。
「私が呪歌でサボテンを止めます」
言うが早いか走り出して行ってしまう、そして歌を歌い始めるが‥‥
ビュシュシュシュ!
麻痺はしているかも知れないが、棘を発射する程度は余裕だったのだろう。棘の雨がララへと降り注ぐ。
ドスン!
ボックスの一つが突如開き、白煙が周囲に広がる。
カカカン!
ララの前で金属音がする。そして、彼女に棘は飛んでは来なかった。
「危なかったな、お嬢さん」
ララの肩を叩き、ロバートが現れる。しかし、前方で棘を防いだのは、トゥリムだった。ライオットシールドを構え、どうにか防いだという感じである。
「ごめんなさい。ロバートさんの提案で、僕はここから参加することになりました」
少々申し訳なさそうにトゥリムが述べると、やっと煙が晴れて姿が見えるようになる。トゥリムの体には応急処置の後が随所に見え、テーピングなども多く見える。
「急いで装備を整えろ!」
煙が晴れてしまい、焦ったロバートがヴァナシェと牛鬼の二名を急がせる。三人が装備を整える間、ララとトゥリムが共にライオットシールドを構え、ボックスを棘攻撃から守っている。それでも多少は傷を負ってしまった。
「はぁはぁはぁ‥‥見つけた!」
リナが息を切らしながら、真っ白なコンテナを発見する。しかし、汚れや焼け焦げなどで、もはや白い部分の方が少なくなっていた。
「お願い‥‥開いて!」
コンテナの鍵をいくつも外していくと、重々しい音を立てながら、やっとの事で開いていく。その中は、衝撃などで崩れているものの、大きな損傷は見られない。
「これでやっとドレスが着られるわね」
●サボテンの種類は?
装備を全員が整える事に成功し、サボテンと交戦していた者達も一旦退却し、リナを除く全員が合流した。そのちょっと前に、コンテナの回収完了の知らせもリナから入って居た。
「怪我した方は寄って下さい! 回復します!」
ララの周囲に皆が集まると、ひまわりの唄で傷の回復を図る。
「陽はひまわりへ。陽光は癒し、ひまわりは咲き誇る!」
回復される中、UNKNOWNは練成治療でトゥリムを治療する。トゥリムは申し訳なさそうに
「ごめんなさい、ありがとう‥‥です」
準備を終え、サボテン組とヘデラ組みに別れて行動を始めた。
―――
パシーン!
ヘデラの蔦が鞭の様にしなり、ヴァナシェに襲い掛かってくる。ヴァナシェはそれをクラウ・ソラスで斬り飛ばし、あえて致命傷にならない攻撃をヘデラに繰り返す。
「悪いけど、少し大人しくしてもらうよ!」
しかし、キメラもそれほど甘くはなかった。ヴァナシェの周囲の蔦が一斉に増殖を始め、斬り捨てた以上に増えていく。
「クソッ‥‥、しまった‥‥!」
地中からの蔦に不意を突かれ、巻き付かれてしまう。
「大丈夫ですか! 今助けます!」
装甲服に身を包んだ牛鬼の四人が、蔦の元を辿った太い茎に向けて集中砲火を浴びせる。いかにFFがあると言えども、特殊弾や徹甲弾を撃ちまくる牛鬼の攻撃は効果があったようで、茎の切断に成功した。
「助かったよ!」
ヴァナシェは活性化で蔦から受けた傷を塞ぎ、再び取り囲むヘデラの蔦を切り刻んでいく。
一方、サボテンへと向かう一行は、蕾霧と紅苑が道を切り開いていく。紅苑は武器を蒼天に持ち替え、接近戦を挑む。
「蕾霧、絡みつかれないように気をつけて下さい」
「紅苑! 危ない!」
一瞬蕾霧に気を使った為、油断したのか巻き付きを食らってしまう。しかし、即座に蕾霧が駆け寄って豪力発現で引きちぎる。
「ここは、任せて! 先へ!」
蕾霧が、制圧射撃で前方の蔦の動きを止め、他の者を先へと行かせる。
「ボクもお手伝いします!」
獅堂はアルストロメリアによる打撃で、二人の周囲の蔦を灰へと変えていく。彼女もここに残り、ヘデラと交戦する構えである。
―――
青緑色のベルベットの様な色で、基地中央に天を衝くが如くそびえ立つサボテンキメラは、その棘のほとんどを失っていた。UNKNOWNの超機械「カルブンクルス」による火炎弾とシクルの雷上動の非物理攻撃の矢、棘を回避し掻い潜りそれらが攻め立て、直撃コースの棘は悉くララとトゥリムのライオットシールドによって弾く。それでも完全に無傷で済んでいるわけでもないが、大したダメージにはなっていない。そんな戦闘が続くことで、サボテンの棘がほとんど無くなってしまったのだ。
「剣魔玉種のサボテンか、棘がなくては様になりませんね」
残り少ない棘が飛んで来たのを、盾で防ぎながらUNKNOWNが吐き捨てる様に言い放つ。そして、新しい煙草に火を点けると、周囲に目配せをする。
「もう一度、私が回復します」
ララが再びひまわりの唄で全員の傷を治す。
「ボクも頑張ります」
「ほどほどにな」
トゥリムも貫通弾を装填し気合を入れるが、すぐにロバートによって釘をさされる。全員が一斉に物陰から出ると、一斉攻撃を開始する。
「貫け!」
シクルの弓が次々と突き刺さる。
「‥‥」
無言で、トゥリムも貫通弾でサボテンに風穴を開けていく。
「邪魔はさせませんよ」
UNKNOWNは、最後の足掻きに飛ばしてくる棘を、見事に打ち落としていく。ロバートも多少は打ち落とすが、さすがにおまけ程度である。
ブシュゥ!
攻撃により抉られ、その痕から水が噴出してくる。サボテンが内部に貯めていた水だ。それはさながら、流血の代わりと言った現象だった。それがサボテンキメラの最期となった。
―――
ヘデラの大元の根を見つけた獅堂、蕾霧、紅苑は、勝負を決めようと連携して蔦を掻き分けて行き、ヘデラに止めを刺した所だった。サボテン組と、ヴァナシェと牛鬼、そしてリナが合流し、これでこの基地にはキメラはいなくなった訳だ。
「コンテナの回収も、キメラの討伐も。無事終了っと」
リナが上機嫌で依頼完了を宣言する。
「さ、この後はゆっくりスパでくつろぎましょ? 疲れたでしょ?」
全員が、泥だらけだったりヘデラやサボテンの汁を被ったりとドロドロであり、直ぐにでも綺麗になりたい気持ちは皆一緒であった。しかし、疑問が残っていた蕾霧がロバートとリナに問いかける。
「気になったのだが、エシュロンとはもしかして親バグア組織なのか?」
ロバートがそれに答える。
「親バグアだろうな。これからおいおい調べては行くが、得体が知れない組織だよ」
「まぁ何にせよ、我らの敵には違い無さそうだな‥‥この次厄介な真似をする様なら、全員残らず死出の旅路に就いてもらうとしよう」
親バグアである事を聞いた蕾霧が、強い口調で罵る様に言うが、それに続く様に紅苑が提案を持ちかけて来た。
「任務外の事かもしれませんが、航空機の残骸を調べて見てはどうでしょうか。一応‥‥ですね」
「そうだな、残骸も回収して行くか。それじゃ、牛鬼はコンテナと残骸を回収する準備だ。オレは李に連絡いれて、輸送ヘリを頼んでおく。」
ロバートの指示に、牛鬼のメンバーは慌しく動き始め、上機嫌のリナはスキップしながらコンテナへと向かって行った。
この後、無事に温泉へと向かった一行だったが、宴会の盛り上がり方は尋常ではなく、むしろキメラの戦闘よりも大騒ぎであった。その原因の大半が、赤兎馬のメンバーによる物だった‥‥。普段、様々な物の操縦する彼らにとって、呑んで呑みまくれる機会は大変貴重なんだそうだ。
こうして、無事に依頼は達成された。しかし、エシュロンの宣戦布告があった以上、これで終わりではなく始まりと思って良いだろう。いつ終わるとも知れない戦いの始まりである。