タイトル:【QA】火中進撃マスター:神宮寺 飛鳥

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/03/15 08:57

●オープニング本文


「――というわけで、本艦はこれよりポセイドン攻略作戦に参加します」
 移動中のリギルケンタウルス級宇宙輸送艦、『ベネトナシュ』。その艦内にあるブリーフィングルームにてウルスラ・ホワイト少尉が声を上げた。
「ポセイドンねー‥‥」
 ブリーフィングに参加しているのはウルスラ以外にたったの二名。シン・クドウ軍曹、それからリェン・ファフォ曹長だけである。
 リェンは頭の後ろで手を組み物思いに耽っている。シンはと言えばいつも通り仏頂面で作戦図を睨んでいるだけだ。
「一応確認するけれど、この作戦の意図については理解しているかしら?」
「分ってるわよ。要するに突っ込んでぶっ潰せばいいんでしょ?」
「それを正解と表現するのには個人的に大分抵抗があるけれど、あながち間違いでもないわ。ポセイドンを取り囲み、周辺戦力を排除し、乗り込んで叩き潰す‥‥まあそれだけの話ね」
 腕組み流れるような口調で語るウルスラ。リェンは「じゃあ大体あってんじゃない」とか言っているが、シンは全く別の事を考えていた。
 現在ポセイドン周辺では各部隊による作戦が遂行されている。投入された戦力の中にはユニヴァースナイトやブリュンヒルデII も含まれており、UPCのこの作戦に対する本気度が伺える。
「今回の作戦、ただ敵の封鎖衛星を破壊するってだけの作戦ではないわ」
「ラムズデン・ブレナー博士、か」
 ぽつりと呟くシン。リェンも神妙な面持ちで物思いに耽っている。
「面白いおじいちゃんだったわよね。元OF隊的には、やっぱり今回の一連の流れは納得行かないわよ」
「俺も同じだが‥‥所詮俺達はただの兵士に過ぎない。上が決めた事には逆らえんさ」
「まだはっきりとした事は言えないけど、ブレナー博士の奪還もこの作戦の流れの中に入っていると思っていいわね。それと、エアマーニェとユダがどう出るかだけど‥‥」
 口元に手をやり思案するウルスラ。ユダさえ出てこなければポセイドン攻略は決して無理な作戦ではない。それ相応の戦力をUPCもつぎ込んでいるのだから。
「とりあえず今はそういう不確定要素を踏まえつつ、目の前の作戦を一つずつこなしていくしかないわ」
「めんどくさいわね。さっさと突っ込んでブレナー博士を引っ張り出しちゃえばいいのに」
「やるなら一人で突っ込んでくれ。そして残った手足も千切れて来い」
「あーんですってぇ‥‥!?」
 睨み合うシンとリェン。ウルスラは溜息を着き手を鳴らす。
「はいはい、子供じゃないんだからそのくらいにして。今回も傭兵との共同作戦になるから、そのつもりでね」
「任せときなさいって! 衛星の攻略なんかOF隊の得意分野なんだから!」
「いや、一回失敗したろ‥‥」
 冷や汗を流すシン。しかし心境としてはリェンと大差はないと自覚している。
 ブレナー博士は取り戻したいし、封鎖衛星なんて片っ端から叩き落してやりたい。リェン風に言えば、元OF隊のプライドにかけて。
「ま、それほど気負う必要はないわ。どうせ私達の仕事はユニヴァースナイトや他の部隊の取りこぼしだから」
「でも、別に連中の分までぶっ潰しちゃってもいいんでしょ?」
「出来るものならね。期待してるわ、リェン」
 拳を高々と掲げ、振り下ろすと同時にサムズアップするリェン。こうしてポセイドン作戦の一角に彼らも参戦する事になるのであった。

●参加者一覧

地堂球基(ga1094
25歳・♂・ER
鷹代 朋(ga1602
27歳・♂・GD
イレーネ・V・ノイエ(ga4317
23歳・♀・JG
乾 幸香(ga8460
22歳・♀・AA
紫藤 文(ga9763
30歳・♂・JG
海原環(gc3865
25歳・♀・JG
セラ・ヘイムダル(gc6766
17歳・♀・HA
クローカ・ルイシコフ(gc7747
16歳・♂・ER

●リプレイ本文

『間も無く戦闘エリアに突入するわ。分っていると思うけど、敵は大量よ。戦果は大きいに越した事はないけれど、無理はしないで』
 闇の中を突き進む艦隊。その中にベネトナシュの姿もあった。ウルスラの声に耳を傾けつつ、傭兵達は出撃に備える。
「何というか、上層部は何を考えているのやら。こんな大げさな奪還作戦を打ち立てたんなら、俺の決意の見送りはなんだったんだか‥‥」
 溜息混じりにぼやく地堂球基(ga1094)。紫藤 文(ga9763)は笑みを浮かべそれに応じる。
「ユダを封じられただけでも僥倖だろ? 博士を奪還し、人類が仲間を守る時の強さをエアマーニェに刻み付ける‥‥。この戦争は収穫じゃなく、割に合わないと分らせてやればいい」
「まあ、元の爺さんを取り戻せるならそれに越した事はないしな」
「でも、衛星落とすと下の人に怒られない? 前にデブリ回収しそこなったときは管制官にそりゃもう‥‥」
「無問題! うちの隊に問われる責任は艦長がなんとかするから!」
 うんざりした様子の海原環(gc3865)に笑い返すリェン。セラ・ヘイムダル(gc6766)はそんなリェンに挨拶する。
「お久しぶりです、ファフォさん♪ 元気に復帰されてるようでほっとしたのです」
「お陰様で何とかね。いやー、あの時は本当に死ぬかと思ったわ。ありがとね、セラ」
「いえいえ、お礼には及びませんわ。どちらかというと、お兄様が喜んでくれればそれでいいわけで‥‥」
 段々小声になっていくセラ。リェンは小首を傾げている。
「そうだ、むっつり眼鏡から伝言。撃墜されても今回は一緒に海まで落ちてやれないのでその辺りは注意する事、だそうだ」
「今回の任務は単純だけど、油断は禁物。ただ突っ込めば良い訳じゃないって事、分ってますよね?」
 文に続き声をかけるクローカ・ルイシコフ(gc7747)。リェンは頭を掻きながらたじろいでいる。
「何かあたし問題児扱いされてる?」
「そりゃあね。癖の悪い足をもう一本失う事になったら、曹長だって流石に困るでしょう?」
 唇を尖らせふてくされるリェン。乾 幸香(ga8460)は苦笑しつつ声をかける。
「ええと‥‥リェン曹長、今回僚機を務める乾幸香です。一緒に頑張りましょうね?」
「お荷物にならないように頑張りますよーだ」
「お喋りはそのくらいにしておこうか。そろそろ出撃だからね」
 仲間達に声をかける鷹代 朋(ga1602)。イレーネ・V・ノイエ(ga4317)は目を瞑り微笑む。
「油断をして思わぬ被害が‥‥と言うのはよくある話だ。ファフォに限らず、気を引き締めて行こうか」
『その通りね。作戦開始よ。KV隊は発進後、予定通り敵戦力の殲滅に当たって』
「全て倒してしまっても構わんのだろう? 他の分を取ってしまうと言う考えは嫌いではない。勇壮だしな」
『ええ、期待しているわ。進路クリア、発進どうぞ』
 ベネトナシュのハッチが開き、KVが次々に移動を開始。イレーネは操縦桿を握り締める。
「イレーネ・V・ノイエ、Ixtab‥‥出るぞ!」
 作戦開始に合わせ、周囲のエクスカリバー級からもKV隊が発進する。遠巻きにポセイドンを浮かべた戦場へ、傭兵達は飛び込んでいく‥‥。

 傭兵達はAからC、三つの攻撃班を編成。ベネトナシュの防衛に環とシンを残し、前線との間にセラと文を挟んだ陣形で切り込んで行く。
「目的は敵戦力の殲滅ですが私と貴方はベネトナシュの護衛です。何故だか分かりますか、シン・クドウ君?」
「‥‥いや、そういう配置だからじゃないのか?」
「それはそうなんだけど、それ言ったら終わりじゃない。というわけで、答えは作戦終了後!」
 なんとも言えない表情のシン。環は彼と共にベネトナシュの護りについている。
「さてさて‥‥中将と博士には世話になってるし、頑張りますか」
「とにかく敵をやっつければ良いのですね? ここで大活躍すれば、お兄様もセラの事を‥‥うふふ♪」
「‥‥相変わらずフラグ乱立してるなぁ」
 苦笑を浮かべる文。セラは瞳を輝かせながらコロナを飛ばす。
『敵もこちらに気付いているわ。数は多いけど、敵戦力を排除しなければBFまでは辿り着けない』
「邪魔する奴らをぶっ倒せばいいんでしょ。行くわよ、幸香!」
「あらあら‥‥待って下さい、リェン曹長!」
 矢のように翔けて行く二機のハヤテ。B班クローカと球基は冷や汗を流しそれを見送る。
「本当に大丈夫か、あいつ?」
「流石に懲りてるでしょ。それに僕らがフォローすればいい事だしね」
「ま、やる事は変わらないしな」
 二人は正面から迫る無数のキメラに対し同時にミサイルを発射。無数の爆発が闇を照らし出す中、幸香とリェンは攻撃を開始する。
 幸香はリェンのやや後方に続き、ミサイルで近づく敵を攻撃。そのフォローを受けリェンは人型に変形、クローとアサルトライフルで次々にキメラを撃破していく。
「リェン軍曹、凄い動き‥‥」
「幸香のフォローがあるからよ」
 リェンは人型形態でアサルトライフルを連射し、近づく敵を撃ち抜いて行く。幸香は戦うリェンの背後をカバー、接近するキメラを機刀で両断する。
「あたし達、いいコンビかもね!」
「そ、そうでしょうか?」
 キメラを蹴り飛ばし変形したリェンは素早く離脱していく。幸香もそれに続き変形、戦場を駆け抜ける。
「質より量か‥‥撃ち漏らせばベネトナシュが危険だ。イレーネさん、お願いします」
 人型に変形しレーザーガトリングでキメラを狙う朋。イレーネはその後方から彼に近づく敵を狙撃していく。
「ああ。貴公の背中は任された」
 A班の前方、距離を詰めていくB班クローカ。遠距離から三昧眞火で攻撃する球基を背に、人型に変形し積極的に距離を詰めていく。
「多少の被弾は必要経費だと思って割り切るさ」
 攻撃を受けながらも機関砲を使い丁寧にキメラを撃ち抜いて行くクローカ。前へ前へ意識的に前線を押し上げていく。
「ベネトナシュへは行かせませんよ!」
 前線を越えてきた敵に対してはセラと文が対応。が、ここまで来る間に攻撃を受けている個体が殆どで、そう苦労なく処理は進んでいく。
「そうすると、私達は結構暇なのよね」
 ベネトナシュの直衛に回っている環とシンの所まで敵が来る事は殆どない。錬力も有り余っている。
「‥‥それが一番いいんだがな」
『そんな貴方達にも仕事をあげるわ。こちらが大分押してるから、艦隊も上がった前線についていく事になったの。ベネトナシュも前に出るけど、エクスカリバー級の護衛も引き受けてくれるかしら?』
「強気だねー。危ないんじゃないの?」
『押せる時に押すのが一番効率的でしょう? 勝ってしまえばそれで終わりなのだから』
 砲撃しつつ前進するエクスカリバー級に続きベネトナシュも前進を開始。前線が近づいた分寄って来る敵を環とシンで対応する。
『ベネトナシュより各機へ。狙えそうな班は積極的にBF撃墜に動いて下さい。全て叩き落してしまっても構いません』
「言ってくれるな」
「やれなくはないさ。その為の装備も持って来たんだからね」
 笑みを浮かべるイレーネ。朋は頷き、マウントしていた粒子加速砲を一瞥する。
 ばら撒かれたキメラの向こう、HWが護衛についたBFが見える。数は三、どれもこちらを無視し戦域から離脱を試みている。
「C班、少し動きすぎました‥‥一度補給に戻ります」
「了解。セラさん、前に出よう。ベネトナシュは補給準備を頼む」
 入れ違いで前線に出る文とセラ。クローカは球基と共にキメラ群を突破、BFへ向かう。
「護衛はこっちで引き受ける。錬力もそう持たないし、一撃離脱と行こう」
 大量のミサイルを放出し、護衛のHWを狙う球基。無数の爆発が花開く中、攻撃を受けつつクローカはBFに接近する。
 距離を詰め、人型に変形。背後からBFにリニア砲を叩き込む。続け機関砲を連射、これで一機のBFが動きを鈍らせ停止する。
「落とせなかったか。でもまぁ、止まってれば撃ち放題だしね。引き返すよ、地堂サン」
 二機が離脱してくるのと入れ違いに前進する朋。イレーネは追撃してくるHWをスナイパーライフルで阻止する。
 朋はスキルを使用し更に加速。戦闘機形態HWを突っ切るとBFへ襲い掛かった。
「後方に穴を空けてあるから、そこを狙って」
「了解。一撃で落とす‥‥!」
 人型に変形し、ツインアイを輝かせるクルーエル。両手で粒子加速砲を構え、クローカが破損させた部位に狙いを定める。
「――そこだ!」
 エンハンサーで強化された一撃はBFを貫通、轟沈させる。すぐさま変形し朋は引き返して行く。
「今のですっかり錬力が空だ。被弾もしすぎた‥‥悪いけど補給に戻らせてもらうよ」
「はいはーい、補給はこちらでーす。ご来店をお待ちしておりまーす」
 前進するベネトナシュの傍で手を振る環の天。BF攻撃が開始され薄くなった守りを補う為、迫るキメラと交戦する。
「とりあえずミサイルをばーん!」
 引き返してくる味方機の援護もかねミサイルを放出する環。更にやや前に出てアサルトライフルを放つ。
「そしてアサルトライフルをどーん! シンは背後をお願いね!」
「言われなくてもそうしている」
 ベネトナシュの上に片膝をついたシンはライフルで近づく敵を迎撃。この間に傭兵達は補給を進めていく。
「完全回復! さぁー、ガンガン行くわよー!」
「ま、またガンガンなんですか?」
 セラと文が戦う姿を追い抜いて飛んで行くリェンと幸香。エクスカリバー艦隊が砲撃でキメラを散らす中、二機はロケットブースターを使用。更に機動力を上げBFへ突っ込んでいく。
「罷り通ぉーる!」
 叫ぶリェン。二機はキメラとHWをライフルで攻撃しつつ通過。幸香はバレルロールしつつミサイルを発射。更に回り込み、リェンと共にBFを挟む形を取る。
「リェン曹長!」
「必殺! 疾風流星蹴りぃーッ!」
 二機は人型に変形。リェン機はBFの真上から勢い良く蹴りを放ち、歪んだ装甲にアサルトライフルを捻じ込む。
「これなら‥‥!」
 機刀を突き刺した状態のまま加速し勢い良く降り抜く幸香。リェンがライフルを撃ち終えると二機は変形、BFの爆発を背に離脱して行く。
「うーん、最強!」
「あ、あはは‥‥」
 ウィンクするリェン。幸香は苦笑しつつその後を追う。
「何か凄い事になってるね。私達も頑張ってリェンの腕前に追い付かなきゃね」
「‥‥ちょっと待て。まるで俺があいつに劣っているみたいな言い方は止めろ」
「違うの?」
 首を傾げる環。シンは珍しく不満そうに眉を潜める。
「あれは乾に無理をさせているだけだ。奴の実力じゃない」
「じゃあこっちも無茶してみる? シンが堅実な戦術以外のことをやりたそうな時は協力するけど」
 思案するシン。それから溜息混じりに首を振る。
「作戦として必要なら、な」
「流石お堅い人生設計の二枚目」
「関係あるか‥‥?」
 シン機の肩を叩く環機。そこへセラと文が戻ってくる。
「あのー、お邪魔して申し訳ないんですが、補給と交代、宜しいですか?」
 セラの声に停止するシン。環の乗る天の頭を叩き、入れ替わり前に出て行く。
「行くぞ海原」
「た、叩かなくてもいいじゃない。しかも機体で‥‥」
 残るBFは一機。エクスカリバー艦隊を初め、UPCのKV隊も前へ前へ乗り出していく。
『傭兵のお陰で状況は優勢だ! この機に敵を全て殲滅するぞ!』
 順繰りに補給を終えた傭兵のKVもそれに続く。朋は粒子加速砲でキメラを薙ぎ払い、球基とクローカはミサイルを乱射する。
「補給が早いってのは便利だな」
「常に全開戦闘が可能って事だからね」
 前線を行くエクスカリバー級の上に着地しスナイパーライフルを構えるイレーネ。近寄るキメラを次々に撃ち抜いて行く。
「キメラもあれだけいたのに随分片付いちゃって」
 ニヤリと笑うリェン。幸香と共に残ったBFに迫り、護衛のHWと交戦する。
『目標捕捉! 一斉砲撃開始!』
 四隻のエクスカリバー級が同時に砲撃を行い、最後のBFもあえなく爆発。残りの戦力も殲滅し終えるのにそう手間はかからなかった。
「終わったか。すっかり片付いたな」
「皆さんお疲れ様です♪ これだけ倒したんですもの、お兄様もセラに惚れ直してお嫁さんに‥‥」
「‥‥むっつり眼鏡の心配は杞憂に終わった、か」
 頭をがしがしと掻く文。セラはすっかり自分の世界に入り込んでおり、コロナをくねくねさせている。
「さて、鬼が出るか蛇が出るか‥‥」
 鋭く闇を見据える文。今はポセイドン攻略作戦は順調に進んでいるように見える。だがこれはまだ前哨戦に過ぎない。
 ポセイドンが、そしてエアマーニェがどう出てくるのか。幾ら先のブレナー博士の件があると言えども、何が起こるか分ったものではない。
「それでも‥‥僅かでも、一歩ずつ終戦を手繰り寄せないとな」
「あぁ、お兄様‥‥そんな人前で大胆な‥‥紫藤さんと二人でメイド服だなんて、妬けてしまいますわ‥‥!」
 冷や汗を流す文。ともあれこの作戦は無事完了‥‥否、大成功だといえるだろう。
「クローカ、大分撃たれてたけど大丈夫?」
「全然。プチロフのKVは頑丈だからね。殴れば動くんだよ」
「そ、そうか。ともあれこれで爺さんへ続く道が開かれたわけだ」
 遠くに小さく見えるポセイドンを睨む球基。片手を伸ばし、握り締める。
「取り戻しに行くぜ。爺さんも、爺さんの為に涙を流した連中の笑顔もな」
「さぁー、引き上げ引き上げ! リェン、帰ったら一杯引っ掛けに行こうよ!」
 笑いながら声をかける環。リェンは白い歯を見せ笑みを浮かべる。
「いいわねー! 折角だし幸香も付き合いなさいよ!」
「え? 私ですか?」
「人数は多いほうが楽しいしね!」
「え? いえ、私は、あのー‥‥」
 左右からリェンと環に捕獲されベネトナシュへ戻っていく幸香のハヤテ。傭兵達はベネトナシュへ帰還し、来た道を引き返していく。
 彼方に聳える封鎖衛星、ポセイドン。その攻略作戦はまだ始まったばかりだ。