タイトル:トライアル・スリーマスター:神宮寺 飛鳥

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/10/05 11:26

●オープニング本文


「あ、え、い、う、え、お、あ、お」
 真夜中の研究室の中、シミュレーター開発者のイリス・カレーニイは録音用のマイクの前で一人で何かを喋り続けていた――。
 二人の他に人気のないただでさえ静かな研究室の中、何とも言えない重苦しい沈黙が降り注いでいる。
 静寂――ただそれだけだった。部屋に入るなりイリスの奇行を目撃してしまった彼女の上司も、イリス本人も、両者共に睨み合いの格好となっていた。
「‥‥室長、いつからそこに‥‥?」
「‥‥結構前から、かな‥‥」
「いやぁあああああああっ!? またですかぁああああっ!?」
 なんだかつい最近同じような事があったような気もしたが、言ってしまえばいつもの事だ。室長と呼ばれた男は咳払いを一つ、本題を切り出した。
「さて、イリス君? 『ライブラ』の評価試験まで時間が無いし、恐らくこれが試験前の最後のテストになるだろう。最後の調整の調子はどうだい?」
「勿論、順調です。後は‥‥言わなくてもわかりますね」
 薄暗い部屋の中、ディスプレイの光に照らされてイリスは寂しげに微笑んだ。
 彼女にはそんなつもりは無かったのだろう。だが傍目から見ればそれは明らかだった。そう、これが最後のテストになるかもしれないのだ――。
 最初は能力者にテストを依頼する事を嫌がっていたイリスが気づけば能力者とのテストに楽しみを覚え、目標を見つけていた。
 何だかんだで充実していたのだろう。評価試験に臨む事が嬉しくもあり、寂しくもある‥‥。無自覚に、しかし確かに彼女は複雑な想いを抱えていた。
「もう少し嬉しそうな顔をしてもいいんじゃないか? 君も待ち望んだ試験じゃないか」
「そう‥‥ですね。喜んでいますよ、勿論」
 戦闘シミュレーター『ライブラ』はイリスが手塩にかけて育てた代物だ。それが一つの節目を迎えようとしている。嬉しくないはずがない。
「けど、そのわりには浮かない様子だ」
 分かったような事を言うなとでも言わんばかりに室長を睨みつけ、イリスは立ち上がった。苛立つ自分の思考、それがまた彼女を揺さぶり続ける。
「室長、最後のテストでは例の切り札を出します」
「――例の切り札を‥‥だって?」
「はい、例のやつです」
「‥‥一応ノってみたけどそんなの聞いた事ないなぁ。どんなのだい?」
 イリスは無言でパソコンを操作し、画面に次々にキメラのデータを表示していく。その中の一つで手を止め、少女は呟いた。
「エネミーブラッド」
 それはこれまでのデータキメラとは違い、人の形をした仮想敵であった。
「強化人間を想定した人型のデータエネミー、それが『エネミーブラッド』です」
 ある意味、彼女のこれまでの経験と。これまでの感情と。認めたくない能力者達への名残惜しさを込めた――。
「私の、傑作ですよ‥‥室長」
 少女の形をした『敵』、それに男はイリスの面影を重ねていた。
 文字通り、そういう事なのかもしれない。それが彼女なりの、テストの幕引きという事なのだろう。男は納得し、少女の肩を軽く叩くのであった――。

●参加者一覧

アンドレアス・ラーセン(ga6523
28歳・♂・ER
神撫(gb0167
27歳・♂・AA
レベッカ・マーエン(gb4204
15歳・♀・ER
望月 美汐(gb6693
23歳・♀・HD
9A(gb9900
30歳・♀・FC
和泉 恭也(gc3978
16歳・♂・GD
ユメ=L=ブルックリン(gc4492
21歳・♀・GP
ミコト(gc4601
15歳・♂・AA

●リプレイ本文

●エネミーブラッド
 茜色の光が差し込むその街へアンドレアス・ラーセン(ga6523)が足を踏み入れるのは二度目の事だった。
 アンドレアスは振り返り、友人の神撫(gb0167)が頭を撫でている依頼人の少女へと目を向ける。相変わらず神撫の前で固まっているようだ。
「そーいや、こないだは名前聞きそびれたんだっけ」
 花の名――或いは女神の名だろうか? どちらにせよ彼女が名前負けしているのは明白だが、今回も手を抜くつもりは毛頭ない。
 自称フルダイブMMORPGユーザーのミコト(gc4601)は廃墟を興味深そうに眺めている。その隣ではユメ=L=ブルックリン(gc4492)が無表情に義手の調子を確かめていた。
 ミコトとユメの二人は『ライブラ』のテストに参加するのは初めての事だ。二人は対照的な表情で準備を進めている。
「イリス、今回もよろしく頼むのダー‥‥。どうした、今日は少し覇気がないな?」
「べ、別にそんな事はありませんよ‥‥うぐぐ」
 レベッカ・マーエン(gb4204)の挨拶にイリスは肩を縮こまらせながら応えた。イリスと何度も顔を合わせているレベッカから見ると、どうもいつもの元気がないように見える。
「ご機嫌は如何ですか?」
 続けてやってきた和泉 恭也(gc3978)と望月 美汐(gb6693)にイリスは短く応じる。やはりしょげているように見えるのだが‥‥。
「もう、相変わらずイリスさんはツンデレなんですから♪」
「ふむ、何を悩んでいるのでしょうね。後で聞いてみますか」
 神撫はイリスの前に屈み、じーっと目を見ながら質問しているのだが、イリスは意地になって神撫を無視し続けていた。
 いつまでもいつまでも睨み合う(?)二人。見かねたアンドレアスが神撫の肩を二度叩いた。
「おいおい、いつまでやってんだ‥‥」
「うーん‥‥。でもアス、イリスの様子がおかしいからさ」
 保護者じゃあるまいに――。溜息混じりにアンドレアスに諭されると神撫も聞き出すのを諦めて立ち上がった。
「で、ではテストを開始しますよ‥‥も、もう!」
 イリスが片手を翳し、浮かび上がった立体映像のキーを叩く。それを合図に一同の前に人型の仮想敵、エネミーブラッドが姿を現した。
「強化人間まで再現可能か、面白い」
「少女型とかさあ‥‥そのトシでそーゆーあざとさ、良くねぇと思うぜ? お兄さんはよ」
 不敵な笑みを浮かべるレベッカとは対照的にアンドレアスは銃身で肩を叩きながら呟いた。
 少女の姿をした敵――ふと見やると神撫は明らかにやりにくそうな様子だ。友人であるアンドレアスには分かっていた事ではあるが‥‥。
 この外見もこのテストも、イリスは深く自己を投影している。となればその形には意味があるのだろう――と、そこまで考え思考を中断する。
「シミュレータのデータ収集‥‥。とりあえず思いっきりやればいいってことだね」
 両腕を伸ばし、準備運動しつつミコトが笑う。最後のテストが始まろうとしていた。

●夕焼けを背に
 ツインズ・ガイスト、そしてスタンダードと呼ばれるキメラが布陣するといよいよ戦闘が開始された。
 背後にイリスが控え、能力者達は各々武器を手に取る。そんな時、トリニティは尾を振りながら口を開いた。
「どうぞよろしく、のうりょくしゃ」
 そしてぺこりと頭を下げたのである。何とも言えない微妙な空気が流れ、続けてEBは構える。
「せいせいどうどう、しょうぶ」
 無機質な瞳を隠すようにタクティカルゴーグルが顔を覆う。やや脱力した様子のアンドレアスは気を取り直し、スキルを発動する。
「同じ色だと分かり辛いな‥‥。右が一番、左が二番って事で――行くぞ!」
 騎士二体へ番号を振りつつ美汐に練成超強化を施す。虹色に輝く槍を携え美汐はツインズの一体を分断しにかかる。
 走る美汐の正面、騎士はすっと身を引いた。代わりに飛び出してきたトリニティが素早く攻撃を仕掛けて来る。
 至近距離から放たれた拳に反応し槍を振る。数発の拳を受けた所で槍で足を払うように薙ぐと、EBは後方へと身を引いた。
「速い‥‥!?」
 下がったEBへと9A(gb9900)が忍刀「颯颯」で追撃する。EBは身体を倒し地面と水平の位置で停止、縦に回るようにして蹴りを放つ。
「へェ‥‥中々面白い動きをする。その尻尾はそうやって使うのか」
 地に尾を突き刺し浮かせた身体――。EBが両足を地に着けると両脇からツインズが9Aへプレッシャーをかける。
「クッ! お姫様を守る騎士みたいに、か――!」
 一度後退し手の中で刃を回す9A。EBは隙があればまた飛び込んでくるだろう。
 再び攻防が始まろうという時、9Aの視線はひょこひょこ上下するEBの耳に向けられていた。
「あれをやられると弱くなる‥‥なんてことはないかな?」
 小手調べの攻防が終わり、本格的な戦闘が幕を開けた。
 レベッカの補助を受けた神撫は打ち合わせ通りまずスタンダードへと迫る。
 キメラの爪を刃で受け流し、紅い光を纏った一撃を放つ。手応えは十分――早期撃破を狙い、攻撃の手を休めず攻め続ける。
「手早く倒したいけど‥‥そうも行かないんだろうね」
 一人で派手に戦う神撫を横目にミコトは剣を構える。こちらは恭也との二人体勢だ。
 ミコトがキメラを斬りつけ、キメラからの攻撃は恭也が盾で受ける――。派手さには欠けるが堅実な連携が功を奏し、キメラへの攻撃は順調だ。
 恭也がキャンサーで、レベッカがエネルギーガンで援護射撃を行う。キメラの足が止まるとミコトは剣を振り上げ一気に踏み込んだ。
 首筋への力強い一撃が決まり、キメラは短く声を上げると動かなくなった。血降りをしながら神撫を見やると、あちらは一人でキメラを片付け終わった模様。
 一方EBを受け持つ班ではツインズの分断が試みられていた。
 過去の経験上有効であると思われる竜の咆哮による吹き飛ばし――。美汐は素早く回り込み、EBと騎士を分断する。
「さて、ここまでは前回と同じですけど」
 ツインズの一体とセリアティスで打ち合う美汐。背後から彼女へ襲いかかろうとするEB、その足を止めたのはユメの放った弾丸だった。
「強化人間ですか、私のような、違うような」
 EBに二丁拳銃にて断続的に攻撃しつつ、ユメは間合いを取ったまま周囲を走る。
 徹底的にEBへと攻撃を続ければ、それは逆にEBを庇うツインズを足止めする事になると読んでの行動だ。
 実際手が開いていたツインズはEBのガードに入った――そこまでは予想通りだった。しかしEBは隠れたままではなく騎士の肩に立った。
 端的に言えば、それは投擲だった。騎士は盾にEBを乗せ、ユメへと放り投げたのだ。空中を回転しつつ繰り出された尾はユメの義手を切り裂き大地へと突き刺さった。
 直ぐに瞬天速で距離を取り、攻撃を続ける。EBは腕を十字に構えゆっくりと接近してくる。
 アンドレアスの練成治療を受け、ユメは指先で銃を回す。深く斬り付けられたものの、戦意が衰える気配はない。
「楽しい‥‥というんですかね。この高揚感は――はて」
 その時、側面から走ってきたミコトがツインズを踏み超えユメの隣に着地する。
「よっと、あっちは片付けてきたよ。一気に攻め立てて倒そうか」
 スタンダード班の合流を横目に美汐は攻めに本腰を入れる。
 上下への攻撃で防御を揺さぶりつつ、盾と剣の合間に一撃を叩き込む。槍は甲冑を貫くが、そこで手を止めるつもりはない。
「槍にはこんな使い方もあるんです!」
 苦し紛れの反撃を受け流し、身体を捻り石突にて騎士の頭を叩く。ぐらつく巨体の背後、影を縫うように9Aが斬撃を放った。
「っと、硬いね‥‥。それならこっちで――!」
 背中に手をつけ、装着式超機械を起動する。閃光が甲冑の合間から漏れ、焦げ付いた匂いと共に騎士は地に沈んだ。
「ウサ耳は向こうの要、だがそれも連携と支援があってこそ」
 残ったツインズへ練成弱体をかけ、レベッカは攻撃を開始。自分へと注意を向けつつ、神撫へ目配せする。
 両断剣・絶を乗せた神撫のインフェルノが騎士の甲冑を拉げる。バラバラになりながら吹っ飛ぶ騎士を見送り、神撫は振り返った。
「やりあう前に、言いたい事はあるかい?」
 斧を肩に乗せ、やり辛そうに神撫は問いかける。残る敵はEB一体のみとなっていた。
 仲間の怪我は既にアンドレアスとレベッカが治療を終えている。忙しい展開だったが、こうなれば後は単純だ。
「なぁ、こっち側にこないか? そうすればもう戦わなくていいんだよ?」
 頬を掻き、神撫はそう提案する。呆れた様子のアンドレアスだが、口は挟まなかった。それより先にEBが答えたからだ。
「ありがとう。でも、ごえんりょします」
 傭兵達へ、EBは駆け出した。それぞれが迎撃の体勢を取り、最後の詰めが始まる。
「ヒト型なら撃ち辛いとでも思ったか? 甘いぜお嬢さん」
 実際それで困惑している男が一人居るが、アンドレアスはそうは行かない。銃口が狙うのはEBのセンサー、ウサ耳である。
 回避運動も空しく、耳は弾丸で貫かれもげてしまった。更に背後から9Aが残りの耳をちょん切る。
「今だ、もらいィッ!」
「あ、おみみが」
 頭を両手で押さえ気の抜けるような声でEBは呟く。そのまま9Aへ放った尾、それをレベッカの攻撃が弾いた。
 武器でもあるからか、尾は頑丈だった。しかしレベッカは休まず攻撃を続ける。
「伝えたい事があるなら自分で言ってくれ、それ以外は聞く耳を持たないぞ」
 ぶっきらぼうな言葉はEBへではなく、依頼人へと向けられた物だった。
「さぁ、貴方の思いをぶつけてください! 受けきって見せましょう!」
 迫るEBへ恭也が声を上げる。盾を打ち付ける拳は重い。だが足を止めた隙にミコトが斬りかかり、ユメが追撃する。
「ん〜よく動く。モーションもうまく出来てるなぁ」
 取り囲むような布陣から美汐が乗り出し槍を放つ。反撃に放たれた蹴りが胸を打つが、彼女は止まらない。
「まだっ! あのヨリシロはもっともっと強かった!」
 叩き込まれた槍にトリニティの鎧が軋む。集中攻撃を受け、EBはよろめき膝を着いた。罅割れたバイザーが地に落ち、そのまま動かなくなる。
「わたしのまけ、ですか?」
「残念ながらそのようですね」
 銃を下ろし、ユメが応じる。EBは顔を挙げ、無表情に言った。
「――ありがとう。さあ、おわりにしましょう」
 もうろくに動けないのか、EBは穏やかな声で呟いた。ユメはその望みを叶える為に銃をEBの額に突きつける。
 銃声が轟く瞬間、神撫は目を閉じていた。テストである以上、終わらせなければならない。例えそれがどんな相手で、どんな時でも。
 こうして幾度かに渡り続いた戦闘テストは終了したのであった。

●いつかまた
「ふぅ、なかなかすごかったねぇ。実際の戦闘だったらと思うとぞっとするね」
 刃についた血を振り払いミコトは息をついた。うつ伏せに倒れたEBは動かず、眠るように目を閉じている。
「‥‥テストは終了しました、お疲れ様です。では、私はこれで」
 と、振り返るとイリスは傭兵達に背を向け歩き始めていた。小首を傾げるミコトの隣、9Aは腕を組んで苦笑を浮かべている。
「また何かを作って依頼を持ってきてくださいね、無茶振りされるのは慣れていますし。後は、分かりますね♪」
 ウインクしながら美汐が言った言葉に足を止め、イリスは俯く。夕暮れの街に乾いた風が吹きぬけ、それぞれの髪を撫でて行った。
「毎回楽しかったよ。これからもテストやらせてくれるとうれしいな」
 神撫の言葉にイリスは更に肩を落とす。それに続いてアンドレアスが一言。
「で、これからどうすんだ?」
「これって実用化するんだよね? もっとバリエーションを加えたら面白そうなんだけどなぁ」
 ゲーム化したら人気出そうだと付け加え、ミコトは何度か頷いた。
「何か悩みでもあるのですか? 今話しづらいのでしたら今度遊びに行きますからその時にでも――」
「次なんか、ありませんよ‥‥」
 恭也の言葉を遮るようにイリスは言った。
「どういう事ですか?」
 拳銃をホルスターに収めつつユメが無表情に問い詰める。イリスは背を向けたまま顔を上げた。
「テストは今日で終了です。直ぐにこのシミュレーター‥‥ライブラの評価試験が始まります。それが終われば、この子は私の手を離れていく」
「それで、おまえはどうなんだ?」
 腕を組み、白衣を揺らしてレベッカはイリスに歩み寄っていく。
「人の想いと言うのは簡単には分析できないからな。ならより正確なものを聞きたい、それだけだ」
 イリスの肩を叩き、レベッカは思わずきょとんとしてしまう。イリスは顔をぐしゃぐしゃにして空を仰ぎながら号泣していたのだ。
 やや引いてしまう程の酷い様子に半笑いするレベッカの胸へイリスは飛び込んだ。ぎゅっと背に手を回し泣き続ける背中はとても小さかった。
「‥‥助けを借りたい時は何時でも言ってくれ、なのダー」
「えぐ‥‥っ! れべっかぁ‥‥!」
「俺の連絡先を教えるよ。何かあったら呼び出してよ、少しでも力になるからさ」
 駆け寄り、神撫が言う。それに続いて傭兵達は少女へと歩み出した。
「少なくとも自分は、いえ、自分たちは友達になりたいと思っていますよ?」
「それはそれとして、一緒にスイーツでも食べに行きません? 美味しいお店を沢山知ってるんです」
「ひ〜ん‥‥」
 恭也と美汐の言葉に最早意味不明な声を上げて頷くイリス。レベッカはそんなイリスを抱き留め続けた。
「‥‥で、一応ハッピーエンドって感じ?」
「私に言われても困りますが」
 ミコトの言葉にユメは目を瞑り、背を向けた。遠巻きに眺めるアンドレアスと9Aは肩を竦めて笑いあう。
「みんな、ありがとう‥‥ありがとう」
 他に言う言葉が見つからないのかイリスはレベッカの腕の中で何度もそう繰り返していた。
 落ちる事のない夕日はずっと彼らを見つめ続ける。少女が零した涙――それはこの幻の世界でたった一つの『真実』だったのかもしれない。
 彼女が、彼らと共に歩んだ日々。その結晶として零れ落ちた偶然の軌跡のように――。