タイトル:闇の忘年会with合コンマスター:ジンベイ

シナリオ形態: イベント
難易度: 易しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/01/07 23:03

●オープニング本文


●闇の忘年会with合コンのお知らせ

 寒さの募るこの季節、皆で鍋をつつきませんか?
 参加資格はただ一つ、鍋に入れる材料を持ってくるだけ!
 今年最後の出会いが、あなたを待っているかも!
 楽しいゲームと魅力的な出会い、美味しい鍋が待っています。
 さあ、いますぐ材料の準備を!

                    カンパネラ学園生 朝見胡々

 
●発端
「なにがクリスマスだ、いまは北京解放戦線だろ!」
 カンパネラ学園女子寮の一室で、コン、と缶を机に叩きつける音がする。
 ラベルには、お汁粉とあった。
「飲みすぎだよ、ていうか、うるさいよ」
 管を巻く朝見胡々を、友人のアリーシャが咎める。
 激戦の続く中、しばしば学園に戻る。が、疲れ果てつつも、ちょっと通りを歩くと、
〈ジングルベ〜ル……)
 耳障りな音楽と、親しげに歩く男女の姿がある。
「やってられっかぁ! 余計疲れるわ!」
「だから、うるさいってば。なにしにきたのアンタ」
「男のいないヤツを見て安心しに」
「最低」
「いや、だからね、ウチらが悪いわけではないと思うんだよ」
「男が悪い?」
「いや、バグアが悪い」
「どういうこと?」
「運命の赤い糸が、バグアの出現であちこち絡まったり切れたりしたんだよ」
「はぁ、そう」
「いま、詩的じゃなかった? ちょっと女の子っぽくない?」
「いや、全然そんなことはないと思うけど」
 胡々は「むむぅ……」としばらく唸って、
「そうだ、合コンしよう」
 パチンと指を鳴らした
「いきなり、俗っぽくなったわね。集まらないって。この時季、忘年会とかもあるんだから」
「あ、じゃあ、忘年会しよう」
「合コンは?」
「忘年会の名を借りた合コンをしよう」
「……ただ気晴らしに騒ぎたいだけじゃないの?」
「去年さあ、たしか誰だかが鍋やってたじゃん。あれ、やってみようよ。闇鍋で、大勢集めて」
「その『誰か』ってあんただからね」
「具材を皆で持ち寄ってさ、鍋にぶっこんで『うまいぞー!』とか『ぐぎゃああ!』とか言いながらつつくんだよ」
「集まらないと思うけどなぁ」
「キメラの肉とか入れたりしてさ」
「集まらないと思うけどなぁ」
「後で張り出して来る! アリーシャも参加するんだよ!」
「いやよ!」
「んじゃ、早速、告知の紙作るか……あ、そだ、エリィ先生に言っておっきな鍋とか教室とか貸してもらお」
 唐突に動き始める胡々。
 出来上がった張り紙を見て、アリーシャが一言。
「これ、どこの出会い系?」

●参加者一覧

/ UNKNOWN(ga4276) / 最上 憐 (gb0002) / 紅月・焔(gb1386) / アーク・ウイング(gb4432) / マルセル・ライスター(gb4909) / 日野 竜彦(gb6596) / ガル・ゼーガイア(gc1478) / 緋本 かざね(gc4670) / グリフィス(gc5609) / 蒼 零奈(gc6291

●リプレイ本文

●猫
「みゃあ」
 カンパネラ学園を、巨大な猫が歩いていた。
 ドーム型の天井には、実際に降っているのか、それとも、どこかの映像か、雪がちらついている。
〈ひくり〉
 と、鼻を動かす。寒気が鼻に染みたのだろうか。
「どうしたの?」
 ひょい、と、銀髪の少年、マルセル・ライスター(gb4909)に抱えられ、青い大きな瞳と目が合う。
「みゃあ」
 猫は小さく鳴いた。
 マルセルは少し考え、かすかに笑って、猫を連れたまま教室へ向かった。
 空に、雪がちらついている。

●闇の食材
「よっしゃー! 合コンだ、闇鍋だ、忘年会だー!」
 レイ・バックルで無駄に拳を輝かせながら朝見胡々が叫ぶ。
 席は円状だが、東が男性、西が女性となっている。比率としては女性が多い。
「あれ?」
 赤い髪の印象的な青年、ガル・ゼーガイア(gc1478)が首を傾げる。
(なにか、なにかがおかしい。なにか――)
 気づけば、
(日野 竜彦(gb6596)が、女性側に座らされている!!?)
 いたたまれない表情の竜彦に、
「どうしたんだ」
 聞けば、
「俺の方が聞きたいわ!!」
 悲痛な叫びが帰ってきた。これに対する胡々の言い分。
「刃霧零奈(gc6291)ちゃんが女性二人組って言ってた」
 ※言っていません。
 事情を整理すれば、竜彦が零奈に学園内の案内をしていたところ、これを見つけた胡々が勝手に女性二人組であると勘違いし、二人をさらったことになる。ちなみに竜彦はジーンズにカジュアルシャツとラフな格好であった。
「あんたが悪いんじゃん」
「いいや、私は悪くないね! むしろ、男女二人でイチャイチャと学園を歩いてるほうが悪いね!」
 アリーシャの言葉に胡々は返し、二人をギロリと睨む。
 そういえば、とガルが、ちょっとマルセルへ目を向けて、
「ん? なんでマルセルがいるんだ? お前も確か彼女いただろ?」
 ポツリと言った。
「裏切りものめ!」
 とりあえず胡々は殴りかかった。
 そんな茶番が繰り広げられる間にも、円状の席の中心に置かれる巨大な鍋が火にかかっている。
 まだ具材は投入されておらず、各々の席上に取り揃えられていた。色も、形も、種類も様々である。
「‥‥ん。鍋と。聞いて。私。参上。鍋。鍋。楽しみだね」
 赤いマントをつけた銀髪の少女、最上 憐(gb0002)は大きな目を瞬かせ、鍋の開始を心待ちにしていた。
 彼女の卓には、
『角の生えた、鯛らしき巨大魚』
『緑色の牛肉っぽい物』
『紫と黄色の斑点がある、毒々しいキノコ』
 と、カラフルで珍しい食材が並んでいた。果たしてそれが食欲を促すものであるかは定かでない。
 鍋と聞いて、『日頃よく行く』怪しい店で材料を仕入れたらしいのだが、どう見ても、
〈異様〉
 である。本人いわく、
「‥‥ん。年末。セールで。凄く。安かったので。色々。買って。来た」
 とのことだが、これには、食への意地が張っているツインテールの少女、緋本 かざね(gc4670)も引き気味である。食べて大丈夫なのかという気がする。よしんば憐が大丈夫でも、他の者は危険なのではないか。
「‥‥ん。大丈夫。見た目は。悪いけど。ちゃんと。味見。して来たから。安心。‥‥多分」
 最後の一言を聞き逃さず、かざねは疑わしげに食材を見た。それはそれとして、
(最上様の髪はカレー味というウワサは本当かな)
 日々思っていることも考えた。恐らく、逃避の一種であろう。
 ちなみに彼女は、緋本かざねであって緋本かざねでないらしい。
「あ、私は”マスク・ド・かざね”です。緋本かざねでは、決してありません」
 ガスマスクをつけたまま席に着いて言った一言である。このガスマスク着用、実は彼女だけではない。
「シュコー‥‥シュコー‥‥」
 同じようにガスマスクをつけ、ちょっと項垂れているのは、紅月・焔(gb1386)である。
 十人中、二人がガスマスクを被っているというのは、いかなる由縁か。いやが上にも鍋への期待は高まる(負の方向に)が、彼の卓には普通にじゃがいものようなものが置かれている。『ウコン』らしい。本人によれば、
「いや‥‥最近二日酔いが辛くなってね‥‥」
 これからのことを案じてなのか、これまでのことなのかは定かでないが、今日も飲むことは飲むようだ。
 そんな面々に囲まれ、グリフィス(gc5609)は赤い目をキョロキョロとさせた。まともな人間はいないようだというジェスチャではないだろう。一通り具材を見て回ると、はたと、かざねと目が(ガスマスクのだが)合う。
 グリフィスの用意したのはホワイトマシュマロ。かざねの卓にはチョコを筆頭とした菓子類が並んでいる。なにか通じ合うものを感じたようなそうでもないような、少なくとも味覚の趣味は合うであろう。
 数少ないまともな食材を持つのは、
「忘年会か合コンかよく分からないけど、アーちゃんとしては美味しいお鍋が食べられたらそれでいいけどね」
 とやってきた、銀髪の愛らしい美少女、アーク・ウイング(gb4432)である。白菜、シイタケ、豆腐、鶏肉、豚肉と、極めて真っ当そのものの食材が、この中ではむしろ異質にさえ感じるのが恐ろしい。一応は食べるものばかりが集められているはずだというのに、これほど常識的な食材が目新しいとはいかなる始末か。
「いいねぇ、NABE。同じ鍋をつつきながら話せば色々と交流が出来るから、ね」」
 同じく比較的まともな食材を持ったUNKNOWN(ga4276)は静かに呟いた。卓にあるのはミルクとトマトピューレ。たとい、おかしな食材があったとしても、マイルドな味にして纏めることができるためである。
 その二つにしても、どうやら簡単なものではないらしく、零奈と共に事前に厨房を借り、トマトピューレなどは甘味の多いフルーツトマトを濾したものを使用している。ミルクは低脂肪のものであった。
 ついでにUNKNOWNが前菜や口直しの料理を作っていると、傍らで零奈は、
(鍋を楽しみつつ、師匠に絡んで仲を一歩も二歩も前進させる!)
 腕をまくり、鰯のつみれを作っていた。
 味噌とみりん、砂糖と醤油、自然薯を練り合わせたお手製のものである。愛情がつまっているかどうかは知らないが、恐らく入っているのではなかろうか。闇鍋の中でどのように変化するかが楽しみな一品である。複数の意味で。
(もっとふかーい仲に‥‥ね♪)
 手はつみれを作っているが、思いは明らかに別のところにいっている。
 ちなみに思い人の師匠こと日野竜彦は、鶏肉、キャベツ、野菜各種、お菓子、珍味系オツマミといった食材を取り揃えている。いざという時のために中辛のカレー粉も用意しており、同じくもしものために用意しているUNKNOWNのカレー粉と合わせれば、およそ食べることが不可能とまではいかないような感がある。
 珍味という意味で正しく珍味を持ってきていたガルは、
「世界三大珍味を持ってきたぜ!」
 言うものの、卓にあるのはフォアグラとトリュフとフカヒレであった。
「キャビアは?」
 問われれば、
「ん? キャビア? なにそれうまいのか?」
 首を傾げる。本気かは知れないが、どうやら、キャビアは売り切れであったらしい。なんにしろ、貴重な豪華な食材であることには違いない。それがお菓子やキメラの肉と一緒に煮られるところが災難であったが。
「うむ。こんなものかな?」
 準備は整った。具材が投下される。電気が少々、暗くなった。UNKNOWNはちょっと外に出て、一服つけた。
「‥‥ん。とりあえず。面倒臭いので。このまま。生で。投下して良い?」
 憐がポツリと聞いた。誰かが頷く。投下と同時に、奇怪な呻き声のようなものが轟いたような気がする。
(気のせいですね)
 かざねはそう思った。それはきっと、祈りに近い願いだった。
 外で煙草の赤が灯った。室内は静かであった。鍋からは湯気が上がり、奇怪な儀式のような装いとなってきた。
「さて、これで全部かね?」
 UNKNOWNが戻ってきて尋ねる。誰ともなく頷いた。依頼の前のような不思議な緊張感があった。
 闇鍋と合コンと忘年会を組み合わせた全く新しいパーティが、始まる――

●鍋と合コンと忘年会と
 心理学の些細な実験によれば、
〈明るい場所よりも、ちょっと暗い場所のほうが親密になりやすい〉
 ようである。いわゆるパーソナルスペースというものの距離が、測りづらいからかもしれない。
 カラオケボックスなどでのコンパや、映画館でのデートは、これを利用することで仲を親密にしやすくなっている。この謎のパーティもそれに倣って薄暗いのだが、目的は仲を深めるというよりは、
〈鍋の中身を知られない〉
 ためである。安全なものを当然のように引いていっては面白みがない。
「う」
 箸を口に運んだアークが、硬直する。
 石になったかのように固まっているが、それでも、顎が微かに動いているのが見て取れる。かすかな電灯のもとに見える顔が、若干、涙目なのは気のせいであろうか。あまり味わいたくはなかろうが、仕方なく歯で噛む。
 ぐにゅ、ぐしゃ、ぐしゅ‥‥。
 なんともいえない生臭さが、マシュマロやチョコの溶けた汁にコーティングされて、たまらない味となっている。かすかに覚えのある味は、モツであろうか。とすれば、食べたのはマルセルの持ってきたキメラのモツ。
 ちなみに、マルセルの持ってきた食材は、
『バッファローキメラの肉』
『大型カラスキメラのモツ』
『冷凍保存されていたチョコキメラ』
『故郷から送られてきたジャガイモ、リンゴとヴルスト。あと、何故か薔薇』
 であり、ほとんどがキメラ関係となっている。実際に食べたものもあり、大丈夫といわれているが、
(生煮えみたいな‥‥)
 恐らく、食べるタイミングも損ねた。アークは硬直した格好のまま顎を動かし、
(この具を持ってきた人‥‥後で息の根とめてやる)
 心の中で誓った。マルセル当人はそれと知らずにアークの視線ににこやかに微笑み返している。
「わりぃな!早い者勝ちだ!」
 ジャージ姿のガルは、目ざとく鍋の中にある大きめの具を箸で掴み、引き上げた。
 きっと珍味に違いない。その予想は裏切らず、箸が掴んだのは角の生えた巨大魚のお頭であった。珍味には違いないのだろうが、方向性が違っている気もしなくはない。ガルはそれを器に入れた。口が動いたのは気のせいであろう。
「‥‥ん。油断すると。口の。中で。蘇る。新鮮さ。なので。気を付けてね?」
 憐が言う。きっと、お茶目な冗句に違いない。そう思いたいが思えないのは憐の目が真剣だからだろう。
(ままよ)
 暗いのが幸いして、勢いだけで口に運ぶことが出来る。うまい、不味いの話しではない。とにかく、器にとったからには食わなくてはならない。鯛の肉のような風味があるものの、なぜか獣臭さを覚える不可思議な味を舌から喉へ、そして胃へと送り込む。肉が口中で跳ねた気もするが、踊り食いではあるまいし、そんなはずがない。
「‥‥ん。一度に。そんなに。口に入れると。胃の中で‥‥うん。何でも無い。気にしないで」
 微かに哀れむように、目をそらす。
(なにが? なにが起きるの!?)
 ガルはなんとか器に入った分を食べ切り、胃をなでた。異変はない。ない、はずである。
 そんな全体の様子を見て、少しばかり嫌な予感を覚えながら、グリフィスは箸を鍋へ入れる。
「おいしそうだが‥‥どんなものが入っているやら
 引き当てたのは、フカヒレ。とろりとしており、なかなかの加減である。が、なぜかところどころ黒い。
 目をやれば、手を振るかざね(ガスマスク着用)。
(チョコが溶けたのだ)
 と、悟った。食えなくはない、むしろ当たりの部類であろうが、フカヒレチョコとは何か冒涜的である。
「セーフか‥‥次もこうならば言うことは無いですがね‥‥」
 とりあえず口に放りこんだ。別々であればと、考えながら。
 竜彦と零奈は隣り合わせに座っているのを良いことに、掴んだ食べ物を相手に示して、
「あーん」
 と、示していた。竜彦が掴んだのはアークの鶏肉。無難どころであり、妙なコーティングもない。
 パクリと竜彦の箸に食いつき、
「ん〜、ものっそ美味しい♪」
 零奈は思わず笑顔を浮かべる。所以は、味だけではあるまい。つられて竜彦も微笑む。
 合コンにあるまじき、あるいは、だからこそというべきか、このストロベリー空間に、
「はい、師匠、あ〜ん」
 緩んだ笑みと共に差し出すのはキノコである。アークのシイタケではない。シイタケはこれほど毒々しくはない。
(もしや)
 竜彦の目は憐へ向けられる。憐はコクコクと頷き、
「‥‥ん。その。キノコ。噛むと。血らしき。物が。出て来る。ミステリアスな。キノコなんだよ」
 と言い、「ふぁんたじーだね」などと締めくくった。
 零奈は「あーん」をする気恥ずかしさのせいで気づいていないのか、頬を染めたままキノコをすすめる。
「あ〜ん」
 食わねばなるまい。竜彦の端整な横顔に、たらりと汗が流れた。
 周囲では、「食ーえ、食ーえ」の合唱が始まっている。「あーんしてもらってるんだから」「男らしくないぞ」といった声もある。明らかに面白がっている。焔とガルがなぜだか肩を組みながら歌うようにはやし立てた。
 えい、どうにでもなれ、とばかりに、竜彦は零奈の差し出す箸に口をつける。
「‥‥ぐふぉ!?」
 吐きかけ、しかし、飲み込んだ。零奈にニコリと微笑みかけると、そのまま倒れた。
「師匠ー!」
 零奈の腕の中で竜彦は首を横たえた。その後、ガルたちの手によって竜彦は男の側の席に運ばれた。交わす言葉はなかったが、そこには無言の男同士の声があった。「まさに好漢」と。あるいは「イチャついてんじゃねーよ」と。
 焔が鍋をつついてみると、なにやら大きめの肉が出てきた。記憶をさかのぼってみると、
(バッファローキメラの肉、か?)
 と、思い出す。見た目は悪くなく、持ってきたマルセルも実際に食べて美味しかったと言っている。
「ふむ」
 口に運んで、噛み締める。これがなかなかに、美味い。筋張っていない所らしく、あっさりと噛み切れる。
「これは、うまい」
 当たりを引いたらしい。竜彦が気を失い慌しい中、ゆっくりと咀嚼した。 
「ぶふっ!? なんじゃこりゃー! ですっ! なんでこんなものがっ!」
 ふいに声が上がった。かざねの声である。器にはじゃがいものような物体が。しかし色からして、
〈ウコン〉
 であった。
 ジャガイモと同じような気持ちで食べたため、なんとも言えない苦味に涙目である。食べるために避けたガスマスクの下で、かざねは「いーっ」と舌を伸ばす。耐えられませんという意味だろう。憐が水を渡したので、それで苦味を洗い流した。おずおずと、かざねは改めてマスクを顔の半分ほど被り、ちびりちびりとウコンを齧った。
(脱げばいいのに)
 誰もがガスマスクを見て思ったが、なにかしら譲れない矜持があるかもしれないしないかもしれない。
 涙目のかざねの横では、先ほど水を渡してからも手の止まらない憐の姿がある。
「‥‥ん。変わった。食感。だけど。割と。癖になるね」
 もそりもそりと食べるのは、竜彦の持ってきた珍味系のオツマミに、ベッタリとチョコやらゼリーやらがこびりついたものであった。かざねの出したお菓子の類と組み合わさったせいか、甘ったるい異臭がする。
「あーっ! 私のお菓子ーっ! どうです? おいしいでしょ?」
 チョコフォンデュみたいで、などとは、かざねの弁。
「‥‥ん。味は。悪く無いね。意外と。美味しい。もう。1つ。貰おうかな」
 憐はもくもくと食べ続けた。かざねも笑みを浮かべる。
(二人が幸せなら、まあ)
 ツッコミを入れるべきかと考えていたガルも、なにも言わずにおいた。
 マルセルも鍋に箸を入れ、引き出す。大抵の食べるのがつらそうなものは既に出ていると安心していたが、
(これは‥‥)
 箸の先にあるものを見て、首をかしげた。
 シュウマイのようだが、そんなものを持ってきているものが、いたか、どうか。しかし、入れてもいないものが出てくる道理はない。誰かが入れたはずである。では、その誰かとは、一体――
(騒動の中で、卓に料理を置かなかった二人。朝見先輩かアリーシャ先輩)
 アリーシャであれば、さして悪いものでもあるまい。が、胡々であるなら、
(危険ではないか)
 マルセルはくりっ、と顔を回して胡々へ目を向ける。その表情は真剣そのもの。対する胡々は不敵である。
「可哀想に、あれを食べてもだえ苦しむ運命なのね」
 という感じの笑みさえ浮かべている。胡々は、そんな口調ではなかったが。
 マルセルはちょっと胡々に近づくと、
「胡々‥‥はい、あーん♪」」
 普段は「朝見先輩」と呼ぶというのに、唐突に名前で呼び始め、「あーん」などとし始めた。
 怪しい。ポカンと口をあけるうちに、
「むぐっ!?」
 そのシュウマイを、胡々は口にねじ込まれる。
 途端、顔面を赤くし、汗をだらだらと流し始める。ジェスチャで何かを訴えるがマルセルには分からない。横からアリーシャが水を差し出すと、胡々は一気に飲み干した。「はーっ、はーっ」と荒い呼吸に出した舌が赤い。
(激辛の系統で来たか)
 悶える胡々を見て、マルセルは、ホッと胸をなでおろした。食べなくて良かった、と。
「いい度胸だ小僧! そっちがその気なら、こっちにも考えがありゃー!」
 憐の持ってきた緑色の牛肉らしき塊を掴み、胡々は瞬時にマルセルの口に入れた。
 一瞬、ぐるりと目が反転しかけたが、マルセルはなんとか平常の微笑を保ったまま、くらりと倒れた。髪がなびき目元から涙が一滴、舞う。なにかの舞台のような大仰さで倒れ、そして、五分ほどしてから復活を果たした。
 そんな劇的なシーンもよそに、UNKNOWNは静かに鍋をつつき、口に運ぶ。何度か異様なものも食べたようだ。
「美味しいですか?」
 かざねが尋ねる。UNKNOWNはかすかに黒帽子を持ち上げ、
「ん? 美味いよ? なんだろう、ね。これは」
 と、答えた。どうやら、マルセルのヴルストに鍋で煮立った何かしらがまぶされたものらしい。問題なく食べる。
「あの、美味しいですか?」
 かざねが再び尋ねる。次に引き当てたのは自身、痛い目を見たウコンである。一見、なんだか分からない。
「ん? 不味いよ? なんだろう、ね。これは」
 表情も変えず、口を動かす。鍋の熱気にも白い肌は火照らず、白の立襟のカフスシャツと、古美術品のタイピンをしたスカーレットのタイは、さしたる乱れもない。なにか、このまま映画の舞台にでも行って来そうな風情であった。
「美味しいですか?」
「ん? 美味いよ?」
 三度聞いても同じだった。あまりの平然っぷりに「これ譲るぜ‥‥、たぶんまずいと思うからよ‥‥」と鍋から取ったものを渡そうとしたが、いつの間にかガルの口に入っていた。何をしたのかは知れないが、たぶん、そういうものなのだろう。UNKNOWNの革手袋が、かすかに、ギシッ、と音を立てていた。
 鍋はそのまま食べたり食べさせたりが繰り返される。
「‥‥ん。刺激的な。味だね。普通の人なら。失神させる事が。出来るかも」
「‥‥ん。コレは。他の。人は。食べない。方が。良いかも。私が。処理するよ」
 次々と憐は鍋の中身を口へ運ぶ。そうして、
「何で、こんなのが入ってるのーーーー!」
「キャベツは味が染みた芯が旨いんだ‥‥け、ど」
 互いに奇怪な食べ物や、謎のエキスを吸い込んだキャベツなどを手にするカップル。
「残すのは食べ物に失礼だからね」
 竜彦は言って、男らしく両方を食べ、そして、
「師匠ー!」
 二度目の気絶へと向かった。
 マルセルの入れたジャガイモやリンゴ、ガルのフォアグラなども引かれる中、
「グハァ! もう一度記憶が飛ぶ所だったぜ‥‥」
 グリフィスが『はずれ』を引き、一瞬、気をやった。
 かざねが、なにやら、ごっそりとしたものを引き当てる。どうにもマシュマロが何かを核として溶けずに固まった、というよりは溶けつつ凝固したもののようだ。グリフィスはその光景に少し気が引け、
「俺も人のことは言えないけどな‥‥マシュマロを入れたのは俺です」
 と、自首するように言ったものの、
「えー? 甘いの、おいしいですよ〜?」
 割と普通に、かざねが食べ始める。鍋の食べ合わせとしては最悪だろうが、マシュマロの塊はマシュマロでしかなかったらしい。本人が喜んでいるのならよかろうと、グリフィスも赤い目を細めてちょっと微笑みを浮かべた。
 鍋の残りが少なくなっていくと、
「王様ゲームの時間だぜ!」
 ガルが声高に宣言した。すると、焔やかざねが乗っかる。 
「よ〜し! お兄やん頑張っちゃうぞぅ! 王様お〜れだ!」
「私が王様にきまってますよね! だって私ですから!」
 すると、ガルが、
「おいおい待てよ、当たりつきの割り箸を持ってるやつが王様だぜ。つまり俺だな!」
 さらに乗っかったので、収拾をつけるためにアリーシャや竜彦らによる介入が行われた。
「‥‥ん。合コンは。若い人達に。任せて。鍋を。食べるのは。私に。任せて」
 と言い、口の箸から謎の生命体の足を見せる憐を除くメンバーが参加することとなり、早速、箸が引かれた。
 ガルが王様となり、
「1番は王様にキスをしろ!」
 開幕から飛ばし気味に宣言する。ちなみに一番は、
「あ、俺だ」
 竜彦であった。
「やっぱ無し! 今の命令は取り下げだー!!」
 ガルが全力で叫ぶが周囲では焔が音頭をとって、「キース、キース」という掛け声がかけられている。竜彦は零奈へ目を向ける。当の零奈は妬けばいいのか乗ればいいのか微妙な表情である。同性ならばノーカンかどうか。
 ともあれ、
〈ちゅ〉
 頬にすることによって、事態は終わった。竜彦とガルのテンションが下がりっぱなしである。
「よっし、おれだ! 三番が王様とポッキーゲーム!」
 王様ゲームの開始時から妙な具合にテンションが上がりっぱなしの焔が命令をする。三番は、
「お、おれ!?」
 グリフィス。再び、男同士であった。
「誰こんな命令出したの!? うわ俺だ!? やだ! 辞任する! 解散総選挙する」
「ふぇ?! 何で俺がこんなことをしなくちゃ‥‥」
 当人たちは拒否するが、先ほど痛い目にあったガルと竜彦が「やれ、やれ!」とハンテンション気味に叫ぶ。
 結局、咥えることになった。男二人がポッキーの端を咥えあう姿は奇妙な感慨さえ浮かばせる。わざと折ろうものなら、もう一回させるぞとばかりにガルと竜彦が二人の背後に立っているのがまた異様である。
 マルセルは、少し離れたところから、太った猫を抱きながら眺めていた。とても食べられなそうな食材も、この猫は意に介さず食べていく。その点だけで言えば、憐に似ているかもしれない。抱いていると妙に温かい。
「みゃあ」
 巨大な猫『テト』は、ポッキーゲームの様子を見て、少しむずがった。
 マルセルは顔を手で覆いながら見ている、かざねの頭の上に猫を乗せ、「わ、わ」と猫に気づいて振り向くと、
「心なしかちょっと寂しそうな気がしてね。相手をしてあげてよ、かざね」
 と、微笑んで頼んだ。
 その裏で、ポッキーゲームが進んでいる。あわや、という所まで進んだが、すんでのところで折れる。
「ああ〜」
 なぜか残念そうなギャラリーの声が聞こえるが、当人たちは冷や汗ものであった。
 再び箸を引く。すると、今度は先ほどよりも手が増えている。妙に毛深い。というか、猫の手である。
「みゃあ」
 この猫『テト』も、参加したいらしい。参加者の間で複数の思案が巡り「安全牌が増える」という結論に達した。
「王様だ〜れだ」
 当たりの箸が低い位置から差し出され、
「アーちゃん」
 と、アークが言った。先の二人に比して、まだましであろうと思った次の瞬間、
「二番の人は、とりあえず全裸になって、朝日に向かって走ってきて。そう、はるか彼方まで」
 などと言い出した。この時の二番、
「チクショウ!」
 焔であった。妙に男性ばかりが当たる。
 アークが「というのは、もちろん冗談で‥‥」と言いかけたあたりで焔は上半身を脱ぎつつある。王様を含めた女性陣から黄色かったり青かったりする「きゃ〜」とか「いやー」とか叫びが上がる。仮にも依頼をこなす能力者なのだから、素肌程度、見慣れていそうなものだが、こういう場で見るのは、また別のことらしい。
 ともあれ、アークは改めて無難な命令に移し、焔はなんなくこなした。
「五番が一発芸じゃオラァ!」
 胡々が王様となり、いきなり無茶振りをかます。五番は、かざねであった。
「一発芸!? え、えっとー‥‥」
 しばし、目をキョロキョロと泳がせると、踵をあわせて、
「か、かざねこぷたぁ〜!」
 くるくるとその場で回る。
 回り続ける。
 止まる。
「お、終わり、です」
 うつむきがちに頬を赤らめた。
 可愛らしかった。
「かざねー!」
 焔が襲い掛かった。巨大猫テトがすかさず猫パンチを繰り出した。焔は音を立てて派手に吹き飛んだ。
 半ば、自分から飛んでいったようでもある。
 王様ゲームは続く。
「3番の人、この鍋のマシュマロを全て食べてください!」
 グリフィスの指令を受けたのはテトであった。のっそりと動き出すと、陣取っていた憐に「みゃあ」と語りかける。憐がコックリと頷き、鍋に浮かんだ残骸や塊を器にこんもりと盛ると、テトは瞬く間にたいらげた。
 ちなみにこの猫は対キメラ用の実験動物なため、大抵のものは食べられる。
「あ、王様。じゃ、師匠があたしにキース」
 傍若無人に零奈が言うと、焔やガルに竜彦が小突かれだす。
「寮でやれ」
「いや、寮でもやるな」
 見せ付けるだけ見せ付けて、「爆発しろ」「自重しろ」と叫ばれる中、キスが行われた。
「次だ次! ‥‥よし来た俺だ! 六番が王様とポッキーゲーム!」
 焔の轍など踏むはずがないとばかりに、強気にガルが攻め込む。
「あ」
 六番はアークであった。
「おら見たか、おらぁー!」
 ガルが拳を突き上げる。今回の王様ゲームでまとも組み合わせはこれが初である。
 年齢差はあれど男女でポッキーゲームという状況。勢いづいてアークが咥えた反対の端を咥えると、
「あ」
 ポッキリと、早くも折れた。
「いまのなし!」
 という言葉が通るはずもなく、次へ移行。再びの王様で同じゲームをするも、
「お、俺だ」
 マルセルに当たる。
「俺は野郎とこんな事するために参加したんじゃねぇんだ!!」
 叫ぶが、無論のこと、命令は実行される。そして次の王様は竜彦であった。
「俺か。それじゃあ、八番に着替えてもらおうかな」
 ちなみに八番はかざねであった。
 竜彦の携帯品の中から選ばれ、無難に巫女装束を着ることとなる。うまい具合に服を着てもらったこともあり、竜彦は頬を緩めるが、背に刺さる視線にぞわりと震えた。振り返った先の零奈の目が、微かに赤くはないだろうか。
「さっきの続きで一番が一発芸!」
 再び胡々が王様となる。一番はここまで不発であり、悠然と騒ぎを眺めていたUNKNOWNであった。
 UNKNOWNは帽子を少しだけ深く被り、
「芸としてはどうだか判らんが」
 ちょっと部屋を出て戻ってくると、バイオリンを手にしていた。
「ま、嗜み程度だが」
 微かに笑い、弾きだす。一音で雰囲気が変わる。
 嗜み、というが、それにしては巧すぎた。美しく、どこか切ないような、それでいて悲壮感のない音。
(どこかで聞いたような)
 そう思うのも、不思議はなかった。
 パガニーニ・ヴァイオリン協奏曲第2番 第3楽章。いわゆる『鐘』こと『ラ・カンパネッラ』である。 鍋をつつき、酷いのを引いたら、そのUNKNOWNが作ったサラダで口直しをしながら、一同は演奏を聞いた。
 拍手。ささやかな歓声。ちょうど王様ゲームもお開きの時間であった。
「さて、デザートとしようか」
 UNKNOWNはバイオリンを片付けると、紅茶やコーヒーを好みに合わせて淹れ、事前に作っていたニューヨークスタイルのチーズケーキを取り出した。ゆっくり蒸らし、あるいは淹れる。
「終わる前に身体暖めておこう。もう外は寒いから、ね」
 秋摘みの香り高い紅茶の匂いと、コーヒー豆を挽いたばかりのような良い匂いが漂った。鍋にかかりきりだった憐も、そちらへ興味を示す。若干、頬が膨らんでいるように見える。主にマルセルのチョコ型キメラの影響だろう。
 各々、飲み物に口をつけ、ほっ、と息を吐いた。湯気と息の白が広がった。いや、もう一つ。粉砂糖を降りかけられたUNKNOWNのニューヨークチーズケーキが、どこか温かな白を示していた‥‥。

●終わって
「聞いてよ、かざね嬢〜」
 帰るまでの間、酔いの残っている焔は、かざねに泣きながら愚痴っていた。
 かざねは困ったような、それでいて少し楽しんでいるような表情で、焔の言葉を「うん、うん」と聞いている。
「良いもん!毎年こんな感じだけど来年も頑張るもん!」
 涙に頬を濡らしながら叫ぶ焔を、「その意気です!」とかざねは励ます。
「来年、か。今年も何とか生き残れたけど、バグアとの戦いはこれからも続くんだよね」
 焔の叫びを耳にしたアークはつぶやき、
「さーて、来年も無事に忘年会を楽しめるようにがんばらないと」
 そう言って、気合を入れた。
「もう一軒行くか〜、グリフィスさんよぉー」
 雰囲気で酔っているのか、妙な絡み方をするガルに、グリフィスは苦笑しながら相手をする。
「あれ?」
 鍋を片付けようとする途中、竜彦は底の方に食材が残っているのに気づいた。あの憐が見逃すということ自体珍しいが、出汁に隠れてちょうど見えなかったのかもしれない。その余り物は、練り物であった。
「こんなところに」
 覗き込んだ零奈が少し残念そうな顔をした。食べられずに残った鰯のつみれが一つ、あるのだった。
「オットテガスベッタ!」
 竜彦は少々はしたないながら、鰯のつみれをつまみ、口に放り込む。
 なんと言うべきか、零奈は困惑したように眉を曲げ、それから、なにかを気にするように、じーーっと見つめた。
「旨い」
 ポツリと、竜彦が言う。零奈がもう一度聞きたくて「本当?」と尋ねる。竜彦は、また、「旨い」と答えた。
 それから、何気ない口調で、
「あの、さ。なんだかんだでもう夜で、零奈の帰りの便は、明日になる」
「師匠?」
「だから‥‥」
 俺の部屋に、泊まらないか、と、竜彦は言った。
 うつむきがちの髪に隠れた頬が、火照っている。零奈も顔を赤くする。しばらく、押し黙った後、
〈コクッ〉
 と、頷いた。
 誤魔化すように、今日は楽しかった、と言うと、
「俺も零奈と一緒で楽しかったよ」
 竜彦が言い、また、二人で赤面する羽目になった。片づけを終え、二人は手を繋ぎながら、寮へと歩いていく。
「よし、あのカップルを潰そう」
「止めてください」
 竜彦たちの去る方向へ胡々が拳を握り締めると、マルセルが止めに入った。
 呆れたようにマルセルはため息を漏らす。
「俺ももう先輩と呼ばれる立場の人間ですから、いつまでも朝見先輩の世話(?)をしているわけにはいかないんですよ。まったく。少しは成長してください」
 言いつつ「‥‥まぁ、俺は小さいほうが好みですが」などと、マルセルは小声で呟く。
「はぁん、成長ねぇ‥‥」
「なんですか?」
 不吉な予感を感じたのか身を固めるマルセルに、胡々は、ずい、と近寄る。
〈さっ〉
 と、マルセルの頬を、薄く、何かが触れたような感覚が走った。
「つまり、こういうことかにゃ」
 胡々は笑いながら言って、そのまま、トン、トン、と跳ねるように歩き出した。その頬がかすかに赤かった。冬の中、そこだけは雪解けの温度を保っていた。パーティに集まっていたものたちは、いつの間にか個々に消えていた。UNKNOWNの姿は、いつからともなく見当たらない。ロイヤルブラックのフロックコートと、それに合わせたウェストコートとズボンは、夜の暗さの中に溶け込んでいっていた。
「みゃあ」
 どこかで、猫が鳴く。
「‥‥ん」
 猫の隣で、憐は空を見上げた。
 ドームの天井には雪が映っている。実際に降っているのか、どこかの映像を映しているのかは知れない。憐の口に雪が落ちた。桃色の唇の温度に耐えかねて、雪が溶けてはらりと滴った。唇が震え、歌ったかに見えた。
 たとえば、
〈雪ふれば、木ごとに花ぞさきにける‥‥〉
 そんな風に、歌ったのかもしれない。が、
「くしゅん」
 憐はくしゃみをする。どうやら、単にくしゃみが出そうなだけだったらしい。
 猫が鳴く。その声も、どこか歌っているように聞こえた‥‥。