●リプレイ本文
●集まった能力者達‥‥
まだ金色に染まっていないので、辺り一面が緑色の田んぼ‥‥そんな広い敷地内のど真ん中、うぞうぞと行ったり来たりしている泥田坊の姿があった。
「えへへ〜、一緒に頑張ろうね、サキ♪」
「がぅ、お米は大事‥‥がぅ!? れ、レイチー苦しい‥‥」
「あぁ〜ん♪ やっぱりサキの抱き心地は最高〜♪」
最早お馴染みとなったメンバーが揃い踏みとなっており、今もこうしてレイチェル・レッドレイ(
gb2739)と佐倉・咲江(
gb1946)のじゃれ合いが始まっている。
誘き寄せ係として立候補している二人は、田んぼの中へ入る前に【汚れても良い】服装に着替えていた‥‥というか、ぶっちゃけ【水着】である。
「むぐむぐぅぅ〜〜‥‥ぷは!! と、とにかくこれなら汚れても安心‥‥」
「ぁん、もう‥‥あ、向こうに見えるのはパステルちゃんだ♪ やっほー!! パステルちゃ〜ん♪」
『むにゅん♪』とその豊満な胸元から佐倉が顔を引っ張りだすのを残念そうに見ていたレイチェルだったが、すぐに視線を少し先の方へ向ける。
ここの所よく依頼が一緒になる事が多く、いつの間にか友達になっていたパステルナーク(
gc7549)。
その健康そうな小麦色の肌と、レイチェルにも勝るとも劣らない『ツインボム』は‥‥見る者全ての目を引き付けてやまない。
「やっほ〜♪ また今回も宜しく♪ ‥‥それにしても、相変わらずだね〜‥‥レイチェルさん」
「え? ボクの格好、何か変かな〜?」
クスリと笑ったパステルナークを見て、思わず自身の身体を見下ろしてみるレイチェル。
彼女の妖精のように白い肌を包むのは、『とっても』布地面積が少ない黒色マイクロビキニ。
そしてそのあどけない表情と、不釣合いなほどに実っている『ツインメロン』‥‥この三連コンボ、さすがレイチェルさんのマジックコンボだ!!(注:意味不明)
「いや、何だかまた何か起こりそうで‥‥と、とにかく佐倉さんも宜しく‥‥って、佐倉さんまで水着‥‥」
「がぅ‥‥? とにかく時間になったら誘き寄せてくる‥‥援護の方はお御願い‥‥」
よく分かっていない様子で首を傾げている佐倉だが‥‥その幼い身体をビキニで包み、片手にはギターという状態。確かになかなか不思議な光景であることは間違いない。
‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥
「確かぁ〜、本来の泥田坊は‥‥農業を営む老人が田を遺して死んだ末、放蕩息子を怨んで妖怪と化したもの‥‥とのことですねぇ」
「ふむ、そう考えるとただ悪いだけのイメージでは無さそうだが‥‥とにかく依頼はあいつの退治だ。気を引き締めないとな」
ここは囮部隊とは少し離れた農道。
向こうで何やら『いちゃいちゃ♪』している空気が流れてくるのだが‥‥あくまで冷静に敵を分析(?)している宇加美 煉(
gc6845)とエリク・バルフォア(
gc6648)は流石である。
「倒すだけならそんな面倒な相手じゃないんだが‥‥やはりネックはこの田んぼだな」
「流石にバハムートを装着すると稲を倒しそうですよねぇ‥‥とりあえず囮係の人が成功する事を祈りましょうかぁ」
ふむふむと頷くように首を振りながら武器を構えている宇加美の近くでは、何やらしゃがみ込んで田んぼの土を熱心に見ている青髪の女性が一人。
皆と同じく最早常連となっている参加者・アクア・J・アルビス(
gc7588)は、今回も謎のキメラの素材(?)に興味津々な様子であった。
「また変なキメラさんですねー‥‥うん、今回は体の泥でも貰っていくですー♪」
「いや、アクア‥‥あくまで目的は退治だからな? 変な気だけは起こさないでくれ‥‥」
「それは勿論ですー。‥‥全部持って行きたいのは山々なんですけど」
「おやぁ〜、何だか最後にボソッと何か聞こえましたよぉ〜?」
コソコソと後ろに隠している小瓶を目ざとく発見した宇加美だったが‥‥とりあえず今はそっとしておく事にしたようである。
そうこうしている内に、そろそろ作戦開始の時間であった。
「さて、お手並み拝見‥‥と言った所か。しっかりと見ておかないとな」
「おやぁ? もしかしてエリクさんはぁ〜、彼女達の【水着姿】を【しっかりと】見られるつもりですかぁ?」
「いや待て宇加美!? そういう言い方だと、僕がまるで‥‥!!」
「だ〜いじょうぶですー♪ いざとなりましたら私も脱ぎますよー?」
「‥‥頼む、作戦に集中させてくれ‥‥」
思わず水着姿になったアクアと宇加美を想像してしまった彼は‥‥やはり男なのであった。合掌。
●田んぼの泥田坊を誘き寄せろ大作戦!!
「さ〜て‥‥そろそろ頑張らないとね、サキ♪」
「がぅ‥‥足元、少し冷たい‥‥」
ずぶり‥‥ずぶり‥‥と素足で田んぼの中へ入っていくレイチェルと佐倉。
稲をあまり傷つけない為に、キメラをあぜ道の方へ誘導させるのが目的なのだが‥‥やはり歩きづらいのは如何ともしがたい。
対して相手は、稲の事など屁とも思っていないのだ。平気で彼女達に向かって最短距離を進んでくる。
「後もう少し、もう少しで‥‥ひゃん!?」
「がぅ!? レイチー大丈夫!?」
不意に相手が飛ばしてきた泥のつぶてを回避しようとしゃがみ込んだら、その拍子に少し柔らかい粘土の部分へ足を踏み入れてしまったレイチェル。
何とか足を引き抜いたその時には、もうそこまで迫って来ている‥‥!!
「うぅ‥‥あくまで、お米に被害が出ないように‥‥」
「まだ、まだです‥‥今の場所で相手に暴れられると、周囲が根こそぎ倒れてしまいます‥‥」
エネルギーガンを構えたパステルナークがやきもきしている横では、ゆっくりと胸元(!?)から取り出した指揮棒型の超機械を用意している宇加美。
勿論いざとなれば稲よりも皆の身体が最優先なのだが‥‥まだ慌てるような時間では無い。そう、まだなのだ‥‥!!(断言)
「あ、何だか一匹はあちらへ歩いていきましたねぇ‥‥」
「エリクさんとアクアさんなら大丈夫でしょ。‥‥多分」
「目的さえ見失わなければ大丈夫ですよぉ。‥‥多分」
‥‥実に信頼感のあるメンバーであった。
「む、こちらへ一匹向かってくるぞ!! アクア、準備はいいか!?」
「どろどろ〜♪ 泥遊びは案外するとこの年でも楽しかったりするですよー♪」
「‥‥‥‥」
少し離れた農道で何やら泥を手ですくって楽しんでいるアクアを、【カクン‥‥】と音が鳴りそうな雰囲気で肩を落としてしまっているエリク。
農道へ向かってくる三匹のキメラだが、その歩く方向は微妙にずれてきている。結果、自然と農道に散らばるメンバーは四人と二人の、二組編成になってしまっていた。
「囮役の方へ二匹向かってくれているのは幸いだが‥‥何故あいつは違う方向へ歩いている?」
「まー、大丈夫ですよー。きっと頭の中まで泥で出来てるんですからー」
「お陰で僕達が向かう羽目になってしまった‥‥とにかく今はその瓶はしまえ。いいな?」
「はーい、分かりましたー」
未だにマリーが向かっている事に気付いていないエリクは、半分引っ張るようにアクアを連れて進行先の農道へ歩くのであった‥‥
‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥
「ぁ‥‥ぁん‥‥ちょ、ちょっと離してよぉ‥‥身体に、絡み付いてきちゃう‥‥」
「大丈夫!? 今、助けるの‥‥がぅぅ!?」
農道までもう少し、という場所でついに捕まってしまったレイチェルを、何とか助けようと歩き寄る佐倉。
しかし、彼女もまた田んぼに素足という状況。もう一匹が放ってくる泥のつぶてを思わずかぶってしまい、泥だらけになってしまっていた。
そして、レイチェルの方は‥‥何やら【いろいろ】が始まっているようであった(ぁ
「手や、足が絡み付いて‥‥う、動けないよぉ‥‥ぁん‥‥そ、そこは‥‥触らないで‥‥」
「が、頑張るレイチー‥‥がぅ〜!!」
俗に言う【キャットファイト】とは、かくも残酷なものか‥‥荒い息を吐きながらも、何とか抜け出そうとしている彼女に、敵は攻撃の手を緩めない。
佐倉も、もう一匹を確実に農道へおびき寄せようと必死だ。
「んぁっ‥‥どろどろで‥‥でも、何だか‥‥身体が‥‥ん♪」
「が、がぅ!? レイチー!?」
既にビキニは脱がされ、ぬめつく泥にその【メロン】を攻められ‥‥レイチェルは思わず熱い吐息を漏らしてしまう。
しかし、ついにその時はやってくる。ようやく農道へ誘い出す事に成功したのだ。
「こうなってしまえばもう大丈夫ですねぇ〜‥‥いきますよぉ〜?」
「こっちの方は任せて!! 佐倉さん、いっくよ〜!!」
レイチェルの誘き寄せたキメラは宇加美が、佐倉の誘き寄せた方はパステルナークがそれぞれ囮役と一緒に攻撃を開始する。
いくら泥の中では強力な泥田坊とは言え、一旦外へ出してしまえば動きの遅いゾンビのようなものであった。
「ここではやはり〜‥‥剣ですねぇ〜」
「‥‥やっぱりその胸って、異次元空間だ、ね‥‥」
大きく実った【Wスイカ】は四次元空間。胸元からするする〜っと20センチほどの筒を取り出す光景を、半分驚愕の表情で見てしまっていたパステルナーク。
とにかくこちらの戦いはもう決着がつきそうな雰囲気であった‥‥
「く!! アクア、大丈夫か!?」
「はいー、まだ問題無いですよー。なかなかしぶといですー」
既に敵も弱ってきており、最後の力を振り絞って反撃を繰り広げてくる。
勿論エリクとアクアも負けじと、互いの連携を生かして攻撃をしかけていた。
「よし、これで‥‥最後だ!!」
「えーい、大人しくして下さいねー♪」
『グギャ〜〜〜〜〜〜〜!!』
断末魔の叫びと共に、身体を弾けさせて崩れ落ちた泥田坊キメラ。
飛び散った泥が二人に飛び掛り、お互いに泥まみれになってしまった。
「ふぅ‥‥全く、最後まで迷惑をかけるキメラだ‥‥アクア?」
「うふふー♪ これは研究に使えますねー‥‥♪ あん、胸元まで飛び散っちゃってますー」
「‥‥‥」
またもや【カクン‥‥】と肩を落として、無邪気に喜ぶアクアを見ているエリク。
しかし、このまま街に帰るわけにもいかない。とりあえず泥を拭こうとタオルを取り出した彼だが‥‥運命の女神は残酷であった。
「あのー、すみませんー。少し見えないのでお顔を御願いできますかー?」
「ああ、分かった。今行く‥‥む!?」
顔の泥を上手く落とせないアクアの方へ向かって歩き出したエリク‥‥その足元は、既にぬるぬるの泥で大変な事になってた。
しかし彼も能力者、こんな程度であっさりと滑らせる事は‥‥
「ま、マリー!? ‥‥うぉ!?」
「あ、あらあらー!? エリクさんー!?」
視界の端に走ってくる、ここに居る筈の無い彼女の姿。
おもわぬ出来事に気を取られ、つるっと足を滑らせ‥‥アクアを押し倒すエリク、という構図の出来上がりである。
「‥‥な、なんでマリーがここに‥‥」
「い、いえ何と言うかその、仕事の取材というか‥‥」
「そ、そうか‥‥ち、ちなみにこれは、だな‥‥純然たる事故というか‥‥」
「‥‥そ、それじゃあ帰るわね? わ、私はナニモミテナイカラ」
「あらあらー、マリーさんの目が虚ろですよー?」
ちなみに、戦闘よりもマリーの説得の方が時間が掛かったのは秘密である‥‥
●泥をしっかり落としましょう
「や〜〜っと終わった!! お風呂だーっ♪」
「ちょ、ちょっと引っ張らないで〜!!」
「ふぅ‥‥やっぱりお仕事の後の温泉は良いものですよねぇ」
【バシャ〜ン!!】とばかりに元気良く、マリーの手を取って温泉へ飛び込むパステルナーク。
その傍では、ゆったりと湯にその豊満な肢体を疲らせている宇加美の姿があった。
「それにしても‥‥今回は少し汚れましたねぇ」
「そうだね〜。最後は何だか全身が汚された〜って感じになっちゃったし♪」
「‥‥何かしら、この深く考えたら負けみたいな会話は‥‥」
クスクスと笑いながら談笑している二人を見て、頭に浮かんだ考えをぶるぶると振り払うマリー。
そんな彼女達の元へ、後から入ってきたレイチェルと佐倉がやって来た。
「あ‥‥佐倉さんにレイチェルさん、今日もお疲れ様っ」
「がぅ‥‥お疲れ様」
「お疲れ様〜♪ おや〜、何だか少し顔が赤くない〜?」
「そ、そんな事は無いよ〜!!」
一体【ナニ】を思い出していたのか‥‥それはパステルナークにしか分からないだろう。
首を傾げていた佐倉だったが、ふと彼女の髪を見て口を開く。
「‥‥がぅ、まだ少し泥が残ってる。向こうで洗う‥‥」
「え? 気付かなかったよ‥‥それじゃあ洗いに行‥‥」
「うっふふ〜‥‥安心してパステルちゃん♪ ボクとサキとで〜‥‥し〜っかり洗ってあげるから♪」
「‥‥な、何だか嫌な予感が‥‥」
果たして本当にまだ汚れが残っていたのか、真相は闇の中に包まれた‥‥。
そして向こうへ行ってしまった三人の後、【トプン♪】と湯に潜って来たのはアクア。その目の濁り(?)は‥‥どこかレイチェルに似ている(ぁ
「自分よりおっきい人は餌食ですー‥‥餌食ですー‥‥」
「いや、アクアさんだって充分大きいでしょ!? それに最近、何だか行動が大胆になってきてない!?」
思わず自身の身の危険を感じたのか、両腕で身を庇うマリー。
そんな彼女の気持ちなどどこへやら‥‥じりじりと寄って来るアクアの目は、確実にマリーと宇加美をロックオン。
「‥‥何となく、最近女の子でもいいかなーなんて思えてきたですー‥‥♪」
「‥‥ダメだわ。早く何とかしないと‥‥う、宇加美さん!! そろそろ上がった方が‥‥」
しかし、マリーの助けを求める声にも全く動じず‥‥あくまでマイペースに浸かっている彼女。
‥‥というか、もう諦めてしまっているのかもしれない。
「‥‥止めておきましょう。この流れは‥‥止められません」
「う、宇加美さ〜〜ん!!」
「覚悟ですー‥‥餌食ですー‥‥♪」
‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥
「全く‥‥説教をするつもりがとんだ事になった‥‥」
一人ぽちゃんと露天風呂に浸かっているエリクの顔は、何だか戦闘直後よりも疲れているように見える。
タオルを頭の上に置き、静かに息を吐きながら空を見上げている彼は‥‥最近苦労人な一面が出てきていた。
「‥‥まあ、個性的な面々だからな‥‥仕方あるまい」
そう漏らしながら肩の力を抜いた、その時‥‥
「ふふ、パステルちゃんったら〜‥‥こ〜んな所も汚れちゃってる〜♪ 念入りに洗わないと‥‥ね♪」
「ひゃん!? そ、そこは自分で洗えるからいいよぉ〜‥‥ぁ‥‥ん♪」
「がぅ‥‥隅々まで‥‥綺麗に‥‥れ、レイチー!? そこは自分で‥‥ん♪」
「餌食ー‥‥おっきー‥‥ましゅまろー‥‥」
「だ、だからそんなに強く‥‥弄らないで‥‥ぅん‥‥」
「な‥‥なかなかのテクニックです‥‥はふぅ‥‥」
「‥‥本当に、【色々と】‥‥個性的、だ‥‥」
果たして彼の顔が赤いのは何が原因なのか‥‥それは彼の名誉の為に伏せておこう。合掌。