タイトル:大いなる作業・・‥6マスター:優すけ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/08/25 00:14

●オープニング本文


「はぁ〜‥‥あれから一週間ね‥‥。あの子はまだ調合に没頭しているのかしら‥‥?」
 自身の仕事が終わり、片手にはスーパーで買った野菜や缶詰等が入った袋がぶら下がっている。
 夕方の帰り道、マリーがこうして真っ直ぐ自分の家へ帰るのも久々の事であった。と、言うのも‥‥
「それにしても久しぶりね〜。あの子が本気で調合に入り込む時期も」
 そう、リアナは今までに集まった素材をついに調合する時期に入ったのだ。
 火竜の舌に神秘の宝石、幻の花に曰くつきの物質‥‥一見何に使うのかも分からない素材だらけだが、これが彼女にとっての『夢の結晶』になる‥‥らしい。
 本気で彼女が調合に日数を費やす間は、決して邪魔をせず静かに見守る‥‥これは、マリーが昔から付き合っているからこそ理解している行動であった。
 店は既に休業状態、ご飯は初日に一週間分を冷蔵庫に保存してある。それもそろそろ尽きかけている頃であろう。
「‥‥それじゃ、そろそろ顔を出してみましょうか」
 軽く呟いたマリーは、そのまま足をリアナの店へ向けるのであった。


‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥

     『カランカラン〜〜♪』

「ちょっとリアナ〜? まだ生きてる〜?」
「は〜い♪ しっかり生きていますわよ〜♪ もうお腹が減って死にそうです〜♪」
 『閉店休業中』と書かれたドアを、自身の合鍵で開けて中に入るマリー。
 大きな声で奥に声をかけると、中から相変わらずの間延びしたリアナの声が聞こえてきた。
「全く‥‥相変わらず量のペースを考えずに食べてたんでしょ。きちんと保存の事も考えて用意してたのに」
「そう言われましても〜、美味しいものは真っ先に食べたくなるんですわ〜‥‥」
「は〜いはい。それじゃ作業を止めれる部分で止めて、さっさと手を洗ってきなさい」
 ドサッと買い物袋をカウンターの上に置き、テキパキと食料を冷蔵庫や戸棚に放り込んでいく。
 ‥‥ちなみに、見事なくらいに中身はカラッポであった。
「全く‥‥あ、そういえば今までに手伝ってくれた人達にも何か御礼しなくちゃね‥‥でも何処で‥‥」
「あらあら〜、それなら折角ですし『ココ』でしませんか〜?」
「きゃ!?」
 いきなり後ろから声をかけられ、『ビクッ!!』と飛び上がるマリー。
 思わず持っていたトマトの缶詰を取り落としてしまう所だったが‥‥そこはギリギリの部分でしっかりと持ち直す。
「あんた戻ってくるのが早すぎなのよ!! ちゃんと洗ったんでしょうね〜!?」
「勿論ですわよ〜? しっかりと『手』はキレイに洗いました〜♪」
「‥‥リアナ。あんた、ちゃんと毎日お風呂は入ってる‥‥?」
「‥‥さ〜て、今日の晩御飯はなんでしょ〜♪ 私楽しみですわ〜♪」
 ジト目になっているマリーの目を掻い潜るように、まな板の上に広げていく材料を覗き込むリアナ‥‥その時点で答えは明らかであろう。
 今更だが、リアナは一度こうなると他の事が完全に無頓着になってしまう。
 食べ物をペース配分も考えず食べてしまったり、気が向いたときにしかお風呂に入らなかったり‥‥
「一体私は何度『全く‥‥』って言葉を繰り返すのかしら‥‥全く」
「うふふ、今晩は久しぶりに作りたてパスタですわね〜♪ 楽しみです♪」
「‥‥はぁ」
 とにかく、こうして一週間ぶりの二人の晩餐が始まった。




「そうそう、さっき言ってた『御礼』なんだけど‥‥どうする?」
「そうですわね〜。まだ完成していない内から考えるのも変ですけど‥‥と言いますか、何だか予定していたものとは別のものが出来そうで‥‥」
「あら、もしかして失敗?」
「う〜ん‥‥それがまだ何とも言えませんわ〜。確かオクスリを作っていた筈が、何だか段々『結晶』みたいになってきまして‥‥」
「結晶、ね〜‥‥」
 チュルンとパスタを吸い込んで首を傾げている彼女を見て、マリーも一緒になって考え込む。
 まあもし失敗していたら、リアナはもっと慌ててバタバタしているだろうから‥‥作業自体は順調なのだろう。
「‥‥ま、これがエリキシルです〜って言っちゃダメなの?」
「それはダメですわ。何より研究者としての私の何かがそれを許せません」
「そ。とりあえず完成予定が一週間後。ボチボチ考えましょ」
 コクンとジュースを飲み干したコップを置き、にっこりと笑うマリー。
 そうやって一週間後、名目は『エリキシル(?)完成おめでとうパーティー』を開催する事となった。だが、その前に‥‥



「全く‥‥最後に入ったのはいつなの?」
「え〜と〜‥‥三日ほど前でしょうか〜?」
「だからこんなに‥‥ほら、石鹸貸しなさい。‥‥あ〜もう、もっと腕上げなさい」
「はい〜。‥‥ぁん♪ とってもお上手ですわ〜♪」
「だから一々変な声出さないの!! もっと力入れないと汚れ落ちないでしょ!?」
「あらあら〜♪ もっと強くされるのですか〜? 私、もうダメです〜♪」
「‥‥絶対あんた、からかってるでしょ‥‥!!」

●参加者一覧

キド・レンカ(ga8863
14歳・♀・EP
佐倉・咲江(gb1946
15歳・♀・DG
常木 明(gc6409
21歳・♀・JG
エリク・バルフォア(gc6648
18歳・♂・ER
パステルナーク(gc7549
17歳・♀・SN
アクア・J・アルビス(gc7588
25歳・♀・ER

●リプレイ本文

●食事は楽しいものです♪
 ここはすっかりパーティー会場となったリアナの店。
 集まった能力者達も、思い思いの料理に心から舌鼓を打っていた。
「長かった様な短かった様な‥‥でも、これで全部終わりって雰囲気がしないのがリアナさんなんだね‥‥」
「そ、そうなんですか‥‥? 私、会うのは初めてですので‥‥でも、とても楽しい方ですよね‥‥」
 のん気にちびちびと冷酒の入った杯を傾けている常木 明(gc6409)の声を聞いて、持ってきた杏仁豆腐をテーブル上に置いていたキド・レンカ(ga8863)がにっこり微笑む。
 少し気弱そうな雰囲気に見える彼女だが、つい先ほどお祝いとして『思いっきり大きな音で』爆竹を鳴らしていたり、皆に『チャイナドレス』を着せようとしていた性格を見ると‥‥意外と大胆なのかもしれない。
「それにしても『エリキシル』、ねぇ‥‥何だかこれを見ていると、別の『何か』を想像してしまうんだけど‥‥」
「別の何か、ですか‥‥とっても難しいです‥‥。こうして見ている限りは‥‥綺麗な石なんですけど‥‥」
「ふふ‥‥まあね。でも、普通『オクスリ』っていったら液体か何かだと思うんだけど‥‥」
 レンカが首を傾けているのを見て、くすっと笑った常木がもう一つの杯を持って彼女に渡す。
 そして持っていた徳利を傾け‥‥ゆっくりとお酒を注いでいった。
「あ、あの‥‥常木さん‥‥?」
「まぁ、細かい所は気にしないでおこうさ。それより‥‥レンカさんも飲めるんでしょ?」
「は、はい‥‥一応年齢的には‥‥」
「それじゃ、とりあえず一杯‥‥ほらほら、しっかり持って‥‥」
 少し物怖じしながらも、おずおずとレンカは彼女のお酒を受けていく。
 まだ、パーティーは始まったばかりである。



「わーい、パーティーですー♪ たっくさん楽しみますよー♪」
「あらあら、とっても楽しそうですわね〜♪ お誘いした甲斐がありましたわ♪」
 目の前に並べられているご馳走を前に、目をキラキラと輝かせながらお皿を持っているアクア・J・アルビス(gc7588)の横では、リアナがのほほんと微笑みながらワインを傾けていた。
 今日はリアナにとって、まさに一番の祝い事‥‥今日ばかりはお酒もしっかりと飲むつもりであった。
「あ、そーです。 完成品はどこにあるのですかー?」
「うふふ、あちらの中央にあるケースの中ですわよ。存分に見ていって下さいな♪」
「ありがとーです♪ ではでは早速‥‥♪」
 ちょこちょこと歩いて行くアクアの顔は少し赤い‥‥どうやら彼女もしっかりと飲んでいるようであった。
 そんな彼女の後ろ姿を見送ったリアナの元へ、『とてとてとて〜!!』といった雰囲気で走ってくる小柄な少女。
 その両手には、それぞれ山ほどの料理を盛り付けた大皿が載っている。
「がぅ!! いっぱい食べる。まずは全種類制覇する‥‥!!」
「あらあら、佐倉ちゃんも楽しんでくれているようで何よりですわ♪ ‥‥ふふ、ほっぺたにソースが付いていますわよ?」
「がぅ‥‥ありがと‥‥。リアナ、今日は誘ってくれてありがとう。後、完成おめでとう」
 リアナにハンカチで口元や頬を気持ち良さそうに拭かれている佐倉・咲江(gb1946)。
 出ている料理は全て食べ尽くさんと言わんばかりに、物凄い勢いで食べ物が口の中へ消えていく。
「結構美味しい‥‥リアナも一緒に食べる」
「はいはい、勿論ですわ。ではそのから揚げを‥‥」
 そっと箸を大皿に伸ばそうとしたリアナの手を、そっと佐倉が押しとどめる。
 そして、自分の取った皿に載っている分を摘んで‥‥
「から揚げ‥‥リアナ、あーん」
「あらあら、優しい子ですわね〜♪ では、お言葉に甘えまして‥‥うふふ、美味しいですわ♪」
「あー!! 佐倉さんだけズルイですー!! 私も『あーん♪』ってするですー!!」
 頬に片手を当てて満面の笑みでから揚げを頬張っている姿を見て、戻ってきたアクアが対抗せんとばかりに自分の料理を持ってくる。
 美女・美少女がこぞって『あーん♪』の応じあい‥‥実に見ていて華のある光景である(断言)。




「ところでマリー‥‥どうみても石にしか見えないんだが‥‥本当に薬なのか、これ」
「わ、私に聞かれても‥‥あの子がそう言うんだったらそうじゃないの?」
「むぅ‥‥」
 さっきまでアクアが物凄い興味で見つめていたこの『エリキシル』を、どこか胡散臭げな様子で眺めているエリク・バルフォア(gc6648)とマリー。
 お互い思うところは同じ様だが‥‥きっと深く追求したら負けなのであろう。
「そういえば、文献によると『賢者の石』って物質があるらしいが‥‥リアナはそれを参考にしたんじゃないのか?」
「また不可思議な名前が出てきたものね‥‥そんなの実在するの?」
「分からん‥‥とにかく、そう言った物もあると言う事だ」
 それだけ呟いて、持っていたワイングラスを傾けるエリク。
 マリーもその方面には詳しく無いのだが‥‥後で聞いてみようかと心に留めておくのだった。
「あ、そういえば少しお料理が減ってきたわね。少し台所に‥‥」
「おっ待たせ〜!! 箸休めにザワークラウトとブリヌイはど〜かな〜!?」
 マリーが呟いたその時、まるでタイミングを計ったように台所から料理皿を持って飛び出してきた『褐色巨乳美女』パステルナーク(gc7549)。
 さっきまで台所に引っ込んでいた彼女は、どうやら場を見計らって追加料理を作っていたらしい。
「あら、美味しそうじゃない。これって、キャベツのお漬物みたいなもの?」
「そ〜だよ。 それでそれで〜、こっちがロシア風のクレープみたいなの♪」
「ふむ、これは美味しそうだ。‥‥うん、なかなか程よい酸味だ」
 エリクも思わず舌鼓を打っている横で、パステルナークがちょいちょいとマリーを呼ぶ。
「ん? どうかしたの?」
「ふふふ‥‥良かったら〜、今から一緒に踊らない? というか〜、もう逃がさない♪」
「え、え!? ちょ、ちょっといきなり引っ張っていかれても〜〜!?」
「は〜い皆さ〜ん♪ 今から『青い二連星』マリーとパステルナークが踊りま〜す♪」
「な、何よその名前!?」
 ぐいぐいと強引にマリーの手を取って皆の前に引きずり出していくパステルナークの姿を見ながら、エリクは深くため息を付いていた。
「‥‥生きて帰って来い。マリー‥‥」




●被害にあうのはだれだ?
 そして舞台も中盤に差し掛かり‥‥いよいよメイン(?)イベント。
 かの有名な番長さえもノリノリでプレイしたゲーム、それが‥‥!!
「行き渡りましたわね‥‥それでは〜、お〜さまだ〜れだ♪」
「うふふー♪ 私ですねぇー♪」
 アクアが持っていた赤い印の割り箸を大きく掲げる。
 誰が王様になり、誰がどんな被害に合ってしまうのか‥‥それは、まさに神のみぞ知るゲーム(ぇ
「それでは、この箱からー‥‥ナニが出ますでしょうかー♪」
「‥‥頼む、僕には当たらないでくれ‥‥嫌な予感しかしない‥‥!!」
「が、がぅ‥‥ドキドキもの‥‥」
 エリクと佐倉が固唾を呑んで見守っている3つの箱。
 それぞれ番号が書かれた札が入った箱2つと、命令が書かれた指示書が入っている箱。
 自身で命令を出すのが苦手と言う人も多いので、困った人はこの箱を利用する事にしているのだ。
「ではではー‥‥3番の人がー、5番の人にー‥‥マッサージー♪」
「おやおや、3番だね。それであちきにマッサージされる幸運な人は誰かな?」
「うぅ‥‥私‥‥」
 常木が面白そうに周囲をみやると、目の幅涙を流して手を上げているマリーの姿。
 そんな彼女を見て、クスリと妖艶な笑みを浮かべてにじり寄る常木‥‥しっかりと事前に根回しはしておいたので、自身がされる方になるのは少ない筈であった(注:反則である)。
「ふふふ‥‥それじゃ、そこにうつ伏せになってね。‥‥おや、なかなかこってるんじゃない?」
「ん‥‥そ、それはまあ‥‥はぅ‥‥色々と‥‥あるんだから‥‥ぁ‥‥♪」
「オット、アシガスベッチャッタ。酔うのは怖いね〜♪」
「ちょ、ちょっと何いきなりわざとらしく後ろから抱き付いてるのよ!? もう良いから離れなさい〜!!」
 耳元で息を吹きかけられ、ビクビクッと身体を震わせたマリーが顔を真っ赤にして起き上がる。
 ほんの少しだけつまらなそうな顔をした常木だったが、どこか満足げなのはこれ如何に。



「さ〜て、次は私が引きますわね〜♪」
 リアナが満足げに引いた内容は、4番が6番に‥‥1分間抱き合う、であった。
「こ、これは‥‥!?」
「が、がぅ‥‥が、頑張る」
 驚愕の表情で目を見張るレンカと、少し頬を赤くしながらもやる気を見せている佐倉。
 お互いの身長差がある為、レンカが椅子に座ってその膝の上に座る形を取ったのだが‥‥
「は、はぅ〜‥‥」
「がぅ‥‥レンカ、温かい‥‥」
「!? そ、それはその‥‥少し、恥ずかしいです‥‥」
「‥‥‥‥ぎゅ」
「‥‥‥♪」
 最初は恥ずかしくて思わず泣きかけていたレンカだったが、無邪気に抱きついてくる佐倉を抱きしめているうちに、どこか母性本能が出てきたのかもしれない。
 その暖かな抱擁は、1分を過ぎてもまだまだ続けられていたのであった‥‥




「僕が王様か‥‥王様なら当たる事は無いからな。一安心だ」
 しっかりと死亡フラグ(?)を立てたエリクが、ほっと胸を撫で下ろして札を引くと‥‥1番が王様にまたもやマッサージをしてもらう、であった。
「な、なぜだ!? 誰が2番目の箱に王様を入れた!?」
「ほらほら♪ ちゃ〜んと私にマッサージをしてよね、お・う・さ・ま♪」
 パステルナークが『にっこ〜♪』と笑いながら、簡易ベッドにうつ伏せになる。
 驚愕の表情で背中を見つめている彼を見ながら、後ろのほうでボソボソと話し声が‥‥
「‥‥ちょっとアクア、あれって確か間違って書いてしまった札よね‥‥?」
「はいー‥‥まさか、あの中にもう入ってしまっていたなんてー‥‥」
「‥‥そこの二人、後でしっかりと話があるからな‥‥」
 ビクッと飛び上がるマリーとアクアを尻目に、そっとパステルナークの背中へ手を伸ばしていくエリク。
 腰までしか無い開襟シャツはあらかじめ脱いでおり、ほとんど背中部分が丸見えなのだが‥‥問題はそこでは無い!!
「‥‥‥!!??」
「あれ〜? 早くしてよ〜♪ 手が止まってるよ〜?」
 少しお酒で頬を赤くしている彼女がにこにこと笑っているが‥‥そんな彼女のうつ伏せ状態から覗く『ハミ乳』の破壊力はダテではない。
 ほんの少しマッサージの手を動かすだけで、すぐにでもその柔らかさが堪能出来る状態‥‥!!
「く、くぅ‥‥!! 落ち着け‥‥あくまでマッサージ‥‥何も疚しいことは‥‥」
「ん‥‥ふぁ‥‥じょ、上手だね、エリクさん‥‥何だか、熱くなってきちゃった‥‥ぅん♪」
「‥‥頼むから、もう黙ってくれ‥‥!!」
 こうして1分間のマッサージは無事に(?)終了したのであった‥‥合掌。



●お片づけ、そして‥‥
 それから約1時間、嬉し恥ずかしのゲームは終わりを告げた。
 あれからもアクアがリアナと一緒に頬を押し付けあったり、キドが常木に妖艶に迫られて思わず半泣きになってしまったりと‥‥お酒の勢いも手伝ってか、実にわいわいとした時間となった。
「さて‥‥そろそろ終わりね。リアナ、最後に何か一言言いなさいよ」
「ふふ、そうですわね。それでは‥‥」
 しんと静まった店内。
 そんな中、リアナはにっこりと微笑んで‥‥
「長い話は先生のお小言だけで充分ですので‥‥簡単に一言だけ。皆さん、本当にありがとうございました〜♪」
「ちょ、それだけ!?」
「まあ良いじゃないか。リアナらしい」
 エリクがぽんとマリーの肩を叩き、そのままパチパチと手を叩き始める。
「ふふ、まあ何かあれば何時でも行くからさ」
「がぅ‥‥おめでとう‥‥」
「本当に‥‥おめでとうございます‥‥」
 常木がふっと微笑み、拍手を続ける。
 その後に続くように、満面の笑みで佐倉とレンカも手を鳴らし始めた。
「まだまだ色々と私、気になりますけどー‥‥また次の時ですー♪」
「だね。私達も、これから最後の戦いが待ってるんだし!!」
 アクアとパステルナークが最後まで拍手を続け、簡単な締めとなる。
 そっとマリーが見たリアナの横顔は、今までで一番の笑顔であったという‥‥。


‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥


「ん‥‥ぁ‥‥佐倉ちゃん‥‥お上手ですわね‥‥♪」
「がぅ‥‥私も、やられてばっかりじゃないよ‥‥ちゃんと、前も後ろも‥‥」
「そ、そこは自分で‥‥ぁん‥‥♪」
「‥‥ここ、まだ汚れてる‥‥がぅ」
 泡だった身体を優しく揉みほぐし、佐倉の小さな手がリアナの全身をねっとりと洗っていく。
 敏感な肌を直接撫でられ、火照った顔のリアナの口から熱い吐息が漏れ出し‥‥



「‥‥あ〜んた達〜!! さっさと洗って出てきなさ〜〜い!!」
「ぁん、もう‥‥仕方ありませんわね〜」
「がぅ‥‥もう、充分綺麗になった‥‥」
 お風呂のドアを『ドンドン!!』と思いっきり叩かれ、湯船の横で洗いっこをしていた二人は立ち上がる。
 今は片付けも終わり、汚れているだろうとリアナが皆にお風呂を貸し出していたのだ。
 ‥‥決して疚しい事は無い(断言)。
「全く‥‥あの子達は紛らわしいのよ‥‥」
「‥‥全くだ。色々と気をつけて欲しい」
「‥‥? エリク、どうかした?」
「‥‥何でも無い」
 何故か天井を睨みつけているエリクだったが‥‥意図は不明であった(涙


「へ〜、ここって結構広いんだね〜」
「私はこの石がまだ気になりますですー♪」
「その石って、何だかお話に出てきそうな石だね〜」
「出来れば作っている所を見たかったんですけどー‥‥」
 店の奥の居住区にある部屋で、まだじ〜っと『エリキシル』を見ているパステルナークとアクア。
 先にお風呂を上がった二人は、髪が乾くまでここにいるのであった。
「不思議な色、です‥‥一体、何を材料に‥‥」
「え〜と、竜の舌に希少な花、後は宝石と‥‥石?」
「そ、そんな物で‥‥? こ、これは‥‥」
 レンカが驚愕の表情で石を見ていると‥‥そこへ常木も会話に加わる。
「ま、世の中には色々な事があるものさ。‥‥それより、後で一緒に入る?」
「は、はい‥‥そ、そうですね‥‥」
「ふふ、安心しなよ? もうあんな事はしないから、ね?」
 先ほどの『事』を思い出したのか、ビクッと身体を震わせるレンカを見て苦笑いする常木。
 そんな様子を見て、パステルナークもアクアもクスクスと笑うのであった‥‥





 きっと、これからもリアナは研究を続けていくのだろう。
 それがいつ終わるのかは分からないが、一つの目標を遂げた彼女に諦めの言葉は無い。
 そして、伝説が始ま‥‥


「ちょっとちょっと!? 何変なエピローグが流れてるのよ!?」
「うふふ‥‥ここはやっぱり、『後もうちょっとだけ続くんです♪』って言うべきでしょうか?」
「‥‥一体どこのアドベンチャーよ‥‥」