タイトル:大いなる作業‥‥外伝マスター:優すけ

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 4 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/06/05 11:27

●オープニング本文


「〜〜〜♪ やっぱり一人酒よりもマリーと飲むお酒の方が楽しいですわ〜♪」
「ま、それは否定しないけど‥‥ていうか、一人酒はアル中への第一歩よ?」
 ここはいつもの酒場‥‥今日も取り留めの無い会話でお酒を楽しんでいるリアナとマリーである。
 周りは能力者や旅人風の面々で盛り上がっている様子だが‥‥ふとある会話が二人の耳に入ってきた。


「そういや以前どっかで聞いたんだが‥‥何でも向こうの火山のドラゴンが倒されちまったらしいぜ?」
「マジかよ!? 確かそいつって無茶苦茶強いって噂の奴だろ!? ‥‥きっとドラゴンも跨いで通るような極悪人間だな、うん」
「ギャハハハハ!! 略して『ドラまた』ってか!?」


 どうやらかつての『依頼』の話が、尾ひれと翼を持って滝登りをしている様子。
 そんな会話が耳に入った『ドラまた集団』の張本人一号がひょっこり首を傾げる。
「あらあら〜、何だか凄い噂になっていますわね〜。でも極悪というのは‥‥あら〜、どうかしましたか〜?」
「‥‥何て言うか、こうやって変な伝説が作られていくのよね‥‥」
 二号ががっくりと項垂れて残りのワインを飲み干す横顔を、不思議そうな顔で見つめる一号。
 そんな彼女達の様子を知ってか知らずか、マスターがグラスを布巾で磨きながら近寄ってきた。
「どうしたんだい、あんたら? 何だか辛気臭い顔してるじゃねえか」
「べ、別に何でも無いわよ。‥‥ん? このお酒は?」
 マリーがふと気付いた前には、一杯のワインが置かれている。
 そしてそれは隣のリアナにも同じくであった。
「まだ追加は頼んでないけど‥‥?」
「まぁまぁ気にすんなや。ちょっとした奢りって奴よ。‥‥ま、何も無いって事じゃね〜が」
「あら〜、お悩み事ですか〜?」
 リアナが何の迷いも無くグラスを取って口につける。
 その様子を見て軽くため息をつくも、マリーも同じくグラスを傾け‥‥その数瞬後、マスターが何やら言いにくそうに口を開いた。
「あ〜、何て言うかだな〜‥‥さっきの話、聞いてただろ? あの山のてっぺんにだな、ある花が咲いてるんだよ」
「花‥‥? 何でマスターが花なんか‥‥」
 マリーが首を傾げるも、構わず話を続けるマスター。
「その花なんだが、話によると『逆惚れ薬』みたいな効能があるらしいんだよ。それをだな、ちと取って来てもらえねえか?」
「あらあら〜? 『逆』惚れ薬、ですか? どうしてそのような物を‥‥」
 あくまでコソコソ話である為、声のトーンは落としてあるが‥‥リアナも少し疑問顔である。
 その後で、急にすっと顔の表情が無くなるマスター。その様子は‥‥まさしく『ドラまた』と言っても過言ではない空気を醸し出していた。
「‥‥最近、俺の娘にチョッカイを出そうとしている輩がいる。そいつは何回叩き出してやっても止めねえ。こうなったら奥の手だ‥‥最終手段、あんたらに頼むってわけよ」
「さ、最終手段って‥‥ちょっと‥‥」
 普段マスターにどう思われているか分かってしまったマリーだが、今はそう言っていられる事態ではない。
 なんせリアナの目が、見事に輝いてしまっている‥‥恐らく自分の知らないクスリを作る事に我を見失っているのだろう。
「うふふ‥‥恩のあるマスターさんにそこまで頼まれては仕方ありませんわ〜♪ こうなったら私達も人肌脱ぎましょうか〜♪」
「だ、だからまた登るの!? あそこを!? しかも今度は頂上まで!?」


 決して体力に自身のある身体では無い二人だけに、不安の方が大きく膨れ上がる。
 しかしリアナがこうなってしまった以上、行くしかない‥‥せめて水とクスリだけはしっかり準備しなくては、と肩を落とすマリーであった。

●参加者一覧

佐倉・咲江(gb1946
15歳・♀・DG
常木 明(gc6409
21歳・♀・JG
エリク・バルフォア(gc6648
18歳・♂・ER
宇加美 煉(gc6845
28歳・♀・HD

●リプレイ本文

●登頂前夜‥‥
 普段なら倍の人数で登っても大変だと言うこの山‥‥今、麓のキャンプ場で準備をしているのは、リアナとマリーを除けば4人であった。
「う〜ん、流石に今の時期は忙しいのかもしれませんねぇ。まあ私は全く大丈夫なのですけど〜」
「まあ今ある戦力で出来る最大限の事をするだけだ‥‥っと、御飯が炊き上がったぞ」
 周囲をぼ〜っとした雰囲気で見回している宇加美 煉(gc6845)の横で、しっかりと飯ごうの様子を伺っていたエリク・バルフォア(gc6648)が皆に声をかける。
 明日からの山登りに備えてしっかりとスタミナを付けるべく、今晩の夕食はマリー特製カルビ丼であった。
「よいしょっと‥‥でも、忙しい時にごめんなさいね?」
「いや、全く気にしなくて良い。僕達はいつ何時こうなっても大丈夫なように鍛えられている」
 マリーが振るっていたフライパンを止めて、組み上げられた鉄製の台に載せながら苦笑いをしている。
 彼女にとっては初めての事だろう、なかなか不安を隠せない顔をしていた‥‥それを感じ取ったのか、エリクがそっと近寄って耳元で囁く。
「‥‥それに、僕もそのマスターの気持ち‥‥分からなくも無いからな」
「え‥‥? ちょ、ちょっとそれって‥‥やっぱりその‥‥」
 『深い意味』を感じ取ったのか、思わず顔を赤くしたマリー。
 そして、その変化を見逃すような宇加美では無い。
「おやおや〜、明日から暑い山を登ろうと言いますのに、今お熱くなっては大変ですねぇ♪」
「ば、バカじゃないの!? いきなり何を言い出してるのよ!!」
「‥‥む、そろそろ常木達を呼びに行かねば‥‥」
 暗い中でも分かるくらいに顔を真っ赤にさせて怒鳴るマリーに、何やらいそいそとその場を離れようとするエリク‥‥そんな二人をますます面白そうな雰囲気で見ている宇加美であった。




「明日は山登りですわね〜。常木さんは体調万全ですか〜?」
「まあ、ね‥‥それにしても、リアナさんも好きだね〜‥‥ホント」
 周囲の警戒をしている常木 明(gc6409)の元へ、カップに入ったコーヒーを持ってきたリアナが微笑みかける。
 何回か来た事のある経験上、ここはあまり夜に攻められる心配は無い場所ではあるが‥‥いつも通り油断せず見張りを続けていた。
「あら〜、何だか少し元気がありませんわよ〜? 今回はいつも以上に頑張ってもらわないといけませんし♪」
「‥‥や、ホントに元気だね‥‥リアさんは」
 どこかマリーの気持ちが分かったような気がした常木だが‥‥その時、反対方角を見張っていた佐倉・咲江(gb1946)がちょこちょこと歩いてきた。
 彼女もいまや立派なこの依頼の常連。つまり最後に『何が』あるのか、しっかり分かって参加をしているようである。
「がぅ‥‥そろそろご飯。エリクさんが呼んでる」
「はい、分かったよ‥‥佐倉さんは何だか、少し乗り気?」
「がぅ、成功させないと温泉入れないし頑張る‥‥温泉最高」
 無表情に見えても、あくまで感情を出すのが苦手なだけ‥‥そんな彼女の性格をしっかりと理解し始めている常木は、どうやら近寄ってきた足取りから感じ取ったらしい。
 そんな佐倉を見つけたリアナは‥‥いきなり何の前触れも無く『むぎゅ〜〜♪』っと佐倉を抱きしめていた。
「が、がぅ‥‥!? り、リアナさん‥‥!?」
「うふふ〜、明日は頑張りましょうね〜♪ 後でちゃ〜んと温泉に入るんですから〜♪」
「‥‥リアナさん、それ少しフラグ入ってるから‥‥」
 顔を赤くしたり青くしたりしている佐倉の顔を見ながら、軽くため息を吐く常木であった‥‥



●いざ、山登り‥‥
 流石に三回目とあってか、マリーのナビゲートも慣れたものである。
 しかし‥‥それでも慣れないのはこの暑さ。

「‥‥熱い‥‥暑いじゃなくて熱い‥‥」
「う〜、何だか胸の辺りが蒸れてきそうです‥‥パタパタ」
「‥‥頼む宇加美。せめて僕の見えない所でやってくれ‥‥」
「がぅ‥‥だいなまいと‥‥ぼでぃ〜‥‥」

 疲れたような会話からも分かるように、若干項垂れた様子でミネラルウォーターを飲んでいる常木に、はちきれんばかりの胸元をぱたぱたと動かしている宇加美。
 そしてそんな中、唯一の男であるエリクががっくりと肩を落としている横では、佐倉がますます無表情のまま宇加美の『それ』を見上げていた。
「むぅ〜、私も負けていられません〜‥‥あら〜? 何をしているんですか〜?」
「べ、別に何でも無いわよ!? あ〜あ〜!! やっぱりここは暑いわね〜!!」
 何やら慌てた様子で大きな声を張り上げるマリー‥‥その胸元のボタンが若干外れかかっていたのは秘密である。
「と、とにかくそこの畝を越えたら広い場所に出るわ。そこで一休み‥‥」
「‥‥とはいかなそうだな。敵だ」
 不意に彼女の言葉を遮って空を見上げるエリク。
 その先からこちらへ向かってきたのは‥‥!!
「あらあら〜、あの時のドラゴンさんですか〜?」
「いや、そのミニバージョンだね‥‥でも今回は複数いるみたいだよ」
 常木が急いで全員を畝の先の広場へ誘導すると、すぐに戦闘態勢を取る。
 人数が少ないだけに、長期戦や無理は禁物である。と、なると‥‥
「がぅ‥‥とにかく、近寄らせずに速攻で終わらせる‥‥」
「ですねぇ〜。ではまずこちらから行かせていただきましょ〜♪」
 佐倉と宇加美も武器を構えて、敵を迎え撃つ準備を整える‥‥そして、戦闘が始まった。



「とにかくある程度倒したら、さっさと退却だ‥‥よ!!」
「ああ。数が減ったら逃げやすくもなるだろうしな‥‥おっと!!」
 常木が後ろから拳銃で射撃をしている間に、エリクがリアナ・マリー周辺を徹底的に護衛。
 4人で一般人2人を護衛する‥‥これは思っていた以上に大変であった。
 なんせ攻撃も防御も普段の半分である上に、相手は全くお構い無しに火の息を吹きかけてくるのだから。
「ま、結局は強いだけのトカゲなんだけど‥‥小さい分、戦いにくいねぇ〜」
「‥‥動き回って鬱陶しいなら、動きを止めればいい。簡単な理屈だ‥‥な!!」
「ふふ、確かに簡単だね。簡単過ぎて涙が出そうだ‥‥よっと!!」
「ひゃう!? ちょっといきなり‥‥きゃ〜〜!!」
「あ、あらあらあら〜〜!?」
 エリクと常木が息の合った動きでマリーとリアナを抱えてその場を飛び退る‥‥数瞬後、その場を襲い掛かるブレス。
 威力はあのドラゴンほどでは無いにせよ、一般人が受けて無事で済むレベルでは無い。
「あ、ありがと‥‥な、何か弱点は無いのかしら‥‥あ」
「そうだな‥‥リアナなら何か分かるかも‥‥む」
 飛び退った先で、超至近距離で見詰め合う男と女。
 ここが戦場と言う事を忘れさせるかのような甘い空間が広がり‥‥
「いや、広がっちゃダメでしょ‥‥もっとこう、マジメにだね‥‥」
「あ、あの〜‥‥常木さん? その〜‥‥」
「‥‥あちきに他意は無いよ? うん」
 はぁ〜っと息を吐いている常木だが‥‥その両腕はしっかりとリアナを抱きしめている格好である。
 もぞもぞと居心地悪そうに動いているリアナだが、その揺れる巨峰同士が潰れ合う様は‥‥充分ここを戦場を忘れさせる効果があるのは間違いない(断言)


「‥‥届かないなら伸ばせば‥‥がぅ?」
「おや〜、それはもしかして‥‥失敗ですねぇ〜」
「‥‥がぅ〜‥‥」
 飛び上がった敵を目掛けて竜の息を発動!! ‥‥の筈だったのだが、残念、超機械には効果が無い。
 見事なドジッ娘ぶりを見せ付けてくれた佐倉の後を追うように、宇加美が超機械を発動。
「ブレスとかは髪が焼けてしまうのですよぉ‥‥髪は女の命ですよ〜?」
「がぅ‥‥命は大切。だから‥‥突撃ラ●ハート‥‥!!」
 佐倉が両手で抱えるように持っていたエレキギター‥‥もとい超機械をかき鳴らすと、近寄ってきた敵が驚いたように飛び上がっていく。
 その隙を狙って【バハムート】を着込んだ宇加美が前衛として【白鴉】を起動させ、敵の再接近を許さない。
「がぅ‥‥私の歌、もといギターを聞け〜‥‥?」
「うぅ〜ん、どちらかというと〜、どこかの軽音楽部の後輩のような雰囲気が〜‥‥」
「‥‥がぅ?」
 宇加美がぽつりと呟いた言葉に、ひょっこりと反応する佐倉の雰囲気は‥‥今のネコミミが非常に似合って仕方ない(ぇ
「とにかくそろそろ逃げるですよぉ。数も減ってきましたし〜」
「‥‥潮時‥‥がぅ」
 頭の中に浮かんだ映像(注:ネコミミ+制服ツインテールバージョン)を脳内保存した後、宇加美は佐倉と一緒に撤退を開始するのだった‥‥



‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥


「や、やっと山頂ね‥‥長かったわ‥‥」
「全く、流石にボロボロだよ‥‥皆、大丈夫かい?」
 マリーが息を切らして山頂の岩へ腰を下ろすと、それに続くように常木達がぞろぞろと登ってくる。
 既に山頂はすっかり日が落ちており、周辺はかなり暗くなっている。
「下手に歩くと危ないですよぉ? 散策は明日の朝にしましょ〜」
「そうですわね〜‥‥敵さんも夜はあまり現れないのでしょうか〜」
 宇加美がカンテラを地面に置いてキャンプの準備を始める横で、のほほんと暗い周辺を眺めているリアナ。
 山頂周辺の足場はかなり広く、下手に走り回らない限り落ちる事はまず無いが‥‥それだけに散策も骨が折れそうだ。
「まあ幸い戦う時の場所としても苦労しなさそうだ。では警戒に入る‥‥」
「がぅ‥‥でも、出ないで欲しい‥‥」
 今はエリクと佐倉が当番として警戒に当たっているが、やはり疲れの色が隠せない。
「それではぁ、明日は早く散策をして下山しますので、早めに休みましょう〜」
「がぅ‥‥後は、任せる‥‥」
 宇加美と佐倉に促された二人は、そのままテントの中で泥のように眠るのだった‥‥


 そして、夜が明ける‥‥
「おい、起きてみろ2人とも」
「むにゃ〜‥‥もう食べられませんわ〜‥‥」
「う、うぅ‥‥え、エリク‥‥?」
 まさしく目を閉じて開いたら朝だった、という言葉が相応しいくらい一瞬のように思えた一夜。
 まだ周辺が薄暗い中、エリクが2人を起こしにテントの外から声をかけてきた。
「いいからリアナを起こして外に出てみろ。良い物が見られる」
「そうだよ2人とも。これは今、ここでしか見られないかもね」
「常木さんまで‥‥わ、分かったわ‥‥ほらあんたも早く起きる!!」
「うにゃ〜‥‥ハンバー、グ‥‥?」
 お決まりのベタベタな寝言を呟くリアナを引きずりながら、何とか外へ出てきたマリーが見た物とは‥‥



 高い山の上でしか見られない、それはそれは見事な日の出。 
 雲海と言う名が相応しいくらいの白い霧が山の裾に広がり、朝日に照らされて黄金に輝いている。
 目の前を遮る物は何も無く、遥か遠くにある筈の自分達の街までがうっすらと見えている。

「‥‥綺麗ね」
「ああ‥‥悪くない」
「ふふ、登ってきて良かったですよぉ♪」
「がぅ‥‥ろまんちっく‥‥」
「ま、こういう光景が見られるのもリアナさんのお陰だったりして?」
「も〜、その疑問文はなんですか〜?」

 苦労を重ねて登ってきた能力者達を出迎える、山からの贈り物‥‥その朝日に照らされて、視線の先に生える一輪の花。
 こうして、リアナ達は『ワカレワカレ花』を入手したのであった。



●温泉での休息‥‥
「う、うぅ〜ん‥‥何とか無事に帰ってこられましたわ〜♪」
「ま、結構危ない時も多かったし、ほとんど逃げてきたような感じだったけどね‥‥」
 ゆったりと『さらさの湯』の温泉で腕を伸ばしているリアナに、苦笑いをしながらも疲れた身体をゆっくりとほぐしているマリー。
 欲を言えばミニドラゴンキメラの角や鱗も欲しい所だったらしいが‥‥命あっての物種であろう。
「ふぅ〜‥‥やっぱりこの熱いお湯がたまりませんですよぉ〜‥‥」
「がぅ‥‥だいなまいとぼでぃ〜‥‥」
 たっぷりとした二つの『巨大メロン』を湯に浮かばせながら、のへらんと楽しんでいる宇加美‥‥そして、佐倉が『それ』を見ながらますます無表情になっている。
「おやぁ〜、どうかしましたかぁ〜?」
「‥‥今回は、周囲どれもこれも豊作‥‥がぅ‥‥」
「〜〜?」
 彼女が半分現実逃避気味に見ている周囲は、まさしく果実豊作の光景であった。


 まず目の前の宇加美は、言うまでも無い『爆乳』の持ち主。
 何も考えていない様子で周囲を見ているのだが、ちょっとした動きにふるふると自由にたゆむそのメロンは‥‥きっとどんな人物でも一度は『鷲掴み』にしてみたいに違いない。
 そんな胸がどうして張りを保ったまま垂れないのか、そしてどうしてAUKVに収めきれるのか‥‥七不思議の一つであろう(ぇ

 そしてリアナとマリー。二人は似ているようで全く似て非なるタイプの『巨乳』である。
 普段からその存在を強調するかのような服を着ているリアナに対し、マリーはまさに『着やせ』している体型。
 リアナが『もにゅもにゅ』っとした感じなら、マリーは『モチモチ』っとした感じだろうか。
 うっすらと上気した顔や空気と相まって、一つの絵画にしておきたい物である。

 少し離れた場所で大人しく入っている常木は、最早おなじみとなった『ツインスイカ』。
 普段からバグア・キメラ相手に様々な戦いを繰り広げてきた彼女は、また違った健康的な『巨峰』である。
 黒髪にクールな雰囲気、そして日本人らしいしっとり感‥‥見ても良し、眺めても良し、脳内保存しても良しの三点セットである(注:意味不明)。


「‥‥おや? 佐倉ちゃんどうかしたのかな?」
「がぅ‥‥世の中は無常‥‥バグアやキメラより、ずっと理不尽‥‥」
「‥‥仕方ないね〜‥‥ほ〜ら、気にしない気にしない〜」
「が、がぅ‥‥!?」
 あくまで自然に、そしてさり気なく後ろから佐倉を抱きしめる常木。
 思わず顔を赤くする彼女だが‥‥そのまま力を抜いて身を任せてしまう。
「佐倉ちゃんだってこんなに可愛いんだから、そんなに気にしないように‥‥ふふ♪」
「が、がぅ‥‥何だか、手つきが‥‥」
 あくまでソフトに、ゆっくりと身体を撫でていく常木‥‥そして、彼女の『自然なスキンシップ』は続いていくのだった‥‥合掌。



‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥

 所変わってここは男湯。
 今回唯一の男性であるエリクは、一人でまったりと湯に浸かっていた。
「どうやら、今回はのんびり出来そうだな‥‥」
 静かな時間に、流れる湯の音‥‥そして聞こえてくる隣の声。

『が、がぅ‥‥もう、離れる‥‥』
『ふふ、やっぱり可愛いね‥‥ずっとこうしてたい位だよ』
『うふふ‥‥マリーさんは〜、エリクさんに会えなくて寂しいんじゃないですかぁ〜?』
『ちょ、ちょっと何バカな事‥‥言って‥‥』
『あらあら〜、マリーのお顔が真っ赤ですわ〜♪ エリクさん愛されていますわね〜♪』

「‥‥静か過ぎると言うのも、考え物だな‥‥全く」
 どうも落ち着かない空気の中、一人でもぞもぞと居心地悪そうに身を動かしてしまうエリクであった‥‥合掌。