タイトル:お湯が出ない‥‥!?マスター:優すけ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/02/24 06:47

●オープニング本文


「ふぁ‥‥ん‥‥はふぅ〜、やっぱり夜中の見回りは慣れませんね‥‥」
 誰も見ていないからこそ出てくる雨宮の抜けてる性格。大きく欠伸をしながらとてとてと歩いている姿は、とてもこの施設随一の敏腕女将とは思えない雰囲気である。
「今日は泊まりのお客様もいませんし、せいぜいおサルさんの動向注意ぐらいでしょうけど‥‥あら?」
 二階の廊下を歩いていた雨宮がふと気付いた窓の光景。それは、いつもの温泉宿なら当たり前に見えるはずの湯煙が‥‥
「‥‥おかしいですね。もっと白く濁っているはずなのですけど‥‥」
 首を傾げた雨宮は、すぐさま一階の大浴場へと走るのであった。そして彼女がそこで発見した状況とは‥‥




「え〜〜〜!? お湯が出なくなっているんですか〜!?」
「そ、それはマズイでっせ!? 温泉の出ない温泉施設なんて、どっかのネズミーランドより性質が悪いわ!!」
 次の日、緊急で開いた会議に集まった従業員達が聞いた話は、この施設にとって最大の一大事であった。なんとお湯がすっかり冷たくなっており、その原因は湯の出が非常に弱くなった事だったからである。
「皆さん落ち着いてください。この施設の温泉は背後の山から引いているのはご存知ですね?」
「は、はい。それは知っていますけど‥‥それがどうかしたのですか?」
 不安げに首を傾げている三つ編みの少女。まだここに来て日は浅いが、この施設を愛する気持ちは誰にも負けないと自負している。そんな彼女の様子を見て軽く頷いた雨宮が、皆に向き直って言葉を続ける。
「聞くところによりますと、何やら昨日の夜に山で大きく蠢く音が聞こえたそうです。お湯が出なくなった原因と合わせて、調べてみる価値はあります」
「けど女将さん〜? もしキメラの類だったら、わしらじゃ相手できませんで?」
 まるで大根を3本くらい束ねたような腕をがっしりと腕組みしているコック長が発言する。あなたなら正拳突きで‥‥という言葉は押さえ込んで、話を続ける雨宮。
「はい。ですのでここは能力者さんにお仕事を依頼しようと思います。皆さんは今まで通り勤務に就いてください。温泉業務はしばらく停止、それまでは食堂・マッサージ施設をメインに業務を行います」
「「「「はい!!」」」」
 微塵も態度の揺らぎを感じられない女将の態度に安心したのか、集まった皆々は安心したように部屋を出て行く。そして一人残った雨宮は‥‥
「‥‥ど、どうしましょうか‥‥うぅ〜‥‥」
 『ル〜〜〜!!』っと涙を流しながら先の事を憂うのであった‥‥

●参加者一覧

比良坂 和泉(ga6549
20歳・♂・GD
佐倉・咲江(gb1946
15歳・♀・DG
常木 明(gc6409
21歳・♀・JG
宇加美 煉(gc6845
28歳・♀・HD
住吉(gc6879
15歳・♀・ER
アクア・J・アルビス(gc7588
25歳・♀・ER
布施川 逢介(gc7835
22歳・♂・JG
エルレーン(gc8086
17歳・♀・EL

●リプレイ本文

●集合した能力者達‥‥
 女将の求めにより、今ここのロビーに8人の能力者達が集まった。
「温泉に入れなくなっちゃうのはいや〜、なんです〜♪」
 何としてでも温泉に入りたいと言うアクア・J・アルビス(gc7588)の気迫は本物だ。
「うふふ‥‥この依頼は〜、いわゆる温泉に入る為の一運動に過ぎませんですの♪」
「あわよくば‥‥温泉フリーパスなんかも頂いちゃったりして♪」
 くすくすと微笑むアクアの声に同調するように、エルレーン(gc8086)も密かな企みを抱いているようだ。
「フリーパスですか〜、それは何だか楽しみですね〜♪」
「うんうん♪ やっぱりこういう依頼では、楽しみは温泉なの♪」
 お互いに目を合わせてほくそ笑むアクアとエルレーン。
 果たして、結末はいかに‥‥?


「皆さんどうか宜しくお願いします‥‥」
「がぅ‥‥お気に入りの温泉を助ける為に頑張る。女将さん、元気だして‥‥」
 温泉の危機と聞きつけて飛んできた佐倉・咲江(gb1946)が、女将の雨宮に励ましの声をかける。
「はい。何かあっては、ご先祖様に申し訳が‥‥」
「がぅ、大丈夫‥‥そうならない為に私達が来た」
「ふふ‥‥それじゃ、ちゃっちゃと片付けてゆっくり休もうか♪」
 相変わらず落ち着いた雰囲気で女将に声をかけるのは常木 明(gc6409)。
 どこか普段より落ち着いているように見えるのは気のせいだろうか‥?
「それにしても、本当に女将さんって大変だね〜」
「その〜、出来るだけ従業員の前では見せないようにしているのですが‥‥」
「‥‥安心する。きっと無事に温泉は復活する‥‥」
 どこか影が落ちた苦笑いをする雨宮を、二人で慰めている常木と佐倉。
 お互いに施設を想う気持ちは同じようであった。


「はい〜、温泉のピンチと言うことなら参上しないわけに行かないのです〜」
「な、何と言うか緊張感が無い雰囲気ですね〜‥‥」
 のほほ〜んと常木の傍で立っている宇加美 煉(gc6845)の様子に、少し冷や汗をかきながらも渡された地図を確認している比良坂 和泉(ga6549)。
 その顔が少し赤いのは、彼女の見事なツインボムが原因では‥‥無いと信じたい(ぁ
「とりあえず最初のルートはここから〜‥‥おや〜? どうかしましたか〜?」
「い、いえその〜‥‥な、何でもありません!!」
 心に決めた女性がいるという中で、それでも心情を大いに揺さぶるそのツインボム。
 必死になって首を降る比良坂を、不思議そうな顔で見つめる宇加美であった‥‥


「ふふ、早く依頼を終わらせて温泉にゆっくり浸かりましょうね〜♪」
「勿論俺もそのつもりさ!! 全世界の青少年の夢と希望!! それを失われさせはしねぇ〜!!」
 皆から少し離れた場所では、のん気に気合を入れている住吉(gc6879)と、別の意味で凄まじい気合が入っている布施川 逢介(gc7835)がいた。
 お互いに思うところは多いようだが‥‥変な邪推が無い事を祈りたい(ぇ
「今度こそ女将さんのお背中を流して‥‥あわよくば一緒に‥‥ぐふふ♪」
「こういう場所でポイントを稼いでおいて‥‥後々に御姉様を攻略する足がかりに‥‥♪」
 ‥‥本当に祈りたいものである。
 とにかく、こうやって皆の作戦行動が始まった。



●山登りは危険が伴う‥‥?
 少し険しい山道‥‥しかし、能力者達にとってこれしきの道はピクニックも同然であった。
「それにしても、蠢く音ってどんな音なのですかねぇ?」
「う〜ん、よくは分かりませんけど〜‥‥大きなイモムシさんじゃないですか〜?」
 たわわに実った胸を揺らしながら首を傾げる宇加美に対し、負けじと(?)胸元で腕を組んでいるアクア。
「い、イモムシは流石に無いと思うけど‥‥まあ基本的な所で動物の大群とか?」
「がぅ、とにかくキメラじゃ無ければいい‥‥」
 常木が苦笑いをしながらも思いついた言葉を口にしている横で、無表情のままぽつりと呟く佐倉。
「あ〜る〜こ〜♪ あ〜る〜こ〜♪ ‥‥やっぱりピクニック気分ならこの歌ですよね〜♪」
「よっしーご機嫌だね〜‥‥ま、何も無いにこしたことは無いけど」
 住吉が某有名ソングを歌いながらスキップしている姿を見てまたもや苦笑いする常木。
「ホントに何も無いの〜‥‥原因ってなんなのかな〜?」
「そうですね〜‥‥でも、少し寒くなってきました‥‥何か温まる‥‥」
 エルレーンがひょっこり首を傾げて歩いている途中で、アクアがふぅ〜と手に息を吐きかけ‥‥ と、その時湧き上がる大きな声!!
「そ〜んなあなたに朗報〜〜!! 俺のジャケットにはまだ二つのポケットに空きが〜!!」
「あ、それでは私の持ってるティーセットでお茶をしますか〜?」
「では少し休憩します〜♪ ‥‥温まりますね〜♪」
「やっぱりこういう場でのお茶は最高なの〜♪」
「‥‥空き、が‥‥」
 華麗に布施川をスルーして話を進めているアクアにエルレーン、そして住吉。
 そんな中、黙々と止水小屋の点検を終えた比良坂が戻ってきた。
「ここの小屋も問題無し、と‥‥おや? 布施川さんどうかしましたか?」
「ひ、比良坂〜〜!! 俺は、俺は何か間違ってるコト言ったか〜〜!?」
「‥‥全く状況が分かりませんけど、とりあえず落ち着きましょう‥‥ね?」
 滝涙を流しながら詰め寄る布施川を、頭に?マークを浮かべながら肩を抑える比良坂‥‥まだまだ先は長そうであった‥‥合掌。




 そうこうしている間に、もうすぐ源泉付近である。
「それにしても、本当に何も起こらないの‥‥こう『ズズ〜ン!!』って大きな出来事が起こらないのかな〜」
「あ、あの‥‥そういう事を言うとフラグが立ってしま‥‥」


       『ズズズ〜〜〜〜!!』


 エルレーンが何の気なしに呟いて、比良坂が思わず止めようとした瞬間‥‥上の方から聞こえてくる大きな音。
 それはまさに、大地を這いずるかの如く地響きを立てながら能力者達の方へ向かってくる。
「な、何なのですかアレは!? まるで水の塊が動いているような‥‥」
「いや、あれは間違いなくスライムって奴だろ!? しかも凄まじく巨大な!!」
 住吉と布施川が思わずたじろいでいる間にも、ズルズルとこちらへ向かってくる巨大スライム。
 各員戦闘態勢を取ろうとするも、思わぬ襲撃に敵の不意打ちを受けてしまう。
「ちょ、ちょっとこれは危ないですよ〜?」
「でもその程度‥‥かわすのは簡単‥‥」
 飛ばしてきた水弾を上手くかわす宇加美と佐倉‥‥しかし、あくまでこれは囮。
 避けた方向へ向かって伸ばしてきた触手が本命だったのか、あっさりと捕まってしまう。
 粘つく触手を絡みつかされ、頬を紅潮させながら身悶えする二人。
「あ、あぅ〜‥‥そ、そこはマズイですぅ‥‥ぅん‥‥」
「がぅ‥‥こ、こんな攻撃何とも‥‥あっ‥‥」
 触手の動きは非常に卑猥で、的確に宇加美の豊満な胸・佐倉の首筋を攻め‥‥
「だ、だから離して‥‥欲しい、で‥‥はふぅ‥‥」
「だから‥‥そんな所を何度弄られ‥‥が、がぅぅ〜‥‥」
 吐く息がますます荒くなり、視線が少しずつ虚ろになっていき‥‥しかし、それを黙って見ている皆では無い。
 二人が捕まって少しのタイムラグがあったものの、戦闘体制は既に整っていた。
「悪いキメラにはオシオキ‥‥だね!! 殺った!!」
「あなたのせいで皆の温泉が大変なの〜〜!! いっけ〜〜!!」
 全体重を込めた常木の『月詠』に合わせるようにエルレーンの魔剣が唸りを上げ、胴体(?)部分に斬りかかる。
 思わず宇加美と佐倉を放り出してしまったスライム‥‥しかし、まだまだ倒れるような柔な体力をしていない。
「全くも〜、このまま素直に倒れて下さいね〜?」
「私の温泉の為にさっさと逝きなさい、です♪」
 動きが鈍くなったスライム目掛けて、アクアと住吉のW超機械が振動。
 近くの配管を傷付けない様考えた、親切な(?)攻撃により、ついに逃げ出そうとするスライム。
「そう簡単に逃がしませんよ!!」
「す〜べて〜は女〜将さんの為〜!! か〜くご〜〜!!」
 何故か(?)鼻にティッシュを詰めた布施川の乱射に合わせて、同じく鼻栓をした比良坂が短剣で斬りかかる!!
 逃げ腰だったスライムにかわす術は無く、クリティカルヒットを受けて完全に沈黙。これにて一件落着‥‥
「ふふ、ふふふ〜‥‥そう簡単に終わらせるものですか〜♪」
「がぅ‥‥受けた屈辱、全部お返し‥‥!!」
 訂正。見事にオーバーキルを果たして、徹底的に完膚なきまでに一件落着した‥‥合掌。



●温泉での一時‥‥
 無事にお湯が出るようになった『さらさの湯』にて、ようやく一息をつく事が出来た能力者達‥‥
「やっぱり温泉は最高です〜♪ こう何も考えずにのんびり出来るのが何とも言えませんねぇ〜♪」
「ふふ、少し年寄りみたいだよ? よっしー」
 ゆったりとお湯に浸かってはふぅ〜っと息を吐いている住吉の横で、クスリと微笑んでいる常木。
 兵舎でも良く知っている二人だけに、とても仲が良さそうな雰囲気であった。
「何を言うのですか!? 年配者でも若者でも関係ありません!! 『温泉でキュ〜っと息抜き』は、全世界共通言語ですよ!?」
「ま、それは否定しないけど‥‥でも、今回も女性陣が多い依頼だったね」
 ザバッと湯を鳴らしながら拳を握る住吉を見ながら、軽く肩をすくめる常木だったが‥‥周囲を見て目を細める。
「そうですね〜。しかも、どことなく『大きな』方が多いような気が‥‥むぅ」
「おや〜? なんだか少し声のトーンが落ちたような〜‥‥ふふ♪」
 むぅ〜っと沈んでいく住吉にそっと近づき‥‥優しく後ろから抱きかかえる常木。
 少し顔を赤くしたのもつかの間、すぐに力を抜いて背中の『ツインスイカ』にもたれ掛かり‥‥
「はふぅ‥‥明様〜♪」
「全く、本当に可愛い子だよ‥‥ほら♪」
「もぅ〜‥‥いきなりはいけませんですよ〜‥‥♪」
 優しく頬を撫でながらクスクスと微笑んでいる常木に、むにゃむにゃ〜っと子猫のように全身を委ねる住吉。
 ‥‥その近くに置いてある『徳利とお猪口』が意味する所は一体(ぇ




「がぅ‥‥これで無事に、温泉復活‥‥」
「あらぁ〜、リラックスしてますねぇ〜。やっぱり労働の後の温泉は良いものなのです〜」
 どことなく顔がツヤツヤしているように見える佐倉と宇加美‥‥その原因は最後の『八つ当たり』か、もしくは‥‥
「‥‥少ししたらマッサージに行く‥‥あなたも、来る?」
「そうですねぇ〜、それも面白そうですぅ〜。最近肩がこる事が多い‥‥」
「やっと入れるです〜!! 温泉なのです〜♪」
 宇加美の声を遮るように飛び込んできたのはアクアである。
 あちこち周囲を探索して(注:素っ裸のまま)、ようやくここへ戻ってきたようであった。
「がぅ‥‥何だかご機嫌‥‥」
「うふふー♪ ここは本当に楽しい場所ですー♪ 景色も良いし、施設も充実してますし♪」
「良かったら後で一緒にマッサージに行きませんかぁ〜? きっとますますリラックスできますよぉ〜?」
 お互いにバスタオルを巻いていないだけに、その存在感がますます強調される三人の『おバスト』。
 ぷっかりと湯に浮かぶ『ツインボム』『ダブル風船』に対し、『多少』控えめサイズの『サクランボ』‥‥それらの浮かぶ様子を見ていた佐倉が呟く。
「‥‥しっかりマッサージしてもらう。しっかり‥‥しっかり‥‥」
「あらあらぁ〜? 少しぼ〜っとしてますねぇ〜‥‥大丈夫ですか〜?」
 どことなく虚ろな目になっている佐倉を見て、首を傾げている宇加美がバシャッと近寄る。
 弾むボム、揺れるボム、顔に当たってマシュマロみたいに柔らかいボム‥‥
「‥‥‥」
「あらあら〜、ますます目が虚ろになってますねぇ〜? どうしましょうかぁ〜」
 分かっているのかいないのか、ますます近寄りながら擦り寄る宇加美‥‥羨ましいことこの上ない(断言)
 ‥‥そして、この様子をアクアが黙っているはずも無かった。
「むぅー‥‥羨ましい限りですー。ちょっと分けるですー♪」
「そ、そこは‥‥ぁん! そんなに力を入れられますとぉ‥‥あぅん♪」
「が、がぅ‥‥どさくさ紛れに‥‥こっちも触らない‥‥ん‥‥♪」
 ‥‥合掌。



「皆さん本当にありがとうございました」
「えへへ、今回もいっしょうけんめいがんばりました、なの♪」
 湯船近くの洗い場で身体を洗っている雨宮とエルレーン。
 ほっそりとした腰つきに関わらず、胸やお尻は『とてもむっちり♪』している女将の身体を見ながら、エルレーンは意味ありげな笑みで擦り寄ってくる。
「ねぇねぇ‥‥女将さん? 私、ここの温泉大好きだよ?」
「あ、はい‥‥ありがとうございます。‥‥?」
 洗っていた手を止めて、思わず顔を見てしまう雨宮‥‥エルレーンの顔は、ますます近づいてくる。
「温泉は気持ち良いし、従業員さんも優しいし‥‥皆、ここが大好きなんだ、よ?」
「そ、それはありがとうございます‥‥そ、その、少しお顔が‥‥」
 潤んだ瞳で擦り寄っていき‥‥ついに接触する。
 火照った身体を密着させ、そっと耳元で囁いていく言葉、それは‥‥
「だから、ね‥‥? 私達に、ご褒美‥‥欲しい、な‥‥?」
「〜〜〜!?」
 熱い吐息と共に囁かれた言葉は、雨宮の頭を沸騰させるのに十分な破壊力を持っていた。
 普段は冷静沈着な女将だが、一皮剥けば‥‥ただの女である(ぇ
「え、エルレーン様!? 何と言いますかその〜、そういう言葉はやはりそういう意味なのでしょうか〜!?」
「んもぅ‥‥最後まで言わせないでよ♪ お・か・み・さん♪」
「〜〜〜!?」
 最早パニック状態の雨宮‥‥その誤解が解けるには、まだ少しばかりの時間が必要であった。



「な、な、何が最後までなんだ〜〜!? 女将さんに一体ナニを〜!?」
「ちょ、ちょっと布施川さん!? それ以上近寄ってはいけません!!」
 嫌な予感がしていたので今回は入らないでおこうと思っていた比良坂だったが、女将の丁寧な態度に折れた彼‥‥そして、その予感は的中する。
「くっそ〜!! 女将さんのお背中は俺が流すと決めていたのに〜!!」
「だ〜か〜ら〜!! その仕切り板に密着しちゃダメですって!!」
 しかしこうなった『漢』を止める手段などある訳が無い。
 何とか桃源郷を覗き込もうと、いやせめて聞き耳だけでもとぐいぐいと壁に耳を押し付ける布施川を止めるべく、必死に腕を引っ張る比良坂。
 そして‥‥いつもの光景である。


        『バッタ〜〜〜ン!!』


「どお? 少しは大きくなった‥‥かな?」
「ん‥‥明様‥‥皆さんが、見ています‥‥ん♪」
「覗き、死すべし‥‥がぅ」
「おやおやぁ〜、積極的な殿方ですねぇ〜」
「こりないですね〜‥‥一回、死んで見ます〜?」
「だ、だからそういうご褒美はご用意出来ないと申しますか〜!?」
「大丈夫なの‥‥優しくするから、なの♪」


 そして繰り返される惨劇‥‥こうしていつもの『温泉劇場』は幕を下ろしたのであった‥‥合掌。