タイトル:まさかまたこの番組に‥マスター:優すけ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/12/18 20:59

●オープニング本文


 キ〜ン〜コ〜ン〜カ〜ン〜コ〜ン〜‥‥

「ん、ん〜〜〜‥‥ぷはぁ〜、やっぱりお昼は屋上よね〜♪」
可愛いリボンを頭に結び、制服の胸部分を持ち上げるツインマシュマロを豊かにたゆませながら【彼女】は大きく伸びをしていた。
「やっぱり何も無い平和、っていうのが一番だわ‥‥うん、おいし♪」
 パクリと手の中のメロンパンを齧りながら、まさに幸せそうな顔をして頬を緩ませている美少女‥‥しかしその正体は、人知れず悪の手から人々を守る愛と正義の魔法少女・プリティーマリーであった。
 こうして悪の怪人と戦っている時は勇ましくも美しい姿を見せる彼女なのだが、普段はこうして普通の学校に通う女子高生なのである。
「それにしても‥‥前回は逃がしちゃったけど、今度会ったら絶対に逃がさないんだか、ら‥‥!?」
 呟きながら続きを頬張ろうとしたその瞬間‥‥彼女の鍛え抜かれた敏感な耳がその悲鳴を感じ取る!!
「この方向は‥‥体育館!? 性懲りも無くまた出てきたんだから!!」
 残りのパンは仕方無しに諦め、彼女はすぐさま体育館へ向けて何の迷いも無く屋上から飛び立った‥‥


‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥


「はいカット〜〜!! 今のシーンも良い味出してたよマリーちゃん〜!!」
「‥‥まさか、またこの番組に‥‥しかも今度は【女子高生】の制服だなんて‥‥」
 上手くバフンと大きなクッションの上に落ちてきた制服姿のマリー。勿論今のシーンは様々な加工をされることによって、あたかも高校の屋上から飛び降りたように編集される事であろう。
「うふふ‥‥お疲れ様です♪ もうこれからどんな衣装を着て出演するのかドキドキですわ〜♪」
「ちょ、ちょっと不吉な事言わないでよ!? それじゃあまるで今度以降も撮影があるみたいじゃない!!」
 リアナがにこにこと微笑みながらタオルを渡している背後では、相変わらずバタバタとスタッフ達が動いている。前回の第一作目が非常に好評で、テレビ局も一気に本腰を入れ始めたのか本格的にタイムスケジュールを組む事になったようだ。
「いや〜、それにしても本当に画面写りが良い素材だね〜!! こんな逸材が野に埋もれていたとは‥‥監督失格だ!! いや、世界の損失に他ならず‥‥」
「と、とにかく今度の舞台は体育館ですよね!? あくまで時間は30分番組なんだから早くやってしまいましょう!!」
 こうなると長い妄想に耽ってしまう性格だと勉強したのか、マリーが大慌てで監督を促す‥‥しかし、そう上手くは進まないのが世の常であった。相変わらず人手不足のスタッフ、そして普通の撮影方法では決して撮れない超常現象‥‥そう、前回も来て貰った能力者の存在である。
「流石に一人で何人分も働ける力はそうそう無いし、会社もまだまだギリギリみたいだしね〜」
「となりますと〜‥‥ポチポチっと♪」
「ちょ、ちょっと何いきなり電話してるのよ!? まだお願いするって決まった訳じゃ‥‥!!」
 しかしもう遅い。リアナの手は能力者連絡の短縮番号へ一瞬だった‥‥

●参加者一覧

御剣雷光(gc0335
22歳・♀・PN
エリク・バルフォア(gc6648
18歳・♂・ER
宇加美 煉(gc6845
28歳・♀・HD
住吉(gc6879
15歳・♀・ER
ユキメ・フローズン(gc6915
19歳・♀・FC
村雨 紫狼(gc7632
27歳・♂・AA
ローティシア(gc7656
14歳・♀・DG
布施川 逢介(gc7835
22歳・♂・JG

●リプレイ本文

●前半パート
 ガラガラと音を立てながら体育館のドアを開き、そっと中の様子を伺うマリー。妙な感覚に身を強張らせながら向けた視線の先には‥‥二人の男(村雨 紫狼(gc7632)・布施川 逢介(gc7835))を傅かせながら、女教師の格好をしたユキメ・フローズン(gc6915)がクスクスと妖艶に微笑んでいた。その顔はマリーにとって忘れようにも忘れられない‥‥
「あなたは‥‥あの時の女幹部!!」
「ふふふ、会いたかったわプリティーマリー♪」
 ミニスカートから覗く、黒のタイツに包まれた太もも‥‥そんな美しい彼女の横で傅いている二人の男は、明らかにこの学校の生徒であった。
「あなた!! その人達をどうしたの!?」
「あら、別に『ちょっとだけ』意識を弄らせてもらっただけよ? ‥‥あなたを確実に頂くために、ね♪」
「こ、この〜‥‥!! 絶対に許さない!! 私の新しい力、見せてあげるわ!!」
 マリーがバッと片手を空に上げると、一瞬にして眩しい光が手の中に集まっていく。そして光が集約されたその手の中には、彼女の変身ステッキが収まっていた!!



 「チェ〜ンジ、プリティ〜‥‥モジュレーション!!」

 周囲が虹色の光に包まれていき、その光の中で瞬間的に一糸纏わぬ姿となるマリー。そして可愛い効果音と共に少しずつ靴・スカート・胸元と髪のリボンと装着されていく‥‥やがて光が収まり、最後にビシッとステッキをユキメに差し向ける!!
「愛と正義の魔法少女・プリティーマリー!! 星に代わって‥‥お仕置きよ!!」



「ふふ、怒った貴方もまたステキね。でも、今回相手をするのは私じゃないのよ‥‥ね?」
「‥‥‥!?」
 何かを感じた瞬間に、すぐにその場を飛びずさるマリー。その足元に伸びて突き刺さったのは‥‥なんと長い鎖で編まれたチェインウィップである。
「だ、誰!?」
「‥‥我が鎖鞭の恐怖を知るが良い」
 あくまで淡々と、しかしかなりの気を発しながら陰から姿を現すように歩いてくるもう一人の美女‥‥御剣雷光(gc0335)であった。あくまで実用仕様のレザーアーマーを纏い、片手には先ほどのチェインウィップをブンブンと振り回している。
「く‥‥仲間がいたのね!!」
「あら、まだ彼女だけじゃないわよ? ‥‥貴方達、お行きなさい」
「い〜〜やっほ〜〜!! 『変態紳士怪人・ブルセラナンデス』推参〜〜!!」
「ユキメちゃんの為なら命でも捨てる覚悟OK〜〜!! オラオラオラ〜〜!!」
 傅いていた村雨と布施川の様子がどんどん(?)変わってゆき、たちまち怪人風の体つきに変わってしまった。その真ん中に位置するのは御剣‥‥流石のプリティーマリーも絶体絶命か!?
「‥‥仕方ないわね。こうなったら私も仲間を呼ばせてもらおうかしら」
「何!? 前回は仲間など‥‥」
「ふふ、さっき言ったでしょ? 『新しい力』って!! 来なさい!! ローちゃん!!」


 ふわっとステッキを一回しすると、空からキラキラと光る光の粒子が降ってきた。その中からピョコンと可愛く登場する金髪の妖精・ローティシア(gc7656)‥‥その姿は可憐で、うっすらと目を開けていくその雰囲気は、どんな悪も敵わないような荘厳な趣を‥‥


「うはははは〜〜〜〜♪ どっかんどっか〜〜ん〜〜♪ お助け妖精ローちゃんだよ〜〜!!」
「‥‥‥」
「「「「‥‥‥」」」」
 マリーも、敵の4人組も、しばし呆然とその様子を眺めてしまっていた‥‥何と言うか、色々と雰囲気が滅茶苦茶である。見た目は可愛らしい美少女で、きらきらと光る金髪に妖精の服‥‥かと思っていたら、何故かモヒカン頭にマスク、そしてクギバットと、まるで世紀末世界にごろごろといそうな様相を醸し出していたのである。
「‥‥と、とにかくあんたがお助け妖精ね!? 今から敵をやっつけるんだから手伝いなさい!!」
「うはははは〜〜♪ そ〜ら〜はあおい〜な〜〜、大き〜な〜〜♪ あ、ちょ〜ちょ〜♪」
 マリーの声にも全く反応が無いまま凄まじく自由に走り回ると、体育館の窓から見えたチョウチョを追いながらどこかへ去ってしまった‥‥


「‥‥‥‥‥‥」
「「「「‥‥‥‥‥‥」」」」
 しばし周囲を包む静寂‥‥それを破ったのは、何と言うか半分やけになったマリーであった。
「と、とにかく敵が何人いようと私は負けない!! さあ、かかってきなさい!!」
「「うっひょ〜〜〜!! いっくぜマリーちゃ〜〜ん!!」」
 その言葉と同時に彼女に飛び掛って行ったのは村雨と布施川の二人。どうやら洗脳されているせいもあってか、特に知能も持たないまま突撃していくしか考えられない怪人のようである。
「そう考え無しに突撃してくると‥‥こうなるのよ!!」
 最初に飛んできた村雨を、その勢いを利用しながら流水の如く攻撃を流し、さらにどこか手をわきわきさせながら突っ込んでくる布施川をステッキで思いっきりホームラン。
「あ〜〜〜れ〜〜〜」
「ふ、布施川〜〜〜〜!! おのれ〜!! こうなったら‥‥」
「‥‥‥何だか暑いですねぇ(ちらっ)」
「ぐは!? い、今の光景は!?」
 本当に何の前触れも無く体育館内を覗き込んでいたエキストラ・宇加美 煉(gc6845)が胸を強調させるように画面アップ。一瞬で意識を刈り取られた村雨に、マリーのフルスイングを止める手段は無い。またもやギャグ漫画のような音を立てながら体育館を突き破ってお空の星となっていく二人目の怪人‥‥さらばだ、君達の事はきっと忘れない!!
「あの二人をあっさりと葬り去るだなんて‥‥少しこのままでは分が悪いかしら?」
「‥‥ここは一時撤退を。この体育館では我々も真の力を発揮できません」
 そっと御剣がユキメに耳打ちしたかと思うと、マリーの一瞬の隙を付いて窓から外へ飛び出す二人。しかしそれを黙って見逃す彼女ではない!!
「待ちなさい!! 今度は絶対に逃がさないわよ!?」
 すぐに後ろ姿を追いかけていくマリー‥‥果たして、彼女は今度こそ悪を倒す事が出来るのだろうか!?



‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥


「は〜い、それじゃ〜休憩です〜!!」
 カンと音が鳴った瞬間に周囲がざわつき始める。勿論外へ飛んでいった光景や、煙など演出効果も大きいのだが、やはり能力者をこういう場面で使うと迫力が段違いであった。
「お疲れ、マリー。‥‥寒かったんじゃないか?」
「ありがと♪ 暖かくて嬉しいわ」
「気にするな。風邪をひかれると仕事が増えそうな気がするから、その予防だ」
 撮影の様子を見守っていたエリク・バルフォア(gc6648)が、戻ってきたマリーを労いながら肩にコートをかけてあげている。椅子に座り込んだマリーは、は〜っとため息をつきながら項垂れていた。
「いくら何でも脚本に無理がありすぎない‥‥? これだけの内容を15分で収めきれるのかしら‥‥」
「その辺りはプロの仕事だろう。僕達がどうこう言っても始まらない‥‥」
「ま、そうよね‥‥それじゃ、そろそろ次の衣装に着替えなくちゃ。忙しくてごめんなさいね?」
「いや、気にしないでくれ。‥‥頑張ってな」
 パンと手を合わせて去っていくマリーの後ろ姿を見ながらしばし立ったままのエリク。‥‥と、不意にその背後からニヤニヤ笑いと共にかけられるハーモナーの声。
「ふふふ‥‥いよいよ大舞台へ羽ばたく御姉様、それをどこか寂しげに見つめる一人の男性‥‥クスクス、これだけで一つのお話が書けそうです♪」
「‥‥何を言っているか分からないな、住吉」
「では、そういう事にしておきましょうか♪」
 振り返りもせずに答えるエリクに、ますます含み笑いを深める住吉(gc6879)。つい先ほどまで担当していた撮影編集を終え、マリーのメイクに向かう途中で彼を発見した様子である。
「でも、確かに今はこうしてお手伝い出来ていますけど‥‥もし御姉様が本格的にアイドルデビュー♪ ‥‥なんて事になったらどうします?」
「‥‥どうもしないさ。今まで通り、僕に出来る所は助ける‥‥それだけだ」
 少しばかりの沈黙の後に出したエリクの答え‥‥その言葉に少しばかりの葛藤があったことに住吉は気付いていたが、あえて口を挟む事はしない。
「ま、私はとりあえず御姉様のハートをがっちりキャッチするだけですけどね♪ さ〜待ってて下さいね御姉様〜♪」
 ぱたぱたとテントに向かって走っていく住吉を見て、また軽くため息をつく彼であった。
「全く‥‥本当に最近、どうにも調子が狂う‥‥」



「ほら、御姉様‥‥動いちゃダメですよ〜‥‥」
「わ、分かってるわよ‥‥早くしなさいよね‥‥ひゃん!?」
「勿論ですよ‥‥出演者が可愛ければ、ある程度の視聴率は確保出来るのですか‥ら♪」
 テントの中から聞こえる甘い声に空気‥‥それを逃すようでは『漢』では無い!!
「ぬふふふ‥‥聞こえるよな?」
「あぁ‥‥演出でのシーンも勿論だが、こういう場面はスタッフだけの特権だもんな‥‥」
 先ほど吹っ飛ばされたままの怪人姿でじりじりと着替えテントに近寄るおバカ二人組。勿論村雨と布施川である。
「さ〜て、それでは嬉し恥かしドッキリタイムを‥‥ん?」
「あらぁ、何だかこっちでも面白そうな匂いがしますねぇ‥‥」
 ついさっきまでスタッフ達を『色々な意味で』労っていた宇加美が、そのダブルボムを揺らしながら二人の前にすっと姿を現す。どうやらこのテントに近づく『無法者』を見張っていたようである。
「ちぃ〜、あの時のツインボムか!? しかし、これはこれでグー!!」
「う〜ん、まあ‥‥いいですよねぇ」
「「‥‥え?」」
 二人の視線に全く動じる事無く、一人で何か納得したようにポムと手を叩く宇加美‥‥その開いた手には、いつの間にか水性ペンが握られている。
「「‥‥え〜と‥‥」」
「狩ですからぁ‥‥獲物は逃がしません〜♪」
「「や、やだ〜〜〜!!!」」
 不思議な威圧感と共に迫ってくる彼女に、思わず逃げようとする二人。しかし、既にその場は彼女の周到な罠『ツインボムで釘付け☆』が仕掛けられており、その場を動く事が出来ない。‥‥その後、彼らの姿を見た者は‥‥


 ‥‥普通に現場のスタッフであった。




●後半パート
「観念しなさい!! もう逃がさないわよ!?」
「ふふふ、まさか追い詰めたと思っているだなんてね‥‥♪」
 所変わってここは隣の屋外プールサイド。いつの間にか先ほどとは違った服装に着替えていたユキメと御剣(注:セパレーツタイプのスク水姿に妖艶な女幹部姿)が武器を構えている前で、マリーもステッキを両手で握り締めていた。
「今度は手加減抜きです‥‥倒れよ」
「く、早い!?」
 御剣の手から放たれるチェーンは目にも止まらない速さでマリーに襲い掛かり、飛びずさった彼女の足元を深く抉る。その瞳からは怪しい光を発しており、彼女が普通の敵とは違う事を如実に表していた。
「そうやって、いつまで逃げ回っているつもりですか?」
「そ、そうやって余裕ぶっていられるのも‥‥今の内よ!!」
「な、何!?」
 そう、ただ彼女は逃げ回っていただけでは無かった。足元を見やると、いつの間にか御剣の周りは不思議な文様で囲まれている‥‥
「こ、これはまさか‥‥!?」
「そう、あなたの振り下ろした攻撃で描いた魔法陣よ!! 星に月に陽に風よ!! 今こそここにソナタとロンドを!!」
 大きく振り上げたステッキを足元に振り下ろすと、一瞬でプール全体が聖なる光に包み込まれる。その光は御剣の身体を包み込み、そして力を奪っていった。
「こ、この私が‥‥お前ごと‥き、に‥‥」
 ガクリと彼女が崩れ去ったと同時に魔方陣も消え去り、後に残ったのはマリーとユキメのみ。
「‥‥どうやら、残りはあなただけみたいよ?」
「ふふ、そう簡単に私が倒せるかしら‥‥プリティーマリー!!」
 そして、最後の戦いが始まった。振り下ろす鞭は先ほどのチェーンよりもずっと早く、それに加えてマリーは今までの戦いの疲労もある。時間が経つにつれて、明らかに動きが鈍っていくのが目に見えて分かった。
「あらあら〜、そんな動きで私を倒せるつもりなのかしら!?」
「そ、そんな訳無いでしょ!! 勝負はまだこれから‥‥ひゃう!?」
 少しの隙を付いて上手く鞭をマリーの片手に絡め付かせたユキメは、その反動を利用して一瞬で胸元に彼女を強引に引き寄せてしまう。完全に捕まってしまったマリーに対し、妖艶な笑みを浮かべたまま彼女の唇に指を当てるユキメ。
「本当にステキ‥‥私の物に、なりなさい‥‥」
「う、動かないなんて‥‥こ、このままじゃ‥‥」
 ぎりぎりと縛られたまま、成す術も無く顔を近づけられていくマリー‥‥もう、彼女に助けは来ないのか!? と、その時‥‥どこかから大きな音が聞こえてきた。
「うははははは〜〜〜〜♪ 鬼さんこ〜ちら〜♪ 血飛沫あ〜げろ〜♪」
「「ちょ、ちょっといきなり何なのキャ〜〜〜!?」」
 またもや空気を読まない突撃お助け(?)妖精ローちゃんの全力突進に、マリーごと一緒にプールへ落とされるユキメ。しかしその隙を見逃すマリーではなかった。
「今がチャンスだわ!! これが私の全力全開!! 零距離プリティーバスター!!」
「こ、この力は‥‥くぅ!?」
 プールの水の中、くんずほぐれつ状態を逆に利用した最大の一撃。流石のユキメといえども防御に全てのパワーを使いきってしまった‥‥。
「はぁ‥‥はぁ‥‥さ、流石に今の攻撃は効いたわね‥‥潮時かしら‥‥」
「ま、また‥‥逃げるつもり‥‥!?」
「ふ、ふふふ‥‥『見逃して』あげるのよ‥‥そ・れ・に‥‥♪」
 水の中とは思えないぐらいの速度でマリーに近づいたユキメは、その勢いのまま『またもや』彼女の唇を奪ってしまう。水に濡れた美少女と女幹部が唇を交わす光景は、かなり扇情的な物で‥‥
「〜〜〜〜!?」
「私はしつこいのよ‥‥? それじゃあね♪」
 硬直するマリーを放って、水から飛び上がって消え去るユキメ。果たして、マリーは本当に悪を倒す事が出来るのだろうか‥‥まだ、戦いは始まったばかりである!!


‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥


「‥‥それで、何か言い訳はあるかしら‥‥?」
「え〜と〜、ごめんなさ〜い」
「そ、その‥‥なんと言うか、前回は私にとってもファーストキスで‥‥」
「えぇと〜、彼女達は何を言ってるのかなぁ?」
 何故か(?)正座させられているローティシアとユキメを見下ろすように立っているびしょ濡れマリーを、不思議そうに眺めているのは宇加美。前半でエキストラとして出てみたものの、あまりの『破壊力』に監督が泣く泣く断念した為、またもや裏方スタッフとして荷物を運んでいた彼女に、ぽつりと呟くエリク。
「‥‥プールに落とした事と、またもや唇を奪った事に対する説教だそうだ」
「そうですかぁ〜‥‥ん? 何だか顔が少し険しいですよぉ?」
「‥‥何でも無い」
 顔を見られないように横を向く彼だったが、内心に渦巻くもやもやはど〜しよ〜もない感情であった‥‥合掌。