タイトル:愛と正義の魔法少女!!マスター:優すけ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/10/31 22:23

●オープニング本文


「グヘヘヘ〜〜!! 美味しそ〜な人間じゃね〜か〜!!」
「ち、ち、近寄らないで‥‥」
 裏路地で脅えながら後ずさる少女‥‥しかし、その足は行き止まりの為すぐに止まってしまう。
 ニヤニヤと不気味な笑いを浮かべながらじりじりと近寄るタコ型怪人‥‥最早、彼女を救うことの出来る救世主は居ないのか!?

 ‥‥その時、怪人の横のビルの上から大きな声が響き渡る!!

「待ちなさい!! そこの悪党!!」
「あぁ〜〜ん!? どこのどいつだ〜!?」
 不意に聞こえた声に反応して、きょろきょろと周囲を見渡すタコ怪人。そして聞こえた方向、つまりビルの上へ視線を向けると‥‥青いマントをたなびかせた、見目麗しい美少女が立っていた。
 頭には可愛い羽をアクセントにした帽子。そしてたわわな胸を包み込むのは、わずかなビキニタイプの一枚布‥‥しかし絶妙な生地バランスによって卑猥な印象は見受けられない。大胆さと繊細さが高次元で調和している。
 そして髪はまるで深い海を表すような青色をしており、身に着けている衣装に見事にマッチしていた。
「自分より弱い者を追い込み、その悪の限りを尽くす‥‥そんなあんたを、私は絶対に許さない!!」
「どこのどいつだ〜!? 名を名乗れい〜!!」
 目の前の獲物に興味を無くしたのか、完全にビルの上へ目を向ける怪人。その鋭い視線を浴びながらも、あくまで余裕の笑みを浮かべながら腕を組んでいる少女。そして手に持っていたステッキ(注:先端に月と星のオブジェが施されている)を構え、大きな声で叫ぶ!!


「私は‥‥愛と正義の魔法少女・プリティーマリー!! 星に代わって‥‥お仕置きよ!!」


‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥


「はいカット〜〜!! お疲れ様〜〜!!」
「うふふ〜♪ 可愛いですわよマリー〜〜♪」
「うぅ‥‥まさかこの歳で魔法少女なんて‥‥」
 メガホンを持った監督風の男の声が響くここは、街の中にある小さな撮影現場。がっくりと肩を落としているマリーの格好は、先ほど記載したような、かなり可愛らしい服装であった。しかし彼女の表情はどこまでも暗い‥‥
「‥‥こんな役だと分かっていれば、協力なんてしなかったのに‥‥」
「口ではそう言いながらも本番ではしっかりと頑張るマリーが、私は好きですわ♪」
「あんたねぇ‥‥とにかく、こういう事はさっさと終わらせるわよ!!」
 にこにこと微笑むリアナを横目に、何とか気合を入れて立ち上がるマリー。事の発端は、1時間前に遡る‥‥



「あぁ〜〜困った困った〜〜!! どこかに手助けしてくれるような人はいないだろうか〜〜!?」
「あらあら? 何だか向こうで頭を抱えている男性がいますわね〜」
「ホントね〜。ま、私たちに出来る事なんて無いわ。さっさと買い物を済ませて‥‥」
 リアナとマリーが休日のショッピングに出かけようと街を歩いていた時、かなりわざとらしく駅前で仰け反っている男性を発見したのだ。正直マリーは関わりたくなかったのだが、相変わらずのぽけぽけ娘・リアナはちょこちょこと近寄っていく。
「あの〜、何をお困りですか〜? 私達で何かお役に立てますか〜?」
「ちょ、ちょっとあんた何をいきなり話しかけてるのよ!? しかも【達】って、私も含まれてるんじゃ‥‥」
「おぉ!! これはまさに天の助け!! 是非ともあなた達のような【可愛らしいお嬢さん】に助けて欲しかったのです!!」
「‥‥ま、まあ話くらいは聞いてあげてもいいかしら、ね? 何事もいきなり断るのは良くないわ‥‥」
「〜〜〜?」


 こうして話を聞いた結果が、今の状態である。
 結構大きなテレビの企画で、【愛と正義の魔法少女・プリティーマリー】という単発番組を撮影するはずだったのだが‥‥いきなりメインヒロイン役が出来ちゃった婚で退社・その他にもスタッフやキャストに様々な要因(例:天の啓示を受けた・異世界から戦士を召還してしまった・麻雀で世界を救う‥‥)等で次々に消えていってしまった。しかしこの企画はかなり前からHP等で告知しており、それなりに期待も大きかったので止めるわけにもいかない‥‥困り果てて思わず駅前でムーンウォークをする直前にリアナ達が声をかけてしまった、という事らしい。
「それにしても、見事に私の名前にピッタリだったものね‥‥ええと、この娘の設定年齢は?」
「確か16歳だったはずですわ。でも今のマリーなら十分可愛く見えますわよ♪」
「それはど〜も‥‥。でも、まだまだ人手は足りないのよね〜」
 そう、まだメインヒロインが決まっただけであり(注:リアナはスタッフのお手伝い)、まだ配役・裏方の欠員はかなり多い。
「どうしたものかしらね‥‥このままじゃ監督だけじゃなく、他のスタッフ達も危なくなりそうだし」
「うふふ‥‥こういう時の『お手伝いさん』ですわ。それではピポパポっと‥‥♪」
「え〜と、能力者さん達はお手伝いさんじゃないわよ‥‥?」
 まるでピザの出前を呼ぶような気軽さで電話をし始めるリアナを、かなり冷や汗をかきながら見ている『プリティーマリー』であった‥‥

●参加者一覧

緑川安則(ga4773
27歳・♂・BM
比良坂 和泉(ga6549
20歳・♂・GD
八尾師 命(gb9785
18歳・♀・ER
エリク・バルフォア(gc6648
18歳・♂・ER
住吉(gc6879
15歳・♀・ER
ユキメ・フローズン(gc6915
19歳・♀・FC
フール・エイプリル(gc6965
27歳・♀・EL
布施川 逢介(gc7835
22歳・♂・JG

●リプレイ本文

●プロローグ
 そこは、薄暗い倉庫の中にある不気味な一角‥‥かなり際どいセクシードレスに身を纏ったたユキメ・フローズン(gc6915)と、ラスボスのような雰囲気を醸し出している緑川安則(ga4773)が人質二人を取って鎮座していた。
「ふふふ‥‥さて、かの魔法少女【プリティー・マリー】はどうするのかしらね‥‥♪」
「ふむ、そう簡単に根を上げられては困るな。もっと我々を楽しませてもらわんと」
 声優で鍛えたその重々しくも周囲に響き渡るような声を出して緑川が呟くと、ユキメも同調するように言葉を発する。
「そうね。でも、果たしてあの少女にこれらの人質を無視して突撃してくるかしら‥‥?」
 ペロリと唇を舐めると、下に転がっている人質を見つめる。ガタガタと震えつつも、弱みを見せまいと健気に声を張り上げる八尾師 命(gb9785)。
「わ、私を食べてもおいしくないですよ〜!? 早く解放してください〜!!」
「ふふ、そうはいかないわ。あなた達は彼女を誘き寄せるエサなんだから‥‥♪」
 クスリと笑いながら、ゆっくりと八尾師の頬を撫でるユキメ。その触り方はねちっこく、その白く弾く様な綺麗な肌をゆっくりと撫でていく‥‥
「や、止めて下さい‥‥そんな風に触らないで‥‥ふぁん!?」
「いいわ‥‥その表情、ゾクゾクするわ‥‥もっと私に見せ‥‥」
「女王様〜〜!! もっと、もっと俺にそのお情けを下さいませ〜〜!!」
 その触り方に思わず全身を振るわせた八尾師を見て、さらに手を進ませようとしたユキメ‥‥それを見事に遮るように大声でがなり立てた人物は布施川 逢介(gc7835)であった。彼も同じく捕らえられた人質の一人なのだが‥‥どうもその自覚は無さそうである。
「‥‥あなたのその態度、本当に人質の自覚があるのかしら?」
「勿論ですよ女王様〜!! なんならそのヒールでゲシゲシと踏んで下さって結構!! むしろプリ〜ズ!!」
「では、我が代わりにお前を痛めつけて‥‥」
「野郎が気安く俺に触るんじゃね〜よ〜!!」
「‥‥この男は‥‥」
 緑川が近寄った瞬間に、まるで猛獣のような牙を見せて睨みつける布施川。その気迫はまるでこれが演技であるというのを忘れさせるかのような代物であった‥‥
「‥‥まあとにかくプリティーマリーがどの程度の実力の持ち主か、雑魚をけしかけて試させてもらおう」
「そうね‥‥それじゃ、お手並み拝見‥‥かしら♪」
 八尾師を撫でる手はそのままに、ゆっくりと微笑むユキメであった‥‥



「は〜い、それじゃ〜次はマリーと怪人との対決シーンだよ〜!!」
 メガホンで大声を上げる監督を見て、慌しく動き始めるスタッフ達。その中には、今までの依頼常連者であるエリク・バルフォア(gc6648)と、比良坂 和泉(ga6549)がいた。
「うわ〜‥‥本当に撮影してるんですね〜‥‥」
「何を今更‥‥とにかく次は新しいセットを組む。機材を運ぶぞ」
「分かっていますって。‥‥よ〜いしょっと!!」
 エリクに声をかけられ、ふんと気合を入れて鉄骨を一人で持ち上げる比良坂。見た目は優男でもやはり能力者である。
「よいしょ、よいしょ‥‥こっちでいいですか〜!?」
「ああ、そこで組み立ててくれ。‥‥さて、住吉は上手くやっているだろうか‥‥」
 ふぅと息を吐いてマリーの方を見るエリク。どうやら住吉(gc6879)はマリーのメイク・及び衣装担当のようだが‥‥
「ちょ、ちょっとそれは流石に可愛すぎない!?」
「何を言ってるのですか御姉様!! 良い映画には良い内容、良い内容には良い役者!! 御姉様を輝かせる為にはこれぐらいしませんと♪」
「だ、だからそのフリル付き衣装は流石に恥ずかしい‥‥きゃん!?」
「ククク‥‥良い反応ですよ〜、御姉様〜♪」
 きゃいきゃいと騒ぐ彼女達の近くで、粛々と次の出番の準備を整えて待っている少し筋肉質の女性がいた。彼女の名前はフール・エイプリル(gc6965)‥‥古代エジプトに関わる教団【セベク教団】の神官と言う触れ込みだが、今は誰も気にする人はいなかった。
「‥‥怪人役とは言え、セベク神よ‥‥お許しください‥‥」
「フールさん‥‥? 何だか雰囲気が落ち込んでいるようにも見えるけど、大丈夫?」
「はい、大丈夫です。改めて宜しくお願いします」
 かぽっと頭からクロコダイルの被り物を被って微笑むフール(注:表情は全く分からないが)。とにかく撮影再開である‥‥



●中ボス戦、そして‥‥
 ようやく敵陣の近くまでたどり着いたプリティーマリー。しかし、やはりそう簡単には進めなかった‥‥
「私こそは怪人クロコダイル女‥‥プリティーマリー、あなたの命はここで尽きるのです」
「そうはいかないわ!! 世界が私を必要としている限り、どんな悪も見逃さない!! それが魔法少女、プリティーマリーよ!!」
 ガシャンと音を立てて両刃の斧を地面に突き立てるフールの前で、全く怯まずビシッと勢いよく敵を指差すマリー。
「ふふ、果たして、そう上手く行くでしょうか‥‥では、いきますよ!!」
「来なさい!! 返り討ちにしてあげるわ!!」
 こうして始まった中ボス戦。大きく振り回すフールのアックスを、華麗なバックステップでかわしていくマリー‥‥その攻防は一進一退を極めた。
「むぅ、なかなかやるなプリティーマリー‥‥しかし、この一撃を避けられるかな!?」
「な、何なのこの力は‥‥? さっきまでとは全然違う‥‥!!」
 なかなか当たらない攻撃に業を煮やしたか、一瞬にして全身から白炎のオーラを漂わせるフールの姿に身を強張らせるマリー。しかし、ここで怯む訳にはいかない!! ここで彼女が負けたら、誰がこの星を守ると言うのだ!!
「く‥‥たとえどんな攻撃が相手でも、私は絶対に逃げない!!」
「よくぞ言った!! なればこの一撃、とくと受けるが良いわ!!」
 大きく振りかぶったアックスを、全体重を乗せて振りかぶるフール!! ‥‥しかし、マリーはあくまで冷静に、そして全身を集中させてその攻撃を見切る。
「‥‥見えた!! いっけ〜〜!!」
「な、何〜〜!?」
 振り下ろした攻撃が紙一重でかわされると(注:若干わざとらしかったが)、フールは体を一瞬硬直させた。その隙を見逃すマリーでは無い!! 懐に飛び込んだ後にスイングしたステッキが彼女の懐に飛び込み、見事に勝負を決めたのであった!!
「こ、この私が‥‥お前如きに‥‥!!」
「残念だったわね!! 私はまだ、こんな所で倒れる訳にはいかないの!!」



 倒れ際に呟いた彼女の台詞に、ビシッと決めポーズをとるマリー。しかし、まだ脅威が去った訳では無かった‥‥一瞬にして周囲が煙に包まれたかと思うと、ゆっくりと現れる一人の人影。
「うふふ‥‥まさかあの怪人クロコダイル女を倒してしまうとはね‥‥なかなかやるじゃない」
「あ、あなたは‥‥!?」
 現れた女性は、明らかに先ほど倒した怪人とは一味違う空気を醸し出していた。手には長い鞭、そして腰にレイピアを備えた女幹部‥‥
「始めまして‥‥私の名はフローズン。あなたを滅しに来た存在よ?」
「うぅ‥‥凄まじい力だわ。‥‥でも、負ける訳にはいかない!!」
 一瞬気圧されかけたマリー‥‥しかし、すぐに勇気を振り絞るとマジカルステッキを片手に一瞬で駆け出す!!
「そう簡単に‥‥やらせないわ!!」
「いいわ、その表情‥‥ゾクゾクするわ♪」
 振り回されるステッキを軽々とかわしながら、クスクスと微笑んでいるユキメ。そして大振りなマリーの攻撃をすっとかわすと、一瞬で鞭を振るい彼女を雁字搦めにしてしまう。
「う、うぅ‥‥は、離しなさい‥‥!!」
「うふふ‥‥甘いわ、あなたのその汗‥‥美味しいわ〜♪」
「ひゃうん!? や、止めなさい!!」
「そう言われて離す狩人がいると思うの‥‥? あなたはこれから私のペットなんだから‥‥♪」
 ぺろっと首筋を舐められて、思わずびくびくっと身体を震わせてしまうマリー。その頬は段々と赤く扇情的になり、ますますユキメの感情を高ぶらせる。
「あら‥‥何だか赤くなってない? そんなに私の触り方が感じるのかしら‥‥クスクス♪」
「だ、誰がそんな‥‥ふぁ!? そ、そんな!?」
「うふふ‥‥知ってる? 快楽と痛みって、紙一重なんだから‥‥ね!?」
 ユキメがそれをぎゅ〜っと引っ張ると、ますますマリーの全身に鞭が食い込む。
 そのフリルに包まれた豊満な身体がますますその凹凸を露わにし、ますます扇情的な光景になっていき、そして‥‥!!
「うぅ‥‥こ、こんの〜〜〜!! 私を舐めないでよね!!」
「な、何なのこの力は‥‥きゃ〜〜!?」
 何物にも負けないという彼女の心が、ユキメの戒めを振りほどいた。その波動はそのまま攻撃となり彼女を貫く。
「はぁ‥‥はぁ‥‥私は、ここで倒れる訳にはいかないのよ!!」
「‥‥ふふ、あなた気に入ったわ。今度会った時は‥‥」
 傷付いたユキメは、そのまま一瞬にしてマリーの前まで近づくと‥‥そのままそっと彼女の唇を奪っていく。
「〜〜〜!?」
「‥‥私の物にしてあげるわ♪ ‥‥それじゃ、またね?」
 真っ赤になって硬直するマリーをそのままに、にっこりと微笑んで上空へ飛び上がるユキメ‥‥きっと、彼女はまた現れるだろう。その時こそ、真の決着を付けるのだ!! 戦え、プリティーマリー!!



●ラスボス戦!! そして伝説へ‥‥
 そして、ついにマリーは連中のアジトへたどり着く。彼女を待ち受けるのは、あくまでスーツ姿の人間‥‥しかし、立ち上るオーラは今までに無い恐ろしさであった。しかし背後に見える人質を見て、正義の心を震わせるマリー。
「二人とも、大丈夫!?」
「た、助けが来てくれましたよ〜!? 頑張って下さいね〜!!」
「マリーちゃ〜〜ん!! 俺はここだよ〜〜♪」
 縛られたままだが怪我などは無い八尾師と布施川を見て、少し安心したマリー。しかし真の戦いはこれからである。
「さぁ、もう逃げ場は無いわ!! 大人しく観念しなさい!!」
「よく彼奴等の攻撃を凌いだ。だが、それもここまでだ‥‥この私が引導を渡してくれる!!」
「あくまで降参しない、という訳ね‥‥だったら、私が相手よ!!」
 威厳タップリに武器を構え、リザードマンに覚醒する緑川にマリーも表情を強張らせる。‥‥さぁ、最終決戦だ!!


「いくぞ小娘!! 我が攻撃を受けてみよ!! ぬぉ〜〜〜!!」
「な、早い!? きゃ〜〜!!」
 一瞬の内に肉薄されて振り回される攻撃を何とかかわすマリー。彼女も負けじとステッキを振り回すいのだが、その攻撃は全て受け止められるか避けられてしまう。そして彼の攻撃をかわそうとするも、紙一重で避けれずにますます服を切り刻まれていく‥‥
「あわわわ…このままではピンチですよ〜…」
「こ、このままじゃマリーちゃんがピンチだ!! マリーちゃん、これを使え〜〜!!」
 あわあわと慌てる八尾師の横では、『何故か』懐から新しい服を取り出した布施川!! そう、彼は捕らえられたふりをしていたマリーのお助けマンだったのだ!!
「わ、分かったわ!! チェ〜ンジ、プリティ〜‥‥モジュレーション!!」
 『キラン☆』とウィンクしたかと思うと、一瞬にして周囲が光で包まれていく!! その中では一糸纏わぬ姿になったマリーが光と共に服装を変え‥‥背中に羽を付けた真・プリティーマリーと変身を遂げていたのだ!!
「何‥‥だと‥‥!?」
「愛と、正義と、希望と、この星の未来の為に‥‥プリティーマリー、見参♪ 星に代わって‥‥お仕置きなんだから!!」
 神々しい光と共に現れた真・プリティーマリーの一撃は緑川を怯ませるに充分であり、その攻撃は着実に彼のHPを削っていく。そして、ついにその時がやってきた‥‥
「これが、私の‥‥全力全開〜〜!! いっけ〜!! プリティーバスター!!」
「ぬ、ぬぁ〜〜〜!!」
 持っていたステッキが変形を遂げ、まるで砲撃のような一撃を打ち出す。避ける事も叶わないまま受け止めた彼の身体は、最早限界に近づいていた。
「く‥‥限界が来たようだ‥‥見事だプリティーマリー!! この勝負、預けるぞ!!」
「ま、待ちなさい!! まだ勝負はついてないわよ!?」
 慌てて手を伸ばすも、煙と共に消えていくリザードマン‥‥どうやら、地球の危機はひとまず去ったようだった。八尾師と布施川も大喜びで近寄る。
「ありがとう〜! 愛と正義の魔法少女・プリティーマリー!」
「さっすが俺のマリーちゃん!! 御礼は君のあつ〜〜いキッスで‥‥ぐぼぁ〜〜!?」
「え、え〜と‥‥と、とにかくもう安全だわ!! それじゃ、私はもう行かなくちゃ!!」
 果たして、奴と相対する時は来るのだろうか‥‥そして、女幹部フローズンとは一体‥‥マリーの戦いは、まだ始まったばかりである!!



「はいカット〜〜!! 素晴らしいよマリーちゃん!! やはり私の目にくるいは無かった!!」
「‥‥大丈夫かマリー? どこか怪我は無いか?」
「だ、大丈夫‥‥怪我は無いけど‥‥」
 カチンと音が鳴ったと同時に、大急ぎで彼女の元へかけつけるエリク。所々で危ない雰囲気の部分もあったため、気が気では無かった様子である。
「そ、そうか‥‥なら構わない‥‥」
「あぁ〜〜ん御姉様〜〜!! もう迫力満点の映像が取れましたわよ〜〜!?」
「ちょ、ちょっといきなり何飛びついてくるのよ!?」
 最後まで撮影を担っていた住吉が、まるで某テレポート少女の如く飛びついてきた。例の『危ない雰囲気』の場面は、大体彼女が指示を出していたらしいが‥‥
「‥‥ところであんた、撮影中もホントあっちこっち動いてなかった? ちらちらと視界に入って、かなり演技の邪魔になったんだけど‥‥」
「何を言ってるのですか御姉様!! 御姉様のあ〜んな場面やこ〜んな場面を撮る為なら、例え火の中水の中♪」
「‥‥そういえば、やけにマリーが脱げるシーンやいじられているシーンを念入りに写していたような‥‥な」
 深くため息をついたエリクだったが、ふと向こうから大慌てで走ってくる人影が一つ‥‥ユキメであった。マリーの元に到着するなり、いきなりスライディング土下座を仕掛ける。
「な、何て事をしてしまったのかしら‥‥本当に申し訳ないわ!!」
「もう良いわよ‥‥それにしてもあんなに役に成り切るなんて、ユキメさんって内心‥‥」
「も、もう言わないで頂戴!!」
 顔を真っ赤にして頭を下げる彼女の肩をぽんぽんと叩きながら慰めるマリー。とりあえずここは収まりそうであった‥‥



「う〜ん、それにしてもなかなかの盛り上がりでしたわね〜、比良坂さん♪」
「え、ええ‥‥そうですね‥‥確かに『色々と』盛り上がっていた気が‥‥」
「あらあら、何だか鼻に詰め物が‥‥どうかしましたか〜?」
「い、いえ‥‥気にしないで下さい‥‥」
 どうやら離れた場所では、また別の戦いがあったようである‥‥合掌。