●リプレイ本文
●とりあえず着替えましょう〜
ここは男達にとって、永遠の聖域(アガルタ)‥‥『さらさの湯』女性脱衣所。
「竹壁が壊れる原因‥‥な、何だか困っちゃうね〜!?」
「‥‥? もしかして心当たりがあるのですか?」
若干冷や汗をかきながら服を脱いでいる刃霧零奈(
gc6291)の横で、ひょっこりと首を傾げながら服を畳んでいるのは御剣雷光(
gc0335)。
「もし何か知ってるのなら、何でも教えてください」
「え、え〜とその〜‥‥と、とにかく見てから考えよ、ね!?」
「はぁ‥‥分かりました」
若干納得いかなさそうな御剣だが、深くは追求しない事にしたようだ。そして服と下着を全部脱いで温泉へ向かおうと‥‥
「ちょ、ちょっと御剣さん!? 何も着ないの!?」
「はい。それが何か?」
「いやいや!! だって男性陣も一緒になるんだよ!? せめて水着だけでも‥‥!!」
「いえ、風呂に入るのに水着とか無粋だと思います。それに、あそこの人も‥‥」
大慌てで御剣を止めようとする刃霧だったが、彼女の指差す先を見ると‥‥何やら怪しい空気が立ち込めていた。
「がぅ‥‥レイチーの胸、相変わらず‥‥」
「ふふ、サキの胸だって可愛いよ〜♪ 思わず撫で撫でしたくなっちゃう〜♪」
「うぅ〜‥‥そんなに見られると、恥ずかしい‥‥」
にこにこと佐倉・咲江(
gb1946)の脱いでいく様子を見つめているのは、これまた見事な美巨乳を、一切何も身に着けずにさらけ出しているレイチェル・レッドレイ(
gb2739)であった。
その幼げな顔に不釣合いなほどに実った『ツインボム』は、見る者全ての視線を集めるに充分たる代物である。
「‥‥あ、あれ‥‥水着忘れた‥‥仕方ない、バスタオル‥‥」
「ほらー、サキったらお風呂では裸にならなきゃダメだよー? それじゃ〜レッツゴ〜♪」
「がぅぅ〜〜!? そ、そんなに押さないで‥‥!!」
ゴソゴソとカバンを探ってバスタオルを取り出した佐倉の手を取って、彼女が身につける間もなく浴場へ押し出していくレイチェル‥‥果たして、彼女達の運命や如何に?
「そういえば、ここって銭湯? それとも温泉?」
「え〜と、確かちゃんと地下から汲み上げている源泉かけ流しの温泉だったはずよ」
「はい〜。それを気軽に誰でも利用出来るようにした施設、それが『さらさの湯』ですわ♪」
「へ〜‥‥なかなか本格的だね〜」
何やらうっすらとした着物っぽい湯着を纏っている(注:しかしそれを押し上げる膨らみはやはり大きい)常木 明(
gc6409)と一緒に浴場へ向かっているマリーとリアナ。
「でも一応依頼なんだから、調査ぐらいはしっかりして‥‥」
「‥‥でも、店側は本当に必要としているのかな〜?」
「うふふ、とりあえず細かい事は後で考えましょう〜。女将さんには適当に考えておきますわ♪」
「そ、それは流石にぶっちゃけすぎなんじゃ‥‥」
クスクスと微笑みながら淡いグリーンのビキニを纏っているリアナの言葉に、かくんと肩を落とす常木。まあ今回はあくまで依頼はおまけ‥‥そう思い直してガラガラとドアを開ける彼女であった。
さて、とりあえず女性陣はそれぞれの考えを持って温泉に臨むようである。さて次は男脱衣所を‥‥
「ちょっとちょっと〜〜!? だから何も着ていない人が混じってるんだけど〜〜!?」
‥‥叫ぶ刃霧の声は湯煙と共に消えていった‥‥合掌。
「い〜やっは〜〜!! 分かってると思うが、今回の依頼の真の目的は別のところにある!!」
「‥‥なんだかやけに元気だな‥‥何か悪いものでも食べたのか?」
「いや、こいつはいつもこんな感じなんだ‥‥気にしないでやってくれ」
ここは男子脱衣所。その中に『ヒャッホ〜!!』といった空気を全身から立ち上らせているパンツ一丁の男が仁王立ちしていた‥‥その男の名は布施川 逢介(
gc7835)。つい先ほど美人女将から丁寧に依頼の事を頼まれて、完全にテンションが滝登りしているようである。その横でじと〜っとした目で見つめているエリク・バルフォア(
gc6648)に対して、布施川の先輩である月野 現(
gc7488)が何とか言い訳を連ねていた。
「実は逢介の奴、今回が初依頼初参加なんだ。プラス今回は女性陣が多い事もあって完全に『アッチ』へ思考が‥‥」
「‥‥とにかく、僕達の邪魔にさえならなければいいんだが。後は女性陣に対するマナー等‥‥」
「こら〜!! きちんと俺の話を聞け〜!! 良いか!? ここで何もしない事は、逆に相手に対して失礼に当たる!! そこで必ず起こるハプニングに全力で突撃し、あくまで紳士的に、そして正当的に〜‥‥」
「‥‥スマン、今ここでこいつを気絶させた方がよっぽど依頼達成の近道だと思うのだが」
「‥‥言わないでくれ‥‥今、まさに同じ事を考えていたんだ‥‥」
最近なかなか現れなかったギャグ担当キャラに、軽く眩暈すら覚えているエリクと月野であった‥‥
●思い思いの過ごし方‥‥
さて、とりあえず温泉内へ入った能力者達。幸い男湯と女湯の仕切りは無いとはいえ、木々や岩等で死角は充分にある。よって‥‥ある程度の描写は許されるのである(断言)
「サキ〜? それじゃ〜早速身体を洗おっか〜♪」
「がぅ‥‥それじゃ、洗う‥‥」
ここは上手く木々に隠れた洗い場。目の前には外壁に備え付けられたシャワーや蛇口、そして備え付けのボディーシャンプー等がある。その前で仲良く座り込んだレイチェルと佐倉‥‥しかし、どこかレイチェルの目が怪しく光る。
「がぅ〜‥‥そういえば身体を洗うタオルが‥‥」
「うふふ‥‥だ〜いじょ〜ぶ♪ 少し待っててね〜‥‥♪」
「‥‥?」
少し首を傾げた佐倉だが、信頼している彼女なら問題無いだろうとじっと大人しく待っていた。そしてその間にレイチェルは‥‥備え付けのボディーシャンプーを、直接彼女自身の身体に向けてポンプを押していったのだ!!
ぬるぬると粘性のあるピンク色の液体が彼女の肢体をゆったりと流れていき、豊満な胸やその谷間にたっぷりと溜まっていく。そしてしっかりと張りのある肌を彩る液体は、彼女自身の手によってゆっくりと塗り広げられていき‥‥
「それじゃ、洗うよ〜?」
「うん‥‥お願い」
そうとも知らない佐倉はのんびりと『その時』を待っている。そして‥‥レイチェルはその泡に塗れた身体ごと、彼女の小さな身体に押し付けていく。
「‥‥!? ちょ、ちょっとレイチー‥‥!? 今、何を‥‥」
「もぅ‥‥そんな動いちゃダメだよ? 動くとちゃんと洗えないでしょ‥‥」
「だ、だから‥‥そんな洗い方、聞いてない‥‥恥ずかしい‥‥よ」
ビクッと彼女の小さな身体が硬直し、そのまま背中からゆったりと泡に塗れていく。レイチェルはその反応に満足したかのように、ますます密着度合いを深めていった。
「ふふ‥‥サキったら、ホント可愛い♪ ほらほら‥‥あんまり動くと、男の人達から見えちゃうよ‥‥?」
「だ、ダメ‥‥ダメだから‥‥が、がぅ‥‥」
「だから恥ずかしがるコトないって‥‥ほら♪」
「〜〜〜!?」
軽く耳を舐められて、思わずビクッと震える佐倉‥‥どうやら、まだまだ彼女達の『洗いっこ』は続きそうであった‥‥
「で、私はこれ以上進んではいけない、と」
「それはそうでしょ!? それ以上進んだら、完全に向こうから見えちゃうんだよ!?」
「しかし‥‥若干狭いです」
ここは大温泉の隅の方‥‥身体を洗い終えた御剣だったが、刃霧が何とか男性陣から見えないように湯気や木々を利用してやってきた『死角』である。
「御剣さんがど〜してもって言うから、譲歩を重ねてここにしたんだから‥‥全くもぅ」
「お疲れのようですね。あなたもそんな水着なんか取ってしまえばどうですか?」
「さ、流石にそれは‥‥あ、リアナさんと常木さんだ。ね〜!! こっちこっち〜!!」
少し離れた場所からゆっくりと歩いてくるリアナと常木の姿を見つけた刃霧が、コイコイとばかりに手を振る。
「あらあら〜、どうしてそんな隅にいるのですか〜?」
「いや〜、それがちょっと色々と事情が〜‥‥って、常木さんも!?」
「ん? あちきはちゃんと着てるけど‥‥何かおかしいかな?」
「いやいやいや!! それはある意味裸より危ないからね!?」
思わず刃霧がツッコミを入れた常木の湯着は、お湯に濡れて彼女の肢体にぴったりと張り付いており、その見事な体型をこれでもかとばかりに強調していた。
確かに透けてはいないものの、その身体の凹凸を余す事無く映し出しているその姿。そして豊満を表す見事なツインスイカ‥‥彼女のしっとりと濡れた黒髪と相まって、絶妙な和のバランスを生み出していた。
「そうかな? ま、ちゃんと着てるんだから大丈夫っしょ」
「だ、だからそれは着ていないのとほぼ同じで‥‥はぁ、何だか今無性にマリーさんの気持ちが分かった気がする‥‥」
「うふふ、そういう刃霧さんもなかなかなお姿ですわよ?」
リアナがクスリと微笑むのも無理は無い。がくりと肩を落とした刃霧の姿は、かなり際どい雰囲気を醸し出す真紅のビキニ姿だったからだ。
たぷんたぷんと揺れる彼女のメロンを僅かに包み込んでいるだけの布。その大事な一部分を隠しているのもまた、僅かな面積の布切れであった。温泉の湯とは違う、また別の液体が美しい肢体を流れ落ち(注:ただの汗です)、ポタポタと湯面に落ちる。
「べ、別にこれぐらいは普通なんじゃないかな!?」
「いえいえ〜、特に深い意味はありませんわよ〜? ただ少しだけ‥‥うふふ〜♪」
「だからホントにリアナさんってソッチの趣味があるんじゃないの〜〜!?」
バシャバシャとじゃれ合うリアナと刃霧を横目に、トプンと湯に浸かってのんびりしている御剣と常木。
「ふぅ‥‥何だか騒がしいですね」
「ま、いつもの光景さ。‥‥ちょっと違うと言えば、アッチのお二人さんかな?」
「‥‥?」
首を傾げた御剣だが、その視線の先を見て思わず納得するのであった‥‥
少し離れた場所でのんびりと談笑しているのはマリーとエリクであった。何だか明らかに周囲とは違った空間を作り出している彼らだったが、当人達は全くそんな事を気にした様子は無い。
「そういえば、あの時はありがとね? 本当に記憶が色々と抜けてて‥‥私、変な事とかしなかった?」
「い、いや何も無かった‥‥それより、やはり風呂での酒というのも上手いものだな」
またもや彼にしては若干動揺した感じを出しながらお猪口を傾けていく。マリーは前回の失敗(?)を踏まえ、かなりペースを落として飲んでいるのだが‥‥今回は逆にエリクの様子がおかしい。
「ちょ、ちょっと少しペースが速くない‥‥? あんたにしては珍しいけど‥‥」
「全く問題ない‥‥そう、何も無い‥‥」
ひょっこりと近寄ったマリーを見て、思わず視線を逸らしてしまうエリク。勿論彼女も今は水着を着ているのだが、温泉場でここまで直に見るのは初めてだったりする。
刃霧や常木・レイチェル達には負けるものの、彼女も充分平均以上の身体の持ち主だ。ブランド物の青いビキニタイプの水着で包み込まれた胸は、ゆったりとしたバランスを持ちながらその存在を示している。ほんのりと赤くなった肌に、滴る汗とお湯‥‥そしてその口から漏れる吐息に、エリクの心臓は非常に珍しく動揺しているようであった。
しかも今は温泉である。普段よりピッチを上げて飲んでおり、しかも早いアルコールの巡りを考えると‥‥
「む‥‥何だか‥‥少し酔いが回ってしまったか‥‥」
「少し顔が赤いわね‥‥少し上がって腰掛で‥‥ひゃう!?」
「‥‥‥」
パシャっと水の音を立てて、隣のマリーにもたれ掛かってしまうエリク‥‥とりあえず腰掛け部分に座らせたものの、完全に気を抜いた状態で寄りかかっていた。
「‥‥すまない‥‥少しだけ、こうさせてくれないか‥‥」
「も、もう‥‥全く、仕方ないんだから‥‥」
彼がここまで気を許す姿を、彼女はどんな依頼でも見た事が無かった(注:酒場では彼女が酔っていた為)。肩に寄りかかる、少し年下の気になる男性‥‥若干頬を赤くしながらも、今はじっとその横顔を見つめているマリーであった。
「ぐぬぬぬ〜〜!! 確かに女性の幸せは応援するが‥‥先輩!! 今こそ俺達も突撃する時‥‥あれ〜!?」
まさに砂糖菓子のような甘さを誇る二人の空間を、飛んでいる鳥さえ落とすような殺気で睨みつけている布施川だったが、ふと横を振り向いた先に月野の姿は無い。
「ちょっと先輩〜? どこにいるんで〜‥‥!?」
「へ〜、なかなか美味しいお酒だね」
「はい、美味です。熱燗を温泉でというのも悪くありません」
「喜んでもらえて何よりだ。ツマミもあるから遠慮なく食べて欲しい」
驚愕のあまりアゴが地面に落ちて穴を開けている布施川の視線の先では、にこやかに常木・御剣と談笑している月野。どうやら布施川が一人で悶え苦しんでいる間にさっさと酒を持って輪の中に入り込んでいったようだ(注:ちゃんと御剣もバスタオルは巻いてます‥‥というか、刃霧が巻かせた)。
「な、な‥‥くそ〜!! ならば俺は俺で男‥‥いや、漢の夢を掴んでやる!! 今こそ舞い上がれ、神風よ〜〜!!」
大きくがば〜っと両手を天に振り上げて、心の底から祈りを捧げる布施川。そして、その祈りは‥‥ある悲鳴となって現出した!!
「ちょ、ちょっとそれは流石に危ないから〜〜!!」
「あらあら〜、向こうでレイチェルさんがしていた事をしたいだけですわ〜♪」
「がぅ‥‥何だか向こうに影響‥‥はふぅ‥‥」
「ふふ、良いんじゃないかな♪ ほら、こっちもまだ‥‥だよ?」
音声確認・視界クリア。火気管制オールクリア。全漢達とのデータリンク確立。最終起動確認‥‥!!
「今こそ駆け上がる時!! 限界まで‥‥飛ばすぜ!!」
甘い声が聞こえた方向へ全ての神経を注ぎ、今、彼は大空へ羽ばたく‥‥
「‥‥おい、逢介」
「‥‥え?」
今まさにクラウチングスタートをきろうとしていた彼の前に、どどんと現れた月野。
「さっきから訳の分からん言葉をズラズラと並べ、その行動は何なんだ?」
「夢と希望‥‥それを掴む為に!! 俺は今、鳥になるんです!! 邪魔するなら先輩とはいえ容赦しませがふぅ〜!?」
「‥‥やはり、脱衣所でやるべきだったか‥‥」
カクンと崩れ落ちた布施川‥‥しかしその信念がある限り、いつか思いを遂げる日はやって来るだろう。
ちなみに皆の意見を合わせた結果、女将さんへの報告は『しっかり土台を強化しましょう』となった‥‥以上。