●リプレイ本文
●それじゃ、飲み会開始♪
「それじゃ、今回は宜しくお願いしますね」
「おう、ゆっくりしていきな。今日は貸切だ、遠慮なく注文しな」
「はい〜、それでは私も遠慮なく〜♪」
「おいおい‥‥あんたは今まで遠慮なんてした事あったかい‥‥?」
ぎこちなく挨拶する比良坂 和泉(
ga6549)に、にかっと人の良い笑いで答えるマスター。
同調するようにリアナも微笑んでいるが、マスターは呆れ顔である‥‥と、ふと比良坂に顔を近づけてヒソヒソ話を仕掛ける。
「それにしてもあんた、今までに結構な苦労をしてきたんじゃないのかい?」
「い、いえ‥‥それほどでも無いですよ。リアナさんにはかなりお世話になって来ましたし‥‥」
「だったら良いんだけどよ。ま、これからも嬢ちゃんを助けてやってくれや」
「は、はい!! 勿論です!!」
掘りの深いシワ顔からは、数々の歴史を潜り抜けてきたのであろう‥‥改めて気合を入れなおす比良坂であった。
「それじゃー今日は呑むわよー♪ お姉ちゃんも【色々と】張り切っちゃうから〜♪」
「え〜と、それではペスカトーレと、きのこドリアと‥‥後はマルゲリータをお願いしましょうか」
「あら〜、いきなりいくわね〜。私も負けてられないわ〜‥‥すみませ〜ん、お酒とお酒とお酒〜〜♪」
「いや、それって注文ですか‥‥?」
「‥‥拓海。彼女の雰囲気から察するに、あまり深くは突っ込まない方が良さそうだ‥‥恐らくザルだろう」
「そ、そうですか‥‥って、おまえもうそんなに食べてるのか!?」
「むぐむぐ‥‥あ、先輩も食べますか?」
一つのテーブルでは、樹・籐子(
gc0214)と黒羽 拓海(
gc7335)、月野 現(
gc7488)と大神 哉目(
gc7784)が座っていた。
いつの間に注文していたのか、もくもくとウインナー盛り合わせを食べている大神に思わず突っ込みを入れてしまう黒羽。
もちろん樹も負けじと注文を追加し、月野は苦笑いだ。
「マ〜スタ〜♪ 焼酎追加よ〜♪ ほらほら〜、お姉ちゃんのお酒が呑めないの〜!?」
「だ、だからそんなに一気に注がれても呑めんっ!! 哉目、拓海!! こっちを助けろ‥‥!!」
「もぐもぐ‥‥あ、私お酒弱いんで‥‥むぐむぐ」
「ほ、ホントによく食べるな‥‥あ、俺も今はそっちは遠慮しますんで」
「二人ともあっさり言うな〜〜!! あ、またいつの間にかグラスに‥‥!?」
「ほらほら〜♪ まだまだ夜は長いわよ〜〜♪」
‥‥まだ、宴会は始まったばかりである‥‥
「実はこういう集まりって少し苦手なんだけど‥‥ま、たまにはこういうのもいいかな」
「まーまー、折角の飲み会なんですし、楽しく騒ぎましょう♪」
「よっしーは元気だね〜。‥‥それで、エリクさんは【彼女】と特別なオハナシかな?」
「‥‥意味が分からない。あくまで僕は【皆】と一緒に飲みに来ただけだ」
また別のテーブルでは、常木 明(
gc6409)と住吉(
gc6879)、そしてエリク・バルフォア(
gc6648)が座っている。
後で比良坂も来る予定だが、今はどうやらマスターと何やら話をしている最中らしい‥‥マリーは少し遅れているようだ。
「またまた〜。どうせ後で【ゆっくりと】お楽しみタイムなんでしょ〜♪」
「‥‥本当に意味が分からないな。いつでも僕は冷静だ‥‥例えばこのように料理とお酒のバランスも考え‥‥」
「ふ〜、やっとあの子の場所も一段落かしら‥‥ごめんなさいね? ちょっと遅れちゃったわ」
「‥‥安心しろ。今まさにマリーの分の料理を取り分けていた所だ」
「ホントにごめんね? ‥‥ところで、そこで変な笑いをしている二人が気になるんだけど‥‥」
「‥‥気にするな。とにかく飲もう」
「ニヤニヤ‥‥何だか見ていてとっても面白いですね〜♪」
「しっ。例えホントの事でも言っちゃダメだよ、よっしー♪」
どうやらここでも何やら一波乱がありそうである‥‥そして、宴会は続く。
●皆さんはどんな感じでしょう〜? (前編)
宴会が始まって‥‥リアナとマリーは揃ってそれぞれのテーブルへ顔を出す事にした。
「それで、例えばどんな薬を売ってるのですか?」
「そうですわね〜‥‥【性格が逆転する】とか、【妙に体中が敏感になる】とか〜♪」
「そ、それはまた‥‥ん? 何だかまた樹さんの様子が‥‥」
「ほらほら拓海ちゃん〜♪ もうグラスが空になっちゃったわよ〜? このままじゃお姉ちゃん飢え死にしちゃう〜♪」
「だ、だからそんなに入れられると‥‥うぅ、断れない‥‥」
「ふふふ、何だか楽しそうですわね〜♪」
「いや、明らかに危ないでしょ‥‥」
今度の【お姉ちゃん】の標的は黒羽なのか、空いたかと思うとすぐに追加を注いでいる樹。相変わらずぽわぽわ微笑んでいるリアナだが、横のマリーは呆れ顔でグラスを傾けている。
「あら〜、マリーちゃんもどうしたのかな〜? もしかして〜、【例の彼】の事が気になってたりして〜♪」
「ちょ、ちょっと例の彼って誰の事よ!! 別に私はそんな‥‥!!」
「うふふ〜♪ 赤くなったお顔もか〜わいい〜♪」
「ちょ、ちょっとそんなに顔をくっつけないで〜〜!!」
むにむにと直接顔をくっ付けながら、すりすりとマリーに顔を寄せつけている樹。その間にお互いの胸同士がむにゅむにゅと揉まれ合っているのが悩ましい‥‥(ぁ
「あらあら‥‥マリーも随分気に入られましたわね〜♪」
「ま、まあこういうのも‥‥いいかも‥‥」
その実に羨ま‥‥艶かしい光景を、それぞれの視線で眺めているリアナと拓海であった‥‥(ぁ
「ふぅ、とりあえず助かったか‥‥拓海、生きて戻って来い」
「むぐ、むぐ‥‥マスター、コーヒーミルクとピザとドリアお代わりー」
「‥‥ホント、今日のお前はマイペースだな‥‥」
「ごくごく‥‥ぷは〜‥‥え? だって、これって現の奢りでしょ?」
「いや、違うから!!」
そして、無事に生還した月野は軽く両手を合わせて合掌(注:大神は相変わらずマイペースに食事中)。さっきまで月野もリアナ達と色々会話を楽しんでいたのだが、素早い防衛本能が働いたのかそそくさと大神の方へ椅子をずらした様子。
「全く‥‥まだ始まって間もないのに、いきなりこれか‥‥」
「もきゅ、もきゅ‥‥ん? 何だかこのミルク‥‥変な味が‥‥」
「どうした、哉目? 少し様子がおかしいようだが‥‥?」
少し(?)様子が変わってきた大神を見て、樹が飲んでいたグラスを確認する。すると、何やら甘いコーヒー牛乳のような香りに隠れて‥‥若干のアルコール臭が。
「‥‥うぅん〜。な〜んでもな〜いよ〜♪ なーんか気持ちよくなってキターってだけだから〜♪」
「あら〜? それってさっき向こうの常木ちゃんが頼んだ【カルーアミルク】じゃないの〜?」
「な、何!? 哉目はまだ未成年だぞ!?」
かなり焦った様子の月野だがもう遅い。大神の顔はすでに段々と火照ってきており、着ていた上着もぽ〜いとほうり捨てる。黒のカットソー姿になったその胸は、はちきれんばかりにその存在を主張していた。
「あははは〜♪ やっぱりリアナさんとマリーさんって【デキて】るんですよね〜?」
「ちょ、ちょっと誰と誰がデキてんのよ!? 私はあくまでノーマルであって‥‥!!」
「あの〜、【デキてる】とは何でしょう〜?」
「あらあら〜、リアナちゃんはホントに初心な子ね〜♪ つまり〜、普段から二人でイチャイチャしてたり〜‥‥」
「だぁ〜〜!! 樹さんは黙ってて頂戴〜〜!!」
「うにゅにゅ〜? だったら〜、私が頂いちゃっても〜〜♪」
「ちょ、ちょっと何リアナにくっ付いてるのよ!? 離れなさ〜い!!」
「あら〜、だったらお姉ちゃんも〜♪」
「な、なあ拓海‥‥。今の俺たちって、ある意味【役得】なのかな‥‥」
「‥‥た、多分‥‥」
美女4人がくんずほぐれつ(注:全員がむっちり体型+衣服が半分はだけ状態)している光景を、どこか顔を赤くしながらそれを酒のつまみにしている男二人であった‥‥合掌。
●皆さんはどんな感じでしょ〜? (後編)
「うぅ‥‥酷い目にあったわ‥‥」
「うふふ、ホントにお元気な皆さんですわね〜」
「え〜と、とりあえずお疲れ様〜。お酒、まだ呑むでしょ?」
「うぅ‥‥御姉様にあんな事やこんな事を〜‥‥今度は私が‥‥」
「り、リアナさん!? 大丈夫ですか!? さっきは向こうで何だか色々な目に‥‥!!」
「マ、マリー‥‥どこか、怪我は無いか? とりあえずここで落ち着け‥‥」
もう一つのテーブルに戻ってきたマリーとリアナ。相変わらずのんきにゴトっとジョッキをテーブルに置いた常木の横では、ぐぬぬぬとばかりに住吉がハンカチの端をかじっている。そして‥‥かなり動揺している雰囲気を見せている男二人。
「ま、あちき達は馴染み同士だし、そんな変な事は‥‥あるかも」
「ちょ、ちょっと常木さん‥‥そんな不気味な事を言わないで下さい‥‥」
「いや、無いとも言い切れまい。現に今までの傾向があるからな」
「おやおや〜? エリクさんも随分分かってきましたね〜。やっぱり愛するお方がいますと理解力も‥‥」
「‥‥だから住吉、君の言ってる事は相変わらず分からない」
そんなこんなでぐだぐだと話をしていた6人。相変わらず常木や住吉がニヤニヤと男組をからかいつつ、片方は動揺・片方は無表情で答えながら(但し、若干普段には見られない動揺もあり)のん気に飲んでいたのだったが‥‥少し収まった所でエリクがふとマリーの方を向いて言葉を発する。
「‥‥ところでマリー。もし良ければ、少し向こうで飲まないか?」
「え? も、もちろん構わないけど‥‥」
「おやおや〜? 随分エリクさんも大胆だね〜♪」
「お、御姉様と二人っきりで‥‥!? ゆ、許しませ‥‥もがもが!!」
「いいから行って来るといいよ。ま、後でまた遊ばせてもらうけどね?」
もがもがと暴れる住吉の口を押さえつつひらひらと片手を振る常木に見送られ、カウンターへ歩いて行くエリクとマリー。その様子を見て思わず唸ってしまう比良坂。
「むむ‥‥そう来ましたか、エリクさん‥‥よ、よし、俺も頑張らないと!!」
「あら〜? 何を頑張るのですか、比良坂さん〜?」
「い、いえ別に何もありませんよリアナさん!! ええ、何も!!」
「‥‥こっちはまだ勇気が足りなさそうだね〜。よっしー、やっぱりあちき達が‥‥」
「ホントです‥‥もう少し比良坂様も【ガッツ】を見せてもらいませんと♪」
どうやら何かをたくらみ始めた二人。こそこそと比良坂の近くへ寄ると、ひそひそと耳元で囁く。
「ねえねえ、少し和泉くん呑み足りなくないかな〜?」
「あら〜、そういえばそうですね〜。せっかくですし〜、もっと呑まないと〜♪」
「ちょ、ちょっと常木さんに住吉さん!? いきなりそんな注がれると‥‥!!」
‥‥そして、彼らの一世一代の勝負が訪れる‥‥(ぇ
●わ、わたし達の想い‥‥?
「ふむ‥‥飲む約束、意外と早く訪れたな‥‥」
「そ、そういえばそうだったわね‥‥と言っても、結構飲んじゃった気もするけど」
カウンター席で並んで座っているエリクとマリー。アハハと笑う彼女だったが、内心は穏やかでは無い。
果たして自分の気持ちはどうなっているのか、彼の事がホントは‥‥そう考えると、飲むピッチも自然と早くなってしまう。
「そういえば、マリーはどんな仕事をしているんだ?」
「え、ええとね‥‥まあ、何でも屋みたいな感じかな? 詳しく話すと長くなるんだけど‥‥」
「そうか。なら、今度二人だけで飲むときにでも聞かせてもらいたいな‥‥」
「そ、そうね‥‥い、今は少し飲み過ぎた感もあるし、ね‥‥」
カランと氷が音を立てて、コースターにグラスが置かれる。ほんのりと赤く染まった彼女の顔は、決して酒のせいだけでは無いだろう。‥‥それは、もしかするとエリクにとっても同じ事が言えるかもしれないが。
「‥‥ん? 何だか目が眠そうになっているな。大丈夫か?」
「だ、大丈夫よ‥‥ま、まだまだ普段は‥‥」
「‥‥いや、そのまま外を歩くのは危ない。後で僕が送っていこう‥‥だから、安心して眠れ」
「ん‥‥じゃ、そう‥‥しよっかな‥‥」
ポンと肩を叩かれ、どこか安心したように力を抜くマリー。その寝顔を見て何処と無く顔を綻ばせるエリク‥‥の様子を、じ〜〜〜っと見ている影が4つ。
「ちょ、ちょっと何だか良い雰囲気じゃないの〜? お姉ちゃん何だか火照ってきちゃう〜♪」
「し!! 今はそっと見守りましょう。きっともうすぐ何か行動を‥‥」
「む、見ろ拓海。今エリクさんが彼女を背負って出て行くぞ‥‥」
「む〜〜、マリ〜さんは〜、リアナさんとデキてたんじゃないんですか〜〜?」
「だからそれは哉目の思い込みだ‥‥む、何だかエリクさんの顔も微笑ましいな」
「あ〜んも〜!! お姉ちゃんもあんな風に抱きしめられた〜い〜♪」
こうしてそっと出て行く二人を見送る4人。果たしてその後、彼女達がどうなったのか‥‥それはまた別のお話である。
そして、こっちのテーブルでも新たな展開が‥‥?
「うぅ‥‥あの〜リアナさん〜? 少しお話があるのですけど〜‥‥」
「あらあら〜、何だかお顔が真っ赤になっていますわね〜。大丈夫ですか〜?」
「ありゃりゃ‥‥すこ〜し飲ませすぎちゃったかな〜?」
「大丈夫ですよ〜。‥‥まあ、少しずつ私が用意したのを追加していったんですけど」
「そ、それって大丈夫なの‥‥かな?」
何やら顔が真っ赤になっている比良坂が必死の表情でリアナに話しかけているのを、じ〜〜っと野次馬根性で見ている常木と住吉。彼にとっても、色々と話したい・聞きたい事が山のようにあるのだろうが‥‥果たして?「え、ええとですね〜‥‥実はその〜‥‥」
「はい〜、何でしょうか〜?」
「あ、あのですね‥‥お、俺の事‥‥その‥‥」
「いけいけゴーゴー比良坂さん〜♪ 私達が付いていますよ〜♪」
「え〜と、よっしー? 何だか彼の顔が‥‥」
常木が若干引きつった笑みで比良坂の顔を見ていると、段々と頭からぷしゅ〜っと湯気が‥‥
「その、つまりですね‥‥俺といて、その‥‥楽しいかどうかと言いますか‥‥」
「あらあら〜、何だかお顔が蒼ざめていますわ〜。大丈夫ですか〜?(ぴと〜〜♪)」
「り、リアナさん!? そんなに額をくっ付けられますと、余計に‥‥!!」
そして、ついに力尽きたのかガクっとリアナの腕の中へ収まってしまう比良坂。まだ意識はあるのだが、体が言う事を聞かない状態と言うべきか‥‥
「うぅ‥‥こ、こんな大事な時に‥‥」
「ふふ‥‥大丈夫ですわよ〜。‥‥そうやって必死に頑張る比良坂さんの事、私は好きですわ♪」
「‥‥そ、そう‥‥です‥‥か‥‥」
言葉の途中でついに崩れ落ちる比良坂を、まるで聖母のような笑みで抱きしめるリアナ。その表情は、まだマリーも見た事が無いような違う優しさのある笑みであった。
「‥‥いつか、今感じている感情が何なのか‥‥分かる時が来ますように‥‥♪」