タイトル:肝試しの手伝い‥‥前編マスター:優すけ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/08/01 08:22

●オープニング本文


 さて、夏である。それはもうカンカンに晴れ渡った真夏である。こんな暑さになると、途端に客足が遠のいてしまう施設もあるだろう。そんな中の一つが‥‥

「‥‥まさか、ここが依頼の場所だなんてね」
「うふふ、いいじゃありませんか。いつもお世話になっているんですし♪」

 ここは公共温泉施設【さらさの湯】。露天温泉や炭酸風呂・岩風呂なども備え、館内には食事の出来る店やマッサージ屋も入っている、なかなかの施設である。しかし、やはり暑い夏は皆プールや海など涼める場所へ流れるのがお決まりとなっている。そしてここも例外ではなく、夏に入ってから途端に客足が落ちてしまった。そこへ赴いたのが‥‥リアナとマリーである。

「リアナ様とマリー様のお噂はかねがね聞いております。何でも数々の困難な依頼を見事に解決し、困った方々を確実に助けてきたとか‥‥」
「え、ええと‥‥何だか色々と脚色が凄くなっているような‥‥」
「うふふ、でも困っている人を助けるのも【何でも作り屋】の使命ですわ♪」
「‥‥いつもこっちから新たに能力者さんをお願いしているのが現状じゃない‥‥」

 以前行った【改装イベント】のお陰で、リアナの店の知名度は飛躍的に上がった。それと同時に色々と依頼される事も増えてきたのだが、今回はまた特別な場所である。普段から【色々と】お世話になっているこの温泉施設から直接の依頼があったのであった。

「実は今度、夏に向けて【ドッキリ☆温泉施設お化け屋敷大会♪】を実施しようとしているのですが、その為のある【材料】が足りないのです」
「‥‥そのネーミングセンスは置いておいて、なかなか珍しい企画じゃない」
「そうですわね〜。ここなら広さも十分ありますし〜」
「それで、ただ単純なトリックや仕掛けだと面白くないと感じたオーナーが打ち出したのが‥‥【ドッキリ☆君と私が密着トラップ】だそうです」
「‥‥なるほど、ネーミングセンスはオーナーが原因なのね」
「それで、その【材料】とはなんでしょうか〜?」

 がくっと肩を落としたマリーの横で、ふわふわとした雰囲気でリアナが聞き返した。するとその従業員は、若干困ったような顔で苦笑いしてしまう。

「それがその‥‥【人体に害の無い】【粘着性のある】【でも剥がそうとすればちゃんと剥がれる】ような都合の良い代物だそうで‥‥」
「それはまた難儀そうな材料ね。リアナ、あんた何か思いつく?」
「う〜ん‥‥今言われた【もの】は何とか作れそうですわね〜。でも今度はその素材を取りに出かけませんと‥‥」
「お願いします!! この企画が成功したら、皆さんを無料でご招待しても構わないとの事です!! しかも施設一日貸切権利もお付けします!!」


‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥
‥‥

「それで、素材の当てはあるの?」
「そうですわね〜、確か近くの森で【大蜘蛛キメラ】がいたような‥‥」
「‥‥またキメラなのね‥‥」

●参加者一覧

ベーオウルフ(ga3640
25歳・♂・PN
比良坂 和泉(ga6549
20歳・♂・GD
八尾師 命(gb9785
18歳・♀・ER
白峰 琉(gc4999
25歳・♂・HG
蒼 零奈(gc6291
19歳・♀・PN
エリク・バルフォア(gc6648
18歳・♂・ER
住吉(gc6879
15歳・♀・ER
ミティシア(gc7179
11歳・♀・HD

●リプレイ本文

●森へ向かう道中
「温泉施設で肝試し、ですか‥‥何だかピンと来ませんね」
「ふふ、でも夏らしいイベントであるのは間違い無さそうですわ〜♪」
 背の高い草を剣で切り払いながら進んでいる比良坂 和泉(ga6549)の後ろでは、にこにこと微笑んでいるリアナがいた。どうやらキメラと同じく幽霊関係も全く怖く感じないのか、その足取りは普通である。
「う〜ん‥‥まあ夏らしいのは認めますけど、こう何と言うか‥‥」
「蜘蛛退治〜♪ 蜘蛛退治〜♪ ねばねばぐるぐるぐ〜るぐる〜♪」
 比良坂がリアナの返事に苦笑いしながら蔓を抜き取っていると、二人の後ろで最早恒例となった【謎の歌】を元気に歌っているミティシア(gc7179)がいた。どんな時でも元気一杯な彼女を見て、つい比良坂も顔を綻ばせる。
「それにしてもミティシアさんはいつも元気ですね〜。この歌もある意味面白く‥‥」
「最後はお約束のちゃら男が鼻血ブ〜♪ 止血にくず鉄突っ込むぞい〜♪」
「ちょ、ちょっといきなり何ですかその歌詞!? 明らかに俺個人を名指ししていますよね!?」
「あらあら〜、今日も皆さんはお元気ですわね〜♪」
 森の中を響くような大声で騒ぐ二人の姿を、にこにこと眺めているリアナであった‥‥




「‥‥どうやら人類は蜘蛛嫌悪派か蛇嫌悪派で二分出来るらしい。そんな中で、確実に彼女は‥‥」
「さ、3メートルの蜘蛛なんてありえないでしょ〜‥‥やだぁ‥‥」
「お、落ち着いて零奈。そんなにしがみ付かれるとその‥‥【色々と】動きにくいよ‥‥」
 ガサガサと草を踏みしめながら歩いているベーオウルフ(ga3640)がぽつりと呟いた先には、もう頭から足の先まで【ザ・恐怖!!】という言葉が漂ってきそうなツインメロン・刃霧零奈(gc6291)が、半泣きの状態で恋人の白峰 琉(gc4999)にしがみ付いていた。どうやら彼女にとって蜘蛛とは最大の天敵であるらしいのだが‥‥
「うぅ〜‥‥こんなだったら巨大ゴッキーや巨大百足の方が万倍ましだよぅ‥‥」
「い、いやそれも十分怖いんだけど‥‥と、とにかく何があっても俺が守るから、ね?」
 流石にこれほど白峰の腕にしがみ付かれては、彼の動きもかなり制限されてしまう。しかも、その腕を完全に埋もれさせるような【巨大ツインメロン】をこれでもかと押し付けられれば‥‥たとえ動けても動きたくないであろう(断言)
「ホントだよ‥‥? ホントに私を守ってよね‥‥?」
「もちろん。だから零奈は安心して俺を頼ってくれればいいから‥‥」
「‥‥この光景、特定の人種には見せられないな」
 ぽつりと呟いたベーオウルフの後ろでは、うるうると見つめる刃霧を優しく見守る白峰‥‥というイチャイチャ空間が繰り広がっていたのであった。



「うぅ‥‥リア充は全て爆発すればいいのに‥‥」
「‥‥マリー。その目は本気で怖いぞ‥‥?」
 その様子を幽霊も真っ青な恨み目線で射抜いていた【特定の人種】マリーを、横で歩いていたエリク・バルフォア(gc6648)が珍しく冷や汗をかきながら見ていた。最近マリーは色々と悩む事が多く(注:彼氏居ない暦=年齢)、どうやら二人のイチャイチャ行動が恨めしくて仕方ないようである。
「‥‥そんなの仕方ないでしょ。私が10代の頃なんて、ず〜〜〜っとあの子の実験につき合わされていた思い出しかないんだから」
「ふむ‥‥だが、それもまた一つの青春では無いのか?」
「それはそうだけど‥‥私だって恋愛の一つや二つもしたかったわよ‥‥」
「‥‥恋愛、か‥‥」
 むす〜っと不満げに頬を膨らませているマリーを見ながら、ぽつりと呟くエリク。普段から非常に冷静で無愛想な部分が多く見られていた彼だが、ここしばらく彼自身も色々と思い悩むところが出てきたようである。
「‥‥しかし、僕自身本当のところはどうなんだろうな‥‥」
「ん? 今何か言った?」
「‥‥いや、気にしないでくれ。独り言だ」
 ひょっこり振り向いたマリーの顔を見ながら、ふと浮かんだ疑問を振り払うエリクだった‥‥




「うぅ‥‥御姉様、そんな男のどこが良いのですか‥‥」
「え〜と〜、住吉様はマリーさんに好意を持ってるのですか〜?」
「いえ、ただの冗談ですよ〜♪」
「〜〜?」
 どこか怪しい雰囲気をあっという間に元に戻した住吉(gc6879)を、ぽ〜っとした顔で頭に?記号を浮かべている八尾師 命(gb9785)がいた。どうにも冗談か本気かを図れない空気を持つ住吉に、マイペースな八尾師‥‥ある意味息が合ってると言えなくも無い。
「それにしても【ネバネバ】で【捕縛】ですか‥‥これは男の子の本能を刺激しますね〜」
「‥‥確か〜、住吉さんは女の子ですわよね〜?」
「はい。私は紛れも無く完全無欠に女です。私が男なら全人類の女性全てが男になってしまいますね」
「う〜ん‥‥時々難しい事をおっしゃいますね〜‥‥」
「それではまず計画を立てましょう。前衛が狙われて中衛が助けようとした所を‥‥上手く御姉様にまとわり付く【虫】ごと糸攻撃に誘い込んで‥‥」
「え〜と〜、ホントに難しいですね〜‥‥」
 ぽわぽわした顔を少しだけ傾ける八尾師に横でクスクスと呟いている住吉。本気か嘘か、それは住吉自身にしか分からないであろう(ぇ





●大蜘蛛と一緒に戯れよう
「上から来るぞ!! 気をつけろ!!」
 一瞬にして戦闘モードへ切り替わったベーオウルフの叫びと同時に、木の上から巨大な気配が落ちてきた。わしゃわしゃと動く8本の長い足、ずんぐりとした大きな胴体‥‥間違いなく今回のターゲットである。そして‥‥
「みきゃー!! でででで出たぁ!?」
「ちょ、ちょっと零奈!? だからそんなにしがみ付かないで〜!!」
 早々と戦力外となった刃霧(with白峰)。ぎゅむぎゅむと豊満なメロンを白峰の腕に押し付けながら、恐怖のあまり大パニックとなっている。もちろんそんな隙を見逃すような優しいキメラでは無い。回避する暇も無くあっという間に糸を吐かれて、ぐるぐる巻きになってしまう二人。
「こ、これはマズイですね‥‥いきなり二人も戦闘不能ですか」
「‥‥でも、同情する気になれないのはどうしてかしら‥‥」
 流石に顔が強張った比良坂の後ろでは、とろんとした目でマリーがその様子を見ていた。真っ白でネバネバした糸に絡め取られ、ますます密着していく二人‥‥もがけばもがくほど白峰の手が刃霧の柔肌に吸い付き、刃霧の顔も酸欠の為か荒く息を吐き始める。
「はぁ‥‥はぁ‥‥も、もうこれ以上は無理だよ〜‥‥ダメ、そこを触られると‥‥」
「だ、だから零奈は動かないで‥‥あう!? ご、ゴメン!!」
「‥‥まだだ、まだ倒れるわけには‥‥!!」
「‥‥リアナ。それで糸はこの量で足りるのか?」
 またもや二人の世界になってピンク色の空気を出している中(注:後ろで必死になって鼻血を我慢中の比良坂)、ごくごく冷静に質問しているエリク。確かに見た目は結構な量なのだが‥‥
「う〜ん、でも薬品に溶かしたり失敗する事も考えますと‥‥」
「ふむ、まだ足りないと。ならば住吉、とりあえず糸の回収は任せたぞ」
「はい〜、ではあのイチャイチャカップルから取れるだけ取りますよ〜‥‥♪」
「では、俺が囮になって糸を吐かせるか‥‥」
 にやにやと丈夫そうな傘を糸取りに使おうと住吉が近づくのを見届けると、ベーオウルフが自ら大蜘蛛の射程範囲へと飛び込んでいった。そして彼を援護するようにミティシアがスコールで支援攻撃を仕掛けていく。
「なかなか難しいねぇ〜。殺さず・ダメージ受けずに粘るのは‥‥」
「でも、脅威なのは糸だけではなさそうですよ〜?」
 何とか刃霧と白峰の糸を取り除きながら蜘蛛の様子を見ていた八尾師が指差すと、今まさにベーオウルフへその巨大な爪が振り下ろされようとしていた。
「その程度の動きで俺を捕らえる事は出来ん‥‥!!」
 しかし、一瞬にしてその攻撃をかわされた蜘蛛が次に見つけたターゲットは、何とか糸を採ろうと四苦八苦しているリアナ達の姿であった。能力者と比べて遥かに劣る動き‥‥瞬間、リアナとその集団に向けて凄まじい量の糸を一瞬にして吐き出してきた。
「リアナさん!! 危ない!!」
「く、間に合うか!?」
 思わず体ごと飛び出そうとする比良坂とエリク。しかし吐き出す糸の方向はかなり違った方向へ飛んで行き、少し横の木にぶつかって塊となった。
「こ、これは一体どうしたんでしょう‥‥?」
「動きが‥‥おかしくなってる?」
 ふと首を傾げた二人が大蜘蛛の様子を見ると、なんと足の数が6本になっていた。どうやら生かさず殺さず的な攻撃を仕掛けていたベーオウルフ・ミティシアの攻撃により、相手のバランスが崩れてしまっていたようだ。
「にひひ〜〜♪ それじゃ〜一気に畳み込もう〜〜♪」
「スマンな。殺す必要は無いんだが‥‥見逃す事も出来んのでな」
 木にぶつかった塊を含めると、どうやら十分な量が集まりそうだった。そうなるともうこのキメラには用は無い‥‥動きの鈍った大蜘蛛キメラに、トドメの攻撃を加える二人であった。





「しかし凄い糸ですね〜。ちっとも取れる気がしませんが〜‥‥」
「はい、いつもより多く回しております〜。皆さん拍手〜♪」
 四苦八苦しながらも、何とか質の高そうな糸を探りながら採取している八尾師の横では、くるくる〜っとワタアメのように傘で巻き取っている住吉。二人は今、刃霧と白峰に張り付いた糸を剥がそうと必死であった。
「うぅ〜‥‥早くこれとってよぉ〜‥‥」
「ほ、ほらほら。もうキメラはいないんだから、ね?」
 散々もがいた影響で、着ていた忍び服が所々ずれたりやぶれたりしている状態を何とか見まいと、目を逸らそうとしている白峰。しかしそんな状況をあざ笑うかのように八尾師と住吉の実況が入る。
「あら〜、それにしても本当にスタイルが良いですね〜」
「そうですね‥‥その【白峰様の手が離さない】乳房や、【白峰様の腰が張り付いている】むっちりお尻なんかは、最早芸術の域です」
「ちょ、ちょっと何て事を言うんですか!! こ、これは別に狙ってやった訳じゃ‥‥」
「えぐ‥‥もう、二度と蜘蛛キメラなんて見たくないよぅ‥‥」
 ぽわぽわと微笑んでいる八尾師と、【妙に】状況を事細かに説明している住吉。そんな彼女達の声を聞きながら必死になって言い訳する白峰に、まるで子供のように泣きじゃくっている刃霧であった‥‥合掌。



●温泉で汗を流しましょう〜
 ここはいつもの【さらさの湯】。幸いリアナとマリーの二人に怪我は無く、まず依頼の第一段階は成功したと言えるだろう。そんな中、【ズ〜〜ン】とばかりに暗い影を落としているナイスメロンが一人。
「うぅ‥‥帰れた‥‥無事に帰ってこれたよ〜‥‥」
「あらあら〜、刃霧様はホントに蜘蛛が苦手だったんですね〜」
「ま、まあこういう事は誰だってあるんだから、そんな気にしないの、ね?」
 ぽわぽわとリアナと同じマイペース空気を出しながら温泉に浸かっている八尾師の言葉に続けて、何とか元気付けようと肩を叩いているマリー。どうやら今回の依頼は、別の意味で彼女に大きなトラウマを与えたようだ‥‥
「ふぃ〜‥‥それにしてもやっかいな依頼でしたね〜。倒すだけなら簡単だったのに」
「ですね。わざと持ちこたえなければならない、というのは予想以上に大変です。‥‥あ、ところで、私こんな物を持ってきたのですが‥‥」
 ミティシアも流石に疲れたのか、【今は】のんびりと温泉でのんびりしている。そんな中、住吉がごそっとタオルから取り出したのは‥‥
「あら〜? それってもしかしてお酒ですか〜?」
「はい〜。お酒が好きな【御姉様】の為にお持ちしましたよ〜♪」
「だ、だから私はそんな御姉様じゃないんだってば‥‥でも温泉でお酒っていうのは風流よね」
 苦笑いしながらもどこか嬉しそうなリアナとマリー。しかし今ここに居る中で成年なのは二人だけである。よってこの二人がありがたく頂く事にしたのだが‥‥持ってきたお酒の銘柄を確認しなかったのは彼女達のミスであった(ぁ





「そういえば、一応今回は無事に材料を取れましたし‥‥今度の肝試し、どうなるでしょうか」
「そうですね‥‥まだ日は浅いですけど、今までに理解した内容を重ねると‥‥あまり無事には終わらないかと」
「‥‥確かに、ですね」
「‥‥はい」
 ふと想像したのか、若干表情が引き攣ってしまう比良坂と白峰。そんな中、何やら露天温泉に浸かりながらぼんやりと空を見上げているエリクの姿があった。
「‥‥全く、僕も何を口走っているのやら‥‥」
「‥‥どうした、エリク。何かあったのか?」
 珍しく考え込む姿を見て気になったのか、ベーオウルフが近くから声をかけてきた。均整の取れた体を湯に浸けながら、エリクは静かに首を振る。
「‥‥いや、止めておこう。‥‥何だか、ここではまだ考えが纏まらない」
「そうか‥‥ありきたりだが深く考えすぎるな。時には思った事をそのまま行動に移す事も大事だぞ」
 それだけを言って、また湯に浸かるベーオウルフ。その様子を見て、エリクはまたぼんやりと空を見上げた。
「深く考えすぎるな、か‥‥それもまた難し‥‥」



   【ドッカ〜〜〜〜〜ン!!!】



「ちょ、またですか!? この仕切り板の耐久性何とかなりませんか〜!?」
 エリクの言葉を遮るようにまたもや倒れこむ仕切り板。目から滝涙を流している比良坂の向こうでは、またもやピンク色の世界が‥‥というか、普段は守られているはずの二人が逆に暴れていると言った方がいいか。
「あらあら〜♪ 何だか温泉が広くなりましたわね〜♪」
「だ〜から〜、これもあれもぜ〜〜んぶあんたのせいなんだから〜‥‥」
「ちょ、ちょっとリアナさん!? それ振り回すと危ないよ〜!?」
「マリー様も落ち着いて下さいな〜。それ以上飲むのは流石に危険な気が〜‥‥」
「お酒に酔って真っ赤になった御姉様も、ス・テ・キ♪」
「ありゃりゃ〜? ちょっと〜、いつの間にか男湯との境が倒れてるよ〜?」



 満面の笑み(注:酔い状態)でデッキブラシを振り回しているリアナを、一糸纏わぬ姿で止めようとしている刃霧

 追加の【スブロフ】(注:アルコール99%)をコップに注いでいるマリーの様子を、珍しく必死に止めている八尾師(しかし、あくまで口調はのんびり)

 頬に手を当ててニヤニヤと怪しげな目でマリーを見ている住吉(注:主犯人)と、ようやく倒れた壁に気付いたミティシア‥‥そんな地獄絵図(?)を目の当たりにした男性陣。




「だ、だから‥‥どうして、俺は悪くないのに‥‥(ダバダバダバ〜〜!!)」
「れ、零奈〜〜!! 俺も何か手伝‥‥う!?」
「‥‥この場はすぐに離れるんだ。今すぐ、にな」
「‥‥色々な意味で退屈しない任務だな、全く」

 血の海に沈む比良坂を引きずりながら歩くベーオルフに、妙な気迫を出して白峰を抑制するエリク。どうやら今回も普段通りの展開になったようである‥‥合掌