●リプレイ本文
●駆けつけた能力者達‥‥
「久々だな‥‥彼女らと関わるのはよ。不安もでけえが‥‥今度こそ!!」
「早く彼女達を助けないと‥‥急ぎましょう!!」
しばらく別の場所で【修行】を積んできたのか、かなり気合が入っている赤槻 空也(
gc2336)と一緒に走っているのは、若干焦りを見せながらもしっかり走っている比良坂 和泉(
ga6549)である。連絡を受けてから駆けつけるまで少し時間が空いてしまっている現在、少しの猶予も無い彼らだったが‥‥ふと赤槻が横の比良坂に声をかける。
「‥‥なあ。ところであんた‥‥今までに【何か】あったりしなかったか‥‥? 例えばその‥‥【女性関係】とかで」
「‥‥ま、まあ色々と‥‥。そ、そういえば赤槻さんも以前彼女達の依頼に参加していたんですよね? その時は【何か】ありましたか?」
「‥‥ま、まあ色々と、な‥‥」
「‥‥‥‥」
「‥‥‥‥」
何やら【色々と】思い出したのか、冷や汗をかきながら走り続ける比良坂と赤槻。‥‥その時、二人の間にある意識が芽生えた。そう、【女難呼び込み仲間】という連帯意識が!!
「‥‥イツまでも俺ら、犠牲者じゃねーッスよね、きっと!!」
「‥‥ええ。俺達はやれば出来る男です!!」
「生き残りましょうぜ。【あらゆる意味】で!!」
「もちろんです!! たとえ一人では折れやすい矢でも、二人集まれば折れにくい!!」
男泣きを見せながら、がしっと拳を合わせる二人。その先に広がる未来は希望か夢か、はたまた【絶望】か‥‥(ぇ
「2人共よくよく運が無いでゲソ‥‥って冗談言ってる場合じゃなイカ」
「‥‥やはりリアナは天性のトラブルメーカーだな。マリーはマリーで天性の巻き込まれ体質というか‥‥」
たまたま居合わせたのか、いつもの服装で砂浜を走っている常木 明(
gc6409)が【あるイカ娘】のような台詞を呟いている。そのまた横で黒髪を潮風にたなびかせながら走っているエリク・バルフォア(
gc6648)がぽつりと言葉を漏らした。彼らはリアナ達の依頼の常連であり、この状況に慌てている様子は無い。
「まあ多分リアナさんがキメラに近づいた所を捕らえられた‥‥ってところじゃない?」
「‥‥まあ九分九厘間違い無いだろう。そして助けようとしたマリーが巻き添えを受けた、というのが基本だろう」
「全く‥‥まあ仕方ないね。そういう時の為にあちき達がいるんだし」
「‥‥その通りだ。悪事を働くキメラ達には、遠慮はいらない‥‥」
「‥‥‥」
何やら少々感情を表に出しかけているエリクの様子に敏感に気付いた常木だったが、あえて口には出さなかった。彼なら何も失敗を起こすことは無いだろうと格別の信頼を残しているが故の沈黙である。とにかく今は一刻も早くマリーとリアナを助け出さなくてはならない‥‥二人は迅速に現場に向かうのであった。
「おぉ〜!! しゅけべ魔王にむっつり屑鉄チャラ男、スイカ姉にお堅いメガネ兄ちゃんもいる〜♪」
「‥‥い、一体誰のことを指しているのだ? それらは‥‥」
にひひひ〜っと笑いながら遠くを見ているミティシア(
gc7179)の横では、今回リアナ達の依頼初参戦であるベーオウルフ(
ga3640)が長い外套をたなびかせながらぽつりと呟いていた。ミティシアはどうやら姉達と一緒に海へ遊びに来ていたらしいのだが、その時緊急通信が入った為、急いで現場へ駆けつけたのだが‥‥一瞬遅れて向かってきた赤槻・比良坂・常木・エリクを発見して思わずぴょんぴょんと飛び跳ねていた。
「誰ってそれは〜、しゅけべ魔王にむっつり屑鉄チャラ男、スイカ姉にお堅いメガネ兄ちゃんだよ〜?」
「‥‥ま、まあ良い。とにかく依頼は依頼だ。立ち塞がるモノは全て撃ち貫くのみ」
「そ〜そ〜♪ ぜ〜んぶ貫いちゃお〜♪」
にこにこと考えの読めない無邪気な笑みを浮かべているミティシアに、冷や汗をかきながらも自分は自分と気合を入れなおすベーオウルフ。果たしてこのまま無事に依頼を終えて帰還する事が出来るのだろうか‥‥それは神のみぞ知る(ぇ
「助けに行ったのはいいが、ミイラ取りがミイラか。もう少し後先考えた行動を‥‥」
「でも今はそれを言ってる時じゃありませんですよ〜!? とにかく全力で助け出しましょ〜!!」
海辺へ向かうアスファルトの上を大急ぎで走っているのは時任 絃也(
ga0983)と猫屋敷 猫(
gb4526)の依頼初参加コンビである。数々の難関依頼をクリアしてきた超ベテラン能力者である時任にとって、今回の依頼も今までと同じミッションの一つでしか無かったであろう。その眼差しは冷淡にして鋭い。しかしそんな雰囲気など全く気にしないかの如く【うにゃうにゃ〜〜!!】という擬音が聞こえてきそうなほど元気一杯に走り抜ける猫屋敷。
「お二人の安全を確保する為に、私はどんな手段も選びませんですよ〜!!」
「‥‥だから、後先だけは考えてくれよ?」
「何を言ってるのです!! 今まさに彼女達は窮地に立たされているのですよ!? 一秒の躊躇がどんな事を引き起こすのか‥‥とにかく行動です!!」
「‥‥‥‥」
頭の中ではきっと素晴らしい英雄譚が繰り広げられているのであろう、目をキラキラさせながらぐっと拳を握り締めている猫屋敷の姿に、若干冷や汗をかきながら黙り込んでしまう時任であった‥‥。
●イカキメラを退治してくれなイカ‥‥?
「くぅ‥‥も、もうダメ‥‥せ、せめてリアナだけでも‥‥」
白濁まみれになり、動きも鈍くなっているマリーが最後の力を振り絞ってリアナを庇おうと彼女ごと地面に倒れこんだその時‥‥
「大丈夫かマリー!? 今助ける!!」
「安心しろ‥‥君達に怪我なんてさせやしない」
遠くから声が聞こえたかと思うと、一瞬にしてベーオウルフとエリクが二人の前に飛び込んできた。そしてイカキメラが思わず怯んだその瞬間に、障害物(パラソルやシート等)を強引に吹き飛ばしながら救助に走ってくる三人の姿があった。
「この〜〜!! 邪魔です〜!!」
「何はともかく‥‥全力で助けるぜ!!」
「私だって負けませんですよ〜!?」
比良坂が先鋒に立って障害物を吹き飛ばし、何も無くなったその後ろを一瞬で駆け抜けていく赤槻と猫屋敷。それらの姿は、ある意味モーゼの十戒を連想させる光景である。
「う、うぅ‥‥助かった、の‥‥?」
「よく頑張ったな、マリー。後は俺達に任せろ」
微かにマリーが顔を上げたその先には、ほんの僅かに笑みを浮かべたエリクが立っていた。そして一瞬にして呪歌を歌い対象の動きを鈍らせていく。完全には効かなかったものの、能力者達が彼女達を助け出すのには十分な時間が出来た。その瞬間に救出組がマリーとリアナを助け出すのに成功する。そしてイカキメラがその動きを開始したその時、側面に回っていた時任が相手の急所を狙って攻撃を仕掛けていった。
「俺の前に立った不幸を呪え‥‥!!」
振り回す足の攻撃をするすると潜り抜け、的確に一撃を与える‥‥と、その時攻撃を加えられたショックからか、離脱していく救助組に向かってイカキメラが思いっきり白濁墨を吹きかけた。思わず敵の目を引き付けていた常木と猫屋敷が噴出された方向へ向かって割り込む。
「悪いね、この先は通行止めなんだ‥‥よ!!」
「い、いけませんです〜〜!! え〜〜い!!」
己の身を張って割り込んだ常木と猫屋敷の身体に、これでもかというくらいに白濁液が降りかかってしまった。ネットリとした白い粘液が二人の美麗な髪や細身な腕・そして常木の【ツインスイカ】の谷間に潜り込み、猫屋敷の巫女装束は白濁液でべっとりと肌に張り付いてしまった。じっとりとした液体は二人の服を透かして身体のラインや下着をあらわにしてしまう‥‥もしこの光景を【ある人物】が見ていたら、確実に鼻血噴出確定だったであろうが‥‥幸い遠くへ走っている最中であった。
「うく‥‥ちょっとこれは‥‥生臭い、かな‥‥」
「けほっ、けほっ‥‥うぅ〜、ぬるぬるしますです〜‥‥」
がくっと崩れ落ちた二人の動きは、先ほどとは格段に落ち込んでしまった。その隙を逃すまいとイカキメラの10本足が襲い掛かってくる。
「そ〜はさせな〜いぞ〜!! うりゃうりゃ〜〜!!」
襲い掛かる腕に向けて炎剣で切りかかるミティシアに押されたか、ずざっと後ろに下がってしまうキメラ。こうなると、後はイカの調理タイムである。
「今の僕は少々機嫌が悪い‥‥手加減は出来そうにないからな」
「任務遂行のため‥‥お前を処理する!!」
「どっか〜〜んとやっちゃうからね〜〜!?」
改めてエリクが放った呪歌に合わせて、時任とミティシアが追撃を加えたその時‥‥ついにイカキメラの体が倒れこんでいった‥‥
「ふぅ、ここまでくれば安心ですね‥‥」
「あぁ‥‥とにかく向こうは任せてしまっても‥‥うぐ!?」
何とか常木と猫屋敷の犠牲(注:死んでいません)のお陰で、離れた地点まで離脱する事が出来た救出組。比良坂と赤槻は大きく息を吐いて周囲の警戒に戻った‥‥と、その時赤槻の顔が驚愕に歪んでしまう。
「‥‥赤槻さん? 一体どうし‥‥ぐぅ!?」
ふと振り向いた比良坂の顔も、ある一点を見てしまった瞬間に硬直する。その視点の先には‥‥ねっとりとした白濁液に塗れ、荒い息を吐いて仰向けになっているマリーとリアナの姿があった。顔から深い胸元の谷間、細く括れた腰に禁断の三角地帯‥‥全てにおいて丹念にコーティングされたそれらの姿は、世の男なら【ズギュ〜ン!!】となってしまうような扇情的な光景である。
「うぐ‥‥ま、まずはこの精神攻撃に耐えることからか‥‥!!」
「ま、負けるわけにはいきません‥‥はぁ、はぁ‥‥」
「‥‥何をしているんだ、全く」
何やら苦悩の表情で上からぷるぷると上着をかけようとしている二人の姿は、何も知らない人達が見たら通報したくなるような雰囲気をかもし出していた。軽くため息をついたベーオウルフがさっさと自身の上着を羽織らせる。
「とりあえず意識が戻るまでここで護衛を続けるか。猫屋敷はさっき俺達を庇って攻撃を受けていたが‥‥大丈夫だろうか」
向こうを見ていたベーオルフが声を出すと同時に、イカキメラが倒れこんでいく姿が見えた。どうやら無事に依頼は成功したみたいである‥‥
●温泉で一休み‥‥?
「それにしてもホント助かったわ‥‥ありがとね?」
「そんな気にしなくてもいいよー。あちきなんかたまたま居合わせただけだし」
「そうですそうです。全く気にする必要はないです♪」
さらさらと流れる湯の音を背景に、椅子に座ってゆっくりと髪を洗っているマリーと常木に猫屋敷。お互いにべとべとになってしまった為か、先ほどから十分に時間をかけてシャンプーをしている。
「それにしても相変わらずリアナさんは怖いもの無しなんだねー」
「うぅ‥‥それを言われると返す言葉が無いわね‥‥」
「どうしてそんなに怖がらないんです? もしかしたら命もあぶないですのに‥‥」
「ま、まああの子はキメラも【一研究対象】でしかないみたいだしね」
「それはまた凄いですね‥‥でもそんなリアナさんも面白いです♪」
「でも付き合うのは大変だよー? まずは何が起こっても動じない心を身につけることかな?」
「そ、それは少し違うんじゃ‥‥」
そんな乙女達の平和な談笑を背景に、温泉内でクスクスと含み笑いをしている二人がいた。
「それでそれで〜、これがその【イカキメラ】の粘液〜?」
「はい〜。思わぬ収穫ではありましたが、これはこれで楽しみです♪」
そう言ってリアナが取り出したビンの中には、ドロッとしたイカ臭い粘液がたっぷりと詰まっていた。どうやら後で現場や自身の付着物から回収したらしいが‥‥これだけ記していると、まるで【ア〜〜!!】な物体に見えるのが不思議である(ぇ
「ふ〜ん、ちょっとだけ貸してくれる〜?」
「はい〜。まだまだありますから‥‥あらあら〜?」
渡そうとした瞬間に、【何故か】ビンが手から滑ってツルンと床に落ちてしまう。幸いビンは割れなかったものの、空いた蓋部分から半分くらいの中身がつつ〜っと流れ出してしまった。
「あらあら〜、中身が減ってしまいましたわ〜。ど〜しましょ〜」
「ま〜ま〜。まだ半分あるんだし、気にしな〜い気にしな〜い♪」
流れ出した中身は【そのままに】、またもやのんびりと浸かって談笑する二人であった‥‥
「こっからッスよね‥‥俺らの、最凶最悪の戦いは‥‥!!」
「ええ‥‥ここを乗り切ってこそ、俺達の任務が終わるんです!!」
「‥‥気合が入ってるのは構わないが、そろそろ体を洗え‥‥」
何やら深く気合を入れて腕を組んでいる赤槻と比良坂の姿を見て、かなり呆れたように温泉へ浸かっているエリク。そんな姿を見て、ベーオウルフと時任が首を傾げる。
「どうして温泉へ入るのにあんなに気合が入ってるんだ?」
「ああ‥‥別にノゾキをしようとしている訳でも無さそうだしな」
「‥‥そうか、二人は彼女に任務が初参加だったな。‥‥まあ無事に終わればそれに越した事は無い」
「「‥‥‥‥?」」
エリクがぽつりと呟いた言葉にもまた疑問符を浮かべている二人だったが、完全に燃え上がっている赤槻と比良坂の姿は本気である。本気と書いて【マジ】である。
「そ、それじゃあとにかく体を洗わないとな!!」
「そうですね!! まずはしっかりと体を洗って、それから温泉です!!」
一動作ごとに気合を入れて行動し、どかっと椅子に腰を下ろして蛇口を捻ったその瞬間‥‥
「ちょっとちょっと!? 何だかここ異様に滑っちゃうんだけど〜〜!?」
「あらあら、まだ流れてなかったのですわね〜」
「ありゃりゃ〜、マリーお姉さんが滑っていって‥‥」
【ドッカ〜〜〜〜ン!!!!】
ゆったりと浸かっているリアナとミティシアはざばっと湯船から一糸纏わぬ姿で立ち上がっており‥‥(注:大事な部分は不自然な湯気で隠れています)
髪を洗い終わったのか、スタスタと歩いている最中だった常木もまた惜しげもなくツインスイカを張り出しており‥‥(注:大事な部分は‥以下略)
思わぬ事態に手の中に取っていた白濁液をこぼして、立ったまま体がじわじわと白くコーティングされている猫屋敷‥‥(注;大事な‥以下略)
そして‥‥スッテ〜ンとばかりに尻餅を付いてしまって壊れた壁の上にM字開脚をしてしまっているマリー。彼女もまた大事な一線はタオルでふわっと隠されていたが‥‥その表情は最早マンガの如く真っ赤である。そして女性陣が手に取る凶器の数々が、一瞬後に男性陣にこれでもかと振り注いでいった‥‥
「お、俺は何にもしてね〜〜ぞ〜〜!?」
「お、俺も何もしていませんよ〜〜!!(ぶしゃ〜〜〜!!)」
「な、何と言うかその‥‥眼福で‥‥う!?」
「‥‥それ以上マリー達を見たら、ただじゃおかん‥‥」
「‥‥ベーオウルフ‥‥これが【彼女達の依頼に参加】ということらしい‥」