タイトル:シーラーズ攻略戦マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/07/09 09:34

●オープニング本文


 砂漠の月作戦が始まり、UPC軍は中東での軍事作戦を本格的に展開しつつあった。そしてまた、UPC軍はアラビア半島とは別にイラン、イラク方面にも部隊を展開しつつあった。
 ブリーフィングルームに集められた傭兵たちは、例によって上級士官から今回の作戦の説明を受けていた。
「イラン方面の作戦は現状厳しいものとなっているわ」
 若い上級士官の女性は鋭い口調で言って、リモコンでモニターをイラン南部のマップに切り替えた。
「先の戦闘でケルマーンは制圧し、ここバンダレ・アッバースの北は押さえたけど、実際それだけのことよ。イランは広大だしバグア軍は小揺るぎもしない」
 それから士官はまた画面を切り替えた。
「差し当たり我が軍はイランの南部を確実に抑える必要がある。テヘラン攻略には、イラクやアフガンからのバグア軍の影響を排する必要があるけど‥‥」
 士官はそこで肩をすくめて吐息した。
「ひとまずその件は置き、イラン南部を押さえることに注力しましょう」
 それからまた士官は画面を切り替えると、バグアの軍事施設の空撮画像を出した。
「ここから北西に400キロの地点にあるシーラーズのバグア軍の要塞よ。イラン南部のバグア軍の戦略上の要衝に当たるわ。シーラーズ要塞を中心とする直径約50キロの防空網は15機余りのアグリッパで強化されており、100基以上のプロトン砲台と200基以上の地対空ミサイルで守られている。例によって30機以上のタロスが配備されており、分かっていると思うけどこれは恐ろしく堅牢な軍事要塞よ。また、シーラーズとの中間にあるフィルーザーバード、ファサー、ネイリーズ、ジャフロムと言った小規模の要塞にも強固な防空施設とワームが配備されているわ」
 そこで士官はモニターを切りかえると、作戦ルートを示した。
「幸い我が軍はペルシャ湾を制圧している。あなたたちには、ペルシャ湾から湾岸の作戦拠点フーシェフルを経由して、シーラーズの西から侵入、要塞の背後から攻撃を掛けてもらうわ。そのルートだとフーシェフルからシーラーズまでは約200キロ。また中間の要塞には別動隊が複数個同時に攻撃を行うわ。本作戦を以ってこのファールス州のバグア軍を叩き、制圧するのが今回の目的よ」
 そうして、士官は傭兵たちを見渡した。
「以上よ、何か質問があるならどうぞ――」

 シーラーズバグア軍基地――。
 二人のヨリシロが、司令室で向き合っていた。
「アラビア半島ではしてやられたって聞いたけど」
 黒髪の女性ヨリシロ――アンナ・ライナスが冷たく言った。
「サラが死んだ」
 もう一人のヨリシロ、ブラウンヘアの男――アレン・キングスレーはそう言うと笑みを浮かべた。
「バグアに相応しい最後だったよ。俺もいつかああなる日が来るのかね」
 キングスレーの言葉に、アンナは「ふふん」と鼻で笑う。
「ちっぽけな感傷なんて意味もないわ。いよいよあの忌々しいラストホープを叩く日が来たのよ。もうすぐ、この戦いも劇的な変化を見せるわ」
「なるほど」
 キングスレーは表情を変えずに言って、立ち上がった。自信たっぷりのアンナと違って、キングスレーは茫漠とした危険を感じていた。
「じゃちょっと行ってくるぜ。現場の指揮は任せてもらおう」
 キングスレーは軽く手を振って司令室から出て行く。
「あなたにだけは任せておけないわ」
「何だって?」
 アンナは立ち上がった。
「ここ最近のあなたの失態を無視は出来ないわ。ここを預かっているのは私なんだから」
「司令官はお前さんだ。好きにしろ」
「あなたはサポートに付いて。指揮は私が取るわ」
 アンナの言葉に、キングスレーは笑った。
「お前さんが? お手並み拝見と行こうか」
「驚かないことね」
 アンナが歩いて来るのを、キングスレーは一歩下がって見送った。キングスレーはアジア・オセアニアバグア軍の本部から派遣されている上級戦闘員だ。アンナはそもそもキングスレーを目障り程度にしか思っていなかった。
「とにかく、あなたは邪魔しないで」
 アンナはキングスレーを睨みつけると、歩き去った。

●参加者一覧

ソード(ga6675
20歳・♂・JG
ユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751
19歳・♂・ER
アーク・ウイング(gb4432
10歳・♀・ER
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
安藤 将成(gb9347
22歳・♂・HD
美具・ザム・ツバイ(gc0857
18歳・♀・GD

●リプレイ本文

 熱砂に太陽が照りつける。コクピットの中は空調システムが稼働していて一応の快適を保っているが、ソード(ga6675)はきらめく太陽を見上げて呟く。
「灼熱地獄ですね。地上部隊はこの暑さの中じゃ大変でしょう」
「それは言えてるけど、二年前、俺たちはロシアで戦った。あの時もひどかったよなあ‥‥アグリッパがいて、ウラジオストックからウダーチナヤパイプまで千キロ飛んだよ。地上は氷点下だったよな」
 言ったのはユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751)。
「そう言えばそんなこともありましたね。アフリカに中東‥‥とにかく、この暑さは楽じゃないですよ」
「今度は要塞攻略か。敵戦力も前の基地より多いみたいだね」
 アーク・ウイング(gb4432)は呟き、短く頷く。
「まあ、これくらいの相手は、九州の戦いの時からよくあったしね。なら、いつもどおり戦うだけだね」
 と気合を入れる。
「砂漠の月作戦もどうにか進んでいるみたいだけど、難攻不落のイランはこれからだね。頑張らなくちゃ」
「テヘランまではまだ千キロもあるしね。何かの試練だって言うならまだしも、テヘランを占領しているのはバグアなんだよね」
「笑えませんよね。アーちゃんたちもやり残したことが多すぎますよね」
 そんな会話を聞きつつ、ソーニャ(gb5824)は超低空飛行にて飛びながらコンソールを操作していた。
「超低空飛行でシーラーズへ侵入、エルシアンはベクタード・スラストを使い機体を傾けず方向変更や平行移動を行い、地面を滑る様に飛行する」
 その言葉に、先の戦闘でも彼女とともに飛んだ軍傭兵パトリックが茶化した。
「ベクタード・スラストを使い機体を傾けず方向変更や平行移動を行い、地面を滑る様に飛行する――君の隙の無い言葉を聞いてるとぞくぞくするねえソーニャ」
「みなもを滑るみずすましのように‥‥ビジュアル的には君の嫌いなあの黒い生き物と同じだね。しかしあの生理的な嫌悪と恐怖はなんなんだろうね」
「その話はよそうぜ。俺あの生き物怖いんだよ」
「君、可愛いところがあるんだね」
「だろ? 例えばここでKVについて語り出すより虫を怖がる方が魅力的だろ?」
「それ何かの口説き文句?」
「まさか、口説き文句なら虫の話なんかしないよ」
「‥‥‥‥」
「やっぱりあれかな、普通は軍人ならKVについて熱く語った方が受けが良いのかな」
「どっちでもいいけど、黙っていた方が好感度は良いかもね」
「あ、そ。じゃ黙ってるわ」
 ソーニャはパトリックの言葉を聞き流しつつ、コンソールに目を落とした。エルシアンの飛行は優雅に美しく。
「砂漠って思ってたよりずっと綺麗だね。砂が光って、空は抜けるようだし‥‥やっぱり、アグリッパ、邪魔!!」
 ソーニャの言葉にパトリックは口の奥でもごもご言っていた。
 安藤 将成(gb9347)は水平線を見つめていた。地上を軽く見下ろし、回線に声を投げる。
「よーし各機、もうすぐ敵さんのテリトリーに入るぞ。軍属傭兵、それぞれをカバー頼むぞ」
「了解安藤」
「上空カバー班――フェニックス、シラヌイ、スピリットゴースト。着陸A班――シュテルン、オウガ、破暁、雷電。着陸B班――ミカガミ、ロビン、S01H、ディアブロ。連携よろしく頼む」
「アグリッパの結界か、しかし確かに邪魔者以外の何でもないな。あれが無ければ戦術の幅はぐっと広がるのに。あれのせいでここ最近まともな空戦が出来ん。対策はとっくに分かっているが、ここは正念場だな。反復も上達の近道と言ったところか」
 軍属傭兵の一人が唸るように言って、安藤は吐息した。
「まあ何だ、俺たちは戦場に来た以上は下部組織とは言えUPC軍の一員だし、いちいち本部の作戦一つに異論をぶつけるつもりはないがね」
「ああそれはそうだが、無限の敵を相手にしていると、時々自分のしていることが分からなくなる」
「そうか、俺なんかしょっちゅう訳分からなくなるんだけどな。ああ、確か俺たちの敵って何とかって星から来た異星人たちだろ?」
「何だお前、知らないのか、やって来た異星人はバグアって言うんだぞ」
「俺ほとんど活動してないからそう言った軍事機密には精通してないんだよなあ」
「その辺にしておいた方がいいだろう安藤」
 安藤のジョークに、軍傭兵は口許が引きつっていた。
「さて、本日は美空に代わって美具がこの戦場を預かるのじゃよ」
 これまで、美空、美海と転戦してきたが今度は親衛機「天」を導入した美具・ザム・ツバイ(gc0857)も熱砂の戦場に至る。そして当分は天の性能の限界を見極めるべく実地にて色々挑戦する予定であった。
「バグアどもめ、アフリカ作戦の開戦を諸君らの命の花火にて全軍に知らしめてくれよう」
 美具は言って、レーダーに目を落とした。
「ふーむ、それにしてもこれほどの軍事要塞、正面から攻め落とすのは無理かねえ。先のケルマーンではアグリッパがいなかったようだが」
「実際、厄介なのは敵の精鋭機なんですよ。アグリッパの結界はアグリッパ自体を幾つか破壊すれば崩せますからね。敵の防空網はそれでかなり弱体化できます。ですが、ここ最近飛び回っているティターン乗りのキングスレーや、敵のエースは簡単には落ちてくれませんからね。一つ間違えばこっちがやられる」
 ソードは言って、美具にここ最近の中東での戦況について話す。
「美具も何も知らんわけじゃないんですよ。アラビア半島の強行偵察には参加しましたしねえ。ここの危険度は分かっているつもりじゃよ」
「まあ少なくとも予想以上だってことですよ。敵の想像がつかないのは、言ってみればユダに乗ったブライトンに攻撃するようなものですよ」
「ブライトンに攻撃するのか? それは何とも雲をつかむような話じゃなあ」
 美具はからかうように言う。
「ちょっと言い過ぎたかも知れませんね‥‥最初の一撃にはレギオンバスターを撃ち込みますから」
「美具もそれに同調させてもらおう。ミサイルを満載して来たんでな。で、実際ワームの強さはどれくらい?」
「エース機は単独の作戦ではトップクラスに入るでしょう。ネームドはちょっと想像がつきませんが、要注意ですよ」
「それが聞きたかった」
「そろそろですね。シーラーズの防空網に接近しますよ」
 そこで、隊長機から指示が飛ぶ。
「上空カバー班、ワームの迎撃に備えろ。残る全機で敵防空網外縁のアグリッパを狙う。着陸班ABに分かれて接近。アグリッパの撃破が最優先だ。ワームが対応する前に方を付けるぞ」
 そうして、各機編隊を組んで匍匐飛行でシーラーズに侵入する。
「よし――各チーム攻撃開始」

「兵装1、3、4、5発射準備完了。PRM『アインス』Aモード起動。マルチロックオン開始、ブースト作動」
 ソードはコンソールを操作して行くと、ピピピピピピピピ! とタロスをロックしていく。
「ロックオン、全て完了!」
 ミサイル発射ボタンを押す。
「『レギオンバスター』、――――発射ッ!!」
 必殺技『レギオンバスター』、ブースターとPRMを起動。錬力100全てを状況に合わせた能力に使用しミサイル2100発を発射するフレイアの空戦必殺技。今回は陸戦装備を積んでいる為に装弾数を1400発にしている。
「行くぞバグアども、ブースト起動、アーマゲドン・スプラッシュ!」
 美具も搭載しているK02を放出する。
 二人合わせて2000発を越えるカプロイアミサイルがタロスに叩きつけられる。
「レギオンバスターが来る!」
「回避行動――!」
 タロスが動いた先に、美具は本命である超大型対艦誘導弾「燭陰」を敵タロスが密集している空域に撃ち込んだ。
 レギオンバスターが直撃して大爆発を起こす。
「くそ! 立て直せ!」
「今やってる!」
 そこへ誘導弾が炸裂して、タロスの集団を吹っ飛ばした。
「何だ!」
「敵の誘導弾だ!」
 ユーリはそうする間に着陸する。
「さーてと、さっさと潰しに掛かるかな」
 上空を振り仰ぎ、地上を前進して行くと、アグリッパを捉える。
 アグリッパから銃撃が飛んでくるが、ユーリはそれを弾き飛ばしながらD2ライフルをた叩き込んだ。
「往生際の悪い。せめて逃げろよな。逃がさないけど」
 アグリッパは粉々になった。
 アークも着陸すると、アグリッパに向かって加速する。と、アグリッパは浮上して逃げ出した。
「そうはいかないんだよ」
 装輪走行で加速すると、アークもD2ライフルを叩き込んだ。粉々に吹き飛ぶアグリッパ。
 ソーニャはレーダーに目を落としつつ、首を傾げた。
「ん、今回はアレンの動きが目立たないわね。戦闘好きってタイプじゃないけど意外にまじめに働くタイプなのにね」
 ん――?
「あ、いた。横にいるのは指揮官機かなぁ。でも積極的に連携している様子じゃないわね」
 ソーニャは全面に出て来るカスタムタロスプラスに目を止めた。
「前面にアレンを押し立てて陣形を崩してこないのはありがたいけど‥‥ひょっとしてあの司令官、矜持が高すぎるタイプなのかなぁ」
 ソーニャは旋回する。
「ソード機があそこで、味方の位置は‥‥試してみるか」
 指揮官機に攻撃をしかけ退却。おびき出しを試してみる。アリス、Mブースター、ブースト全起動。距離を取りつつ、バレルロールで加速してミサイルを放出する。命中にはこだわらず、嫌がらせ攻撃、味方前におびき出す。
 ソーニャの攻撃をアンナは軽くさばいた。
「そんな手に引っ掛かると思うのか」
 アンナはプロトン砲で応戦しつつ、友軍を加速させる。
「奴らを地上に下ろすな。上空でけりをつける。戦闘隊形を組んで奴らを追い込め!」
「そう簡単に行くかよアンナ。奴らはこっちを無視してアグリッパの破壊に向かってる」
「黙ってなさいキングスレー」
「俺は事実を言ったまでだがね。ザフラーンじゃとんだ目に遭ったからな」
 ソーニャは内心呟く。相手は腐ってもヨリシロみたいだ、侮らない侮らない‥‥。
「そうはいかないんだがね」
「降下部隊、アグリッパを四個撃破した!」
「よし、敵要塞内部に降下する――」
 傭兵たちは敵の基地に強行着陸して行く。
 激しい銃撃が飛んでくるが、メトロニウム合金のKVの装甲はそれらを弾き返した。
「上空班、このまま上空をカバーする」
「了解した!」
「対地攻撃開始――!」
 ソードはエニセイを八連射した。バグア基地が瞬く間に粉々に吹き飛んでいく。
「おのれ!」
 アンナは急降下してくると、プロトン砲を撃ち込みながら突撃してくる。
 刀と剣がぶつかる。
「あなたが敵司令官ですね」
「フレイア、貴様はソード傭兵か。私はシーラーズ基地司令アンナ・ライナス。私の改造タロスで貴様を倒す」
「そうですか。行きますよ――! PRM『ツヴァイ』Aモード起動、ブースト作動」
 ソードは加速した。
「シャイニング・ヘキサグラム!」
『シャイニング・ヘキサグラム』(8回行動使用)ブーストで敵に突撃し雪村で敵を六芒星に切りつけた後、女神剣フレイアで敵を突き刺す。女神剣の光は敵を浄化する様。フレイアの陸戦必殺技。
「浄化!!」
 女神剣を突き刺す。
「何だと‥‥!」
 アンナは自機が切り裂かれて、貫通した女神剣に驚愕した。
「アンナ!」
 キングスレーが舞い降りて来る。
「馬鹿が! フレイアにタロスで単独で掛かる奴がいるか!」
 次の瞬間、アンナのタロスは搭乗者もろとも粉々に吹き飛んだ。
「ソード‥‥またやってくれたな」
「あのヨリシロは弱くは無かった。俺のフレイアがそれを上回ったんです」
「そのしたり顔を叩き潰してやろう」
 キングスレーは刀を構えて加速した。
 ユーリはエース機相手に刀を叩き込んでいた。
「エース機は任せろ! 改造タロスを頼む!」
 エースタロスを押し返し、短距離リニア砲を叩き込む。破格の実弾砲がエース機を貫通する。
「これでも‥‥! アグレッシヴ・ファング!」
 爪で防御と同時に武器を絡めて押さえ、動きを止めた腕を機刀で叩き落とす。
「ユーリが、今だ!」
 雷電がエース機に集中砲火を浴びせる。爆散する敵エース。
 アークもエースタロスと打ち合う。シュテルンがアークの支援をする。
「撃て!」
 シュテルンのライフルがエースタロスを貫く。
「行くよアーちゃん――」
 アークは練剣「白雪」に切り替えると、PRMシステム・改で知覚を最大強化して攻撃する。激突――タロスを貫通する練剣。強化人間の悲鳴を残してタロスは吹っ飛ぶ。
 ソーニャは友軍と上空を制圧しつつあったが――。
「司令官が撃破されました!」
「その程度でうろたえるな。今ここにはUPCの大部隊が攻め寄せている――」
 エースタロスは後退のタイミングを図っていた。
「逃がすかよ――ソーニャ、援護を頼む」
 パトリックが加速する。
「パトリック、行かせよう。敵は逃げる気だ」
「そうはいかない。今回は全滅させる――」
「馬鹿め」
 エースタロスは、照準を定めると、パトリックのフェニックスをプロトン砲で撃ち貫いた。助ける間もなかった。フェニックスはパトリックとともに爆発四散した。
「パトリック‥‥!」
「行くぞ。撤退だ――」
「よし、陸戦B班、基地内部へ突撃する!」
 軍傭兵たちは猛然と加速した。
 安藤はタロスをゼロ・ディフェンダーで切り捨てると、続いてクロスマシンガンを叩き込んだ。
「アクティブスラスターB――!」
 エースタロスへ打ち掛かる。一撃、二撃と弾いて、タロスの刀をへし折った。
「カスタムティターンは」
 安藤はソードとユーリと打ち合うティターンにシステムテンペスタを叩き込んだ。
「ちっ‥‥制圧射撃か――」
 キングスレーは銃撃を受け止めると、プロトン砲で反撃しつつ後退する。
「よし行ってくれ! 続けてシステムテンペスタで足止めする!」
「逃がしはしないぞキングスレー」
 ユーリとソードが加速する。
 安藤はシステムテンペスタを起動してM−MG60を撃ち続けた。凄絶な銃撃がティターンの足を釘づけにする。
 キングスレーはそれでも二人の攻撃を受け止め続け、後退する。
「レアル・ソルダードか――やってくれるな」
 キングスレーはそこで舞い上がると、戦場から離脱した。
 美具はレーザーキャノンで基地を破壊しつつ、前進する。D.Re.Ss Aを使用すると、タロスをリビティナにて切り裂く。ホバーで滑るように移動しつつ、タロスを粉砕した。
「よし、ワームは後退しつつある。このままシーラーズを制圧するぞ」
 美具はレーダーに目を落とし、友軍に手を振り上げた。
「了解した美具。よーし全機、陸と空からシーラーズを叩き潰すぞ!」
「行くのじゃよ。それにしても、どうにか制圧できそうだな」
 美具は炎上し、爆発して行く基地を見やり勝利を確信する。
 前進しつつ、散発的な抵抗を行う銃撃やキメラを叩き潰していく。レーザーキャノンで施設を粉々にしていく。
 あちこちで爆発と炎が砂塵とともに舞い上がった。
 そうして、傭兵たちはシーラーズの破壊とこの州の制圧に成功する。