タイトル:【OD】ザフラーン攻略マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/06/28 11:28

●オープニング本文


 砂漠の月作戦――「Operation Desert Moon」が発令された。アラビア半島への上陸作戦から制圧作戦までを完了とする一連の軍事作戦はUPC東アジア軍が中東で本格的に展開する最初の作戦である。
 先日の偵察の詳細分析の結果、アラビア半島には強固なバグアの軍事要塞、防空施設、陸戦兵器が展開していることが確認される。
 ブリーフィングルームに集結した傭兵たちは、モニターに映っているアラビア半島と、その上を走るUPC軍の進行ルートを見つめていた。
「本作戦の目的は、アラビア半島の制圧にある。最終的にはバグア軍を後退させ、パキスタン、インド方面と連動して中東への包囲網を敷くのが目的だ」
 上級士官はそう言うと、リモコンで画面を切り替えた。
「そこで、今回諸君らに果たしてもらいたい作戦の概要がこちらとなる――」
 傭兵たちが見つめる先で、モニターの画面がアラビア半島の東部に切り替わった。
「最初の上陸作戦だ。バーレーンとその対岸にあるザフラーンを制圧し、半島への橋頭保を築くことにある」
 それから士官はまた画面を切り替えた。
「君たちが向かうのはこちら、ザフラーンだ。強固な防空施設とワームによって守れたバグア軍の前線基地である」
 士官は話しながら次々と画面を切り替えていく。
「ザフラーン市街を改築してバグア軍はここに強力な防衛拠点を築いた。推定三十機余のタロスが確認されており、通常プロトン砲台約五十機、大型プロトン砲台約十機、地対空ミサイル約五十機、そして、ザフラーンを取り囲むように展開する十機のアグリッパが確認されている。従って、ザフラーン上空でまともにタロスと交戦するのは得策ではない。司令部としてはペルシャ湾から低空飛行で侵入して陸上からザフラーン基地を破壊するのが最善だと考えるが、ワームの迎撃を考えると実際の作戦遂行の判断は現場の傭兵たちに任せるものとする。いずれにしても、我が軍としてはここは避けては通れぬ道だ。何としてもザフラーンを破壊、制圧し、上陸作戦を成功に導いてもらいたい――」

 ザフラーンバグア軍基地――。
 司令室に入って来た新任の指揮官は、ブラウンの髪に瞳を持った若い男性のヨリシロであった。カジュアルな服装をしている。アレン・キングスレーである。
 強化人間たちは立ち上がると、恐れを為したように敬礼する。と、キングスレーを迎え入れる基地司令官のヨリシロ――ブロンドの女性の姿をしている――は立ち上がると、手を差し出した。
「よく来たわねキングスレー。UPC軍はアラビア半島への上陸作戦を開始するようね」
「砂漠の月作戦か。中々しゃれた作戦名だな。そうは思わないかサラ」
 サラと呼ばれた女のヨリシロは肩をすくめる。
「本気でそんなことを思っているなら、あなたの首根っこを引っ掴んでを地下牢に閉じ込めるところよ。ドレアドル司令は何を考えてあなたを寄こしたのかしらね」
「少なくともUPC軍の作戦名を賛美するためじゃないさ。――敵軍の進行ルートか」
 キングスレーはモニターに目を移す。
「最も確率が高いのはペルシャ湾からの低空飛行でこちらへ浸入する可能性ね」
「ここに配備されているのはタロスだな」
「ええ」
「空と陸、どちらで来ようが対応する。お前さんはここで指揮を取れ。タロスは俺に任せておけ。パイロットたちを集めておいてくれ。士気は大丈夫だろうな」
「兵士たちは張り子の虎じゃないのよ。こういう時のために訓練を受けているのよアレン」
「分かっているさ。確認したまでだよサラ」
「あなたって嫌味なところがあるのね」
「よし行くぞ。戦闘開始だ――」
 キングスレーはガッツポーズで腕を振り上げると、ブリーフィングルームへ向かって歩き出した。

●参加者一覧

ソード(ga6675
20歳・♂・JG
アーク・ウイング(gb4432
10歳・♀・ER
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
安藤 将成(gb9347
22歳・♂・HD
秋月 愁矢(gc1971
20歳・♂・GD

●リプレイ本文

「デルタワン、高度三万五千フィートから一万五千フィートに降下する――」
「デルタワン了解、同じく高度を下げる」
 無機的な航空管制の声が回線に響き渡っていたが、孫六 兼元(gb5331)の割れんばかりの声が回線を圧倒した。
「ガッハッハ! まずは空から接近だが、マトモに接近しても袋叩きになる! 幾らかの危険は伴うが、ヘリコプターの『匍匐飛行』と同じような飛び方で行くとしよう! 低空でも、更に限界ギリギリまで高度を下げて、地形に這うように飛行する! こうして地表と一体化する事によって、敵の対空能力の及び難い所から侵入するのが『匍匐飛行』だ! ヘリ用の飛行法で、普通の戦闘機では出来ない飛び方だが、KVは普通では無いからな! 装備も上手く活用すれば、必ず上手く行く!」
「孫六さん詳しいですね。経験でもあるんですか?」
 ソード(ga6675)の問いに孫六は、
「実はワシは傭兵になる前にSARでヘリパイロットをしとったのだ!」
「SARって‥‥」
「捜索救助隊のことだ!」
「なるほど。それじゃ、山の中を飛んだりしたこともあるわけだ」
「うむ、まあそんなところだ!」
「でもよく考えると凄いですね。孫六さん捜索救助隊の隊員だったんですか」
「捜索救助隊は戦場に出たりはせんがね!」
「それはそうですね」
「ま、兵士の戦場は血と銃弾の雨が日常だ。問題ない」
 言ったのは安藤 将成(gb9347)。とは言え安藤は実はほとんど依頼には出ていなかった。
「安藤氏! きみが言うとどうもワシは胸騒ぎがするのだがね!」
「そいつはどうも。俺は兵士だからな。兵士であろうと思っているんだがね。あんただってそうだろう? 今じゃベテランだ」
「まあワシらはいつだってチームだ! 依頼を受けたからにはひとつのチームだし、お互いを信頼している! 依頼歴など些細なことだ! チームの一員として仕事が出来れば問題ない」
「ああ、俺はさして活動はしてないが、何も世捨て人じゃないからな。期待に応えられるように頑張るつもりだよ。それに、俺は兵士だ」
「それは聞いた!」
「なら安心だな。だろ?」
 安藤は軽快なジョークを飛ばしながら操縦桿を傾けた。
「アラビア半島解放の第一歩だね。こんなところで躓いて、今後の作戦に悪影響をあたえたり、味方の士気を下げたりはできないから、ばっちり成功させないと」
 と気合を入れているのはアーク・ウイング(gb4432)。
「いよいよ敵の本拠地に攻撃開始だね。中東は今まで難攻不落だったみたいだし。偵察はことごとく失敗だったって」
「砂漠の月作戦はまず俺たちに掛かっていますからね。ここで後れを取るわけにはいきませんよ」
「UPCの中東戦略もまだ五里霧中の様相を呈しているけど、取っ掛かりを見つけないとね。そのためにも、この作戦はどうしても成功させないと」
「敵の防空システムも相当なものですけどね。アグリッパなんてロシアの大規模作戦以来でしょう。あの時相当苦労しましたよね。それを一つの作戦で叩けと言うのも、難易度が高いと言うか何と言いますか」
「まだ先は見えないけど、アフリカでも大きな作戦が始まっているし、ここで勢力地図を塗り替える機会があるのかも。人類には今勢いがあるよね。ラストホープを守り抜いて、何としてもバグア軍の戦力を後退させないと。ラストホープが危険になるのも怖い気がするけど‥‥」
「あの宇宙の赤い星から直接攻撃されるとか‥‥」
「宇宙には手を出せないですよね。それは考えただけでも怖くなりますね」
 アークはソードの言葉に吐息した。
「匍匐飛行は考え付かなかったなあ」
 ソーニャ(gb5824)は言って、コンソールを操作した。
「孫六さんの専門分野なんですね。KVで匍匐飛行したことってあるのかな?」
「ガッハッハ! それならワシらが前例を作ろう!」
 傭兵たちもソーニャも高度を下げつつ、超低空飛行に入って行く。ソーニャはベクタード・スラストを使い、機体を傾けず方向変更や平行移動を行い、地面を滑る様に飛行する。
「海鳥なんかもよく地面効果を利用するよね。地(水)面すれすれに飛ぶと少ない推力でも機体が持ち上げられて、滑空って感じが気持ちいいね」
 と言っても音速で進入するわけではないので、本当に匍匐飛行のように飛ぶ。地形に沿って、機体を操縦する。海面上空100メートルのところをゆっくりと進んでいく。
 地形データーとリンクしつつ、接地しないように注意。
「これで、地を這うゴキブリの様に素早く‥‥う〜ん、想像失敗。でも、滑空攻撃って言うのも意外に悪くないわね」
「ソーニャ、それは無いだろう。俺はその言葉を聞くだけでもショックなんだ」
 傭兵の一人が苦虫を噛み潰したように言った。
「な、本当に、俺、あの黒い生き物苦手なんだよ。うー、鳥肌が!」
「そんなに?」
「ああ」
「フローラさんか‥‥久し振りだな。今回も貴方の幸運で護ってもらう事になりそうだ。ともかく全力で飛ぶよ」
 コクピットの中で呟いたのは秋月 愁矢(gc1971)。見違えるように逞しくなった秋月をフローラは眩しそうに見つめたとか何とか‥‥。
「それにしても兼元、匍匐飛行って、よく思い付いたな。あんたがいなかったら、最初の飛行ルートはどうなってたかな。普通に接近して迎撃されてたかもな」
「ガッハッハ! そこまでみなの意見がまとまるとワシとしても安堵するところだ!」
「実際、低空飛行って言っても細かいところは指示が出てなかったからな。兼元が匍匐飛行を提案してくれてみな最初の飛行ルートはそれで決まりだったな。今のところ順調だし、うまく敵の足元に潜り込むことが出来れば、早期にアグリッパを破壊出来る筈」
「うむ! ただ、バグアも馬鹿ではないからな! いざ接近してからが勝負だろう! それに、ザフラーンには強化人間もいて防衛能力もあるようだしな! 軍事施設を全て破壊するには、何とも言えんよ!」
「それはそうだろうがね。俺はとりあえず上空をカバーするから、対地攻撃はみなに任せるよ。ただタロスが全部そっちへ行ったら‥‥とにかく、敵の出方次第だな」
「予想を裏切ってくれるのはこの際よして欲しいものだ! と言うか、基地を徹底的に破壊すれば、おとなしくタロスも地上に降りて来る、と予想はするがね!」
「難しい作戦だな。やっぱり先は読めないか。ま、これだけの防空管制システムと連動されると、こちらも打つ手を封じられるかな」
 そこで、隊長機から通達が流れる。
「よし、間もなくザフラーンに侵入する。対地攻撃を行う者は着陸態勢に入れ。秋月、上空のカバーを頼む」
「了解した」
「敵はまだ動かないつもりかな」
 アークはレーダーでタロスを確認していたが、ワームは基地の内部から飛び立ったところだった。
「カスタムティターン‥‥キングスレーもいますね。警戒して掛からないと」
 ソードは言って、操縦桿を握りしめた。
「まずは、アグリッパを破壊に回りましょうか――と?」
「どうやら敵さんも動き出したようだな。来るぞ!」
「防空網の上で戦うのは厳しいわね。とにかく、アグリッパを潰しに掛かりましょう。みんなでサポートしつつ行きましょう」
「よし行くぞ! 戦闘開始だ! ワームを迎撃する!」
 傭兵たちは低空飛行でアグリッパに接近して行く――。

 アレン・キングスレーは部隊を編成して、傭兵たちの迎撃に向かう。
「予想通りか。定石通りにアグリッパを潰しに来たな。各チーム、連携して奴らの侵攻を阻め。行くぞ――!」
「了解!」
 ティターンに率いられたタロスの集団は、傭兵たちに殺到して行く。

「匍匐飛行は成功しましたね。ここまではどうにか‥‥」
 ソードは垂直離着陸機能で着陸すると、眼前にそびえ立つザフラーンを見上げた。ソードは加速すると、手近な基地施設を破壊しつつアグリッパを探す。
「ソード傭兵」
 上空から舞い降りて来るのはティターンだった。
「キングスレーですか。また俺たちの邪魔をしに来たんですか」
「中々譲れない性分でね」
「そうでしょうね」
 次の瞬間、ファランクス・アテナイが猛烈な火を吹いた。
 キングスレーはそれを弾き返しつつ、プロトン砲で牽制する。直撃と爆発がフレイアを巻き込む。
「さすがに、やりますね――」
「まだまだだよ」
 キングスレーは加速してくると、ソードに切り掛かった。一撃、二撃と弾いて二機は距離を保つ。
 アークは低空で上空から基地を狙うと、銃撃を開始した。次々と炎上して行くバグア基地。
「アグリッパは‥‥」
 レーダーに目を落としつつ、アグリッパを探す。
 と、タロスが飛来してプロトン砲を撃ち込んで来る。
「やっぱり――」
 アークは降下すると、垂直離着陸機能で着陸する。
「アーちゃんはこっちだよ――あれ?」
 アークはアグリッパを発見すると、接近して行く。
「そうはさせんぞ傭兵!」
 上空からプロトン砲を叩き込んで突撃してくるタロスを受け止める。
「そこをどくんだねバグア君」
「死にたいか小僧」
「アーちゃんは小僧じゃないんだよねっ」
 銃撃を撃ち込みつつ加速したアークは、機刀を一閃した。タロスの腕が飛ぶ。
「ぬう‥‥!」
 後退しつつプロトン砲で反撃するタロスを、アークはD2ライフルで粉砕した。
「よっし、行くよ!」
 アグリッパに向かって加速したアークはその奇怪な防空システムの機体に銃撃を叩き込んだ。アグリッパは粉々になった。
「よし行くぞアーちゃん! ザフラーンに侵入する!」
 軍傭兵たちも後に続いて突入する。
「ガッハッハ! 食らえ!」
 ミサイルポッドを全弾放出した孫六は、アグリッパを粉々にすると、先陣切って突入した。
「行くぞみなの衆!」
「アークが一機潰したようだ。こっちも今ので一機。このまま切りこめるか」
 安藤は着陸すると、周囲を見渡して銃撃を開始する。
「全ユニット攻撃開始――」
 軍傭兵たちも攻撃を開始する。
 そこへ上空からタロスが突入してくる。
「傭兵ども! ここは落とさん!」
「うむ! 各機迎撃態勢を取れ!」
「援護する。システムテンペスタ起動!」
 安藤はM−MG60を持ち上げると、その猛烈な銃撃をタロスに叩きつけた。600発の銃弾がタロスの機動を止める。
「頼むぞ安藤氏! ぬう!」
 孫六は加速すると、機刀をタロスに叩き込んだ。側面から切り掛かり、動けないタロスを叩き斬った。
「くっそ! 一機やられた!」
「押し返せ! プロトン砲斉射三連!」
 タロスからもプロトン砲が連続して飛んでくる。
 孫六たちは直撃を受けて後退した。
「反撃しろ! 切り込め!」
「突撃!」
 孫六たちは軍傭兵たちと突撃すると、タロスに切り掛かって行く。
「よしもう一撃システムテンペスタを起動する、敵のエースを狙う。やれるぞ!」
「よろしく頼む!」
 ソーニャは軍傭兵たちと着陸すると、まずはアグリッパの破壊に向かった。
「ボクが地上に降りて来るなんて、こんな日もあるさ〜」
「ソーニャ、アグリッパを発見した。タロスがこっちへ向かってくる」
「うん、ここは素早く行こう、サバンナのトムソンガゼルのように」
「トムソンガゼルを見たことあるのか?」
「多分ないかな」
「‥‥よし、行くぞ!」
 傭兵たちは加速する。
 やがて、上空からタロスの群れが降下してくる。
「見つけた! 奴らを撃ち殺せ!」
 プロトン砲が炸裂する。
「突撃!」
 タロスは慣性飛行で降り立って来ると切り掛かって来る。
「よしみんな! 戦闘態勢だ! 奴らを口の利けない残骸に変えてやろう!」
 傭兵たちも武器を抜いて加速、激突する。
 ソーニャはアリスシステムを常時起動させて撃ち合う。
「マイクロブースト!」
 滑るように高速で回り込むと、距離を確保してライフルを叩き込む。
 走輪のスピン、ブースターを利用し、敵の攻撃を回避する。
「おのれ!」
 タロスが突進してくる。刀を突き出してエルシアンに加速する。
 ソーニャは鋭い動きで後退しつつ回避する。
「そうはいかないよ、地上でもね」
 レーザーライフルを連射してタロスを粉砕した。
「よし行け! アグリッパを叩き潰せ!」
「任せて」
 ソーニャはそのまま加速すると、アグリッパを銃撃で破壊した。
「これで三機のアグリッパを破壊したね。秋月さん聞こえる? 防空システムは弱体化させたよ」
 上空にいる秋月は、シラヌイとフェニックスとともにタロスとドッグファイトを演じていた。
「了解したよソーニャさん。どうにか、やってみる。アグリッパを撃破しても対空兵装はたんまりあるみたいだな‥‥運頼みか、幸運の女神がオペレーターについてるから大丈夫だと思いたいな」
 秋月はタロスと撃ち合い、バレルロールで加速しながらプロトン砲を回避する。
「そっちへ追い込むぞ秋月!」
「了解した――」
 秋月は旋回すると、眼前に出現したタロスを重機関砲で粉々にした。
 対空ミサイルとプロトン砲台から次々と砲撃が叩きつけられるが、アグリッパを失ったことによってその精度は著しく減衰していた。
「ロックオン、これでも食らえ――」
 秋月はタロスにホーミングミサイルを叩き込む。回避行動を取るタロスに、続いて重機関砲を叩き込む。
「ジェニー、リック、援護を頼む!」
 秋月はエースタロスに向かってパワーダイブを仕掛ける。エアロダンサーで変形、すれ違いざまの建御雷で攻撃を叩き込む。
 そのまま落下しつつ、戦闘機動中のエアロダンサー変形で機体の重心を無理矢理ずらし、敵の予想から外れた機動を取り、空気抵抗や人型の利点である攻撃範囲の広さを生かした真後ろへ重機関砲の攻撃。それは空気抵抗や手足を使った重心移動での戦闘機には無い機敏さを利用した軌道での空中格闘戦。舞うように空中を飛び、タロスを破壊した。また変形して戦闘機に戻ると、秋月は軽く後ろを、爆散したタロスを見やる。

 ――ソードはキングスレーに向かって仕掛けた。
「PRM『アインス』Aモード起動、ブースト作動」
 加速するフレイア。
「シャイニング・ヘキサグラム!」
 ブーストで敵に突撃し雪村で敵を六芒星に切りつけた後、女神剣フレイアで敵を突き刺す。女神剣の光は敵を浄化する様。フレイアの陸戦必殺技。
「浄化!!」
 女神剣を突き刺す。
 ティターンはシャイニング・ヘキサグラムを受け止めた。女神剣を刀で止めた。
「噂には聞いたことがあるフレイアの攻撃か。確かに並み外れたものがある」
 と、その後方で次々と爆発が起こった。
 安藤やアークたちが突破し、傭兵たちが基地に侵入し、次々と破壊して行くところだった。
 また、もの凄い爆発が起こり、基地は炎上して行く。
「ここまでのようだな‥‥くそ、全く」
 キングスレーは小さく罵り声を上げると、上空に舞い上がって飛び去った。
「みなさんやりましたね」
「ソードさん、まだ基地は残ってます。急いで下さい」
「了解しました。今から基地へ入ります――」
 そうして、傭兵たちはこの苦戦の末にザフラーンのバグア軍基地を破壊することに成功する。