タイトル:【ODNK】熊本決戦来るマスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 2 人
リプレイ完成日時:
2010/10/23 19:25

●オープニング本文


 ビー! ビー! ビー! ビー! ビー‥‥!
 熊本基地のメインモニター、北熊本から福岡を映し出しているその上に、あちこちに赤いマークが明滅している。
「バグア軍の大部隊、熊本へ向かって南進中、待機中の傭兵はただちに迎撃に向かって下さい――」
「大分方面から転進したバグア軍、熊本へ向かって移動中。迎撃部隊、熊本への侵入に対処して下さい」
「バグア軍主力の予想進路は広域筑後圏、敵の攻撃目標は熊本方面と思われます。全部隊にスクランブルが掛かっています。待機中の傭兵はこれを迎撃、バグア軍主力を福岡方面へ撃退せよ――」
 オペレータたちが慌ただしくコンソールを叩きながら傭兵たちを送りだしていく。
 バグア軍はまだ力を残している。その戦力は今、まさにトールハンマーとなって熊本へ向かって振り下ろされようとしていた。

 KVハンガーで、鉄拳軍曹が傭兵たちに状況を説明していた。
「敵が来る」
 軍曹は短く言って、報告書をめくり上げた。
「どうやら、バグア軍はこれから本格的な熊本への攻撃を開始するようだ」
 傭兵たちはざわめいた。
「これから‥‥? 奴らは逃げ出したんじゃないのか‥‥?」
「違ったようだな。福岡南へ集結している戦力は、推定でワーム1000〜2000」
「何だって?」
「これは推定であり、増えることはあっても減る可能性はない」
 傭兵たちの背筋を戦慄が駆け抜ける。ダム・ダル(gz0119)――春日基地司令官の顔が思い浮かぶ。
「だが――」
 軍曹は力強い言葉で続けた。
「これだけの戦力を投入するからには、これまでとは明らかにバグア軍の目的も異なるはずだ。恐らく、これはバグア軍による最後の大規模な攻勢であろうと、本部は見ている。少なくとも、これだけの戦力を長期にわたって展開できる能力は春日基地にはない。奴らの事情は知る由もないが、恐らく敵は、勝負を掛けて来ている」
 熊本決戦――。軍曹はそう言うと、リモコンを操作して、モニターを拡大した。
「まずお前たちには、みやま市へ展開している敵の航空戦力を叩いてもらいたい。奴らが再び熊本の空を飛ぶことはないと、教えてやれ。今度こそ、決着をつけるぞ。今回の決戦で奴らを叩き、福岡を取り戻すのだ」
 それは茨の道であろう。困難な道のりだが、北九州の情勢は大きな転機を迎えようとしているのだった。

●参加者一覧

終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
熊谷真帆(ga3826
16歳・♀・FT
カルマ・シュタット(ga6302
24歳・♂・AA
ソード(ga6675
20歳・♂・JG
M2(ga8024
20歳・♂・AA
ヒューイ・焔(ga8434
28歳・♂・AA
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
ブロンズ(gb9972
21歳・♂・EL
神棟星嵐(gc1022
22歳・♂・HD

●リプレイ本文

「さて‥‥敵の新型機ですか‥‥まだ未知数なところも多いようですから、気を付ける必要がありますね‥‥」
 終夜・無月(ga3084)は軍傭兵たちに呼び掛ける。
「オーケー無月」
「さあ、決戦の出陣です! 人類の勝ち鬨を上げましょう!」
 熊谷真帆(ga3826)はそう言って、友軍のアンジェリカに通信を送る。
「この戦いで、福岡と、熊本からバグアを一掃してしまいましょう! ここはあたしの故郷でもあります。父さんと母さんのためにも、追われた土地を奪い返します‥‥! そして、失ったもののためにも‥‥」
「それにしても、ここまで押し込まれて、どうなる事かと思ったが、何とか持ちこたえたな」
 カルマ・シュタット(ga6302)の言葉に、相棒のロビン乗りは頷いた。
「ああ‥‥一時は熊本基地への侵入まで許したからな。それを思えば、奇跡的な反撃と言うべきかな」
「全くだ。ただ、ダム・ダル(gz0119)の奴が、どこまで抵抗するか。あいつ、負け戦になっても平静を保っていられるかな」
 ソード(ga6675)は、仲間たちに言葉を投げる。
「体を捕獲されると言う失態を演じてしまいましたが、今回は慎重に行かないと。カルマさんやヒューイさんも気を付けて下さいね。ダムの狙いは恐らく高い強化機ですよ」
「おう、ソードっちの言う通りかもな。ま、要警戒だな。俺もあいつとそこそこ因縁が出来たしな」
 ヒューイ・焔(ga8434)も頷く。
「新型機か‥‥新型ってボリビアに出た奴!? もうこっちに来てるの? 早いなあ‥‥確かまだ十分なデータは無かったような」
 M2(ga8024)は言って、友軍のS01Hとディスタンに声を掛ける。
「新型に注意して、色々とデータを取ってみるつもりだよ」
「了解M2。敵さんの動向には、注意を払っておくわ。あとはエース機にもね」
「決戦近し! だが油断は出来んな! ダムの事だ、隠し玉が有るやもしれん!」
 孫六 兼元(gb5331)は言って、牙を剥く。
「さて、敵も尻に火が点いたようだが、手負いの獣は恐いからな!! 充分注意せねば!」
 と、やや神妙な面持ちで独り言を呟く。軍のオウガに同行を打診。
「今回も宜しくお願いする! 新型HWが気になるが、貴官の協力が有れば対抗出来よう!!」
「こっちこそよろしく頼むわね兼元。とにかく、無茶な突撃しないで」
「ガッハッハ! 心配は無用だ。わしが倒れる時は、あのバグア人も死なばもろともよ!」
「兼元、私は本気で言ってるんですからね」
「あーケガなんてドジっちゃったなぁ」
 ソーニャ(gb5824)は言って、重体の身の不遇を呪った。
「でも、良い機会かもね。今日はじっくり観察させてもらうよ」
 軍ハヤブサ×5、ナイチンゲール×5と同行する。
「まず上空待機。隼に小夜啼鳥、そして駒鳥。気分は鳥の女王様だね」
 言いつつ、コンソールを操作して、一応の管制を整える。電子戦機には及ばないが。
「各機データーリンク・戦域分析。戦域全体の把握に努めるよ。よろしくね」
「ソーニャさん‥‥あこがれのソーニャさんと飛べるなんて、嬉しいですっ」
「あ、あこがれ‥‥?」
「エルシアンの勇壮な姿は私の瞼にくっきり焼きついています!」
 まだ十代の少女傭兵であった。
「ボクはそんな強くないんだよ〜」
「ソーニャもお姉さんと呼ばれるようになったか‥‥」
 ブロンズ(gb9972)はからかうように言うと、言葉をつないだ。
「ま、ここの戦いもそろそろ終わりに近付いているのかね。俺も覚悟はしておくか」
「ブロンズさん!」
「あー、気にするなよソーニャ。まあ長く戦っていると何かと縁が生まれるもんだぜ」
「あのダム・ダルが総力戦を仕掛けて来ると‥‥? それほど追い詰められているというのなら、今まで頑張ってきた甲斐があるというものです」
 神棟星嵐(gc1022)は言って、静かにうなずいた。
「決戦ともなれば一段と気が引き締められますね。さて、先の戦いでは不覚を取りましたが‥‥今日は借りを返す日ですね」
「間もなく戦闘空域に入るよ。全機エンゲージに備えて」
「データリンク開始、電子支援開始する。が、早々にキューブを落としてくれ」
 ルキアとユーリが言うのに、傭兵たちは「了解」と答えて、スロットルを全開に吹かせた。加速して突進する――。

「HWもついに新型投入ですか。今後の為にも性能を調べないといけませんね」
 ソードは言いつつ、コンソールを操作して行く。
「兵装1、3、4、5発射準備完了。PRM『アインス』Aモード起動。マルチロックオン開始、ブースト作動」
 20機のHWをロックオンする。
「ロックオン、全て完了! 『レギオンバスター』、――――発射ッ!!」
 2000発を越えるミサイル群の攻撃、今日もレギオンバスターが炸裂する。
 次々と命中していくミサイル群がHWを捕え、空を紅蓮の炎で染め上げる。
 しかし、敵も怯むことなく、加速前進してくる。
 突進してくるタロスに、無月はレーザーガトリングを叩きつけた。凄絶な破壊力。タロスの装甲が吹き飛ぶ。
 反撃のプロトン砲をものともせずに、無月はタロス一機を粉々に打ち砕いた。爆発四散するタロス。
「さすがに終夜無月のミカガミだな。捕獲したお前のミカガミの改造は順調に進んでいるぞ」
 その声はダム・ダル。
「俺の機体を使って、どうしようと、再び決着をつけてやりますよ‥‥ダム・ダル」
 側面から回り込んでいく熊谷とアンジェリカ隊。
「キューブは位置さえ特定できればただの的です」
 ワームの編隊に切り込み、浮かんでいるキューブワームを叩き落としていく。
 新型HWの編隊が旋回して突進してくる。鋭く、速い――。プロトン砲が叩きつけられる。
 熊谷は編隊の先頭に立つと、友軍とともに迎撃する。
「物理知覚ミックス戦略です」
「ミサイル発射!」
「FOX2!」
 アンジェリカからAAEMミサイルが放出される。
 熊谷はライフルD02の牽制狙撃を行い間合いを詰める。
 新型HWは高機動でミサイルをアクロバットに回避して、プロトン砲で応戦してくる。
「支援をお願いします!」
 熊谷は加速すると、KP06とRP1で弾幕を張って突進。ヘビーガトリングを叩き込んだ。
 ――と、長射程の光の束が空を貫いた。中型HWから放たれた強力なプロトン砲が、アンジェリカを貫通して大爆発を起こす。
「何ですか――!?」
 熊谷は中型HWを確認して驚く。予想外の長射程と威力。
 頃合いを見て肉薄、ヘビーガトリング、D02、RP1、レーザーバルカンを全開にして弾幕の盾を形成、その間にアンジェリカの知覚兵器で一撃離脱してもらう。
「HWに効く知覚兵器は短射程なので弾幕の盾で護ります」
 アンジェリカは激しいドッグファイトで一機が撃墜される。
「きゃあああ!(ザザー)」
「く‥‥! 私が相手になります」
 返す刀でヘビガト砲をぶっ放し、HWの背中をD02で狙い撃ちする。追い立ててアンジェと挟撃。
 しかし、HWもアクロバットに回避して態勢を立て直す。
「行きますよカルマさん。アリスシステム起動します!」
「よろしく頼みます」
 カルマは敵のエースHWに加速すると、ロビンの牽制に合わせて銃撃を叩き込んだ。激しい銃撃は、敵エースをかすめて、反撃のプロトン砲が来る。
「何だと、かわした――」
 カルマは見上げて、すれ違うHWを確認する。
「ちっ、やる」
 旋回して、追撃する。
「ならば」
 強化型G放電を叩き込む。今度は直撃して、放電がワームを包み込む。それでも、エース機は態勢を立て直して、向かってくる。動きは鋭い、速く的確だ。
「こいつは油断できんな」
 カルマは友軍のロビンと雷電の支援を受けながら、ドッグファイトでこのエースをどうにか撃ち落とした。
「新型HWですか。中々に油断のならない相手ですね」
 ソードもエニセイを叩き込み、それでも中型HWを一機粉砕していた。フレイアの面目躍如と言ったところか。
「さて、CWはある程度減ってきたかな。みんな新型HWへ向かうよ」
 M2は言って、友軍各機と戦線に加わる。
「可能な限り敵の性能を確認するよ。やられないようにね」
「ラジャー!」
 物理と知覚攻撃を切り替えて攻撃を試みる傭兵たち。新型HWワームはとにかく高機動で、回避能力が高い。そして、攻撃力がけた外れに上がっている。
「ん? 特殊能力は‥‥何だろう。何かあったよね」
 M2はHWの攻撃を回避しつつ、反撃する。HWにこれと言った特殊能力は見られないが‥‥。
 と、中型HWから通常のプロトン砲より分厚いプロトン砲が発射された。
「うわ! 何だ! よけきれない!」
 ディスタン一機が大破する。
「ソーニャちゃんルキアちゃん、データを送るよ」
 M2は言って、データを送信する。
「高い戦闘能力だね‥‥旧型とは比べ物にならないぞ」
 ヒューイは上空から突撃する。
「い〜やっほ〜! 全機俺に続け!」
「突入!」
 ディアブロとミカガミとともに突撃、敵陣を切り裂く。
 小型HWと中型HWに襲い掛かる。レーザーと銃撃がHWを打ち抜く。
 ワームは鋭く回避行動を取って、反撃のプロトン砲を叩き込んで来る。
 ヒューイは敵機の正確な狙いをかわしたが、友軍は直撃を受けた。
「にゃろう! やるじゃねえか! これが新型か‥‥」
 バルカンを叩き込み、加速する。突進してソードウイングで切り裂いた。
「アレが新型HWか! 如何なるモノか見せてもらおうか!!」
 孫六も中型HWへ友軍とともに加速する。
 ミサイル・マシンガン・刃翼を均等に使い、武器の有効性を確認する。主な確認内容は、「ミサイルの誘導性」や「SESの減衰状況」等。
「む‥‥? 特に怪しげな能力はないか‥‥しかし、堅い」
 中型HWは悠然と孫六の攻撃を跳ね返して、プロトン砲を叩き込んで来る。
「兼元、こいつ、旧型とは桁違いの性能だわ。攻撃が効いていないのかしら」
「いや! そんなはずはないだろうが。しぶとく攻撃を浴びせ続ければ――」 
 友軍機とマシンガンを叩き込み、中型HWの周りを飛び交う。しかし、敵機はしぶとく、強い。確かに各段に性能が上がっている。孫六もプロトン砲の直撃を受けた。
 ソーニャは部隊を率いて、HWを迎撃する。アリス常時起動。ハヤブサ隊先行攻撃、ナイチンゲール隊後詰め&フォロー。ハヤブサ隊制御困難時、ナイチンゲール隊フォロー。
「行くよ!」
 ナイチンゲール隊に合わせてソーニャ自身はレーザー攻撃。
 ハヤブサ隊が危険な時、後方よりG放電、ナイチンゲール隊はミサイルで援護攻撃。常に群れで行動して無理はしない。
「新型HW‥‥さすがにやるね。想像以上」
「ソーニャさん! 敵の集団が突進してきます!」
「あ、無理しないで。単騎で突進しないでね」
 ソーニャは自分にあこがれると言う少女に自制を強いた。
 と、長射程からのプロトン砲が一機を直撃する。殺到してくるHW。
「防御を固めて後退するよ。敵の攻撃を拡散させる」
 ソーニャは言いつつ、編隊をコントロールする。
 しかし、あの少女がいる一角にHWの攻撃が集中してくる。中型HWが突進してくる。プロトン砲の連打が少女が乗るナイチンゲールを撃ち貫く。
「く‥‥! 全機あの子を守って! 敵の先端に集中攻撃!」
「ソーニャさん‥‥ごめんな‥‥さい‥‥!(ザザー)」
 次の瞬間、少女が乗るナイチンゲールは爆発四散した。
「そんな‥‥! みんな‥‥反撃して! 押し返すよ!」
 ソーニャは歯を食いしばって耐えた。
「ダム・ダル聞こえてるか? あんた的にこの戦い、人類側の勝率はどのくらいだと思う?」
 ブロンズは、回線を開いて呼び掛けた。
「ブロンズか。俺の答えは決まっている。人類の勝率はゼロパーセントだ」
「随分と余裕じゃないか、なら俺がその予測‥‥越えてやるよ!」
 軍属のロビン×5とシラヌイ×2と連携し新型のHWに対応する。味方にも回避重視で指示、FRが出てくるまでは落とされないように。
 タロス優先で撃破。
「狙うはタロス‥‥。シュバルツケーニッヒ仕掛ける!」
 神棟は破暁・ペインブラッドを連れタロスへ向かい3機で波状攻撃を仕掛ける。
「相手に反撃する余裕を与えてはいけません。攻撃、あわせてください」
 エース機への対応は自分が正面から、破暁を左、ペインブラッドを右からと相手が照準をつけにくいよう散開して迎撃する。
「全機、一斉攻撃!」
 UK−11AAM、ホーミングミサイルDM−10を出し惜しみせずに使用し、真スラスターライフルで止めを刺す。
 新型の小型・中型HWに対しては3機並んで一斉攻撃を行い、反撃する暇を与えないよう心がける。
「来る、ファームライドが出てくるよ。気を付けて」
 ソーニャの言葉で、みなレーダーに目を落とす。
 激突する傭兵たち――。
 無月はまともにFRと撃ち合う。FRに打撃も与えたが、無月のミカガミはあっという間に戦闘不能に追い込まれて墜落していく。
 カルマは回線だけを開いた。
「ダム・ダル、お前に聞きたいことがある。お前は前回自分のことをひとつの歯車だと言ったらしいが、戦友だったというザ・デヴィルやキュアノエイデスの死様を見てお前はなにか思うことがないのか? 歯車であるにしても歯車なりの願いは無いのか?」
「カルマ・シュタットか。言ってくれるな。無論俺は機械ではない。戦場で友が死ねば胸も痛む。だが、それとこれは別のものだ。俺はブライトン様ではないのだ。戦場で戦い、果てるならそれまで。分かっているだろうが、俺一人死んだところで、バグアは微動だにしないのだから」
 ヒューイ、孫六はその間隙をぬって突進した。
「全機! 奴の気が逸れた! 一気に叩くぞ!」
「ダム・ダル! そろそろ観念せんかね? ワシの故郷では、所謂『年貢の納め時』と言う奴だ!」
「FRは相変わらずのチート機体だな、なあダム・ダル、もしあんたを倒せたらその機体くれよ」
 ブロンズも突進。
「シラヌイ、ロビン、ヒットアンドアウェイで頼む! 誰も俺が許可すんまで落ちんなよ!」
 ラージフレア展開、回避命中底上げで超伝導アクチュエータ使用。
「一人であの世に行くのは怖いか? なんだったら俺も一緒に行ってやるよ‥‥なんてな!」
「フォームライドが出てきたのか‥‥。よし、こちらも仕掛けます」
 神棟もミサイルを叩き込む。
「FOX2!」
「全機ミサイル発射!」
 ファームライドは恐るべき機動力で突貫してくると、すれ違いざまに次々と軍KVを撃墜していきながら暴風のように飛び込んできた。
「孫六、この辺りでお前とは決着をつけてやろう」
「何――!」
「兼元危ない!」
 友軍のオウガがとっさに間に割り込んだ。ダム・ダルはその軍オウガを瞬時に撃墜した。パイロットもろとも爆発四散するオウガ。
「ダム・ダル!」
「運のいい奴だ。決着はお預けだな‥‥ん? 分かった。一度春日基地へ戻り、そちらへ合流する。待て――」
 ダム・ダルは別の戦場から通信をもらったのか、それだけ言い残して離脱した。
 敵新型ワームは傭兵たちを苦しめたが、最後には後退することになる。