タイトル:【ODNK】熊本の反撃マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 4 人
リプレイ完成日時:
2010/10/10 12:27

●オープニング本文


 北九州熊本基地――。
 士官たちの表情が少し落ち着いている。風向きが変わりつつあることを、彼らも感じていた。北熊本におけるバグア軍の攻勢が、限界に近付いて来たのではないか‥‥そんな観測がUPC軍の間に生まれ始めていた。それはここ数回の戦闘で、顕著でもあった。一気に福岡を制圧して熊本へ迫ったバグア軍は、ここへ来てUPC軍の反撃によって大きな打撃を被っていた。尤も、敵のエース機は今なお健在であり、北熊本へ攻撃を行っているバグア軍は北九州に展開するそれらの一部であろう。福岡には、なお敵の潤沢な戦力があると予想される。
「‥‥だが、だ」
 KVハンガーの中で、軍曹は傭兵たちへの指示書に目を落とす。
「幾度かの戦闘で北熊本の制空権を回復しつつあり、地上のゴーレムの動きは鈍っているようだ。また各方面の地上部隊から、キメラの掃討作戦は順調に進んでいるとの報告が入っている。我が軍は、どうにか持ちこたえることができそうだ、と希望の光が見えて来たと言える。そこで、北熊本からバグア軍を叩くために、攻勢に転じると指示が出た」
 軍曹が言うと、傭兵たちは厳しい顔でモニターに目を向けた。
「まずは山鹿市だ。現在ダム・ダル(gz0119)始め、敵のエースが前進している。諸君らには、これらに対して、迅速かつ果敢な攻撃を仕掛けてもらいたい。敵に増援の隙を与えず、速やかに機動戦力を叩くのだ。敵の先端を挫き、エースを後退させれば、我が軍も一気に攻勢に転じる。あの忌々しいFRやティターンを封じることが出来れば、この機に山鹿市から敵を一掃する」
 そう言って、士官はリモコンを操作して、モニターに敵のポイントを映し出した。幾つかのポイントが点滅する。
「敵の主軍と思しきゴーレムとタロスの集団だ。地上にはティターンが一機確認されている。そして空には、FRとヘルメットワームの姿がある。――敵軍の予想進路だ」
 軍曹がリモコンを操作すると、攻撃を行うUPC軍の矢印と、目標となるバグア軍のマークが赤く浮かび上がった。
「敵エースに警戒しろ。言うまでもないことだが、奴らの力は知っているだろうがな」
 軍曹の言葉に、傭兵たちは指示を確認すると、KVハンガーからそれぞれ飛び立っていった。

●参加者一覧

櫻小路・なでしこ(ga3607
18歳・♀・SN
ソード(ga6675
20歳・♂・JG
ユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751
19歳・♂・ER
アーク・ウイング(gb4432
10歳・♀・ER
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
夢守 ルキア(gb9436
15歳・♀・SF
ブロンズ(gb9972
21歳・♂・EL
秋月 愁矢(gc1971
20歳・♂・GD
ニコラス・福山(gc4423
12歳・♂・ER

●リプレイ本文

 バグア軍陣営――。
 ダム・ダル(gz0119)は、ファームライドの中で、接近してくる傭兵たちの姿を確認していた。
「ダム司令――」
 地上から、青いティターンに搭乗する強化人間の洋子の声が届く。
「傭兵たちが来ますが‥‥我が軍は不利な体勢にあります。ここは無理をせずに、退くことを考えるべきかと」
「お前の考えは恐らく正しい。ここでまともに傭兵たちと打ち合うのは得策ではないだろう」
「では‥‥」
「だが、私は、ただ逃げるのでは、興ざめだと考える」
「それは‥‥」
「ここまでのストーリーは、私の想定内だ。少なくとも、熊本からの撤退は予測していた。UPCがよほど負けない限りは、この可能性はあると思っていた」
「では、UPCとの決戦は福岡ですか」
「あるいは、北熊本か。北九州の情勢にもそろそろ決着を着ける時が近いようだな」
「それでは――いよいよ決着を。それはウォン司令の指示なのですか」
「ウォン司令はそれどころではないようだな。大陸の動きが慌ただしい。いずれにしても、機は熟しつつあると言うことだ。我々にとっても、敵にとっても」
「逃げるのではないとしたら、今日の戦いは‥‥」
「それもまた、ストーリーだ洋子。我々には、逃げるという選択肢はないのだ」
 ダム・ダルはそう言うと、ファームライドをゆっくりと前進させるのだった。

「敵が動き出したようね」
 櫻小路・なでしこ(ga3607)は言うと、レーダーを確認する。
「陸の敵も行動を開始した様子。ここで敵の反撃を叩いて、熊本からバグア勢を一掃してしまいましょう」
「陸にはティターンの姿があるのですね。さて‥‥この反応は高橋麗奈とは違うようですが‥‥一体パイロットは誰なのでしょうか」
 ソード(ga6675)の言葉に、ユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751)は思案顔で応える。
「また別の強敵か。ティターンは厄介な相手だからなあ‥‥簡単に沈めることは難しいだろうな。ソードは気をつけてな」
「バグアに反撃するためにも、絶対に負けられない戦いだね」
 アーク・ウイング(gb4432)は呟き、操縦桿を握りしめる。
「この戦いに勝利すれば、熊本から敵を追いやる契機になるかもです。アーちゃん頑張らないとっ」
「ガッハッハ! ティターンか! ここいらでダムの側近の一人は潰しておきたいところだな! ゆえにティターンは撃破するぞ!」
 孫六 兼元(gb5331)は豪快に笑うと、軽くコクピットに手を置いた。
「行くぞアメノオハバリ!」
「わかんなくなってきちゃった――」
 ソーニャ(gb5824)は自問自答する。このところ戦いの中で葛藤することが多い。
強化人間と話した。バグアの占領下は悲惨だと。洗脳なしって事は良い扱いを受けていると思ったんだけど‥‥。ではなぜ九州の強化人間は自分を犠牲にしてまで戦うの。占領地で違うの? 結局、占領地を開放して直に確認するしかないかな。
「‥‥いくよ、エルシアン。戦いの中に答えがあるならボクは答えを見つける」
 夢守 ルキア(gb9436)は敵との間に回線を開いてみる。通信を投げかける。
「ダム・ダル、応えて。そっちには聞こえるはず」
「‥‥UPCか、俺を呼び出すとは、得意の陽動作戦か」
「ダム! 違うよ。脳が痺れる程強いパイロット、強い機体、ダム君に聞いてみよう、好奇心には勝てない! ね、どうしてきみは戦うの?」
「‥‥‥‥」
「敵トカバグアトカ、ツマンナイ理由じゃなきゃいーな。そんな理由じゃ、親バグアの方がマシ。戦いたいって本能だよー、生きてるって思う」
「分かっていないようだな。私が戦う理由か? 私に選択肢などないのだ。私は巨大な歯車のほんの一かけらにしか過ぎないのだ。私はもう随分前に考えることはやめた。そんなことは考えても仕方のないことなのだ」
「大層なごたくはいいんだダム・ダル。お前がこれまでにしてきたことを、きっちりそのつけは払ってもらうぜ。因果応報って奴だな」
 ブロンズ(gb9972)がそう言うと、ダム・ダルは珍しく笑声を上げた。
「ブロンズ、正直お前のことは好ましく思っている。敵としてこれほどやりやすい相手はいない」
「やかましい、今日は簡単には落とされねえぞ」
 会話はそこまでだった。ダムとの通信を切ると、傭兵たちは作戦を確認する。
「FRは強い、俺たちが何もせず戦ったのでは‥‥全滅必死だ。だから俺は、策を練る。今回の局面を乗り越える為に」
 秋月 愁矢(gc1971)は言って、空戦班の仲間たちとともに策を確認する。

【作戦】
A隊はB隊とサポート陣除く空戦班全機
B隊は秋月と軍シュテルン5機

●手順
1段階
A隊
従来通りの戦闘を行い、B隊の存在を感じさせない

B隊
高度を取って待機
サポート陣に紛れて攻撃企図を悟らせない

二段階
A隊はダム・ダルの注意を惹きまくる事によりB隊の攻撃企図を秘匿
B隊は夢守機・サポート陣からの合図でブーストダイブ開始
秋月機を先頭に太陽を背にしてブーストダイブ
速度を稼ぎ、FRに反応させる時間を減らし意表を突く
被攻撃時には全機PRMS防御使用ダイブ保持 
回避時にはバレルロール等で失速防止

三段階
A隊はB隊強襲に合わせ本攻撃開始
B隊は強襲実施
全機ブースト保持PRMシステム命中全力使用FR目標全弾発射
 
終了後、UPCシュテルンは即時離脱

「これはFR破壊ではなくFRに隙を作るための攻撃だ。FRでも、避けるにしろ耐えるにしろ交差射撃するにしろ、隙が発生するはずだ‥‥ホンの数瞬だろうが、その隙を拾ってくれ、頼んだぜ」
「ま、何だな、どこまで策を練っても常に予測の上を行くファームライドだからな。これで確実と言うことはないだろけどな」
 ブロンズは言って、軽く頭を掻いた。
「孫六ちゃん、バックアップは任せろ。思い切り切りこんでいいぞ」
 ニコラス・福山(gc4423)は言って、頭を軽く触った。覚醒するとアホ毛が出来るニコラス。通常は1本であるが、調子の良い時は2本、極めてまれに3本になることもある。
「お、アホ毛が三本も! これは今日は何か奇跡が起きるのかも!」
 そうして、傭兵たちは空と陸に分かれて、加速して行く。

【陸戦部隊】
ソード(蒼いティターンの抑え)
孫六 兼元、ニコラス・福山(ペア1)
櫻小路・なでしこ、アーク・ウイング(ペア2)

・軍KV班
ミカガミ×5
阿修羅×5
雷電×2
ディアブロ×5
ロビン×5
イビルアイズ×1
ウーフー×1

【空戦部隊】
A隊
ユーリ・ヴェルトライゼン、夢守 ルキア、ブロンズ(gb9972
対FRにソーニャ

B隊
秋月 愁矢
シュテルン×5

・軍KV班
シラヌイ×1
フェニックス×1
雷電×3
ワイバーン×5(B隊)

「来ましたね傭兵たち。ここで黙って引き下がるわけにはいきません。私がお前たちを止めます」
 ワームの先頭に立っているのは青いティターン。
 ソードはその声に聞き覚えがあった。
「蒼いティターン! 洋子ですか、ついにその機体に乗ることができましたか。おめでとう‥‥といっておきます。まあ、こちらにとっては凶報ですがね」
「レギオンバスター、ソードですか‥‥また会えるとは。今日はその機体もらっていきましょう。我が軍でも捕獲に人気の機体ですからね、あなたのフレイアは」
「そうはさせませんよ洋子」
「全機攻撃開始――」
 タロスとゴーレム達が前進する。洋子も前に出てくる。
「軍のみんな! ゴーレムをお願い! 私たちはタロスを押さえる! いくわよアークさん!」
「アーちゃん突入します!」
「ガッハッハ! 行くぞ福山氏!」
「オッケー、孫六ちゃん! しっかりサポートするぜ!」
「よし! ラスホプ組に続け! 俺たちも突入だ!」
「全機突撃!」
 傭兵たちは最大戦速で突進していく。
 ライフルを連射する福山とアーク。粒子砲を叩き込むなでしこ。
 対するワームからは例によってプロトン砲の応射が来る。
 アークとなでしこは流れるように展開すると、タロスに向かって銃撃を開始する。レーザーとライフルを叩き込むが、タロスも素早く移動しながら、プロトン砲を撃ち込んで来る。光線と銃撃が飛び交い、めくるめく閃光が視界を埋め尽くす。
「福山氏!」
「任せろって!」
 タロスに向かって突撃する孫六に、ライフルで支援する。
「いいか! トリガーは霜が降る如く引くもんだ、力任せじゃ当たらないよ」
 孫六は機槍「天雷」を主軸に使用する。福山の支援射撃で動きの鈍った敵を順次狙って行く。槍は右手で槍の中程を持ち、穂先は下向き。左上から右下にかけ、体の前を斜めに隠す様に構える。防御は槍で受け流したり、下から穂先を半月を描く様に跳ね上げ、武器を弾く。突く時は左の脇に抱える様に絞込み、体全体で突き込む。孫六曰く「正に攻防一体の構え方だ!」
 タロスと打ち合う孫六。槍で攻撃を捌きながら、一撃を見舞う。突きがタロスを捕える。
「ソード氏は!」
 すでにソードは洋子との戦闘に移っていた。
「洋子! あなたを倒してまずは勝利への布石とします!」
 加速する青いシュテルン、フレイア。1ターン目でPRM『アインス』Aモードで攻撃を上げた機槍の連続攻撃でティターンの姿勢を崩し、ブーストを使い間合いを一気に詰めてそこをPRM『ツヴァイ』Aモードで知覚を上げたシャイニング・ペンタグラムで仕掛ける。

☆必殺技:シャイニング・ペンタグラム
PRMで知覚を上げ雪村で敵を五芒星(錬剣5回攻撃)に切りつけてから女神剣フレイアで敵を突き刺す。女神剣の光は敵を浄化する様。

「PRM『アインス」起動。この攻撃を凌げますか? 洋子!」
「鋭い‥‥さすがフレイアですね」
 しかし洋子は冷静であった。フレイアの槍を剣で軽く弾いた。
「やりますね――フレイアの真価。PRM『ツヴァイ』起動! ブースト作動!! 『シャイニング・ペンタグラム』!!」
 練剣の五連続攻撃を受けつつ、洋子はティターンをアクロバットに操り被害を最小に食い止める。
「浄化!!」
 ソードは女神剣で最後の一撃を突き入れた。しかし、そこにティターンの姿はなかった。ティターンは女神剣の一撃をすり抜け、接近してくると、剣をフレイアの足に叩き込んだ。
「――まだ動く!」
 ソードは操縦桿を引いたが、遅れた。足を切り落とされ、フレイアは沈んだ。
 そしてシュテルンが離脱する前に、洋子はコクピットに剣を叩きつけた。
 ソードはすんでのところで脱出する。
 そしてフレイアは捕獲された。
「ソード! 生きてる!?」
 なでしこの声に、ソードは無戦機で応えた。
「ええ、何とか。機体を奪われました。不覚です。甘く見すぎましたか‥‥脱出します」
 そうして、洋子たちは傭兵の攻勢を捌きつつ、後退していく‥‥。

「行くぞ軍傭兵さんたち、ダムがまだ後ろにいる間にヘルメットとキューブを叩く」
 ブロンズはシラヌイS型を前進させると、カプロイアミサイルを放出する。轟音が轟き、命中した数百のミサイルが爆炎を上げる。
「さて‥‥ここからが‥‥」
 ユーリは適当な機体とロッテを組むと、加速してキューブを撃墜していく。ソードウイングで止めを差す。
 キューブの怪音波が頭痛を引き起こして視界がぶれるが、どうにか撃破する。
「コイツ好き。狂わせようってところが」
 ルキアはキャノンでキューブを落としていく。
「行くよエルシアン。今日も空を制覇するんだ」
 ヘルメットワームにレーザーを撃ち込むソーニャ。
 空のワームは少数だ。軍傭兵も加わり、やがて傭兵たちは圧倒していく。
「ファームライド、方位02接近。全機警戒せよ」
 ルキアはレーダーを確認して加速する。
 やや高度を上げ友軍KVを抜き、FRへブースト接近、最高速でペイント弾発射。
「優秀なパイロットなんだ?」
 ワイバーンにMブースト、ペイント弾入りガトリング砲指示。
「全身デコレーション!」
 しかしファームライドは簡単に捉え切れない。
「よおダムダル、久しぶりに俺に会った感想でも聞かせてみな」
 言いつつブロンズは接近。的を絞らせないよう軍属ワイバーンにも注意ひくように指示する。
「また撃墜してやろう。確実にな。今度は無事かな」
「言ってろ」
 ファームライドのプロトン砲をバレルロールでどうにか回避する。が、光線が機体をかすめて行く。
「さすがにFRだな、ティターンとかとは格が違う。ちっ、食らえ」
 強化ショルダーで反撃。ラージフレアを展開してFRの命中を下げる。
「行くぞダムダル。いつも通り土産を持って来てやった」
 ユーリがミサイルを放出する。
「ユーリ・ヴェルトライゼンか、そしてそっちにはソーニャ」
 ダム・ダルはミサイルを回避しつつソーニャの突進に備える。
「G放電が3発、とても全部は撃てないだろなぁ。ねぇ、全部撃てたらほめてね」
 加速するエルシアン。アリス、Mブースター起動突入。
 軍KV、I−01同調発射。
 ラージフレアと通常ブーストの旋回、ロール機動を組み合わせた回避技「ファントム」を使用。
 ラージフレアからG放電、レーザーから離脱。
「ダムの集中が少しでもミサイル回避に削がれれば‥‥ミサイル群に紛れる。クッ、フレア展開、ブースト回避。G発射」
 数百のミサイルがファームライドに襲い掛かる。
 FRは慣性飛行アクロバットにかわす。
「これをかわす、ファントム! G! 2発目いけー!」
 ファームライドはその時別のことに気を取られて、G放電の直撃を受ける。
「はぁはぁ、無茶な機動Gを無理やり押さえ込むAUKV。操縦性の上がったエミタ。HDはKV戦に向いている。特にこんな無茶なドックファイトにはね。いけー、ファントム、そしてこれが最後のG」
「行くぞ! ブーストダイブ! みんなを信じて突っ込む!」
 上空から秋月とシュテルンが突進してくる。
「PRMシステム起動! ミサイル全弾放出!」
 バレルロールで突貫しながらミサイルを放出する。千発を越えるミサイルがファームライド目がけて飛ぶ。
「今だよ。A隊ファランクス陣形でファームライドを包囲」
 ルキアは後衛に着いた。
 シラヌイ超伝導、ワイバーンMブースト。
 ブロンズはこの瞬間を待っていた。横からK−02と十六式を発射する。
「ナイスタイミング、十字に放たれたミサイル群、回避出来るもんならしてみなよ!」
「食らえダム・ダル!」
 ユーリも全弾放出。
 ミサイルはファームライドを次々と捉える。爆発と閃光がFRを包み込む。
 そしてブロンズはソーニャの攻撃に合わせて死角をとる。超伝導アクチュエータVer.2を発動、軍属シラヌイにも発動要請して同時攻撃。出来た隙に一斉攻撃をするように味方に指示。
「俺たちが隙を作る! タイミング合わせて一斉に仕掛けろ!!」
「行くぞ――! 全弾放て!」
 軍傭兵たちは残りのミサイルを撃ち込んだ。
 果たして――。
 閃光と煙が晴れて後、ファームライドは悠然とそこに浮かんでいた。
 そしてダム・ダルは後退する。
「熊本の決戦は近いようだ――傭兵たちよ、この戦、まだどう転ぶか分からん。お前たちは勝つかも知れないが、逆転で負けることもあり得るのだ」
 ダム・ダルはそう言い残して、撤退した。