タイトル:【ODNK】熊本の旋風マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 2 人
リプレイ完成日時:
2010/09/21 01:44

●オープニング本文


 北九州熊本基地――。
 傭兵たちは、KVハンガーの中を片付けていた。先のダム・ダル(gz0119)の奇襲攻撃によって、予想を越える打撃を基地は負っていた。傭兵たちも総出で、基地の瓦礫を片付ける作業に追われていた。
 なお、現在北熊本においてはすでにワームとの激しい戦いが続いている。今基地に残っているのは、待機中の傭兵たちであった。
「しかし‥‥やってくれたなダム・ダルの奴」
 積み上げた瓦礫の上に、その傭兵はいた。名をアキラと言った。日本人だが、本名を喪失しており、今はアキラとだけ名乗っていた。
「ともあれ、どうにかここへ来て、反撃の糸口も掴めそうだし。北熊本のバグアども、ダム・ダルも前線を伸ばし過ぎたことを後悔することになるぜ」
「おい! 北熊本からホットラインだ! またファームライドが出たって! スクランブルが掛かったぞ!」
「何だって」
 カイルは瓦礫の山から飛び降りた。
 ラストホープから来ていた傭兵たちと会う。
「よお、お前らは、この間ここへ来たばかりの希望島の連中か」
「ああ、北熊本には噂のファームライドが出ると聞いた。この目で確かめに来たんだ」
「物好きだなお前たちも、ファームライドは赤い悪魔と言われるほどのバグアの専用機だ。戦場であいつに会ったらまず逃げることを考えた方がいい。先日の戦闘を見てもな。40機近いKVを手玉に取りやがった」
「報告書は見たわ。そう何度もやらせはしないわよ」
 そこへ、オペレータからの声が響く。
「エマージェンシー、北熊本上空に100機余りのワームの編隊とキューブワームが出現。ファームライドの機影あり。味方は交戦中です。待機中の傭兵はただちに増援に向かって下さい。FRに十分に注意して下さい」
 アキラは館内放送を聞いてハンガーを見上げた。黒いフェニックス。彼の愛機だ。
「お前たちも行くか?」
「ああ。そのために俺たちは来た」
「ここがバグアの土地じゃないってことを教えてあげるわ」
 傭兵たちもナイトフォーゲルに搭乗すると、続々と飛び立っていった。

 バグア軍陣中――。
 ファームライドに搭乗するダム・ダルは、戦況を確認していた。このバグア人にとって、北九州の戦いは意外な方向へと動き出そうとしていた。
「反撃か‥‥ここへ来て‥‥さて、中々シナリオ通りには進まんものだが」
「司令、UPC熊本基地から増援が掛かります」
「ふむ、来たか。では、ここからが戦いの天秤がどう傾くか、分かれ目だぞ」
 ダム・ダルは、悠然と、静かに、部下達に迎撃の準備を整えるように言うのだった。

●参加者一覧

終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
UNKNOWN(ga4276
35歳・♂・ER
アルヴァイム(ga5051
28歳・♂・ER
カルマ・シュタット(ga6302
24歳・♂・AA
ソード(ga6675
20歳・♂・JG
周防 誠(ga7131
28歳・♂・JG
冴城 アスカ(gb4188
28歳・♀・PN
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
秋月 愁矢(gc1971
20歳・♂・GD

●リプレイ本文

「熊本には家族がいるわ。絶対に通さないし絶対落とさせない‥‥。気合入れて行くわよ!」
 冴城 アスカ(gb4188)が回線に言葉を投げると、軍属傭兵たちから声が返ってきた。
「冴城、気合入れ過ぎて落ちるなよ? お前さん重体だろう」
「大丈夫よ、万事ぬかりなくいくわ。あんたたちこそ気を付けるのよ。敵さんにはダム・ダルがいるんでしょう」
「奴は必ず止めて見せる。熊本基地への借りは返させてもらうぜ!」
「基地はひどいことになっていたわね‥‥あのファームライド、とんでもないわね」
「ああ、実際奴のファームライドは化け物だ。俺たちも少し信じ難いが。しかしこれまでにもUPCはシェイドやらステアーを相手にしてきたし、ファームライドが不死身と言うことはあり得ん」
「とにかく、今日は熊本を守りましょう。ダム・ダルに好き勝手にさせないためにもね」
「みなさん用意はいいですか‥‥? 敵軍に突入しますよ‥‥俺たちに出来る限りのことを為しましょう。先の戦いで、熊本の風向きが変わりました。勢いは俺たちにあります‥‥」
 終夜・無月(ga3084)は言って、操縦桿を傾ける。
「ガッハッハ! 今回は手下の強化人間どももおらんようだ! ダム一人で、盾になる連中はおらん! これを好機と見るか否かだが‥‥ワシは好機と見る!」
 孫六 兼元(gb5331)は豪快に笑うと、編隊を組む軍属傭兵のアキラに言葉をかけた。
「アキラ氏! ワシが道を作る! キミには敵への止めをお願いしたいぞ!」
「孫六! 任せておけよ! 俺のブラックフェニックスがワームをぶち抜くところを見せてやるぜ!」
 ソーニャ(gb5824)も無月と孫六、秋月 愁矢(gc1971)らとケッテを組み、フロントの位置にいた。
「ボクがフロントにつくよ。エルシアンが初撃、突入攻撃、囮になり、後続機の波状攻撃でしとめる。軍KVからも2、3小隊連携してもらえると助かるよ。できればエースでお願い」
「贅沢な願いだなあ‥‥」
 軍傭兵たちは呟きながら、ソーニャ達の横から編隊を並べる。
「負けないよ、ボクもエルシアンも成長してる。ボクの外見は成長しないけど‥‥。このエルシアン、そう簡単に落ちはしない。みんながくるまで持ちこたえる。エルシアンの仕事は敵を引き付け、落ちないこと。幸運の青い鳥、健在。攻撃はすべてかわすよ」
 秋月は、操縦桿を堅く握りしめた手を少し離してほぐした。
 四度、九州の空を飛んだ。今回が5度目。最初に比べれば成長したと思う‥‥だが、まだまだだ。刃金の様に鋭く硬くしなやかに、そんな護る強さを手に入れる為に。戦場の槌と炎で自身を鍛えあげる。
「一歩ずつ、階段を上がるように強くなっていくしかない‥‥か」
 まずはこの戦闘だ。味方を護り自分を護る。やれるさ、やってみせる。
「危険なナニか、まあやってみようじゃないか。今回は少し体が痛いが」
 UNKNOWN(ga4276)はコクピットの中でいつものように高級煙草をふかしていた。正体不明の機体を意味する艶消し漆塗りのK−111改「UNKNOWN」に搭乗する。
「ま、期待はさておき、さーて、みんな楽しもう!」
 UNKNOWNの言葉に、軍傭兵たちは軽く頭を振った。
「ラスホプ組最高のUNKNOWNか‥‥一体何を考えているのか分からん奴だ」
 そんな言葉を聞きながら、UNKNOWNは決して笑っていない瞳で、敵軍を見つめていた。
「軍のみなさんには、俺のレギオンバスター発射とともに、スキル全開で攻撃を仕掛けてもらえますか。こっちの敵軍は一気に仕留めて行きたいのです」
「おう、ソード(ga6675)か。了解した。レギオン発射と同時に一斉攻撃を行うぜ。今日も派手に2000発の花火でワームどもを沈めてやろう!」
「それは俺の台詞ですってば」
 ソードは肩をすくめて頬を掻いた。
「いやはやまいったね。相変わらずここはひどい有様ですねえ。ワームの大軍を見ていると、ここが激戦区だと思い知らされますけどね。ただ、風向きが変わったと言われる中で、自分たちに何が出来るか‥‥やってやるしかないわけですけどね」
 周防 誠(ga7131)の言葉に、アルヴァイム(ga5051)が応じる。
「我はここで押し返すことが出来れば良いかと思いますが。ただ、油断は禁物ですね。バグアの戦力もまだ拮抗していますし、我としては地道に敵の戦力を削っていくことに注力するつもりではありますが」
「ま、地道に行きますかねえ。今はとにかく、目の前の勝利を積み重ねて行くしかないわけですからねえ」
「すこしばかり間が空いてしまったけど‥‥相変わらず九州のほうは雲行きが怪しいな。今回の戦いで少しでも優位に立てればいいんだけど」
 カルマ・シュタット(ga6302)は言って、操縦桿に手を置いた。
「ダム・ダル‥‥あいつとの勝負も、いつかきっちりつけてやるつもりだけど。今は、熊本を守る」
 カルマはスロットルを吹かせると、加速した。

「行くよみんな! ボクに続いて! いけー! エルシアン!」
 ソーニャは先陣切って加速した。レーザーでキューブワームを叩き落としていく。
「俺にだってやれることがある! 行くぞ!」
 秋月も加速すると、ライフルで次々とキューブワームを撃墜していく。
「ガッハッハ! アキラ氏! いよいよだな! この戦、何としてもものにする!」
「OK孫六! まずはキューブから粉砕していくぜ! 最高でファームライドを落とす!」
「ガッハッハ! アキラ氏、焦ることはない!」
「まずはキューブワームからですね‥‥」
 無月は加速すると、機関砲を叩き込んでいく。圧倒的な火力でキューブを破壊していく。
「来たかUPC! キューブに誘われてきたな! だが、我が軍も容易く落とされてやる道理はない! 全機攻撃開始!」
 タロスとヘルメットワームが殺到してくる。
「要警戒、敵軍全面攻勢に出てくるわよ」
 アスカからナビゲートが入る。
「負けないよ‥‥! ボクたちに退く道はないからね!」
 ソーニャはバレルロールでプロトン砲をかいくぐっていくと、ワームに突進した。無月、孫六、秋月、アキラたちが続く。
 アスカはある程度は回復したレーダーに目を落としつつ、前進する。
「行くわよ軍傭兵のみんな♪ 熊本が敵地だってことを思い知らせてやりましょう♪」
「了解冴城――行くぞ!」
 加速するUPC軍。
 激突するバグア軍とUPC軍。
「FOX2!」
「ミサイル発射!」
「バグア野郎! ここから先は通さん」
 バグア軍からも激しい応酬が来る。
「UPCを叩き落とせ!」
「UPC! ここが貴様等の墓場だ! ダム司令の手を煩わせることもない! 我々の手で叩き潰してくれるわ!」
「行くわよ!」
 傭兵たちはバグア軍に向かって気力を振るい起して立ち向かう。

「さぁ、行きますよ! 上手く避けて下さい!」
 誠はK−02をばら撒いた。流れる軌跡を描いて、数百のミサイル群がワームを薙ぎ払う。
「‥‥ふむ、危険な」
 UNKNOWNは加速すると、自身もK02を叩き込む。キューブの怪音波があってなお、直撃するUNKNOWNのミサイル。爆発炎上してワームを吹き飛ばす。
「軍傭兵のみなさんも、まずはキューブワームの撃墜からお願いしますね」
 ソードも加速すると、ロヴィアタルを撃ち込み、キューブを殲滅する。
「よし、FOX2!」
「キューブから一気に行く!」
「敵軍も戦闘隊形を取りつつ前進してくる。気をつけろ」
 電子戦機から警戒の声が上がる。
「そう簡単に行くものかUPC!」
「やらせはしないよ」
 UNKNOWNは突進すると、エニセイを撃ち込み、凄まじい機動力でウイングで切り掛かった。瞬く間に寸断されるタロス。
「化け物め‥‥!」
「頭痛も少しましになってきましたね、一気に攻め込みますよ!」
 誠はエニセイを叩き込み、タロスに向かってウイング切り込んだ。凄絶な一撃がタロスを切り裂く。爆発炎上するタロス、強化人間の悲鳴が回線に響き、雑音となって消えた。タロスは木っ端みじんに吹き飛んだ。
「行け! ソード! キューブは俺たちが押さえてやる!」
 軍傭兵たちがキューブの残機に撃ちかかっていく。
「了解しました――」
 ソードはコンソールに目を落とす。
「兵装1、3、4、5発射準備完了。PRM『アインス』Aモード起動。マルチロックオン開始、ブースト作動」
 例によってコンソールを操作して行く。
「ロックオン、全て完了!」
 ソードは搭載しているミサイルを放出する。
「『レギオンバスター』、――――発射ッ!!」
 九州軍にはお馴染みとなったミサイルショー、二千発を越えるミサイルが一斉に発射される。
「来るぞ! レギオンバスターだ! 迎撃バルカン用意!」
 バグア軍もタロスはバルカンで迎撃する。それでも、圧倒的な火力を誇るミサイルがワームの装甲を貫いて行く。
「君たちにはここで落ちてもらう」
 UNKNOWNは暴風のように自機を駆り、瞬く間にワーム五機を切り捨てた。
 ソードは言ったん戦域外に出ると、西王母の聖のもとへ走ると、補給を受けた。この間4ターン。ソードは空中で補給を受け、回復するのを待った。
「補給完了です」
「ありがとうございます。またお願いします」
 ソードは戦場に戻ると、UNKNOWNと誠を前面に、UPC軍はバグア軍に大きな穴を開けていた。
「さすがですね」
「敵の左翼はほぼ崩壊しているからね、時間の問題だよ」
 UNKNOWNは言って、高級煙草を吹かした。

「こちらアルヴァイム。機体の損傷率は5%です」
 言って、アルヴァイムは旋回すると、バルカンとライフルをタロスに叩き込む。凄まじい連打を受けたタロスはぼろぼろになって吹っ飛んでいく。反撃する間もなく爆発轟沈する。
「行くぞ、軍KV、支援を頼む。キューブから撃墜していく」
 カルマは加速すると、手近な僚機と連携してキューブワームを撃ち落としていく。次々と落ちていくキューブ。
「電波状況改善、命中率が上がります」
 アルヴァイムは言いつつ、目の前のヘルメットワームを叩き落としていく。
 その時である。通信が入り、中央隊にファームライドが出現したと言う報告が入って来る。
「出ましたか‥‥カルマ様、行きますか?」
「ええ、行きましょう、奴と相対するのも久しぶりですけどね‥‥‥」
 傭兵たちは中央隊に向かって移動する。

「皆さん無理はしないで下さい‥‥軍傭兵機は迂闊に近づかないようにして下さい‥‥あのファームライドは危険ですよ」
 無月の警告は誰もが理解するところであった。
「ファームライド、突進してくるわ。威風堂々たるものね。まじでやる気かしら」
 冴城は言いつつ旋回した。
「各機、編隊を組んでダム・ダルの攻撃に備えて。来るわよ!」
 そうして、ファームライドは戦場に姿を見せる。
「傭兵たちよ、見知った者たちもいるようだが、今日は少し手荒くいかせてもらうぞ」
 それが敵に投げかける台詞かと思ったが、傭兵たちはまずは冷静に状況を確認する。ダムが狡知に長けるのは承知の通りだ。感情を揺さぶって来るのも心理作戦の一つ。
「よ! 久しぶり! 元気だったかい!」
 UNKNOWNがブースターを起動して襲い掛かる。バルカンを叩き込んだが、ファームライドはスライドしてかわした。さらに追撃のウイングをアクロバットな動きで回避する。
「これほどの動きは、人類機の中では見たことがないな。戦闘時の速さだけならトップクラスか」
 ファームライドは反転すると、UNKNOWNをプロトン砲で撃った。爆発炎上するUNKNOWN。
 無月のミカガミがブースターで加速する。粒子砲を叩き込んだが、FRはアクロバットに回避する。
「単騎でどこまでやれるものですか‥‥」
 アルヴァイムは軍傭兵に支援攻撃を頼みつつ、ブリューナクを叩き込んだ。しかし弾丸は跳ね返される。
「PRM起動‥‥当たってくれよ!」
 カルマは一斉攻撃の中でFRにアグニを連射するが、これも完璧に弾き返される。
 ソードのエニセイ、誠のライフルも跳ね返される。
「隊長、ソーニャ、残敵は軍と何とかする! FRを頼む」
 秋月は言って、周辺のタロスの迎撃に向かう。
「だが、あれだけの集中砲火を小揺るぎもせずに弾き返すとは‥‥何なんだ奴は」
 秋月は、赤い機体に畏怖する。
「ボクの直感はどんなセンサーにだって負けないよ」
 ソーニャは言いつつ、ミサイルをFRに撃ち込む。
「この戦いで何が変わったの? それは勢力図? それとも人? 答えは自分でか、厳しい先生だね」
「我々バグアにとって得るものの大きな戦いだった。戦略的には、だ。すでに北九州での戦略目標は達成している。個人的には、私の目的は永遠の課題だな、ソーニャ」
 言いつつ、ダムは手近な軍機を瞬時に撃墜した。
「アキラ氏! そちらへ! 奴の動きを牽制する!」
「ラジャー! 奴にひと泡吹かせてやろう!」
 孫六はFRの周辺からミサイルを叩き込んだ。
 UNKNOWN、無月、アルヴァイム、カルマ、ソード、誠ら、ラストホープ屈指の戦力がFRに襲い掛かる。
「一斉攻撃よ! 軍機、それぞれFRを撃って!」
 冴城も旋回しながら状況を見守る。
 ファームライドは凄まじい機動を見せる。もの凄いアクロバットな運動で全ての攻撃を回避しつつ反撃を行う。
「何だと‥‥呆れたな」
 カルマはすれ違いながら、FRを振り返った。
「無月機、被弾! 援護して!」
「エンジン損傷‥‥やられましたか‥‥不時着します」
 無月はミカガミを降下させる。
「ダムよ、ワシは口惜しいぞ! 世が世ならキミと酒を酌み交わす事も有ったろうが、ワシが飲むのは君の弔いの酒になるのだからな!!」
 孫六は言って切り掛かったが、FRはかわした。
「孫六、その言葉そのまま返そう。最後に立っているのは私だ、と」
「ガッハッハ! 言ってくれるわダムよ!」
 そうして、傭兵たちとの交戦をやり過ごしたダムは、その後無月のミカガミに捕獲指示を出す。その後も軍機に被害を出しつつ、やがてダムは兵を引いた。

 ‥‥戦闘終結後、熊本基地。
 ソーニャは滑走路の横の草原にねっころがり、空を見る。
「生き延びた。また飛べる。またそこへいける――
 バグアの逆襲、何が変わったんだろう――。
 ダムは何考えてるのかなぁ‥‥。
 バグアって何だろう。
 バグアにとってヨリシロとか強化人間とか能力者て何なんだろう‥‥。
 ねぇ知ってる?」
 ソーニャはふと傍らに立つ傭兵を見上げる。
「あれ? 前にバグアは理解出来ない化け物って言ってくれたのって?」
「よおソーニャ、また考え事か」
「そういえば、アキラさんてボクと同じなんだね」
 アキラは不思議そうに「ん?」とソーニャを見やる。
「ボクもただのソーニャ」
 言って、ソーニャはにっこり笑った。
 アキラは肩をすくめると、寂しそうに笑った。
「何の因果かな。記憶を失ってこんな仕事してるなんてな‥‥」
 ソーニャとアキラは、ともに空を見上げた。