タイトル:【BD】密林の攻防マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/09/19 01:09

●オープニング本文


コロンビア――。
「エリア32にシグナル赤。ワームを含む集団、多数なの。エリア74にシグナル赤。アースクェイクを確認‥‥」
 照明を落とした一角で、コンソールのバックライトに照らされた白瀬・留美少尉が淡々と状況を報告する。コロンビア国内に侵入したベネズエラ軍は多数であり、その分遣隊は無数の癌細胞と化して国土を侵食していた。
「ブリュンヒルデはこの場所を動けないわ。白瀬、ジョーダン中佐とトーリャに指示を。傭兵にも声をかけて。いざとなれば私も出撃します」
 マウル・ロベル少佐が言う。彼女も、留美も最低限の仮眠を挟みながら艦橋に詰めていた。コロンビアの正規軍がサボっている訳ではない。純粋に戦力が足りないのだ。

 ――密林をナイトフォーゲルで行く傭兵たちは、敵のジャミングで乱れるコンソールに目を落としながら、バグア軍の迎撃に向かっていた。
「こちらデルタワン、ポイント07を通過。現在のところ敵影なし」
「(ピーガガ‥‥)了解デルタワン、こちらトレボーです。注意して下さい。すでに敵との交戦区域に進入しています」
「了解トレボー。敵に備えるが、地上の様子はどうなっている。続報をくれ」
「陸上には続々とアースクエイクが侵入しています。敵ワーム、キメラ、ともに増大しています。このまま敵軍の侵入を許せば、コロンビアの相当地域が制圧されるでしょう」
「そいつは穏やかじゃないな。ベネズエラからの侵入は止まりそうにないのか」
「今はまだ、敵も動き出したばかりですから。シパクトリを沈黙させることが出来れば、あるいは状況も変わるやもしれません」
「ま、いずれにしても、俺たちも地上で汗して敵さんを足止めするしかないわけだ。マウル少佐が苦心しているのに、見ないふりも出来んからな」
 その時だった。傭兵たちの前方に反応が現れる。
「敵よ。先頭のアースクエイクを確認」
「そのようだな」
「数はざっとこっちの三倍ってところか。嬉しくなるね」
「いつものことだ。行くぞ。全機気合入れて掛かれよ」
「言われなくてもね!」
 傭兵たちは木々を押し倒しながらKVを前進させると、密林の向こうにいる敵に向かって進んでいくのだった。

●参加者一覧

白鐘剣一郎(ga0184
24歳・♂・AA
榊 兵衛(ga0388
31歳・♂・PN
終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
三島玲奈(ga3848
17歳・♀・SN
ゲシュペンスト(ga5579
27歳・♂・PN
龍深城・我斬(ga8283
21歳・♂・AA
レベッカ・マーエン(gb4204
15歳・♀・ER
フローラ・シュトリエ(gb6204
18歳・♀・PN
シクル・ハーツ(gc1986
19歳・♀・PN
信貴乃 阿朱(gc3015
19歳・♂・EP

●リプレイ本文

 ジャングルの中を加速するナイトフォーゲル――。KVは圧倒的な踏破能力を持っているが、それでも視界が不良であることには違いない。敵がどこから出現するかは確実なことは言えない。
 敵集団に対して、傭兵たちは三班編成である。先頭のアースクエイクらの集団には最も人数が多くA班――榊 兵衛(ga0388)、ゲシュペンスト(ga5579)、信貴乃 阿朱(gc3015)、レベッカ・マーエン(gb4204)、三島玲奈(ga3848)らが当たる。
 そして、A班が会敵する間に敵の側面にB班とC班が回り込み、タロス他、ゴーレムにKVキメラのケルベロスを叩く。B班に終夜・無月(ga3084)、フローラ・シュトリエ(gb6204)、シクル・ハーツ(gc1986)。C班に白鐘剣一郎(ga0184)と龍深城・我斬(ga8283)が当たる。
「招かれざる客人が団体でお越しか。行儀の悪い客人には早々にお引き取り願うとしよう」
 榊は言って、先頭のアースクエイクに向かって加速して行く。
「互いに地形や視界の条件は同じ‥‥そして、勝敗の要は兵の寡多にあらず。数で勝る敵を叩くにはまず集団の要を潰す事‥‥だが、それも簡単には行かないか‥‥」
 亡霊騎士の二つ名を持つゲシュペンストはそう言いつつ、榊の側面についていた。
「ジャングルの中での戦闘ってのははじめてだな。そのぶん気合を入れていくとするかねえ! 吼えよ竜牙! B・タイラント、行くぜ!」
 信貴乃は拳を打ち合わせると、操縦桿を傾ける。スロットルは全開。
「気合入ってるねえ、信貴乃さんよ」
 ゲシュペンストの言葉に、信貴乃はからからと笑う。
「初めての大規模作戦とあっちゃ燃えないわけにはいかんだろ? よろしく頼むぜ亡霊騎士さんよ!」
「亡霊にはなりたくないものだがね」
「ふふん、それにしても、バグアどもも小賢しい真似をする、アースクエイクに土木作業をさせるとはな。まずはあの大ミミズから片づけてくれましょう」
 レベッカの言葉に、三島が応じる。
「密林の戦闘ではありますが、手筈はあります。私は後方からスナイパーとして支援攻撃を行いますので、前衛はお任せしますよ」
「よろしく三島。後方支援には期待しているよ」
「道とは常に切り拓くものですよ‥‥ですが、奴らに道を作らせるわけにはいきませんからね‥‥みなさん、お願いしますよ。敵は殲滅するつもりで行きます」
 無月はそう言うと、コンソールに映るジャングルの影の向こうに、敵影を確認する。蠢く影が多数、向かってくる。
「数では敵が有利ではありますが‥‥俺たちもここで退くわけにはいきませんね‥‥」
「無月さんよろしくねー、タロスは多分任せるけど、雑魚は私たちで押さえるからねー」
 フローラの言葉に、シクルが続く。
「これ以上、好きなようにはさせない‥‥ここで食い止める! B班の二人はよろしく頼む。数が多いが‥‥周りのキメラとゴーレムは私が引きつけるから、その間に指揮官機を頼むぞ無月殿」
「任されましょう‥‥尤も、こちらの思惑通りに行くとも限りませからね‥‥警戒して掛かりましょう」
「一部隊とは言いつつも結構な大所帯だな。手間取ると厳しい事になるか‥‥」
 剣一郎は言って、モニターに見え隠れする敵影に目を向ける。
「出来れば側面を衝きたいが妙案も無い以上、正面からの会敵になるか。俺たちC班は人数的に少ない事もあり、選べるならば無人ゴーレムとその指揮担当タロスを狙いたいところだな。敵の展開状況は‥‥」
「アースクエイクを土木工事に使うか、虫ケラ風情が小器用な真似を。密林での戦闘はあまり経験が無いが、まあやってみるさ。剣一郎――敵さんタロスは後ろに引っ込んでいるようだな」
 我斬の言葉に、剣一郎は頷いた。
「まず出てくるのはケルベロスか? 密林の中では厄介だな。キメラとは言え、この地形では油断の出来ない速さだ」
「A班、先端のアースクエイクに集中攻撃を仕掛けるぞ。銃撃スタンバイ――」
 榊、ゲシュペンスト、信貴乃、レベッカたちは、アースクエイクに狙いを付けると、トリガーに指を置いた。
 密林の地形は、予想以上に視界を奪うが、傭兵たちは木々をなぎ倒しつつ前進する。
「よし行くぞ! 三島、支援銃撃を頼む!」
「アースクエイクを確認した。熱々のグレネードを叩き込んでやる!」
「速攻、仕掛ける」
「アースクエイクに動きなし――今だ!」
 傭兵たちは密林の中で戦闘隊形を取りつつ、攻撃を開始する。
「熱々のグレネードだ、冷めない内に喰っときな!!」
 ゲシュペンストはアースクエイクの口目がけてグレネードを叩き込む。信貴乃、レベッカ、榊、三島も銃撃を叩き込んだ。
「O・A発動、喰らうのダー」
 密林を貫く銃撃と弾丸。アースクエイクを次々と直撃する。
「逃がすなよ! ありったけの攻撃を浴びせてやれ! 遅い!」
 ゲシュペンストは続いてガトリングを叩き込む。
「撃て! 撃って撃って撃ちまくれ!」
 信貴乃はライフルを連打する。
 猛烈な銃撃に晒されたアースクエイクは、身をよじるように体を持ち上げると、地中へ潜り込もうとする。
「奴が地中に逃げる!」
「させん」
 レベッカも戦車砲を連打した。
 A班の傭兵たちは鋭く切り込み、アースクエイクを捕える。アースクエイクに逃げる時間は無かった。銃撃がアースクエイクの装甲を吹き飛ばしていき、遂にその巨体が爆発四散した。
「やったか‥‥」
 煙に包まれれるモニターを見やりつつ、傭兵たちは次の攻撃に備える。と、モニターが閃光に包まれて、プロトン砲の直撃が来る。密林を貫く光線がKVを捕える。
「‥‥プロトン砲か? この長射程は」
「前に進もうとする力が強いほど横からの力には弱いと言うが‥‥試してみるか?」
「B班行きますよ‥‥」
 無月は密林の中でケルベロスと激突する。
「無月さん気を付けてね、ケルベロスは意外に俊敏だよ」
 予想外の方向からケルベロスの牙がミカガミに撃ち込まれる。無月のミカガミはとんでもなく強力だが、ジャングルと地形を限定すると、獣のような動きを見せるケルベロスにも勝機はあった。密林をジャンプで飛び交い豊富な運動量でKVを翻弄する。
 噛みついてくるケルベロスに、無月はその首を捕まえると、槍を突き刺した。
「至近距離で捕まえれば‥‥キメラでKVを圧倒することなど出来ません」
 超威力のロンゴミニアトを撃ち込み、切り上げた。真っ二つになるケルベロス。肉片と化して崩れ落ちる。
「そっち! やらせはしないよ!」
 フローラはリボルバーを叩き込み、ケルベロスの接近を阻む。アンジェリカの機体を立てると、リボルバーを次々と叩き込んだ。リロード――。
「でやあああああ!」
 密林を飛び跳ねるケルベロスを撃ち落としていく。
「フローラ殿、背中‥‥預けたぞ!」
 シクルは前に出ると、剣で木々を薙ぎ払いつつ、ケルベロスを切り裂いて行く。
「くっ‥‥、木で視界が‥‥なら!」
 突進してくるケルベロスを受け止めつつ、その胴体を切り裂いた。咆哮するケルベロスの頭部を粉砕して、態勢を立て直す。影が走って、無月の方へ向かって行く。
「すまない無月殿、一体そっちにいった!」
「ケルベロスとはいえ、厄介ですね‥‥」
 無月はケルベロスを次々と撃砕して行きながら、ジャングルの道を切り開いて行く
「ケルベロスには押し通る!」
 剣一郎は突進してケルベロスを両断するとそのまま一気に駆け抜ける。
「狙うはタロスだ――まずは敵の指揮官機を叩く!」
「剣一郎――! こいつは、中々厳しいぞ! ケルベロスがわんさと出てきやがる!」
 我斬はマシンガンで撃ち落としつつ、前進していく。
「怯むな、雑魚には構わず、敵の後背を突く――!」
 剣一郎は闘争心をむき出しにすると、シュテルンを加速させる。刀でケルベロスを切り落とし、前進する――。
「全くやってくれるな‥‥が、俺も退くわけにはいかんぜ!」
 我斬も突進して、道を切り開く。
「ん、新たな敵を確認した! おい、ゴーレムとタロスだ!」
「来たか! ならば、ここで粉砕してくれる!」
「剣一郎、ゴーレムは任せろ! お前はタロスに向かえ!」
「ああ、ならば、先に行かせてもらう! 確認した! 一気に突破するぞ!」
「行くぜ全速走行!」
 突撃する剣一郎と我斬。
 ゴーレムが立ちはだかるが、剣一郎は構わず刀で吹き飛ばした。
「お前らの相手は俺だ! 剣一郎の邪魔をするなら、俺を倒してからにするんだな!」
 我斬はゴーレムに打ち掛かっていく。
「救援にはいかせん!」
 機拳を撃ち込み、練鎌を叩き込む。
 ゴーレムは至近距離からプロトン砲を撃ち込んで来る。光線が密林を貫き、我斬のモニターを閃光が埋め尽くす。
「ちい‥‥! 光線は厄介だな!」
 マシンガンで応戦しながら格闘戦に持ち込む。
「が、タロスさえ落ちれば、無人機など雑魚に過ぎんさ! ここでお前たちの命運は尽きたも同然だ!」
 そうして、剣一郎はタロスのもとへ辿り着く。
「我斬、悪いがしばらく持ち堪えてくれ。頼むぞ」
「おい、任せろって!」
「頼む――行くぞ流星皇!」
 剣一郎はライフルを撃ち込みつつ突撃した。
 タロスは正面から受け止めたが、剣一郎のシュテルンの凄まじい攻撃に爆発炎上する。
「何だと‥‥! UPC軍のエースか!」
「俺たちはラストホープの傭兵だ!」
「なるほど、あの希望島の傭兵たちか。噂に聞く超エースがいるという」
「いずれにしても、お前にはここで落ちてもらう!」
「そうはいかん。俺もここで退くわけにはいかんのだ! 我が命尽きるとも、貴様を道連れにしてでも」
 タロスはプロトン砲を連射して後退すると、低空飛行で密林に隠れながら射撃で攻撃してくる。
「敵ながらしぶとい、が、悪く思うな。俺もここで足止めを食っているわけにはいかんのだ」
 剣一郎はライフルでタロスを捕えると、連撃を浴びせた。凄まじい銃撃が直撃してタロスが落ちる。
 剣一郎は加速した。刀を構えて突撃する。
「傭兵よ! いずれ貴様らに勝ち目はない! バグアの大軍を前に、ボリビアは崩壊するわ!」
「そうはさせん。俺たちが、UPCが貴様らの反撃を必ず阻止する!」
 剣一郎は、タロスに止めの一撃を差した。刀を振り下ろして、タロスを叩き斬った。タロスはスパークして、爆発四散した。
 シクルたちB班もケルベロスを討伐して、敵集団の側面からタロスへ向かって突撃した。
 ゴーレムが接近してくると、シクルは身構えた。
「接近戦‥‥望むところだ!」
 サイファーは二刀流で構えると、ゴーレムの攻撃に対する。
 ゴーレムからプロトン砲が飛んでくると、シクルは受け止めつつ、加速する。
「無月殿! ゴーレムは足止めする! タロスへ急がれよ!」
「了解しました‥‥後は頼みますよ‥‥」
「任されたし。案ずるな」
 シクルは槍で突貫して、格闘戦に持ち込む。
「シクルさん援護するね。数が多いから囲まれないようにしないとねー」
 フローラは言って、ライフルを連射する。
「撃ち抜いてあげるわ! 覚悟なさい!」
「無月殿がタロスを沈黙させれば、後は片付く。それまで持ち堪えますよ!」
 シクルとフローラはゴーレムを足止めする。
「行きますよタロス‥‥」
 無月はレーザーガトリングを叩き込む。プロトン砲の応射が来たが、そのまま跳ね返してガトリングでタロスの装甲を吹き飛ばした。
「ちい! 何だと! 化け物か!」
 パイロットの強化人間は恐れを為してタロスを後退させる。プロトン砲を応射しつつ後退する。
「逃がしはしません‥‥」
 無月は、プロトン砲を跳ね返しながらブースターで突撃した。
 練剣雪村を抜いて加速する。閃光が空を切り裂く――! タロスを切り裂く超威力の雪村。
「何だと‥‥!」
 タロスは後退したが、崩れ落ちた。
「馬鹿な‥‥! ここまで‥‥何と言うナイトフォーゲルだ‥‥くそ! 動け!」
 強化人間はタロスをどうにか持ち上げて逃走を図るが、更に加速した無月。ライフルを叩き込んだ。凄絶な銃撃を受けて、爆発四散するタロス。強化人間の悲鳴を残して閃光とともに消滅した。
 A班はアースクエイクを撃破して後、ケルベロスの猛攻を耐え凌ぎ、タロスへと迫りつつあった。
「スナイパーの面目躍如だ」
 三島は超伝導アクチェータ起動で疾走し、敵の側面を摺りぬけつつ射撃したり遮蔽物の間を駆け抜けつつ影から狙撃、遊撃を行う。ジャングルの地形を生かして、スナイパーとしての役割を果たしていた。
 疾走するケルベロスを銃撃で叩き落とし、次に狙いを定める。
 銃口を旋回させて、モニターに目を落とせば、動き出すゴーレムの姿が視界に入って来る。
「いよいよゴーレムのお出ましか。全機援護する」
「行くぞ!」
 榊も猛烈な勢いで突撃する。プロトン砲の応射が来るが、ものともせずに前進する。
「タロスの指揮官聞こえるか! ここで貴様を倒し、ボリビアへの南進は止める!」
「何を、UPC! 倒れるのは貴様らの方だ! ケルベロスを倒したくらいで勝てると思うなよ!」
「逃がさないように榊、ゴーレムどもは俺たちが止める」
 ゲシュペンストは言って、リッジウェイを加速させると、密林の中でゴーレムと会敵する。
「この密着状態なら地形も遮蔽物も関係あるまい、喰らえっ!!」
 レッグドリルが咆哮する。
「究極!  ゲシュペンストキィィィィック!!!!」
 リッジウェイの飛び蹴りがゴーレムに炸裂する。ドリルがゴーレムの装甲を貫通する。
「よし! このまま一気にバグアを粉砕する! ライフルとレーザーを食らいやがれ!」
 信貴乃は竜牙の背中の90mm連装機関砲、レーザーカノン、右手の側面のスラスターライフルを怒涛のように連射する。
「竜牙の咆哮!」
「榊、タロスは任せますよ。あたしたちでゴーレムは何とか足止めする」
 レベッカは接近すると、三島の支援攻撃を受けながらO・スライサーで格闘戦に転じる。銃弾は尽きていた。
「ふん、無人機か。ならば何の情けもいらんな。鉄クズに感情も湧かんわ」
 言いつつ、竜牙で切り掛かる。が、囲まれると拙いので、三島の支援を受けつつ、軽くゴーレムの攻撃を捌く。
 榊はブースターで加速して、超電導アクチュエータ起動、タロスに格闘戦を仕掛ける。接近しつつライフルと二種のファランクスを叩きつける。
「ぐお! 何だと!」
 タロスは初撃で大打撃を受けて強化人間は驚愕する。
「おのれ‥‥!」
 プロトン砲を叩き込みつつ、突撃してくる。
「タロスよ! 我が忠勝の前に、槍の錆になるがいい!」
「錆になるのは貴様だ!」
 激しく打ち合う雷電とタロス――が、榊はタロスを圧倒する。
「千鳥十文字――! 貫け!」
 無双の槍捌きで、榊はタロスの腕を切り落として胴体を貫いた。強化人間の悲鳴が木霊する。
「これで‥‥終わりだ!」
 榊は槍を跳ね上げると、タロスの胴体が吹き飛んだ。爆発轟沈するタロス。
 ――かくしてバグア軍は全滅。傭兵たちは次の戦いに備えて本部へ帰還するのだった。