タイトル:【ODNK】獅子の牙27マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/06/08 09:27

●オープニング本文


 北九州、苅田町――。ここでもバグア軍の逆襲が始まっていた。続々と苅田の境界線を脅かすキメラの群れが出現し、UPCも傭兵を招集して臨戦態勢を取っていた。
 福岡南でも始まっているバグア軍の大規模な攻勢、そしてここ築城方面では、この地域にしか出没しないレアキメラ、ガルガの猛威が地上に吹き荒れていた。
 キメラとKVでは戦域が違いすぎるので、数で圧倒してくるキメラ相手にKVを持ちだすことはあまり意味がない。像は巨大だが蟻の大群を踏み潰すのが不可能なのと同じである。上手い例えとは言えないが、そういうわけで、実際にキメラを迎撃するのは、生身傭兵か地上部隊の役割となる。
「‥‥くっそー! 次から次へと湧いてきやがる!」
「こちらトレボー中隊! デルタワンへ! 敵の数が多すぎる! 援軍をよこしてくれ!」
「(ピーガガ)こちらデルタワン。増援を送ります」
「頼んだぞ!」
 軍曹は無線機に声をた叩きつけると、続々と出現するガルガの群れに、罵り声を上げていた。既に、ガルガの波状攻撃を何度はね返したか記憶にない。三度目までは数えたが‥‥。
「軍曹! ここはもう駄目です! ガルガの数が多すぎる! 防衛ラインを後ろに下げるべきです!」
 状況が不利なことは軍曹も承知していた。しかし、一端キメラの大群の侵入を許せば、シロアリが柱を食い破って行くように、戦線が一気に崩壊するのではないか、軍曹はそう考えて部下達に忍耐を強いていた。
「増援が来るまで持ちこたえろ! キメラを中に入れるわけにはいかないんだよ!」
「しかし――!」
「しかしもへちまもない! とにかく、退くわけにはいかんのだ! ここは死守だ!」
 鉄拳軍曹は鬼のような形相で、部下を怒鳴りつけた。

 ‥‥視察に訪れていた春日基地司令ダム・ダル(gz0119)は、端末のモニターで戦況を確認していた。
「戦況は上々ですかな」
 ガルガを開発していた担当の博士が、にんまりと笑みを浮かべる。洗脳兵だ。
「実戦もこなれてきたようですし、ガルガも新たにバージョンアップを考えたいところですな」
「完全体――ボスガルガを越えるキメラは不可能ではないか」
 ダムの問いに、博士は思案顔。
「そうですな‥‥これまでのガルガの研究を応用して、バリエーションを増やしていくのは容易いでしょう。幾つかの試作品も残っていますしな。元々傭兵をモデルに作られたキメラです。一部の能力に特化するのはそう難しくはないでしょう‥‥くくく」
 博士の残酷な笑みを見やり、ダムは短く、
「では成果を出せ」
 そう言って、モニターに目を落とした。

●参加者一覧

須佐 武流(ga1461
20歳・♂・PN
旭(ga6764
26歳・♂・AA
夜十字・信人(ga8235
25歳・♂・GD
芹架・セロリ(ga8801
15歳・♀・AA
セレスタ・レネンティア(gb1731
23歳・♀・AA
美空(gb1906
13歳・♀・HD
鳳覚羅(gb3095
20歳・♂・AA
ブロッサム(gb4710
18歳・♀・DG
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
緑(gc0562
22歳・♂・AA

●リプレイ本文

 相変わらず地獄絵図のような戦闘が続いている。築城方面では、ガルガの猛攻が続いているのだ‥‥。

 夜十字・信人(ga8235)は裂帛の気合とともに、ガルガを切り裂いた。凄絶な一撃がガルガを両断する。
「もろいな‥‥最近のノーマルとボスの開きは歴然だな」
「ちょいさー!」
 芹架・セロリ(ga8801)も超機械で信人を支援する。電磁波がガルガの肉体を崩壊させる。
「だが‥‥」
 信人は前に目を向ける。続々と前進してくるガルガの大軍が、視界を埋め尽くしている。
「これだけの数が集まると、雑魚とは言え‥‥防ぎきれるか」
「最近のダム・ダルはなにを考えているのか解らないのである」
 美空(gb1906)は呟いた。ガルガと戦うのも3度目となる美空。ノーマルはともかくいまだボスに対しては有効な戦略も見いだせていない状態を危ぶむ美空は、ガルガと言う物を分析する。軍属傭兵を率いて、ガルガの性能を図ってみるつもりであった。
「皆さんよろしくお願いするのであります。今一度、ガルガのスペックを確認しておきましょう。それは、きっと勝利につながるのであります」
 軍属傭兵たちは、ガルガを見やりつつ、肩をすくめる。
「まあ俺たちは嫌ってほどに奴らを見てきたがな」
 そう言って、美空の提案に乗る。
「九州には久しぶりに来たけど‥‥ガルガか‥‥どれほどのものか見せてもらうよ」
 鳳覚羅(gb3095)は突進してくるガルガをベオウルフで粉砕すると、金色の瞳で戦場を見渡す。
「噂のボスガルガと言うのが、格段に強いらしいね」
「全く半端じゃない」
 信人が鳳に声を掛けた。
「あれが大軍でやってきたら、恐らく地上は壊滅だ。幸いなことに、少数しか確認されていないのだけどな」
「ふうむ‥‥レアキメラと言う奴なのかな」
 孫六 兼元(gb5331)は笑声を上げながら、ガルガの群れの中で八双の構えから繰り出す一撃によってキメラ群を撃破して行く。
「ガッハッハ! ダム・ダル(gz0119)が作り出したと言うレアキメラか! 全く、あのバグア人の好みが良く分かる!」
 孫六は大剣を一閃するとガルガを両断した。
「だがこの悪魔的な外見は、ガルガを倒すのに何の躊躇も覚えんな! ガッハッハ! どこまで食らえるか!」
 孫六は次々とガルガを撃破して行く。
「やるしかない‥‥しかし何と言う数だ。少しでも倒して味方の損害を減らさないと」
 緑(gc0562)は言って、銃剣フォレストの引き金を引く。ドウ! ドウ! ドウ! とガルガを打ち抜いて粉々にしていく。

「‥‥ボスガルガか、そろそろ一つくらいは倒させてもらうぞ」
 須佐 武流(ga1461)はまずは超機械で竜巻を起こすと、ガルガを粉砕する。暴風に巻き込まれたガルガの肉体が崩壊して肉片と化す。
「すごい数がやってきましたね。でもまぁ、一人頭2、3体倒すだけでお釣りが返ってくるから‥‥やってやれないことはないかな」
 旭(ga6764)はそう言うと、シールドでガルガを押し返し、ガラティーンで一刀両断した。
「モーション、アクティブ」
 ガラティーンに取り付けられた【OR】OCTAVESが言葉を発する。装備のSESに取り付けるAIの機能拡張ユニット。能力者の状態やスキルの発動を音声で知らせる。
「ライフゲージ100%」
「了解です」
 旭は突進すると、さらに突撃してガルガを切り倒した。
 ファイターのセレスタ・レネンティア(gb1731)はスナイパーのようにライフルでガルガを狙う。ボスガルガを探す。
「各小隊へ、敵侵攻ルート上の街路の隙間を埋めるように布陣して、効果的に敵浸透を阻止するようにお願いします」
 セレスタは言って、家屋の上に飛び上がった。最前線付近で登り易そう且つ戦場を見渡せそうな建物を探し、その上で射撃ポジションを確保する。
 照準を合わせると、防衛線に接近してきたガルガを端から狙撃してゆく。狙撃の際は動きを鈍らせる為に主に脚を狙い、動きが鈍った所を頭と心臓を狙って射撃する。
 やがてガルガが突破して群がってくると、セレスタは移動して、別の射撃位置を確保に向かう。基本はこれを繰り返して支援攻撃を行う。
「‥‥またくそったれた戦場か。ま、あたしには似合いかもな」
 ブロッサム(gb4710)は拳銃ケルベロスを叩き込み、接近してくるガルガはライガークローで振り払う。
「雑魚どもが‥‥! このうぞうぞどもっ」
 ブロッサムは拳銃を撃ち込み、突進するガルガを粉々に打ち砕いた。

 戦場にはガルガの軍勢が溢れだし、続々と苅田北部を埋め尽くしていく。
「このままでは‥‥」
 セレスタは戦況見やり、無線機に声を投げた。
「機甲部隊へ。こちら北部防衛線です、戦線維持困難のため砲撃支援を要請します! 砲撃地点は、防衛戦から南へ1キロ後方です」
「(ピーガガ)了解しました‥‥」
 程なくして、機甲部隊が前進して、砲撃を開始する。
 ガルガの前面に着弾して、爆炎が巻き起こる。吹っ飛んで奇声を発するガルガ、半身を吹き飛ばされるガルガ、SES装備ではない通常弾頭はノーマルガルガと言えども容易に倒すことは出来ない。
 それでも、砲撃の威力でガルガの集団に混乱が生じると、傭兵たちは逆襲に転じる。
 戦場を走るセレスタ。ガルガの集団を避けながら、別の銃撃ポジションに付く。
 立ち上る煙の中から、悠然とグロテスクな巨人が姿を見せる。
「あれは‥‥ボスガルガですか‥‥! こちらセレスタです、ボスガルガが出ました!」

 無線に流れるセレスタの声を聞いていた信人とセロリは、別の集団でその場に居合わせていた。
「出たな、行くぞ、ロリ」
「よっちー、背中は任せろ」
 周囲の軍属傭兵たちにも声を掛けて、突進する信人とセロリ。
 ノーマルガルガの群れを粉砕して、道を切り開いて行く。
 ボスガルガの出現と同時に、ノーマルガルガの動きがするすると戦闘隊形を取る。
「攻撃信号か‥‥? 雑魚を盾にする気か。そうはいかんぞ」
 セロリはサイエンティストとヘビーガンナーに支援を頼む。
「ボスガルーのスキル発動時は虚実空間を頼みますぜ」
 テンションを上げながら、戦う。
「相手に回復スキルを発動させない為にも、白兵戦組が離れたらすかさず撃って下さい。ガンガン往こうぜ、ガンホーガンホー!」
 武器を菫、莫邪宝剣に変更し、疾風脚を発動。正面から当たる信人の後ろから離れ、ボスガルガの側面に回り込む。
「グラップラーさん、二人ばっかり手伝って下さい。追剥御免、ちょいさーっ!!」
「現状維持では後退するばかりだ。‥‥ボスガルは俺たちが倒すぞ」
 加速する信人。通過途中のノーマルを炎の二刀で切り裂き、ボスガルガへ突進する。
 横目で友軍との足並みを確認する。
 ‥‥欠損部分すら再生するボスガルガに、短時間で如何に大きなダメージを与え、倒すか。
「奴の上半身と下半身を切り離す」
「真っ二つだ」
 軍属サイエンティストに練成強化をかけて貰い、ボスには弱体を、同時に、ボスガルの行動を確認した段階で、素早く虚実空間の展開を要請しておく。
 軍属ヘヴィガンナーには制圧射撃でボスガルの行動力を下げて貰い、スナイパー数人に頭部を狙撃して貰う。
 そうして、自身は銃撃と同時に、軍属ファイターと共に斬り込んだ。
 粉々になって行くノーマル、加速する傭兵たち。
 ボスガルガは咆哮すると、腕を一振りして、肉体を活性化させる。めきめきとボスガルガの肉体が盛り上がって行く。
「虚実空間を頼むぞ!」
「やっていますが‥‥」
 しかし、ボスガルガは活性化した肉体のまま、信人らに突進してくる。
「気を付けて! 虚実空間は抵抗されています!」
「ちっ、予定外だが‥‥」
 銃撃を浴びながら前進してくるボスガルガ、信人らと激突する。ファイターが束になって掛かり、信人は肉薄、胴体と腰を繋ぐ部分に、遠心力を載せた横斬りの二段撃を叩きこむ。それを同じ箇所に5行動力分、10回の斬撃。
「練力の3分の2を使った。だが、まだだっ!」
 セロリは、近くのグラップラーに声をかけ、三方向から同時に急所突きを叩きこむ。自身は莫邪宝剣で通りすぎながら居合斬り、体を回転させ、菫でもう一度、急所付きの一撃。
「ちょいなーっ!! ‥‥追剥じゃなくって、切り捨てだったかな」
 セロリの攻撃につなぎ、炎舞を投げ、信人はラジエルを両手持ちに。両断剣を発動。渾身の横切りを叩き込み、刃を刺したまま渾身の力を込め、駆け抜ける。
 さらにセロリ――。
「油断すんな! 撃てる奴は撃て撃て撃てーい!!」
 斬撃後、すかさずその場を離れ、フォルトゥナ・マヨールによる追撃射撃を打ち込む。
「今日こそお前をぶっ死ろす!! 覚悟!!」
 鈍い手応え――。
 ボスガルガの腰は肉が吹き飛んでズタズタになっていたが、見る間に回復して行く。
「こいつ‥‥これでも」
 信人はボスガルガを見上げる。
 ボスガルガはにいっと笑うと、傭兵たちを吹き飛ばした。
 続々と出現するノーマルガルガが、傭兵たちを飲み込んでいく。

「ボスガルガと交戦に入りました‥‥!」
 セレスタの声が無線機から聞こえる。
 美空はガトリングを撃ち込みながら、軍属傭兵たちの協力を仰いでいた。
「今のまま戦闘を続けていけば確かに日進月歩の能力者にガルガはいつかは倒されるかもしれないけれど、それは能力者の性能がガルガを上回ったに過ぎず本当の意味で攻略したことにはならないと感じたのであります。まあ、他の人に後顧の憂いなくボスと戦ってもらうためでもありますがー」
 美空は細かく作戦を立てて、それらの検証を軍属たちに要請した。
 ノーマルガルガを中心に以下のガルガの性能を探る。
A:単騎、2人、3人と適性対処人数。
B:物理、非物理、火、水、雷の有効属性。
C:集中攻撃、制圧攻撃、撹乱攻撃の有効な方法。
D:ガルガの特殊能力等
 Aについては、複数人で掛かればそれだけガルガを圧倒出来ることが確実になる。Bについては、属性はなく、物理、非物理どちらかに偏って弱いと言うこともない。Cについては、いずれもボスガルガの統制外にあるノーマルガルガであれば、確実に効果がある。そして、D、ノーマルガルガの特殊能力については、これと言って特別なものは見当たらなかった。

 鳳もまた、前進してきたボスガルガと対する。
「ボスガルガを確認‥‥支援をよろしく頼みますよ(微笑)」
 ベオウルフを構えて、突進する。
「ガッハッハ! 噂のボスガルガとやらか! 好きにはさせん!」
 孫六も加速して大剣を振るう、右に左にガルガを切り捨てて行く。
「軍属のサイエンティストさん、虚実空間をお願いします」
 緑は言って、銃剣フォレストをボスガルガに撃ち込む。
 ボスガルガの背後に回り込んでいく。銃剣を撃ち込み、注意を逸らす。
 孫六が八双の構えから、袈裟切りを叩き込む。
「野太刀抜刀術応用だ! 食らうがいい! ガッハッハ!」
 ボスガルガは孫六の大剣を跳ね返して、殴り飛ばした。吹っ飛ぶ孫六。
 緑が支援攻撃を行う。
 孫六は転がるように逃げると、血を吐いた。
「やってくれるな‥‥!」
「孫六さん、大丈夫ですか」
「うむ、噂にたがわぬ化け物だ!」
 孫六と鳳は二手に分かれてボスガルガに立ち向かっていく。
 鳳が加速してベオウルフを叩き込むが、弾き返される。
「虚実空間は効いていますか?」
「いや‥‥抵抗されているか」
「拙いですね」
 緑はボスガルガの背後から近づき貫通弾+紅蓮衝撃を叩き込む。
「瞬間的とはいえこの威力ならっ!」
 しかし、貫通弾は弾かれた。
 それでも緑は食らい付き、わずかな傷に弾頭矢を射し込む。
 振り返ったボスガルガのパンチが緑を吹き飛ばす。
 鳳と孫六が切り掛かる。頑強なボスガルガの肉体は二人の攻撃に耐える。
「さすがに、しぶといですね‥‥皆さん! 離れて下さい!」
 緑の声で孫六と鳳が離れる、その瞬間、緑は銃剣で弾頭矢を貫通弾で撃った。
爆発がボスガルガを包み込んだ、胸が一部吹き飛ぶ。
「一斉に掛かれ!」
 孫六が言うと、傭兵たちはボスガルガを取り囲んで、反撃に転じる。
 鳳もベオウルフを振り回して、重量を生かして思い切り叩きこんだ。斧がボスガルガにめり込む。
 ボスガルガは、斧を掴むと、鳳を振り回して地面に叩きつけた。鳳は地面にめり込む。
 そこへ孫六らが殺到する。ボスガルガは傭兵たちの猛攻を耐えて、拳一撃で傭兵たちを吹き飛ばしていく。
「このっ、キメラが‥‥!」

 ボスガルガと互角に打ち合う須佐。格闘術を駆使して、爪を叩き込む。拳は主に蹴りを当てるため相手との適切な距離を保つための牽制。メインの蹴りはミドル、ローキック、牽制に回し蹴り、膝蹴りを組み合わせ攻撃する。
 間接を柔らかく、鞭のように振るい、鉄球のような拳と蹴りを叩きつければ、ボスガルガの重量級のパンチが飛んでくる。宙返りでかわす。
「限界突破で行くぞ‥‥」
 疾風脚を使った脚で大地を思い切り蹴り勢いを付け、回転を加えた急所突き付与の拳をボスガルガの胸から腹部にぶつける。
 さらに、疾風脚付与の脚で空中に跳躍。空中で錐揉み回転を加え相手の頭の頂上から真下に向かって急所突きを付与した飛び蹴りを叩き込む。フォースフィールドを貫通する須佐の一撃。ボスガルガは直撃の足を捕まえると、須佐を大地に叩きつけた。
「一気に掛かります。サイエンティストの虚実空間をお願いします」
 旭はサイエンティストや軍属傭兵に声を掛けると、突撃する。豪力発現で切り掛かる。
「モーション、アクティブ」
 カウンターでガラティーンを叩き込んだ。刀はボスガルガの肉体を捕えるが、反撃を受けて旭も吹き飛ぶ。
「ライフゲージ80%」
 【OR】OCTAVESの声に、旭は衝撃の重さに眉をひそめる。
 軍属傭兵たちが一斉に打ち掛かるも、ボスガルガは不死身のように立ちはだかる。
 戦況を見ていたブロッサム。竜の爪、竜の瞳を使用し、ライガークローを凡そ生物の急所の部分に突き刺し、引き抜いたそこに、ケルベロスの貫通弾を叩き込む。
「全頭出撃(アル・シュトゥルム)‥‥狩りの時間(ヤクトツァイト)だ!」
 さて、ボスガルーが倒せない理由は何だ? 単純に、能力が足りないのか。はたまた、何か理由があるのか‥‥見極めねばなるまい。力が必要なら、LHの代表的な化け物達に声をかけるも良し。
「何と言っても、そろそろ飽いてきたからな」
 サイエンティストの虚実空間は抵抗される。
 ボスガルガは確かに強い。その後も傭兵たちの前に立ち塞がり、一体で傭兵10人以上を相手に化け物じみた戦闘を繰り広げるが、やがて特殊能力の身体強化が途切れると、後退して行く。それとともに、ノーマルガルガの戦列も潮が引くように後退して行く。
 憮然と撤退するキメラを見送るブロッサム。
「この調子ではその内ジャイアントガルガでも出てきて、KV戦を繰り広げるんじゃあるまいな。まったく、バグアもいい加減にして欲しいものだ」
 苅田町の攻防は続く。