タイトル:【ODNK】獅子の牙26マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/04/27 00:09

●オープニング本文


 北九州苅田町――。
 昨年の激戦区の一つで、バグアの占領地域だったのをUPC軍が奪還した。それ以降、新北九州空港を始め、苅田の整備は進み、UPC軍はこの地域を要塞化していた。新北九州空港や苅田の旧市街地は整備されて、大規模なKVドックが幾つか備え付けられていた。いつの日か、春日基地へ攻勢に転じる日が来れば、この地は戦略上の要衝になるであろう。が、今はまだそれには遠い。補給は万全ではなく、残念ながらバグアの物量に対抗する術は無かった。だが、苅田への目だった攻撃もなく、少なくともKVが待機する前線基地としては巨大なドックが完成していた。安定していた苅田はここ一年近く、大きな戦闘からは遠ざかって来た。
「こちらデルタワン、苅田北部に異常なし」
 哨戒中の軍属傭兵を率いる伍長は、トランシーバーに声を投げた。
「(ピーガガ‥‥)了解デルタワン。引き続き警戒に当たれ」
 苅田の基地から応答があって、伍長は無線を下した。
「よし、そろそろ東へ移動するぞ。気を引き締めて行こう。ここ最近の築城の動きは知っているだろう」
「あのガルガ旋風が吹いているって話よね」
「ダム・ダル(gz0119)がみやこ町へ逆襲に転じているのは聞いたぜ」
「キメラはバグアにとっては安価な戦略兵器で、数で我が軍を圧倒するのはいとも容易いことなのだ」
 そんな時である、傭兵たちのすぐ近くに、かのバグア人が瞬間移動してくる。
 ――春日基地司令ダム・ダルだ。
「仕事熱心だな、諸君」
 傭兵たちはベテラン、ダム・ダルの出現に驚くことはなかった。
「よおバグア人。ぶらり散歩するのが趣味らしいな」
 軽口を叩く部下を伍長はたしなめた。無論交戦するつもりはない。
「ダム・ダルか‥‥貴様が出てくると言うことは‥‥」
「察しが良いな。一年近く放置して随分と苅田も復興したものだ。それを粉砕するのは悲しいことだが」
 ダム・ダルは指揮棒のような装置を持ち上げると、スイッチを入れた。
 しばらくすると、北の小倉南区から、整然と戦列を組んで前進してくるグロテスクな人型キメラが出現する。
「説明するまでもないことだろう。こちらにもガルガを投入する。UPCよ、失った苅田は返してもらうぞ」
「そちらに渡した覚えはないな」
「すぐに余裕は消えるぞ。悲しいかな、お前たちもガルガの実力は十分知っているはずだ」
 ダム・ダルはそう言って消えた。
 その後、北東部と北中央部のUPCの基地が密集している地域と、西部山岳地帯を突破して攻勢に転じてくるガルガの集団が確認されたのであった。傭兵たちは三方向から苅田へ侵入してくるガルガの迎撃に向かうことになる。

●参加者一覧

終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
セージ(ga3997
25歳・♂・AA
夜十字・信人(ga8235
25歳・♂・GD
芹架・セロリ(ga8801
15歳・♀・AA
麻宮 光(ga9696
27歳・♂・PN
狐月 銀子(gb2552
20歳・♀・HD
フェイト・グラスベル(gb5417
10歳・♀・HD
赤い霧(gb5521
21歳・♂・AA
兄・トリニティ(gc0520
24歳・♂・DF
緑(gc0562
22歳・♂・AA

●リプレイ本文

 西部山岳地帯、A班。終夜・無月(ga3084)、麻宮 光(ga9696)、赤い霧(gb5521)、緑(gc0562)たちは、それぞれに戦場に散り、軍属傭兵たちとともに迎撃に向かう。
 戦闘開始を前に静まり返っている山中を、傭兵たちは粛々と進む。
「以前ガルガと戦ってから随分経ちましたが‥‥」
 無月は剣を構えつつ前方からやってくるであろうキメラの集団に意識を集中させていた。
「俺たちとガルガ‥‥どちらが成長しましたかね‥‥」
「(ピーガガ‥‥)哨戒機より‥‥敵キメラの集団を確認した。ポイント02を通過‥‥各チーム、遭遇に備えろ」
「了解しました」
 言ったのは麻宮。北九州へは久方ぶりの参戦となる。
「懐かしさを感じるとは‥‥皮肉なものですね」
「報告書を見る限り、ダム・ダル(gz0119)に好き放題やられている感も拭えませんが‥‥」
「あのバグア人は何を考えているのか‥‥」
「ダム・ダルですか‥‥」
 ククク、まさか無月さんと共に戦える日が来ようとは‥‥嬉しい‥‥あぁとてつもなく嬉しい!
 赤い霧は心中に呟きながら、眼鏡の奥から獰猛な瞳を覗かせる。一見クールな人物に見える赤い霧、だがその心は凶暴な牙を剥いていた。
「ガルガよ‥‥面白くなってきたな。この戦場で奴らと戦えることを思えば、歓喜が突き上げてくる‥‥今日は奴らを血の海に沈めてくれようぞ!」
 長大な戦斧ベオウルフを構えて、血沸き肉踊る感覚に体内のアドレナリンが活性化して赤い霧の感情を揺さぶる。
 赤い霧とバディを組む緑は、フォレストソウルの二つ名を持つファイターである。美しい【OR】銃剣フォレストが陽光を受けてエメラルドに輝く。
「ガルガと戦うのは初めてですが、噂に聞く限りでは厄介な相手であるそうですね」
「これほどの集団戦となりますと、個々の力で戦局を変えるのは難しいところですよ。およそガルガとこちらの傭兵は互角。と言っても、無限のキメラ相手に、敵は切り放題ですよ。面白いじゃありませんか。わくわくしてきませんか」
「そこまでの余裕はありませんが‥‥」
 緑は、赤い霧の言葉に肩をすくめる。
 そうして、前に出ている斥候隊からガルガを確認したという知らせが入ってくる。
「(ピーガガ‥‥)各チーム、ガルガが突進してくるぞ! 敵との距離は至近だ! 来るぞ!」
「来ますか‥‥」
 無月は大剣を構えると、金色の瞳で前を見た。巨大な影がばらばらと出現する。
「ガルガが来ます! 銃撃用意!」
 麻宮が声を投げかけると、軍属傭兵たちも銃を構えていた。小隊長の伍長たちが無線機に声を叩きつける。
「突出してくるガルガを狙って集中攻撃を開始! 出来る限り撃ち落とせ! キメラの数は無限らしいからな!」
「イエス、サー!」
 スナイパーやヘヴィガンナー達が銃撃を開始する。支援攻撃を受けながら、ファイターやグラップラーが前進する。
「行きますよ!」
 無月は突進した。
 ガルガの腕から反撃のガトリングとレーザー砲が飛んでくる。
 それらを回避しながら、加速する無月。一気に間を詰めると、裂ぱくの気合とともに大剣を一閃した。
 一撃で両断されるガルガ。
「‥‥!」
 無月が見る先、続々とガルガがなだれ込んで来る。
「各チーム! 総力戦用意を!」
 無月は加速してガルガの集団の中へ飛び込んでいった。
「無月さん‥‥さすがは月狼の隊長ですね」
 麻宮はガルガの銃撃をかわしつつ、回転しながら拳銃を撃ち込んでいく。ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! と連射しながらジャンプすると、前に飛び込む。
 飛び交うガルガの銃弾をやり過ごして、麻宮は前進する。
「行きますよガルガ‥‥!」
 加速する麻宮は拳銃を叩き込みながら加速する。銃弾を撃ち込み、刀を一閃する麻宮。
 切り裂かれるガルガは真っ二つになった。崩れ落ちるガルガの肉体に、拳銃を撃ち込んで粉砕する。
 突撃した緑と赤い霧は、混戦の中で右に左にガルガをなぎ倒していた。
「行って下さい赤い霧さん! 支援します!」
 緑は転がりながら銃剣を撃ち込むと、戦場の怒号と悲鳴の中で叫んだ。
「承知した! ‥‥さァッ! 来い楽しませてくれ、もっともっともっと!」
 赤い霧は戦場を駆け抜けると、竜戦斧ベオウルフの一撃を叩き込んだ。
「彼らの邪魔を‥‥するナァァッ!!!」
 ドズバアアアアアア――! とガルガの肉体が両断される。
「純粋な暴力って奴を見せてやるッ!!!」
 ベオウルフを無双の腕力で叩き込むと、赤い霧は咆哮する。
「喰らい尽してやるよォッ!! グゥオオォォォォォッ!」
 ガルガを次々と粉砕していく赤い霧。返り血を浴びて真っ赤に染まる赤い霧。
「さすがは赤い霧さんですね‥‥凄い‥‥」
 緑は銃剣を叩き込み、ガルガを次々と撃ち抜いていく。
 ドウ! ドウ! ドウ! ドウ! と銃弾を浴びせかけれれば、照準先のガルガを吹き飛ばしていく。
 と、その時である。
 ――オオオオオオオオオオオオオ! と山中にもの凄い咆哮が轟いた。
 ――ガオオオオオ! ガオオオオオオオ! と大気を震わせる咆哮が、ガルガの集団を統制して行く。
「何だ? これは?」
 傭兵たちはざわりと鳥肌が立つのを感じた。
「これほどのプレッシャー、ただのキメラではないぞ」
 そうして、森の奥から、ひときわ巨大な異形の巨人が現れた。
「ボスガルガ‥‥」
「ボスガルガ‥‥? あれが」
 無月はその巨人を見つめる。
「あれを倒せば戦局は一気にこちらへ傾きますね‥‥なるほど‥‥噂に聞くボスガルガですか」
「無月さん」
 麻宮が駆け寄ってくる。
 赤い霧と緑も集まって来た。
 他に、軍属傭兵の精鋭たちが集まってくる。
 ボスガルガは、もう一度天に向かって咆哮すると、ノーマルガルガの集団は戦列を整えて銃撃を開始する。さらに、第二陣のガルガが山奥から出現する。
「行きますよ‥‥ここで奴を止める」
 傭兵たちの精鋭はボスガルガへ突進した。
「行くぜ‥‥俺の名の通り、駆け抜ける!」
 加速した麻宮は、瞬天速で一気にボスガルガの死角へ回り込むと、月詠を撃ち込んだ。ズバアアアアアア! と切り裂き、更に瞬天速で死角へ飛び、もう一度切りつけた。月詠が深々とボスガルガを切り裂く――直後、ボスガルガの肉体が盛り上がって加速すると、麻宮を殴り飛ばした。
「――に!?」
「光――!」
 無月はボスガルガの傷に弾頭矢を叩き込み、焼き尽くした。続いて紅蓮衝撃+スマッシュ+豪力発現を叩き込む。
「紅月閃っ!」
 凄絶な一撃が、ボスガルガの肉体を吹き飛ばした。
「因みに俺は今も成長途中‥‥目指す高みはまだ先だよ‥‥」
 ――オオオオオオオ! ボスガルガの拳が無月を捕える。ブレードで無月は切り裂かれた。
「無月さん!」
 赤い霧はベオウルフを叩き込んだ。戦斧がめり込む。
 緑は紅蓮衝撃に貫通弾を乗せてボスガルガの上体を撃った。貫通弾がボスガルガを僅かにのけ反らせる。
 軍属傭兵たちもボスガルガへ撃ち掛かったが、弾き飛ばされた。
「何て怪物じみたキメラですか‥‥」
 無月は見る間に変形してさらにグロテスクになって行くボスガルガを見つめて、大剣を構えた。

 B班。市街地北東部――。
 セージ(ga3997)は激戦の渦中にあった。でたらめなまでに溢れてくるガルガの群れを前に、ひたすら銃を撃ちまくって刀でガルガを切って斬って切り倒した。それでもガルガは出現する。
「敵を断つのは斬ると決めた心の在りよう――即ち覚悟」
 とは言え、無限の回復力を有するキメラの集団に、セージも消耗する。それでも、パートナーの狐月 銀子(gb2552)が奮戦している姿を見れば、自らを奮い立たせる。 
 銀子は長大なエネルギーキャノンを連射して、ガルガの群れを打ち砕いていた。
「幾らでも出てきなさいよ。雑魚は片づけてあげるわ」
 セージは銀子とは特別な作戦は決めず、即興で連携する。銀子のキャノンに合わせて突進し、ガルガを切り伏せる。
「心(ハート)で繋がってる俺達の間にはアイコンタクトすら不要!」
 世史元 兄(gc0520)は戦場を駆け回りながら、銃と刀でガルガを粉砕して行く。
「そりゃ!」
 ガルガを切り倒せば、不死身さながらに蠢く肉体に顔をしかめる。
「げー、本当だ、斬ってもまだ動いている」
 兄は混戦の中を動き回り、ガルガを潰していく。
「悪いが貴様は壱式の灰になれ」
 と、集団戦の流れを変えたのはここでもボスガルガ。凄絶な咆哮とともに出現すると、ノーマルガルガを統率して突進してくる。爆発的な勢いで傭兵たちを吹き飛ばした。
「奴が噂のボスガルガ!」
 セージは転がりながら、銀子に合図を送った。ボスガルガの凄まじいパワーの秘密は、その身体強化にある。
 銀子は竜の尾でボスガルガの身体強化を解除すると、その肉体が縮んでいく。
「今よ――、一気に決めるわ」
 竜の角、竜の瞳を使用して、ボスガルガにキャノンを撃ち込む。――ズキュウウウウウウウン! とキャノンを連打して、エネルギーが貫通して、ボスガルガの肉体に穴を開ける。
「今だ! ――構わず撃て! 弾はこっちで避ける。攻撃を弱めるな!」
 セージは突撃すると、味方の囮となって攻撃を仕掛ける。刀で連撃を浴びせかけると、軍属傭兵たちがボスガルガに集中攻撃を浴びせかける。
 兄も突進、刀を撃ち込んだ。しかし――刀身は弾かれる。
「っツ硬い、さすがボスの名は伊達じゃないな」
 次の瞬間、ボスガルガの疾風のような拳が飛んでくる。吹っ飛ぶ兄。
「!! がっはあークソ、イッテー」
 起き上がると、スコーピオンで反撃した。
「これで、決めてやる!!」
 スキル全開の一撃を撃ち込んだ――それでも、ボスガルガは倒れない。
 そしてボスガルガの傷は見る間に回復して行く。
「回復してやがる――!」
 セージは撃ち掛かったが、攻撃はかわされて反撃を食う。
「セージ!」
 銀子はキャノンで支援する。
 ボスガルガは撃ち抜かれても撃ち抜かれても反動で吹っ飛びながらもずかずかと歩いてくると、セージの胸を踏んだ。
 みしり‥‥! と嫌な音がして、セージの胸骨が悲鳴を上げる。
「ぐ‥‥ごほっ!」
「ふざけるな!」
 銀子は悲鳴のような声を上げて、突進した。
「あいつ、死んじまうぞ!」
 兄も他の傭兵たちも突撃する。
「く‥‥この!」
 セージは万力を込めてボスガルガの足に刀を突き刺した。
 仲間たちがボスガルガに殺到する。ボスガルガはセージから足を離すと、疾風のように群がってくる傭兵たちに突進する。銀子が直撃を受けて吹っ飛んだ。アーマーが砕けるが、ファルクローで食らいついた。
 兄も刀を突き刺した。しかし、ボスガルガは暴風のように傭兵たちを吹き飛ばした。
「この!」
 兄の一撃はまたしても弾かれる。
 それでも傭兵たちの集中攻撃を受けて、ぼろぼろになったボスガルガは片腕を失って遂に後退する。
「よっしゃー!! このまま敵を戦滅するヤーロ共俺に続け!!!」
 兄は戦列が崩れたキメラの群れを見て刀を振り上げる。
「敵の大将は居なくなった、今こそ人間の底力見せてやるときだ! 皆! 気合入れろ!全滅させるぞ!」

 市街地北中央、C班――。
「本格的な進行、か。何処まで本気だ。ダム・ダル‥‥」
 夜十字・信人(ga8235)はノーマルガルガを真っ二つに切り倒して、戦場を眺めた。
「ボスガルの連続の実戦投入は、同時に、俺たちに対抗策を練らせる時間を与えることと、分からぬ男ではあるまいに」
 信人は続々と現れるガルガに突進して、圧倒的な戦闘力で粉砕して行く。
「むぉ、珍しい‥‥。久々に見たぜ、この馬鹿が熱くなってるってのは。」
 何時にもなく真剣な信人を見てボソリと呟く相棒の芹架・セロリ(ga8801)。
「‥‥まぁ、散々盾にして貰ったことだし俺も偶には、な。」
 信人は何時も周りを気にする男だけど、まぁ‥‥こういう時くらいは集中させて戦って貰いたいかな‥‥。フェイト・グラスベル(gb5417)さんにも、ですね。
「俺は二人の目につかないところへのフォローに回らせて貰うとしましょうかね」
 セロリはそう言いつつ、信人を視界の隅に置いて戦う。
「ふむー、何というか‥‥いい加減見飽きる感じ? 此処までくると、もうKVでバーン! ってやった方が早いし確実なようなっ」
 覚醒して大人の女に変貌したフェイトは、そう言って、ベオウルフをガルガに撃ち込んだ。
「そうは言うがな、像には像、蟻には蟻をぶつけるしかないだろう」
 背中を合わせた軍属傭兵が、フェイトに答えた。
「KVを出せばワームが出てくるだろうしな。バグアが放つ無限のキメラは癪だが、な!」
 軍属傭兵は、言ってガルガを粉砕する。
 そうして、こちらにもボスガルガが出現する。ガルガの戦列が立て直される。

 オオオオオオオオオオ‥‥ガオオオオオオオオ!

 信人は仲間たちに合図を送ると、軍属傭兵たちも戦列を整える。
「仕留められるとは思うな‥‥。だが、奴を退かせ、ノーマルの統制を失わせたら、俺たちの勝ちさ」
「よっちー、支援するぞ」
「信人兄さん、私もサポートしますから」
「ロリ、フェイ――」
 信人は二刀を構えると踏み出した。
「行くぞ――初撃は受けられて当然、一撃必殺も期待は出来んか。だからこそ‥‥」
 信人は加速した。その脇をセロリとフェイトが固める。信人を戦闘に、軍属傭兵たちも突撃する。ガルガの戦列から飛び交う銃撃を抜けて――。
 信人は加速すると、ボスガルガの首に向かってラジエルに両断剣発動、二段撃を叩きこむ。
「その身を刻むっ」
 即座に後2行動力分、同じように両断剣+二段撃を胴体に叩きこむ。
「‥‥再生はさせん。可愛い妹と、可愛くない妹の波状攻撃だ。往くぞ」
 着地後、地面を後方にローリングし距離を空ける。
 軍属サイエンティストに虚実空間の支援を頼み、セロリは知覚剣を叩き込む。
「大声は出ねぇが‥‥、耳元で延々と愛を囁くは出来るぜ。ちょいさーっ」
 続いて舞い上がったフェイトの一撃。ボスガルガの上方からの竜の咆哮。
「これでも‥‥食らえ!」
 直撃! ボスガルガの巨体が、大地に叩きつけられた!
 信人はフォルトゥナ・マヨールーを抜く。銃に両断剣を発動し、膝立ちのまま、フェイトの一撃で沈んだボスガルガに向かって、追撃の射撃。
「恒例の零距離射撃ではないが、弾丸は弾丸だ。受け取れっ」
 ズキュウウウウウン! とボスガルガの頭部を貫通弾が貫く。起き上がったボスガルガは頭部を再生すると逆襲に転じる。
 が、遂に傭兵たちの攻勢の前に、そして信人に片腕を吹き飛ばされたボスガルガは、限界を悟ったのか撤退する。
 撤退していくガルガの集団を見つめる傭兵たち。
 セロリもフェイトも消耗が激しく膝をついた。信人も限界に近く、二人を労う余裕はなかった。
 それから各方面でガルガが撤退して行ったことを確認する。みな限界に近い戦いだったのだ。今は苅田を守り抜いたことを確認して、傭兵たちは束の間の休息に身を委ねる。