タイトル:【ODNK】獅子の牙25マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/04/09 23:35

●オープニング本文


 ダム・ダル(gz0119)が北九州春日基地司令に就任して一年余りの月日が流れた。その間目覚ましい戦果はない。築城方面ではみやこ町と苅田町を奪還され、ここ最近では大分県中津市と福岡南部に反撃を繰り返している。また大分県の競合地域を奪還され、佐賀補給所も奪還された。競合地域の範囲は幾分か変化したが、春日を中心とする北九州の占領地域に目立った変化は無い。
「地球人の生態について――」
 ダム・ダルが端末に向かってそう言うと、モニターに異星の文字が並んだレポートが浮かび上がる。
「地球人は目下のところ我々の目的を果たしつつある。かつてこれほどまでに我々に抵抗した種族はいない。実に興味深いことである。個々には共通したアイデンティティーを持たない種族が、何ゆえにあれほどまでに一致結束して我々に立ち向かってくるのか。興味は尽きない。実際人間たちはかつて我々が滅ぼしたどの星の種族よりも、抵抗を続ける――」
 ダム・ダルはそれからもレポートの作成作業をある程度進めると、思案顔でそれを読み返す。
 これはダム・ダルにとって特別に意味のある作業ではなかったが、一年近くにわたって続けてきたレポートの量は膨大なものである。ダム・ダルは心理学者でも何でもなく、バグア人ならごく普通の、異星人の慣習に関心を示すバグア人の一人であるが。
 そうして、レポートを読み終えたダム・ダルは、強化人間の高橋麗奈を呼んだ。

 高橋はやってくると、敬礼した。この女は元UPCの軍人なのだ。
「お呼びと伺いましたが」
「ガルガの生産体制は整っているな」
 ダム・ダルが言うと、高橋は頷いた。
「は、司令もご存じの通り、完全体ガルガの培養はゆっくりとではありますが進んでおります」
「みやこ町の状況は変わりないか」
「は、ある程度の傭兵が駐屯して、ガルガの動きに注意を払っている様子です」
「ふむ‥‥」
 ダム・ダルの瞳が束の間虚空を見つめた。
「司令?」
「みやこ町に再度攻撃信号を出す。一気に東部のUPCベースキャンプを突く。北部の市街地へ、ガルガを集めろ。俺も出る」
「はっ」
 高橋は敬礼して、いつものようにダム・ダルを見送った。このバグア人が戦場に足を運ぶのは珍しいことではなかった。

  ――みやこ町、UPC軍ベースキャンプに旋龍からの報告が入る。
「‥‥西方からガルガの集団が突進してきます。ボスガルガは三体にノーマルガルガは約三十体。三つの集団に分かれて市街地へ侵入しつつあります」
「来たか。だが今度は前回のようにはいかんぞ。いかにガルガとは言え、何度も押し切れると思うなよバグア人め。こっちも精鋭を揃えた。今度は叩き潰す。待機中の傭兵たちを出撃させろ」
「は!」
 そうして、傭兵たちは再びみやこ町でガルガとまみえる。激戦の幕が上がる。

●参加者一覧

ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416
20歳・♂・FT
春風霧亥(ga3077
24歳・♂・ER
熊谷真帆(ga3826
16歳・♀・FT
ハルトマン(ga6603
14歳・♀・JG
旭(ga6764
26歳・♂・AA
夜十字・信人(ga8235
25歳・♂・GD
芹架・セロリ(ga8801
15歳・♀・AA
綾河 零音(gb9784
17歳・♀・HD
湊 獅子鷹(gc0233
17歳・♂・AA
吹雪 蒼牙(gc0781
18歳・♂・FC

●リプレイ本文

「まずは町の地図を見せてほしい」
 ホアキン・デ・ラ・ロサ(ga2416)の言葉で始まった迎撃準備、傭兵たちからは市街地に爆薬を仕掛ける案が出される。
 広げられた地図を覗きこむ傭兵たち。ホアキンが思案顔で交差点や直線道路、隘路に指を向ける。
「こうした地形にはバリケードを構築して、キメラの前進を阻みたいな」
 地図の上にマークを付けて行くホアキン。
 これには正規兵たちが駆り出されることになる。
「任せておけ、ガルガと勝負は出来んが、突貫工事ならお手の物だ」
 正規軍の軍曹はそう言うと、たくましい腕を組んで地図を見つめる。
「後は爆薬だ。西側は交差点地下のガス管など、東側にはビル一階の支柱などに仕掛けてもらいたい。派手に吹き飛ばして、ガルガの注意をそらすことが出来れば、勝機もあるだろう」
「忙しくなりそうだなあ」
「うちからもあんたらに要望と言うか、お願いがある」
 ハルトマン(ga6603)もまた、町の中に爆薬をセットすることを提案する。
「出来る限り町中の建物に爆薬を仕掛けたい。狙いは、敵の誘導、分断を行い一つの班に対する敵の数を増やさないようにし、孤立した敵を撃破しやすくする状況を作ることだ。爆破の仕掛けは、有線式か無線式、起爆スイッチの装置を貸してくれればうちも適時爆破していく」
 ハルトマンは、正規兵と打ち合わせを行い、もう一つの地図を持ってきてもらうと、爆薬をセットしていく箇所に番号を振っていく。
「現場では、建物にも直接ペイントなどで数字を振っておいて、誤爆を防ぐようにする」
 そうして、製作した地図は全員に配布しておく。
「私からも、迎撃ポイントには爆薬を要望したい。水道管などを爆破すれば目くらましになるはずだ」
 言ったのは綾河 零音(gb9784)。久方ぶりの日本に霊感でも働いたのか、はっと顔を上げる。
「そういえば、この辺りになんか凄いバグアがいるとか聞いたんだけど、誰か知らない?」
「すごいバグアと言うのも正直癪ですが、今や化石のゾディアック、ダム・ダル(gz0119)がいますね」
 熊谷真帆(ga3826)は綾河に教えてあげる。
「ほう、あの化石のゾディアックの一人が‥‥」
「それにしても今回は大攻勢だな。せっかく取り戻したみやこ町だ。何としても守りたい」
 ホアキンはそう言うと、正規軍とともに現場に出て行った。
「作戦としては敵集団の分断、まずは集団単位での連携を決してさせないことを第一目標に。そして陣地を確保して一体たりとも背後へ抜かせないことが目的、かな。ただ単に集団と集団の間に入ってしまえば背中から狙われそうですからね。注意しないといけません。と言って、キメラに戦術で遅れは取りませんよ」
 春風霧亥(ga3077)は言って、指先で顎をつまんだ。
「ふむ、状況に応じて指示を出せれば良いとは思います。自分の考えとしては大体前衛2後衛1で組んでもらい2体ずつ相手をして貰えれば十分足止めは出来そうかな。障害物を使って攻撃は避けれそうですしね。1体でも倒せれば余裕が作れそうです。まぁ、あくまでこれは希望の作戦ですが」
「‥‥あいつら半端じゃないからなあ」
 春風と同じチームになる夜十字・信人(ga8235)が言う。
「これでボスガルガとは三戦目、仏の顔もなんとやら、だが」
 UPC軍の間で「ボスガルー」とも呼ばれつつあると言うボスガルガ。フォルトゥナ・マヨールーに貫通弾を込める信人の瞳が閃く。
「‥‥四度でも五度でも、何度でも立ち塞がってやるさ」
 妹分の芹架・セロリ(ga8801)をバディに。
「ロリ、以前の溜飲を此処で下げるぞ」
「いつもの通りだな、後ろは任せろ。その他大勢は全て任せる」
 セロリはぶいっとサインを送ると、兄貴分の信人とチームメイトの春風と連携を確認する。
 ハットをびしっと決めてガトリングを構える真帆。ガトリングを持つその姿はガンマン気取り。
「正義のカウガール? ガルガールの真帆ちゃん参上です」
 言ってガトリングをぐるりと回す。
「やる事は単純、ガトリングを構えて拠点防衛、人間機関砲と化します」
「正義のカウガールですか。以前も一緒でしたかね? 何にせよよろしくお願いしますね」
 旭(ga6764)は同じチームとなる真帆に声を掛ける。
「敵はしぶとい連中ですが、最後まで戦い抜きます」
「全くです。前回もこっぴどくやられましたからね。全く、あのバグア人もとんでもないモンスターを作りだしたものですよ」
 キメラの生態は人類には不明であるが、基本バグアにとって安価な戦闘力でしかないのは想像がつく。ダム・ダルが作り出したボスガルガのようなレアキメラは例外とも言える。
「久しぶりだな、日本‥‥で、これがガルガ、か?」
 手渡された写真を確認していた綾河。鼻を鳴らして一蹴する。
「‥‥趣味が悪い! 私の趣味じゃあないね。デザインした奴には悪いけどさ」
 巨大なガルガを始めて見て、その醜悪な容貌を「趣味じゃない」とバッサリ切り捨て。ルネッサンスの国・イタリアの出身ですもの。
「うわあ‥‥こいつはひでえ姿だな」
 湊 獅子鷹(gc0233)は、綾河が目を落とすガルガの写真を覗き込んで眉をひそめる。
「こんな醜悪な奴を見るのは初めてだなー。おまけに報告書によると、何ともふざけた強さらしいね」
「全くだ。こんな外見だからこそ倒しがいもあると言うものだが。報告書を見る限りはでたらめだな?」
 湊の感想に綾河も同意する。
 ‥‥どうしよう、僕弱いんだけどな。
 前線向きって言うより隠密向きだからなぁ。
 ま、良いか。
 とにかく、やれるだけやってみよう。
 吹雪 蒼牙(gc0781)は駆け出しのドラグーン。このような強力な敵と戦うのは初めてのことだ。内心震えが来るが、何とか勇気を揺り起こす。
「熊谷さん、旭さん、綾河さん、よろしくお願いします。何とか出来る限りやってみますので」
「怖いのはきみだけじゃありませんからね」
 旭は吹雪の緊張した表情を察してアドバイスを送る。
「ガルガは厄介な相手です。何かと不測の事態がつきまとうことも多いですが、全く勝てない相手ではありませんから」
「吹雪氏、頑張ろう――」
 綾河は吹雪の肩に手を置くと、静かな瞳で見つめた。
「綾河さん――」
 吹雪は頷くと、ぽりぽりと頬を掻いた。心を落ち着かせると、戦場に向かう。

 ――現場にて、ホアキンは兵士たちが突貫工事でバリケードを築いていく様子を確認して回っていた。
「実際、ガルガの攻撃には耐えられんだろう」
 兵士はホアキンに言って、肩をすくめる。
「それはそうだが、視界に障害物が入れば足も止まる。時間稼ぎにはなるさ」
「ふむ、まあそう言われれば」
「頼むぞ」
 それから爆薬の設置状況を確認する。
 兵士たちは、予定された迎撃ポイントに爆薬をセットしていく。

 ハルトマンは、各所の建物に爆薬をセットしていく兵士たちとともに足を運び、ペイントで番号を振って行く。
「ガルガに揺さぶりを掛けることが出来れば」
 そうして、ハルトマンは迎撃の位置に着くと、建物の上からゴーグルでガルガの前進を待ち受けた。

「(ピーガガ‥‥)ガルガの接近を確認。爆破の用意――」
 信人、セロリ、春風らが属するA班は、軍属傭兵たちと突入のタイミングを図る。
 バリケードの向こうから、ガルガが接近してくるのを確認する。
 双眼鏡を下した信人は、手を上げた。
 建物の上に位置する軍属傭兵がそれに応えると、交差点に進入してくるガルガに、起爆スイッチを押した。
 爆発がガルガの咆哮をかき消した。
「突入する。敵もチーム同士で連携してくるようだ。まずはそれを崩すぞ。ヘビーガンナーは弾幕、頼む」
 信人らはバリケードを乗り越えると、一気に飛び出した。
 土煙の中に突入する傭兵たち――と、閃光が閃いてレーザーが飛んでくる。ガルガが持っているレーザー砲だ。
 傭兵たちは散開すると、レーザーを回避しつつ駆け抜けた。
 そこかしこで前進してくるガルガと激突する。
 信人は舞い上がると、遠心力を生かした横切りをガルガに撃ち込んだ。凄絶に切り裂かれるガルガの肉体。反撃の拳をたんっと上に乗って駆け上がると、信人はガルガの頭部をラジエルで打ち砕いた。
 ――ガルガの胸に第二の目と口が開く。
「斬り捨てめんごっ、ちょいさっ」
 セロリが信人と連携して切りつける。足を狙って切りつければ、ガルガが傾く。
「なるたけ二対一で仕掛けて下さい」
 春風は指示を飛ばしながら、戦況を見やる。
 最初の混乱から立ち直ったガルガが戦列を立て直してくる。
「本格的に来るぞ!」
 傭兵たちはガルガの攻勢に耐える。
 信人、セロリ、春風は5体のガルガを撃破して後、ボスガルガに立ち向かっていく。
「それにしても‥‥弱点らしきものが見えないですね。力が一段抜けているのは明らかですが」
 春風は、ガルガとの戦闘で成果が無く、思案顔で威圧を放つボスガルガを見やる。
「よう、また会ったな。別の個体かも知れんがな」
 信人はラジエルを構えて突進、セロリが莫邪宝剣を解き放って回り込む。春風が練成強化を飛ばす。
 信人が加速してボスガルガに打ち掛かって行くが――。
 ボスガルガは信人の攻撃を受け止める。反撃のボスガルガの腕のブレードが信人に叩きつけられた。
 信人は受け止めラジエルを叩き込む。
「レーザーブレード、ちょいさっ」
 セロリが一撃離脱で回り込む。
「これだけ撃ち込んでこれだけの隙間か‥‥だが十分だ!」
 信人はボスガルガの右腕にラジエルを突き刺すと、駆け上がってボスガルガの肉体の僅かなほころびに貫通弾を撃ち込んだ。
 貫通弾がボスガルガの肉体を貫通する。
 直後、疾風脚で加速したセロリが同じく貫通弾を叩き込む。
「必殺、ワクワク・ドッキリ・ガッカリショット‥‥で、良いかな。名前?」
 弾丸は貫通、ボスガルガの肉体が吹き飛んで穴が開いた。
 ――グオオオオオオ!
 怒り狂ったボスガルガの肉体が盛り上がっていびつな形に増大する。
「噂に聞く身体変化ですか」
 春風は虚実空間を飛ばすと、ボスガルガの肉体が元通りに収縮する。
「いけるか‥‥」
 しかし、次の瞬間、ボスガルガの穴が見る間に塞がって行く。
 信人とセロリの攻撃を受け止めるボスガルガ。ボスガルガは最後まで信人らの攻撃を凌いだ。

「爆破!」
 仕掛けられた爆薬が炸裂して、水道管から水が噴き出し、ガルガの目をくらませる。
 爆破の中から押し寄せるガルガに立ち向かう傭兵たち、B班。
「とにかく、抜けさせはしません!」
 真帆はガトリングを構えると、銃撃を開始した。人間機関砲となって立ちふさがる。
「行くぞ!」
 旭は果敢に前に出ると、ガルガをすれ違いざまに切り伏せる。
「あー、攪乱って走りまわれば良いのかな? ‥‥ま、今は目の前の敵が優先だよね」
 吹雪はAUKVのアクセルを吹かせると、バイク形態で突進した。右に左に車体を倒しながら駆け抜けると、ガルガの前面を駆け抜ける。
 レーザーの応射が吹雪を襲う。加速するAUKVはスピンターンでドリフト走行で回避する。加速した吹雪はそのまま人型アーマー形態に変形する。
 接近戦を仕掛ける吹雪、ガルガと激突して踏みとどまると、【OR】機械刀【雪雹】で切り付ける。
「これって白いんだ、白くて血に染まらない‥‥だから雪雹って付けたんだ」
 【OR】ストレリチアで援護射撃、綾河は影撃ちで吹雪を支援する。
「良く考えたら、真面目に射撃するのって初めてかもー」
 ガルガのレーザーが飛んでくる。綾河はGooDLuckを発動すると、建物の窓から飛び降りざまに連射。初発で爆薬を撃ち、ニ撃目は貫通弾を使用してガルガを撃ち、その反動で距離をとる。
「くっ‥‥黒獅子はこの程度では止められないぞ!」
 ストレリチアを凍瀧に持ち替え、ゼフォンとの二刀流で前進する。
「触らぬ手負いの獅子にたたりなし‥‥ってね!」
 突進してくるガルガを止める。
 真帆は紅蓮衝撃、豪破斬撃とありったけのスキルと弾幕で足止め。
「こちらを突けば突くほど痛い目にあいますよ」
 真帆は激しい銃撃でヘヴィガンナーとともに味方を支援する。
「堤防も蟻の巣で綻ぶといいます! 敵陣に穴さえ開けばそこから崩れます」
 前衛クラスの傭兵たちはガルガの突進を受け止め、接近戦に突入。
 旭は豪力発現でアスファルトを踏み砕き、ソニックブームで破片を巻き上げて即席の目潰しを張る。
 ボスガルガと唯一立ち向かった旭。味方の支援を受けて互角に打ち合ったが悪戦苦闘の末に練力が限界に来て後退することになる。

「――爆破!」
 市街地が吹き飛ぶと、瓦礫で道路が塞がれた。C班のホアキン、湊、ハルトマンらは、ガルガの集団を別の集団と切り離すと、攻撃を開始する。
 隠密潜行で動き出したハルトマン。ヘヴィガンナーの銃撃に合わせてライフルを撃ち込む。
 超機械「雷光鞭」を撃ち込むホアキン。ガルガの肉体を超機械の電磁波が焼き尽くす。
「心臓はどこだ?」
 ガルガノーマルはホアキンの一撃を受けて悲鳴を上げる。加速したホアキンは刀でガルガの足を吹き飛ばした。
 ウィービング、ダッキング、スウェーバックで接近する湊。飛び交うレーザーをかわしつつ、ガルガに肉薄する。二刀小太刀を撃ち込んだ。ガルガを直撃した刀が切り裂く。
「おー、怖い怖い」
 と、次の瞬間、疾風のような一撃が飛んできて、湊を吹き飛ばした。ガルガの蹴りだ。
「ってえ‥‥この怪物野郎!」
 湊は起き上がるとガルガに立ち向かっていく。
 あちこちで戦闘が激化して行く。
 ハルトマンは潜行で移動しながら銃撃を行い、適時爆破でガルガを追いこんでいく。スコールに持ち替えると、二連射でガルガを押し返していく。
「いよいようちも白兵戦ですね」
「心臓はないのか‥‥」
 ホアキンは思案顔で見やりつつ、太刀でガルガを両断した。
 そこへ、大口径レーザーが直撃する。手をかざして振り仰いだホアキンは、ボスガルガを見出す。
「奴か?」
 ホアキンは指揮能力を奪うペイント弾をボスガルガに浴びせかけると、雷光鞭を叩き込んだ。
 疾風のように突進してくるボスガルガがホアキンに拳を撃ち込む。
 ボスガルガの剛腕が異様なまでに盛り上がってホアキンを直撃する。が、ホアキンは微動だにせずにボスガルガの一撃を受け止める。
 ――ガオオオオオオオ! ボスガルガのフルパワーを、ホアキンは跳ね返す。ホアキンの全身の筋肉が脈動する。
「‥‥噂に聞く筋力強化、確かに並み外れたものだが」
 ホアキンは太刀を振るうと、ボスガルガの腕をスキル全開で切り飛ばした。
 やったか‥‥と思ったその瞬間、じわじわと切り落とされた腕が生えてくる。
 ホアキンは一歩踏み込んだが、ボスガルガは後退すると残りの群れを傭兵たちに叩きつけて逃走する。
 だがその後で、ノーマルガルガも激戦の末に戦線を離脱していく。
 追撃は出来ない。傭兵達も練力が尽きていた。