タイトル:【ODNK】獅子の牙・8マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 3 人
リプレイ完成日時:
2009/06/19 22:19

●オープニング本文


 北九州、みやこ町――。
 長らくバグアとの激闘が続いていたこの地を、UPCは制圧に向けて動き出していた。
 先のキメラとの大規模戦を制したUPCは戦線を押し上げ、この地域からのバグアの完全排除に向けて動き出していた。
 みやこ町西部に存在するバグア軍の基地の攻略に向けて、UPCは全戦力を挙げての攻勢に転じる。
 長らく続いてきたみやこ町戦線、北九州東部の激闘に終止符が打たれるのか。
 地上部隊の前進を支援するようにUPC軍のKV150機が空陸に展開する。壮観な光景と言えよう。
「こちらデルタ中隊‥‥空に敵影無し」
「デルタ中隊了解、地上も静かなもんだ。先の敗退でバグアも諦めたかな」
 UPC軍の間に束の間楽観ムードが漂う。と、その時である。

「レーダーに反応‥‥!」
 そして直後にレーダーが砂嵐のように乱れる。
「こちらトレボー飛行隊! 敵襲だ! ヘルメットワームにキューブワーム! 数え切れないほどいる!」
「ワイバーン飛行隊、これより敵ワームと交戦に入る!」
 空に現れた四、五十機のワーム編隊とUPC軍KVとの間で、瞬く間に空中戦の幕が上がる。
 無線機に流れるのは聞き慣れた声。そして傭兵たちの前を赤いヘルメットワームが飛び過ぎていく。
「UPCの諸君、私が黙って引き下がると思ったら大間違いだぞ。先の大敗は私にとっても痛撃だ。まさか一気にエリアの解放へ向けて戦線を突破されるとは‥‥だが、奇跡は二度は起きん。諸君らにはここで落ちてもらうぞ」
「西園寺‥‥来たか、丁度いい、これまでの借りをまとめて返しやるぜ!」
「ふっふっふっ‥‥この集団戦でスタンドプレーに走るのは命取りだぞ傭兵諸君」
「落ち着け、西園寺の挑発に乗るな! まずは敵ワームを撃退してからだ」
 そんなやりとりも大規模な空中戦の一幕に過ぎない。無線機に傭兵たちの戦況を告げる声が鳴り響く。

 UPC軍ベースキャンプ――。
 指揮官の早川中佐は前線からの報告を受けて苦虫を噛み潰したような表情であった。
「来たか‥‥ただで通してもらえるとは思っていなかったが。こうなった以上、全ては傭兵たちと一蓮托生だな。彼らの勝利を祈るしかあるまい‥‥」
 それから中佐はオペレータに告げる。
「ラストホープに援軍要請を。敵ワームの大部隊が来襲、至急来援を請うとな」
 早川中佐はそう言うと、卓上のみやこ町の地図に目を落とすのだった。

●参加者一覧

霧島 亜夜(ga3511
19歳・♂・FC
M2(ga8024
20歳・♂・AA
狭間 久志(ga9021
31歳・♂・PN
麻宮 光(ga9696
27歳・♂・PN
カララク(gb1394
26歳・♂・JG
狐月 銀子(gb2552
20歳・♀・HD
冴城 アスカ(gb4188
28歳・♀・PN
鹿島 綾(gb4549
22歳・♀・AA
萩野  樹(gb4907
20歳・♂・DG
フィルト=リンク(gb5706
23歳・♀・HD

●リプレイ本文

 みやこ町決戦、上空に続々とワームとナイトフォーゲルが集結。
 町の人々は空を見上げ、祈るような視線でナイトフォーゲルを見送っている。
「‥‥こちら中央隊、市街上空で敵さんを迎え撃つぞ。かかってこの一戦に町の命運は預けられた。ワームを一機たりとも通すわけには行かない」
「こちらシバシクル。‥‥ささやかながら俺も戦う。俺にどこまでのことが出来るか分からんが、全力で敵を叩き潰す」
「やってやりましょう。バグアの好きにさせないわ。ここでみやこ町の戦いにけりをつけるのよ」
 霧島亜夜(ga3511)、カララク(gb1394)、冴城アスカ(gb4188)らの言葉を聞きながら麻宮光(ga9696)は前を見つめる。
 これでみやこ町に来るのも6度目か‥‥短い期間に随分戦った気がする、できれば今回で終わらせてやりたい所だ。‥‥西園寺が何を思ってバグア側に立ったのかも気になる所だけど‥‥。
「それよりも1年近くお前に乗ってるけど空での戦闘は初めてなんだよな‥‥カスタムアップして生まれ変わったんだ、空でもやれる所を見せてやろうぜ」
 光は操縦席脇に置いてある「あしゅらのぬいぐるみ」に手を置くと、スロットルを吹かした。
「さぁ‥‥行こうか」

「座標Gスリーフォー、ゼロゼロナイン、スリーRセブン‥‥敵ワーム軍、正面から突っ込んでくるぞ。もの凄い数だ」
 レーダーを操作しながらM2(ga8024)は吐息する、ここで決着をつけることが出来れば‥‥これ以上の泥沼は避けたい。
「こっちも決戦に相応しく役者が揃ってる‥‥今度は負けない!」
 狭間久志(ga9021)は操縦桿を握り締める。多くの友人や仲間達が集った、何としてもこの戦いは勝つと気持ちが入っている。
「これで‥‥この戦いも最後よ。最後に勝つのは正義と相場が決まってるのよ。バグアの思惑通りにさせてたまるもんですか」
 言って狐月銀子(gb2552)は仲間達とともに戦場に飛び込んでいく。

「みやこ町の進退が決まる戦いね‥‥面白い。徹底的にいこうか!」
 鹿島綾(gb4549)はディアブロの機体をくるくる回転させる。
 ‥‥長いようで短い戦いだった。多くの人に出会い、厳しい戦いを乗り越えてきた。萩野樹(gb4907)の脳裏にこれまでの戦いが去来する‥‥。勝てば、みやこ町を開放できる。今度こそ、最後にしよう。萩野は操縦桿を握りしめると顔を真っ直ぐに上げる。
「勝って、みんなで帰ろう‥‥」
 フィルト=リンク(gb5706)は先にあった別件依頼、みやま市で起こったバグアスパイによる破壊工作への借りを返すつもりであった。殺された中月恵大尉の仇を討つ‥‥。
「仲間と思っていた人を殺されれば怒りも沸きます‥‥バグアに西園寺‥‥この付けは払ってもらいますよ」
「行くぞ、メインイベントの始まりだ!」
 鹿島、萩野、フィルトらもワームの大軍に向かってエンジン全開で突入する。

 ‥‥バグア軍のパイロット達はレーダーに目を向けると、無数のKVのマーカーに不敵な笑みを浮かべる。
 西園寺は部下達に告げる。
「みやこ町の傭兵たち総出で出迎えてくれるようだな。奴らには悪いが、私の踏み台になってもらうぞ」
「西園寺様、傭兵たちは正面と両翼に分かれて展開。我らを包囲、キューブを叩き落すつもりのようですな」
「無駄なことだ。例え百機以上のKVを出したところで、我らの優位は揺るがぬわ。奴らをここで叩き潰し、築城基地を一気に落とさせてもらう。行くぞ、今こそ人間たちを奈落に叩き落し、絶望を味あわせてやるのだ」
 ヘルメットワームは散開。KVの大群相手にばらばらに散ると、キューブワームを呼び寄せ攻勢を開始する。

 正面部隊、ワームの攻撃を受け止めるべく空に散った――。
「‥‥敵ワーム軍散開‥‥UPC並びに傭兵各機は警戒せよ‥‥!」
 霧島の目の前を次々とHWが飛び過ぎて行く。プロトン砲の応射にレーザー砲で返す。と、突如レーダーが砂嵐のようにザザーッと乱れる。
「キューブか‥‥」
 目の前を移動するCWに向かってロケットランチャーを叩き込むと、キューブは爆発四散する。
 カララクもロケットランチャーをキューブに叩き込み、HWとのドッグファイトに移行する。ライフルのトリガーを引いてワームを撃つ。
「人間ども! 無駄なことだ! お前達の限界はここまで! ここでお前達の抵抗は潰えるのだ!」
 バグアのパイロットから一方的な声が流れ込んでくる。
「耳障りな‥‥」
 急上昇してエース機の追撃を振り切るが、プロトン砲が直撃、コクピットが激しく揺れる。
 カララクの額から汗が噴出す。体内のアドレナリンが活性化して背筋に戦慄が走る。
 友軍の援護を受けて危機を脱したカララクは急旋回して鮮やかなペイントが施されたエース機の背後を取ると、スタビライザーを起動させてミサイルを全弾撃ち込んだ。ミサイルは流れるような軌跡を描いてエース機に命中、爆発と炎が巻き起こる。
「さぁて、銃弾演舞(バレットバレエ)の始まりよ!」
 アスカは踊るように機体を操り、飛び交うプロトン砲の閃光をかいくぐり、ガドリング砲でHWとキューブを叩き落していく。
「おっと、危ない危ない‥‥これでも喰らいなさいっ!」
 HWに戦車砲を叩きつける――爆発轟沈するワーム。そこへエース機が突進してくる。エース機の体当たりがアスカのバイパーを直撃する。
「傭兵よ、お前達はここで空の塵となって消える」
「ヒューッ、やるわねぇ♪ あんたに一人で戦うほど‥‥間抜けじゃないわよ。これでも食らいなさいな」
 アスカは逃げながらミサイルポッドを全弾叩きつける。
「これでも食らえ!」
 霧島はエース機に猛進すると荷電粒子砲を打ち込む。爆発するエース機はたまらず後退する。
「へっ! 電子戦機をなめんなよ!」
 霧島のウーフーは飛び交うプロトン砲を回避しながら空を舞い、レーザー砲でHWとドッグファイトを演じる。
 光の阿修羅も始めての空を飛び、ワームとの格闘戦。
「ここは必ず守ってみせる‥‥お前達の好きにはさせない」
 光はブースターを起動させると真正面の敵に向かって突進していく。
 ヘビーガトリング砲と戦車砲が火を吹き、次々とキューブを落としていく。
 HWのプロトン砲が嵐のように飛んでくるが上昇下降しながら右に左にロールしてかわしていく。
 まさに正面部隊はワームとの乱戦である。上空は鳥の大群が集まっているようにワームとKVの影が交錯している。

 ――右翼部隊は敵の後方に回り込んでいる。
 鹿島は目の前に浮かぶキューブを冷たい瞳で見据える、その集団にスラスターライフルを叩き込む。
「悪いな、容赦なくいかせて貰うぜ」
 淡々とトリガーを引く鹿島だが、内心では闘争心がたぎっている。
 次々と爆発していくキューブ。
「キューブなど幾ら落としたところで無駄なことよ!」
 バグア軍のパイロットの声が流れる。エース機だ。プロトン砲が飛んでくるがローリングでしながらジャンプするように鹿島のディアブロはよけた。
 鹿島は僚機の支援を受けてエース機の側面から背後に回りこむと、ホーミングミサイルを撃ち放った。流れるように飛んでいくミサイルがエース機に命中する。
「俺に迷いはない、ただお前達を倒すのみ」
 と、別方向からワームのプロトン砲が飛んでくる。鹿島は操縦桿を傾けて素早く回避する。
 萩野のロングボウがキューブを捕らえる。
「全て、撃ち落とす‥‥」
 ロングボウからロケットランチャーが放たれ、命中したキューブが爆発轟沈する。
 こちらにもHWの一群が向かっている。飛び交うプロトン砲を機体を捻るように回避する萩野。
 エース機の攻撃を受けて機体が揺れるが、友軍が援護してくれる間に脱出。
「バグアのエース‥‥」
 萩野の瞳に稲妻のような閃きが宿る。眼前のエース機に向かって、ミサイル誘導システムを使ってホーミングミサイルを次々と撃ち放つ。
「こしゃくな真似を‥‥!」
 エース機は逃げたが、追尾するミサイルは全弾命中してワームの機体を爆発させる。
「敵集団接近‥‥Kナインワン‥‥ゼロワン、シックスファイブ‥‥!」
 友軍の岩龍からフィルトに敵機の座標が流れ込んでくる。
「了解」
 フィルトはスロットル全開で迎撃に向かう。敵集団はキューブの増援だ。
「これ以上は通しませんよ」
 照準にキューブを捕らえると、フィルトはレーザー砲を叩き込んでいく。次々と爆発するキューブの閃光が空を赤く彩った。
 旋回してさらにキューブを撃ち落としていくフィルト。
「好き勝手に暴れ回ってくれるな白い傭兵!」
 敵エース機がフィルトの白いロビンに迫ってくる。フィルトはすぐさま逃げた。
「逃がさん!」
 エース機の攻撃をロールしながら回避するフィルト。
「フィルト、援護するぜ」
 鹿島機が飛び込んでくる。
「よろしく」
 フィルトは急上昇して敵機を引き離しに掛かる。
 ロビンを追撃するエース機に鹿島機の帯電粒子加速砲が炸裂する。爆発するエース機。
「おのれ‥‥! こしゃくな‥‥!」
「落とされてやるつもりは無い。例え、相手がエースでもな」
 そのままスラスターライフルを叩き込む。
 さらに萩野のロングボウからミサイル群が叩きつけられる。
「ぐ、ああああ‥‥! しまった!」
 エース機は空中で爆発四散した。

 同じく敵を突破してワーム軍の背後に回り込んでいた左翼部隊の前に、西園寺の赤いヘルメットワームが姿を見せていた。
 キューブワームを掃討し、HWとの空中戦を繰り広げていたM2、久志、銀子たちは西園寺との出現に緊迫した面持ちを見せる。
「敵司令官‥‥西園寺の出現を確認‥‥! UPCはHWを押さえて欲しい! こっちで西園寺をやる!」
 M2は言って操縦桿を傾ける。
「――傭兵諸君、残念だな。これで諸君らともお別れだと思うと、感慨深いものがある」
 西園寺の機体は向かってくるM2、銀子、久志の機体を目に留めて牙を剥いていた。
「西園寺明‥‥今日は決着をつけようバグアのエース!」
「ふふ‥‥何だ貴様は」
「先の戦いを忘れたか。俺はお前が欲しがっていたハヤブサ乗りだ」
「ほう‥‥そうか、思い出したぞ。あのハヤブサか。では、今日は是非その機体を頂いて帰るとしよう」
 そこで銀子が割って入る。
「西園寺、悪いんだけどあんたの良いようにはさせないわ。これまで散々な目に合わされてきた分、お返しはさせてもらうわ」
「私を倒すと言うのか? 面白い、人間にそんなことが可能だと? 私は生粋のバグア、強化人間などと一緒にするなよ」
 西園寺はそう言うと、三機の傭兵たちに襲い掛かってきた。西園寺との邂逅の間、まるで時間が止まっていたようだった。
「行くぞ!」
 M2のウーフー、久志のハヤブサ、銀子のフェニックスは空を駆けて西園寺機の赤いHWに突進する。
 と、西園寺機は慣性飛行で高速後退しながら数百発のミサイルを放った。
「西園寺機からミサイル群接近!」
「回避行動!」
 傭兵たちは旋回してミサイルの追尾をかわすが――。銀子とM2はミサイルの直撃を受けた。久志のハヤブサだけはミサイルを全弾かいくぐって西園寺機に肉薄する。
「‥‥!」
 西園寺の驚きを久志は知らないが、ハヤブサはレーザーを叩き込んでソードウイングで切りつけた。
 爆発する西園寺機。
「さすがはあのハヤブサ‥‥」
 M2と銀子は態勢を立て直して西園寺機の側面から背後に回り込む。
 西園寺は旋回して逃げる。それを追い込むように銀子とM2はライフルを連射する。
 ライフルの弾丸が流れるように逃げる西園寺機を追う。
「自分の機体の特性くらい十分承知してる! 遊びでやってんじゃないんだ!」
 久志は反撃してくる西園寺の攻撃をかわしてソードウイングを叩きつける。
「ぬっ‥‥!」
 爆発する西園寺機はハヤブサの背後に付くとプロトン砲を連射。
 久志はブースターを起動させると、上昇する。西園寺機も追撃。まるで二頭の龍が絡み合うように上昇する二機。背後の西園寺機のプロトン砲を久志は奇跡的なローリングで回避する。
「こっちもいくわよ」
「OKです‥‥!」
 銀子とM2はブースターで西園寺機に肉薄すると、G放電ミサイルとライフルを叩き込んだ。ミサイルが命中して放電が西園寺機を包み込む。
「やってくれるな傭兵君。私をここまで追い詰めるとはな!」
 西園寺のHWは加速すると、銀子とM2を振り切って久志のハヤブサに突進する。
「来い! 西園寺!」
 久志はブースターを起動させると、西園寺を引きつける。
「その傲慢な鼻をへし折ってやろう!」
 突進する西園寺。
 久志のハヤブサが持ち上がって、木の葉落としの要領で失速する。そこへ更に機体特殊能力で制動をかけ、垂直に落とす。
 まるで墜落するような久志の機体を西園寺はプロトン砲を放って追った。
「Climaxよ‥‥限界を超えて吼えろっ SilverFox!」
 ブースターで突進した銀子はオーバーブースト+空中変形スタビライザーで人型形態に変形しながら西園寺機に全ライフルを叩きつけた。
「‥‥最強の隼乗りになるんでしょ。なら‥‥ここで決めて見せなさい!」
「小賢しい真似を!」
 赤い力場に包まれた銀子のフェニックスを西園寺は睨みつける。
「今です! 久志さん!」
 M2もブースターで西園寺機に突進、ライフルを叩きつける。
 次の瞬間、落下したハヤブサがブースト+機体制動併用の力技で強引に機首を持ち上げ、「燕返し」的に真下から西園寺機に逆襲する。
「ここだ! ここで決めるんだ!」
 ハヤブサのソードウイングが西園寺機を切り裂く。逆襲に大爆発して傾く赤いHW。
「おのれ‥‥何と言うことだ‥‥私の機体が破壊されるとは‥‥」
 西園寺は後退すると、戦線を離脱したのである。

 ‥‥激しい空中戦はやがて傭兵たちが圧倒していく。HWは半数近くが撃墜され、残る機体も損傷していた。西園寺の撤退に合わせて、ワームの大部隊は、みやこ町から撤退して行くのだった。一方傭兵たちのKVも一割程度が撃墜されていた。
 回復した回線に傭兵たちの凱歌が響き渡る。
「ご苦労さん、何とか勝利をもぎ取ったな。これでみやこ町も解放へ向かうといいが‥‥」
「これが‥‥あたし達人間の力よ」
 勝利のローリングする銀子のフェニックスが陽光を受けてきらきらと輝いていた。

 ‥‥春日基地に戻った西園寺は、ダム・ダルのもとへ出頭していた。
「ダム・ダル様‥‥残念な結果を報告せねばなりません、みやこ町での敗北は予想を越える被害をもたらし‥‥」
「もうよい」
 ダム・ダル(gz0119)は冷たい笑みを浮かべると、西園寺の言葉を遮った。
「は‥‥」
「二万八千六百五十五号‥‥信賞必罰などと言うのは正直どうでもよい。だが、役に立たぬ道具は必要がなくなれば処分される運命だ」
 ダム・ダルは光線銃を取り出すと、西園寺を呆気なく撃ち殺した。
「さて、膠着していた情勢が動くのは歓迎すべきことだ。俺も後方で観戦するのに飽いていた所だ」
 ダム・ダルはシートにもたれかかると、九州の地図を見つめるのだった‥‥。