タイトル:【火星】ネフライト計画マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/12/14 06:18

●オープニング本文


 バグアの登場で異星人の存在を知った人類だが、同様の危機を回避すべく、宇宙空間において迎撃可能な軍事拠点を少しでも構築しておく必要があるという意見がUPC軍を中心に提唱され、それが「火星移住計画」の始まりであった。
 この計画は、初期段階において二つの計画に分類される。

●ネフライト計画(Nephrite Project)
月面基地に大型レーザー砲を設置する計画である。当面は宇宙空間に存在するバグア本星の欠片(デブリ)の除去で利用するが、最終的には火星への物資運搬や火星探査部隊の発進支援に利用する。

●ジェダイト計画(Jadeite Project)
無人機による火星探査を実施。火星の大気や地質を調査した上で、人類居住の可能性を追求する。またマスドライバーを設置し、火星への物資輸送を円滑化する。まずは火星探査機の製作である。

「――と、いうわけでえ!」
 宇宙軍から配布されたDVDを見終えた傭兵たちを前に、ULT宇宙軍担当スタッフとなった綾河美里(gz0458)は、ばばんと胸を張った。
「私こと綾河美里、正式にネフライト計画担当スタッフに着任しましたあ☆」
「‥‥‥‥」
 いや、だから? と言いたい衝動をこらえて、傭兵たちは真面目に美里の話を聞いていた。これが今回の落ちだったのだろうか‥‥。
「みなさんこれで終わりだと思ってるでしょう? ノンノン! これからが始まりですよ! いよいよネフライト計画が始まるんですよ! 今日この日から、月面基地崑崙に大型レーザー砲の建設がスタートするんです! みなさんは記念すべき第一陣なんですからね! 気合入れていきましょう! きゃふ☆」
 そこで、ULT情報分析官のフローラ・ワイズマン(gz0213)が進み出て来て、補足した。
「みなさんには引き続き、月面基地崑崙への物資輸送を手伝って頂きたいと思います。宇宙にはいまだバグアの残党やキメラが残っています。みなさんのKVの支援無くして、輸送艦隊は月面に到達することは出来ません。傭兵のみなさん、引き続き御協力をよろしくお願いします」
「そ、そうですよ! みなさん、頑張って行きましょう! それじゃあ出陣を祝して、『頑張るぞー! えいえいおー!』を三連呼でお願いします! ――はい! みなさん起立! 行きますよ! 頑張るぞー! えいえいおー!」
「「「「「「「頑張るぞー! えいえいおー!」」」」」」」
 カンパネラに歓声がこだました。

 ‥‥バグアの残党がデブリの影に蠢いている。
「諸君、我々の時間はまだ終わっていない。悠久の時を生きるバグア人に、敗北などないのだ‥‥!」
「逃げ帰ったエアマーニェら幹部に頼らずとも、人間どもの宇宙進出を打ち砕くことは出来る!」
「カンパネラから艦隊の出発を確認。旗艦は、バリサルダ――!」
「おう、行くぞ! 総員機械融合! 敵艦隊を撃滅する!」
 バグア達は宇宙空間へ飛び出して行った。

●参加者一覧

須佐 武流(ga1461
20歳・♂・PN
櫻小路・なでしこ(ga3607
18歳・♀・SN
ゲシュペンスト(ga5579
27歳・♂・PN
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
夢守 ルキア(gb9436
15歳・♀・SF
神棟星嵐(gc1022
22歳・♂・HD
雁久良 霧依(gc7839
21歳・♀・ST

●リプレイ本文

「美里‥‥あいかわらず‥‥のんきなやつだな‥‥。ない胸張られてもこちらはなんとも‥‥。というか、責任者じゃなくて担当者なのか‥‥。まぁいいや‥‥出撃から帰ってきたら期待してるから頼むぜ」
 須佐 武流(ga1461)の言葉が痛々しい。美里はガーンと、奈落の底へ落ちた。
 スクランブルを鳴らすサイレンが鳴り響いている。
 傭兵たちはメインモニターを確認していた。
 櫻小路・なでしこ(ga3607)はアキラ隊長と言葉を交わして、メインモニターを見上げた。
「さて、作戦と全体の方針ですが、防衛ラインを敵寄りの前線とその後方の二次ラインの二段構えにしておくことでいかがでしょうか。一段目が突破された場合に備えて、二つの防衛ラインで艦隊を守ります。前線防衛ラインにてミサイルなどの弾幕系での先制の一斉射撃を行い、初撃にて先行する敵前衛をある程度は削げるかと思います。先制後、各機個々に目標の撃破に専念。いつも通りですね。軍KVのみなさまについては、前線防衛ラインの後方に二次ラインを設け、そこを基軸に輸送艦隊の護衛と前線から抜けた敵の迎撃をお任せいたします」
「了解したぜ。まあ、ここもいつも通りと言えばそうだな」
 アキラは頷いた。
「後方での管制と警戒は夢守様にお任せ致しましょう」
「オッケーだよなでしこ君」
 夢守 ルキア(gb9436)は笑顔で頷く。
「また、各自補給は適宜行っていきましょう。夢守様、誘導をお願い足します」
「了解」
「それにしても残党とは‥‥一体何処にあれだけの戦力が残ってるんだろうな‥‥?」
 ゲシュペンスト(ga5579)が言うと、画面上の桜大尉が応じた。
「本星にいたバグアで活動していた総数は不明だけれど、まあ十人、二十てことは無いでしょうしね」
 孫六 兼元(gb5331)は豪快に「ガッハッハ!」と笑った。
「いずれにしても、火星移住計画も、いよいよ本格始動か! まさに宇宙時代の到来だな!!」
 それから孫六は言った。
「そう言えば、綾河氏は火星人を知っとるかね? バグア襲来以前は、地球で最も有名な宇宙人だったと言っても過言ではない! 姿はタコやクラゲに似ていてな、話し方は『ワレワレハ、ウッチュウ〜ジンダ!』と喋るのだよ! 火星に着いたら、もしかして会えるかもな! ガッハッハッハ!!」
「ふっふっふ〜孫六さん、マニアの間で有名な火星人と言えばきらきら星人ですよ☆ ULTは早くからその存在に気付いていたんですからね!」
「ガッハッハッハ!」
 孫六は美里のジョークに笑った。
「さて、その為の足掛かりを潰させる訳にはイカン! 敗残の兵であろうと、ワシの前に立ちはだかるなら倒すのみだ!」
 ソーニャ(gb5824)はにこやかに言った。
「人は一人では生きていけない。誰かよりそう人が必要だね。でも中にはどうしても敵が必要な人もいるんだよ。認められない現実、叶わぬ思いをぶつける相手がね。もう戦いの中でしか生きられない悲しい人たち」
「バグアのことですよね」
 美里がソーニャを見やる。
「もちろんボクじゃないよ。似ているけど違う。飛べるなら戦かわなくてもいい。飛ぶためなら戦いも厭わないけど。誰かが彼らと戦わねばならないのならボクがやる。ボクが一番、彼らの想いを受けとめられると思うから。ただ戦い殺し合うだけでは悲しすぎるから」
「ソーニャさん優しいですね。女神のようです」
「ボクの想いはボクを傷つけてる? ちがうよ。これはボクにとっての救い。祈りの言葉。ボクはそんなとこばかり見てしまい、そこから目を離すことができないから。ボクが彼らを未来へとつなごう。彼らとの出会いが人間を火星へ、宇宙へといざなった。悲しき人間とバグアの出会い。その中にも未来を拓く希望があったと語ろう」
「戦後を語ることが出来るのは一安心ですよ。悩みは尽きないですけど、前を向いて進むことが出来るのは安心です」
 ルキアはアキラに確認していた。
「ねえアキラ君、防衛ラインを二重にするってハナシなんだケド、タマモ2機を傭兵の支援に当てて貰っていいかな? 穴埋めは私が入る。タマモはマニューバAで移動力上がるから、抜かれてもそこそこ対応できそうだし」
「そうだな。ではこちらで艦隊の護衛の方は詰めておくか。タマモはそっちの支援に送ろう」
「アリガト!」
「綾河殿、ネフライト計画担当スタッフ着任おめでとうございます。今回の火星移住計画、成功させましょう」
 神棟星嵐(gc1022)が言うと、美里は「はい☆」と笑った。
「火星移住ね。ま、私は今はやることをやるだけね♪」
 雁久良 霧依(gc7839)は言って肩をすくめた。
「櫻小路さんの作戦案は了解したわ。夢守さんもよろしくね♪」
「雁久良様よろしくお願いします」
「霧依君頑張ってこー」
 そうして、アキラは言った。
「よし、それじゃあ行こうか。敵さんにはさっさと御退場頂こう」
「行くぞ!」
 傭兵たちは愛機のもとへと向かう。

「アルゴシステム起動、蓮華の結界輪起動。各機、データリンク開始」
 ルキアは言うと、コンソールを滑らかに叩いて行く。
「防衛ラインは輸送艦達の前面から側面に展開。側面をハヤテにして、後方に抜かれても追い付けるようにオネガイ。傭兵が撃ち返すって言っても、抜けてくる敵もいると思う。射程内なら容赦なく、撃って。艦隊もレーザーガンも撃って、援護射撃をお願い」
 それからルキアは、アルゴシステムとレーダーを確認する。
「バグアは強化タロス四機、キメラ三十五体、デブリを抜けて前進してくる。前衛はキメラ。こちらは敵との距離400で一斉攻撃開始」
 それからルキアは、コンソールを叩きながらアルゴシステムとレーダーを続いて確認。
「間もなくエンゲージ。前衛防衛ラインの機体は、攻撃に備えて」
「了解夢守さん」
「夢守さん了解」
 傭兵たちは呼吸を整える。敵を示すレーダーの光点が接近してくる。
「先ずは先頭の敵を蹴散らします。砲雷轟、ミサイルの射程に敵を捉えました。何時でもどうぞ」
 ピピピピピピピピ――! とアラートが鳴り響く。
「各機ミサイル攻撃開始!」
「GP9ミサイル発射!」
「今日は大サービスよ♪ GP9ミサイル持って行きなさい!」
「ミサイルポッドHA06発射」
「GP−02Sミサイルポッド発射」
「GP−7ミサイルポッド行くわよ!」
「プロトディメントレーザー行くぜ!」
「FOX1、FOX2ミサイル発射!」
 1000発を越えるミサイル群が放たれる。
 キメラは咆哮してレーザーで撃ち返してくるが、直撃を受けて粉々になった。
「よーし行くぜ!」
 武流はフィーニクスBis「カマエル」を加速させると、フォビドゥンガンナーも前進する。
「残党共‥‥あきらめ悪いね。ま、人待たせてるし‥‥早いところ退場してくれ‥‥永久にな!」
 武流はフォビドゥンガンナーでの銃撃を強化タロスに叩き込む。
「我々は諦めん! バグアは‥‥意思ある者が最後の一人まで戦う!」
「その心意気を別のところに使えんかね」
 武流はフォビドゥンガンナーで強化タロスの逃げ道を塞ぐように撃ち込んでいく。四機のフォビドゥンガンナーが大口径粒子砲で追い込んでいく。撃ち崩される強化タロス。
「はっ!」
 武流は気合を入れて、残像回避で強化タロスの背後に回り込む。
「何――!」
「遅い!」
 至近距離からプロトディメントレーザーを撃ち放った。レーザーが貫通する。続いてエナジーウィングを叩き込む。強化タロスは切り裂かれて、悲鳴を上げて爆散した。
 なでしこと雁久良は加速する。
「こちらなでしこ、雁久良さん、仕掛けるわよ」
「了解よ♪」
 なでしこ、雁久良は後方の砲撃型キメラへ前進する。
「まずはこちらでいくわよ!」
「こっちもね。‥‥お願いね、ヨッちゃん、ゲソ丸くん!」
 二人はフォビドゥンガンナーを加速させると、砲撃キメラに叩き込む。大口径粒子砲が貫通する。砲撃キメラは咆哮して回頭すると、フォビドゥンガンナーにレーザーを撃ち返す。ガンナーはかわす。
「雁久良さん、援護お願い!」
「了解♪」
 雁久良はフォビドゥンガンナーで牽制。
 なでしこは一気に踏み込み変形すると、練剣「ビームクレイモア」で切り込む。ズバアアア! と切り裂き、至近距離からSESエンハンサーver.2で荷電粒子砲「レミエル」を叩き込んだ。粒子砲の閃光が砲撃キメラを貫通、爆散する。
 それからなでしこはレーザーガン「フィロソフィー」で神棟の砲撃支援を行い、攻撃チャンスを作る。
「神棟さん――!」
「櫻小路殿、雁久良殿。お見事ですね。こちらも発射態勢を整えます」
 神棟は艦載式対艦荷電粒子砲【吼天】の発射態勢に移っていく。変形して、砲撃態勢に移る。神棟はレーダーを確認して、ルキアと連絡を取る。
「夢守殿、こちら、攻撃に移ります」
「了解星嵐君。電子支援行うよ」
「夢守殿支援お願いします。収束砲撃機構『天龍』を使用して一気に殲滅を計ります。大型の砲撃キメラは荷電粒子砲で沈めます。各自、データを送りますので射線上より退避願います」
 キュウウウウウウウン‥‥とチャージが開始されると、砲塔に光が収束していく。
「残り三体ですね‥‥これなら天龍を使用して纏めて沈められます。チャージを開始しますので、少しの間持ちこたえて下さい!」
「砲雷轟、チャージ完了まで10秒」
 ルキアは全機に呼び掛ける。
「‥‥チャージ完了。行け! 吼天!」
 バオオオオオオオオオオ! と収束砲撃機構「天龍」が咆哮する。閃光が砲塔からほとばしり、砲撃キメラを薙ぎ払った。
「やったね神棟さん」
 ソーニャは高速で戦場を駆け抜けつつ、天龍の閃光を確認していた。デブリの陰に潜む敵を見つけ、攻撃、攪乱する斥候をこなしていく。アリス、通常ブースト常時起動で高速移動、連続バレルロールなどでかわしていく。
「岩龍――」
 囮役の岩龍を飛ばして、キメラをおびき出す。ソーニャの目標は広い宙域をカバーすること。
 隠れた敵をあぶり出し、機先を制する事を第一目的とする。
「輸送艦隊は絶対やらせないよ」
 そう、10もの輸送艦をより安全に守るため。そして、より自由に鮮やかに飛ぶために思いっきり飛ぶ。
 そして最速でキメラに肉迫すると、高分子レーザーガンで粉砕する。
「ここから先は通さないんだから。孫六さん、ゲシュペンストさん!」
 GP−02Sミサイルポッドで援護射撃し、フォビドゥンガンナーを叩き込む。
「向ってくるなら何度でも弾き返してやるまでだ」
 ゲシュペンストは戦闘機キメラをレーザー砲「凍風」で撃ち落としていく。
 続いてタロスへ加速。
「しかし、相変わらず敵さん頭数が多い‥‥孤立は厳禁だな。行くぞ!」
 二刀を抜いて強化タロスへ突進。
「何がそこまでさせるのかは知らんがな、やらせる訳には行かないんだよ」
「来い人間!」
「来い、か? 気負わず、慢心せず、最初の一歩で躓きたくはないからな」
 激しくタロスと打ち合うが、バルムンクとライチャスで敵の腕を斬り飛ばした。
「れえええええ!」
 バグア人はプロトン砲を連射。
 ゲシュペンストは受け止め加速すると、レッグドリルを叩き込む。
「究極ゥゥゥゥゥッ! ゲェェシュペンストォォォォォッッ! キィィィィィィィッック!!!!」
 ドリルが貫通。タロスは真っ二つに引き裂かれた。
 ピッ、ピッ、ピッ、ピッ‥‥と、夢守から送られてくるレーダーの情報に、孫六は目を落としていた。
「敵は確実に落ちてはいるが、最後まで気は抜けんな!」
 怪獣型キメラを切り落として、孫六は見渡した。
「しかしいまだにキメラがこんなにも居るのか!? 戦後処理に何年掛かるのか、考えるだけで気が滅入るな! ウム!」
 それからタロスに標的を変えた。武器を機剣に切り替える。空間手裏剣を飛ばして牽制。モニターに映るグロテスクなタロスを見て、
「それは機械融合か‥‥。お前等も、バグアに負けは無いと信じるクチか? だが、負けは負けだ! 機械融合したお前等の姿が、ソレを証明しとるではないか?! 命を賭しての小競り合いしか出来んのが、今のバグアの現実だ!」
「我々には、破滅しか無くとも‥‥! 母星を破壊された怒り‥‥! 思い知れ!」
「お前たちは地球を破壊しようとしただろう! 勝手なことを言うな!」
 孫六は咆哮して、機剣で強化タロスを切り捨てた。バグア人は悲鳴を残して消えた。
 バグア人が落ちて行く中、雁久良は前線防衛ラインの維持に務めている。突進してくるキメラに、
「あら‥‥真っ直ぐ向かってくるなんて、私の手にかかってイきたいのね♪ いいわ‥‥望み通りにシてあげる♪ テンタクルスラスターで‥‥荷電粒子砲レミエル、ファイヤー!」
 キメラは爆散した。
「駄目ねぇ、逝くの早過ぎよ♪」
 それから電動しびれイカを悠然と駆り、友軍と連携、敵機の側面、背面に回り込みつつブラストテンタクルで攻撃。
「どう? ここ(側面)がいいの? それとも後ろ?」
 テンタクルスラスターで運動性を上げながら、確実にキメラを撃墜していく。
(陸戦と違い、防衛ラインの効果は薄い。敵を減らさないと)
 夢守は警戒を行いながら、防衛ラインに入っていた。
「デルタワン、敵が抜けそうだよ、急いで対処して」
 と、ぼろぼろになったタロスが一機抜けて来る。
「タロスが来るよ。デルタチーム、防衛ライン前面から側面、一斉射撃をお願い」
「了解夢守!」
「撃て!」
 夢守は回避を見越し、ブースト+高分子レーザーライフル「プレスリー」を叩き込んだ。
「降伏しない?」
「降伏など‥‥あり得ん!」
「そ、楽しませてくれないなら、きみ達なんかイラナイ」
 夢守たちは集中砲火を浴びせ、タロスを破壊した。
 ‥‥やがて、バグア軍は全て撃墜されたのだった。

 ――崑崙基地。
 到着した月面で、傭兵たちはKVを使った重機作業に入る。
「武流さんお疲れさまでした」
 美里は、苦笑してコーヒーカップを差し出す。
 準備していた武流は受け取ると、「頑張ろうぜ美里」と笑った。
「やほ。美里君、すっごいじゃん。私も頑張っちゃうよ」
 夢守は美里の肩を叩いて、駆けて行った。KVに搭乗すると、アタッチメントに装備変更し、重機作業を手伝う。
「では始めましょうか」
 なでしこも天津白姫に乗り込んだ。
「よしよし」
 とゲシュペンストは輸送艦に乗せて来たリッジウェイでの作業に入る。
 孫六は一足早くKVで荷物の搬送や整理を中心に手伝い始めていた。
「こういう細かい作業は、KVでの救助活動の訓練に持ってこいだからな! 先々、民間SARを立ち上げる際に、役に立つ筈だ! 荷を潰さんように、繊細なパワーの制御が大事だな!」
 ソーニャも手伝いを開始。
「お手伝いなら、翼は折りたたむよ」
 雁久良は、レミエルを一時取り外してフィアラーにコンテナや部品など掴ませ、電動しびれイカを輸送機として運用。
 火星移住計画――大型レーザー砲の建設は、ここに第一歩を記すことになる。