●リプレイ本文
仲間たちを前に、櫻小路・なでしこ(
ga3607)が言った。
「今回は再生バグア軍の残存部隊の撃退ですね。編成と分担について確認しておきましょう」
なでしこは言うと、仲間たちに向き直った。
「キングスレー様にアーちゃん様、堺様、ヤフーリヴァ様が当たり、ダム・ダル(gz0119)様に孫六様、夢守様が支援役、そしてサポートにラスヴィエート×2。アマンダ様とマリア様にソーニャ(
gb5824)様とわたくし、それからハヤテ×3が当たりますね。高橋麗奈様と洋子様にはユーリ様とラスヴィエート×3で。対ガルガと艦護衛にはリヴァティー×12、ハヤテ×9、ラスヴィエート×7でお願いします」
すでに、仲間たちの顔が戦闘モードに入っているのに、なでしこは「あら」と首を傾ける。
「では、全体の方針ですが、先制の一斉攻撃の後、目標毎に展開。目標撃破後は、他所の応援。バリサルダは援護砲撃をお願いします。対KV用キメラが多数存在のため突出による孤立に注意しましょう。アキラ様、KV隊の指揮はお願い致します。再生バグア‥‥迷い出たのであれば、今度こそきっちりと送り届けましょう」
そしてなでしこはバリサルダの艦長モントロン中佐にお願いする。
「バリサルダからの援護は、先制の一斉砲撃、そして、ガルガを一箇所に集中させ、集中砲火をお願いします」
「了解した。諸君らの武運を祈っている」
「では、参りましょう」
傭兵たちは駆けだした。
「見知った顔がそろいぶみだね。大小はあるけど、それぞれと因縁はあるかな。でも、アーちゃんは、再生バグアであってもキングスレーと戦いたいね」
アーク・ウイング(
gb4432)は呟いていた。いつものように複合ESM「ロータス・クイーン」とヴィジョンアイで味方を支援。
「全機ミサイル攻撃開始。誘導します」
アークは軽やかにコンソールを叩いて演算装置を稼働させる。ダム・ダルのカスタムファームライドの光学迷彩を警戒して、ロータス・クイーンで警戒する。しかし、ダム・ダルは光学迷彩を使っていなかった。
バリサルダから放たれたG光線ブラスター砲がガルガを薙ぎ払う。
堺・清四郎(
gb3564)は昂った。
「また会うとはな、キングスレー! 再生怪人はやられ役が相場だってのは知っているか!?」
「お前のその憎まれ口を聞いていると嬉しくなって来るね」
キングスレーは笑った。
「まさか今まで戦ってきた宿敵たちとまた見えることになるとは! 武人として懐だ! キングスレー、もう一度、尋常に‥‥勝負!」
清四郎は加速する。
「黒いティターンとFRだと?! やはり、お前達なのか? 我が友よ!」
孫六 兼元(
gb5331)は加速する。
「先輩孝行というか何というか‥‥お前ら後輩2人は――!」
ドゥ・ヤフーリヴァ(
gc4751)は言って、回線を開いた。
「シュナイダー君、例の元主はまた逝きました。後輩2人に思われ乙女座の俺は果報者ですかね?」
「相変わらず分からない男ねヤフーリヴァ‥‥乙女座の俺は果報者か‥‥私に分かるわけないでしょう」
「キングスレー君、ハナシノブは入れなかったのに何て先輩思いですかあなた方は! 蘇った気分と本星帰還前に言い残した願いは何です?」
「複雑な気分だよそれは‥‥。願い、か。確かに死を覚悟したわけじゃないが‥‥戦場で散ったことに戦士として迷いはないさ」
ソーニャもまた回線を開いた。
「どぉ? 再生された気持ちは? 不安? 怖い? 大丈夫だよ。もともとボクたちはいつだってほんとかウソかもわからない記憶と今、この瞬間しかないんだから。君は君。確かめる方法なんてないさ。互いに傷つけあって感じるだけ。さぁ、ボクを感じて」
それからソーニャは言った。
「麗奈、初めてだった。自分の意思でバグアにつく人間。それでボクは人をバグアについて考え始めた」
「その答えは出たの? ソーニャ傭兵」
高橋の問いにソーニャは苦笑した。
「洋子、君には負けっぱなしだったね。君の事知りたかった。強化人間になってなお望み、愛するもの」
「私はいつだって、世界を憎んでいた。同じくらい愛してもいた。人の正義も、バグアの目的もどうでもよかったけれど」
「シス、君とはいろいろ話したね。楽しかった。本当にたのしかったんだよ。恋の様に」
「ふん、つくづく救い難い女だなソーニャ。私はお前を何度も殺し掛けたバグアだぞ」
「マリア、相変わらず綺麗だね。再び共に飛ぶ。これは二人の約束だよね。これからも、ずっと」
「約束ね‥‥私は死んでしまったけど、あなたは私を忘れないで飛び続けるのかしらね」
「アレン、最後までつれなかったね。それでも信じてる。君は君の為に生き、ボクの事もちょっぴり思ってくれてるって」
「俺は死ぬだろう。だがそれでいい。ソーニャ、思い出すと良い。一人のバグアが戦場で散ったことに、後悔はないのだと」
「ダム、ボクを殺さなかったね。君が教えてくれた。敵というものがただの的ではなく、ただのボクを殺すものではなく、同じく、何かを望み求めているものだと。君はボクの世界を変え、そしてボクは憧れた」
「お前の好奇心は時にお前を殺しかけたが、それは、興味深いものだった。お前は、やっぱり空の天使だった」
「対峙したなら殺しあうしかない。触れ合う事もできない。それでも、君たちと会えて嬉しかった」
「アーちゃん! ドゥ! 行くぞ! さあ、いざ、尋常に‥‥勝負だ!」
清四郎はK−02を全弾発射、ガルガを主に狙い、全体の負担を減らす。
「開幕の花火だ‥‥ブレイド、FOX1!」
ユーリ・ヴェルトライゼン(
ga8751)も加速した。
「ダム‥‥納得して逝ったんだと思ったんだがな。二度目の生、どう思ってるのかなアイツ。兼元、頑張れよ!」
ユーリは友軍とともに高橋と洋子の抑えに回る。
「高橋麗奈、洋子、か。久しぶりだな」
「またお前たちと会えるとはな‥‥ふん、感傷など」
高橋は言って笑った。
「ユーリ、あなたと会えてうれしく思いますよ」
洋子は言った。
二人は気さくに挨拶しながらプロトン砲を撃ってくる。
「手荒い歓迎だなあおい」
ユーリは回避しつつ、高橋と洋子に取りつく。
「思い出すなあ‥‥北九州。懐かしい日々だよな」
「あの頃‥‥今思い出せば、私たちはお前たちにやられっ放しだったな」
「そんなことは無いだろう。熊本基地を叩かれた時はひやりとしたけどね」
ユーリは言って加速し、ライフルで牽制する。そこへ友軍ラスヴィエートが集中的に銃撃を浴びせる。
「‥‥この感触。まだ生きている」
高橋のティターンは吹っ飛びながら態勢を立て直す。
「悪いな、やらせてもらうよ」
ユーリはディスクスでピンポイント攻撃を叩き込んだ。アンカーがティターンに突き刺さり、爆発する。赤いティターンは集中砲火を受けて崩壊していく。
「ああ‥‥」
「まだいけるか」
ユーリは、洋子の蒼いティターンに向かう。リニアとAファングを乗せた翼刃を叩き込む。
「地球は、あなたたちをまだ必要としているようね‥‥」
洋子は、崩壊していくティターンの中で笑みを浮かべていた。
高橋と洋子は消滅した。
「行くわよソーニャさん!」
なでしこは加速した。
「こっちでマリアを引き受けるわ。ソーニャさん、シスをお願い」
「了解」
「マリア、あなたに思うところは無いけれど、危険な敵をバリサルダに近づけるわけにはいかないのよ」
「そうでしょうね」
「これは見たことは無いでしょう」
なでしこはフォビドゥンガンナーを叩き込んだ。遠隔攻撃機から粒子砲が放たれる。
「無人機?」
「行くわよ!」
なでしこは変形して突進するとエンハンサー使用のビームクレイモアを打ち込む。
マリアは受け止めたが、剣は折れ砕けた。
「やはり‥‥この力では限界があるようね‥‥」
マリアは毒づきつつ、プロトン砲を放って間合いを取る。
「フォビドゥンガンナー、マリアを追い詰めるわよ」
なでしこは詰めて行く。荷電粒子砲「レミエル」にレーザーガン「フィロソフィー」を叩き込む。
「く‥‥仕方ない」
マリアはプラチナタロスの手を広げると、なでしこの攻撃を受け入れるように静止した。
なでしこの練剣が貫通する。閃光がほとばしり、マリアは崩壊していった。
ソーニャはエルシアンを駆る。シスに加速する。
「シス、今はもう、しがらみは絶ち切れないけど、ボクの中には君がいる」
ハヤテと組み、フォビドゥンガンナーを加速させる。アリス、通常ブースト、マイクロブースト常時起動で突進する。GP−02をばら撒き、高分子レーザーガンで攻撃。ロール、スリップで回避しつつ、ターン機動を少なく、高速維持。さらにミサイルに紛れ、フォビドゥンガンナーを叩き込む。
「無人攻撃機‥‥お前の癖があるわね」
「君がいたころ、思い出すね。わくわくする感じ」
ソーニャは宿敵への思いを込めてトリガーを引く。連続攻撃を受けて崩壊していくゴールドタロス。
「嬉しかったわソーニャ。‥‥まあせいぜい頑張りなさい。バグアは滅びるかもしれないけど、地球には、消せない思いがある。守るに値するものでしょう。バグアでも分かるわ」
シスは消滅した。
清四郎は両手にベズワル、建御雷にフォビドゥンガンナーに援護させてこれでいつもどおりに両手の刀、そして表の切り札であるガンナーに注意を向けさせる。
「今度こそ決着をつける‥‥! 行くぞキングスレー!」
まずはフォビドゥンガンナーを叩き込む。遠隔攻撃機の粒子砲がカスタムティターンを撃ち貫く。
「ガンナーの味はどうだ!?」
「無人機‥‥?」
「お前の復活‥‥嬉しくもあり‥‥昂る!」
清四郎はフォビドゥンガンナーを操る。
アーちゃんは加速すると、フォビドゥンガンナーを撃ち込んだ。
「前の決着の時は後ろで管制をしていたからね。再生バグアだろうが何だろうが、お前がここにいる以上は、今度こそアーちゃん自身の手でやっつけてやる」
「アーク・ウイング。今では俺の力は足りないかもしれないが‥‥ここにいる以上は、お前を打ち倒す!」
「言ってくれるじゃないの」
アーちゃんは清四郎と連携して、高分子レーザーガンを叩き込む。閃光がカスタムティターンを貫く。
「これでも‥‥食らえー!」
アーちゃんはロールしながらG放電装置を連射した。吸い込まれて行くミサイル。閃光がキングスレーを包み込む。
「どうなの!」
さらに、フォビドゥンガンナーを連射する。
「それでは、俺の方からも行きますよ」
ヤフーリヴァは人型に変形すると、09式自動歩槍を連射しつつ加速する。ティターンを牽制しつつ、アーちゃん、清四郎と連携し、死角へ回り込む。
高分子レーザーライフル「プレスリー」で着実に狙撃していく。デブリを利用して、潜伏場所を変えつつ移動、FETマニューバAを起動させて、プレスリーを叩き込む。
「アーちゃん君、そっちへ追いこむ」
「了解しました。十字砲火に捕えます!」
ヤフーリヴァはフォビドゥンガンナー操り、キングスレーを追いたてる。
「俺からの、お礼ですよキングスレー君。こんな日が来るのに感謝しなかったと言えば嘘になりますからね」
「ヤフーリヴァ、それは、俺とて同じだが、な!」
キングスレーは目の前に立ちはだかる清四郎へ突進した。
清四郎は待っていた。片手の刀をワザと弾き飛ばされ、追撃に来たところを、
「クソったれが!!?」
片腕を犠牲にしている隙にナイフを抜き、コクピットを狙って刺す。
「今、この時のため、ずっと接近戦でベズワルと建御雷しか使ってなかったのはパターンという思い込みを作るため‥‥俺の‥‥執念の勝ちって所だ‥‥!」
アーちゃんとヤフーリヴァからも集中砲火を受け、キングスレーは散っていく。
「これで二度目、か‥‥さらば」
キングスレーは消滅した。
孫六はファームライドにペイント弾を叩き込むと、反射的に紋章を確認した。
「牡牛座! お前か、ダム・ダル! 我が友よ!」
「ふっふっふ、孫六兼元、何と、お前に会えるとはな。神がもたらした偶然に感謝しよう」
夢守 ルキア(
gb9436)は蓮華の結界輪とアルゴシステムを起動させると、データリンクを開始する。
「ラスヴィエート2機、支援ヨロシクね! 私と挟撃するように」
ルキアはプレスリーを撃ちつつ、円を描くように移動しながら挟撃、そしてラスヴィエートと合流。
白金蜃気楼で十二式高性能長距離バルカンを撃ち込む。
「この子、デュスノミアって言うんだ。ねぇ『死』にセカイはあった?」
「夢守ルキアか。死んでいる間、もちろん俺にはセカイがどうだったか分からないよ」
「兼元君、決着を。そして、私にセカイを見せて」
ルキアは言った。
「――此処に在るコトが全て、明日なんてワカンナイ。だから、こんなに世界が愛おしい」
そしてまた言った。
「きみが最期に見たセカイ、どんなイロだった?」
ウィングエッジで流し斬り、ブーストで退避しバルカンで牽制。
「私の見ている世界は、何時だって眩いセカイ」
「ああ、夢守、全く‥‥実を言えば、俺も同じことを考えていたんだよ。そうだよな。世界はいつだって眩いセカイだった」
孫六は吶喊した。ブーストとFビートダウンを使い、一気に間合いを詰め槍の一撃を叩き込む。
「また逢おうとは言ったが、こんな形では無いぞ! ダムよ! ブライトンには感謝だ! お前との決着を、果たす事が出来るのだからな! たが今は、友としてワシがお前を止める!」
「友、か孫六」
「暫く見ぬ間に、世は随分と変わったろう?! ワシも、お前が知るよりは強くなっとるかもな!」
ダムと孫六は激しく打ち合う。
練力200を切ったところで、デアボライズ・フォースを発動する。
「この30秒に全てをブツける!」
打ち砕かれるファームライド。
最終ターンに、アセンション・ビートダウン・ブーストも全使用。機剣での攻撃に切り替え全力で斬り込む。
「コレが能力者として、お前と戦った男の全ての想いだ! KV抜刀・鬼神降臨!」
貫かれたFRは、閃光を上げて崩壊していく。
「バグアと人間との友誼など戯れだろうが‥‥孫六、お前は俺の友だった。最後に会えて嬉しく思う‥‥」
ダム・ダルは消滅した。
孫六は崩壊する愛機に向かい、穏やかに言葉を掛ける。
「神度剣、友が誤った道に行かぬ様に、お前も共に行ってやってくれ!」
そして孫六は漂いながら。
「お前達と会えた事、嬉しかったぞ。今度は道に迷わず、地球で生まれ変われ。そして、また逢おう、友よ!」
「サヨナラ、Recta」
ルキアは言った。
「私の中のダム君は、Recta――直線。特別な、敵だ」
ガルガを殲滅し、清四郎は艦内で敬礼し、追悼する。
「さらば‥‥宿敵たち‥‥命は一つだ、だから皆必死に生きている。簡単に生き返るなどしてはならないことだ‥‥」
ヤフーリヴァはある時と同じ花入りカプセルを撃墜場所へ投げ帰還した。
「お前の言葉がブバリアの空想だったか。カンパニュラの大望だったか‥‥」