タイトル:【崩月】月面会戦〜怒涛マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 1 人
リプレイ完成日時:
2012/05/28 23:10

●オープニング本文


 月面会戦――。
 崑崙の防衛には成功したが、バグアの本星艦隊が到着したことで、いよいよ月面会戦は本格的な戦闘へと突入していくことになる。
 アジア宇宙軍のエクスカリバー級巡洋艦ジョワユーズは、先鋒として崑崙から少し離れた場所にいた。
「相変わらずジャミングは晴れんな‥‥」
 艦長のジャック・モントロン中佐は、傍らの副官の桜舞子に言った。
「バグアも主力艦隊が到着したようです。これからでしょう」
「俺は軍人として宇宙に上がることすら夢のまた夢だったが、月面で異星人と戦うことになるとは‥‥時の流れを感じるね」
「感傷ですか? 艦長らしくないですね」
 桜の言葉に、モントロン中佐はうなるように吐息した。
「艦長」
 乗艦しているULTのフローラ・ワイズマン(gz0213)から声が上がる。
「どうした」
「敵艦が一隻前進してきます。敵艦より入電です。どう対応しますか」
「スクリーンに出せ。顔を拝んでやる」
 メインモニターに、異星人のヨリシロをまとったバグア人が浮かび上がる。
「バグア人か。こんなところまで散歩とはご苦労なことだな」
 中佐の言葉に、バグア人は「ふっふっふ‥‥」と笑った。
「地球のどんな小僧が我々に盾突くのか、顔を見たくなった。地球人を見るのは初めてなのでな。だが、これが最初で最後の挨拶だな。我ら本星艦隊が到着した以上、貴様等の好き勝手にはさせん。人類の船。お前たちの幸運もここまでだ。俺様が早々に沈めてやるわ」
「これがお前たちの最終戦力か? わざわざ月面に来て、何を企んでいた」
「くくく‥‥もはや手遅れよ。貴様等は、ゲバウ様の手によって滅びるのだ」
「ゲバウ様? お前たちの指揮官か」
「本星の大幹部が動いた今、お前たちに勝ち目はない。エアマーニェ様は手ぬるい。ゲバウ様は甘くは無いぞ――」
 そこで通信は切れた。
「艦長――」
 桜が促すと、モントロン中佐は命令を下した。
「KV隊全機発進。敵艦を迎撃する。奴の予想をひっくり返してやろう」

 ――敵艦内。
 アレン・キングスレー(gz0472)は、指揮官のバグア人に歩み寄った。
「キングスレー、いよいよゲバウ様が動かれる。地球人は再びバグアの恐怖を思い出すだろう」
「そうだな」
 キングスレーは言ったが、彼は地球でブライトンが敗れた情景を目の当たりにしていた。
「何だキングスレー、穏健派よろしくこの期に及んで地球人は貴重なヨリシロとでも?」
「地球がどうなろうとそんなことはどうでもいい。だが、目の前の敵を過小評価するつもりはない。ゲバウ様も言われたことだ。気をつけるんだな」
 言って、キングスレーは自身のカスタムティターンに向かって歩き出した‥‥。

●参加者一覧

櫻小路・なでしこ(ga3607
18歳・♀・SN
堺・清四郎(gb3564
24歳・♂・AA
アーク・ウイング(gb4432
10歳・♀・ER
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
日野 竜彦(gb6596
18歳・♂・HD
神棟星嵐(gc1022
22歳・♂・HD
アイフリード(gc7129
20歳・♂・GP
クローカ・ルイシコフ(gc7747
16歳・♂・ER

●リプレイ本文

「今回もバグア戦闘艦および敵部隊の迎撃ですね」
 櫻小路・なでしこ(ga3607)が言った。
「編成と分担の確認です。強化タロスとティターンに孫六様、ルイシコフ様、堺様、ハヤテ×8。カスタム中型HWも対応にわたくしと神棟様、ハヤテ×4に援護と牽制に付いて頂きます。タロスと宇宙キメラ対応にアイフリード(gc7129)様が遊撃に付き、日野様とリヴァティー×20が対応。軍KVの指揮は、アキラ様にお任せします。ジョワユーズ護衛にはアーちゃん様が全体管制、ラスヴィエート×12に付いて頂きます」
 櫻小路は続けた。
「全体の方針、作戦としましては。先制の射撃と砲撃による展開済みキメラ集団の一掃。各機、役割に応じて展開し対応。最終的には、KV隊の支援を受けつつ、ジョワユーズによるバグア戦闘艦の砲撃、撃破と言う流れでしょうか」
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。どうやら賢人どころか愚者ですらなかったらしいな」
 堺・清四郎(gb3564)が思案顔で言った。ドイツの鉄血宰相ビスマルクの言葉を引用した。
「いよいよ月での戦闘も本格的になってきたか‥‥。ここはこいつらに勝ち景気づけと行きたいところだ。だが油断は禁物、いつもどおり戦うまでだな」
 清四郎は吐息した。
「アキラ、こっちには、ハヤテを四機回してもらえないだろうか。タロス相手にひと暴れするつもりだ」
「了解了解。それじゃあお前らは清四郎に協力してやれ」
「承知しました」
「戦闘も一層、激しくなってきたけど、こんなところで負けてなんかいられないからね。がんばらないと」
 と気合を入れているのはアーク・ウイング(gb4432)。
「担当は、管制とジョワユーズの護衛だねっ。頑張るぞ〜」
「それにしても――」
 とうなったのは孫六 兼元(gb5331)。
「最近のバグアは、戦の前に挨拶するのが流行りなのか? この前も、騎士道を語る奴が挨拶して来たしな‥‥」
「今回はバグア戦闘艦の撃破ですか。久しぶりの宇宙ですね」
 日野 竜彦(gb6596)は言って、思案顔。
「強化HW、ティターン、タロス系等の強力な機体は可能な限り破壊しておきたいですね――。敵の陣容はどうなっているんですかね。特に戦闘艦の武装や脆い部分は細かくチェックしたいですね」
「フローラさん」
 なでしこが言うと、フローラはモニターに敵艦のデータを映し出した。
「なるほど‥‥大隊の流れは把握しました。正規軍のみなさんには、よろしくお願いします」
「タロスと宇宙キメラ対応だな。敵さんはキメラの数が勝るが、俺達も各個撃破で行こう」
「俺のタマモが囮になり可能な限りタロスを引付けます。引付けられたタロスに軍の機体でタロス一機に三、四機で集中攻撃を仕掛けて確実に落としてもらいたい。細かい指揮はアキラに任せますから。タロスを倒し切ったらシュワユーズの援護に向かいましょう。何機か軍にも敵艦攻撃を手伝ってもらいたいですね」
「了解したぜ。その流れで行こう」
「バグア本星から艦隊が来て、その先鋒が仕掛けてきましたか」
 神棟星嵐(gc1022)は思案顔で言った。
「お久しぶりですね、なでしこ殿。またともに戦うことができて嬉しいですよ」
「そうですね。宜しくお願いしますね」
「まあ、わしには嫁さんも出来たし、なおさら頑張らねえとな」
 年寄りじみた口調で言ったのはアイフリード(gc7129)。まだ20歳の青年である。
「竜彦、今回は貴様らとの連係プレーになるな。ま、宜しく頼まあ。何とか、宇宙機も間に合ったし、後れはとらんよ」
「何か、嬉しそうだなアイフリード」
「ん? まあ、な。へっへっへ〜」
「それにしてもバグアも学習しないねえ‥‥」
 クローカ・ルイシコフ(gc7747)が言った。
「あれはもう、成長限界に達してるんじゃないのかなあ‥‥」
「何とも言い難い」
 答えたのは清四郎。
「みなさん、そろそろ時間です。発艦準備に入って下さい」
 フローラの言葉に、傭兵たちは駆け出した。

 アーちゃんはピュアホワイトの複合ESM「ロータス・クイーン」を起動する。
「敵艦との距離10000。数分で接触します」
 周辺の警戒は常に行う。何らかの障害物に潜む伏兵や障害物を利用して接近する敵がいないかについては注意する。
 アーちゃんはコンソールを操作しつつ、戦場全域を探っている。詳しく調べる必要があればヴィジョンアイを使用するつもりだったが、今のところその必要はなさそうだった。
「初撃でミサイル攻撃、後に敵ワーム、キメラと接触。補給には注意して下さい」
「了解アーちゃん」
「行くわよ神棟さん」
「了解です。バグアの指揮官は、割と数に物を言わせてくる様にも見えますが、人類は質で勝負です」
「ガッハッハ! バグアよ! お前たちの最近の流儀に合わせて名乗るかな! 鎮守の銀嶺鬼こと、孫六兼元! 義によって此処に推参! この刃、恐れぬ者はかかって来い!」
 それには応答があった。
「義だと? お前たちの義とは何だ? 義の定義など、お互いの立場によって異なるはずだ」
「それじゃあ行きますか。囮役には慣れてますから。行くぞアイフリード」
「おうよ。行っくぜ〜え」
「やぁ、また会いに来てくれたんだね。きみらも懲りないというか。それとも、実はちょっと楽しんでたりして? その楽しみで今までに何隻、艦を失ったかな。宇宙最強か知らないけど、最賢じゃないことは保障しよう。(‥‥その返事こそが、愚かさを証明しているのさ)」
 ルイシコフはバグアに向けて言った。
「ふふ‥‥もとより、人間に我々に対抗できる力などないことは分かっている。我々が敗れるとすれば、それは戦闘の結果によってではない。尤も、バグア人は今まで敗れたことなどないがな」
「こちらアーちゃんです。敵艦との距離5000。敵ワーム、キメラ展開します。全機ミサイル攻撃用意して下さい」
「了解した。さて‥‥今日も始めるとするか」
 清四郎は言って、ボタンに手を置いた。レーダーに映る敵を示す多数の光点が接近して来る。
「一番厄介な航宙戦力を黙らせるぞ、一機ずつ確実に叩け!」
 清四郎はK−02を発射した。タロスやキメラに全弾発射し相手の戦力を削る、その後に突出気味になり自分自身を囮にハヤテに集中砲火をかけさせてタロスを落とす。
「挨拶代わりだ! FOX1!」
「GP7ミサイル発射!」
「FOX2!」
「GP9、HA06発射します――」
「ふうむ‥‥やってみますか」
「各機、ミサイル発射!」
 レーダーに映るミサイル群が敵ワーム、キメラ群に突進していく。回避行動を取る敵機にミサイルが追尾する。数千発のミサイルが次々と命中し、宇宙空間で閃光となって弾けた。キメラ群は消失する。
「初撃は成功、行くわよ神棟さん!」
「了解です」
 なでしこと神棟は加速する。
「中型HWはうまく切り離されたみたいです。2時方向から来ます。なでしこさん、神棟さん、強化プロトン砲に警戒です。他の動きも送りますね」
「了解よアーちゃん」
 なでしこと神棟は、残党のキメラを撃破しつつ突進する。
「キメラもある程度減らせましたし、こちらはHWへ向かいましょうか」
「ハヤテ二機、牽制よろしく」
「了解」
 なでしこは残弾のGP7とG放電を叩き込んだ。
 神棟は凍風で牽制。
 直撃を受け止め、中型HWは強化プロトン砲を撃ち込んで来る。分厚い閃光が宇宙を貫く。傭兵たちは回避。
「一気に行くわよ‥‥これでも!」
 なでしこはSESエンハンサーver2起動で荷電粒子砲レミエルを叩き込む。レーザーが中型HWを貫通する。
 神棟は下方から凍風を撃ち込みつつ背後を取り、なでしこの攻撃で被弾したところへブーストで接近。人型へ変形しA・ファング/B・ノウを起動させてライチャスを慣性制御装置に突き立てる。中型HWは軋むような悲鳴とともに爆散した。
「まず1機! 残る1機は全機で集中砲火で仕留めるわよ!」
 神棟は加速し、集中砲火を受けるワームに人型に変形し簡易ブーストで下方に逃れつつ凍風を叩き込み、すれ違い様に敵の速度を利用してライチャスを突き出し斬りつける。
「嘗ては強化されたHWに翻弄された時もありますが、今では時代遅れであることを教えてあげます!」
 二機目も爆散する。
「それじゃ‥‥おにごっこといきますか!」
「アーちゃんよ、管制ばっちリ頼むぜ」
「前面に無人ワームとキメラが展開します。データを送りますので適時各個撃破に専念して下さい」
「了解!」
 アーちゃんはコンソールを操作して、ロータスクイーンを動かし、友軍との連携を図る。
 アイフリードはアーちゃんの20メートルほど前に展開すると、戦闘時の管制塔を担当する。アーちゃんからの敵の距離と位置のデータを貰うと、そのデータと照らし合わせて狙撃を行う。
「さてと、上手く当たってくれよ?」
 ターゲットサイトを確認しながら。
「距離400、11時方向、来ます」
「よし! こいつを食らえ!」
 アイフリードはライフルを叩き込む。直撃を受けて爆発四散するタロス。
「よし! ドンピシャだ!」
「次来ます、12時方向、距離500――」
「引き付ける! ジョワユーズ、距離を保ってくれ」
 アイフリードは前進すると、タロスと格闘戦に入った。
「三度目の依頼で宇宙で‥‥タロスと‥‥撃ち合うとはね‥‥!」
 アイフリードは簡易ブーストを吹かせると急展開し、タロスを側面から撃ち抜いた。
「やれやれ‥‥こりゃあ何度も死ねるわ。おい竜彦――て」
 竜彦は、FETM−Bと超伝RAを使用して囮になり可能な限りタロスを引付ける役割をこなしていた。
 引付けられたタロスにアキラ機と軍属機がタロス一機に三、四機で集中攻撃を仕掛けて確実に落としていく。
「竜彦さんにタロスが複数追尾します。アキラさん、迎撃をお願いします。他、敵機を足止めして下さい」
「了解アーちゃん!」
「この囮役も命がけですね」
 竜彦は後ろから飛んでくるプロトン砲を回避しつつ、FETM−Bで回避する。回避機動。8基の展開・可動式エミオンスラスターを用いて瞬時に姿勢制御・回避運動を行う。
 空間を立体的に使い敵の攻撃回数を極力減らし、同時に味方に敵の標準が移らないよう誘導を試みる。竜彦は自らを餌に至難の操縦を行った。だが無人ワーム相手に、この戦術は機能した。
 軍KVはタロスを撃ち落としていく。
「清四郎さん、孫六さん、ルイシコフさん、一番厳しい相手です。アーちゃんも援護します」
「よろしく頼む――俺が囮になりタロスをひきつける、その隙に狙ってくれ」
 清四郎は言って、ハヤテに指示を出す。
「心配するなら1秒でも早く1機でも多く落としてくれ‥‥いくぞ散開!!」
 バグアが搭乗する強化タロスは手強い。そして、アレン・キングスレー(gz0472)はさらに手強い。
「また会ったか――どうやら本格的に上司運がないらしいな、キングスレー!」
「何を言ってる清四郎。本星艦隊は元々地球攻略に参加できなかった外れくじ当番だ。連中を引きずり出したお前達には頭が下がるがね」
「何だと? 不満ならもっと上を目指してみたらどうだ? 今回は無償で協力してやるぞ!?」
「俺が戦艦乗りになればいいと思っているのか? 俺はゼオン・ジハイドじゃないからな。連中に負けるとは思わんが、封鎖衛星や宇宙艦隊が切り札ってわけじゃない。俺は上級バグアだが、ティターンでいた方が身軽なのさ」
「ほう――」
 清四郎はキングスレーと撃ち合い、スラスターを全開で突撃しベズワルで斬り付け、離脱という一撃離脱戦法で戦う。
「学ばないな、バグア!」
「言ってくれるじゃないか」
 キングスレーは弾き返す。
 孫六は強化タロスを切り捨てると、キングスレーに突進する。
「ぬう!」
 09式を牽制で撃ち込む。人型となり、ディフェンダーを主体に戦い、弾が続く限りリーヴィエニAを使っていく。
「キングスレー、確かに人類は未だ地球を飛び立ったばかり、しかも恒星間航行など夢物語だ! だがな、お前達バグアと違い、進化と言う可能性を持っているのだよ! お前達は、他の文明を搾取し発展する道を選んだ様だがな! しかしソレは『個の成長で有っても、種の進化では無い』! バグアの英知だと‥‥? 笑わせるな! 所詮は侵略にて奪い取った、『誰か』の英知だろう! それは自身で生み出す事が出来ん、オリジナルを持たん偽りの英知だ! 確かに都合が良い解釈かもしれんが、数々の戦いを通じて得た、ワシなりの結論だ! ソレよりも、ズゥ某といい、バグア人の態度は傲慢だ! まるで宇宙の真理とでも言いたげな口振りだしな! だが何を言っても結局は生存競争、強い者が残る、単純にソレだけなんだろうがな! そうは思わんか? キングスレー!」
「バグア人が全員ゲバウ様ではない。最大派閥はブライトン様がいた穏健派。それでも侵略対象の破壊はバグアにとっても禁忌なのだ。人類にとっては生存の危機だろうが、我々にとっては探求なのだよ孫六」
 ルイシコフもタロスを切り捨てると、キングスレーに接近する。リニア砲を死角からの攻撃で叩き込み機動を制限する。
「フムン、進化と言ったかな。そうだね、確かにバグア無しでこの発展は無かった。だけど、一つ勘違いしてるよ。僕らはバグアの為に進歩してきたんじゃない。きみ達は収穫の時期を見誤ったのさ。熟れ過ぎて腐った果実のように、僕らはきみ達を蝕む。そろそろ気付かないかな。収奪されているのは、バグアだということにね。技術を、知識を、命さえも奪われてさ。‥‥最も危険な敵、ねぇ。きみ達のボスは、人類を褒めてくれたんだろう?」
「皮肉だなルイシコフ。だが、本当にバグア全軍相手に戦えると思うほど、地球軍が整っているわけではあるまい。エアマーニェ様を欺いたオリム中将のように、お前たちの上層部はバグアの生態を逆手に取ったようだがな」
 キングスレーは撃ち合うと、戦場を離脱した。

 ――傭兵たちはワームの抵抗を排し、敵艦に殺到すると、バグア戦闘艦の武装を無力化していく。
「ジョワユーズの邪魔はさせません!」
 神棟は接近するキメラを撃ち落とし、竜彦は敵艦の上に強行着陸して白兵戦で対空火器を破壊していく。ミサイルや銃器の集中砲火と囮になる事で敵の注意を逸らすと、艦砲を破壊した。
「全機、敵艦から離脱して下さい。ジョワユーズの主砲が行きます」
 アーちゃんは言って、全機を退避させる。
 ジョワユーズのG兵器がバグア戦闘艦に叩き込まれる。無力化された敵艦は悲鳴を上げて、閃光となって消失した。
「敵艦消滅、全機帰還して下さい。引き続き、警戒に当たります――」
 アーちゃんの声が響くと、傭兵たちはひとまず帰還の途に着くのだった。

「よお竜彦」
 アイフリードがヘルメットを脱いで言った。
「何です」
「わしは結婚したぜ」
「え〜? それは聞いてないな。本当か?」
「へっへっへ、結婚は良いぜ〜」
「ち‥‥このこの!」
 竜彦はアイフリードをヘッドロックするのだった。