タイトル:オセアニアへマスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/03/05 19:54

●オープニング本文


 デリーで激戦が続くさなか、バグア軍の一部に、変化が見られた。それは、インドからの戦線離脱を図るグループの動きであった。最初は小集団であったそのグループは徐々に膨れ上がり、UPC軍は明らかに異変に気付いた。
 インドの司令部にいた分析官のフローラ・ワイズマン(gz0213)は、UPC軍の勢力下を強行突破して、インド洋を突っ切る形で南下していく集団を追跡する。
「アレン・キングスレー(gz0472)ですね‥‥」
 フローラは、そこにキングスレーを発見したが、他にもそれらはヨリシロと思しき者をを含めたバグア軍の上級戦力であることを確認する。
「一体どういうつもりでしょうか‥‥」
 フローラは、そこまで考えてすぐに気付く。インド洋の南にあるのは、今だバグアの拠点として機能するオセアニアである。フローラは立ち上がると、メインモニターを注視する司令官に歩み寄った。
「司令官――」
「フローラ、どうした」
「少し見て頂きたいものが」
「何だ」
 フローラは、ワークステーションのモニターを司令官に見せた。
「キングスレー始め、バグア軍のヨリシロと思しき集団がオセアニアに向かっています」
 司令官は、うなった。
「奴ら、ここを放棄するつもりか」
「どうしますか」
「東アジア軍の本部に連絡だ。向こうでも気付いているだろうが、インド洋を突破するバグアどもを追撃だ。ふざけおって。ここで奴らを逃がすなよ」
「了解しました――」

 キングスレーは、コクピットの中で追撃して来る傭兵たちを確認して舌打ちする。
「まあ、そう簡単には行かせてくれんかね」
 そこでキングスレーは回線を開く。
「こちらキングスレー、アリススプリング応答せよ」
 ややあって――。
「こちらオーストラリア、アリススプリングです」
「ジャッキー・ウォン(gz0385)司令は到着されているのか」
「‥‥司令はすでに到着されています」
「そうか‥‥。分かった。いい。司令には宜しく伝えてくれ」
「了解しました」
 回線の向こうの無機的な声は短く答えると、通信を切った。
「キングスレー、どうするつもりだ。このままオセアニアに到達するのは難しいぞ」
 集団の他のヨリシロが言った。
「お前たちは先に行け。俺が殿を務める。出来るだけUPCを叩いて行く。行け」
「ふん、では任せたぞ。オセアニアで会おう」
 ウォンの部下達はゲバウ派に属するキングスレーのことを必ずしも快く思っていない。
「貸しを作るつもりはない。誰かが留まらねば、全滅だ」
 言って、キングスレーは部下達を率いて回頭すると、追撃して来る傭兵たちを迎え撃つのだった。

●参加者一覧

櫻小路・なでしこ(ga3607
18歳・♀・SN
比良坂 和泉(ga6549
20歳・♂・GD
ユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751
19歳・♂・ER
堺・清四郎(gb3564
24歳・♂・AA
アーク・ウイング(gb4432
10歳・♀・ER
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
ゼクス=マキナ(gc5121
15歳・♂・SF

●リプレイ本文

 慌ただしく飛び立った傭兵たち、上空で状況を確認する。
「一体何があったの?」
 櫻小路・なでしこ(ga3607)は、隊長のベルトランに問うた。
「まだよく分からんのだ。はっきりしているのは、バグアどもがオセアニアへ向かって、大移動を開始したということだけだ」
「地上の戦力を集結するつもりでしょうか?」
 比良坂 和泉(ga6549)の問いに、ベルトランはうなるように吐息した。
「あるいはそうかも知れんが‥‥キングスレーに聞いてみるかね」
「ではひとまず、その件は置くとして、軍の皆様には二班に分かれてもらうわね。第一班にディアブロA(×4)、ディアブロB(×4)、ミカガミA(×4)、ミカガミB(×4)、フェニックス×4。第二班に雷電A(×4)、雷電B(×4)、シュテルンA(×4)、シュテルンB(×4)、シラヌイ×4。それから、遊撃にオウガ×2と破暁×2で」
「了解した。では俺は一班の指揮に回ろう。テレーズ、二班を頼むぞ」
「了解」
「方針として、傭兵は個々の判断にUPC軍と連携して追撃に当たるわ。但し、深追いは禁物ですけどね。状況の変化に注意して。初手に先制の一斉射撃を仕掛け、その後は各自散開して個々に交戦。キングスレー指揮の殿部隊を叩き、その後に離脱する敵部隊を追撃するわ。全体の管制、俯瞰はアーちゃんのピュアホワイトにお任せよ」
 なでしこの言葉に、各自「了解」と答える。
「先の戦いから、この様な展開と思いも致しなかったけど‥‥。さて、今回も注意をした方が良いのかしらね」
「ま‥‥考えるのは後にしますか。さぁ、電子戦機の本領発揮と行きましょうか」
 和泉は機体のジャミング中和を活性化させると、サポートに回る。
「UPCを含め戦力は充実しているので、やや後方でジャミング中和や索敵に徹しますね。まあ、俺の経験なんて知れてますが、エミタのサポートもフル活用して戦闘をサポートしたい所。キングスレーには因縁のある方もいらっしゃると思うので、そちらは任せる形になります」
 と、和泉は呼吸を整える。
「いずれにしても、デリーが無事に終わったようで何よりですね。無事‥‥とは言い難いところですが、とにかく、あの化け物を止めることが出来たようで」
「その続きがあったとは驚きだけどな」
 言ったのはユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751)。デリー最終決戦に参加していた。
「あれで終わりかと思ってたんだけどなあ‥‥まだオセアニアがあったか」
「バグアはまだ抗戦するつもりでしょうか」
「何とも言い難いけど‥‥どうなのかね」
「分からん」
 堺・清四郎(gb3564)は、短く言った。
「こればかりは分からん。オセアニアのバグアは地球でも最後の砦だろうが、各地のバグアが撃破されていることを考えると‥‥奴ら、本気かね」
「バグアにとっての戦争は、大きくは侵略対象の知識の収奪が目的なのでしょう?」
「そう。だからキングスレーなどがどこまで本気で戦おうとしているのか気になるな」
「しかしまあ‥‥一番厄介なのが殿に来たな(苦笑)。まあ良い、どの道ここらで決着付けるつもりだったし。俺は単騎での遊撃でアレンの抑えを担当するよ。他の皆がタロスを片付けに掛かっている間、邪魔をされない様にする事優先だな。もちろん墜とせそうなら遠慮なくいくけどな。兼元&オウガ組が積極的に行きそうだから、俺は隙を突いて変な角度から攻撃を入れてみようかな、と――」
 そこで、ユーリは回線を開いてみた。ノイズが激しい。
「アレン・キングスレー、聞こえるかおい」
 ややあって。
「傭兵か‥‥また新手か」
「なあアレン、ちょっと気になったんだが、自分から殿引き受けたのか? それとも押し付けられた? どちらにしろ撤退先に受け入れて貰うにはやるしかないんだろう。ご苦労な事で。決着付けたいこちらとしては好都合、だけどな!」
「お前は良く分かっていないようだな。ジャッキー・ウォン(gz0385)司令は確かにアリススプリングにいるが、俺はウォン司令に命じられたからここにいるのではない」
「へー。ま、お前さんの身の不幸は、推して測るべしだな」
 そこで通信は途絶した。
 清四郎はふと思い出す。
「軍にいた時の階級まであと一つか‥‥やめてなければ今少佐か中佐くらいだったか?」
 短く吐息する。過去に郷愁を覚える。
「キングスレー、初めからインドを捨てるつもりだったか‥‥。決戦の地はオーストラリアに移すつもりか? だが、今は個人の感傷ではなくUPC全体のために殿の精鋭たちと撤退中の部隊を1機でも多く叩くまでだ」
 それから、いつもどおりミカガミ部隊を借り受けられるように交渉する。
「ベルトラン隊長、俺にミカガミ部隊の指揮を預けてもらえないだろうか。役に立つ」
「堺清四郎か、了解した。そっちは任せるよ。頼むぞ」
「地上の戦場でピュアホワイトに乗るのは初めてだね。ピュアホワイトなら、敵がどこにいるか探れるから便利だけど、いつものシュテルンより戦闘力が下がるから、今回は後ろで援護かな」
 と呟くのはアーク・ウイング(gb4432)。
「和泉さんよろしくお願いしますね。地上で幻龍との連携なんて、初めてですから!」
 和泉は「こちらこそ」と笑みをこぼした。
「俺も今回は電子支援がメインになりますからね。バグアも強力な殿なようですけども、みなさんのサポート、決めていきましょう」
「はい。アーちゃんも頑張りますよ〜☆」
「キングスレーは上手く逃げ果せたか‥‥。撤退の見切りが随分と早かった様だが、ソレも全て計算ずくだったと言うことか? 針路はオセアニア、ジャッキー・ウォンとか言う親玉が居る地か!」
 孫六 兼元(gb5331)は、ウォンはダム・ダルを見捨てた人物と認識しており、敵とは言え、事の正否は別として、仲間を見殺しにした人物に激しい怒りを感じているのだった。
「ベルトラン隊長! こちらには事前に言っていたようにオウガ二機をお借りしたい! ワシ等はキングスレーの対応に当たる! 仲間がタロスを殲滅する邪魔をさせん様に、しっかり引き付けよう!」
 孫六は言って、回線を開いた。
「キングスレー! 仲間を逃がす為に、自らが囮となるか! 随分と潔い事だが、潔いついでにその首も渡して貰おうか!」
 雑音の中から、声が返って来る。
「誰かと思えば孫六兼元か。簡単にはいかんぞ。我々がオセアニアに用意している戦力は地上最大」
「ガッハッハ! まあワシはお前との決着さえ付けらればそれでいいがな!」
「ねぇ、テレーズさんてかっこいいね。やさしい?」
 ソーニャ(gb5824)は副隊長の女性に言った。
「ん〜、何かしら? ソーニャちゃん。優しくして欲しいの?」
「えへへ☆」
「ソーニャ、甘えん坊だからなあ‥‥」
 ユーリが呟くと、ソーニャは答えた。
「え? ボク甘えん坊じゃないよ。これでも大人なんだから」
 それからソーニャもキングスレーに呼び掛ける。
「アレン、君が何処へ、何処までいけるのか見届けたい。だから、ボクはボクの精一杯で君の前に立ち塞がる。それが君の前に立つ唯一の方法だから。今は挨拶ぐらいしか出来ないけどね。ほんと、ボクたちは殺しあうことしか出来ないんだよねぇ(本当は、ちょっとだけ、連れ去ってほしいかも)」
「ソーニャか、来るがいい。俺は俺のやり方でお前の思惑を叩き潰す」
 ゼクス=マキナ(gc5121)は、敵ながらキングスレーの行動にはうなった。
「アレン・キングスレー‥‥殿を引き受けるとは‥‥中々出来るものではないな」
 ゼクスは吐息する。
「叩けるだけ叩ければ御の字と言う事か。和泉さん、アーちゃんさん、電子支援よろしく頼む」
 ゼクスは言ってコンソールを操作する。管制機からの情報に基づいてモニターに敵・赤、味方・青に表示する様にする。
「ふむ‥‥こうしてみると、連中はよく統制された動きを見せている」
 友軍の青を示す光点が、ワームの攻撃を受けて後退する様が確認出来る。レーダーには、赤い光点から攻撃の光点が飛んでいき、青い光点に命中している。
「連中はヨリシロだと言うが、これ全部そうなのか」
「いえ、ゼクスさん、敵のワームは強化人間が搭乗する改造タロスでしょう」
 やがて、戦場の通信がクリアになって入って来る。
「キングスレー様、我ら近衛隊、強化人間ではありますが、あなたを守るために殿に留まりました。傭兵どもにはこれ以上進ませません」
「うむ‥‥お前たちの働きには、満足している。洗脳をしなかったお前たちの最後の華、忠誠を示せ」
「はっ‥‥!」
 ソーニャは反応した。
「ン、なるほどね。洗脳じゃないってこと? いいね、それはいい。捻じ曲げられた思いや感情で、もしくは、絶望や憎しみさえも抱かず、そして、死んでいくのは悲しすぎる」
 だが――。
「とは言ったもののあまり余裕のある状況じゃないよね。アレンには直衛が多いみたいだし、それに、ぼやぼやしてると遅れたインド脱出組も来るかも。ここは速やかに削れるのから削るしかなさそう」
 それからソーニャは強化人間に呼び掛けた。
「ねぇ君、強化人間の君が、バグアの世界で何を望み何をしようとしてるの? 強化人間の君がアレンに託すものは何? 見る夢は何? 彼はこれから何をしようとしてるの?」
「‥‥‥‥」
 通信はしばらく答えなかったが、一人が答えた。
「我々はこの戦争で見捨てられた。頼れるのは人間ではなく、占領地域のバグアだけだった。キングスレー様は我々の生活を保証して、生きる道を与えて下さった。だから我々はあの方に恩がある」
「そう‥‥」
 ソーニャは思案顔で、言葉を探すだけだった。
「アレンは‥‥行ったのね‥‥良かった。マリア、彼は何処へ、どこまでいけるんだろうね――」
「全機、間もなく戦場に入ります! ミサイル発射用意を――」
「敵タロス、射程圏内――各機、FOX1、FOX2ミサイル発射!」
「ミサイル発射――」
「インドでの続きだ! ブレイド、FOX1!」
「FOX2ミサイル発射」
「複合式ミサイル誘導システムII、誘導弾用新型照準投射装置、起動、ミサイル発射――」
 傭兵各機がミサイルを叩き込む。タロスは回避行動を取りつつも、直撃を受けてある者は粉々に爆散していく。
「ナラシンハは見捨てたのかな。でも、このままオセアニアには逃がさないよ」
 アークの言葉に、キングスレーは答えた。
「見捨てた‥‥というより、もはや趨勢は決まっていた。あの状況でドゥルガーを持ちだして勝てるとは思っていない」
「ミサイル攻撃第二射用意! 敵タロスとの距離300! 各機、FOX1、FOX2ミサイル発射して下さい!」
 和泉は、コンソールを操作しつつ友軍を誘導する。
「撃て!」
「行くわよ! シラヌイ各機、連携をお願い!」
 なでしこはシルバータロスへ攻撃を仕掛ける。ミサイルを放出してタロスを牽制し、友軍の攻撃を支援する。
「撃て!」
 シラヌイ各機は、引き離されたシルバータロスを撃墜する。
 さらにミサイルを叩き込むなでしこ。
 プロトン砲の反撃を回避しつつ、シラヌイらは破暁と合流してシルバータロスを追い込み撃墜する。
 清四郎らはミサイルを目くらましにして急上昇、その後急降下して攻撃を仕掛ける。
「集中攻撃で各個撃破で行く! 敵は精鋭だ! 確実に仕留めるぞ! ――いくぞ、キングスレー!!」
 レーザーを叩き込み、突入してタロスを貫通する。
 ――今回の狙いはキングスレーを狙うと見せかけて、キングスレーに付き従う精鋭機体を優先的に狙って落とすことだ。
「オーストラリアまでお前はキープボトルにするつもりなのでな! やるのならば相応の時に決着を付けたいものだ! このような落ち武者狩りではなくな!」
「言ってくれるじゃないか」
 ソーニャはシュテルン4機と同行。ゴールド・シルバーを中心に抑えに回る。
 基本戦術、アリス常時起動、Mブースター適宜多用、通常ブーストも適宜併用。
 ブーストを使用し突入、バレルロールで加速する。
「シュテルン隊、援護をよろしくね。付いてきてね」
「了解エルシアン」
 ソーニャは常に高速移動で同時に複数の敵から狙われない様にする、一撃離脱でゴールドタロスと撃ち合う。
 反撃のプロトン砲を加速して回避する。
「シュテルン隊よろしくね! 今日はちょっと優雅にしとやかに美しく連携」
 ゴールドタロスを引き付け、背後からシュテルンがライフルを叩き込む。爆発四散するゴールドタロス。
「動きがいい だが其れが却って予測のしやすさをうむ」
 ゼクスは言いつつ、最後のスキル攻撃を叩き込んだ。長射程のミサイルがカスタムタロスを撃破していく。
「よし、これよりはライフルに切り替える」
「敵損耗率は40%です。みなさん、俺たちの優勢は変わりません。各機、各個撃破に専念して下さい」
 和泉は、レーダーを見やりつつ、アークと連絡を取る。
「アーちゃんさん、バグアの別動隊はさらに来るようです」
「そのようですね。東の海上100キロを通過していきますね」
「どれだけのバグアがオセアニアへ逃げ込むつもりなのでしょうか」
「とにかく、キングスレーを」
 ユーリは、ブーストで飛び込みリニア砲+剣翼の連撃を主体にキングスレーに当たる。
「アレン、どこまで逃げる気だ。もう地の果ては無いんだぜ」
「ユーリ・ヴェルトライゼン、そんな心配は無用だ」
 カスタムティターンとドッグファイトを繰り広げるユーリ。
「ガッハッハ! キングスレー! その首置いて行けい!」
 孫六はTB/Bを使いK02を撃ち、軍オウガにキングスレーの上下に付いて貰い、自身は刃翼で斬り込む。
「行くぞ!」
 上下より軍オウガが弾幕を張り、孫六はTB/Aでドリフト機動を取りながら、マシンガンで円周より攻撃する。MM−20はマシンガンのリロードの隙を埋める形で放つ。
 さらに、軍オウガの攻撃の合間に、刃翼で斬り掛かる。
 カスタムティターンはFFで受け止める。
 ユーリは孫六らの攻撃に合わせて、ティターンの退路を断つようにAAMとギアツィントで牽制する。Aファングは適宜使用し、確実にダメージ蓄積を狙う。
「ふむ‥‥」
 キングスレーは、戦況を見やりつつ、ユーリの弾幕から逃げる。
「簡単に行かせるかよ」
 ユーリは優勢を確認して、全力での攻撃に切り替える。
 が、キングスレーは撤退を開始する。
 残り少ない強化人間たちは、身を呈してキングスレーを守る。
「逃げて下さいキングスレー様、後は我々が!」
「うむ、時間を稼げ。任せるぞ」
 そうしてキングスレーは離脱する。
 アークは、キングスレー率いる殿部隊を撃破した後、複合ESM「ロータス・クイーン」を使用して逃走している他の敵部隊を探す。
 まだ、続々とインド洋を突破してバグアが南下して来る。
 ユーリもまた、他から撤退するバグア軍が居ないか最大レンジで索敵していた。
 バグア軍の数は百を優に超えている。さらに続いている可能性もあり、これ以上オセアニアへ踏み込むことは出来なかった。