タイトル:【DD】夜明けに向かってマスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/02/28 06:26

●オープニング本文


 それは――突然、動き出した。
 インド北部のバグア拠点『マールデウ』より現れし、巨大な壁。 
 壁は障壁をなぎ倒しながら前進、進路を妨害するUPC軍は搭載された46センチ主砲で排除していく。戦車、と形容するにはあまりにも巨大過ぎる存在。
 移動攻撃要塞『ドゥルガー』。
 デリー攻撃軍指令ナラシンハ(gz0434)が内部で指揮を執るこの要塞は、地面を平らげながら南進。目指す先は、UPC軍が先日進軍を果たしたデリーだ。
 ナラシンハはすべてを終わらせるため、ドゥルガーでデリーを壊滅させるつもりだ。
 ランジット・ダルダ(gz0194)へ報復するため。
 虚栄心を満足させるため。
 すべてがナラシンハの野心から始まった悲劇。
 この悲劇は――いよいよ終幕を迎えようとしている。

「いよいよ始まったな‥‥あの巨城が動き出したか」
 KV大隊長の山名大樹は、言ってKVハンガーへ向かって走る。その傍らを、シャロン副隊長が駆ける。
「どうやらバグア軍の通信を傍受したところによると、あの馬鹿でかい城は移動攻撃要塞『ドゥルガー』って言うらしいわね」
「ああ、ナラシンハが直接指揮を取っているようだな。潜入部隊を成功に導くためにも、俺達は出来るだけ外のワームを片づけにゃならん」
 二人はハンガーへ駆け込むと、モニターのフローラ・ワイズマン(gz0213)に声を掛けた。
「フローラ、敵の数はどうだ」
「増加傾向ですね。みなさん、あのドゥルガーは想像以上に危険です。あの要塞、凄まじい攻撃力です。プロトン砲だけでも直撃を受ければただでは済みませんよ。近くを飛ぶ時は十分気を付けて下さい」
「そんなに凄いのか」
「ええ」
 フローラの顔はいつになく緊張気味だった。
「それから、山名隊には、司令部からアレン・キングスレー(gz0472)の騎兵隊を押さえて欲しいとのことです」
 フローラは珍しく皮肉を込めて言った。
「そうか‥‥キングスレーか‥‥だが、奴はただの騎兵隊じゃないがね」
「そうですね。私もサポートします。作戦を成功させましょう、私にはここから祈ることしかできませんが――」

 ――アレン・キングスレー率いるタロス騎兵隊の集団は、ドゥルガー上空で巧みな攻撃によってUPC軍に出血を強いていた。ドゥルガーを止めるしかないUPC軍のKVを要塞まで引きつけ、要塞からの攻撃と並行して一撃離脱によって各個撃破していく。ドゥルガーを止めなくてはならない――だが貴重な時間が零れ落ちて行くように過ぎ去っていく。キングスレーはUPC軍の焦りを巧みに読み取り、強靭な刃としてUPC軍に立ちはだかっていた。
「ふむ‥‥このゲームも遂にお終いか。さて‥‥だがこのまま終わるUPCではあるまい。ナラシンハはどう受ける気かね」
「アレン、これ以上ナラシンハに義理立てする必要はないでしょう。バグア軍の間でも噂になってるわ。ドレアドル司令が動かれるつもりだと」
 キングスレーの言葉に答えて言ったのはマリア・シュナイダー。
「司令は確かにナラシンハに任せておくのは危険だと思っておいでのようだからな。後は、UPCの幸運を祈るまでだが」
「私はナラシンハの道連れは御免よ。そもそも私はあなたを監視するために来たのよ。何だってこんなところで巻き込まれなきゃいけないの」
「愛すべきマリア、残念だが、今はお前さんの泣きごとを聞いている時間はなさそうだな」
「ちょっと、私を本気にさせるとどうなるか分かってる?」
「まあ、俺のフォースフィールドは破れんぞ」
「あらそう、試したくなるじゃない」
「行くぞマリア――また新手が来た。どうやら俺たちは騎兵隊だと思われているらしいな。面白いじゃないか」
 キングスレーは言って、「騎兵隊」を率いて傭兵たちに向かって加速した。

●参加者一覧

櫻小路・なでしこ(ga3607
18歳・♀・SN
ユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751
19歳・♂・ER
堺・清四郎(gb3564
24歳・♂・AA
アーク・ウイング(gb4432
10歳・♀・ER
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
夢守 ルキア(gb9436
15歳・♀・SF
ドゥ・ヤフーリヴァ(gc4751
18歳・♂・DF

●リプレイ本文

 お嬢様騎士、櫻小路・なでしこ(ga3607)――。
「さて、いよいよ大詰めとなりましたね。気を引き締めて参りましょう」
 インドにとっては特別な日となるのだうか。
「まず、初手で先制にとミサイルなど多弾系武装で一斉射撃を実行ですね。カスタムタロスへのダメージおよび初期撃墜を狙います。それからキングスレーとマリアの分断でしょうか。伴って敵戦力の分断もしくは分散を図り、以降は2班に分かれ対応ですね」
 それからなでしこは、山名隊長とシャロン副隊長を見やり、言った。
「次の編成となります。A班に対キングスレー麾下。孫六様、アーちゃん様、堺様、ユーリ様、山名大樹KV大隊長。それからフェニックス×4にミカガミ×6、雷電×6――。B班に基本対マリア麾下。わたくしと、ヤフーリヴァ様、ソーニャ(gb5824)様、シャロン副隊長。そしてシラヌイ×4、ディアブロ×6、シュテルン×6。管制には夢守様に付いて頂きます」
「了解した。あのヨリシロどもとはここで決着をつけたいものだな」
「全くね」
 大樹隊長の言葉に、シャロンも頷く。
「それにしても、えらくでかいの持って来たなー。アレ壊すの大変そうだ★ ‥‥ま、突入部隊が動き易い様に、こっちはこっちで頑張ろう」
 言ったのはユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751)。
「俺は対アレン&お供のタロス対応担当だけどなあ、兼元たちがアレン対応に専念できるよう、俺はタロスの相手をメインで行くよ。軍のみんなには宜しくな。初手になんちゃってレギオンバスターでダメージを入れておきたい、あわよくば何機か落としたいから、兵装に余裕のある雷電、フェニックスにもK−02を積んで貰って、ルキアの管制誘導でタイミング計ってK−02一斉射撃とかどうだろうか?」
 大樹隊長はうなった。
「なんちゃってレギオンバスター‥‥K02だな、手配しておこう」
「あ、それからさ、あの城からの対空砲なんだけどさ。向こうにはFFがあるんだから、いざとなったら上に出て対空砲との間に挟み、盾代わりにしてやればいいと思うんだ。使える物は最大限利用しないとね」
「まあ、そう簡単にはいかんとおもうが‥‥」
「いよいよ決戦か‥‥昂るな‥‥」
 言ったのは闘将、堺・清四郎(gb3564)。
「遂にインドでの最終決戦か‥‥ナラシンハ、キングスレー‥‥決着をつける! いくぞ! ドゥルガーを止めてこの地域での抗争に終止符を打つ! 人類に夜明けを!」
 清四郎は気迫を出した。
「ところで山名隊長、いつもどおりにミカガミ部隊を借りても構わんだろうか? 役に立ってみせるぜ」
「ああ、ミカガミは任せよう。すっかり指揮が板に付いてきたな傭兵曹長」
「いよいよ、決戦だね。ここまで来たからには、絶対に負けるわけにはいかないね」
 と気合をいれているのはアーク・ウイング(gb4432)。
「打倒ナラシンハの旗の下、人類の一大攻勢が始まったな! さて、ワシ等も潜入部隊の支援の為、張り切らせて貰おうか! 久々の空戦になるが、たまには悪くないな! それに、天之尾羽張にも出番が無いと、拗ねてしまうからな! ガッハッハッハ! ワシはA班、対キングスレー、として行動だ!」
 孫六 兼元(gb5331)は言って笑った。
「ウフフフフフ‥‥」
 小悪魔的な笑みを浮かべているのはソーニャ(gb5824)。
「ついにここまで来たね。今日が、全ての終わりであらんことを‥‥祈ってるよ。インドにとってね」
「私はみんなの援護と管制だね。今日ばかりは、デリーの夜明けのために、ひと肌脱ぎますか。そんなトコ」
 夢守 ルキア(gb9436)は言うと、胸の十字架にキスして天に掲げた。
「猫と男は動きだした家を見送り、家の主の侍女と少女の元へ向かいました。お伽話の結末は今綴られる。ヤフーリヴァが――この終局に介入する! 行こうかトゥオマジア」
 ドゥ・ヤフーリヴァ(gc4751)は、言ってエスプローラトーレ・ケットシーを見上げる。トゥオマジアとは、ヤフーリヴァの母国語で「使い魔」を意味すると言う。
「では行くぞ。みな死ぬなよ。これは命令だ」
 月並みな言葉だが、山名隊長は言った。

「アルゴシステム起動――」
 ルキアは、【OR】アルゴスシステム(AS)を起動する。
「データリンク開始――」
 管制としてシラヌイ2機を連れて迎撃に出る。
「各機、ドゥルガーの動向に注意。あのハリネズミのような火砲には近づかないで。アレン君と、マリア君を引き離す。で、各個撃破を狙うよ。私達は、管制と敵を、射程内に追い込む。隊のヒトは、出来れば皆の補助と挟撃。隊の誰かがドゥルガーの警戒に、当たって」
「了解したルキア。管制をよろしく。ドゥルガーの警戒にはこっちで当たる」
「――敵機来るね。それじゃ、なんちゃってレギオンバスター発射用意。距離600でK02を発射。合わせて。発射――」
「ミサイル発射ですわ!」
「よーし、これでも食らえよ、と!」
「ここで決着をつける! キングスレー! 挨拶がわりだ! 受け取れ! ブレイドFOX1!」
「PRMシステム起動! アーちゃんのFOX2ミサイル発射!」
「ガッハッハ! 行くぞ!」
「FOX1、FOX2ミサイル発射――」
「トゥオマジア、火器管制よろしく。FOX2ミサイル発射――!」
 10000発に近いミサイルが撃ち込まれる。
 プロトン砲の反撃が来るが、ワームは圧倒的なミサイル群に包まれた。
 直撃に爆風と炎が炸裂するが――。
「敵ワームは健在、来るよ」
 ルキアは、アルゴシステムで捉えた敵機を確認して、言った。
 ソーニャは回線を開いた。
「アレン、やっと空に上がってきたね。君ともっと触れ合っていたいけど、ボクはお邪魔みたいなので、またねぇ」
 それからソーニャはオープン回線で呼び掛けた。
「ウフフフ。すごい戦線の拡大だね。あのナラシンハの戯言さえ流れに飲み込まれて見えない。バグアと人間の趨勢という名の流れ。ボクたちの命で出来ている。しかしその中にボクたちの存在を見つけるにはあまりにもちっぽけ? でもボクは知ってるよ。ボクたちは今ここにいる。ねぇマリア、気づいているかい。ボクと戦う時、君が笑っているのを。さぁ殺しあおう。君はバグアの為に? ボクは空への代償の為に。それでもマリアがマリアである部分はボクに。ここで逝こうともここを生き延び、二人が別々の場所で逝くことになっても再びめぐり合う為に。ねぇマリア。君の中にボクはいるかい」
「ソーニャ傭兵、覚えておくがいい。私の存在は全て、バグアにつながっている。我々の種族とともに、私の魂もまたそこへ還っていく、繋がっている。私の中にお前がいるか? それは確かだとして、お前はどうする。私と言う存在は、バグアのかけらに過ぎないのだ」
「それならそれでいいじゃない。ブースト全開。データリンク開始。刹那の永遠を君と――」
 続いて、ルキアが言った。
「アレン君、きみが言ったこと。文明泥棒かぁ、大して変わらないよ。私達ヒトも、敵の文明は滅ぼし、喰らう。でも、愛しい。そこには貪欲な在り方がある。きみ達のコトも大好きだよ。私は戦いを、ヒトを、ソンザイを通してセカイを見て行く。きみの望みは、私達を喰らうコトだろうか? それとも、生き延びるコト? ガッカリさせないでよね? 意思があるかもアヤシイ、ただの木偶を相手にするのはツマンナイ」
 挑発も兼ねた本音。
「夢守ルキア、エアマーニェ様やズゥ・ゲバウ様、ブライトン様始め、本星の大幹部にはまた異なる見方があるだろう。あの方たちは長い時を生き、バグアの優位に自信を持っていることに変わりはない。だが俺には目の前の敵がいる。食らうことか、生き延びることか――それは違うだろう。俺は俺なりのやり方で、地球人との決着をつける。それは今は分からないがな」
 キングスレーは冷静だった。
「行くぞ!」
 ユーリは友軍とロッテを組み加速する。そのまま一気に距離を詰め、ルキアの管制を受け、ダメージの深いタロスにギアツィントとリニア砲で追撃、撃墜していく。
「山名隊長、エースの連中はアレンの加勢に向かってくれ! こっちは雑魚を片づける!」
 ユーリはカスタムタロスと撃ち合う。回避しつつ、纏わり付いて剣翼を叩き込む。切り裂かれるカスタムタロス。
「ルキア――」
「ユーリ君、二時方向に回避して」
「了解!」
 リニア砲で注意を引き、友軍の射線上にタロスを誘い出す。
「何!」
 タロスは集中砲火を浴びて爆散する。
 さらに、連携を取り、剣翼でカスタムタロスを破壊していく。
「行くぞ! ダイブ! ビビるなよ!」
 清四郎はミカガミ部隊を率いてダイブする。一撃離脱の急降下攻撃の自殺まがいを主とした戦法でキングスレーに挑む。龍が上り、下降して食らいつくように。
「キングスレー!! お前とは剣で決着を付けたかったがな! お前ほどの男があんな狂人の下で戦うとはもったいない! お前に全権委任してりゃもっと苦戦してたろうに!」
 文字通り決死、機体ごとぶつけるくらいの勢いと気概でキングスレーに挑む。
「お前を倒すのならこの程度覚悟に入らん!」
 上空から一気に急降下してスラスターライフルとアハトを叩きつけてはまた上空に上がるという一撃離脱戦法をとる。
「清四郎め‥‥!」
 キングスレーは後退しつつ、清四郎らの攻撃を信じ難いアクロバットな機動で回避した。が、周辺の護衛タロスは貫通、破壊された。ダイブをやり過ごし、キングスレーは旋回する。
「キングスレー、随分と味方をやってくれたみたいだね。でも、アーちゃんたちが来たからには、もう好きにはさせないよ」
 D2ライフルにガトリングを叩き込む。キングスレー機に攻撃を集中するが、ティターンはスキルを使って防御を固め、全弾回避する。
「何だいキングスレー、やるね」
 清四郎らと連携し、PRMシステム・改で攻撃を強化したうえで、8式螺旋弾頭ミサイルをキングスレー機に撃ち込む。
 キングスレーはどういうわけか、徹頭徹尾、防御に徹していた。ミサイルも回避と迎撃バルカンで撃ち落とす。
「どうだキングスレー、この一大攻防戦は! 気分が高揚してくるだろう?! ガッハッハ!」
 孫六はカスタムタロスをブレードで切り落として言った。
「だが誤解を恐れず言うのなら、ナラシンハも要塞も如何でもいい事だ! ソレより、お前とお前の率いる部隊を相手に、全力で刀を振るえる事がワシには重要だ! 結果、そうする事が任務達成に繋がりもするのだがな。ウム!」
「‥‥孫六、お前と刃を交えることにどこか喜びを覚える。それは間違いないが‥‥」
 ツインブースト・OGRE/Aを多用し、ターンとホバーによるスライドを活かしたドリフト機動を使い、射軸をずらし円周からの攻撃を加えて行く。
 キングスレーは要所にスキルを使って回避する。
「何だろう‥‥バグアの一部がおかしな動きを見せてる」
 ルキアはそれに気づいた。バグアの一部が、南へ強行突破を図り、戦場からの離脱を図っているのである。
「急げ、キングスレー、遅れてる。間に合わないぞ」
 回線に声が響き、キングスレーは頷いた。
「分かっている。こいつらを振り切るのは厄介だ」
 言って、キングスレーはミサイルを全弾撃ち尽くすと、傭兵たちに部下達を叩きつけ、戦場から急速離脱する。
「アレン君が離脱していくけど‥‥何これ? バグアたち、どういうつもり?」
 ルキアは、この時まだ彼らの明らかな戦場放棄につていは、状況を把握できなかった。
「みんな、今日この日、私たちはデリーを取り戻すのよ。デリーの夜明けは来るわ!」
 なでしこは、シュテルン2機とケッテを組んでカスタムタロス系の撃破支援を行う。
ガトリングとミサイルポッドで牽制しつつ、軍KVと連携し、カスタムタロスを撃墜していく。
 ヤフーリヴァは的確に敵射程外から友軍との連携可能距離、敵背後に回り込みつつ、ルキアの管制を受けて移動していく。
「トゥオマジア、ミサイル誘導よろしく!」
「了解しました」 
「友軍各機、ドゥ君に合わせて、十字放火誘導するヨ」
 ルキアの管制を受けて、ヤフーリヴァらはカスタムタロスにミサイルを叩き込む。
爆散するタロスに続き、ヤフーリヴァはスナイパーライフルで次なる標的を捉える。敵を思うように動かさないよう狙撃牽制状態も限界まで維持。
「ドゥ・ヤフーリヴァ――!」
「む――マリア・シュナイダー」
 ヤフーリヴァは回線を開いた。
「シュナイダーさん――貴女の主なんて下にいる『あの程度』だ。あんな玩具捨てて地球の全人類洗脳する位してみろ。僕が生まれた国の市長はそう言う事企んだ大物だ。あのバグアは所詮それ以下だという事だよ!」
 この感情任せに咆えるのは演技で、狙いは空域下にある要塞の対空攻撃射線へ誘導する為であったが、マリアは冷静だった。
「可愛い奴だヤフーリヴァ、愛おしく思えて来るわね」
 マリアは突進してきた。
 だがそこまで狙っていたヤフーリヴァはブーストで旋回後退した。この時、すでにキングスレーは後退を余儀なくされていたが、マリアは連携が取れず、離脱組から遅れていた。
 全機、突進するマリアを十字砲火に捕える。
「なんて広い戦場。狂おしくも愚かしく、いったい幾人のバグアと人間の思惑、思い、感情と未来が渦巻いているの。その中でボクたちはこんなにちっぽけ? そんなわけないじゃない! 優子、さやか、水風、ジル、ダム、麗奈、アマンダ‥‥ボクはここにいる!! 行くよ、エルシアン!! どこまでも、高く!」
 ソーニャは全弾撃ち込んだ。
「撃て!」
 なでしこ、ユーリ、ヤフーリヴァも反転して、これに加わった。
 直撃がプラチナタロスを捉え、爆炎が炸裂する。
「おのれ‥‥」
 マリアは血を吐き、ずたずたに破壊された機体の中で、肉体を打ち砕かれていた。KVからの直接攻撃がマリアのフォースフィールドを貫通していたのだ。
「アレンは‥‥行ったのね‥‥良かった」
 そうして、マリア・シュナイダーは、ぼろぼろの機体で突進してきた。
「傭兵ども‥‥ここまで‥‥見事だったわ。あなた達の勇戦に私は敗れる‥‥でも、戦場で倒れるは、戦士として本望よ!」
 突撃して来るマリアに傭兵たちは全弾集中砲火を浴びせた。
「でやああああああ――!」
 プラチナタロスは、マリア・シュナイダーの最後の雄叫びとともに、爆散し、主とともに消滅した――。
 清四郎は、ブランデーのボトルを掲げた。
「今日とそして、今まで散ってきた戦友たちのために‥‥」
「やれやれ、どうにか依頼は果たしたけど、あの移動要塞を黙らせない限り、こっちの勝利はおぼつかないか。まあ、後は味方の奮戦に期待しよう」
 と呟くアーちゃん。
「『明けない夜は無い』とはよく言ったものだ。このインドにも、もうすぐ本当の夜明けが来る、そんな気がするぞ!!」
 孫六が言うと、ヤフーリヴァは天を見上げるのだった。
「これでここはアリーヴェデルーラ‥‥? まあまた縁が巡るなら‥‥」