タイトル:【QA】ステーション011マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/01/06 21:36

●オープニング本文


 擬似とはいえ重力のあるカンパネラから離れ、高軌道に移った艦内は宇宙らしい無重力空間となっていた。軍人とは不思議なものだ。宇宙酔いで死にそうな状態でも、任務に関する話題が来れば頭だけはしゃきっとする。なので、指示書を回された男も、混乱する三半規管はとりあえず忘れてそれを読むわけだが。
「宇宙に監視所がいるって? なんでさ」
 地上にいた軍人なら誰でも思うようなことを、彼も思った。なにせ、宇宙といえば見渡す限り地平線もない。どこまででもレンズを向ければ見えるんじゃないか、と口に出した疑問には、そうではないから俺たちがここにいる、と低い声で上司が答えた。
「まず第一に、連中の拠点は光学迷彩完備だ。ワームやらキメラはそうでもないが、細かい動向はここから見てるだけではつかめん」
 結局、人の目に頼らざるを得ない。バグアのアンチジャミング下では、高度な電子機器はそうながく持たないのだから仕方が無かった。それに、封鎖網のある低軌道を抜け高軌道まで上がったとしても、カンパネラ学園から見えるのは地球の半分以下だ。白羽の矢が立ったのは、高速輸送艦だ。輸送艦と行っても、リギルケンタウルス級のような大型艦ではなく、せいぜい8機程度のKVを配達する艦種。そこからKVを積むコンテナ2つのうち1つを居住ブロックに積み替え、もう1つを観測デッキに変えれば、簡易監視所のできあがり、というわけだった。
「一回の出張はだいたい1週間。その間、この小船でのんびりお外を眺めてればいい。ジャングルでうろうろするのに比べれば簡単な仕事じゃないか」
「ああ。緊急事態を知らせれば、騎兵隊が飛んできてくれるらしいしな」
 乾いた笑顔を見せてから、男たちはするべき事をする為に、動き出した。
 かくして、宇宙ステーション011号の任務が始まろうとしていた。

 宇宙要塞カンパネラ――。
 ULTオペレーターの綾河美里(gz0458)は、司令センターでモニターと向き合い、有事に備えて宇宙空間に警戒の目を張り巡らせていた。
「わふ〜‥‥‥‥わん!」
 モニターと睨めっこしていた美里は、息を吐き出してデスクに突っ伏した。
「宇宙空間にいると、意識しなくても疲れが溜まってしまいます〜。何と言うか‥‥‥‥ここでモニターを見つめているだけでも、押し潰されてしまいそうです〜。敵はいつ来るのか、異変はいつ起こるのか、心が休まる時がありません〜」
 すると、隣の男性オペレーターが肩をすくめて美里に言った。
「美里、お前ちょっと緊張感無さ過ぎだぞ。オペレーターは最初に現場からの緊急事態の報告を受けるんだから、もうちょっと真面目に仕事しろ。一分一秒を争う現場の命が掛かってるんだ」
「うう‥‥‥‥すみません‥‥‥‥。私、宇宙に配属されるなんて思ってなかったし、新鮮な空気が吸えないと死にそうです‥‥‥‥」
「馬鹿言うなよ。やる気あるのか? オペレーターは誰でもなれるわけじゃないんだぞ。お前さんは選抜試験で優秀な成績を収めた優等生だろう。しっかりしてくれよ」
 そこへ、チーフの女性がやってくる。
「どうしたのあなたたち。何か揉め事?」
「すみませんチーフ。美里の奴、また落ち込んでるみたいで、どうにかして下さいよ。これじゃこっちも仕事になりませんよ」
「美里さん、まだホームシックなわけ? 宇宙に上がって一カ月でしょう。そろそろ仕事にも慣れてもらわないと困るのよ」
「す、すみませんチーフ‥‥‥‥でも、でも、宇宙がこんなに過酷だって思わなくて‥‥‥‥」
「美里さん、ここは最前線を支える重要な枠割を担っているんだから、あなたには頑張ってもらわないと。ラストホープから全員を回すわけにもいかないんだし、それに、この間はあなたしっかりやり遂げたじゃない。もっと自信を持ったらどうなの」
 チーフの言葉にどうにか折れそうな心を持ち上げる美里。
「すみませんチーフ‥‥‥‥私みたいな駄目オペレーターで」
 美里の言葉にその頭をぐりぐりにしてやりたくなる衝動を抑えるチーフ。チーフ、頭痛を押さえつつ、美里をなだめ持ち上げる。
「大丈夫よ美里さん。あんなに優秀な成績で選抜試験をクリアしたのは、ULTでも一握りの秀才たちなんだから。あなたならきっと大丈夫!」
 チーフのガッツポーズに、美里は「はい!」とガッツポーズを取る。美里、案外立ち直りも早いようだ。
 ――と、モニターに警告が出る。
「あれ? 警告ですね! 宇宙ステーション011号からのスクランブルですね! 大変です! またまたワームと宇宙キメラの侵入が来たみたいです!」
 美里の眠れる意識が目覚めたように、彼女は素早く端末を叩いて回線を開くと、待機中の傭兵たちにスクランブルをかけるのだった。
「こちら司令センター! スクランブルです! 待機中の傭兵は直ちに高速艦艇に向かって下さい! 整備班、至急KVを高速艦艇に手配して下さい! 宇宙ステーション011号よりワームとキメラの侵入ありとの報告が入っています! 傭兵のみなさん、艦艇の中で情報を受け取って下さい。追って指示を出しますので宜しくお願いします――!」

 バグア軍の攻撃部隊――。
 二人の異星人ヨリシロ、ティターンに搭乗する隊長のジ・ダールと、同じくティターン乗りの副官ワッドアットは、麾下の戦力をとりまとめながら、宇宙ステーション011号に接近しつつあった。
「さて‥‥‥‥重力を飛び出してきた人間たちだが、早速宇宙用KVでドゥ・ヴァルガとミディスの部隊が壊滅させられるとは、驚きじゃないか」
 ジ・ダールの言葉に、ワッドアットは真摯に頷く。
「驚きよね。宇宙用KVを甘く見てたわ。四次元空間の生命体が私たちに到達できるはずが無いって思ってたんだけど、そうは言ってられないみたいね」
「一定の物理法則が働く世界にいる以上、俺達と能力者は対等の位置にいる。現実に地球でゾディアックやジハイドが死ぬのを見ても、どこか別世界の出来事だと思っていたが」
「宇宙で戦うのは初めてじゃないけど、私たちが負けることってなかったのよね。あのエミタがこんなに恐ろしいものだとはショックよね〜」
「エアマーニェ様は対策を打つおつもりだろうが‥‥‥‥ゲバウ様の懸念が現実のものとならなければいいがな」
「この戦い、分からないわね。私達が滅びることは無いでしょうけど‥‥‥‥甘く見てると被害が甚大なものになるかもね」
「いずれにしても、惑星を直接攻撃せずとも、地球人の新たなヨリシロを手に入れる機会は訪れたわけだがな」
「それには同感ね。地球人とのコンタクトには危険もあるけれど――」
 バグア人たちは笑声を上げると、宇宙ステーションに向かって加速するのだった。

●参加者一覧

潮彩 ろまん(ga3425
14歳・♀・GP
UNKNOWN(ga4276
35歳・♂・ER
アルヴァイム(ga5051
28歳・♂・ER
狭間 久志(ga9021
31歳・♂・PN
アーク・ウイング(gb4432
10歳・♀・ER
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
神棟星嵐(gc1022
22歳・♂・HD

●リプレイ本文

 高速艦の中で――。
「宇宙ステーションに攻めてきた、悪い宇宙人と宇宙怪獣を、メリーさんの力でやっつける! 世界の平和や宇宙ステーションで頑張ってる人達の為にも、悪い宇宙人の好きにはさせないんだもん! 可愛くて思わず購入しちゃった、メリーさんで出撃だよ。みんな悪い宇宙人、やっつけようね!」
 潮彩 ろまん(ga3425)は元気いっぱいに言った。
「よしよし」
 今日もクールなUNKNOWN(ga4276)は、満足げに頷く。
「年若い者が勢い元気あるのは何ゆえか嬉しいね。俺も‥‥自分の少年時代を思い出すよ。そう、あれは十五歳の冬‥‥俺は‥‥」
「はいはい?」
 ろまんだけじゃなく、仲間たちはUNKNOWNの過去が聞けるのかと、ずずいっと身を乗り出した。
「何てな。はっはっは、少年時代のことなんて忘れてしまったよ」
「なーんだつまんないの!」
 ろまんはぷーっとほっぺたを膨らませてぶんぶんと首を振った。
「ま、俺にも多感な少年時代があったと言うことは確かだがね」
 UNKNOWNは言うと、口許に笑みを浮かべる。
「ボクは、アークちゃんと組んで宇宙人の動きを妨害したり、戦場の動きをよく観察して支援に回るから。よろしくねアーちゃん!」
 アーク・ウイング(gb4432)は、ろまんの言葉ににっこり笑った。
「はい! ろまんさんよろしくお願いします。アーちゃんもピュアホワイトだからね。電子支援はお任せなのです」
 ぐぐっと拳を握りしめるアーク。とは言え――。
「初めての宇宙戦だね。ちょっと緊張するけど、がんばるぞ」
 と呟く。続いて、
「そういえば、綾河さん担当分の前の報告書を読んだけど、ティターンもいた敵部隊を壊滅させたみたいだね。なら、今度も同じくらいの戦果を上げないとね」
 と気合を入れている。
「はい! 前回は皆さんの頑張りのおかげで、戦果を上げることが出来ました! 私も少しは役に立てたでしょうか‥‥」
「綾河さん、良く頑張ってますよ。今回もよろしくね!」
 十歳も離れたアークに励まされる美里。
「まあ宇宙と言っても空と同じ感覚と認識の世界だから、ね。宇宙は人にとり生きる環境ではない。それは海の中とも共通する。――星瞬かず。イルミネーションに見える宙も美しく神秘的だと見続けてはいかんよ。魂も吸いこまれるから、ね」
「UNKNOWNさん‥‥」
 美里はUNKNOWNの幻惑的な台詞に感動したようである。
「かっこいいです‥‥はっ! 仕事しないと! えーっと、敵ワームのヨリシロの反応からネームド機体であることが判明しました。識別反応から、ティターンに搭乗するのはヨリシロ。ジ・ダールとワッドアットと言う異星人のようです」
「異星人ですか‥‥と言っても中身はバグア人なのでしょうが」
 アルヴァイム(ga5051)は、思案顔で続ける。
「エアマーニェは言いました。優秀なヨリシロを提供するのと引き換えに、人類の存続を認めると。それがバグア人全体の意思なのかどうかはともかく、エアマーニェと言うのはやりにくい相手となりそうですね。‥‥あれからワシントンで何が起こっているのか、全く情報が入ってきませんしねえ‥‥オリム中将や軍部がどう出るのか、正直何か嫌な予感がしないでもないですが‥‥」
「ま、まあそこまで僕たちが気を回しても仕方ないんじゃないですか。軍がどう動くか、決められるわけじゃないですし‥‥」
 狭間 久志(ga9021)は言うと、眼鏡を押し上げて吐息した。
「とにかく、宇宙ステーション011号を無事に守りませんと。ハヤブサが宇宙でもやれるか、この一戦で見極めるかな。とはいえ、今更ハヤテとか買うのもないんだけどね」
「準備にはいくら時間を掛けても惜しくは無いですからね。考えすぎなのは分かっているんですがね‥‥黒子の性でしょうか」
「僕なんか元々なりたくて能力者になったわけじゃないですから。とにかく戦争を終わらせて、ゆっくり彼女と休暇にでも出かけたいですよ」
 狭間は言って、吐息した。
「今回は孫六さんとペアですね。宜しくお願いしますね」
「ガッハッハ! 悩み多き青年だな狭間氏! 苦労が絶えんね!」
 孫六 兼元(gb5331)はいつものように豪快に笑うと、ちょっと他人事のように言った。
「ワシも戦争で自分を見失うこともあったが、傭兵は軍隊とは違うし、この星の人々のため、ある意味これも立派な奉仕ではないかね」
「孫六さんは逞しいですね‥‥尊敬しますよ」
「ガッハッハ! と言って、狭間氏も良い年だろう! 大ベテランじゃないかね」
 孫六が言うと、狭間は苦笑する。
「さて! 久々の宇宙だな!! 地上と宇宙を行ったり来たりと、バグアも少しワシを休ませて欲しい物だな!! 今回はスフィーダに騎乗する! コイツは試作機で一度、戦闘しとるからな! 勝手知ったる何とやらだ! 装備しているウィングエッジも、意見聴取でワシが進言した物だから、その思い入れは誰より強い!! 今回はウィングエッジでの戦闘を主体に行くぞ!! 地上も宇宙も、ワシの戦う本道は『刃を交える事』だからな! ガッハッハ!! まぁワシが乗ると、騎士ではなく武士だがな!!」
 孫六は言って、牙を剥く。
「ステーションには行かせん! 此処には恐い、通せんぼ鬼が居る事を教えてやる!! 狭間氏! 宜しく頼むぞ!」
「神棟さん今回はよろしくね、ボク、ハイスピード・エンジェルのソーニャだよ」
 ソーニャ(gb5824)は言って、にこりと笑った。この笑顔には色んな顔が隠れている‥‥。
 神棟星嵐(gc1022)は知人のソーニャの笑顔に、「よろしく」と頷く。
「このように組んで出撃するのは初めてですね。足手まといにならないよう頑張りますので、宜しくお願いします」
「大丈夫だよ神棟さん。美里さんがばっちりフォローしてくれるよ」
「そうですね。綾河殿は宇宙での仕事、慣れましたか? 中々体験する事も無いでしょうから、ポジティブに行きましょう」
「神棟さん‥‥すみません。何だかご心配かけちゃったみたいで‥‥でも大丈夫です! みなさんが集まって下さって、私もやるぞっ、て頑張らなくちゃ、て」
「そうですよ。それにしても、高速輸送艦を使った監視所、これなら交代も容易ですし何かあれば自力で離脱も可能と言うわけですか。しかし、良い結果を出す前に落とされてはどうしようもないですね。頑張りましょう」
「はい!」
「美里さん? ホームシック? 怪談?? 学園に怪談はつきものだからね、当然あるさ。パジャマパーティーでもしようか」
 ソーニャが言うと、美里はおかしそうに笑った。
「きゃ〜! パジャマパーティーなんて懐かしいですね〜! 小さい頃、疎開先の学校でよくみんなで教室中で遊びましたっけ」
「そう‥‥ボクも気付いたら能力者の研究施設にいたんだ。小さい頃の記憶が無くて‥‥」
 ソーニャ、冗談の通じない美里にリアクションに困ってしまう。
「あ、すみません‥‥私何か気に触ることでも言いましたか」
「ううん‥‥いいんだよ。美里さんがちょっと羨ましいかなって‥‥ね」
「ふむふむ、悩みなら俺が聞こうか。UNKNOWN博士の悩み相談室とかあるよ」
「UNKNOWN博士って、自分で言っちゃうかな〜」
「こう見えて、巧みなセンスでフレンドリーなジェントルマンだからね、俺は」
「それはそれでちょっと怖い気がするよ‥‥UNKNOWN博士」
「あ、そう」
 UNKNOWNは肩をすくめる。
「みなさん! 最後の情報確認です! メインモニターを見て下さい。詳細データを出します!」
 美里の言葉に、全員モニターに注目する。
 そうして、高速艦の発進態勢が整うと、傭兵たちを乗せた艦は暗黒の宇宙に飛び出して行った。

 ――傭兵たちは高速艦から発艦すると、戦場に突入する。さらにブーストで加速すると慣性の働きを利用して宇宙空間にもの凄い速度で突進していく。
 ろまんはピュアホワイトクリスマスのメリーさんのコンソールに浮かぶパラメータに頭がぐるぐる。
「わわわわ、何か数字が一杯で‥‥(ぷしゅー)」
「大丈夫ですかろまんさん」
「アーちゃんこれどうしよう‥‥!」
「大丈夫ですよ、エミタに任せておけば調整してくれます。みんな、キメラが接近、複数編隊で戦闘隊形」
 UNKNOWNとアルヴァイムはEPWとデータリンクし、敵軍の情報を確認する。
「慣性制御と言っても物理学がひっくり返っている訳ではないから、ね。計算できる程度なのだよ――神に祈らずとも」
「キメラ、来ますよ」
「アルヴァイム、まず俺が受ける。回避するから真後ろに位置取りしないよう」
「了解」
 UNKNOWNはライフルを連射してドラゴンキメラのレーザーを回避しつつ撃破していく。
「汝さすがですね」
 言いつつ、アルヴァイムはUNKNOWNの横から飛び出すとライフルを叩き込んでいく。砕け散って行くキメラ群。
「先ずは細かい邪魔者を掃除するとしようか!! 狭間氏!」
「お、オーケー孫六さん!」
 二人はバレルロールで回避突進すると、ドラゴンキメラをライフルで破壊、更に加速してソードウイングとウィングエッジで切り掛かる。
「ぬう――!」
 孫六は切れ味抜群のウィングに牙を剥く。
「ガッハッハ! これは爽快!」
 狭間と孫六はキメラを切り裂く。
「神棟さん、そっちへ一匹お願い」
「了解しました」
 ソーニャはブーストと姿勢制御装置で相対速度と位置取りを合わせつつキメラを撃ち落としていく。
「UNKNOWN殿、神棟です。ミサイルロックオン完了。タイミング合わせますので、いつでもどうぞ」
 ロヴィアタルでタロスと宇宙キメラをロックオン。
「おおっと、神棟かね。了解したよ」
 UNKNOWNは発射時狙われぬように一瞬横にずらし、K02を発射。
 神棟はアグレッシブ・ファングを使用しつつ全弾発射。
 1000発を越えるミサイルがキメラとタロスを直撃する。深淵の宇宙空間に束の間の煌めきとなって爆発の光が飛び散った。
「よーしボクも分かって来たぞ! 各機データリンク! 仰角30度、二時方向、距離300にドラゴンキメラ前進!」
「了解ろまん」
「宇宙人にも干支ってあるのかな? 辰年だからって、あんなに龍を揃えなくてもいいのに」
 と、ミサイルポッドで悪い宇宙怪獣をやっつけちゃう。
「明けましておめでとー、メリーさんからのプレゼントだよ!」
 ミサイル直撃! キメラが爆散する。
「G放電ミサイル発射!」
 アークはキメラをロックオンすると、ミサイルを連打する。キメラたちは反撃のレーザーを展開するが、G放電を受けて粉々になった。
「よし道が空いたな。アルヴァイム、まだいけるかね? ではLet’s Bebopに派手にいこう、か」
 UNKNOWNとアルヴァイムはキメラ群に加速すると、立ち塞がるそれらを次々と撃ち落としていく。さらに旋回して姿勢制御装置で微妙な角度を変えつつ、キメラを破壊していく。
 狭間と孫六もソードウイングとウィングエッジを中心に切り掛かる。タロスにキメラを破壊していく。
「神棟さんお願い」
 ソーニャは神棟の射角内に逃げつつバレルロールで回避する。
 神棟はガトリングで撃破する。
「ありがとうね☆」
「何のですよ――とと」
 神棟は接近して来るタロスに対して変形。ライチャスで打ち合う。一撃二撃と打ち合いタロスを切り捨てた。
「孫六さん援護お願いします! いったん離脱します!」
「了解した!」
 狭間は高速艦に補給に戻る。
 そこで、ジ・ダールとワッドアットから通信が入る。
「ようこそ地球人、墓場の宇宙へ。君たちの棺桶にはぴったりのサイズのようだね。そのナイトフォーゲルは」
「うふふ‥‥おとなしく捕食されなさい。ヨリシロとして可愛がってあげるわ」
 二機のティターンが出て来ると、残党のキメラは集結して咆哮した。
「何を言ってるの悪い宇宙人! ヴィジョンアイで宇宙人の悪い心をピピッと見抜いて、みんなに連絡しちゃうからね!」
 ろまんは言って、ヴィジョンアイを起動する。
「メリーさんにはお見通しだもん‥‥…みんな、今だっ!」
「ぬっ――!」
 ワッドアットは加速するUNKNOWNとアルヴァイムに反射的に防御態勢を取った。
「ジタバタするなバグア人。ここがお前の墓場の宇宙だ」
 UNKNOWNはライフルを叩き込む。
 アルヴァイムはCA−04Sチェーンガンを撃ち込む。
 ティターンの装甲が激しく吹っ飛ぶ。
「何を‥‥! 地球人が‥‥!」
 ワッドアットは反撃のプロトン砲を連射する。UNKNOWNとアルヴァイムは抵抗で受け止め、攻撃を撃ち込む。
 ワッドアットはキメラを盾に動くが、二人はその壁を突き破った。バグア人は、突進して来るUNKNOWNと【字】を最後に見つめていた。そして、ティターンは猛烈な銃撃を受けて爆発四散した。
「な、何だと!?」
 ジ・ダールは驚愕したように閃光を見つめる。
「下等生物が我々に牙を剥くとは‥‥!」
 ジ・ダールは怒りに任せて加速する。
 狭間が突進して来る。ブースト機動から機首のみ回頭させてのスライド射撃。
「宇宙ならではっていうのかな? こういうのはさっ! 景色が真横に流れるとか、地上じゃありえないよね! 宇宙新しいな!」
「おのれ!」
 アークはヴィジョンアイを起動すると自身も側面から突進。レーザーガンを叩き込む。
「ジ・ダール、覚悟!」
「異形のヨリシロか?! 初めて戦うな! どんな力を持つか、見せてもらおうか!! 初撃に全開で行く! メテオブースト!」
 アークの攻撃に合わせて孫六はウィングエッジを叩き込んだ。
 ティターンの装甲が破壊されるも、ジ・ダールはプロトン砲で反撃してくる。
 さらにソーニャが支援攻撃をするのに、神棟が変形しつつ加速する。アグレッシブ・ファング/ブレス・ノウを使用してライチャスを叩き込む。機剣がティターンを一刀両断。爆発四散するティターン。
「よし。では少し頼みます。自分は補給に戻ります」
「ガッハッハ! ワシもいったん戻るかな。みな頼む!」
「了解したよ」
 それから傭兵たちは無人タロスを撃滅し、逃走するドラゴンキメラを叩いた。

「やあ――」
 帰還時、UNKNOWNはステーションに立ち寄った。お菓子とトランプとお酒を差し入れる。
「お疲れさんだったな。お見事だったよ」
「まあ、ね。ちょっと観測装置を見せてもらえるかな」
「何だって?」
 UNKNOWNは観測艇の観測装置に手を入れ、3Dの画像処理、観測者への負荷を減らすプログラムをインストールしようとするが。
「いやいやUNKNOWN、ここのシステムはUPCの最新型だ。心配には及ばんよ」
「そうかね。それは残念」
 UNKNOWNは言って、ソフトを仕舞いこんだ。
「わーい無重力!」
 ろまんはくるくる回りながらその傍らを通り過ぎて行く。
「お疲れ様でした。じゃ、アーちゃん達は帰りますね。頑張って下さい」
 そうして、傭兵たちはカンパネラへの帰路に着くのだった。