タイトル:コーター攻略戦マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/12/17 09:42

●オープニング本文


「皆の者よ、わしはこの惨事に怒りを覚えずにはおれん。このような暴挙に出たナラシンハ(gz0434)を倒さぬ限り、インドに真の和平はありえないのじゃ――」
 ランジット・ダルダ(gz0194)は、テレビで全国民に向かって言葉を向ける。ナラシンハが次に攻撃したのは北部の都市、コーター周辺の占領地域だった。そこにはまだ生き残った人々がいて、捕らわれていたのだが。またしても無差別攻撃が行われたのだった。
「どうすればこの戦いを終わらせることが出来るのか? 答えはただ一つ、デリーを完全に解放し、ナラシンハを倒すことに他ならぬ。いまや、我が国は一丸となってこの憎むべき敵に全ての力を以って相対しなくてはならぬ。このバグア人に人の心は残っていない。あるのは我が国を殲滅するための凶暴で邪悪な意志だけじゃ。わしはインド軍の復権のためにも東アジア軍に対して全面的な協力を惜しまぬつもりじゃ。そして、この星の希望である能力者のみなの力も借りたいと思っておる。ナラシンハを倒すために、みなの力が必要なのじゃ――」

 コーターから東へ100キロ。UPC軍の前線基地である都市、グナ――。
「ナラシンハの拠点が判明した、と報告があった」
 基地司令官は言って、司令室を見渡す。
「我々にとっては忘れ難い、ラインホールドによって滅ぼされたあのマールデウだ。ナラシンハはそこで指揮を取っている、らしい。敵地であるためにまだ確実なことは言えないが。まずはデリーを取り戻し、国の北部全域を解放する必要がある」
 それから、司令官はスクリーンに映像を出した。
「バグア軍基地のコーターだ。ここを撃破すれば、デリーを取り囲むバグア軍基地の半分以上を我が軍が押さえることになるはずだ。残る敵基地も破壊し、デリーへ向かうぞ。ではこれより作戦を開始する。みな前線の傭兵たちの支援を頼む」
 そして、司令官はテレビ電話で傭兵たちに連絡する。
「――傭兵部隊、作戦開始だ。コーターへ向かってくれ。敵の戦力と基地を破壊してくれ。よろしく頼むぞ」
 また、ULTから派遣されている情報分析官のフローラ・ワイズマン(gz0213)は、回線を開くと、傭兵たちに呼び掛けた。
「こちらイーグルワン。デルタチームのみなさん、これより司令部から電子支援を開始します。よろしくお願いします。作戦の成功を祈っています――」

 コーター、バグア軍基地――。
 ヨリシロのアレン・キングスレーとマリア・シュナイダーは、迎撃の準備を進めていた。
「ナラシンハの奴、手落ちだな。コンピュータにマールデウの情報を残していくとは。迂闊だぞ」
 キングスレーは言いつつ、ティターンに向かう。
「まさかわざと足跡を残したわけじゃないわよね」
 プラチナタロスへ歩いて行くマリアの問いに、キングスレーは首を振った。
「そんな切れる奴なら前回のようなあんな馬鹿な演説はしないだろう。ミスしたんだ」
「ばれたって教えないの?」
「教えてどうなる。事態がどう転んでも、あいつにインドから逃げる道はないんだからな」
「デリーに接近されたら、ナラシンハはどうする気かしらね」
「そうだな‥‥そう言えば例の秘密兵器を出してくるかも知れんな」
「秘密兵器って‥‥そんなものあるの?」
「一応上級バグアだからな。持ってるんだよ秘密兵器を、あいつは‥‥。さ、行こうか。マリア、お前ももう少し手厳しく行った方がいい。ちょっとタロスを失い過ぎだな」
「あら、誰に向かって言ってるのよ」
「‥‥頼んだぞ」
 キングスレーはティターンに乗り込む。
 マリアは口許に笑みを浮かべると、プラチナタロスへ乗り込んだ――。

●参加者一覧

ソード(ga6675
20歳・♂・JG
堺・清四郎(gb3564
24歳・♂・AA
アーク・ウイング(gb4432
10歳・♀・ER
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
御守 剣清(gb6210
27歳・♂・PN
神棟星嵐(gc1022
22歳・♂・HD
ドゥ・ヤフーリヴァ(gc4751
18歳・♂・DF

●リプレイ本文

「ようやくここまで来たか。インドもクライマックスに近いか‥‥ナラシンハの拠点も判明したところで、お互い総力戦かな」
 ソード(ga6675)は持参して来た安物の薄くしたお茶のカップを片手に、呟く。
「ところで――」
 と、モニターに映る分析官のフローラ・ワイズマン(gz0213)に尋ねる。
「フローラさん、あのマリア・シュナイダーのデータはあるのかな」
「これだろうと言うものは出て来ています。2000年代初めに活躍したUPC軍の戦闘機乗りだったようですね。所属は欧州軍。腕利きのエースパイロットだったようです」
「なるほど‥‥軍人か。それにしても、冷静なヨリシロだからなあいつは――」
 堺・清四郎(gb3564)は、拳と手のひらを打ちつけた。
「ようやくか‥‥ナラシンハ、首を洗って待っていろ! ようやくあのイかれた権力の亡者の居場所がわかったか‥‥。必ずその首落としてやる、だがその前に掃除が必要だ。相手をとって不足はないぞ!」
 そこで、清四郎はジルに言った。
「ジル、例によってミカガミ部隊での攻撃を仕掛けたいのだが、協力してもらえるだろうか」
「いいですよ。堺さんは‥‥これまでにもインドで相当の実績を積まれているようですね」
 ジルは、レポートに目を通しながら、思案顔。
「お任せします。あら、傭兵曹長なんですね。その階級章」
「ああ。まあ、勲章と言うだけだがね」
 清四郎は、白い歯を見せて口許を吊り上げた。
「さーて、今回は久しぶりの空戦だね。まあ、それはさておき、インドもバグアを追いつめてきたとはいえ、油断が命取りになりかねないからね。がんばるぞ」
 と気合を入れているのはアーク・ウイング(gb4432)。
「アーちゃん、空では久しぶりだな! 宜しくな!」
 ソードは言って、アークの白銀色の頭髪をがしがしと掻き回した。
「ソードさんがいてくれて心強いですっ! 密かに凄い人だなあといつも思っているんですよっ!」
「アーちゃんこそ、そんな小さな体で、よく頑張ってるよ。まだお嬢さんだもんな」
「ガッハッハ! アーちゃん氏は、ワシらの妹みたいなものだからな! 生き延びて欲しいぞ! ウム!」
 孫六 兼元(gb5331)は豪快に笑って、腕組みした。
「ナラシンハの拠点の情報は得られた! 一刻も早く奴の首を取り、その凶行に終止符を打ちたい所だ! ワシは、陸戦で攻めるぞ! 宇宙も悪くないが、やはり地に足付いて戦うのがやり易いな!」
 と、ソーニャ(gb5824)がラウル副隊長に言葉を投げる。
「ラウルさん、軍KVにはI01で援護依頼をお願いしたいかな。5機程度で。ソードさんのレギオンバスターを合図で同調攻撃を依頼するよ。後半傭兵はマリアにかかるから一度だけかな」
「ふむ‥‥噂のレギオンバスターか。マリア・シュナイダーは空に来るのかねえ」
「来るよ。必ず――」
 御守 剣清(gb6210)は、事前に軍のオウガ乗りの傭兵たちに空戦の用意をしておくように伝達する。
「仮に、陸を制圧して空が苦戦している場合などに、オウガの離陸機能で空へ向かうことを提案します。備えあれば、ってヤツです。よろしく願いしますね」
「まあ確かに備えあればとは言うが‥‥一応頭には入れておくか」
「ええ、宜しくお願いしますよ、っと」
 御守はにかっと笑った。
「アレン・キングスレーですか。強敵故、何とか退けなければいけませんね」
 神棟星嵐(gc1022)は言って、思案顔で口を開いた。
「軍KVの配備は次のように提案させて頂きます。空にラウル副隊長殿麾下、シュテルン×10、ディアブロ×5、フェニックス×5。陸にジル大隊長殿麾下、ミカガミ×5、雷電×10、オウガ×3、破暁×2で。自分は破暁に同行を要請します」
「ふむ‥‥いかがです隊長」
「いいでしょう。空と陸にバランス配備ですね。制空権の確保も重要になってきますし、それでいきましょう」
「ありがとうございます」
 ドゥ・ヤフーリヴァ(gc4751)は、どこかおどおどとした口調で、言った。
「親玉の情報を手に入れても油断しない。嫌な予感がしても今は先に進むしかない。ジレンマだけど‥‥トゥオマジアと散歩再開だ」
 トゥオマジアとは何なのか? それは恐らくヤフーリヴァにしか分からない言葉なのだが‥‥その意味は謎である。
「空にソーニャ君、アーちゃん君、ソード君、そして僕。陸に兼元君、清四郎君、御守君、神棟君ですね‥‥! 軍のみなさんも、連携お願いします!」
「了解しました――」
 ジルは頷き、それから傭兵たちと部下達を見やる。
「それでは行きましょうか。フローラ、支援をよろしくお願いします」
「みなさんお気をつけて」
 そうして、傭兵たちは出撃する――。

「兵装1、3、4、5発射準備完了。PRM『アインス』Aモード起動。マルチロックオン開始、ブースト作動。ロックオン、全て完了! 『レギオンバスター』、――――発射ッ!!」
 ソードのレギオンバスターが炸裂する。二千発を越えるミサイル群の放出だ。
 アーク、ソーニャ、ヤフーリヴァに軍傭兵たちもミサイルを叩き込む。
「FOX2ミサイル発射!」
「これが超絶レギオン、か‥‥食らえFOX2!」
「ファイア!」
 アクロバットに回避しつつ、だが次々と命中を受けて、カスタムタロスが爆炎に包まれる。
「今回は戯言はなしだよ。言葉遊びは好きだけどね。もっと差し迫った衝動を優先。ナラシンハや世界よりもね――」
 ソーニャは言った。
「ボク、もう、渇きが限界きちゃってるみたい。思いっきり飛びたくて、うずうずしてる。いくよエルシアン! GO!」
 ソーニャは飛び出した。アリス常時起動。バレルロール、スリップで敵をかわし突入攻撃。GP−02、レーザー、離脱。ターン機動を少なく、高速を維持。エルシアンを起点として後続機への攻撃につなげる。
 カスタムタロスの一機を抜くようにエルシアンが貫通する。カスタムタロス爆散――!
「最近抑え気味だったからね。ここではじけるのもいいかな」
 ソーニャは後ろを振り返った。
「全機ドッグファイトに備えろ!」
 加速するKV。
 アークはバレルロールで突撃すると、すれ違いざまにガトリングでカスタムタロスを撃ち抜いた。
「アーちゃんしてやったり!」
 ヤフーリヴァは、カスタムタロスの側面に回り込むと、リンクススナイプとテールアンカーを用いて、スナイパーライフルを叩き込む。
「僕のトゥオマジアが加速する‥‥! フヒヒ」
 ソードはエニセイで敵ワームをエニセイでずたずたに撃ち抜く。
「マリア、またまたソードだ。さっさと表に出て来いよ。そのうち部下がいなくなるぜ」
 すると、上方から、白金色のプラチナタロスが出現し、数百のミサイルを叩き込んで来る。
「言ってくれるわね人間。でも、私とシスを一緒だと思わないことね」
「来たな‥‥行くぞ! ラウル隊長! 強化人間をよろしく! 俺たちでマリアを押さえる! ――行くぞみんな!」
「ふふ‥‥来なさい」
「思いより先に体が、機体が動く。刹那が永遠に引き伸ばされる白い時間。悲しみも迷もない魔法の時間」
 ソーニャは加速した。アリス、マイクロブースト、通常ブースト併用。連続バレルロールで加速してGP7集中射出。螺旋に入り乱れるミサイルを影にブーストで無理やり体制を直しブーストの加速そのままに突入。G放電。
「ふふ‥‥ソーニャ傭兵ね」
 プラチナタロスは回避しつつプロトン砲で反撃。
 エルシアンはハーフロール、スリップで機体位置をずらし回避しつつも機首は向けたままレーザーで反撃。GP07射出、弾幕にして離脱。
「今よ、集中攻撃。一気に押し込めー!!」
 続いて加速するアーク、ヤフーリヴァ、ソード。
 アークはブーストで側面に回り込んで攻撃する。PRMシステム・改で攻撃を最大強化し8式螺旋弾頭ミサイルをありったけ叩き込む。
「インドの戦況はそっちが苦しいみたいだけど、このままナラシンハのボケと運命を共にする気かな」
 と挑発する。バグア側に奥の手がないか探りを入れるのが目的なので、挑発自体の結果については期待していない。
「ナラシンハと運命を共にする? もしかすると、そんな結末もありかもしれないわね。地上に降りて短いけど、私の命数は案外そんなものだったかもね」
「今更、無駄なあがきだと思うけどね。それとも、逆転の一手でもあるの?」
「逆転の一手か‥‥それは、いずれにしても私の最後になるわね。限界突破がその時よ」
「何だって? へー、そうなんだ」
 ヤフーリヴァは、マリアの背後に回り込むと、スキル全開でライフルを叩き込んだ。
「僕のトゥオマジアが咆哮する‥‥! フヒヒ‥‥これで君の心に穴を開けてあげるよ」
「それで終わりかハートブレイカー」
 マリアはアクロバットな機動でヤフーリヴァのエスプローラトーレ・ケットシーにライフルを叩き込む。
「トゥオマジアー!」
 ヤフーリヴァはバレルロールで回避して、ミサイルポッドを全弾叩き込んだ。
「ふふん」
「食らえマリア!」
 続いてソードのエニセイが八連射――。吹っ飛ぶプラチナタロス。
「恨みも憎しみもなく。唯、互いの命を食い合い高みを目指す白い時間。死んだ仲間も敵もこの中にいる。だから信じてる。再び一緒に飛ぶ日を。行き着くその先に、再び君と」
 ソーニャは言って、照準先のプラチナタロスを見据える。
 マリアは応えた。
「それでは、私も天国の空でお前と飛ぶ日が来るかも知れないわね、ソーニャ傭兵――」

「――キングスレー戦は久方ぶりになりますね。あの時と比べれば情勢も大分変わりましたし、そろそろ退場して頂きたい所です」
 神棟は言うと、コンソールに目を落とした。
「破暁2機は自分と共に前衛に出て頂きます。援護当てにしてます」
「了解、神棟機」
 コンソールに疾走して来るカスタムタロスの集団、それからティターンが映る。
「行きましょうか」
 清四郎はミカガミ部隊とともに矢型の陣形を敷いて相手に斬り込む。自身は矛先となりまっ先に斬りこんで味方の士気を上げる。
「敵の練度にバラつきがあるみたいだな‥‥これならいけるな」
「敵プロトン砲来ます!」
「迎撃! 射撃は牽制程度にとどめ、相手に肉薄することに集中しろ! 首を置いて行け! バグアども!」
「それじゃあ、いっちょ行きますか! 鬼吼刃牙の咆哮、轟かせてやりますよ!」
 御守は加速すると、スパークワイヤーを用意する。
「ガッハッハ! まずはワシが道を作ってやろう!」
 孫六は敵一団を種子島の射程に捉えたところで、先制してストライクAC併用で掃射する。
「陸戦班、進軍の花道はワシが作ってやる!」
「突撃!」
「全機突入!」
 孫六は吶喊すると、手頃なカスタムタロスに突進のスピードを乗せた機剣の一撃を叩き込む。
「呆けとると命は無いぞ! ‥‥おっと、もう遅かったかな?!」
 真っ二つに切り裂かれるカスタムタロス。
「よーし食らえや!」
 御守はスパークワイヤーを投げつける。ワイヤーに絡んだカスタムタロスが腕を振り回す。御守はワイヤーを引くと、加速して機刀で敵機を切り裂く。
「破暁、援護お願いします」
 神棟は言いつつ、装輪走行で回り込むと、レーザーカノンと高分子レーザーガンで牽制を行う。友軍の破暁が連携して、敵機を破壊していく。
「行くぞ! ミカガミ隊切り込め! ただし友軍と連携を密にしろ!」
 清四郎は言って、加速する。機刀でカスタムタロスを両断する。
「雑魚どもは手早く片づけて行けよ! エース、ネームドに備えろ!」
 御守は手足、武装を狙う等して無力化、可能な限りパイロットは生かす方向で戦う。
「もう戦る気がないなら、投降してくれ」
 だが、そんな甘い敵はここにはいない。胴体に据え付けられたプロトン砲で応戦して来る。
「ちい‥‥! まだやる気かよ!」
 御守は、カスタムタロスを破壊して止めを差した。
 やがて、ティターンが前進して来ると、軍KVを一撃で粉砕した。
「会いたかっぞ! キングスレー! 馬鹿な上司のことは俺との剣舞で忘れさせてやる! 忠を尽くすならば自身に尽くせ! ナラシンハなんぞのために戦うな!」
「堺清四郎か、自身に尽くすからこそ、俺は俺なりにここにいる。ナラシンハのためじゃない。それでも、俺はここを離れることが出来なくなりそうだ」
「何だそれは! 辞世の句でも読んでいるつもりか! 俺が読んでやる!」
「ガッハッハ! キングスレー、ナラシンハは何をしたいんだ? ワシには奴の行動に、バグア軍としての意識より個人的な妄執しか感じられん! いっそ、お前が奴のポストに納まれば、まぁダム・ダルと同等とは言わんが、良い指揮官になるのではないか! それに、その方がワシも、なお倒し甲斐が有ると言う物だ!」
「言ってくれるな孫六兼元。だが、俺は俺の命数を使い果たすまでは地上にいる。恐らく、俺は宇宙へは帰ることはできないだろう。ならば、残された時間をバグアの戦士としてお前たちの記憶に残そう」
「こいつがキングスレー‥‥確かに並み外れたものを持っている」
 御守は、カスタムティターンが放つ威圧感に腕が震えた。
「おい、しっかりしろ俺。びびってどうする、ちっ‥‥」
「キングスレー、貴公との決着、そろそろ着けたいところですね。ここインドが貴公の墓場になるのでしょうか」
「神棟星嵐、俺が死ぬとしても、それは戦士としての死に場所を求めた結果。もっとも、まだインドを離れる可能性もあるのだが‥‥」
「ガッハッハ! 行くぞキングスレー!」
 孫六、清四郎、神棟、御守は切り掛かった。清四郎は雪村全開。
「来い――傭兵ども」
 果たして、キングスレーは二刀を抜くと、四人の攻撃を受け止めた。
「さすが‥‥というところか‥‥」
「ぐぬぬ‥‥やるなティターン」
「キングスレー‥‥」
 ――次の瞬間、ティターンの腕が跳ねると、ブルーゴッデスと鬼吼刃牙の腕を切り飛ばした。
「ちい‥‥!」
 神棟と御守はレーザーとバルカンを叩き込みつつ後退する。キングスレーは剣虎と布都斯魂剣を吹き飛ばして加速すると、鬼吼刃牙をプロトン砲で破壊した。
「キングスレー!」
 清四郎はブースターで切り込み、雪村を繰り出した。高出力エネルギーが吹き出し、後退するカスタムティターンの腕を切り飛ばした。
 だがティターンは至近距離からプロトン砲で剣虎を破壊する。
 続いて、孫六と神棟がティターンの足を狙って攻撃を集中する。それらを慣性飛行でホバーで回避すると、キングスレーはプロトン砲で応戦して戦場から離脱した。
「今日は命を預けておくぞ傭兵たち。続きがあれば、だが、この次は本当にない」
 キングスレーは珍しく笑声を上げて飛び去った。
 やがてワームは撤退していく。
 UPC軍は、コーターを制圧する。

「この先敵がどれ程の戦力を有しているかは分からない。でも少しずつ敵戦力を削り確実にインド解放の為前へ進もう。そうだろ‥‥ペレグジア」
 ヤフーリヴァは言って、コーターの空を見上げる。