タイトル:サマーワ攻略戦マスター:安原太一

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/08/23 17:28

●オープニング本文


 イラク、サマーワ、バグア軍司令部――。
 ヨリシロのアレン・キングスレーは、UPC軍の攻撃に備えて軍団を立て直していた。ブライトンは敗れたが、中東にはまだ多くのワームが健在である。ともあれ、危機的な状況に司令部の半分が悲観主義に支配されているのもまた事実であった。
 キングスレーは黙々と執務室で一人防衛戦の計画を見直しており、この戦いがまだ終わったとは思っていなかった。と、そこへオペレータから通信が入る。
「キングスレー司令官」
「ああ」
「ジャッキー・ウォン司令より通信が入っています」
「ウォン司令?」
 キングスレーはやや驚いたように顔を上げた。
「繋いでくれ」
「はい」
 すると、モニターにアジア統括バグア、ジャッキー・ウォンの姿が現れた。
「ウォン司令、お久しぶりです」
 ウォンはいつものように笑みを浮かべており、キングスレーには何を考えているのか分からなかった。
「何か私にご用でしょうか?」
「中東はどうですか」
「正直申せば、良い結果とは言えませんな。ここ最近連敗続きでして。ご存知かと思いますが」
「ドレアドルが黙っていないでしょう」
「ええ、まあ‥‥と言いますか、しばらくドレアドル司令とは連絡を取っておりませんので。報告は送っていますが」
「連絡を取っていないのですか?」
「あの‥‥ウォン司令、私が何か‥‥?」
「いえ、いいんですよ。これから大変ですよ地上は。頑張って下さい。それでは御機嫌よう」
 ウォンはそう言い残すと、通信を切った。
「何だ今のは‥‥頑張って下さいだって?」
 キングスレーは首筋の辺りに寒いものを感じて手を当てた。ウォンが考えていることなど自分には想像もつかない。本当はウォンは何を聞きたかったのだろうか‥‥。
 と、そこでまたオペレータから通信が入った。
「キングスレー司令官」
「どうした」
「司令室へお越し下さい。UPC軍の攻撃が始まりました――」
「分かった」
 キングスレーは立ち上がると司令室へ向かった。
 室内に入ると、兵士たちの慌ただしい声が飛び交っている。
「アレン」
 女性のヨリシロがやってくる。アマンダ・シス――。
「始まったのか」
「そうよ」
「ナーシリーヤを制圧して、意気上がるUPC軍の様子が目に浮かぶなあ、おい」
「誰のせいでこうなったのよ」
「俺のせいだってのか」
「誰かが敗戦の責任を取らなきゃ」
「それどころじゃないさ。大西洋で起こったことを鑑みればな。それに、次期地球攻略総司令官の方針はお前さんも聞いたろう。停戦だよ」
「ブライトン様が交代するって決まったわけじゃ。それに、次期総司令官はまず敗戦の責任を問うかも知れないでしょ」
「‥‥‥‥」
 キングスレーはアマンダの言葉は無視して、スクリーンに目を向けた。
「UPCの規模は」
「地上にゼカリアと他KVから成る二個集団、空にKV三個集団。大部隊よ」
 キングスレーはオペレータに歩み寄ると、自身の出撃を伝える。ティターンの発進態勢を整えろ、と。
「行くぞアマンダ。俺をおちょくってないで戦場に専念しろ。ここでの最優先事項は戦闘だ。そしてここの指揮権は今は俺にある。だから、お前さんには俺に従ってもらう」
「分かったわよボス。そんなに本気にならなくてもいいでしょう」
「アマンダ、前回は運が良かったんだ。連戦で生き残るのは実際大変なんだからな。UPCを舐めるなよ」
「じゃあ、私に何かあったら守ってくれる?」
「おいよしてくれよ人間のドラマじゃあるまいし」
 キングスレーは手を広げて、アマンダを振り返った。
「私の助けが必要でしょう? 違う?」
「幸運だけじゃ切り抜けられないぞ」
 キングスレーはアマンダを見据えると、吐息して歩き出した。
 アマンダは口許に笑みを浮かべつつ、その背中を追った――。

 UPC軍はサマーワへ全面攻勢に出ようとしている――。
「ジョー、いよいよ楽しくなって来たわね。サマーワを落とせば、バグダードまでは遮るものはほとんど存在しないわ。イラクで勝てるかどうか、ここに掛かってるわ」
 ミカガミ乗りのエース、KVエース大隊の副隊長である長山真琴は、そう言うとレーダーに目を落とした。
 隊長機のフェニックスに搭乗するジョー・ジルダンは大きく笑った。
「まさかここまで来られるとは思っていなかったなあ。イランの端っこから始まって、アラビア半島に、そして今、イラクの敵中枢まで攻め込もうとしている。俺たちには追い風が吹いてるな」
「まあ単純にそうは言えないけどね。敵エースは今でも健在だし、ブライトンが後退したからと言ってワームがいなくなるわけでもないしね。でも、私たちは地球で屈指の危険地帯で連勝しつつあるんだし、バグア軍は混乱の極みにある。これほどの好機はないわね」
「ああ、バグアもどうだか派閥争いで動きが鈍い。俺たちにとっちゃ敵さんのごたごたは歓迎すべきところだし、この機に行ける所まで行かせてもらうぜ! おいみんな! 勝ってバグダードで祝杯をあげるまで、死ぬんじゃないぞ!」
「アイサー!」
「はい隊長!」
 と、ジョーはレーダーに側面から接近して来る敵エースの集団を発見する。
「アレン・キングスレーか、それからこいつは‥‥先のアマンダ・シス。出やがったな。全機! 側面から来る敵エースを押さえるぞ! 近づけるなよ! 行くぞ!」
「今度は決着をつけてやるわよ。ラスホプ組も大丈夫ね? 遅れないで付いてきてよ!」
 真琴は言うと、スロットルを全開にして加速した。
 このKVエース大隊に編成されたラストホープの傭兵たちも、次々と加速していく。
 サマーワ近郊で両軍の大部隊による攻防戦が始まる。ここへ来てUPC軍が数的には優位に戦闘を進めようとしている。
 傭兵たちもその戦場の中へ飛び込んでいくのだった――。

●参加者一覧

ソード(ga6675
20歳・♂・JG
堺・清四郎(gb3564
24歳・♂・AA
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
ソーニャ(gb5824
13歳・♀・HD
夢守 ルキア(gb9436
15歳・♀・SF
美具・ザム・ツバイ(gc0857
18歳・♀・GD

●リプレイ本文

「アマンダ・シス――聞こえますか? ソード(ga6675)ですよ」
 ややあって――。
「軽々しく私の名前を呼ぶな人間――」
「前回の戦闘ではやってくれましたね。あれだけ私を引っ掻き回せるバグア人には早々お目に掛かったことが無いですよ」
「貴様‥‥私をおちょくっているのか!」
「とんでもない。あなたのようなエースと戦えて光栄ですよ。最近はバグア人も混乱気味でしょう。エースを多く失った。強敵がいなくなるのは寂しいものですよ」
「貴様、やはり私をおちょくっているな! 見ておれよ、そのことを後悔させてやる!」
「落ち着けアマンダ――」
 割り込んだのはキングスレー。
「簡単に挑発に乗るな。ソードの罠に落ちるぞ」
「アレン、ソードは私に任せて。あの忌々しい青い機体は私が破壊する」
 ソードは肩をすくめる。
「やれますかねシス。あなたに俺が。フレイアは鉄壁ですよ」
「いちいち勘に障る奴だな貴様! 私をただのヨリシロだと思って舐めるなよ!」
「だからアマンダ――」
 その通信を聞いていた堺・清四郎(gb3564)は、肩をすくめる。
「賑やかなヨリシロだな。それにしても、ミカガミ乗りがいる以上無様な戦いは見せられんな!」
「あら清四郎、レポートは見せてもらったわよ。ラスホプのエースじゃないあなた」
「まあ、そう言うことにしておこうかね」
 清四郎は真琴の言葉に応じると、レーダーに目を落とす。
「ほぼ強化人間搭乗機で構成されたエース部隊とKVのエース大体の激突か‥‥昂るな。そして俺と同じように乗り手の少ないミカガミ乗りがいるのであればなおさら無様は見せられん! いくぞ、勝利を我が手に!」
「随分回りくどい言い方ね。わざわざ乗り手の少ないミカガミ乗りって私のことかしらね」
「確かに、ミカガミ乗りは数が少ないからなあ真琴」
「清四郎、私も渋いミカガミ乗りには惹かれるのよねえ」
「おっと〜、始まったぞ〜」
「あなた軍隊経験があるんでしょ。頼りにしてるわよ」
「大したことは無い。ま、厄介払いされたってところかな」
 孫六 兼元(gb5331)は操縦桿を傾ける。
「ヨリシロ二人が率いる、敵エース部隊か‥‥。エースでも無いワシが何処までやれるか解らんが、最善を尽くすまでだ! 敵軍をUPC本隊と接触させる訳にはイカン! 此処で全て食い止めるぞ!」
 それから夢守 ルキア(gb9436)に呼びかける。
「敵機の動向や友軍との位置関係は、夢守氏の管制情報を随時確認し把握を怠らん! 夢守氏の管制には、いつも助けられとるからな、今回も頼りにしとる!」
「任せて兼元君。今日もショタっ子の勘がみんなを救うよ!」
「‥‥ガッハッハ!」
「ソード氏のレギオンバスターからワンテンポ遅らせて、ミサイルを抜けてきた敵機に吶喊だ! ソード氏! よろしく頼むぞ!」
「俺にはレギオンバスターしかありませんからね」
「ガッハッハ! 言うじゃないかソード氏!」
「まあ、俺にも取り柄があるんですよ」
「ガッハッハ――! キングスレーが出てくるまでは、カスタムタロスやタロスプラスを中心に相手して、確実に数を減らして行こう! もしワシ等を抜け、本隊に向おうとする者が居れば、直ちに追撃に回るぞ! ただし、軍KVが追撃に行ったら、その時は任せよう! ジルダン隊長! よろしく頼む!」
「オーケー、任せとけ兼元。奴らは一機たりとも通さんさ! ここで決着をつけてやる!」
「ジョー君――」
 ルキアが割り込んだ。
「S01H、雷電、ディアブロを貸して欲しい。S01Hは管制として、雷電とディアブロは私達の、護衛として」
「おいおいお嬢ちゃん、それだけ護衛に持って行かれちゃ戦いにならんぜ」
「あ、大丈夫、各機ケッテで迎撃に向かうから」
「分かったよ、了解だ」
「キングスレーが現れたらば、ワシが迎撃に向う! 前回、奴の武器を叩き壊したのは、ワシなりの宣戦布告だ! 力量や機体性能が劣っていても、ソレを凌ぐ信念があれば道を切り開く事が出来る! ソレこそが強さの根源だと、ワシは信じる!」
 そこで、キングスレーからの通信が入る。
「おい、聞こえてるぞ孫六兼元――信念だって?」
「キングスレー、ワシの信念は、この地球のレスキューだ! キングスレーよ、バグアとしてでは無く一人の武人として、お前は何の為に戦い、何処に向っている?!」
「武人と言うか、もちろんバグアの世界の勝利のために俺は戦う。正直なところ、地球での戦いはどこへ向かっているのか分からなくなってきたが、俺は俺なりにバグアの矜持を背負って戦う。尤も、玉砕は趣味じゃない、無駄に死ぬつもりもないがね」
「ガッハッハ! そうか! お互い武人同士! 譲れぬところがあるな!」
「俺はお前さんほどじゃないがね」
 キングスレーは言って肩をすくめる。
「ほんとにここの空は抜ける様な青ね。水がほとんどないからだね」
 ソーニャ(gb5824)は言って、回線を開いた。
「ヨリシロのメンタルは宿主に影響されるのかい? シス、君も女として誰かを愛したりするのかな。とても興味のあるところ」
「何だと小娘? 愛だと?」
 シスは狼狽したような声を出した。
「それは人間の持つ危険な力だろう。ブライトン様を敗北に追いやった恐るべき力‥‥バグアにとっては破滅を意味する」
「あ、ご免、混乱させちゃった? じゃ効果てきめんだね。でも‥‥」
 ソーニャは複雑な表情で肩をすくめる。それから吐息してまた回線を開いた。
「ふぅ――ボクはなにかをあせっていたのかな。ボクらは流れのひとしずくでしかないのにね。アレン、君でさえね。それでも、ボクらが集まり、流れて行く。何かを変えながら。誰かが流れを恣意的に変えようとしても変らない、変えさせない。ボクらはただボクららしく生きればいい。だからアレン、謝るよ。ボクは君に期待と責任を押し付けようとしていた。君は君らしく生き、そして逝けばいい。皆がそれぞれの願いを抱いて生き、そして逝く。ボクが見ている、ボクは忘れない。誰か、ボクを見ていてくれてるかな? こんなちっぽけで利己的で‥‥」
「‥‥‥‥」
「それでもこの空だけは渡せない。飛ぶなめならなんだってする。この刹那だけがボクの全て」
「ソーニャ、確かにバグアの存在すらも、宇宙の星々の営みからみればちっぽけなものだろう。だがまあ、そうした感傷的な哲学を気取るのはお互いよそうじゃないか。柄にもない」
 キングスレーは言った。
「どう正当化しようと、俺たちの戦いの傷跡は消えないだろう。俺たちは当事者であり、俺は人間を殺してきたし、お前もバグア人を殺す。尤も、バグア人にとってここまで勝てない戦争は初めてだ。だから俺たちも人間に対して特別な感情を抱いている。一部は。だが、次期地球攻略司令官にしろ誰にしろ、人間に価値を見出しているとすれば、それはお前たちが抱く希望、バグアには理解できないものを持っていることだ。それは俺たちの関心を掻き立ててやまない」
「キングスレー、ボクは負けない。行くよエルシアン! 全身全霊をもってボクを証明する」
「ソーニャ君も言うねえ。セカイはジブンを通して認識する、誰かのいいなりのセカイ、それは、生きてるって言うのかな? 私は、セカイを見たいんだキングスレー」
 ルキアは言った。
「大した奴だなお前は夢守ルキア。夢はでっかくとか言うよな。そう言う逸材はヨリシロ候補だよ。そのまま大きくなれルキア。今のまま大きくなれば、いつかヨリシロにしてやろう」
「それが君の言うセカイなのかな。答えになってないね」
「俺の世界は慌ただしい。それも仕方ない。あちこち飛び回っていると、自分の世界を振り返る余裕もない。だからと言って、俺が誰かの言いなりってわけじゃない。俺には俺の戦い方がある」
 美具・ザム・ツバイ(gc0857)はそんな言葉に感銘を受けるわけもなく。
「そろそろキングスレーの顔も見飽きてきたのじゃよ」
 シスターズ内で美虎から開始して美空、美海と引継いで現在は美具に至っているキングスレーの追撃戦もそろそろ終止符を打ちたいと考えている美具であるが、今回の目的はあくまでエース雑魚の掃討担当。速やかに敵の数を減らして基地攻略の一助とする。
「兼元殿、清四郎殿、用意はいいじゃろうか。レギオンバスターとの一斉攻撃じゃ」
「ああ任せとけ美具!」
「ガッハッハ! こちらも準備万端!」
「では行くとするか。ソード殿、後は貴殿次第じゃ。バグアどもをぶちのめす一撃を撃ち込んでくれ」
「よし! 全機戦闘隊形を組め! ミサイルの射程に入ったところで攻撃開始!」
 ジョーは言って、命令を下した。
「ルキア! 航空管制を頼む! ミサイル攻撃を誘導してくれ!」
「了解――」
「ソード! レギオンバスターの攻撃とともに全機ミサイル攻撃を行う! よろしく頼むぞ!」
「分かりました」
「ティターンにタロス接近、すぐに射程に入るよ。ソード君よろしく」
 ルキアの声とともに、キングスレーも部下達に命じる。
「各機、プロトン砲発射用意。UPCのミサイル攻撃を受け止めた後にドッグファイトに移行する」
「了解――」
 ナイトフォーゲルとワームは接近していく。

「兵装1、3、4、5発射準備完了。PRM『アインス』Aモード起動。マルチロックオン開始、ブースト作動――ロックオン、全て完了! 『レギオンバスター』、――――発射ッ!!」
 フレイアから2000発を越えるミサイルが発射されると、友軍各機も同時に攻撃を開始する。
「敵機は射程圏内――全機、ミサイル攻撃開始。データリンク」
 ルキアはアルゴシステムを操作しながら、戦況を確認する。
「私達は、管制をするよ。S01Hのヒトは、スキルで動きを予測し警戒。雷電、ディアブロはHWとタロスを。3機混合ケッテ、ケッテ内は足並み合わせるヨ。ケッテ同士400メートルは距離を保って」
「くたばれやぁ!」
 清四郎はK02を全弾発射すると、バレルロールで加速する。
「アーマゲドン・スプラッシュの威力とくと見るがいい」
 美具は上空からブーストで急降下しつつブK02を発射。
「FOX2ミサイル発射!」
 傭兵たちとUPCのミサイル群がタロスを薙ぎ払う。爆炎が上空で炸裂する。
「行くぞ、食らうが良い」
 美具は超大型対艦誘導弾「燭陰」発射。囮であるK−02迎撃に忙殺されている所に大型弾を着弾させて大ダメージを狙う大技。
 誘導弾が炸裂すると、ワームが数機吹き飛んだ。
「ぐわ! 誘導弾か!」
 清四郎が突進する。タロス+3の注意をこちらに引きつけるために攻撃を仕掛ける。
「貴様の相手はこっちだ!」
 急降下爆撃の要領で上空から一気にダイブし、スラスターライフルとアハトアハトをありったけ叩きつける。
「乗り手は少ないが使いこなせれば最新鋭機も撃破出来るんだよ!」
 凄絶な銃撃がタロス+3を撃ち抜く。爆発炎上するタロス。
「ぬう!」
 タロス+3は慣性飛行でアクロバットに方向転換すると、剣虎をプロトン砲で捉える。
「止まっていたらあっという間に蜂の巣にされるな‥‥」
「清四郎君、後ろに付かれるよ。真琴君援護ヨロシク」
「了解ルキア――」
「おっとお!」
 清四郎は背後からのプロトン砲を回避しつつ機体を傾ける。
「ガッハッハ! 行くぞキングスレー!」
 兼元はレギオンバスターからワンテンポ遅らせて、ミサイルを抜けてきた敵機にOGRE/Bを使ったK−02を二連射し、吶喊。
「奴め、来る気か――」
 キングスレーはUPC軍機とドッグファイトに入るところで天之尾羽張の吶喊を受ける。
「ガッハッハ!」
「ほう――」
 OGRE/Aを使用し、ティターンを中心に半円を描くように回り込みつつ、MM−20を発射。キングスレーの視界を遮ると、垂直上昇からマシンガンを叩き込む。
 ミサイルと銃撃を受け止めるティターン。攻撃を突き破ってプロトン砲を撃ち込んで来る。
「だがな孫六、信念だけでは勝てないぞ」
「そんなことは――とっくに承知だキングスレー!」
 孫六は回り込みつつミサイルをばら撒きブースターで加速した。空を切り裂く。
「――!?」
 ブレードウイングがティターンの片腕を切り落とした。
「野生の本能か」
「いや、これがワシの戦い方だ!」
 ――ソーニャはアリスシステムとマイクロブーストを起動しつつバレルロールで加速。
「この空に、ボクと言う証明を、刻み込む!」
 ソーニャはシザースからインインメルマンターン、降下して、GP−02サイルポッドをタロス+2に叩き込む。
「やあー!」
 プラズマリボルバーを連射。タロスの反撃を全弾回避して、敵機を破壊した。爆炎とともにタロスダブルプラスは消失した。
「ソーニャ君、そのままデルタ2の援護に回って、オーバー」
「了解ルキアさん」
「各機、戦闘隊形を立て直して、敵機を押し返すヨ――私たちのチームは攻撃時は集中砲火ね。でも、無理だったら退くのが管制さ」
 ルキアは言いつつ、各ケッテに指示を出す。
「各チーム、アルファアタックフォーメーションでHWを迎撃――」
「了解夢守」
 雷電とディアブロは旋回して加速すると、フォーメーションを組んでHWを叩き落としていく。
「兼元君頑張れ」
 美具はUPC軍シュテルン2機とケッテを編成。
「もはや、貴様らの負け癖は覆しようがないのじゃ。さっさと負けを認めるがいい」
 K−02による飽和攻撃で、カスタムタロスをすりつぶしていく。ミサイル弾幕を逃れようとしたところを、シュテルンの七面鳥撃ち。
「ふん、足掻くだけ無駄なことよ。行くぞ!」
 シュテルンと協力し、美具はカスタムタロスを破壊していく。レーザーキャノンを叩き込む。
「ぐ‥‥おおお‥‥!」
 強化人間の叫びが回線に響き渡る。
「行きますよアマンダ――」
 ソードはブーストを10ターンまで使用し続け、高機動戦闘を行う。10ターンで勝敗が決するかは分からないが。
「また戦うことが出来て光栄ですよシス」
「やかましい!」
 シスのゴールドタロスを引き離すフレイア。旋回して側面に回り込むと、エニセイを八連射。PRM『ツヴァイ』で命中を上げる。爆発炎上するゴールドタロス。
「ソード――!」
 シスはアクロバットに旋回するとプロトン砲で激烈な反撃を見せる。
「そんなものじゃないでしょう」
「何!」
 清四郎はタロス+3を真琴ともに撃破する。
「あちらもエース揃いか! エレメントを崩したら不味い!」
「行くよ清四郎! まだ!」
「ああ! 連中をたこ殴りにしてやろう! 行くぞ!」
 清四郎たちはキングスレーと交戦する兼元とソーニャのもとへ向かう。
「よおヨリシロ、ここまでだ。サマーワは頂くぜ!」
 と、そこでUPC本部からの通信をルキアが伝える。
「えーと、本部から連絡だよ。アフリカからのバグア軍が中東に流れ込んできたみたい。サマーワを押さえたら紅海のユニヴァースナイトの支援に向かうようにだって」
 その後UPCはサマーワを制圧する。しかし、バグダード目前にして、傭兵たちは足止めを食う。