タイトル:【UR】決壊マスター:山中かなめ

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2009/07/07 15:05

●オープニング本文


●降らない雨
 茂木 孝也(gz0221)は土嚢を重ねて運びながら汗を拭う。唐津湾の避難キャンプ防衛から、九州近辺で激しい戦いはなく、能力者による救助活動が必要なものはない。ハイパーレスキュー隊の仕事をちょこちょこと手伝っていたそんなある日のこと。
「そういやぁ、今年は雨が少ないな」
 友人であり、現在のハイパーレスキュー隊の隊長、千石が呟く。額には汗が滲んでいる。曇天が続いてはいたが、大きな雨は確かにここ数週間降っていない。茂木も首をかしげた。
「‥‥毎年この時期は水難が多いよな」
「ああ、ロープ救助が必要だったりして、結構忙しい時期なんだが」
「あんまり雨が降らないと、ダムの水も干上がっちまうな」
 二人は曇り空を眺めながらほう、とため息をついた。

●厳木ダム管理所
 唐津市厳木(きゅうらぎ)町にある厳木ダム。管理所の管理員は真夜中に突然起こされた。轟音。そして水の押し寄せる音。眠気の残る頭をたたき起こし、外に出る。そこには目を疑う光景が広がっていた。
「な、何だこりゃ!」
 ダムに大きな黒い影がとりついて、ダムの壁を叩いている。目を凝らしてみると、ようやく闇に目が慣れたのか、その姿が分かってきた。
 全長15メートルはあろうかと思われる、大きなトカゲが壁に張り付いて、その舌を壁に打ちつけているのだ。硬い壁が揺らぎ、舌が触れた箇所にはしゅうしゅうと白煙があがっている。
「まさか、ダムを決壊させようっていうのか!」
 管理員はすぐさま事務所へ取って返し、事の経緯を通報した。

●決壊阻止チーム編成
 厳木ダムに出没した巨大トカゲの討伐。決壊時に備えて、周辺にはハイパーレスキュー隊の配備が予定されている。しかし、何よりも先ず。
「トカゲかよ‥‥」
 茂木は考え込む。全長15メートルとはな‥‥こりゃ一人じゃ骨だな。だが、キメラを倒さない限りダム決壊の危険性は消えない。そして決壊した時にはハイパーレスキューがいるとはいえ、甚大な被害が予想できる。
 しばらく考え込んでいたが、茂木は意を決してUPC本部へ依頼の掲載を連絡した。

●参加者一覧

九条・命(ga0148
22歳・♂・PN
赤崎羽矢子(gb2140
28歳・♀・PN
常世・阿頼耶(gb2835
17歳・♀・HD
水無月 神楽(gb4304
22歳・♀・FC
孫六 兼元(gb5331
38歳・♂・AA
キヨシ(gb5991
26歳・♂・JG
ピアース・空木(gb6362
23歳・♂・FC
フィー(gb6429
12歳・♀・JG

●リプレイ本文

●緊急放水
「全員の現着確認! 緊急放水開始!」
 ドドドドド‥‥という音とともに、ダムから一斉に水が放たれる。ダムの耐久性が落ちている事を考えると、放水は長くは続けられない。
 何とかして、あの頭上にいる巨大なトカゲのようなキメラを引き摺り下ろす。孫六 兼元(gb5331)は腕組みをして空を睨んだ。キヨシ(gb5991)、フィー(gb6429)の二人がそれぞれの獲物を構え、位置につく。
「URTFとしての初任務やし、気合入れていこかぁ!」
 そう呟くキヨシの左目は緑色に染まってゆく。対するフィーの右目は金色に染まっていた。
「ダム‥‥決壊したら‥‥危ない‥‥!」
 ダム下部に待機しているのは孫六、キヨシ、フィー、そしてあと三人。九条・命(ga0148)、水無月 神楽(gb4304)、ピアース・空木(gb6362)である。
 その九条が、トカゲの動きに気づき、叫んだ。
「落ちてくるぞっ!」
 ザザザ、という水音とは違う音。勢い良く放たれた水にたまりかねたトカゲがゆっくりと水の中からその姿を現した。15m、いや、正確には18m程度の大きさのように見える。思わずピアースが呟いた。
「うは、でけぇなァ‥‥」
「しかし、やるしかありませんね」
 水無月がピアースの言葉に反応して返す。
 ダムの上から、トカゲに向かってペイント弾が放たれた。赤崎羽矢子(gb2140)の撃った弾が、トカゲの頭上をかすめて下へと飛んでいく。
 その隣では茂木 孝也(gz0221)とともに、降下用ロープの用意をしていた常世・阿頼耶(gb2835)が心配そうに下を眺めている。
「では、こちらも始めましょうか」
 水無月の言葉に、下からもペイント弾が一斉に飛ぶ。キヨシとフィー、水無月の放つ弾丸がトカゲの頭部に集中する。トカゲが煩わしそうに首を振る。ぎろり、と眼下を見渡すと、トカゲが見た目に反した素早い動きで降下してきた。
「思ったより、素早いな」
 九条がそう呟くと早くも獲物をキアルクローに持ち替える。それを見た孫六も両手に二刀を構え、腰を低く落とす。
「どうやら成功したみたいですね」
 ダム上部の常世がそう言うと、赤碕はペイント弾を装填するのを止めて、茂木に声をかけた。
「じゃあ、あたし達は下に行くから、ここはよろしく!」
「ああ、頼んだぜ!」
 二人は茂木を残し、ダムの下へと向かった。それと時を同じくして、放水の水音が徐々に弱まっていき、放水終了を告げた。

●放水終了後
 ――15分後。地上へと降りたトカゲと、8人の能力者は激しい戦いを繰り広げていた。
「殲滅する!」
 九条が素早い動きで敵の頭部を切り裂く。ダメージのおかげか、トカゲの目が腫れている。そこへ赤碕のハミングバードが突き刺さる。
「ここはお前の居ていい場所じゃないんだ。そう造られたお前には可哀想だけど、退治させて貰うよ!」
 ざくり。突き刺された瞼から鮮血が飛び散る。痛みにトカゲが首を振り、舌を伸ばす。軽く振るうと、赤碕と、眼下の九条をはたいた。
「ちっ!」
 舌の衝撃そのものは大したことはなかったが、付着した酸の痛みに九条と赤崎は顔をしかめる。
 大きく口を開いたトカゲに銃弾が放たれる。口の中、そして頭部へ、キヨシとフィーの放った弾丸が命中した。
「フォローは任せてや!」
 照準から目を離し、キヨシがそう叫ぶ。フィーも無言で狙いを付け続ける。
「いくぜぇ!」
 ピアースと水無月がトカゲの足元へ駆け寄る。素早く駆け寄って、互いにトカゲの後足を切り裂く。身体を回転させ、遠心力を利用して放たれた一撃がトカゲの動きを鈍らせていた。
「どの程度効くか、自信はありませんでしたが、動きを止めるくらいはできそうですね」
 水無月が呟く。そして二人はそのままトカゲの足に蹴られながらもその場を離れずに戦い続けた。
「うぉぉぉぉ!」
 野太い叫び声。孫六がトカゲの左前足に張り付き、二刀で交互に切り裂いた。返り血が頬にかかる。トカゲの右前足には常世が張り付いている。こちらはAU−KV戦闘形態で、手に持った壱式でトカゲの足を切り続けていた。
 突然、トカゲが大きく上体を持ち上げ両前足で孫六、常世を殴りつけた。常世は咄嗟に応龍の盾でその衝撃を和らげたが、孫六はまともに喰らい吹っ飛ぶ。土壁に背中を打ち付け、孫六が息を吐く。
「ぶふぁっ!」
 もう少し後足にダメージを蓄積させなければ。水無月は横目で孫六の様子を窺いながら、さらに強く斬りつけた。それに呼応するように対するピアースの攻撃も勢いを増してゆく。
「こっちも負けてらんねぇな! まだまだいくぜ!」
 互いの攻撃を確認しながら、二人は何度もトカゲの両足を切りつけ、体勢を崩させた。
 一方、頭部へ攻撃を集中させる九条、赤碕はトカゲの長い舌に翻弄されていた。攻撃が頭部へ集中していたが、舌に邪魔されて、なかなか決定打を放つ事が出来ない。
「あの舌‥‥厄介だな」
「ああ、だけどやるしか、ないん、だっ!」
 九条と赤碕は同時にジャンプする。九条が殴り、赤碕が斬る。攻撃の連携は取れていた。続けて攻撃を放とうとしたその時、トカゲの舌がまたも二人を薙いだ。空中ではどうしても体勢を変えにくい。舌の一撃をかわして一度着地する。
「先にいけ。考えがある」
 九条が赤崎に告げる。一瞬だけ九条の顔を見つめ、頷くと、赤崎は再び高く跳んだ。トカゲの頭部に剣の切っ先を突き刺す。トカゲがそれを振り落とそうと舌を伸ばすために大きく口を開けたその時。
「それだ」
 九条が拳銃で口の中を狙い撃った。同時にスナイパー二人の銃弾も放たれる。拳銃を構えて待つ九条の狙いを察し、キヨシとフィーが申し合わせて同時に弾丸を放ったのだ。三発の弾丸は吸い込まれるようにトカゲの口中へ命中した。トカゲが痛みに首を振り、舌を弱々しく伸ばす。
「今だ! 舌を切るのだ!」
 左前足にいながらその様子を見ていた孫六が叫ぶ。赤崎、常世の二人が飛ぶ。先に斬りつけたのは赤崎。舌の真ん中辺りに大きな切り口を付ける。そこへ追いついた常世が傷口を広げるように続いた。
 二人とも肩口に触れた酸のおかげで若干のダメージを負ったが、その成果は絶大であった。大量の鮮血を噴出しながら、トカゲは大きく身体を仰け反らせる。
「ハハハ! 効いてるな!」
 ピアースが笑いながら後足を切り裂く。仰け反った後足に痛みを感じてトカゲがグラグラとふらつく。そこへ高く跳んだ九条の爪が切り裂いた。トカゲが倒れこむ。その下には孫六と常世が待ち構えていた。
「これで!」
「とどめです!」
 二人は叫ぶと落ちてきたトカゲの顎へ、逆さまに持った獲物を突き立てた。地面に頭を伏せ、トカゲはしばらく痙攣していたが、やがて動かなくなった。

●戦闘後
「お前ら、仕事はええな。ま、何はともあれお疲れさんってとこか!」
 茂木が驚きつつも一行を労う。最初に口を開いたのは孫六だった。
「さて、この近くに温泉があるんだが‥‥もちろん行くに決まっておるよな!」
「いいねぇ! 戦いの後の一杯、温泉付きなんてなかなか味わえないじゃねえか!」
 ピアースがそう言って孫六に賛同する。他のメンバーもうんうんと頷いている。茂木は苦笑いしながら言った。
「お前らそれが目当てかよ‥‥まあいい。お前らは先に行っててくれ。俺は事後処理があるんで、後で合流するぜ」
 そう言うと、茂木ははしゃぐ一行を眺めながら、ぽりぽりと頭を掻いた。
「こちら茂木。千石、いるか?」
『千石だ。早いな。もう終わったのか』
「ああ、ちとトカゲの処理の為に、ハイパーレスキューを何人かよこしてくれよ」
『能力者がいるんじゃないのか?』
「温泉に行くって言うんでな。先に行かせた。短時間で頑張ってくれたし、そのくらいいいだろう」
『そうか。了解だ。若いのを数人そっちにやる。機材も適当に持って行かせるから現場は任せるぞ』
「ありがたい。じゃあな」
 無線を切り、茂木は目の前の巨大なトカゲを眺めていた。

●湯煙の中で
「ふう‥‥気持ちいいですね」
「温泉‥‥あったかい‥‥」
 常世とフィーの声が湯煙の中に響く。脱衣所では赤崎と水無月が押し問答していた。
「ここはあんたたち男の居ていい場所じゃないの!」
「参加者名簿を見たんですか? 僕は女性ですよ?」
「え‥‥? あ、あら? ほんとだ。ごめーん!」
 そんなやり取りが聞こえる。一行は孫六の調べた近場の温泉で疲れを癒していた。露天になっており、女湯と男湯は塀一枚隔てて繋がっているため、女湯の方ではしゃぐ声は男湯にも漏れ聞こえていた。
「あ〜、こりゃええわぁ。最高やね」
 キヨシが日本酒を傾けながら呟く。九条も一献傾けながら、夜空を眺める。夏の夜空は星で埋め尽くされており、そこで飲む酒はまた格別だった。
「茂木氏も早く来ればいいんだがな!」
 孫六が依頼者の名前を出す。ピアースが女湯の方に身を寄せながら答えた。
「まあ、そのうち来るだろ! そんなことより今はコッチの方が一大事だ!」
「いやいや、ピアースはん、わかってますな」
「お、キヨシさんも好きかい? 話が分かるねぇ!」
「温泉って言うたらやっぱりねえ」
 キヨシも日本酒を飲みながら女湯の方に身を寄せる。二人揃って耳を傾けると‥‥。
「恥ずかしい‥‥胸‥‥フィーも大きく‥‥なるかな?」
「大丈夫。これからきっとどんどん大きくなりますよ」
 フィーと水無月のやり取り。
「うーん、阿頼耶ちゃん、いいカラダしてるね〜。やっぱり若い子は違うわ〜」
「ちょっ! 赤崎さん! どこ触ってるんですか! やっ! あっ! んもうっ!」
 はしゃぐ女性陣の声に、キヨシとピアースの興奮は最高潮だった。
「くぅ〜、たまりまへんな!」
「ええ、たまりませんとも!」
 二人は我慢できずに塀をよじ登ろうとあれこれ画策する。トカゲのように張り付き、女湯の声に妄想を広げ、少しずつよじ登っていく。
「‥‥無粋なことをするな」
 カコーン。九条の投げた桶がピアースの頭を直撃する。しかしそれでもめげずによじ登る。キヨシも後に続く。
「覗きはイカンな!」
 ドン。孫六が思い切り二人の背中を押した。その拍子に塀を乗り越えようとしていた二人は勢い余って女湯の方へ落下する。激しい水音が響いた。女湯から見ると、上空から突然黒い影が二つ、降ってきた。
「!?」
「‥‥敵!?」
 フィーと赤碕が驚く。常世もびっくりして悲鳴をあげる。
「きゃっ! 何ですか!?」
「いや、これは‥‥どうやら、敵‥‥と認識すべきもののようですよ」
 水無月が冷静に呟く。落ちてきた二人は、確かに女性にとっての「敵」であった。
「いててて‥‥」
 ピアースが頭を擦りながら前を見る。そこには湯煙に隠れてわずかにのぞく肌色。
「キター! キヨシさん! きたぜ! 天国到着だ!」
「な、なんやとぉ! うおおおおお!」
 顔面を打ちつけたキヨシは鼻血を垂らしながら湯煙を這い進んでいく。
「‥‥な、何やとぉぉぉぉぉ!」
 キヨシが愕然としながら叫ぶ。その目の前には‥‥腕組みをした赤碕、常世、水無月と、その後ろに隠れるフィー。
 全員、しっかりと水着着用であった。
「いや、これはこれでなかなかイイんだが!」
 何を言っているのか自分でも分かっていないが、キヨシは見たままの感想を口にする。ピアースも彼と同じように、口を大きくぽかんと開けていた。
「ここはあんた達覗きの居ていい場所じゃないんだ!」
 赤碕の投げた桶が二人の顔面にヒットする。視界が暗くなる。そこへさらに追い討ち。
「覗き魔には裁きの鉄槌をーっ!」
 常世が覚醒し、虹彩が虹色に輝く。AU−KVがないので覚醒したことに意味があるのかはわからないがとにかくすさまじい怒りである事は分かる。その勢いで放たれたパンチが桶の上から二人の顎を捉えた。
「うぐはぁ!」
「ふぐぁ!」
 見事なアッパーカットが決まり、宙に飛ぶ二人を狙って、フィーが構える。カチャッ、ズダン! ズダン!
「ちょ、ちょっと! 殺す気ぃかあ!」
「ひぃぃぃぃ!」
 いつの間に持って来ていたのか、フィーが構えた銃で二人を狙い撃った。二人の股間をかすめて弾丸が飛ぶ。続けて弾丸を装填し、構え、撃つ。構え、撃つ。構え、撃つ。
「ちょ、ちょっと! 水無月はん! 見てないで、フィーちゃんを止めてくれええええ!」
 キヨシの叫びにちらりと一瞥をくれただけで完全に無視し、水無月はぽん、とフィーの肩に手を置く。振り返ったフィーを見つめてにっこりと笑うと、彼女はフィーに言った。
「罪には罰が必要です」
「‥‥罰‥‥罰‥‥わかった!」
 ズダン! ズダン! 放たれた弾丸を空中で必死に避けながら、二人は慌てて塀をよじ登り、男湯の方へ退散しようとする。そこへ水無月と赤碕の投げた桶がヒットした。
「どわぁぁぁぁぁ!?」
 ずるり、と塀から滑り落ちると、二人は来たときと同じように勢い良く、今度は男湯へと落下していった。
「‥‥天罰という奴だな! ウム! ガハハハハハ!」
 孫六が豪快に笑う。九条は黙って夜空を見上げながら杯を傾けている。その口の端は少しだけ吊り上っていた。
「ふう、やっとひと段落したぜ‥‥って、お前ら何やってるんだ?」
 茂木が温泉に入ってくるなり、洗い場にぐったり倒れて鼻血を流しているキヨシと、ピアースを見て驚いた。
「ああ、いや‥‥男の浪漫の‥‥追及の結果‥‥や」
「そ、そうそう‥‥夢を見たんだ‥‥いい夢だった、ぜ」
 ガクリ。二人は酒と湯あたりと桶と打撲で朦朧とする意識の中、茂木にそう告げた。
「まあ、そこの二人はほっといて、茂木氏も飲まんか!」
「おっ、日本酒か、いいねえ、頂こう!」
 孫六の言葉に茂木は湯船に浸かると、九条、孫六、茂木の三人で乾杯した。
「くぅ、格別だな!」
「ああ、無粋な者もいなくなったし、夜空を見上げて飲む酒というのも‥‥最高だな」
「ウム! 温泉に来て正解だったろう! ガハハハ!」
 三人はのんびりと湯に浸かりながら酒を楽しんだ。茂木がキヨシとピアースを指差して言う。
「ところで、アレ、どうするんだ?」
「‥‥帰る頃には起こしてやるとするか」
「ま、それでよかろう! ガッハッハッハ」
「んじゃ、そういうことで」
 三人は再び酒を楽しみながら、夜空を眺めていた。
 その後、UPC本部に戻る高速艇の中で、疲れの癒えた一行の中で、何故かぐったりした痣だらけの能力者が二人、うなだれていたが、誰もそれを気に留めることは無かったという。