タイトル:ネギみそか‥‥?マスター:矢神 千倖

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 6 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/04/19 22:55

●オープニング本文


 あぁ、困った。
 妹の麗美が数日前に発した熱が一向に下がらないのだ。
 お医者様にも診てもらったし、薬も飲ませたし、消化のいいものを食べさせ、安静にさせていたのだが、連日のようにうなされる姿は見ていられない。あぁ、代われるものなら代わってあげたい。
 僕の可愛い可愛い麗美‥‥。どうにかして、その苦しみから救ってあげることは出来ないものだろうか。
 インフルエンザだとか、そういったものではなくただの風邪だとお医者様は言ったが、ならばなおのこと、風邪ごときに妹の体を蝕ませてなるものか。
 そこで僕は調べた。鰯の頭にも拝むような気持で、なんとか妹を助けることが出来ないかと。
 薬を飲んで安静にするのが一番。だが、それだけでは駄目だ。ただのやり過ごしだ。
 迷信でも何でも良い。何か、何か手立てはないのか。
 調査の結果、遂に僕は発見した。
 風邪にはネギがよく効くのだ、という話を。
 その使い方は――。

「麗美、入るよ」
 急遽仕入れた特上の長ネギを手に、僕は妹の部屋をノック。
 中からは、んー、という小さな声が聞こえる。苦悶の声ではなく、これが返事だ。
 許可は得た。僕はドアノブに手をかけ、部屋へと踏み入る。
 麗美は能力者だ。能力者とはいえ、風邪くらいひくらしい。一般人に比べて抵抗力が高いとはいえ‥‥いや、だからこそ可哀そうなのだ。
 でもね、麗美。もうすぐその苦しみから救ってあげるよ。この僕が!
「何だ、起きてたんだね」
 部屋に備え付けたベッドの上に、麗美はいた。上体を起こし、膝の上に本を広げ、その口にはかりんとうが咥えられている。
 少しは元気が出てきたか? いや‥‥。
「熱は?」
「三十八度くらい。でも、体は大分楽」
 妹はこちらに視線を向けることなく、そういう。
 三十八度‥‥。まだまだ油断ならないじゃないか。
「もうしばらくは安静にしてなきゃ、か。そんなことだろうと思って、良いものを用意してきたよ」
「何‥‥?」
 ここでようやく、麗美はこちらを見てくれた。
 そして、ここぞとばかりに僕はこの手の長ネギを差し出して見せる。
 案の定、麗美はポカンとした表情。それはそうだろう、食材をそのまま出されても、誰だって意味が分からないだろう。正直、これを調べた時僕も意味がよく分からなかった。
 でもおまじないとは得てして意味の分からないものだ。そうに違いない。
「これを尻に挿すと熱が下がるらしいというからね。試してやろ――」
「帰れ変態」
「ちょ、いきなりそれは‥‥」
「うるさい、黙れ変態」
「僕は麗美の熱を下げてあげようと――」
「あーもうっ! 知らない知らない! こんなド変態と一緒になんていらんないし。出かけてくる」
「待て、待つんだ、麗美!」
 理解が出来ない。
 僕がこの魔法のようなおまじないを提案すると同時に、麗美は全力拒否。そして僕には及ばないような速度で部屋を飛び出していってしまった。
 いったい、何がいけなかったんだ? これを尻に挿せば、熱が下がるというのに。
「あら、麗美はどうしたの? せっかくあの子の好きなお味噌汁を作ったのに、急に飛び出したりして」
「母上! それが、どうやら僕が怒らせてしまったようで‥‥」
 そんな折に部屋に駆け込んできたのは、僕の母上だ。
 丁度お昼時。僕らの昼食を作っていたのだろう。
 母上の作るお味噌汁は絶品だ。僕も、そして麗美も毎度の食事ではこれが楽しみでしょうがない。
 その味の秘密は、自家製の味噌にある。作り方は、そういえば教わったことはないな。
 いや、待てよ。そういえば麗美はネギが嫌いだったな。だから、逃げたのか?
 だが彼女はあの味噌汁が大好きだ。嫌いなネギも、母上の作ったお味噌汁に入っているものならば胃に入れる。
 そ、そうか――!
「母上、頼みがあります。我が家の味噌を、少し小分けしていただけませんか?」

●参加者一覧

弓亜 石榴(ga0468
19歳・♀・GP
エドワード・マイヤーズ(gc5162
28歳・♂・GD
ビリティス・カニンガム(gc6900
10歳・♀・AA
雁久良 霧依(gc7839
21歳・♀・ST
エルレーン(gc8086
17歳・♀・EL
雛山 沙紀(gc8847
14歳・♀・GP

●リプレイ本文


 傭兵達を迎えた依頼主――秀は、それはもう大喜びであった。
 自分の手で、能力者である妹に言うことを聞かせるのは非常に困難であるが、同じ能力者が六人も集まったのであればそれも容易であろう。これで麗美の風邪を治せるのならば、彼らに支払う報酬など惜しくもない。
「どーも。でさ、今回の依頼なんだけど――」
「いえいえいえ、ここで立ち話も何ですから、まずは中へ。どーぞどーぞ」
 仕事内容が仕事内容なだけに、本当に依頼人が示した通りに動いてしまって良いものかどうかとの不安を抱いていた傭兵達。
 まずはそれを伝えておこうと弓亜 石榴(ga0468)が口を開くが、それを秀が遮るようにして家の中へと案内してゆく。
 この時点で、誰もが納得していた。ああ、この人は自分で敷いたレールの上を自ら爆走するタイプの人なんだな、と。
 通されたダイニングは広く、設置されたテーブルには全部で十脚の椅子。この時、エルレーン(gc8086)の脳内にはあるアイデアが浮かんでいた。とはいえ今はまず依頼の話だ。提案するのは、仕事が落ち着いてからで構わないだろう。
「それで、依頼の話だけど――」
「おんなのこのおしりを何だと思ってるの! このへんたい!」
 依頼主の言葉に思考の切り替わったエルレーンは、テーブルを叩くようにして立ち上がった。
 そう、これは誰もが言っておきたいことであった。
 妹の尻にネギを挿そうというのは、ちょっと‥‥ねぇ?
「あのな、麗美16歳だろ? ケツに葱突っ込むって言われて従う訳ねーだろ! むしろぶっ飛ばされなかったのを幸運に思えよ」
 全く以てビリティス・カニンガム(gc6900)の言うことは正論である。
 その手の趣味でもない限り、尻にネギを挿し込まれて喜ぶ人間はそうそういない。
 ビリィがわざわざこんなことを言うのも、並々ならぬ理由がある。詳しくは彼女の名誉のために伏せるが、過去に似たような体験をしたことがあるのだ。
 その、お尻に異物が、なんというか、ほら。アッー!
「あのー、ご家族が心配なのは分かるんですけど、お尻に葱挿しても治るとは限らないですよね」
「そうそう。葱の菊挿しは民間療法で、効能が科学的に立証されてる訳じゃないの」
 本依頼における傭兵達の仕事。それは提示された依頼目的を果たすことではなく、そもそも依頼主にこの仕事を諦めさせることであった。当然、これは自分達で決めたことである。
 これまでは麗美の気持ちを考えての説得が多かった中、雛山 沙紀(gc8847)や雁久良 霧依(gc7839)はネギを挿す行為の無意味さを説いていた。
 古くから、薬としても用いられてきたネギであるから、効力が独り歩きして稀に妙な方向へ進んでしまうこともあるようだ。風邪をひいた際にネギを首に巻くと良い、という話は広く分布しているようであるが、尻に挿すというのはあまりメジャーではない様子。
 だが考えてみれば、当たり前である。ネギを尻に挿して熱が下がるなら、今頃誰だって尻にネギを挿して――ないか。
「効力ならあるはずだ! 僕の調査に間違いはない!」
「では、君も男ならその“根拠”を“証明”してみたまえ」
「えっ」
 諦めの悪い秀は、尚も妹の尻にネギを挿そうとして譲らない。
 ならば、まず自分で実践してみてはどうかとエドワード・マイヤーズ(gc5162)は提案した。
 そう、自ら実践出来ないようなことを妹に強要するなど兄の風上にも置けぬこと。あれだけ麗美が嫌がっているのだから、この行為の有意義さを証明せねばならない。
 それが兄の務めだ。
「だいたい‥‥あなた、試したことあるの?!」
「いや、僕もこの方法は知ったばかりだから試す時間なんて‥‥」
 エルレーンの言葉に、秀は首を振った。
 一刻も早く妹を元気にしてやりたい。その気持ちは分からなくもない。だが効果の程も分からないものをいきなり試すというのはどうなのか。
 まぁ、試して効果を確かめる時間があれば、その間に麗美の風邪が治っているだろうが。
「それはいけないわね。まずは自分で試してみないと」
「だから、僕はそもそも風邪をひいていないわけで――」
 雁久良は薄く笑みを浮かべるようにして秀を立たせた。
 これを見たビリティスが素早く席を立ち、家の中の探索に向かう。そう、悲鳴でも上がろうものなら大変であるから、なるべく声の漏れない部屋を探そうということである。
 だが言い訳とはいえ、秀の言うことも尤もではある。熱が下がるかどうかという実験を行うならば、秀が発熱していることが最低条件となるわけだ。
 だがそんなこと、聞こえんなァ!
「まぁ、再起不能にならないようにしてあげてね。こっちで、麗美ちゃんは探しておくから」
「では僕も付き合おう。そういう場面は、あまり好んで見たくはないからね‥‥」
 恐らく、実際に依頼主に体験してもらうことで諦めもつくことだろう。わざわざ麗美が外に出ている理由もなくなるであろうし、連れ戻して休ませるのが良いはずだ。
 誰かが探しに行かねばならない。そこで弓亜とエドワードが立候補し、腰を上げる。
 能力者にはどうあっても敵わない。だからこそ傭兵に依頼をしたのだから、能力者たる傭兵達に抗うことも出来るはずがない。口では喚きながらも、されるがままの秀であった。


 ひんやりした空気の籠った空間があった。
 昼間だというのに電灯をつけても薄暗く、少々カビ臭さが充満したこの空間‥‥。あらゆる壁面に、補強するかのように木板が打ちつけられている。独特の臭気はこのせいだろうか。壁沿いにはずらりと本棚が並び、空いた場所には段ボールがお行儀よく積まれている。
 ここはビリティスが発見した秀宅の地下室だ。流石は地元のお金持ちである。尤も、ほとんど倉庫として使われているようであるが。
 ここなら、多少大声を出しても外には漏れまい。まさに絶好の場所である。
 暴れる秀を押しこむようにして傭兵達がぞろぞろとこの地下室へ。
 要はここで、秀の尻にネギを挿してやろうというわけであるが‥‥。ビリティス、雁久良、エルレーン、雛山と、この場にいる傭兵は全員女性。何とも豪胆と言うか、羨(規制)
「さぁ、大人しくしましょうね」
 地下室へ引っ張り込んだ椅子に腰かけた雁久良は、秀の頭を膝に乗せる。そして指先を保護するために医療用手袋を装着。潤滑液を取り出した。
「やめるんだ、依頼主に、こんな――」
「男は度胸! 何でも試してみましょう!」
 抵抗を図る秀だが、雛山がそれを許さない。手を押さえ、背中を押さえ、四つん這いの姿勢に固定してしまう。
 同じく、ビリティスも反対側から秀の腕をがっちりと掴み、下手に動いてしまわぬようにしてしまった。
「どうだ、観念しろ!」
「僕がいったい何をしたっていうんだ! よせ、よさないか!」
 だが断る!
 抗議しようと暴れようと能力者の力を以てすればなんのその。えぇい黙れ神妙にしろとばかりに秀がピクリとも動けなくなると、待っていたとばかりにエルレーンがそのズボンに手をかける。
「覚悟しなよぉ!」
 そして引き抜くような手つきでズボンを降ろせば、見事なる丘の谷間に咲く菊の花。
 今にも茎を生やすようにネギを突き立ててやりたいが、まずは下準備というものがある。
 座薬に比して、ネギは太い。無闇に突き挿せば怪我をする危険性もある。依頼を受けた傭兵であるから、目に見える被害を依頼主に与えるわけにはいかない。
 だから、優しくお仕置きするのだ。
 雁久良は手袋の指先に潤滑液を絡め取り、身を乗り出すようにして秀の尻へ手を伸ばす。
 この時、がっちりホールドされた秀は身じろぎ一つ出来はしない。というより、姿勢の関係上後頭部のすぐ上に雁久良の豊満な乳があるため、純情(?)な彼にはそれに触れることが出来ないのだ。――それとも、観念したのだろうか。
「ひ――っ」
 普段決して直に触られることのない部分に指をあてがわれ、秀は思わず小さな悲鳴を上げる。緊張を解きほぐすように、時にノックするように、優しくゆっくりと動く雁久良の指先に、背中の筋肉が中心の一点に向かって収縮するかのような反応を見せた。
「ふふっ、こういうの、初めてかしら‥‥?」
「は、はひっ」
 未体験の感覚に、言葉の意味も理解出来ぬまま返事をすることしか出来ない秀。常に隠された身体部分を、あろうことか異性の前に露出しているこの状況は‥‥羞恥か、はたまた高揚か。
 ここでにたりと笑むのはエルレーン。段ボールの上には、二つのタッパーが置かれている。片方には特製の味噌が。もう一方には、ビリティスの持参したトロロ(擦り降ろし済み)が。
 これをどうするのかって? 当然、決まっている。葉鞘にまず味噌を塗り、その上からトロロを塗りたくり‥‥。
 突っ込む!
「力抜いてー」
 どろどろになったネギが当てがわれ、しっかりと解された門は大きな抵抗なくそれを受け入れてしまう。
 あまりにも強烈。こんなことをされたら――
「アッー! ひぃ、か、かゆいっ、助け、てへぇ」
 異物を咥えこむ感覚にも勝り、痒みに襲われるのは必然であった。


 麗美を探し出すのにさほど時間はかからなかった。
 予め、彼女はよくショッピングモールの本屋やゲームセンターに出入りしていると情報をもらっていただけに、実際に本屋を覗けばそこにいたのである。
「秀クンの妹さんだね。探したよ」
「‥‥あんた誰」
 雑誌を立ち読みしていた麗美に声をかけたのはエドワードの方だった。
 振り向いた彼女は、いかにも不機嫌そうな仏頂面。兄の奇行がよほど気に食わなかったのか、知らない人に声をかけられたことが嫌だったのか。両方かもしれないが。
「お兄さんに頼まれて、探しにきたの。もうあんな蛮行はさせないから、ね、帰ろうよ。今頃私達の仲間がきっつーいお仕置きしてるからさ、帰っても安心だよ」
「嫌。あんな変態と一緒なんて絶対に嫌。帰らないからね」
 弓亜が声をかけるが、やはり兄のことが気に入らないらしい。年頃ということもあり、実に難しいものだ。
 ‥‥いや、尻にネギを挿そうとしてくる兄がいたら、多くの場合嫌いになるだろうが。
 とはいえ連れ帰らないことには仕方がない。風邪だって治りきっていないだろうし、栄養のあるものを食べさせて、寝かせた方が良い。
 その場を動くそぶりも見せない麗美自身にも多少わがままな性格が滲み出ているものの、しかし今回の経緯が経緯なだけに、叱って連れ帰るのも何だか気が引ける。
『はぅはぅ、秀さんのおかぁさんがご飯を作ってくれたの。早く麗美さんを連れて帰っておいでー』
 丁度そんな折、二人が用意していた無線機からエルレーンの声が流れ出た。
 調教もといお仕置きが済んだのだろうか。今は依頼主の母親が用意してくれた食事にあやかっているようである。
 実に良いタイミングだ。
「ほら、麗美嬢、せっかく母上が食事を作って待っているのだから、帰らなくては」
「ご飯いらないし」
「そんなこと言わないの。ちゃんと食べないと、またぶり返しちゃうよ?」
 あんまり強情なのもいただけない。
 痺れを切らしたわけではないが、弓亜が自分の着ていたジャケットをかけてやりながら麗美の腕を取り、エドワードが雑誌をひったくっては本棚に戻す。
 不機嫌極まりない表情の麗美だが、とにかく連れ帰らなくては。正直なところ、お腹が空いた。
 まだ麗美は文句を垂れ流していたが、健康な能力者二人に捕まっては抵抗も敵わず、あえなく強制帰宅となったのである。


 麗美を連れて弓亜とエドワードが戻ってくると、ダイニングにいたのは楽しげに会話するエルレーンと秀の母親、心ここにあらずといった様子の秀、そして何故か泣きじゃくるビリティスだった。
「はぅはぅ、おかえりなさーい。おかぁさんの作ってくれた焼きおにぎりとこのお味噌、すっごくよく合うんだよ」
 既に焼きおにぎりに手をつけていたエルレーンがにこやかな笑顔で三人を出迎える。
 味噌を塗って焼き上がったおにぎりの香りが鼻を突き、食欲をそそる。ついつい、弓亜のお腹で虫が鳴いた。
 このダイニングでエルレーンが思い付いたことが、この大きなテーブルでの食事だった。全員が席に着くだけの余裕を持ったこのテーブルで、ご飯を食べる。せっかく特製の味噌があるのだからいただかないのも損だ。皆で食卓を囲めばきっと楽しいだろうし、麗美の機嫌だってよくなるかもしれない。
 しかし‥‥。
「それはいいのだが、ビリティス嬢は何故泣いているのだね?」
 エドワードがそんな疑問を挟む。
 よもや彼女の尻にもネギが挿されたというわけではなかろうが、何故ここで泣く必要があるのか、疑問であった。
 それは、こんな理屈であった。
「えーっと、前にも似た経験をしてて、それを思い出しちゃったみたいなの」
 食事の席ということもあり、エルレーンは直接的な表現を避けた。
 だが、言っていることはビリティスの尻に異物が挿入された過去があるということである。
「もういいっ、もういいよぉ‥‥」
 それがよほどショックだったらしい。机に突っ伏したまま、半狂乱になった様子で声を上げるビリティス。
 事情を知らない麗美が、ポカンとしたのは言うまでもないことであった。


 一方その頃。
 地下室には雁久良と雛山が残っていた。
 最近お通じのよろしくない雛山は、もしかしたら浣腸のような効果が見込めるのではないか、と睨んでいた。その、ネギみそに。
 実は先ほど、秀の尻にネギを挿した時も、彼はトイレへ猛ダッシュしていた。ならば!
「さぁ、お尻出して」
 自分でも、試す! いわば第二ラウンドである。
「でも最近お風呂入ってないから、臭うかも‥‥」
「うっ、これは、芳香ね‥‥。んもうっ、興奮してきた!」
 ぺろりと晒し出された白桃。その中心から漏れ出る臭いに、あろうことか雁久良は昂ぶっていた。そしてどういうわけか素手のまま潤滑液を使い、桃に秘められた菊をゆっくりゆっくりと解してゆく。
 そしていい塩梅になったところで取り出だしたるは特性ネギみそ。
 さぁ、クソミソのお時間だ!
「ふにゃあああ!」
「これは、大金脈よ! ゴールドラッシュおめでとう!」
 挿しこんだ特性ネギみその先端に確かな手応えを感じた雁久良は、内臓ごと引っ張り出すイメージで一気にネギを引っこ抜いた。
 とたん雛山は立ち上がり、お手洗いへまっしぐら。
 これは、開通の予感である。
 そして入れ替わりに――。
「あらビリィちゃん、どうかしたの?」
 地下室にはビリティスが現れた。その手にはトロロと、持てる限りのネギを携えて。
 かつてビリティスの尻にトラウマを挿し込んだのは、何を隠そうこの雁久良なのである。なれば、目的は一つ。
「復讐だッ!」
 一足で距離を詰める勢いで雁久良に肉薄したビリティスは、そのまま雁久良を組み伏せてしまう。そして‥‥。

 さぁ、第三ラウンドの始まりだ!