タイトル:アンリとよくある依頼マスター:矢神 千倖

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/03/11 19:09

●オープニング本文


 目が覚めると、ボクは床に寝そべっていた。体の下に敷いたタオルケットと、一枚の毛布で冬の夜を過ごしていたらしい。
 ぼんやりした視界のまま顔を上げれば、簡素なベッドに膨らみがある。そこから漏れる静かな寝息を耳に、ボクは小さな溜め息を吐く。
 もうこの生活も四か月くらいになるか。
 のっそり体を起こし、狭いキッチンに立って朝食の支度。今の生活が始まるまでは省略していた作業。でもこれがボクの仕事になってからというもの、ほんのちょっとずつだけど、料理というものが楽しくなってきたように感じる。
 フライパンに卵の落ちた音が手を震わせる。それに反応したのか、ベッドの方から小さな唸り声が聞こえた。
「リュリュ、もうすぐ朝ご飯出きるから顔洗ってきなよ」
 彼女こそベッドを奪った張本人。
 リュリュ・カナート。ボクの妹だ。

「でさー、お兄ちゃん、お仕事はしないわけ?」
 皿の上のオムレツに、対面しているこちらがうんざりするほど大量にケチャップを垂らしながらリュリュはそんな話を切り出した。
 ボクは傭兵だ。お仕事、というのは、キメラ退治なり何なり、依頼を受けること。
 遊びに来る、なんて言って突然リュリュが押し掛けてきたのが四か月ほど前。彼女一人を残して出かけるのも気が引けて、ここしばらくは依頼を受けずにいた。
 もっと言えば、一向に帰る気配のないリュリュのおかげで依頼を受けられずにいた。
「仕事したいのは、まぁ、山々なんだけど‥‥」
 はっきり言ってしまえば、きっとリュリュを邪険に扱うことになる。
 こんな話になる度、ボクはこう言って真面目に取り合わないようにしてきた。本音は彼女を傷つけると思って。
「ねぇお兄ちゃん。顔上げてよ」
「え‥‥?」
「うりゃっ」
 マヨネーズを垂らしたオムレツを口に運ぼうとした時に、リュリュのそんな声。
 半開きの口のまま、言われた通り彼女の方を向いたとたん、ボクの視界は真っ赤に染まった。
 何が何だか分からなくて、驚くわけでもなく、ただボクはそのまま硬直した。
 そして数秒の間隔を開けてようやく、メガネにケチャップを吹き付けられたのだと気づく。
「いっつもいつもそう言ってさ、いーじゃん、ちょっとくらいお仕事してきたって。留守番くらい出来るし、だいたいお兄ちゃんはすぐそうやって都合が悪くなると話を逸らすんだから。それにね――」
「わ、分かった、分かったよ。これ食べ終わったら依頼を探しに行くから」
 流石に、これ以上はもう誤魔化せそうもないみたい‥‥。
 リュリュを残してお仕事を受けるのは色々な意味で不安だけども。
「私も一緒に探しに行くからね。それから、さっきも言いかけたけど――、メガネ、いい加減外した方がいいよ」
 未だに、ボクのメガネは真っ赤に色づけされたままだった。

●参加者一覧

ドクター・ウェスト(ga0241
40歳・♂・ER
終夜・無月(ga3084
20歳・♂・AA
秘色(ga8202
28歳・♀・AA
クレミア・ストレイカー(gb7450
27歳・♀・JG
エドワード・マイヤーズ(gc5162
28歳・♂・GD
山田 虎太郎(gc6679
10歳・♀・HA
村雨 紫狼(gc7632
27歳・♂・AA
雁久良 霧依(gc7839
21歳・♀・ST

●リプレイ本文


 傭兵達の集合は、実にのんびりしたものであった。というのも、キメラの捜索は現地で夕方から開始の予定であるため、時間に余裕があるのだ。
 高速艇乗り場に一番乗りをしたのが、アンリ・カナート。
 そもそも妹のリュリュに尻を叩かれるようにして依頼を受けたこともあり、出発時間までのんびりぶらぶらというわけにもいかなかったのである。
「で、何でリュリュがついてくるのさ」
「いいじゃない。出発を見送るまでは一緒にいるからね」
 遊びだと思って、とアンリは小さく小さく呟いた。
 彼にしてみれば、妹のわがままに付き合うために依頼を受けたようなものだ。その胸中には、不満めいたものがぐるぐると渦を巻いているのである。
 まずもって、リュリュさえ押しかけてこなければもっと気軽に依頼を受けることが出来たのだ。自分から率先して行動するのと、誰かにやらされるのではモチベーションが全く異なる。だから不満なのだ。
 だが決して、相手に聞こえるようには言わない。言ってはいけないのだ。保身のために。
「アンリさん、ご無沙汰です。またご一緒ですねー」
 こうなったらさっさと出発してしまいたいのが、アンリの本音。いやこの際、別の話にすり替えるのでもいい。
 そんな折に声をかけてきたのが、山田 虎太郎(gc6679)。チャンスだ!
「お久しぶりです山田さん。今回も、よろしくお願い――」
「兄がお世話になってます! あ、私、妹のリュリュです。よろしくね!」
 しかし、しゃしゃり出る妹、リュリュ。
 いや、わざわざ出てこなくとも、山田の視界に入っていれば話題に上ることは必至。
 既にアンリとは面識のある彼女のことだ。よく似た女の子を傍らに連れていれば、無視する方が難しかっただろう。
「なるほどー。アンリさんはシスコンさんだったんですねー。それで最近、本部でも見かけなかったと」
「そっ、そういうわけでは‥‥っ」
 図星である。
「ほう、子供が多いようじゃの。楽しくなりそうじゃ」
 そこへふらりと現れたのが、秘色(ga8202)であった。
 鮮やかな青が美しい和服に身を包み、若々しくもどこか角の落ちた雰囲気を持つこの女性も、依頼を受けた者であった。
 さらに言えば、彼女もまたアンリを知る者である。
「アンリじゃったか。久方ぶりじゃが‥‥覚えておるかえ?」
「あ、えっと、秘色さん、でしたっけ?」
「おぉ、よう覚えておったもんじゃ。此度はよしなにのう」
 まるで親戚の子供を扱うかのようなやりとりをしつつ、秘色はアンリをわしわしと撫でる。
 だがアンリ・カナート十六歳。コンプレックスはやたら背が低いこと。
 この扱い、尊厳に関わる!
「やめてください、ボク、そんなに子供じゃ――」
「あら、あなた達が今回一緒のメンバーね?」
 抗議の言葉を遮ったのはクレミア・ストレイカー(gb7450)。同じ依頼を受けたメンバーである。
 この人となら諸々の話題を華麗に逸らしつつ依頼の話が出来るかもしれない。密かにアンリは喜んだ。
「もしかして、兄妹で依頼を? んー、偉い偉い」
 秘色がアンリをなでなでしているのに感化されたのだろう。これは小さな子を可愛がることが許される場だとクレミアは判断したに違いない。
「私はここまでの付き添いというか――むぐぅ」
 す、と歩み寄ったクレミアはリュリュの頭をその腕に挟み、羨まれるほどに豊満な胸へとうずめた。
 クッションとはまた違った柔らかさと弾力。発展途上なリュリュのそれとは対極に、圧倒的存在感が彼女の世界を覆う。
 クレミアはにたにたと笑みを浮かべながらリュリュを撫でまわす。だが撫でられる方は息が詰まりそうで、何だか‥‥。
「アンリさん、羨ましがってるようですねー?」
「ちっ、違いますっ!」
 いたずらな笑みを浮かべて指摘した山田に、アンリは全力を以て否定した。
 ごめんね、羨ましがっているのは、筆者の方なんだ‥‥。
「ほら、苦しそうにしてるじゃない。放してあげなさい」
 そんな折に現れた雁久良 霧依(gc7839)は、クレミアの肩を叩いて注意を入れる。
 今度こそ普通の会話が出来る人が! アンリはまたも胸中喜んだ。
 大人な態度で場を諫める雁久良。だが‥‥いや、この話については後述するとしよう。
「そうだぞ。こういうのは、もっと美味しくしてからだな‥‥」
 村雨 紫狼(gc7632)も、この依頼を受けた一人。
 その言葉は雁久良の言葉を肯定しつつも、異質な意味が込められていた。
 この場にはリュリュや山田といった、幼――年齢的に非常に若い女性がそろっている。かつ、非常に背が低く、顔つき自体は端正に整ったアンリも。
 YESロリータを胸に刻む紳士、村雨。この状況を楽しもうと考えるのも道理だった。
「名前は?」
「アンリ・カナート‥‥。そっちは、妹のリュリュ――」
「アンリきゅんにリュリュたんだな。ようし、じゃあアンリきゅん、この際せっかくだ。早速だが、女装してみないか?」
「何で!?」
 いきなりそんな提案を受ければ、誰だってそう反応するだろう。
 とはいえそこは流石のジェントルマン村雨。己が欲望を果たすためには一歩も退かない省みない。
「いやーいい素材だしさ、俺が最高の男の娘にしてあげようということさ!」
「変な趣味‥‥」
「変態さんですねー」
 これにはリュリュも山田もブーイング。え、そういう趣味を公言しちゃうの、的な。
 そうだ、秘色さんに雁久良さん、ついでにクレミアさんも、言ってやってくださいよ。こんなのおかしいって!
「ほう、確かに良い素材じゃ。似合いそうじゃのう」
「ふふっ、なかなか、いい趣味してるわぁ」
「少しくらい女装も似合う方が、目で見ても楽しめるわね‥‥」
 以上、乗り気なお姉様方でありました。
 女装が出来るよ! やったねアンリきゅん!
「けっひゃっひゃっ、随分とのんびりだね〜。準備はもういいのかな〜?」
「ゲッ、メガネ‥‥」
 のっそりと現れたのはドクター・ウェスト(ga0241)だ。彼は今までのやりとりにはどうも興味がないらしく、現場への移動を急かした。
 そんな彼へのリュリュの反応が、不機嫌そうな表情である。
 実は彼女、アンリの伊達メガネに理解がなく、それが転じていつからかメガネそのものが嫌いになっていたらしい。これは、後にアンリが説明したことで周知された感覚である。
「メガネが嫌いとは、軽くショックだね」
 二重丸メガネがトレードマークなエドワード・マイヤーズ(gc5162)は、合流するなり肩を竦めた。
 この場に居合わせたアンリ、ウェスト、エドワードの三人がメガネ愛用者。しかも各々がそれなりの愛着と拘りを持つ者達であるので、メガネの否定は彼らにとってアイデンティティの危機とすら言えよう。多分。
「まぁ‥‥良いじゃないですか‥‥。好みは人それぞれ‥‥ですから」
 本依頼最後のメンバー、終夜・無月(ga3084)が姿を見せる。
 何か言い返してやろうと身構えるメガネ三人衆であったが、こう諫められては何も言えない。
「‥‥大人気ないことはやめておくのが大人だからね〜。ここは大目に見よう〜」
「すみません、後でよく言い聞かせておきますから」
 そう言いつつ、アンリは頭を下げる。
「で、全員そろったならそろそろ出発したら? あまりだらだらしてても良くないでしょ」
「なんじゃ、言いおるのう」
 全く悪びれもせず、リュリュはアンリの背中を押した。
 そんな様子に、秘色はくすくすと笑う。子供はちょっと我が強いくらいの方が可愛気があるというもの。
 高速艇に乗り込んだお姉様方は、終始頬のゆるみを引き締めることが出来なかった。


 キメラは夜行性らしい。出没するのは山。
 そんな情報を元に、傭兵達は夕方の登山道でキメラの捜索を行うこととしたのである。
 手段はシンプル。二手に分かれ、餌を以て誘き出す。出てきたところを一斉に潰してやろうということだ。
 敢えて班分けをする理由は、捜索範囲を広げて効率化を図るというものだけでなく、大所帯でいると相手が警戒して出てこないのでは、という懸念による部分も大きかった。
 A班は、お姉様三人宗にエドワード、それからアンリといった構成。
 こちらはレーションを設置するだけでなく、もう一工夫。あまりにも人が固まっていると恐怖を抱いてキメラが出てこない可能性はあるが、人の存在を感知して出てくる可能性も十分考えられる。そこで秘色は呼笛を用意し、一度、二度と吹き鳴らしたのだ。
「此れで寄って来ればよいがの」
 無闇に探し回る必要はない。向こうが来てくれるのをただ待つだけだ。でなければ、せっかく誘き寄せるために仕掛けた餌が無駄になってしまう。
 だから‥‥暇だ。
「しかし、参ったものだね。妹がメガネ嫌いでは、大変ではないかね?」
 こうしてお喋りをするのも、キメラにこちらの位置を知らせる一助となり得る。
 エドワードが切り出した話題は、メガネについてだった。
 先ほど出会ったアンリの妹、リュリュ。彼女がメガネ嫌いだと聞いてはメガネラバーズである彼らは黙っていられないのだろう。
「そうなんですよ! この良さが分からないなんて、全く‥‥」
「仲が良くていいじゃない。妹さんのこと、嫌い?」
 さりげなくアンリの傍らに身を寄せたクレミアが、囁くように言葉を挟む。
 彼女はアンリを相当気に入ったようで、なかなか離れようとはしなかった。
 しかし女性にあまり耐性のないアンリ。身を寄せられれば寄せられただけ退いてしまう、そんなお年頃である。
「き、嫌いじゃ、ないですけど‥‥」
 そう言って、もじもじ。
 尚もその腕を掴むようにして距離を詰めるクレミア。だが、その肩を雁久良が掴んだ。
「あんまり怖がらせるものじゃないわよ。私達が狼になっちゃダメ、でしょう?」
「言いおるわい」
 諌める言葉に、秘色は思わず笑いを零したのだった。

 B班はウェストに終夜、村雨といったお兄さん(?)三人に山田が加わる構成。
 餌も設置し、後はひたすらキメラが現れるのを待つのみである。
 要は、暇だ。
 ひたすらキメラが現れるのを待つだけ。じっと待つだけ。退屈すぎて、とてもじゃないがやっていられない。
 そこで、こんなこともあろうかとと言いたげにテントを広げたのが、山田だった。
 ティーセットも用意して準備は万端。ゆっくりお茶でもしながら、キメラが釣れるのを待とう、というのだ。
 だが。
 丁度全員がお茶を一口含んだ時だった。
「‥‥意外に早かったですねー」
 獣の歩による僅かな振動を、山田が感じ取ったのだ。
「では、A班に連絡を入れよう〜」
 ウェストは無線を取り出し、キメラと遭遇した旨を伝達する。
 そして彼らは、静かにテントから出たのだった。

 狼キメラは、二匹。どどんと設置したレーションを貪るのに夢中だ。
 だが、下手に逃がすわけにはいかない。B班の面々は合流を待っていた。
「片方は‥‥こちらで動きを止めます‥‥」
「よし、じゃー俺らがもう片方を潰す。で、もう一匹をフルボッコだな」
 終夜の提案に、村雨が流れを口にする。反対‥‥なし。
 無線機越しにも了解の声が聞こえる。
 決まりだ。
 ‥‥A班の合流まで、間もなく。そろそろか。
 影から飛び出したウェストが、二匹のキメラの間を狙い、エネルギーガンを放つ。
 目論見は成功。キメラは見事に分断された。
「では、ソチラは任せたよ〜」
「Unbeaten hero is proud loneliness」
 手近な狼に、終夜は呪歌を聞かせ、その動きを鈍らせる。
 問題は、もう一匹の方だ。
「俺が突っ込む。虎たん援護を――」
「あ。シスコンのアンリさーん、こっちですよー。目線くださいよー」
 村雨、突撃。
 その時山田は‥‥!
「たっ、戦ってくださいよ!」
「兄の勇姿を妹さんに見せたいと思わないのですかー?」
 合流したばかりの、アンリの写真を撮っていた。
「いいじゃないの。ほら笑って笑って」
 悪ノリお姉様、雁久良。すっとアンリに体を寄せ、一緒に写真に映ろうとにっこり。もちろん、サボっているわけではない。そうしながらでも、しっかりと他の面々に練成強化をかけているのだ。ただ、手が空いているなら面白いことをしたいという話である。
 代わりにキメラへと向かったのが秘色であった。
「参るぞえ」
「よし、一気に決める!」
 併せ、村雨も動く。突き出された剣は狼を向き、捉え――られない!
 咄嗟に地を蹴った狼は剣をかわし、そのまま身動きが取れないかに見えるアンリへと突撃した。
「エドワード、盾!」
「しかたないね‥‥」
 その行く手を遮ったエドワードが、その身に突進を受ける。衝撃によろめき、同時に、メガネがぽろりと落ちた。
 ‥‥彼の顔を見た者は、皆一様に硬直した。二重丸眼鏡の下に隠された彼の素顔。
 それがいったいどんなものであったかは、読者諸君の想像に委ねることとしよう。
 ともかくだ。アンリも流石にぼんやりしている場合ではないと剣を構えた。
「まずはそこをどきたまえ〜」
 再びウェストがエネルギーガンを放つ。
 これに飛び退く狼。
 距離を詰めるアンリ。振るった剣は、空を切った。
 ひょっと剣先が音を立てる。
 だが狼は体勢を崩した。
 クレミアが放った弾丸が、狼に血穴を穿ってゆく。
 何とか立て直し、逃げ出さんとする狼。
 だがエドワードがそうはさせない。超機械の一撃を地に向け、踏み出そうとした一歩を躊躇させる。
 肉薄する秘色に村雨。
 彼らの剣に、雁久良の力が宿る。
 強大な力を得た二本の剣は、今度こそ狼を貫いたのだ。

 一方で、終夜の歌が効果を切らし初めていた。
 彼は実力でキメラを押さえつける手段に出る。
 何も自分一人で片付けようなどとは思っていない。
 だが、力を試すことは出来よう。彼は素手のまま、狼の前に立った。
 異様な雰囲気を感じ取ったのだろう。狼は一歩二歩と後ずさる。
「行きます‥‥」
 終夜が地を蹴った。
 瞬時に詰められた距離。突き出された手刀が眉間を捉える。
 衝撃に怯むキメラ。だが黙ってやられはしない。
 反撃の爪。
 これを軽くはたき落とす。そして再び突き出される手刀。
 胸部を打たれた狼は、地を転げた。
「待たせたね〜」
 いち早く合流したのはウェスト。放ったエネルギーガンが、狼の下半身を焦がす。
 耳をつんざくような悲鳴。
 狼は最早逃げることも出来ない。
「ここまでだよ。大人しくしたまえ」
 外れたメガネをかけなおしたエドワードが、超機械の電磁波を放った。
 締めつけられるような感覚に、狼は悶える。そして徐々にその体は力を失い、ついにはぐったりと、動かなくなったのだった。