●リプレイ本文
●序
ウィンクソフト社には実に多くの葉書が寄せられていた。全て同社が企画し、募集したものである。
後に開発予定のテレビゲームソフト。そこに登場させるロボット――KVの案を募ったのだ。決してアイデア不足というわけではないのだが、どうせなら実際にKVを用いている者たちからの発想も得ておきたい、というゲーム企業としてはなかなかに大胆な手段であった。
これは、多く寄せられた案の紹介と、その評価の記録である。
進行は投稿案をまとめた上で、開発にも携わる部長、課長、女性社員の最大3人で評価する形で行う。
●量産部門
・榊 兵衛(
ga0388)
名前:アーマードウォーリーアー
簡潔にまとめると施設防衛型の量産機となる。
その特徴故に重装備かつ高火力。
非接触型プラグによるエネルギー供給で燃料効率の問題をクリア。その他非常用の燃料タンクも装備。
評価:
「手堅くまとまっていると思います」
「そうかね? この非接触プラグという設定をどうするか、という問題がだね」
課長の考えに部長は腕を組んだ。
「世界観に組み込むのは、シナリオ担当の仕事では?」
半ば押し切るような形で、課長が意見を返す。
ふむ、と息を吐きだした部長は、やがてそれもそうか、と同意した。
「面白い意見だとは思うよ」
実際部長の懸念点はそこだけであり、その他の面に関しては概ね評価は高いようだった。
・辰巳 空(
ga4698)
名前:KVF−015”イーグル3” ※Vは5のローマ字数字表記の代替である。
航空機に巨大なエネルギーポッド(恐らくスカートのようなものと思われる)をとりつけ、そこに脚を生やし、また胴からも腕を生やした形。非常に特異な形状。
戦術支援機であり、高機動ミサイルや機関砲を備えるなど攻撃的。
非可変機でありながら空陸両用。
陸ではホバーに依存するため、小回りは利かないながらも機動力は高い。
評価:
「見た目はずんぐりしてて可愛いかもしれませんね」
案をまとめた女性社員がにへっと笑う。
「見た目はね。でも機動力の確保が出来ないんだよ」
課長に言われ、女性社員は頭の中でこのイーグル3が飛びまわる様子を想像してみた。
どう考えても、狙われたら逃げ切れない。
「輸送機としてなら使えないでしょうか?」
「それを考えるのは、我々ではないよ」
シナリオ次第、といったところか。
・ヘイル(
gc4085)
名前:ABAF(Anti Bagua Armed Frame) ※略称はアヴァフ、AF
厳密にはKVではない。準KV機動兵器群の総称である。
空中で用いることは出来ず、陸戦で用いる。
基本的な骨格を共有し、装甲や武器などを組みかえることで様々なバリエーションが存在する。
性能自体は低い。だが機体毎の価格を下げ、かつ整備性を向上させている。
評価:
「良いね」
一言目から部長が好印象であることを示した。
「当然KV以外の兵器だって存在するだろう。そう言った中に組み込んでみるのも面白いと思うよ」
他の2人も、部長の言葉に反対する気はなかった。
強いて懸念することがあるとすれば、
「KVとどう差別化しましょう」
という課長の考えくらいだろうか。
・住吉(
gc6879)
名前:KV−F−4 ファントム
後部に巨大な双発エンジンを搭載。
変形機構を排してコストダウンを図り、エンジンパワーに依存して飛行する。
片方のエンジン、あるいは主翼が機能を発揮しなくなっても理論上飛行が可能なほどに頑丈。
簡素な造りであるために整備は容易。
評価:
最初に口を開いたのは部長だ。
「人型で飛行する必要性に迫る必要があるね。それから、他で削った経費をエンジンにかけすぎていやしないだろうか」
「そういうのは、浪漫でカバーするのですよ」
それで済ませたくはない部長であった。
「扱いに対して頑丈、という面は評価出来るがね」
課長の言葉は軽く流し、次の案へと移った。
●戦艦部門
・リチャード・ガーランド(
ga1631)
名前:ジャッジメント
空母2隻が左右対称にくっついた形。
人型へ変形が可能で格闘攻撃も可能。
搭載機をいかに早く展開させるかということに主眼が置かれている(少々特異な形状はそのためと思われる)。
機関砲だけでなく当然主砲も備えているものの、戦闘能力としては自衛程度。
評価:
「これは海上用でしょうか」
女性社員の疑問。恐らくそうだろう、と答えたのは部長だ。
浮遊させるといった記述はないから、多分間違いはない。
「人型になる戦艦! 面白いですね」
「ま、必要性はないがな。だが、それ以外の面に関しては非常に面白いと思うよ」
目を輝かせた課長に対し、部長はちょっと引き気味だ。が、悪くない、といった印象である様子。
・カイト(
gc2342)
名前:アイアンナイト
非常に多くの対空砲を備えた空中戦艦。
用途に応じて翼を換装することでG4弾頭、突撃用ドリル、海中用スクリュー及び魚雷を使い分けることが可能。
万能戦闘母艦として用いられる。
評価:
うんうん唸る女性社員。楽しそうである案だが、どう評価したものか、迷っているようだ。
「それね、全部まとめちまうのは流石に難しいよ。かといって、3つ別々の戦艦にしちゃうってのも、諸々の事情で難しいけどね。ほら、そこに書いてある」
葉書の下に書かれたコメントを課長が指差した。
そこにはこう書いてある。
『今、極北で戦っているアレを見て思いつきました。全部まとめたら最強じゃね?ってことで』
「‥‥アウトですね」
「あぁ、アウトだ」
●リアル部門
・UNKNOWN(
ga4276)
名前:けーいちさん
艶消しの漆黒のカラーリング。
攻撃力・機動性に秀でるものの装甲の薄さが課題。
パーツがオーダーメイドとも呼べるほど複雑で量産はされていない。
高性能の通信機能に情報処理能力、サポートAIなど、実に多様な機能が搭載されている。
評価:
「これって、やっぱりあれですよね?」
「あぁ、あれだ」
女性社員と課長の意見は合ったようだ。しかも、何だかデジャヴ。
だが、とそこに口を挟んだのは部長だ。
「これは名前を変更すれば済む話だろう。リアルと量産をわざわざ分けたのは、リアルはエース機用にしよう、という意図があってのものなのだから。パーツがオーダーメイドでも問題ない」
かく言う部長からの評価は、非常に高い様子だった。
・クラーク・エアハルト(
ga4961)
名前:ストレージ・ハンター
平面で構成された角ばった装甲に黒と灰のカラーリング、頭部にブレードアンテナを備える。
指揮官用あるいは特殊部隊用機体で、(量産タイプがあるという前提で)出力が強化されている。
スラスターを内包する装甲も増設、耐久力を上げながらも、機動力の維持あるいは上昇に成功している。
パイロットの腕や運用次第で爆発的潜在能力を発揮出来る。
評価:
「良いじゃないか」
部長の鼻息が荒い。
「エース機ですか。面白いですね」
「一通り完成したエース機というのはね、良いもんだよ。どれもこれも試作機、では世界観が安易になるからね」
どうやら部長は大分お気に召した様子。
「特に現段階で突くべき点は見当たりませんね」
課長の方も、概ね部長の評価に同意のようだ。
・風羽・シン(
ga8190)
名前:スティングレイ
強襲要撃用小型機体。
単機で大型機と渡り合うために特機用ジェネレーターを搭載した結果、暴走しがちで扱いにくい機体となってしまった。
変形機構は簡素であり、簡単に言い表せば前屈である。空中飛行形態の姿はエイに似ている。
また飛行形態では機体前面に特殊フィールドを発生させることが可能であり、それを利用しての突撃も可能。
評価:
「難しいな‥‥。単機で運用するならば、小型であることを明確にした上で、特機にしてしまえばまた違った評価も出来たのだが」
「あ。それいいですね。そうしちゃいましょうよ」
部長の呟きに、課長が乗っかった。
「ちっちゃい特機、可愛いかも!」
「いや、それじゃ投稿の意味がないだろう。このままでの採用は非常に難しい、とね」
目をキラキラさせた女性社員。暴走する2人の部下を諌めるだけで溜め息の出る部長だった。
・エミル・アティット(
gb3948)
名前:ラビ
獅子のような姿の四脚型。前面に装甲を集中させ、その他の装甲を極力減らすことで突撃用の機体に仕上がっている。
多少悪い足場であろうと走行が可能、また四脚故に砲撃時の反動吸収にも目を見張る点がある。
武装を取り外すことで他KVの移動ユニットとして運用することも可能。
二足歩行KVに慣れたパイロットの一部からは、操縦感覚の違いに不満の声が上がっている。
評価:
「ライオンですって。いいなぁ、こういうの」
きゃっきゃとはしゃぐ女性社員。四脚かつ動物をモチーフにした投稿というのは、これの他になかったのだ。
どうも彼女は可愛いもの好きらしい。
「移動ユニットか。ほう、これは面白い。量産に回してしまうのもありかな」
別に女性に媚を売っているというわけでもないのだが、部長からの印象も良い。
「忍者ロボと合体させるのは――」
課長が何を言っているのか、分からない。
・流叶・デュノフガリオ(
gb6275)
名前:イブ−Eve−。
女性型のシルエットを持ち、胸部や肩、膝など全身に内臓銃器やミサイルを持つ。
スラスターやブースターを多く設置し、機動力を上げている。
その分装甲は脆い。
※複雑な設定を持つため、他の特殊機能については後述のその他部門にまとめることとする。
評価:
女性型と聞いて、この女性社員が黙っているわけがなかった。
これまでは無骨なものが多かったので、彼女にしてみれば当然の反応かもしれない。
「どうにか採用出来ないでしょうか」
「それはまだこれから決めることだ。問題は、弾薬消費による重量変化をどう対処するか、あとは弾薬を内臓しつつ稼働するための空間的フレームの余裕なんかも考えねばならぬな」
部長の意見は厳しい。
「じゃあ、それさえ解決すれば?」
「ま。いいんじゃないかね」
●特機部門
・西島 百白(
ga2123)
名前:グラスト
某国の開発した防衛用特機。その際のコードネームはGRAND SHIELDである。
しかし敵対国家により鹵獲され現在の名に。
両腕に大型のシールドを装備し、それしか武器に相当するものがない。
鹵獲後はミサイル等の武装が追加された。
評価:
「これだよ、これこれ! でかい体にでかい兵装」
「リアル系のKVが蔓延る中で生まれた特機、という設定があればなお良いね」
これまでリアル部門の評価を行っていたからこその発想かもしれない。
テンションの上がる課長に全面同意しては変な方向へ評価が飛びかねないことを懸念してか、部長は務めて冷たい声で言った。
が、部長の表情に多少の笑みがあったことを見ると、好印象を抱いていることは恐らく間違いなかった。
・篠崎 美影(
ga2512)
名前:デュアルマスター
2体合体の特機。物理特化のブラストファイター、知覚特化のプラズマファイターが合体して1体の特機となる。
合体の仕方により、合体後も物理特化か知覚特化かに分かれる。
分離状態では銃器などによる中〜遠距離戦闘を主軸とし、合体後は刀などを用いた接近戦を行う。
評価:
「合体前提なら複数の投稿も良いんでしたよね?」
「あぁ、そうだったね」
まず女性社員が確認。部長が思い出したように頷いた。
確認し、再び案に目を落とす彼女。
「プラズマの方を女性型に出来ないでしょうか」
「出来るだろうが、合体前と合体後で戦い方が大幅に変わるのは、ね。どちらか片方でも、合体後に近い戦い方を想定していれば良かったのだが」
部長がちょっと苦い顔をした。その横で課長が合体万歳と叫んでいた。
・ヴァレス・デュノフガリオ(
ga8280)
名前:アダム−Adam−
単独で多数、あるいは戦艦との戦闘を想定し、腕にビームキャノン、各所にマルチホーミングミサイル、脛に2本のビームブレイド等、様々な内臓兵器を有する。
見た目は巨大であるが格闘戦を主とし、しなやかな動きが可能。
※複雑な設定を持つため、他の特殊機能については後述のその他部門にまとめることとする。
評価:
「これぞ特機ですよ。1機で多数の相手が出来る、だからこその特機です!」
課長が何事か力説している。特機部門になったとたん、これだ。
「対多数、ね。マルチホーミングミサイルがあるのはそのためか」
リアル派な部長の対応は、課長にとって冷たく感じるものであった。
が、決して否定しているわけではない。熱くならないだけ、である。
「ま、ちょっと特殊な設定があるし、具体的な評価はまた後で、だね」
・ソウマ(
gc0505)
名前:桜輝(おうき)
重装甲かつ機動特化の優雅な姿で、飛行装置兼万能兵器庫『光桜翼(こうおうよく)』を装備。
通常は背中に設置。3対9翼の、天使のような外観。
戦闘ではこの翼より武器を取り出し戦う。
防御に難はあるもののその分回避に比重が置かれている。
評価:
おお、と声を上げたのは部長だ。
「いい着眼点だ。特機だからといって、全てが重装甲である必要はないからね」
「天使の翼、綺麗なんでしょうね」
姿をイメージしてか、女性社員の頬が緩む。しかし部長は、ただし、と付け加える。
「他の具体的な案がないな。この翼を投稿したかっただけ、とも思える」
武装案や運用目的など、確かに翼に関すること以外の情報はほとんど記載されていなかった。
その点に関しては、女性社員も同意せざるを得なかった。
・剣城 咲良(
gc1298)
名前:ソードキャッスル
24m大の人型マシンを核として、5つのマシンが合体して36mの巨大KVとなる(5体合体の様子)。
脚はドリル戦車、腕は双門戦車が2台、頭部及びバックパックは巨大ステルス戦闘機がそれぞれ担当。
合体したそれぞれのマシンが武器となり、また機体そのものもビームキャノンを始めとし、多彩な武器を搭載している。
分離状態での連携戦闘はほとんど考慮されておらず、合体することが前提となる。
評価:
「超合体! 超YESじゃないですか!」
課長が粋がる。どうも浪漫に走りたがる彼のテンションは先ほどからクライマックス級だ。
それを調節してやるのも上司の務め、ということで。
「戦車や戦闘機を出しているのだし、合体を前提とする理由づけに力を注いだ方が良かっただろうね」
単体でも戦闘力があるように思われる兵器がパーツとなっているのに、それが分離状態での連携戦闘が想定されていないことに対し、部長は少々不満があるようだ。
が、今はその解決策を模索するのではなく、案を評価するべき時。どう理由をつけてゆくか、というのは採用してから考えれば良いことだ。
・天野 天魔(
gc4365)
名前:御座
形状が不定であり、普段は観測した情報の記憶装置でしかない。
記録対象に対し殲滅の審判を下したものに対し、それまで記憶してきた情報を元に姿を自在につくりあげ、殲滅する。
監視体(ここではパイロットと思っておいて問題ない)に異常を認めた場合は監視体そのものの初期化することも可能。
最終手段として動力炉を暴走させ、自爆することで、恒星系をまるまる破壊する。
評価:
「これだ!」
3人が一斉に立ち上がった。
ここまで悪役チックな投稿は他になく、それ故にインパクトが強い。
敵の兵器として登場するならば、とんでも設定であろうと文句をつけられない。
「まぁ、後はシナリオと上手く噛み合うかが問題かね」
顎に手を当てて椅子に座った部長が、現段階で唯一懸念されることを呟いた。
・ドゥ・ヤフーリヴァ(
gc4751)
名前:サビディビリション・フィー
戦闘能力を重視した飛行可能な人型と、移動力を重視した飛行形態を有する。
女性型のシルエットであり、両肩に遠隔操作可能の浮遊型ビームポッドを装備している。
とある財閥の党首が秘密裏に開発。森の中の洞窟に隠匿した。
独自AIを搭載している。
評価:
投稿態度には自信が溢れていた。
ならば、と意気込んで内容に目を通した部長だが、内容をまとめて、溜め息を吐いた。
「今のところ、面白い、との言葉しか浮かんでこないな」
それを聞き、女性社員がその案を覗き見る。さっと、目を走らせると、その手を口元に当てた。
「ストーリーが思い浮かんでくるようですね」
それが評価の全てと言えた。
●キャラ部門 ※以後の部門では投稿案をまとめるものとし、投稿者は必要ない限り伏せる。
・カールス・フィッシャー
30代のちょっと冴えない整備班副班長。
新しい技術なども積極に取り入れるなど意欲的。
見た目の割りに、いざという時何かと頼りになる存在。
評価:
パイロット案がほとんどを占めるのでは、と踏んでいた一同は、一通目から整備士という設定に当たったことに少なからず驚きを覚えていた。
それも、何かの専属というわけでもなく、副班長、という設定。
「ちょっと、以外ですね」
「でも、ちょっとしたところでストーリーの穴を埋めるには丁度いいかもしれない」
概して、受けは良かった様子。
・エラーブル・フジミヤ・シレーヌ
大航海時代の女海賊のような風貌、格好。
姉御肌で弱いものは守る主義。
指揮官的資質も備えている。
評価:
「まだ決まってないとはいえ、世界を間違えていないかね」
部長の言葉は、疑問で始まった。
「えっと、だからこそのインパクトではないでしょうか」
そこにフォローを入れたのは女性社員。彼女が言うには、イレギュラーな格好だからこそ目立つものがあるのだと。
言われてみれば、と部長。そういうのもありなのか、と。彼にはない考え方だった。
視点を新たに見てみると、艦長役に良さそうだ、との見方が浮かんできた。
「ふむ、すると‥‥なかなか面白い案だな」
・エリシア=フェンネル
通称エネル。17歳の少女。
後述する妹が笑って暮らせるよう、戦争を早く終わらせたがっている。
パイロットスーツを着たがらないが、パイロット。
姉妹のうちではボケ担当。
・クリネスト=フェンネル
通称クリス。15歳の少女。
前述の姉がパイロットであるのに対し、こちらは整備士。
料理もこなせる出来た妹。
姉妹のうちではツッコミ担当。
評価:
「姉妹ですか。いいですねぇ、女の子」
「男ばっかじゃつまらないからね。ムサくて」
「それセクハラですか?」
「いやいや、そういうのじゃなくて」
何故かジト目で見られてしまう課長。ごほんと咳払いし、雰囲気を一度取っ払った。
「2人で1つ、というのはいいと思うんだ。ストーリーに起伏が出るだろうしね」
・マサト・ブランフォード
20代くらいのメカオタク。白衣、ゴーグルが特徴。メイドロボ達をいつも引き連れている。
天才機械工学者であり、脅威の改造技術を有する。
評価:
「メイドロボ! それこそがまさに浪漫!」
「これこそがまさにセクハラですね」
女性社員と課長のやり取りはともかくとして。
案に目を落とした部長は、ぽつりと呟いた。
「無茶苦茶だが、いると非常に便利だな」
・クラーク・ハンビー
30歳男性でありながら中性的な顔立ちであり、左目に視覚補助の機械式眼帯をつけている。
正規軍特殊部隊「ダガー」の隊長。傭兵との共同作戦に参加することが多い。
性格は物腰柔らか。
妻帯者とのこと。
評価:
ここまで正統派の軍人はいなかったな、と部長。
女性社員の方はふーんと鼻を鳴らすだけだったが、男性陣2人からの印象は良い。
「このダガーという部隊が何なのか、というところにもう少し深く触れられていたら良かったかもしれないですね」
その言葉に、部長は深く頷いた。
・ワイン・シュタインベルガー
元優秀なエアレーサー。所属チームの行った八百長に巻き込まれ、レース界から追放される。
多額の借金を抱えていたところに、試作KVのテストパイロットとして引き取られる。
ぶっきらぼうで慎重な性格ながら、いざというときは大胆な行動に出る。
評価:
「使い勝手は良さそうかな」
「元エアレーサーだから、Gへの耐性は高いだろう。多少無茶な機体でも扱えそうだ」
やはり人間というくくりがあるからだろう。キャラクター部門になってから、特に設定への難色が示されることがなくなってきたようである。
ただし、と部長は付け加える。
「ストーリー開始までのキャラクターは描けても、ストーリー上でのキャラクターをどうするか、というのが課題か」
・ヴァレス・デュノフガリオ
家事を得意とする男性。
リアル系KVのパイロットを志望していたが、適正を認められアダム(特機部門参照)のパイロットとして選ばれた。
後述の流叶とは恋仲。
※複雑な設定を持つため、その他の部分については後述のその他部門にまとめることとする。
評価:
その他部門でまとめて評価するものとする。
・流叶・デュノフガリオ
争いを好まない女性であるが、親が軍人であるために自身も軍人に。
理論的であり、戦術眼に優れる。
イブ(リアル部門参照)のパイロットである。
※複雑な設定を持つため、その他の部分については後述のその他部門にまとめることとする。
評価:
その他部門でまとめて評価するものとする。
・ヤヅキ・リオン(夜月 理音)
口数が少なくクールに見えるが、実は面倒くさがりな軍人の青年。
後方支援や事務に就くつもりであったが、周囲が推したため前線に配属されてしまった。
サクヤ(咲耶)という女性型の別人格を持つ。
リオンにとっての心のオアシス(と書いて脳内嫁)らしい。
評価:
特に評価が低いというわけではない。が、目立つ課題点というものはあった。
「別人格というのは悪くないが、この設定が、このキャラの中だけで完結してしまうのはいかんともしがたいね。あとは、前線に配置されてからはどうやって前線に残り続けてしまうか、という問題もあるか」
キャラクターそのものを否定する気はないが、これが「ストーリーに絡む人物」でなく、「ストーリーに存在するにすぎない人物」に留まってしまっていることが、部長の渋い顔の原因だった。
「エンターテイメントとしては良いと思うわけですが」
課長の言葉に、部長はふむ、と唸った。
・ミサイル中佐
※検閲削除※
・御使い
御座(特機部門)の参照を推奨。
女性型の姿をしているものの、その容姿は自在に変更可能。
一定の科学力を有した文明を監視し、自らを製造した帝国へ報告を行う監視体と呼ばれる存在。
監視対象が有益であれば帝国の傘下に加えさせ、害をなすなら殲滅する任務を兼ねている。
評価:
「まとめきれないなぁ。でも、いい」
設定をまとめ、課長は長く息を吐いた。
徹底した敵役。他にはない設定だ。
「面白いね。よくこれを投稿しようと思ったものだ。その勇気からして、評価に値すると思うよ」
部長にとっても好印象な様子。他に語るべきことは特になかった。
・アジーリフ・キロ
財閥の令嬢として育つはずだったが、ある事件により物心つく前に孤児に。
狼に育てられる。
洞窟で発見した物言わぬKVが友達。
評価:
異色。評価はまさにその一言であった。
先のエラーブルという女海賊風のキャラと併せ、一際周囲と違った光り方をするキャラクターである。
「でも、設定は深いですよ」
女性社員の言葉に、部長はただ頷くだけだ。
物語のサイドストーリーとして扱えそうだ。それほど、イメージを膨らませるだけのものが詰まっているというのが、彼らの評価だった。
●その他部門
・独立型戦闘支援ユニット【セリア】
KVなどに搭載される予定の戦闘支援用AIであり、使用者の癖を把握し自己学習してゆく。
初期は機械的な反応しかしないが、学習を重ねることで徐々に人間らしい反応や音声を発するようになる。
KV少女のような小型の躯体があればそちらにAIを搭載することで交流も可能。
評価:
「KV少女! 実に浪漫!」
「もうこの課長嫌です」
女性社員の言うことは尤もと言えるが、部長は敢えてスルーすることを選んだ。
「これを全ての機体に組み込むというのは難しいだろうが、一部の機体に導入する、というのなら面白いかもしれないね」
これ自体もストーリーの一部としてエッセンス的に盛り込める。部長はそう考えていた。
・リゾネートバスター
少々特殊な設定となる。
アダムのパイロットであるヴァレス・デュノフガリオと、パートナー機体イブのパイロットである流叶・デュノフガリオの2人のシンクロ率が上昇することが発動の条件。
条件がそろうとイブが銃形態へと変形、アダムがそれを構え、互いのエネルギーを共有、増幅させて放つ必殺技。それがリゾネートバスターである。
その特性上、両パイロットの間にちょっとしたすれ違いがあっても発動出来ない。
評価:
「アダムの設定にあった対艦、というのはこれのことだろうね」
部長の言葉に、恐らくそうだろう、と2人は頷いた。
「搭乗者2人の設定は、結構好みですね。この2人を主役にしたストーリーをメインに出来るくらい」
「それだけ濃いものがあるからなぁ。浪漫が詰まってますよ」
「まぁ、パイロットの名前は変更する必要があるがね」
思わず部長が苦笑い。名字まで一緒なのは流石にまずい。
どのように用いるにしても、だ。ストーリーに深く絡める設定であろうことは部長も認めていた。
●全体を通じて・諸注意
今回紹介した例については、ウィンクソフトが開発を進めているゲームソフトにおいて使用される可能性があります。その際は名称や一部設定を変更することになります。ご了承ください。
また、投稿されたもの全件が採用されるわけでもないことをご理解いただけると幸いです。
採用者に対する特典は、「考えた設定がゲームに登場する」以上のものは特にございません。採用者に対する通知なども行いません。ご了承いただけると幸いです。
力作が多く、可能なら全てを取り入れてみたいのですが、全体のバランスなどから調整が難しく、そのように出来ないことを非常に悔しく思います。
この度はウィンクソフト社の企画にご応募いただきまことにありがとうございました。開発終了まで今しばらくお待ちください。