タイトル:【G3P2】護衛Bマスター:有天

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 15 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/11/27 01:33

●オープニング本文


「そうか、漸く目処が付いたか」
 東アジア軍中将 椿・治三郎(gz0196)が、やれやれというように溜息を吐く。
 ユニバースナイト3番艦、「轟竜號」という愛称がある巨大潜水空母に中型ヘルメットワームの慣性制御装置を積載すれば地上数センチであるが浮上できるだろうという見解を出してから数ヶ月。
 他の機体では転用実績があっても、はるかに縦横の大きさ、本体の重量が重い轟竜號である。
 一体どの部分に搭載するのが一番効果的か? という大型タンカーを使った10分の1スケール実験に予想以上の時間が掛かってしまったのである。

 轟竜號は永遠に進化を続ける艦といえば格好が良いが、逆を言えば色々と不具合があるという事である。
 技術課題は、専門分野に任せておけばいい。

 では、軍として何をすればいいか?
 取り付け・実験期間中ラップするかのようにアジア軍旗下の中国軍が西安周辺の掃討作戦を実施する予定である。
 いざ作戦が始まればバグア軍も轟竜號に構ってはいられないだろう。
 軍としては、その前に慣性制御装置を轟竜號に届ける必要があった。

 だが、帰還兵の運搬に使用されている轟竜號は、現在大西洋上である。
 アジア軍が直接動くには距離が長すぎる──。



「まあ、そういう訳で皆さんにお仕事が回ってきたわけです♪」
 オペレータがニコニコしながら仕事内容を紹介する。

「今回の輸送作戦に使用される輸送機は、おなじみのガリーニンです♪」

 3機用意され、1機に本物のコンテナが乗せられ、残り2機がダミーである。
「機密保持の為にどれが本物か教えることはできませんが、他の2機も轟竜號の修繕に必要なパーツが入っていますので落とされちゃうと困るのは変わりませんので頑張って守ってあげてくださいね♪」

●参加者一覧

ケイ・リヒャルト(ga0598
20歳・♀・JG
井出 一真(ga6977
22歳・♂・AA
イスル・イェーガー(gb0925
21歳・♂・JG
ニア・ブロッサム(gb3555
20歳・♀・SN
御崎 綾斗(gb5424
22歳・♂・SN
禍神 滅(gb9271
17歳・♂・GD
ファリス(gb9339
11歳・♀・PN
コティニフォリア(gc0452
20歳・♀・SF
布野 あすみ(gc0588
19歳・♀・DF
ジャック・ジェリア(gc0672
25歳・♂・GD
オルカ・スパイホップ(gc1882
11歳・♂・AA
レインウォーカー(gc2524
24歳・♂・PN
四十万 碧  (gc3359
22歳・♂・SN
Kody(gc3498
30歳・♂・GP
火神楽 恭也(gc3561
27歳・♂・HG

●リプレイ本文

 東アジアの某基地。
(「ガリーニンの護衛か腕が鳴るわね」)
 F‐201Aのコクピット内、ケイ・リヒャルト(ga0598)は操縦桿を握り呟く。
「どれが本物であろうと構わない。あたしはこの艦を護ってみせるわ」
 アフターバーナーが焔を吹き、鉄灰色の翼が蒼空目がけて飛び上がって行った。


 轟音をあげ黒金の巨艦が西を目指して飛んでいる。輸送機ガリーニンだ。その周囲を舞うのは十五の鋼の翼、ULTのナイトフォーゲル。
「あいつ大丈夫かな‥‥きっと大丈夫だろうけど、こっちも成功させないと‥‥」
 KVのうち一機、Mk‐4Dのコクピット内でイスル・イェーガー(gb0925)は呟いた。彼は恋人が違うルートで参加しているため、自分もこの任務を成功させるべく参加したらしい。愛する人は100km以上離れた空の彼方。心配だ。
「潜水艦が浮くなんて面白そうだね〜♪」
 陽気な声をあげているのはオルカ・スパイホップ(gc1882)。彼は故に手伝いに来たのだと笑って言った。一応重大な任務だとは分かっているらしいが、軽快な調子である。
「UK3‥‥本当にあんな大きな物が浮くものなのかしら?」
 半信半疑な様子なのはニア・ブロッサム(gb3555)だ。彼女もまたそれを確認するためにも、今回の仕事は成功させなければならないと思っている。
「今後の為にも頑張らないと、な」
 火神楽 恭也(gc3561)が言った。三番艦が陸で動けるようになれば戦略の幅も広がる筈である。今後の戦略の幅を広げる為にも是非成功させておきたい。
(「輸送依頼か‥‥確か以前妹もFRの輸送依頼で辛酸を舐めさせられたといっていたな」)
 御崎 綾斗(gb5424)は胸中で呟いていた。妹さん達は受けた依頼に失敗し、それが本物だったためFRを奪われたという結果になってしまったらしい。
「兄妹揃って輸送依頼に失敗するわけにはいかない‥‥」
 強く操縦桿を握りしめる。積荷がダミーか本物かどうかは解らないが、いずれにせよ成功さねば、と思う。なるほど、御崎兄妹は的中率が高いようだ。
 その事実はこの時この場では誰も知らなかったが。

●猛撃
 輸送戦隊が飛行する事しばし、やがて哨戒機が敵戦力を発見したとの報が入った。
「タロス一機! 小型HW三機!」
 各員の間に緊張が走る。だが十五対四、数的にはこちらが圧倒的に有利。しかし敵は傭兵達を撃墜しなくても一撃をガリーニンに叩き込んで撃ち落とせば目標は達成出来る。
「早速来たな。yeah! party time!」
 Kody(gc3498)が不敵に笑った。
「来たな‥‥ガリーニンには近づけさせないぞ!」
 井出 一真(ga6977)もまた闘志を秘めて言う。
 敵の牙がガリーニンまで届くか、それより前に傭兵達が四機を叩き落とすか。勝負はそこだ。この積荷が失われれば全てはご破算。彼の艦は宙に浮くのか、それとも永遠に海の底か。やがて傭兵達のレーダーにもその光が点滅し始めた。
「敵機‥‥方位310、270、230、90にそれぞれ一機!」
 四十万 碧(gc3359)が言った。西、西北西、西南西、東。ガリーニン、足が遅い。囲んで来た。四十万はガリーニンの前方に飛び、連絡して速度を合わせ230のHWをA、270のHWをB、310のHWをCとナンバリングし報告した。
 最速は後方東より迫るタロス・最遅は前方西側HW。敵機四機こちらの速度を図り接敵する間合いを合わせて来ている――どう動く?
「数はそんなに多くないみたいだが‥‥抜けられると面倒だな。一機づつ狩って行くか」
 とジャック・ジェリア(gc0672)。傭兵達は手早く動きを打ち合わせる。
(「こんな奴らに遅れを取るわけにもいかないなぁ。あの女を倒すって決めたんだからさぁ」)
 レインウォーカー(gc2524)はジハイドの風祭を脳裏に思い浮かべつつ胸中で呟く。それまでは、絶対に負けられない。
「お前もそうだろ、相棒」
 呟いて操縦桿を切ればFPP‐2100のエンジンが応えるように咆哮をあげ、加速してゆく。
「ボクらは迎撃に向かう。主役の護衛は任せるよぉ」
 レインは言って、翼を翻して後方のタロスへと向かう。
「火龍よ いざ ゆかん 戦場へ イェェェェイ」
 禍神 滅(gb9271)、ケイ、井出、オルカの四機もまた旋回して東、タロスへと向かった。
 ファリス(gb9339)&布野 あすみ(gc0588)は南HWAへ、イスル&火神楽は西HWBへ、Kody&ジャックは北HWCへと向かう。ニア、コティニフォリア(gc0452)、四十万は直衛に残り、御崎もまた四方を統括する為に中央へ残った。
「皆さん 無事で」
 モニタの光点を眺めつつ四十万は一人呟き日本酒を口にした。


 風が唸り風防が震える。東へ向かった五機は半円状に散った。四機が弧を描き一機が直進し、タロスを囲まんと迫る。
「予定通りに行く。初手は任せるよぉ。ボクらは位置につく」
 とレインが言った。
 距離が詰まる。
 距離が詰まる。
 空の彼方に浮かぶ埃の如き大きさだった赤輝があっという間に巨大になってゆく。
 相対距離六〇〇、入った。ケイ、ブースト点火、オーバードブースト発動、高速で突っ込んで来る敵機をロック、サイトが赤く変わった。今。
「当たれー‥‥ッ!」
 裂帛の気合と共に発射ボタンを叩きこむ。瞬間、焔と煙を噴出し五〇〇発もの小型誘導弾が空へ解き放たれた。K‐02誘導弾だ。
「贅沢に行くぞ、ミサイル全弾発射!」
 井出機がそれに合わせて百発のパンテオンを射出し、
「波状攻撃が一番さ、再生する時間なんか与えないよ!」
 禍神もまた誘導システムII及び投射装置を併発、数百を数えるK‐02誘導弾を空へと次々に撃ち放ってゆく。
「多方面からの点じゃなく面攻撃! 逃げれるもんなら逃げてみなよ〜!」
 オルカは言ってロケット弾を射出させた。この猛攻に対しタロスは猛烈に赤く輝くと慣性を無視してマッハ8まで一気に加速、半包囲のKV五機に対し、ガリーニンの後背を目指して矢の如くに真っ直ぐに誘導弾の壁へと突っ込んでゆく。誘導弾の幾つかが爆裂して大爆発を巻き起こし、しかし焔を裂いてタロスが飛び出してくる。反撃は無い。ただ飛行に専念している。的はガリーニンのみ。
 黄金色の巨人の赤い瞳がぬらりと輝く。
(「――行かせるか」)
 側面から回り詰めんとしていたレインウォーカー、ブラックハーツを発動、小旋回して機首を回すとタロスの後背へと捻り込む。背中に損傷箇所は見えないが、回り込む暇はないので、そのままゆく。
「手加減一切なしの一撃、避けれるもんなら避けてみなぁ」
 言葉と共にトリガーレバーを引く。光の弾丸が嵐の如くに解き放たれた。タロスの背へと無数の蒼光が伸びてゆく。レーザーバルカンだ。巨人の装甲を光が次々に穿ってゆく。だが落ちない。
「そっちには行かせないっていってるでしょ〜!」
 オルカ機、ベクタード・スラスト。空気の断層に機体を横滑りさせ、タロスの眼前へと回り込む。突っ込んで来る。AAMを猛射。近距離の大爆裂。焔が空を埋め尽くす。タロスの装甲を爆裂が吹き飛ばし、しかし巨人はそれでも焔を抜けてオルカ機に迫った。慣性制御で直角にスライドし、直後にまた方向を変えて抜き去ってゆく。黄金と赤の残像。淀みの無い滑らかな動き。が、流石に少し速度が減少したか。
「ガリーニンには指一本触れさせない‥‥ッ!」
 ケイ機、素早く機首を回すとロケット弾を撃ち放ちブーストして追随する。ロケット弾が唸りをあげて飛び、タロスの背に炸裂して爆裂が巻き起こった。
「SESフルドライブ。ソードウィング、アクティブ!」
 蒼空に爆炎が広がる中、井出機はブーストに火を入れた。広がる焔に構わず斜め上から突っ込む。既にタロスは半包囲を抜けている。ここでまたマッハ8のトップスピードまで加速されたら、誰ももう捕まえられない。
「こいつの『牙』は鋭いぞ、逃すものかッ!!」
 阿修羅が咆哮をあげて稲妻の如く降下し、金色の巨人が一際強く輝き慣性を無視して再加速した――

● 
「大切なお荷物を運んでいるのを邪魔しないで欲しいの! お邪魔虫は消えて欲しいの」
 西南、ファリスが言った。布野と共にHWへと迫る。
「ふふ、ファリスがいるなら百人力さ」
 布野は無線にそんな言葉を飛ばすと、赤輝を纏い極超音速で迫って来るHWを見据える。敵機はマッハ6。ブーストしたKVとほぼ同じ速度。
 布野機、A‐0‐ロウ・ホールド【爆裂】、思わず流石にそんな装甲で大丈夫か? と問いかけたくなるスマートさ。敵から攻撃されなければ問題無い。射程に入れられる前に叩き落とす。
「順番に仕掛けるよ? まずはあたしから誘導弾、その後にファリスが間合いに入ったら、あたしはHWの向かって右下にライフルで撃つ。OK?」
「‥‥うん、解ったの。見逃さないの」
「頼りにしてるよ――それじゃ、ブースト!」
 アフターバーナーから焔を噴出させ一気に極音速まで乗って布野機が加速する。その後からファリス機が続く。相対距離六〇〇、ツインブースト・クー・ドロアを併発。HWへと8式誘導弾を二連射。HWは急降下して回避せんとし、誘導弾が追尾する。ミサイルの方が速い。喰らいついた。大爆発が巻き起こる中、布野はD‐02のガンサイトをHWの右下端へと素早く合わせて発砲。
「ファリスは【フラウス】に合った戦い方で頑張るの!」
 ファリス機、ブレス・ノウ、アグレッシヴ・ファングを併発、ロックオン、HWが左上へと上昇してライフル弾を回避しファリスはそちらへと機首を回して十六式誘導弾を三連射。極超音速を超えて放たれたミサイルがHWに喰らい突いて、その先端のドリルで装甲を突き破って入り、増幅された爆発力を解き放った。三連の巨大な焔が膨れ上がり、HWがバラバラになって、さらに爆裂を巻き起こしながら散ってゆく。撃墜。
 他方、西。
「一気に沈めるつもりで行こう。恐らく、それが一番被害を少なく出来る」
 火神楽が言った。
「了解」
 頷いてイスル。敵は真っ直ぐ入って来ている。ヘッドオンでの攻防になりそうだ。
 相対距離三〇〇、火神楽機、サイトを合わせHWをロックオン。Pフォースを発動、三連の誘導弾を解き放つ。鋭く飛んだミサイルをHWは慣性を制御してほぼ直角に急降下し、一発を回避、二発が直撃して爆裂を巻き起こす。強烈な破壊力にHWの装甲の大半が吹っ飛んでゆく。しかし、まだ落ちない。煙を吹き上げながらもガリーニン目がけて突き進む。
「目標補足‥‥狙い撃つ‥‥!」
 その眼前に踊り出たイスル機、ライフルから荷電粒子の光波を放ち、さらに誘導弾を撃ち放つ。光がHWを貫き、誘導弾がエネルギー爆発を巻き起こす。HWは爆裂と共に黒煙を吹き上げ回転しながら高度を下げてゆく。撃墜。
 西北、ジャック機、相対距離八〇〇、爆風を巻き起こし一気に迫り来るHWをガンサイトに納める。
「この距離での効果弾は――ちょっと望み薄かな?」
 そんな懸念と共に発砲。KM‐S2より弾丸が勢い良く飛び出してゆく。瞬後、HWの装甲が割れて破片が飛び散った。問題無い。リロード。
 Kody機はガリーニンを目指すHWの軌道を読んで側面より接近、スライドしつつその後背へと捻り込む。
「荷物をやるわけにはいかねぇぜ‥‥」
 極超音速で遠ざかってゆくHWの背中、ロックサイト、まだ。一瞬で遠くなる。音と共に赤く変化。間髪入れず発射ボタンを指で叩き込む。
「とりあえず沈んでくれや!」
 焔と煙と共に四連のG‐01が射出される。マッハ6よりもさらに速く飛ぶ誘導弾が、HWの背中から迫って追い突き、激突して大爆発を巻き起こした。装甲が一瞬で吹き飛んでゆく。
 が、まだ落ちない。
 HWがガリーニンへと迫る。


 タロスVSKV五機。井出機の剣翼が炸裂してタロスが爆裂を巻き起こしながら落下してゆく。やったか? 再生能力がある。
「だだだだだだだ!!」
 オルカ機が追撃に重機関砲を猛射し、ケイ機が高分子レーザーを叩き込み、レイン機がフォトニック・クラスターで焼き払う。FF、そろそろ消えただろうか? 禍神は落下してゆくタロスへと二連のキャッツ誘導弾を撃ち放って爆裂を巻き起こし、D‐02で駄目押しの一撃を撃ち放つ。
 コアがやられたか、黄金のタロスは超爆発を巻き起こして四散するとバラバラになりながら落下していった。ここまでやれば再生は出来まい。撃破。
 一方、
「北を!」
 四十万が言った。
 御崎機、コティニフォリア機、ニア機が北へと向かう。
「さて‥‥行かせないわ」
 ニア機、誘導システムを発動、二百発のパンテオン誘導弾と二発のJN‐06誘導弾を撃ち放つ。ミサイルの嵐が唸りをあげてHWへと襲いかかり次々に直撃して爆裂の嵐を巻き起こす。
「後はコイツを落とすだけ‥‥か」
 御崎機、HWへと迫るとプラズマリボルバーで光波を撃ち放つ。HWは赤く輝き直角に降下して回避。
「じ〜」
 っと敵をよく狙っていたコティニフォリアはHWの回避先を狙ってG‐03ライフルより弾丸を撃ち放つ。螺旋に錐揉む弾丸がHWに炸裂してその装甲を穿ち、すれ違いざまに御崎機が高分子レーザーより光線を叩きこむ。
 ベクタード・スラストで回頭したジャック機はファルコン・スナイプを発動、HWがその射程外よりでるより速く200mm4連キャノン砲を撃ち放ち、八連の砲弾を叩き込んで爆砕した。撃墜。
「全敵対戦力の沈黙を確認。お疲れ様。レーダー反応は無しです。僕は、念のため周囲警戒を続けます」
 四十万が言った。
「ふひ〜おつかれです」
 息をついてコティニフォリア。
「終わったか‥‥さて、他所の方はどうなっているのやら」
 と御崎。
(「大丈夫かなぁ‥‥」)
 と思いを馳せるイスル。やはり恋人の安否が気になるらしい。
「目標撃破ぁ。ノルマはこなせたねぇ。でも敵の増援が来る可能性もある。ボクも警戒行動に入るよぉ」
 とレインウォーカー。
 傭兵達はその後もガリーニンを守って飛行を続け、やがてUK3の元まで辿りつき、その甲板へと無事に着艦したのだった。


 八人の傭兵達の手により制御装置は無事にUK3の元まで届けられた。この便が当たりだったのである。
「しかしこの艦を浮かせようなんて‥‥上もとんでもないこと考えますねえ」
 轟竜號に着艦した井出が言った。降りて来る時に空から見たあの巨大さ。飛行甲板の片方だけで長さ一キロにも及ぶという。しかもそれは艦のほんの一部であって全てではない。
(「陸上を動いたら目立つだろうな‥‥」)
 そんな懸念もあるが、この圧倒的質量。動く要塞レベルだ。多少の敵部隊など踏みつぶせる。もっとも戦艦大和の例も歴史にはあるものなので、実際はどうなるかは解らなかったが。
 しかし、それは恐るべき――そう、恐るべき艦になる可能性を秘めていた。
 永遠に進化を続ける艦、それが轟竜號であるという。良くも悪くもこの艦はまだ未完だ。
 今は、その未来に夢を巡らせ、傭兵達の今日の健闘を讃えよう。

 了
(代筆:望月誠司)