●リプレイ本文
土産物屋を覗く観光でやって来たと思われる男女4人(男1、女1・2・3)。
女1「あら、こんな所でも温泉饅頭って売られているのですね」
店先積まれた像印温泉まんじゅうの箱を見つける。
店の主人(モブ男1)がこの辺の名物だと教える。
女2「丁度4箱あるから皆で1箱づつだね」
女2が箱に手を伸ばした瞬間、それを横からかっ浚う男(ライバル)
ライバル「親父、ツケてくれ」
***
「‥‥温泉饅頭を巡って両者が戦うんですか?」
拓那が怪訝そうな顔をしてパナ・パストゥージャ(gz0072)を見る。
「ちょっと違うね。この後、両者を止めに土産屋の娘、ライバル男がこっそり思いを寄せているヒロインになるんだが、止めに入る。お客である男1‥‥まあ、これで新条さんの事だけど、庇うのでライバル男は面白くない。そうこうしている内にヒロインの口からライバル男が、ヤサグれる前はスリッパ卓球の名選手だったと教えられる。で、ライバル男を懲らしめる為に戦う事になるんだが‥‥」と、気にした様子もなく説明を続けるパナ。
脇では小夜子が持ち寄ったお茶と一緒にお菓子を配っている。
それを啜り乍ら「思いっきりベタね」と紅葉が言う。
「スリッパで卓球‥‥何だか楽しそうですね」と小夜子。
撮影、頑張りたいと思います。と微笑む。視線の先に拓那がいる。
(「ふふ‥‥少し不謹慎ですけれど、拓那さんとまた一緒で嬉しいです」)
ねぇねぇ。と、石榴がパナの肘を突っ突く。
「今回の撮影は、温泉で卓球じゃないの?」
水道水に大量の『温泉の素』を突っ込んでいると言われて「え、聞いていないよ」とがっくりする石榴。
***
卓球の相手はパナの会社のスタッフである。
スリッパで卓球ができるか実証の為、打込みをしていたスタッフは強敵であった。
「負けてどうする、俺」
「拓那さんが悪いんじゃないですよ。きっとスリッパが悪いんです」
練習でフルセット落とし、落ち込む拓那を気づかう小夜子。
「ああ、もっと‥‥はぁ〜っ‥虐めてぇ〜っ、ご主人様(ハート)」
どこかのスイッチが入ってしまった紅葉が目を潤ませ手下3役のスタッフに縋っていた。
ちゃんと撮影が終わるか心配になって来る石榴。
●CAST
男1 大将:仮面の侍‥‥新条 拓那(
ga1294)
女1 次鋒:卓球巫女‥‥石動 小夜子(
ga0121)
女2 先鋒:セーラ服美少女卓球選手‥弓亜 石榴(
ga0468)
女3 副将:究極のツンデレお嬢様‥‥藤堂 紅葉(
ga8964)
●スリッパ卓球in温泉?
・先鋒戦
ライトロックのダンスナンバーに合わせてスクリーン上を所狭しと飛び跳ねる今時の膝丈セーラー服姿のセーラー石榴(以下S石榴)。ムービングライトに照らされて、健康的な太股がチラリと見える度に、男達から歓声が上がる。
「セーラー服美少女卓球選手、セーラー石榴!」
裏Vサイン<小顔効果あり>の決めポーズをするS石榴。
***
双方の点数は、サービスエースが殆どである。
特にS石榴の必殺「みえそうで見えないサーブ」は効果覿面である。
高く上げたトスをジャンプサーブするのだが、その時スカートがヒラリと翻る。
<斜の掛かったソフトフォーカスとスロー再生されるスカートの裾。画面下には鼻の下を伸ばし赤面した男共の顔(アニメ化処理)が並ぶ>
だが次第に見なれたのかラリーが続くようになって行く。
「ならば究極奥義『真必殺・ヒグマ落とし』!」
ハイパーMAXパワーで相手コーナーに叩き付けられたジャンプサーブ。ピンポン球が白煙を上げてギュルギュルと回転をする。が、一瞬ぴたり。と止まる。だが、ピンポン球に凄まじい逆回転が起り、反動で天井すれすれ迄高く上がる。
「あなたにこれが打ち返せて?」
「甘い! ようはコーナーに当った時の一瞬を逃さなければ、恐れるに足りん!」
「口だけならなんとでも言えるわ! 食らえ、『真必殺・ヒグマ落とし』!」
手下1にサーブをあっさり返され、愕然とするS石榴。<バックに稲妻が走る>
「そんな馬鹿な‥‥」
がっくりと膝をつくS石榴に仲間の声援が飛ぶ。
「セーラー石榴、こんな事で負ける貴女じゃないでしょう! ここで負けたらお仕置きよ!」
「そうだった‥‥私には、まだ最終奥義があるじゃない‥‥」
キッ! と手下1を睨み付けるS石榴。
「あなたなんかに負けないからね!」
「負け犬の遠吠えにしか聞こえないぜ!」
手下1の鋭いサーブがテーブルに叩き付けられる。高く上がったピンポン球に食らい付くように高いジャンプをするS石榴。くるくると華麗に前方宙返りをした後、ぐぐっと体を逸らす。
急角度からピンポン球を打ち下ろすS石榴。
「最終奥義『超必殺・エビ反りハイジャンプ打法』!」
<画面一杯に、「超必殺・エビ反りハイジャンプ打法」の文字>
ピンポン球の直撃を受けて撃沈する手下1。
手下1: 1)○●○ 2)●○● 1P
S石榴: 1)●○● 2)○●○ 1P
・次鋒戦
琴の音に合わせて巫女姿で舞い踊る卓球巫女。
バックには撫子が散る。
「謎の卓球巫女参上!」
掛け声と共に拍子木が鳴り、手にスリッパを握り、決めポーズをした卓球巫女にアップが被る。
赤い袂で襷で括る卓球巫女。
***
先取点を捕られた卓球巫女。
「やりますね‥‥では、これならどうです! 『スリッパの甲の部分で打ったらどこに行くか自分でも分からない打球』!」
掛け声を上げ、気合い十分に大きく振りかぶる卓球巫女。
<卓球巫女の動きに合わせて集中線がコミック調で現れる>
ベコっ──ネットすれすれ、蝿が止りそうなヘロヘロなボールが飛んで行く。
「見かけ倒しかよ! 貰った!」
だが、手下2が振ったスリッパを避けるようにピンポン球が急に角度を変える。
柔らかい甲で打った為にピンポン球は予測不能な軌道で飛ぶ魔球になったのだ。
卓球巫女に仲間の声援が送られる。
「いいぞ、卓球巫女!」
手下2: 1)○●○ 2)●○● 1P
卓球巫女:1)●○● 2)○●○ 1P
・副将戦
ドラマティックゴージャスなクラシックアリアのテーマ曲をBGMに高笑いをし乍ら登場したのは大きく背中が空いた貴婦人(ポンパドール)風の豪華なドレスを着たお嬢様である。
キラキラの光を纏い、飛ぶ大輪の薔薇をバックに決めポーズをするお嬢様。
「おーほほほほっ♪ 潔くない男達に薔薇に代ってお仕置きよ」
***
手下3がサーブモーションに入った所<画面一杯に<「ブラッディフラッシュ」の文字>
ドレスに隠された豊かな胸元を腕で支えてさらに谷間を強調するお嬢様。
<黄金に彩られたセクシーな胸元が極アップになる。画面下に鼻血を噴く男達>
仮面侍、卓球巫女に鼻血を噴いて貰っている。
バックに薔薇を咲かし乍ら華麗にワンステップでサーブリターンするお嬢様。
<画面一杯に「ローズステップ」の文字>
良く見れば何故か目をウルウルとさせているお嬢様。
(「‥‥皆があんなに見つめて‥‥」)
セクシーな吐息と共にふにふにと自分の胸元を触っている。
「私に平伏しなさい!!」
<画面一杯に「ゴージャスローズハリケーン」の文字>
クルクルとワルツのステップのように回転し、薔薇の花弁を嵐のようにまき散らす幻影が相手をスマッシュが襲う。
ポイントを取られたところでタイムをかけるライバル。
ベンチに戻ってきた手下3に耳打ちをする。
アドバイスを受けてから手下3の攻撃が変わり、お嬢様が技を繰り出す瞬間ヨガパワーで無我状態に落ち入るのだ。
「手元に着たピンポン球のみを打ち返せいいんだ」
力強く叩き付けたピンポン球がお嬢様の腕に当る。
1セット目を落とし細かく打ち震え乍らベンチに戻って来るお嬢様。
元気づけようと仲間達が声を掛け得る。
「ファイトよ、お嬢様!」
「ええ‥‥こんな意地悪に‥‥‥‥‥くっ‥‥‥あんな殿方‥‥初めて‥」
「「「はぁっ?」」」」
「良く見れば、なんて素敵‥‥ああ‥ご主人様(ハート)」
顔を見合わせる3人。
何処かのスイッチが入ってしまったお嬢様。
スリッパの代りに体でピンポン球を受けはじめる。
「はうぅ‥‥ご主人様、もっと私を虐めて下さい♪」
手下3: 1)○●○ 2)●○○ 2P
お嬢様: 1)●○● 2)○●● 試合放棄?
・大将戦
激しく打鳴らされる鼓のリズムに乗り、番傘を担いで登場した着物の姿にファントムマスクと言ういでたちの男。「サムライ!」と掛け声が掛かる。
裾を流し、伊達に決める。
ちらりとヒロインを見た後、ライバルを見据え、諭すように言う仮面侍。
「あの人のためにも、すいませんが、ここらで引いてはもらえません?」
「手前ぇには関係ない事だろう」
「‥出来ない? やっぱり‥‥。仕方ないなぁ‥‥じゃ、覚悟して頂きます!」
ライバルがコーナに叩き込んだサーブの勢いにピンポン球が割れる。
「ふ‥‥伊達ではないと言う事ですか」
1セット目から激しいラリーの応酬である。
先にポイントを落としたのは仮面侍である。
「中々楽しませて下さる。しかし、そろそろ終わりにしましょうか‥‥」
2セット目は仮面侍からのサーブである。
「存分に味わってくださいよ? 絶対奥義、トリニティ・ドライヴッ!」
摩擦でピンポン球に火花が散り、赤い炎を帯びて飛ぶ。
同時にピンポン球と仮面侍の姿が3つに現れ、一斉に攻撃を始める。
「ぬぅ〜っ‥‥貴様がそのつもりならこちらも秘奥義で戦う迄よ!」
ライバルが己のツボをズブリと刺すと、筋肉量が3倍に盛り上がる。
3倍の攻撃を3倍のスピードで返す。
だが、攻防一体のトリニティ・ドライブの敵でない。
仮面侍が2セット目を取った。
ライバル:1)○●○ 2)●○● 1P
仮面侍: 1)●○● 2)○●○ 1P
***
「く‥‥負けは、負けです。 君達こそNo1だ。スリッパ卓球の‥‥」
がっくりと膝をつく仮面侍。
険しい表情していたライバルの表情がふっ。と、柔らぐ。
「お前との戦いは忘れていた思いを思い出させてくれた‥‥‥こんなに気持ちは久しぶりだ。俺の負けだな」
ライバルの言葉に驚く仮面侍。
ライバルが手を差し伸べ、床に座り込む仮面侍と立たせガッチリと握手する。
「最後のスマッシュは効いたぜ!」
「ええ!」
ワカメのような涙を流す二人のバックに何処からか発生した荒波が夕日が現れる。
翌朝、来た時と同じオンボロバスに乗って温泉宿を後にしようとする4人。
ライバルらがやって来る。
「これを持って帰れ。昨日は楽しかったぜ」
「ほんの気持ちだ」と4人に温泉まんじゅうの箱が手渡された。
男1は「何の事だ?」と嘯くが「あんな変装バレバレだ」と笑うライバル。
「まあ、地元の名物だからな。それこれからは食べる気になればいつでも食べられるからな」
後ろを振り返るライバルの視線の先にヒロインがはにかみ乍ら立っている。
「そうか‥‥じゃあ有り難く頂くよ」
バスが発車したその後ろを手を振って追い掛けるライバル達。
「また来いよ!」
「次は私達が勝ってみせるわよ!」
車窓から身を乗り出し別れを惜しむ4人。
──場面変わってLH、どこかの兵舎の一室が映る。
机に置かれたフルーツ牛乳の空き瓶に小さな秋桜が飾られていた。
<完>
***
「クランクアップだーっ♪」
やったー! と石榴が伸びをする。
「岩風呂はどっきり‥‥ではありませんよね?」
ドキドキし乍ら小夜子が言う。
「うふふっ、お風呂でも皆を悩殺よ♪」
うふ〜ん♪ と豊かな胸を両手で包みあげる紅葉。
これからお楽しみタイムの大露天風呂である。
●岩風呂天国
海を見おろせるホテルの庭に掘られた一度に50人が入れる巨大岩風呂の周りには、何故かビーチパラソルや日焼けデッキ、軽食のバイキングビュッフェやドリンクバーがあるのは御愛嬌である。
「ひろ〜〜〜いっ♪」
大柄の赤い花をあしらったワンピースを着た石榴が、ざぶん! と温泉モドキにダイブする。
「く〜ぅ‥‥生き返る」
良い温度だよ。と後ろからやってくる皆を振り返る。
「岩風呂‥‥‥というよりは、温水プールに近いのかな?」
日本の温泉とは大分違うな。と苦笑いする拓那。
「本当に残念。石動さんを優しく体を洗ってあげたのに」
ワキワキと微妙な手の動き見せる石榴。
「新条さんもきっとエロい目で見てる事、間違いない!」
ケラケラと笑う石榴の言葉に耳迄真っ赤になる拓那。
「でもデッキでマッサージできるみたいだからスキンシップはバッチリよね」
体のラインがばっちり出る黒いスポーティビキニの紅葉。
「似合うかしら? うふ〜ん♪」
大胆なセクシーなポーズをする紅葉、白い肌に黒いビキニが生える。
可愛い彼女がいてもセクシーダイナマイトボディをつい見てしまうのは拓那、悲しいかな男の性である。
「新条さん、石動さんに怒られるよ」
石榴の突っ込みで慌てて目を逸らす拓那。
「えーっと‥‥新条さんは石動さんとおつき合いをしている?」
と拓那に紅葉が質問をする。
「ええ‥まあ、その‥‥はい」
「私ったらスミマセン!」
突然スイッチが入ってしまった紅葉。
「二人の仲を‥邪魔‥‥‥なんていけない私‥‥あぁ‥‥ゴメンなさい‥‥悪い子の私にお仕置きして下さい‥ご主人様‥‥はふぅ」
潤んだ目でもみゅもみゅと胸を揉んみしだいている紅葉を止められる者はこの場にいない。
「いや、まあ、その‥‥そういえば、小夜子さんは?」
キョロキョロと辺を見回す拓那。
言われてみれば更衣室迄一緒にいたはずの小夜子がいない。
恥ずかしいのか見れば更衣室の出口でウロウロしているのが見える。
「まったく、しょうがないなー」と石榴が小夜子を迎えに行く。
「恥ずかしがっていないで、ほら。皆、水着なんだからさー」
拓那の前に押し出された小夜子は白地に花をあしらったワンピース。
「あの‥‥可笑しくないですか?」
ぼやっと見とれていた拓那だったが、石榴に突っ突かれて慌てて返事をする。
「とっても似合っているよ」
そうこうしているうちに片付けの終わったスタッフが岩風呂温泉にやって来る。
4人で貸しきり状態だったのが一気に狭くなった。
「拓那さん‥‥」
人込みに離ればなれにならないようにと、小夜子が拓那の腕に抱き着いて来た。
「う、うん。俺から離れないでください」
押し付けられる柔らかい感触にドギマギし乍ら紳士的に努める拓那。
何気ないふりをしていてもつい柔らかい感触とその谷間に目が行く。
「拓那さん、どうしたんですか?」
「い、いや! お湯にのぼせたって言うか‥‥向うにジュースがあるみたいだよ。咽乾かない?」
「はい」
にっこりと微笑む小夜子。
こうして体の疲れを癒す──はずが、一部の参加者に別の意味で疲れを生じさせた撮影及び打上げは無事終了するのであった。