タイトル:【死者の書】Andhaka3マスター:有天

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/06/24 11:19

●オープニング本文


 インドにやってきて数ヶ月、舞踏王の秘密に近付くことが出来ないでいたユリア・ブライアント(gz0180)を呼び出したアジド・アヌバ(gz0030)は、
「これを分解してみてください」
 そう言ってユリアの前に木で出来た箱を1つ置いた。
「僕なりに貴女の話から調べた結果、貴女の探している相手はどうやら『私』にも大きく関わりがあるようですので貴女にはAndhaka隊に登録していただきたいと思います」
 アジドの言う意味が判らない、という表情を浮かべるユリア。

「僕が考えるにトリプランタカが舞踏王の一件に大きく関わっていると思っています。ですが、貴女の体力ではMaha・Karaには入れない」
 Maha・Karaの隊員になるには、特殊部隊が採用しているような厳しい基礎訓練を半年耐えた後、正式採用試験がサバイバルテストで1ヶ月ある。
 細くて小さいユリアでは到底勤まらない。
 だが、Andhaka隊ならば元々Maha・KaraがULTと協力する為に作った登録式の隊である。
 実力が認められた能力者であれば誰でも登録できる。
「僕の知る限り『爆弾のプロ』がいませんので」
 この箱は、Maha・Karaの中でも爆弾解体専門部隊が訓練で使う箱で、特定の面や図案を押したり引いたりすると綺麗に分解できるパズルのような箱だという。
「僕の記憶では、Andhaka隊の隊長を務める中山 梓は爆弾解体は基礎しか習っていません」
 UPC軍は近日インド・パキスタンのみならず中東への進攻を考えている。
 今後、Andhaka隊に同行を求める機会が増えるはずである。
 他の傭兵とのやり取りをする事務を手伝ってやる、と言えば採用率は上がるだろうとアジドは言った。
「最終的に貴女を採用するかは彼女の判断になりますが、一つ彼女の心を動かしやすくする技を教えましょう♪」
 にっこりとアジドが笑った。

 ***

「あの箱を2時間で開けた? だからあたしに彼女の登録を認めろと言うんですか?」
 ユリアをジロリと見る梓。
「まあ、推薦者はそうして欲しいようだがな?」
 俺はどちらでも構わん。とサルヴァが言った。

 ユリアが持ってきた経歴書を見ながら、
「Impeachmentで爆弾を担当していたのか‥‥爆弾解除が多いようだけど、仕掛ける方の経験は?」
「あまり‥‥でも‥」
「でも?」
「‥‥‥‥‥‥その‥‥ここに1つ‥仕掛けました」
 ユリアの言葉に驚く梓。
「ほう、どんなのだ?」
「5cm位の‥です。あと‥‥5分42秒で‥爆発‥‥します」
「では一服できるな」
「何を呑気にっ!」
 平然と煙草に火をつけるサルヴァに対して慌ててガタガタと部屋の中を探しまくる梓。

「後、1分6秒‥‥」
 引き出しの中から見慣れぬリップクリームを見つけた梓。
「25秒‥15、14、13‥‥」
 窓を開け、力一杯空に向かってリップクリームを投げた。
「2、1‥‥」

 ──ボン!

 小さな白煙を上げてリップクリームが爆発した。

 ヤレヤレと溜息を吐いた梓がこう言った。
「あなたの実力は判ったわ。でも幾らMara・Tapasメンバーからの紹介だって特別扱いに出来ないわよ」
 テストを受けてもらう、と梓は言った。

●参加者一覧

鳴神 伊織(ga0421
22歳・♀・AA
藤村 瑠亥(ga3862
22歳・♂・PN
植松・カルマ(ga8288
19歳・♂・AA
赤崎羽矢子(gb2140
28歳・♀・PN
冴城 アスカ(gb4188
28歳・♀・PN
ジャック・ジェリア(gc0672
25歳・♂・GD
守剣 京助(gc0920
22歳・♂・AA
エスター・ウルフスタン(gc3050
18歳・♀・HD

●リプレイ本文

 ──浅薄闇が開け、太陽が昇る。
 傭兵達が連れてこられたのは、MSIが所有する兵器テストを行う擬似都市の一角であった。

「さて、この前の模擬戦では酷くやられたわけだが‥‥」
 日頃この場所で訓練をしているMaha・Kara(以下、MK)に地の利があると厳しい表情で言う藤村 瑠亥(ga3862)と「爆弾に人質に強敵、か。こういう依頼にも慣れておかないとだな‥‥」と緊張した面持ちの守剣 京助(gc0920)に対して「実戦形式ならいつも通りやればいいんだ。思いきり行こうか」と体を解しながら赤崎羽矢子(gb2140)が言う。
「しかし‥あの車、邪魔ね」
 ビルの入り口付近に一台の車が止まっていた。
「(ブレーキ)にイタズラしちゃおうかしら?」と工具を片手に楽しそうに言う冴城 アスカ(gb4188)に渋い顔をして見せるのは、鳴神 伊織(ga0421)。
「人命よりも器物破損が減点というのは‥‥如何にもMKらしいですが‥‥」

 都市は、一般的なインドの商業地域を模して、前の道路にはまばらであるが通行人や車両が行き来していた。人質以外の、第三者の生死は試験の合否に関係ないとは言われていたが、通行人の列に車が飛び込んだ場合は怪我人が出るだろう。

 羽矢子の要望で貰えた人質役の顔写真、ビルの簡単な見取り図と周辺地図を再度確認する。
 ビルの出入り口は、1階の道路に面した一箇所のみ。
 隣のビルとの差は少し広いが覚醒すれば助走をつけなくても誰でも簡単に飛び越せる距離である。

「あの壁ならスキルを使えば、難なく4階まで駆け上がれそうだが、直接乗り込むにはリスクがありそうだね」と羽矢子が言う。
「そうだな。敵のいる部屋は判っていても、監視役が人質と同じ場所に1人以上いるだろうから直接攻撃は避けた方がいいだろうな」
「となると3階からか‥‥敵はなるべく引き付けておきたいよね」
 陽動と爆弾捜索を担当する班が正面突入を行い、敵が気を取られている隙にもう一班が隣のビルから侵入し、人質救出を行う事になった。

「俺は外部でのバックアップに専念させてもらうよ」とジャック・ジェリア(gc0672)。
 建物の外には犯人逃亡に役立ちそうな川や車がある。
 犯人逃亡は合否に含まれないが、外で誰か待機していた方が得策であろうと言う。
「今後のアジア動向には、Andhaka(MK)の情報網は役に立つと思うから合格して損はないからね」
「スキルのロードを忘れた分は、頑張るわよ。手品の前にゃ、ミスディレクションが必要でしょ? まー、任せときなさいよ」と胸を張るエスター・ウルフスタン(gc3050)。
 実際、少々の失敗でもカバーし合える能力者達が揃っていた。
「あと、心配なのはカルマか‥‥」
 今回、敵役を買って出た当の植松・カルマ(ga8288)といえば「うう、すまんのうすまんのう。ちょっと頑張りすぎちゃって怪我しちゃったのじゃよゴホゴホ。お手柔らかにお願いするのじゃよ」と言っていたが、カルマの性格上、何をしでかすかわからない可能性が高い、と言う瑠亥に、うんうんと頷くエスターだった。



 守衛がドアを開けるのと同時に、全員が建物内に突入した。
「敵役じゃなかったら抵抗は止めてくれ。こっちも手荒なことはしたくない」
 素早く守衛を後ろから羽交い絞めにしたジャックが言う。
 大人しく抵抗を止めた守衛にホッと溜息を吐く。
 どうやら一般人役は、能力者達の言葉に従ってくれるようである。
「これなら赤崎さんが言っていた『一般人役なら座ってくれ』ってのは敵判別に役立ちそうだね」
「そうですね。ですが、一般人役を装う敵役もいる可能性がありますから十分注意しないといけませんね」と伊織。

「取りあえず、外部を抑えるから何かあったら呼んでくれ。そうでない限りは外を周回してるよ。逆に外で異変があったら教えるからすぐ来てくれよ」
 ジャックは、ウィンクをすると外へと出て行った。
 表をぐるりと見回った所、川にモーターボートが一隻停留していた。
 挿してあるキーを抜いてポケットにしまうジャック。
 ビル正面に止まっていた車には仕掛けはなかったが、盗難防止装置は着いていないようである。
 発進できないようにSMGをシングルバーストに切り替え、タイヤをパンクさせていった──。


 ──一方、隣ビルの3階で待機をしている瑠亥達は、正面班の「敵と遭遇なし」の連絡に、不安げに隣のビルを見つめる。
 常識で言えば、1階の様子を見に誰かしら来るはずである。
「‥‥もしかしたらこちらの位置や行動が、敵にバレているのかもしれないね」
 ふと漏らした言葉に、誰もこのビルを調べていなかった事を思い出し、顔を見合わせた3人が慌てて屋上を目指す。

『ビンゴ‥‥』
 屋上をこっそりと覗くと、胸から銃を構えた男が一人立っていた。
 無線機か携帯電話を持っているらしく、時々男は仲間に答えるように呟いていた。
『同時に行こう』
 羽矢子の言葉に瑠亥とアスカが頷いた──。



「入った瞬間にドカーンとか、そんな目に合いませんように‥‥っと」
「そうですね。馬鹿正直に開けて、銃でズドン‥‥というのも勘弁して欲しいですし」
 ゆっくりとドアノブを回し、自然にドアが開くのを待つ4人。
 爆弾を探し、室内の捜索をしていく。

 発見したのは不自然に置かれた箱であったが、二重底にあったのは爆弾ではなく、
「く〜〜〜っ‥‥これで10個目っ!」
 ぐしゃぐしゃと『スカ』と書かれた紙を丸めて床に投げ捨てるエスター。
「エスターさん、ダミーは常套手段ですから‥」と言ってエスターをなだめる伊織がちらりとユリア・ブライアント(gz0180)を見る。
 専門知識と繰り返しの訓練が必要な爆弾処理である。
 特に今回、1発でも爆発すれば、その場で全員失格である。
 その為、一人で爆弾処理を引き受けるユリアに疲労が見え始めていた。

 今まで遭遇したのは、守衛を含めた5人の一般人役のみ。
 爆弾にも敵にも遭遇しない。
 別働班から隣ビル屋上にいた監視者を排除した連絡が入ったが、監視者以外にも行動を読む、何か、トリックがあるのだろうか?──


 ──換気口の中に這わせたファイバースコープを覗き込むカルマが楽しそう笑う。
「すげぇ、悩んでるぜ‥‥ケケケ」
「楽しそうだな」
「傭兵同士で実戦そのものでヤれる機会ってのは、そうないっスからね。あ、上がって来るみたいっス」
「なら、そろそろ玩具は片付けろよ。それよりもターゲットは判っているな」
「モチっすよ。へへ‥‥そちらさんも準備、ヨロシクっ!」

 ──1階の捜索を終えた正面突入班は階段を、伊織を先頭に、京助、ユリア、エスターと並んで警戒しながら上っていく。

 かすかな殺気を感じた伊織が見上げると、3階へと続く踊り場から敵が銃構えていた。
 撃たれたユリアが、軽く後ろに吹き飛ばされる。
 どうやら爆弾解除が出来るユリア狙いのようであった。

「これ以上、やらせるかよ」
 京助がユリアと敵の前に滑り込み、大剣を床に突きたて盾とする。
 フロアに降り立った敵にエスターと伊織が前に出る。
「あんましこーゆーのは趣味じゃないのよね‥‥でも、しゃーなしか」
 そう言うと同時にエスターが布斬逆刃を放つ。床を切り裂く衝撃に一瞬敵が止まった。
「残念、てめぇの相手は俺だぜ。力勝負といこうじゃねぇか!」
 京助が素早く走り寄り、大剣を振り下ろすが、躱される。
「流石、簡単にやらせてくれないな!」
 伊織の刀先が腹を掠めて、敵の上着が、ばらりと落ちる。

 傭兵達の攻撃を受け流す敵だったが、3人の攻撃にてジリジリと通路の奥へと押されていく。
 このまま広い場所で相手を続けるのは不利と思ったのか、敵は近くの部屋のドアを蹴破り、中へと逃げ込んでいった。
 途端に大きな悲鳴が上がった。
「た、助けて‥‥」
 能力者達が追って部屋に入ると1人のサラリーマンが人質となっていた。
「『動くな。こいつの命が惜しければ全員武器を捨てろ』」
「よく真顔でベタな台詞が言えますね」
「もう一度言う。『武器を捨てろ』」
 サラリーマンを銃で殴って見せる敵。

 オフィスの内装が施された部屋は狭い。
(ちい、こんなとこじゃ大剣が‥‥。俺の蹴り技でどこまでやれっかね)
 心の中で舌打ちをする京助だったが、隙を作るべく敵に話しかける。
「こっちは大物ばかり狭い所なら有利って考えたんだろうけど、こんな所に逃げ込んでも変わりないぜ?」
 フェイントを仕掛けるエスター気を取られた敵の銃を伊織が叩き落とし、京助が回り込みインカローズで仕掛ける。
 敵はサラリーマン風の男を能力者達に向かって投げ飛ばすと、そのまま壁を破って奥の部屋へと逃走する。
「あれ、反則じゃないのか?」
 次々と壁を壊して逃げていく様を見て、つい不満を零してしまう京助。
「よくある事ですからきっと彼らには関係ないのでしょうね‥ですが、このまま敵を逃すのは不本意です」
 受け止めたサラリーマンをお姫様抱っこしているエスターと怪我人のユリアを残して伊織と京助が敵を仕留めるべく追いかけていく。

 ユリアがサラリーマンの手当てをする間、じーっと見ていたエスター。
「ねぇ、あんた。うちと会った事ない?」
「え? 初めてお会いすると思うんですけど‥‥」
 穴が開くほどサラリーマンを見つめていたエスターが叫ぶ。
「バグア(カルマ)はっけーーーん!!!」
 サラリーマン(カルマ)をユリアに押さえつけさせると髪をぐしゃぐしゃするエスター。
「やっぱりカルマじゃない。何よ、その真ん中分け。ダサ」
「うるせぇ、変装だっちゅうの!」
 ここで会ったが百年目。日頃の恨みを晴らすべく、そのまま華麗にチョークを決める。
「ぐげげ‥」
 バンバンと床を叩くカルマに思いつくままのプロレス技を決めていくエスター。
「ギブって‥言っています‥‥けど?」
「いいの。それより今のうちに武装解除して」
「武器は持ってないから止めてくれっ」
 カルマの抗議は無視され、腹巻の下にユリアの手が入っていく。
「武器‥‥ないです‥」
「そんなはずないよ。だってカルマだし」
「姐さん二人に嘘は吐かないよ。それより止めてくれ。うひゃひゃひゃ。死ぬ、くすぐってぇ!」
 エスターとユリアに体中を触られて笑い悶えるカルマだったが、
「あん♪ そこ‥お婿入りの前なんだから優しくしてね」
 思わずフリーズする2人を弾き飛ばし、敵が落としていった銃を掴むカルマ。
「タマぁ(魂)、貰った!」
「させてたまるかっ!」
 ランスを掴むエスターだった。



 拘束されていた一般人役を解放し4階に向かった瑠亥、羽矢子、アスカの3人は、階段を前に顔を見合わせた。
 一方の階段には机や椅子が隙間無く詰まれて向こう側が見えない状況になっており、もう一方の階段はワイヤーが一面に張られ、その先に爆弾らしきものが置いてあった。
「ワイヤーに触れたらドカン‥‥よね、これは」
 もう一度、階段を良く調べた結果、一見無造作に詰まれた家具の山に人が一人通れる、隙間のような通路がある事がわかった。
 ユラユラと今にも崩れ落ちてくるかのように詰まれた家具に注意しながら、進むと4階が見えた。
 一歩踏み出そうして僅かな脚への違和感に瑠亥が顔を顰める。
 透明ワイヤーの先に手榴弾の安全ピンが括りつけてあった。
 ワイヤーを刺激しないように気をつけながらゆっくりと脚を戻す。

 見れば床から高さ20cmに4階通路一面にワイヤーが張られ、それが手榴弾へとつながれている。
 突き当りの部屋が目的地、人質がいる部屋である。
「さて、どうするか?」
「こういう時はやっぱりアレでしょう」
 顔を見合わせた3人は、覚醒すると壁に向かってステップをした。
(丈夫な壁でありますように)
 そのままスピードにあげて壁を駆け抜けていく。
 これならば床のトラップは意味が無い。

 異変に気がついた敵が、目標の部屋のドアから出て来てSMGを乱射する。
「遊んでいる時間はないんだ。速攻片付ける!」
 敵が追い詰められた場合、逆上した敵が人質殺害するという事もありえるのだ。
 3人が更にスピードを上げて弾を避けていく。
 瑠亥の二刀流と羽矢子のハミングバードの同時攻撃に気を取られた敵に、
「ハァイ♪ ダンスの相手して下さる?」
 アスカが脚へとスライディングし、体勢を崩させる。
 そのまま腕を使って体を跳ね上げ、鳩尾に向かってしたたかに蹴りを食らわせた。
 首に小太刀を突きつけられる敵。
「抵抗をするな。おまえは『死亡』した」
「まずは一丁上がり」
 残る敵は、後2人である。

「『動くな! 動くとこいつの命は無いぞ』」
 猿轡と目隠しをされた人質のこめかみに銃口を押し付ける梓。
「それはこっちの台詞だ。無駄な抵抗を止めろ」
 高機動を誇る3人の攻撃を防ぎきれないと判断した梓が、閃光手榴弾を取り出す。
 投げられた閃光手榴弾を部屋の外へと蹴りだす瑠亥。
「残念、一杯あるの」
 部屋中に仕掛けられていた閃光手榴弾が炸裂し、光が部屋を包む。
 窓ガラスが割れる音がした。
「逃走経路を確実に確保しておくのもバグアの得意技でしょう?」

「しまった!」
 慌てて窓に駆け寄って地上を見れば、梓が仲間の後ろを走っていくのが見えた。
「どうする?」
 試験の目的は犯人逮捕ではない為、無理やり追撃をする必要は無いが──地上では梓達を足止めしようとする伊織とジャックの姿が見えた。
 追撃するか、しないか、すぐに決めなければいけない。

 一方、連絡を受けた京介がユリアを背負って運んできた。すぐさま人質につけられた爆弾が素早く解除されていく。
 瑠亥と京介が、爆弾椅子から解放された安全な場所に移動させるべく周囲を警戒しながら人質を支えて立ちあがらせたが、
「ちょっと待って、彼女は人質じゃないわ!」
 写真と素早く見比べた羽矢子が鋭く言う。
「梓が連れているのが人質よ!」
 言葉と同時に梓を追って窓から飛び出す羽矢子とアスカの背に向かって敵が隠していた銃を素早く向けた。
「させるか!」
 素早く瑠亥が一撃を食らわせ倒す。

 梓の前を遮るように降り立つ羽矢子とアスカ。
「そっちに勝ち目はないわ、投降しなさい!」






「結果を報告する。

 要救助者1名 一般人質5名 <<解放>>
 傭兵:死亡 エスター 原因:敵との相打ち
    中傷 ユリア
    他、軽傷2名、微傷1名、無傷2名
 バグア:死亡4名、捕縛2名
 解除された爆弾4個中4個
 物損被害は最小限と認め、

 合格:藤村 瑠亥
    赤崎羽矢子
    ジャック・ジェリア
    冴城 アスカ
    守剣 京助
    ユリア・ブライアント

 合格6名に対しAndhaka隊への登録を認め、登録証として『アンダカの瞳』を配布する。
 尚、Andhaka隊として作戦に参加する、しないは個人の自由となる。以上!」