タイトル:【AC】一番星に敵影見ゆマスター:植田真

シナリオ形態: ショート
難易度: やや難
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/08/07 17:40

●オープニング本文



 大規模作戦中とはいえ、四六時中敵が攻めてくるわけではない。
 今現在この拠点は平和、といっても差し支えない状態になっている。
 だから、見張りの兵士がついつい欠伸をしてしまっていても仕方が無いことだろう。
 すでに暑い時間帯は過ぎており、段々気温が下がってきていることが実感できる。
 空を見ると、一際輝く星が見えた。
 一番星。
 今日ももう終わりだな‥‥そう思い兵士は大きく伸びをした。

(‥‥それにしても)
 伸びをしつつ空を見ていた見張りはふと疑問に思った。随分目立つ星だな、と。
 それに、なんていうか‥‥近い?
 10mないし20mぐらいの位置にあるんじゃないだろうか。
 そう言えば子供のころは星が近くにあると思って、手を伸ばしていたなぁ‥‥

 そんな事を考えていた矢先のこと。
 兵士の真横を閃光が駆け抜けて行った。
「え‥‥?」
 同時に後方から大きな爆発音。
 軍用車両がその閃光の直撃を受け、爆発したようだ。
 そのまま続けざまに2閃、閃光が走る。それらの閃光は恐ろしい精度で、別の軍用車両。次いで軍用物資を焼いていった。


「はっきり言ってピンチだ。お前らに何とかしてもらいたい」
 能力者たちを集めた士官は、開口一番こう言って、説明を始めた。
 拠点は現在敵の遠距離砲撃にさらされている。射線からおおよその位置を割り出して、その方向を双眼鏡を使って探ってみたところ、亀の様なものを発見した。こいつらは背中に大砲と、狙撃用と思われるライフルみたいなものを背負っている。
 恐らくキメラ、分かりやすいのだとタートルワームの小型版といったところだろう。
「距離は大体1000m弱ってところだな、その辺から断続的に撃ってきやがる」
 この1000m弱という距離が問題だった。少なくとも現在地からでは攻撃を当てることすらできない。
 お陰で軍用の車両から弾薬、物資が徐々に焼かれ放題。少しでも被害を減らそうとそれらを物陰に移動しようとした兵士は狙撃される始末。
 10分ほど前から攻撃は開始されたが、現時点で被害は15%強。このままだと早々に拠点は機能を失う。もちろん、全部隊で打って出るという手も無くはないが、辿りつくまでにどれだけの被害がでることやら‥‥
「だから、少数精鋭で迅速に連中を始末してもらおうってことだ。それにしても‥‥」
 おかしいのはその精度だ。と士官は言う。
 どんな凄腕の能力者だって、遠距離では攻撃を当てることは困難。それが例え静止状態の物資と言っても、だ。しかし、敵は移動する目標すら容易に直撃させてきている。
「何か種がある、とは思うんだが‥‥」
 士官は考える。
 例えば、どこか別の場所からこちらの位置を監視している敵がいるのではないか?
 そしてその情報を遠方にいる敵に教えてやれば、こちらの動きを正確に捉え狙い撃つことも可能。
 バグアならそれくらいの科学力持ってそうだが‥‥
 しかし、現状では絶対といえる答えを見出すことは出来ない。
 士官はふと空を見た。まばらではあるが、星が瞬き始めている。夜になって敵が見つかりにくくなると厄介だ。
「とにかく今は目の前の連中を倒してくれ」
 そう言って士官は能力者たちを送り出した。

●参加者一覧

Letia Bar(ga6313
25歳・♀・JG
ラウル・カミーユ(ga7242
25歳・♂・JG
シン・ブラウ・シュッツ(gb2155
23歳・♂・ER
テト・シュタイナー(gb5138
18歳・♀・ER
湊 獅子鷹(gc0233
17歳・♂・AA
シクル・ハーツ(gc1986
19歳・♀・PN
御剣 薙(gc2904
17歳・♀・HD
ハンフリー(gc3092
23歳・♂・ER

●リプレイ本文

●監視
「1キロ先からの狙撃か‥‥一流のスナイパーなら2キロ先からでも当てると聞くが‥‥」
 キメラが、しかも大砲でこの正確な狙撃‥‥確かに何か仕掛けがありそうだな。
 シクル・ハーツ(gc1986)はそう考え、拠点付近を探索することにした。
「正確な狙撃‥‥どこから見てるんだろ?」
 Letia Bar(ga6313)も同様の考えのようで、持っている疑問を口にする。確かに、敵の狙撃精度は高すぎる。それは依頼を出した士官も告げていることだ。
「何か種がある、という意見には僕も同意です」
 シン・ブラウ・シュッツ(gb2155)は軽く考え込みながらそう言った。何かあると言うのは確かだろう。しかし、状況から言ってあるかないか分からないものを探すのにそれほど多くの力は割けない
「しばらく探しても見つからないようであれば切り上げた方が良いでしょうね」
「そうだネ。確かにこのままでは長くはもたないだろーし‥‥僕達はちゃちゃっと亀サン倒しに行こーカ」
 そういってラウル・カミーユ(ga7242)は走り出した。
 その通りだ。
 現状監視役の存在がどこにいるかは分からないし、いるのかもわからない。当面攻撃を加えているのは亀だけなのだから、それを倒してしまえば済むことだ。
 だがもちろん、監視役の存在が無視できない。最終的に彼らは2手に分かれて行動することにした。

●移動
 約1Km。
 能力者の脚、あるいは車両等を使って行けば極めて近い距離と言っていいだろう。
 しかし、これが砲撃を掻い潜ってとなると難易度が全然変わってくる。
「まぁ、今回はバイクも持って来てあるしな。さっさと行って倒しちまおう」
 そういってバイクに向かうテト・シュタイナー(gb5138)。しかし、遠方から閃光が走る。亀から放たれたプロトン砲だ。
「何だ!?」
 その砲撃は、テトのバイクに直撃。吹き飛ばした。
 敵の砲撃はまだ止まらない。
 一閃、二閃。
 同時に起こる爆発、また何かが吹き飛ばされたらしい。
 チッ、と舌打ちをしつつその場に伏せるテト。
 まぁ良い。バイクが無ければ自分の足で行くだけだ。
「せっかくの拠点をむざむざ潰させる訳には行かない。速効で片を付けないと‥‥」
 御剣 薙(gc2904)もテト同様バイクを準備していた。尤も彼女のバイクはAUKVアスタロト。バイク騎乗はテト以上に専門だろう。
「危ない!」
 しかし、敵はそうそう乗り物は使わせてくれないらしい。亀の砲身が薙の方を向いている。タクティカルゴーグルの望遠機能で亀の様子を窺っていたテトが、すぐさま警告を発する。
「幾ら正確無比な射撃と言っても‥‥簡単には捉えさせないよ!」
 バイクに乗ると同時に加速。進行方向、正面から放たれた閃光。薙はそれを車体を倒しながら切り返し回避。
 しかし、運が悪い。
「‥‥しまった!」
 ズルッ、と横滑りするAUKV。砂地に車輪を取られたのだ。そのまま転倒、そこを狙い別の亀からプロトン砲が放たれる。
 ――直撃!
 吹き飛ばされるAUKVと薙。
「流石に強烈か‥‥すぐに治す!」
 テトはすぐさま駆け寄り練成治療により、即座に治療を行う。
 砂がクッションになったようで、なんとか無事だ。
「‥‥このままじゃ時間がかかりすぎるな」
 敵に発見されにくくするために、顔や刀を黒く塗っていた湊 獅子鷹(gc0233)は移動しながらそう呟いた。
 覚醒により敵に対する憎悪と破壊衝動が増強される獅子鷹だが、そういったものは、今アドレナリン抑制剤により有る程度抑えられているようだ。冷静に状況を分析する。
 彼は、移動時には、姿勢を低くする。あるいはジグザグに動く等の工夫を施している。これらは敵の的にならない工夫としては最適だろう。しかし、反面移動時間と言う点では遅れ気味になる。それは仕方が無いことだ。
 だが、あまり時間をかけ過ぎても拠点の被害が広がる。
「‥‥ここは、私に任せてもらおう」
 そういうと、ハンフリー(gc3092)はあえて最短距離をまっすぐ移動していく。
 これは味方の被害軽減のための囮としての役割に加え、足の遅さをカバーするという狙いもあった。
「うぉぉぉっ!」
 声を張り上げながら盾を構えての全力移動。当然敵の良い的だ。プロトン砲とライフルが放たれる。
 しかし、それでもハンフリーは前進を止めない。自身障壁を使いつつ、盾に自身を隠しながら蘇生術による治療を施す。
 が、彼には決定的に足りないものがあった。
「‥‥くっ、これ以上スキルを使うと覚醒が切れるか」
 そう、それは練力。
 蓄積したダメージを回復する為に蘇生術を施し、かつ防御力を高める。それを敵に辿りつくまで維持する練力が彼には無かった。
 最低限の練力しかなくなって、それでも盾でなんとか砲撃を受けていたハンフリーだが、連続した攻撃を受け、ついによろけてしまう。そこを狙ったかのようなライフル狙撃が直撃。衝撃によってハンフリーが吹き飛ばされた。
 ‥‥しかし、この囮は実を結んだ。
「仲良く2矢ずつプレゼント〜♪」
 他の能力者とは離れて移動を行っていたラウルが、その射程内にキメラを捉えたのだ。 横合いから強力かつ尋常じゃない速度で放たれた弓撃が、合計6発。
 それらは全て爆発を伴う弾頭矢であり、キメラたちはその態勢を崩した。

「敵の攻撃が止んだみたいだな」
「大丈夫か、ハンフリー!」
 ハンフリーがその身に敵の攻撃を受けていたおかげでテト、獅子鷹、薙は攻撃を受けることなく進むことができた。
 ハンフリーに駆け寄ったテトはすぐさま練成治療を行う。
 この時点で、彼らは亀まで残り200mほどまで迫っていた。


●探索
「あまり時間は掛けていられないな。手分けして探そう」
 シクルの提案に、Letia、シンは同意。それぞれの方法で怪しいものがいないか探すことにした。
「さて、どこになにがあるのか‥‥」
 シンは常時探査の目を使用。周辺の探索を開始する。だが、敵もゆっくり探させてはくれない。この間も敵の攻撃は飛んでくる。
(射線を意識して‥‥)
 敵の攻撃してくる方向は分かっている。そちらに意識を割きながら、急所を庇い、あるいは隠しながら探し続けた。

「危ない!」
 敵の狙撃を察知し飛び出したLetia。突っ立ったままだった兵士に抱きつくように飛びつく。同時に通過していく弾丸。射線上の木の幹を弾丸はえぐった。恐らくLetiaが割って入らなければ兵士の命は無かっただろう。これによりLetiaは監視者の存在を確信する。
「あ、ありがとうございます」
「気にしないで。それより、監視倒すまでは物陰から出ないように、お願いね」
 そう言って、また捜索を再開する。もちろん、自分自身も物陰に隠れるのを忘れない。
 それにしても、敵はどこに‥‥
 拠点が設営できるような場所だ。まったくの砂原ということは当然ない。多少木等も生えている。となれば横から見ても死角が発生する可能性がある。
 となれば‥‥
「もしかして‥‥上空とか?」

「あの砲撃が始まる前に、何か怪しいものを見なかったか? なんでもいいんだが‥‥」
 シクルは物陰に隠れている兵士たちに聞き込みを行っていた。もちろんこの間にも砲撃は行われている。歩き回っている兵士を助けるたびに、物陰に隠れるように、但し車両や物資は最初に狙われているようなので、その近くは注意するようにと告げている。今もまた一人、敵に狙われた兵士を助けたところだ。
「そういえば‥‥なんか星が近い気がしたんだけど‥‥」
 この時シクルが助けたのは、偶然にもその日見張りに立っていた兵士だった。

●発見
「あれ‥‥かな?」
「そのようですね」
 Letiaの問いにシンが同意する。
「確かに、遠近感から考えても明らかに近い。あの星‥‥いや、星に擬態した何かが監視者だろう」
 拠点の場所柄を考えると敵は上空。またシクルが話を聞いた兵士が、やけに近い位置にある星を見たと言う。
 その情報に基づいて探したところ、確かに怪しい星、の様なものが浮かんでいる。星と言うより発光する球体と言ったところだろうか。
 その球体が瞬いた直後、遠方からプロトン砲が放たれ、物資が焼かれてた。
「このままではまずいな‥‥一気に倒してしまおう」
 3人は球体を中心に捉えるように移動。この際も、敵に見つからないように気を配りながら、しかし時間をかけないように急ぎつつ。
 こうして取り囲むような配置を取った。
「‥‥攻撃開始!」
 シンの号令に従って、Letiaは拳銃、シクルは弓。そしてシン自身は愛用のエネルギーガンで一斉攻撃を仕掛ける。
 それらの攻撃は球体に向かい‥‥着弾!同時に発生する赤いフィールド。
 やはりこれが監視者。
「さっさと落ちてもらうよ〜っ」
 Letiaは狙撃眼も併用。正確に狙いを定め攻撃を集中する。
 球体は一切反撃をしてこない。しかし、防御力は一級品らしい。
 このままだとこちらの位置を特定して、亀に砲撃させてくる可能性もある。
「一気に叩き落とすぞ!」
 シクルの声に呼応するように2人も攻撃を集中。十数秒間の集中攻撃の後、ついに球体はフラフラと地面に落ちていった。   
「後は、亀だけだな」
 3人は砲撃が行われていた方を見る。そこにはラウルの放ったであろう弾頭矢による爆煙が立ち上っていた。

●接敵
 ラウルは苦戦していた。
 味方と離れて行動してた事に加え、彼一人その移動能力が飛びぬけていた。それ故味方に攻撃が向いている間に敵へ攻撃可能な距離まで近づけたのだが、この局面ではそれが仇となっていた。
「結構きついカナ‥‥」
 敵の動きを見ながら動き回り、致命傷を避けるように動く。的が小さい、とはいえ亀の命中力は想像以上だ。その上、敵はたまに拠点を攻撃する以外、ラウルへ攻撃を集中しているようだ。これは、先ほどの弾頭矢による攻撃の余波で目標を見失ったという理由があったが、それをラウルは知る由もない。ダメージが蓄積していく。
 しかし、ラウルは冷静だ。驚異的集中力を発揮し、耐え続ける。
「どっちを向いてるんだ?‥‥やらせねぇよ!」
 ラウルの耐える時間は強烈な閃光の到来により、終わりを告げた。
 テトが超機械の射程内まで接近したのだ。
「やっと来てくれたネ!」
 他の2匹にも味方が接近している。ラウルへの攻撃は一気に弱くなる。
「さぁ、たたみかけるぜ!」
 再びテトは超機械を構える。同時にラウルは武器をアルファルに持ち替えながら射程内に接近。
 もちろん、亀もそうやすやすと攻撃はさせない。プロトン砲をテト、ライフルをラウルに向けて同時に攻撃しようとする。
「おっと、そうはさせないヨ!」
 しかし、その前にテトの先見の目によって反応速度が増加したラウルが矢を放つ。矢はキメラの目を貫き、その照準を狂わせる。
 明後日の方向に放たれたプロトン砲を易々と回避したテトは超機械の照準を亀の頭部に固定。
「よっし、こいつで止めだぁぁぁッ!」
 解放されたエネルギーは一気に亀に向かい、そしてその目標を焼き尽くした。

「さっきはよくも‥‥お返しだよっ!」
 一足で飛びこめる間合いまで辿りついた薙は、竜の翼を使用。プロトン砲の直撃を受けたせいでAUKVのボディが軋む。しかし、拠点の為にもここで止まるわけにはいかない。プロトン砲さえ無力化できれば、被害を抑えられるはずだ。
 ――バチィッ!
 AUKVの各部がスパークを始める。爆発の前兆‥‥いや、同時に輝く竜の紋章が、それはスキルの発動であることを証明する。
「全部まとめて‥‥蹴り砕くっ!」
 超機械踵部のブースターが起動。竜の翼により飛び上がった薙の、全力を込めた飛び蹴り。
 加速を加えた一撃は亀のフォースフィールドを容易に撃ち破り、見事プロトン砲を破壊した。
「まだだよ!」
 着地した薙は、そのまま大地を蹴って後ろ回し蹴りをお見舞い。その蹴りは甲羅の一部を削り取るとともに、亀のもう一つの武器であるライフルを破壊した。
 こうなると鈍足の亀は逃げることも出来ない。精々甲羅の中に閉じこもり、時間を稼ぐ程度だ。
 しかし、薙と一緒に接近していた獅子鷹が、それを許さなかった。
「そら、出てこいよ」
 獅子鷹は穴の中に太刀を突き刺す。その痛みから、思わず顔を出した亀。
 この時点で、亀の運命は決まったも同然だ。
「これで、さよならだ!」
 獅子鷹は赤い光を纏った太刀を上段に構えまっすぐに振りおろす。
 その一撃により、亀は断末魔の悲鳴を上げることも無く、一瞬にしてその首を刎ね飛ばされた。

「私の分はまだ残っているようだな。さて、早速だが死んでもらおう!」
 接敵するまでにダメージを負っていたハンフリー。だが、自身に施した蘇生術。加えてテトの練成治療によって動ける程度に派回復している。
 そのまま盾を持って突撃。亀の目を狙って機械剣を振るう。
 噴出した超圧縮レーザーが亀の両目を斬り裂いた。傷口から体液をまき散らし、苦しむかのように暴れるキメラ。その背の大砲からプロトン砲が発せられるが、照準が定まっていない。
「やはり効果があったな。次は‥‥ここだ!」
 目を潰され狙いのつけにくくなった亀の、今度は脚を狙う。機動力を削ぐのが目的だ。この攻撃も命中。亀がその場に倒れ伏す。が、まだ健在。
 斬りつけられた足の付近に敵がいると辺りを付けたのか、その方向にプロトン砲、ライフルを向けた。
 ハンフリーの練力は残りわずか。自身障壁も、蘇生術も使えない。盾を構え防御態勢を取る。
「‥‥やらせはしない!」
 が、このピンチに、一陣の風、いや稲妻が現れ、プロトン砲とライフルを切り刻む。シクルだ。
「遅れた分だけ頑張るよ〜っ!」
「『Seele』!『Licht』! 敵を打ち砕け!」
 拠点の方を見ると、続いてLetiaとシンが援護射撃を行いながら向かってきていた。
 こうなれば形勢は決まったも同然。
 能力者たちは敵の苦し紛れの砲撃に注意しつつ敵を殲滅した。 

●戦闘終了
「ケガ、大丈夫? 今、治療するね」
「他に怪我してる人いない? 大丈夫?」
 戦闘終了後、シクルとLetiaは怪我人の治療を行っていた。
 これにより人的被害はかなり抑えることが出来た。

「しかし、どうすっかなぁこれ」
 テトはそう言って自分のバイク‥‥だったものを見つめる。
 砲撃を受けたバイクは爆発し、見るも無残な姿に。
 それは、念のために準備しておいたラウルの車。後から亀対応に加わるために準備していたシンの車も同様だった。
 初撃は軍用車両を狙って放たれていたという。恐らくは砲撃を行う亀まで辿りつく時間を時間を少しでも引き延ばそうする敵の作戦だったのだろう。
 加えて薙のAUKVも、バイク状態の時に受けた損傷が激しい。
 尤も、士官が言うには、それらの車両被害も拠点の被った被害として申請するから問題ない、とのことだが。
「それと‥‥ここの連中を代表して礼を言わせてくれ。本当に、ありがとう」
 最後に、士官はそう言って頭を下げた。
 こうして、拠点は敵の襲撃から無事防衛されたのだった。