タイトル:【協奏】交響曲2.姉妹マスター:植田真

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/06/18 07:39

●オープニング本文



 風祭・鈴音(gz0344)は、トリイ基地にあり。
 そんな情報が寄せられてきたのは、嘉手納基地攻略からまもなくしてからだ。元々嘉手納基地には「鈴音に関する情報が保管されている」という情報があったからこそ攻撃を敢行したわけだが、案の定それは嘘であり、基地には何の情報もなかった。
 だが、こちらが何かするまでもなく、鈴音は紅いフォウン・バウを駆り、周辺の村を焼き払うとトリイ基地に帰還していったという事だ。
「嘉手納基地での戦闘が響いたのか、山城カケルのBF他多数戦力が後方基地まで下がっており、トリイ基地までの道のりは丸裸といっても過言ではありません」
 そう述べるのは、作戦指揮を担当するソウジ・グンベ(gz0017)少佐だ。
「厄介な3姉妹も後方に引っこんでいる以上、ここで攻めないのは愚の骨頂と言えます」
 このソウジの熱弁に動かされるように、上層部はトリイ基地攻略作戦を発令。
 ここに、トリイ基地‥‥そしてゼオン・ジハイドの11を相手取った一大決戦の幕が切って落とされたのである。


「‥‥で、トリイ基地の援護を行うためにHWを出す、と‥‥」
 ゲイン・クロウは頭を掻きつつ山城カケルの話を聞いていた。
 先日、3姉妹の密会で出た内容をゲインは聞いていた。
 それは、簡単にまとめると「風祭鈴音から離反する」ということだ。
 にも関わらずトリイへの援軍は出すとカケルは言う。
「アサキは止めろって言ってたけど‥‥そうするつもり。もう何機かは送ってある」
「まぁ‥‥いいんじゃないでしょうか。カケル様がそう決めたのであれば」
 アサキ‥‥3姉妹の末妹のいう事の方が本来正しいだろう。まぁカケルとしては大方、フォウン・バウの改造を行わなかったことの罪滅ぼしのつもりなのだろうが。
(無駄なことを考える‥‥)
 と、思いつつも‥‥実はこのゲインも出撃を進言するつもりであった。
 ただし、その目的はトリイ基地にいる味方の援護‥‥ではない。
 いや、もちろん名目上はそうなのだが、その真の目的はトリイ基地の将兵を救助するためだ。
 恐らくだが鈴音は負ける。そうなれば基地陥落も時間の問題だ。
 そして、トリイ基地はゼオン・ジハイドの1人が本拠地としていた基地でもある。その兵士数も他とは違う。その大半がいずこかへ離脱するだろう。
 それらを直接救助して恩を売ることで3姉妹に対する忠誠心を高める。また、その後の動向を決めかねている将兵の決断を促す。
 それがゲインの狙いだ。
「一応言っておきますが‥‥今後の為にも兵力は極力温存していただけると」
「分かってる」
「‥‥そうですか。それじゃ、俺も出撃するとします。ビッグフィッシュの方はお任せしますよ?」
 本当に分かっているのか多少不安に思いつつ、しかしそれ以上言って不興を買ってもいかんだろうと思ったゲインは、さっさと出撃することにするのだった。


「よーし、まずは正面からぶつかってくよ! 第2、第3部隊はその隙に両翼へ!」
「‥‥大型プロトン砲、エネルギー充填開始。対空砲起動。迎撃態勢に移行‥‥」
『それじゃ私は一度下に降りるわ。援護よろしくね』
 BFの艦橋にて大仰にそう告げるのはミウミ。
 その言葉を聞いたカケルは乗艦の攻撃準備を開始させ、一方のアサキは愛機を駆り降下していった。
 降下していった彼女とともに数機のHWも追従。BF周辺にも同様にHWが展開。
 普段は戦域を違えた3姉妹。
 だが、今回は違う。
 3人は同じ戦場に存在し、またその全戦力も一か所に集められている。それら全てが仮に戦線に投入された場合、沖縄軍側が不利になるのは明白だった。


『救援を乞う』
 後方は沖縄本島最北端の遊軍を足止めするために向かった正規軍KV。その隊長機から多数の爆発音とともに送られてきた通信である。
 以降の通信はジャミング混じり。戦況も戦力もはっきりしない。
 だが、全てシラヌイで構成されたこの正規軍部隊。その戦闘力は決して低くは無い。その部隊が救援要請を出すということは、敵はよっぽどの強敵か、それとも数が多いのか‥‥
 それはともかく、緊急事態なのは間違いないため、司令部はすぐさま出撃命令を発する。
 即時出撃可能な戦力はラストホープから招集した傭兵部隊。
 予備戦力として待機していた正規部隊も、順次出撃していく。
「後方の3姉妹を軽視するわけじゃないが、本番はあくまでトリイ基地攻略と風祭鈴音の撃破だ。敵の動きを牽制するのも重要だが、味方の被害を出来るだけ抑えるように注意してくれ」
 沖縄軍の士官からの言葉にうなずき出撃していく傭兵部隊。
 緊急出撃の為、敵の情報は満足に得られていないのが不安だが‥‥それでもやるしかなかった。

●参加者一覧

ドクター・ウェスト(ga0241
40歳・♂・ER
榊 兵衛(ga0388
31歳・♂・PN
UNKNOWN(ga4276
35歳・♂・ER
アルヴァイム(ga5051
28歳・♂・ER
飯島 修司(ga7951
36歳・♂・PN
御鑑 藍(gc1485
20歳・♀・PN
オルカ・スパイホップ(gc1882
11歳・♂・AA
ミリハナク(gc4008
24歳・♀・AA
カグヤ(gc4333
10歳・♀・ER
立花 零次(gc6227
20歳・♂・AA

●リプレイ本文


「これは‥‥酷い状況なの‥‥」
 カグヤ(gc4333)は戦況を見て、思わずそう呟いた。
 傭兵たちが戦場に到達したとき、その戦況ははっきり言って絶望的だった。
 救援要請を出してきたシラヌイ隊はどれも機体から煙を吹いており撃墜寸前。CRブースターを使用することで先行、救援を行っていたハヤテ部隊は全機5割程度の損傷を負っている。
 対する敵は改造HWであるアーチャー、ハンター、ガーダー2による混成部隊。ティターンのような非常に強力な敵機は確認できないが、その総数は20を超えている。
 しかも、ハンターは左右に分かれてこちらを半包囲しようと動いているところだった。
 時間的余裕は無い。
 すぐさまカグヤはロータスクイーンを起動。ジャミング中和を行うことは出来ないが、その機能によって味方の動きが先程よりはましになったかに見える。
 また、カグヤはその機体能力で正面敵部隊後方、地上、そして戦場から離れトリイ基地方面に向かう敵部隊も正確ではないにしろキャッチしていた。
 尤も、後方の部隊には迂回班が、そして地上にはUNKNOWN(ga4276)が向かっている。
 自分たちはまず、正面の敵を何とかすべきだろう。
 それによって、地上にも敵機が確認。
「とにかく、まずは敵とシラヌイ隊を引き離しませんと」
 すでに通信はガーダー2によるジャミングで聞こえない。味方に当てないよう注意しつつミリハナク(gc4008)はラバグルートを最大射程から発射。
 戦場到達と同時に放たれた一射は牽制としては有効であり、敵機に一瞬の隙を生ませる。
 その間に傭兵たちが攻撃とともに味方部隊と敵部隊の間に割って入る。
「この戦いで沖縄を取り戻すために‥‥まずはこの一戦、負けられませんね‥‥」
 御鑑 藍(gc1485)はシラヌイ隊の救援を優先。K−02小型ホーミングミサイルを全弾発射して敵の動きを制するとともに損害を与える。
 さらに回避機動をとりつつスラスターライフルを斉射し、シラヌイ隊が後退する時間を稼ぐ。
「あの海であった人、ミウミさんだっけ。あの人は出てきてないのかな〜」
 海戦がどちらかといえば得意なのであろうオルカ・スパイホップ(gc1882)。同じように海を主戦場としているミウミが前線に出てきていないことを若干残念に思いつつも、彼は藍の放ったミサイルによって巻き起こる爆発の中を掻い潜りながらアーチャーに肉薄。
「空という海も僕は泳げるんですよ〜♪」
 機体能力を全開、空中変形を行う。
「剣こそ僕の全て! って言っても、今日は剣持ってきてないんですけどね」
 そのまま、尾びれに見立てたウィップランスを敵に叩きつける。加速の乗った一撃はアーチャーの態勢を崩すに十分だった。
 だがオルカの方もそこで手詰まり。機体が強制的に飛行形態に戻される。
 その見た目の幼さにそぐわぬ戦歴を持つオルカだったが、今回はいささか装備の準備が不足していたように思われる。
 オルカに代わり榊 兵衛(ga0388)がミサイルを連射。
「これ以上の戦線崩壊を防ぐ為にも、此処は積極的な攻勢で敵の鋭鋒を鈍らせるしかあるまい」
 ミサイルの集中打を浴びた敵前衛アーチャーが地表へと落下していった。
「劣勢ですが‥‥ここで押し負けるわけにはいきませんね」
 立花 零次(gc6227)はホーミングミサイルBT−04を発射。着弾とともに発生する突風で敵機と味方の分断を狙う。
 が、突風それ自体は爆風以上の効果は得られなかったのか、反撃にミサイルを撃ち込んでくるアーチャー。
 マルチロックミサイルがいまや全体の前衛に位置する傭兵たち、そしてハヤテ隊に降り注ぐ。
 零次は咄嗟に超伝導RAを起動させて防御するもハヤテ隊は回避しきれずに直撃を受ける。
 アーチャーはさらにミサイル攻撃を継続、各々がそれに対し防御ないし回避をする間、シラヌイ隊は全力で後退を続ける。
 だが、それを抑止しようとするのは両翼に広がる狙撃機ハンター。
「アサキちゃんは地上かしら。でも、まずは目の前の敵を押さえてからね」
 他の味方と比べて後方、カグヤの直衛も兼ねるミリハナクは狙撃態勢にあるハンターを逆狙撃。
 その攻撃はハンターの牽制としての役割を十分果たすことが出来たようで、その隙にシラヌイ隊はミリハナク、カグヤの後方へ。そのまま後退していく。
「シラヌイ隊後退確認。このまま押し返すの‥‥え?」
「カグヤ!?」
 ミリハナクの攻撃はシラヌイ隊を守るのに十分貢献することが出来ただろう。だが、その攻撃は自身の位置を示すことになった。
 そして、シラヌイの代わりに攻撃対象となったのはミリハナク‥‥ではなく、彼女が直衛についていたカグヤの方であった。
 電子戦機がいたら狙われるのは道理。
 無論ミリハナクもカグヤの位置に注意し、敵の接近は阻止するつもりだった。
 しかし、ハンターは長射程の狙撃機である。
 ハンター10機からの狙撃を受けたカグヤはなすすべもなく撃墜された。
 電子戦機からの支援が途絶えた正面班は、数的にも劣勢を余儀なくされた。
 しかもシラヌイ隊を救援するために前に出ていたことが返って敵の包囲の中に彼らをおくことになってしまっていた。
 かといって、包囲から抜け出そうとすると狙い撃ちされる可能性が高い。
「ん〜、集団戦はあんまり得意じゃないんですよ〜‥‥」
 オルカは敵機の攻撃に晒されながらも重機関砲で弾幕を張りミサイルを迎撃。しかし、アーチャーのミサイルの数はそれすら掻い潜り傭兵たちに向かってくる。
「これは‥‥まずいかもしれませんね」
 ハヤテ隊の行動に合わせていた零次だったが、そのハヤテが1機、また1機と撃墜されていくのを傍目で見て自分たちの不利を肌で感じ取る。
 正面からはアーチャー。左右からはハンター。
 3方からの砲火は確実に、しかも急速に機体の装甲を削り取っていった。


「くっ‥‥こいつ、強すぎるっ!」
 一方、地上では下から迂回し、増援に来た能力者たちの後背を突くために動いていたアサキが足止めを食らっていた。
 地上から迂回し、増援にきた能力者たちの後背をつく作戦をとろうとしていたアサキだったが、思わぬ敵に遭遇した。
 それは、旧式の皮をかぶった最精鋭機を駆るUNKNOWNだ。
 だがUNKNOWNも、動きやそぶりなどには表さないものの、想像以上の苦戦を強いられていた。
 何しろこっちは1機、敵は11機。しかもそのうち1機は沖縄において風祭鈴音のフォウン・バウに次ぐ戦力であるカスタムティターンである。
 1機の攻撃をよけ、もう1機の攻撃を受け止め、さらにもう1機の敵の攻撃を受け止めた敵機を盾にして防ぐ‥‥が、このタイミングで真後ろから突撃されるとさすがに避けようがない。
 一発もらえばそれで態勢が崩され、2度、3度と連続してFFを利用した体当たりを受けると頑強な機体装甲も軋み始める。
 さらにティターンの肩部から射出された針状の武器。これは機体の装甲ではなく、内部の電子系にダメージを与える兵装らしく、内側から機体のダメージが蓄積していく。
 とはいえ、その状況は敵の数が多い間だけだ。
 突撃してきたランサーに対し、グングニルでカウンター。向こうからの加速度も合わさり、神の槍は一撃にてHWを穿ち貫く。
「これで残りは10機かな? 次が控えているのでね。どんどんいこう」


 正面班が劣勢を強いられている間、迂回班は文字通りそれを迂回。後方に位置するBFに向かう。
「シラヌイ12機で編成された部隊が救援を乞うような戦力、ですか‥‥」
 飯島 修司(ga7951)はコクピット内で考える。
 純粋に戦力が多いのか、あるいは相当に練度が高いのか、あるいはその両方か。
 だが、迂回班は修司に加えアルヴァイム(ga5051)とドクター・ウェスト(ga0241)、3人が3人とも凄腕と言って差し支えの無い傭兵たちである。
「戦術家ではないために、頼らねばならないとはね〜‥‥」
 疑惑を持ちながらも、他の能力者を頼らざるを得ない。それが悔しいのか、あるいは不快なのかは分からない。
「‥‥まあ、何物よりも強くなれば頼らなくても良いか〜」
 だが、ドクターはその気持ちを戦闘へと切り替える。全てを自身で倒し切る。その為に2人に続き彼は飛んだ。
 BF周辺には10数機のHW、正面同様アーチャー、ハンター、ガーダー2の混成部隊が滞空していた。
 アルヴァイムはブーストによる加速を活かして突撃。当然アーチャー、ハンターが迎撃のために攻撃を行う。
 それに対しアルヴァイムはラージフレアを展開しつつも被弾を無視して攻撃。
(攻勢を強め、敵に迎撃させる‥‥)
 それによって、結果的にシラヌイ隊への圧力減退を狙う。
 その為にも攻撃あるのみ。バルカン、チェーンガンでの弾幕を張り、敵の装甲を削り取っていく。
「バグアは片端から撃破するだけだね〜」
 接近したドクターは狙いを前衛に出てきたアーチャーに定め、スレイヤーの全能力を使用し空中変形から重練機剣での連撃を加える。
 通常のHWであれば1撃2撃で即撃墜。精鋭機相手でも十分にダメージを与えられるであろう威力が出せる‥‥はずであったが、実際のところその効果は薄い。BFを守るように滞空するガーダー2から発せられるジャミングはCWと同様知覚兵器の威力も減衰させている。
 その辺を承知しているのか、修司は物理兵装中心。
 パニッシュメントフォースにより威力が増大された攻撃は強力無比。
 機関砲で弾幕を張りつつ接近、極めて近距離から放たれたリニア砲はアーチャーの装甲を砕き、撃墜に追い込む。
 アーチャーに対し攻撃をした隙をついて狙撃してくるハンターだが、アルヴァイムがそれを許さず、必殺の電磁加速砲で撃ち貫く。
「なるほど、ビームの類は聞かないという事かね〜。それなら‥‥」
 ならばとドクターは一度上空へ。そこから真下へ一気に降下。
 変形しつつ切り札を繰り出す。
「バ〜ニシングナッコォー! グラヴィティブーストォ!!」
 狙いはアーチャー、ハンターの後方、ガーダー2。
 重力による加速度を追加した必殺の拳がガーダー2の装甲に抉りこまれ、吹き飛ばし、機体に穴が開く。
 そのままガーダー2は各部で爆発を起こしながら墜落し始める。
 だが、それで終わる敵では無い。ガーダー2はフェザー砲を至近から乱射。
 これは難なく防御することに成功したドクターだが、その間に逆方向から詰めてきていたハンターから狙撃を受ける。
 それによって態勢が崩されたところにBFからの対空砲、そしてアーチャーからのミサイルによる集中攻撃を浴び、ドクターもまたガーダー2と運命を共にした。


「‥‥来たか」
 6機目のランサーを貫いたところで、呟くUNKNOWN。
 同時に、戦域全体のジャミングが若干ながら薄れる。増援の電子戦部隊だ。
 それに気づいたのだろう、ランサー2機が低空を飛ぶ電子戦部隊に向かう。
 UNKNOWNはそれを抑えるために対空砲を連射。ダメージを受け態勢を崩した2機は電子戦部隊の北斗が止めを刺した。
 だが、その間にティターンはBF方面に向かって逃走を開始していた。恐らく、機数の減少による不利が明白であったため、撤退のタイミングを見計らっていたのだろう。
 UNKNOWNはあえて追う事を避けた。彼のKVは強力ではあるが、それでも7割前後の損傷を受けていた。
「この辺りが退き際かな?」
 そう呟いたUNKNOWNは、全体に通信を送る。
 ジャミングが薄れたことで、通信も同様若干の回復を見ていた。

『殿は俺がやる。先に行け!』
 通信を聞いた兵衛は、そう言って2人に撤退を促す。
 敵に囲まれながらも傭兵は奮戦し、アーチャー、ガーダー2、ハンターの数機を撃破していた。
 だが、兵装上常に敵中にいることになっていたオルカ、そして元々損傷を多数負っていたハヤテ隊はすでに撃墜。
 藍、零次も、その損傷率は90%近くに達しており、このままでは撃墜の可能性が高かった。
 ハンターの一機が逃走を阻止しようと2人の前に立ち塞がる動きを見せるが、それはミリハナクの砲撃で妨げられる。
 開かれた撤退路から各機は後退。
 攻撃は味方を逃がすために殿を務める兵衛に集中。アクチュエーターを駆使してそれらの攻撃を回避。
 しかし、攻撃の手が多く、被弾が嵩んでいく。
 それでも兵衛とその愛機忠勝は味方がある程度後退するまで耐えきると、ブーストによる加速でその場をすぐさま離れていく。
『2人とも、無事か‥‥?』
 戦域をある程度離れたところで兵衛からの通信が藍、零次に送られた。
「ええ、何とか。助かりましたよ」
 零次はそう答える。この2人が撃墜されずに済んだのは殿を買って出た兵衛の功績が大きいだろう。
 だが、その代償は‥‥
『そうか‥‥それなら‥‥良かった‥‥』
「榊さん‥‥?  榊さんっ!」
 後方に視線をやった藍が見たのは、煙を吹いて墜落していく雷電の姿だった。

「味方は撤退したようですね」
 2人になってからも、迂回班は敵に圧力をかける。
 だが、修司は正面班が戦闘していたあたりの爆光が見えなくなったことからそう判断。
 となると正面で戦っていた敵HW群が向かってくることだろう。
「そろそろ退いた方が無難ですか‥‥」
 アルヴァイムが地上に目をやると、上昇してきているティターンが視界に入った。
 2人は追撃をかけようとするHWに牽制射を行い追撃を制するとすぐさま後退した。

 あるいは、敵戦力が不明な状況であえて分散したのは間違っていたのかもしれない。
 それは危険が大きく、実際被害は少なく無かった。戦力を集中すれば減らせた被害もあっただろう。
 だが、同じように分散することで減らせた被害もあった。何が正しいかはわかるはずもない。
 とにかく、この空域での戦闘による被害は微差ではあるがバグア側の方が大きかった。
 3姉妹は兵をより北部に移動させたため、トリイ基地へのこれ以上の援護は行えないだろう。
 この戦闘は、辛うじて沖縄軍の勝利と言える。

 そして‥‥
「けーいちさんの補給と換装を急いでくれ。次は空に上がる」
「私の方もお願いしますわ」
 UNKNOWNとミリハナクはそう言って機体の整備を要請。
 彼らの戦いはまだ終わっていない。沖縄最大の敵との戦闘が待っている。