タイトル:【協奏】カケル出撃マスター:植田真

シナリオ形態: ショート
難易度: 難しい
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2012/02/05 00:33

●オープニング本文



 沖縄南海上。ここでは現在UPC沖縄軍と沖縄バグア軍との間で戦闘が行われていた。
 その戦場上空、ビッグフィッシュ内。
 格納庫で待機していた赤いティターン。翼が大型化されたカスタム機だ。それが出撃準備を行っている。
 予想外の援軍により味方が優勢になったものの、後方から更なる敵機の接近を発見したためだ。
「お一人で大丈夫ですか? 護衛を付けた方が‥‥」
「いらない‥‥」
 ティターンのパイロット、沖縄3姉妹の一人である山城・カケルは、部下からの進言をあっさり拒否した。
 彼女のティターンは、沖縄の航空戦力としてはジハイド専用機に次ぐ戦闘力を持つ。
 下手な護衛では戦闘速度にも追従できないうえ、装備された特殊兵装が仇となりむしろ足手まといになるのだ。
 それに‥‥このタイミングで投入される援軍。恐らくUPCの切り札。つまり、ラストホープの傭兵たちである可能性が高い。
(その実力、今度は私自身の手で確かめる‥‥)
 カケルは、ティターンに愛用のライフル、ショットガンを持たせると、部下に後のことを任せ出撃した。


 その少し前‥‥
「どうだ?」
「駄目ですね。ビッグフィッシュ内の設備ではこれが限界です」
「そうか‥‥」
 ビッグフィッシュ内、格納ブロックに鎮座するタートルワームを見上げつつ、ゲイン・クロウは小さなため息をついた。
 機動性を犠牲に火力と防御力を追求した専用タートルワーム。その要となるのは足場として使用している中型HWだ。
 だが、グリーンランドを脱出する際の戦闘でこのHWが攻撃を受けた。その時の戦闘はそれでも強引に持たせたのだが、さすがにガタが来たらしい。
 この状態では機動性がほとんど無い。タートルワームを乗せたところで精々少し動ける砲台位にしかならないだろう。
 とはいえ、目標地点まで到達すれば修理もできることだろう。だがここで一つ懸念事項が生じた。
「上の戦闘‥‥どうしたもんか」
 海の上では今現在UPCとバグアでの戦闘が行われていた。
 いつもであれば無視してやり過ごすところではあるのだが、ゲインたちは沖縄だと新参者という扱いになる。長期間の逃避行の末で戦力に乏しかった、という言い訳も付けられなくはないのだが‥‥旗下に入る前になんらかの貢献をしておかないとここでも日陰者扱いされることは目に見えているわけで。
「‥‥とにかく出てみるか。空戦となるとちと厳しいが、隙を見て支援ぐらいはできるだろう」
 ゲインは事前に取得しておいた座標データに基づいて、沖縄3姉妹の長女、照屋・ミウミが拠点とする水中要塞に向かうよう指示。
 その後、自身はタートルワームに乗って水上へ向かった。


 沖縄海上での戦闘は膠着していた。
 戦闘開始当初はアーチャーと言われる改造HWが猛威を振るい、多数のミサイルで各KVに損害があたえられる。
 これに対し前回の戦闘で得られたデータから全KVにファランクスを搭載させるなどで対策を打っていたUPCはこの攻撃を耐える。そして、アーチャーからのミサイル攻撃が止んだところを見計らって攻勢へと転じた。
 改造HWを除くとバグア軍の戦力は小型から中型のHWやCWが中心であり、損傷を負っていながらも何とか対等に‥‥いや、若干ではあるがUPCが有利に事を運んでいた。
 しかし、ここでイレギュラーな事態が発生する。
 前方の敵に集中していたUPC軍だったが、突如後方から砲撃を受けたのだ。
 砲撃を行ったのは、なぜか宙に浮いているタートルワーム。そして、その直撃を受けたのは部隊の電子戦機。敵の攻撃に晒さないためにやや後方に置いていたことがここでは仇となった。
 これにより部隊はジャミング中和の恩恵を受けることが出来なくなり、通信の途絶等が発生。劣勢を感じ取った司令部は、予備戦力として控えさせた傭兵部隊を出撃させるに至った。
 が、傭兵たちが戦場に向かう途上に立ち塞がるように現れた機体。
 それは、赤いティターン。
 現在まで得られた情報によると、沖縄バグア軍に所属するティターンは1機のみ。
 であればそのパイロットは、沖縄3姉妹の次女。沖縄におけるバグア軍航空戦力を統括する山城・カケルに間違いなかった。

●参加者一覧

榊 兵衛(ga0388
31歳・♂・PN
アルヴァイム(ga5051
28歳・♂・ER
ロゼア・ヴァラナウト(gb1055
18歳・♀・JG
ジャック・ジェリア(gc0672
25歳・♂・GD
美具・ザム・ツバイ(gc0857
18歳・♀・GD
D・D(gc0959
24歳・♀・JG
ラナ・ヴェクサー(gc1748
19歳・♀・PN
カグヤ(gc4333
10歳・♀・ER

●リプレイ本文


「来ないか‥‥」
『こちらを観察してるのかもしれないの』
 能力者たちに対し、ティターンは不動の態勢。
 ロータス・クイーンを使用し敵の動きを観察するカグヤ(gc4333)。そしてそれの護衛についているジャック・ジェリア(gc0672)。彼らを後方に置くことでティターンを誘い込む予定だったが、当てが外れたようだ。
 とはいえ、このまま睨み合っていてもしょうがない。
「あのティターンは、この間の戦いで矛先を交えることなく撤退していった指揮官機だろう」
 ならばここで撃破できれば友軍にとっても大きな助けになることは間違いない。
『美具は空飛ぶタートルワームにこそ用があるのじゃが、邪魔立てするとあれば容赦はせんぞ!』
 ブーストに加え超伝導アクチュエータを起動させた榊 兵衛(ga0388)とそれに追従する美具・ザム・ツバイ(gc0857)が飛び出していく。
「出来れば一斉射撃に合わせてと思ったけど‥‥仕方ないか。準備は良い?」
『こちらはいつでも大丈夫です、D・Dさん』
 それに合わせ、D・D(gc0959)とロゼア・ヴァラナウト(gb1055)が互いにバレットファスト、マイクロブーストを起動。左方から回り込むように飛ぶ。
「こちらも行くとしましょうか。連携は徹底して」
『了解。無闇に人の命が散るのは避けるべきですし‥‥速攻で排除します‥‥』
 ブーストを起動させたアルヴァイム(ga5051)にラナ・ヴェクサー(gc1748)が追従する。この2人は右方から。
 能力者たちはティターンを包囲し、十字砲火により殲滅するつもりだ。
 それに対しティターンは牽制などをすることもなく、緩々と後退していく。
 戦う気が無いのか‥‥いや、能力者たちは感覚で理解していた。
 ティターンの戦意が高いこと。そして‥‥それが強敵であるという事が。


「まずは小手調べだな」
 兵衛が先制攻撃。AAMと螺旋弾頭ミサイルをティターンに向けて発射する。
 対しティターンは距離を取りながら慣性制御を最大限利用した回避機動を取り、それらを回避していく。やはり素の運動性能はティターンの方が上か。
『ヴィジョンアイ、起動するの!』
 しかし、カグヤがヴィジョンアイを発動させてからはそうもいかない。
 初手は見に回った美具がK−02小型ホーミングミサイルを発射。これらは回避されるものの、目的は兵衛の援護だ。
 ミサイルを回避している間にティターンに迫った兵衛はスラスターライフルを使用。ヴィジョンアイの効果か、その狙いは先ほどよりも正確で、ティターンに直撃。
 が、ここからはティターンの動きも変わった。攻撃を受けながらもライフルを構える。
 プロトン砲に近い性質を持つ1射目を兵衛は持ち前の機動力で回避するが、すれ違いざまに放たれた1射が直撃。態勢を崩す。
 さらにもう1射。態勢を立て直す間もなく受けたその攻撃は運悪く動力部に直撃。大きく機動力を減じる。
 まだティターンの攻撃は終わらない、一撃離脱気味にティターンの後方に駆け抜ける機体を狙う。
「此方の役目は陽動と言ったところか‥‥精々引っ掻き回すとさせて頂くよ」
 それを阻んだのは側面から仕掛けてきたD・D。ライフルによる狙撃で兵衛を援護するとそのまま接近。接触直前にバルカンをまき散らし牽制しつつ急速旋回。
 その後ろにはすでにロゼアが迫っており、フィロソフィーと小型G放電装置による連撃。綺麗な連携攻撃がティターン表面の装甲を焼く。
 そのまま離脱する両機に代わり逆側面から迫るアルヴァイム、ラナの両機。
 アルヴァイムは対空砲とチェーンガンを接近しつつ連射。逆側面で攻撃を受けた直後だったにも関わらずその攻撃の半分は回避するティターン。
 しかし、その行動はラナ機が攻撃する隙を生む。
 連射されるスラスターライフルが形成する弾幕はティターンに命中し、確実にダメージを刻む。
 ここで前進してくるジャックとカグヤ。
 ヴィジョンアイの発動と敵が後方に移動していたことで若干他に遅れたものの、ロングレンジライフルがティターンを捉える。
 ジャックの乗る機体はスピリットゴースト。
 ブレスノウを基に改良されたファルコンスナイプBによりその命中精度はかなりの物。ティターンが他に意識を割いていたというのもあり直撃を取る。
 とはいえ火力自体が上がるわけではないので、直撃しても多少傷を与えた程度だが。
 この時点で戦闘開始から20秒程度しか経っていないが、状況はティターンに圧倒的不利。能力者たちにとっては四方を囲んだ、理想的な状態と言える。
「好機じゃな、本命を叩き込むぞ!」
 美具が「トランシェダント・ミサイルサーカス」すなわちマルチロックミサイル弾幕に高命中ミサイルをブレンドし、敵の回避を乱すことで確実な命中を狙う新必殺技を放つ。このド派手な技を囮とし、兵衛の援護をしようというところだ。
 この援護を受け、兵衛はライフルを撃ちつつ突撃。
 それに合わせD・Dはロヴィアタル、ロゼアも長射程のミサイルを発射する。
 ラナも同様に虎の子のミサイル発射、アルヴァイムはそれを受けたティターンの動きに即応できる態勢を整える。
(‥‥? あれは何? 何か持って‥‥)
 しかし、各機の攻撃が殺到する直前、カグヤのピュアホワイトはティターンのある行動を捉えていた。
 大量のミサイルが爆発したことによる閃光が広がる。


 ティターンのパイロット、山城カケルは、前回部下たちに戦わせた戦闘で見た。
 能力者たちの使用したマルチロックオンミサイルの雨を。あれだけの攻撃をされては通常機はひとたまりもないのは道理であろう。
 ファランクスを使用するにしても、焼け石に水。
 カケルはもっと効果的な対策は無いものかと考えた。
 ‥‥そしてその答えは、人類が教えてくれた。


『熱源、来るの!』
「‥‥何!?」
 爆煙を突き破ったのはティターンから放たれたライフルの軌跡。それらが再び兵衛の機体を撃ちぬく。後一発もらえば兵衛の機体は‥‥
(落ちる‥‥!)
 そう判断したアルヴァイムは切り札、ブリュ―ナクを使用。加速する砲弾は爆煙の中に飛び込む。
 さらに逆方向からD・D、ロゼアが接近。初撃同様バルカンでの牽制射撃。
 これらで与えられたダメージは本来無視できないものであるはず‥‥だが、ライフルは再び発射された。兵衛の機体に向かって。
 直撃を受けエンジン部が爆発、炎上。兵衛の機体はそのまま墜落していく。
 この前後、多数のミサイルによる爆煙がようやく晴れた。そして、そこにいたのは驚くほどに損傷の少ないティターン。いや、自己再生能力が働いているためか、みるみる損傷が回復している。
 この間もカグヤ、アルヴァイムなどはティターンの動きを彼女らなりに分析、目標選定基準の看破に勤めていた。
(ティターンは近い標的を狙っているみたいなの)
 となると、次に狙われるのは兵衛の後方についていた美具か‥‥
「私ですか‥‥!」
 D・Dの攻撃に合わせ接近、追撃をかけようとしていたロゼア。
『不味い、散開!』
 僚機の危険を感じとったD・Dはすぐさま煙幕を展開する。
 だが、行動の意図が両者の間で正確に共有されていなかったためか、ロゼアの対応が若干遅れた。
 そして、それを見逃すティターンではない。ロゼアは回避する間もなく1射目でコクピット周辺、2射目でエンジン部を撃ちぬかれ爆発した。
 ティターンのライフルは次に煙幕でその身を隠すD・Dの方へ向く。
 だが、そうはさせじとアルヴァイムが再度突撃。ブリュ―ナクを発射し注意を引こうとする。
 銃口がアルヴァイムの方へ。しかし、アルヴァイムの後にはその援護をするラナ機が‥‥いない。
「虎穴に入らずば‥‥とね‥‥っ!」
 ラナはアルヴァイムが攻撃をした時点で機体を急上昇させた。そして、注意が向いた一瞬を狙い、ツインブーストを起動。機体に制動をかけ急降下。
 逆V字型の戦闘機動で斬りこんでいくラナ機の剣翼が煌めく。
 一閃、ティターンのライフルが真っ二つに切り裂かれる。
 ‥‥それと、オウガの装甲が大きく吹き飛ばされるのに時間的差はほとんど無かった。ショットガンによるものだろう。
 この時の能力者たちは知る由もなかっただろうが、カケルは最初からアルヴァイム機は相手にする気が無かった。あれだけの防御力を持っている機体に当たるのは時間の無駄だという考えだ。
 だからこそ、機体能力を活かしたラナの奇襲じみた攻撃にも対応ができた。尤も、その機動が想定よりも流麗であったためか、ライフルを破壊される失態を犯したが。
 ティターンはすぐさまポンプアクション。攻撃を受けて満身創痍だった状態のラナは、距離を取らなければと機体を動かそうとするが相手は散弾。
 全弾命中とはいかなくとも、その半分も当たり、それが致命傷となり撃墜された。


 この時点でもまだ包囲状態は辛うじて継続されている。
 D・D、アルヴァイムが敵左右についており、ジャック、カグヤがある程度距離を保ちつつ敵正面。その間には美具がいるといった形だ。
 D・Dとアルヴァイムは僚機がいなくなった時点で合流へと動く。美具はジャック、カグヤの方へ。
 しかし、ティターンは美具を目標に追撃。
「クッ‥‥これ以上やれれるわけにはいかんのじゃ!」
 再びミサイルを発射する美具。
 それに対し、ティターンは何かを持ち出し、放り投げた。カグヤがカメラで観測したものと同じだ。
 大型の手榴弾の様なものらしい。
 それは爆発。中からは複数の光球と銀粉がまき散らされる。
「あれ? レーダーがおかしいの」
『‥‥チャフか。そして光球は‥‥フレアの類』
 ここにきて、能力者たちはなぜミサイルが効果を為さなかったのかを理解した。
 人類の使用するミサイル兵器は赤外線誘導ないしレーダー誘導式がほとんどだ。それらを妨害するためにティターンはフレアとチャフ。同様の効果を発揮する妨害兵器を準備していた。さしずめジャミンググレネードと言ったところか。
 発射したマルチロックミサイルは光球につられ明後日の方向で爆発。高命中ミサイルのイースクラはフレアにつられることはなかったが、チャフにより目標を見失い、ティターンを素通りしていった。
 さすがにバグア製。性能は段違いか。
 美具は接近するティターンの攻撃を回避するために乱波を展開‥‥したときにはティターンの姿が消えていた。
『下に潜り込んだの!』
「くそ‥‥間に合うか‥‥?」
 カグヤからの注意が行くと同時に真下から衝撃。無数の弾丸が一射で機体の装甲を半分以上削り取る。
 装甲をパージして回避を試みる美具。が、それよりも先にショットガンの2射目。
 後方からジャックが射撃支援を行ったため、ティターンは回避行動をとりつつの射撃であった。それでも散弾すべてを回避することはできない。パージ後の防御力では耐えきれず、機体はそのまま小爆発を起こしながら墜落していった。


 そのままの勢いで突撃してくるティターン。
 ラバグルートで狙撃を試みるカグヤだが、射角が確保できず命中弾は取れない。ジャック機の陰に入るような機動は防御機動としては優れているが、攻撃機動としては自身の射線を塞ぐ結果になったためだ。
 だが、その狙撃で多少なりとも回避に制限を付けられれば、後はジャックが討つ。
 接近に従い武器を切り替えながら、高威力の砲撃、弾幕でティターンの装甲を削る。
 特に重点的に狙ったのはその大型翼。機動性が高い敵に対し部位を狙うのはなかなか骨が折れる作業だが、ファルコンスナイプAの助けもあって攻撃は命中していく。
 さらにその機体は大型であり、ブーストによる疑似慣性制御にも助けられカグヤへの射線をカバー。ティターンの射撃武器はカグヤまで通りにくくなっている。
 ティターン後方からは態勢を立て直したアルヴァイム、D・Dもブーストを使用し向かっている。
(行けるか‥‥)
 高速移動中、カウンター気味に銃撃を受けて態勢を崩したのか。ふらりと側面を向くように傾くティターン。
「‥‥避けて!」
 そう思った矢先。カグヤの警告と同時に、ジャックはティターンの大型翼が光るのを見た。
 慌てて散開したアルヴァイム、D・D。
 彼らの視界に入ったのは100m級を超えていると思われる巨大な光の翼を生やしたティターン。その片翼がさっきまで2人のいた場所を、そしてもう片翼がジャック、そしてその後方、回避機動をとったカグヤを同時に薙ぎ払っていた。
 堅牢な装甲を持つジャック機ですら、その威力に耐えきれず弾き飛ばされる。
「‥‥これは、練剣‥‥いや、翼だから練翼か?」
 後方にいたカグヤ機は‥‥すでに翼が片方失われ飛ぶのも困難な状態。これ以上戦闘させるのは危険だ。
 後退するよう指示しようとしたジャック。だが、その言葉は再び襲う練翼に遮られた。
 ティターンは慣性制御を利用し、空中ではありえない機動。例えるならアイススケートのスピンを行うように機体を回転。練翼を連続で叩き込む。
 巨大な翼は2機を同時に襲う。この攻撃の一発目でピュアホワイトは機体の半分以上をえぐり取られるように破壊され、空中で爆発。
 対しジャックはその連撃になんとか耐え抜く。
 ここでティターンは目標を変えた。翼の攻撃を1度ならず耐えたジャック機を、アルヴァイム機と同様避けたのだろう。
 となると目標にされるのは残りの1機、D・Dのガンスリンガー。
 決して低くない機動性を持つガンスリンガーだが、それでもティターンには圧倒的に劣る。
 さらに悪いことに、ピュアホワイト撃墜に伴い敵の動きが読めない。加えて機体はバレットファストを使用している状態なのだ。直撃を喰らえば大破‥‥どころでは済まないだろう。
 それでも煙幕を撒いて回避を試みる。しかし、あの翼はその煙幕ごと機体を薙ぎ払うだろう。
 練翼が迫る‥‥
『貴様にやらせるわけにはいかんな‥‥』
 刹那、ティターンが大きく揺らぐ。
 側面から、極光をまとったアルヴァイムの機体がブーストを利用してティターンに吶喊。相打ちを辞さないアルヴァイムは直接機体をぶつけてその動きを制したのだ。
 そして、練翼で機体を焼かれながらも至近からブリュ―ナクでの一撃。同時に破壊される大型翼。ここを狙って撃っていたジャックの攻撃が功を奏した。
 アルヴァイム機を蹴り飛ばし距離を取るティターン。大型翼を始めかなりの損害を受けたようだ。
 そのままティターンは彼方へと飛び去る。これ以上の戦闘は困難になった、ということだろうか。この時、戦闘時間は一分を経過しようというところだった。

 ティターンの撤退に伴い戦闘中のバグア軍も撤退を開始。
 これにより沖縄上空の制空権は、若干ではあるが人類側に傾くこととなる。
 が、その代償は味方戦力の大幅減少。時間をかければ戦力は補填できるが、それまで如何にバグアの攻勢を防ぐかが、今後の課題として残されることになった。