タイトル:【RAL】DaringPlungersマスター:津山 佑弥

シナリオ形態: イベント
難易度: 難しい
参加人数: 31 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2010/12/24 02:29

●オープニング本文


「思ってたよりも酷い状態ね‥‥」
 路肩の崩れかけた階段に腰掛けたまま周囲の光景を見渡し、朝澄・アスナはそう呟かずにはいられなかった。
 ここはアルジェリア、ワルグラ。【AA】作戦を経て競合地域へと化した都市である。
 都市であった、と言った方が正しい。件の作戦前までは、ここは十数年もの間バグア占領地で在り続けたのだから。
 この街がアフリカ大陸では北部に位置するせいか、都市はそれほど酷く破壊されたわけではない。
 それは推測出来た情報通りだったが――人々の困窮の程はアスナの予想を超えていた。
 餓死者の姿が見えないのは、生き残っている人々が葬ったからなのだろう。
 ただその生き残った人々にも、生の余裕はまるで感じられない。
 その予想の上をいく状況の酷さは、この地においてアスナが課せられた任務の難度を上げるものだった。

 ■

 事の起こりは数日前。
 いつものようにラスト・ホープの本部で勤務していたアスナは、何故か欧州軍の将校に呼び出しをくらったのだ。

 作戦名【RAL】――『Roller for African Liberty』のことはアスナも話に聞いている。
 それの遂行に際し、一時的に欧州軍に転属となる――という話だけでも唐突過ぎて驚いたのに、
「少尉にはアルジェリアのワルグラに向かってもらう」
 いきなりそう言われれば、ずっと主計課として内勤だったアスナは呆然とするしかなかった。
 転属されるにしても総務絡みだろうと思っていたら、いきなり最前線に送り込まれるとは。
「‥‥一体どんな任務でしょうか?」
 それでも何とか声を絞り出すと、
「避難誘導だ」将校はそう答えた。
 ワルグラには空から攻撃を仕掛ける予定があるのだが、ゲリラ的に仕掛ける為現地民の避難を予めしておく余裕はないという。
 そこで現地地上にて、現地民を安全な場所へ避難させることが必要になったというのだが――。
「何故私なのでしょうか?」
「少尉の言語能力ならば、短期間でも現地の言葉を任務に困らない程度には習熟出来るだろうという話を聞いたのだ」
 あまり自分のことを誇示するのは好きではないが、何となく納得がいった。
 二十四という実年齢よりも十近く若く見られがちなアスナだが、仮にも軍人、しっかり士官学校の出である。
 まして地元の高校はこれで学年トップで出ているのだ。士官学校での成績も悪くなく、戦闘に関するモノを除けば寧ろかなり上位に入る。
 そしてそんな彼女が最も得意とする分野は言語だった。留学経験こそないものの、英語はペラペラ、その他の欧州言語も軒並み日常会話程度には習得していた。
「それに、少尉の外見ならば仮に現地で知能を持つバグアに見つかってもUPCの手の者だとは思われ難いだろう、という意見もあった」
 ――これも何となくそんな気はしていたのだ。
 それでも少しばかりショックを受けていたアスナに畳みかけるように将校は告げた。
「ちなみにこの任務を無事に遂行した暁には、少尉を中尉に昇進させることが検討されている」
 それって一種の死亡フラグって言いませんか。
 アスナはその言葉を懸命に飲みこんだ。
 二階級特進とか言われなかったのも我慢出来た理由だった。
 とはいえ、よりにもよって管轄違い、しかも能力者であるとはいえ普段は裏方である自分を転属させてまで送り出したのは、余程人手が足りていないからなのだろうとも思う。
「了解しました――朝澄・アスナ少尉、その任務を必ず成功させてみせます」
 最後には決意を固めて、アスナは敬礼した。

 ■

 ワルグラの街の北半分は現在ワームの格納庫をはじめとする拠点と化しており、南半分は占領当時の居住区が形だけは残っている。そこに住む現地民の様はまるで流浪街、加えて監視の為に闊歩する強化人間もいては一種の監獄のようですらあったが。
 拠点からは大きな通りが六本出ていて、いずれも最終的には街外れに繋がる。アスナが今いるのも、そのうちの一本だ。道幅は、二十メートルほど。また、大通りを繋ぐ小さな横道に至っては無数にあった。
 アスナを含め、各大通りに一人ずついる誘導部隊に課せられたミッションは――人類勢力がKVによる空戦を仕掛けたと同時に、現地民を街外れに避難させることである。
 その為にはまず自分たちがバグアに気づかれてはいけないわけだが、今のところはうまくいっているようだった。
 今いる地点に落ちつくまでに何人か強化人間らしきバグアを見かけたが、そもそもアスナの肢体は軍人にしては華奢だし、顔は現地の女性を真似てヴェールで隠している為気付かれたことはなかった。無論、変装の下には愛銃を忍ばせているが、それを察せられた様子もない。もっとも見つかった場合、実戦経験に乏しい自分が強化人間に太刀打ちできるとも思えなかったが。
 あとは空が動くのを待つだけ――この都市を攻略する為に組み込まれた人員の多くは傭兵らしい。
 欧州軍はアフリカのあちこちで動きまわっている為人手不足だからだというが、軍人の中でも傭兵に強い信頼を抱いている部類に入るアスナにとっては頼もしい以外の言葉は思いつかなかった。

 ふと――ずっと見上げていた遠くの空に、狼煙が上がった。
 これから攻撃を仕掛ける、という合図であり、実際視界の端で、監視に回っていた強化人間が慌てた様子で北に向かっていくのが見えた。
 強化人間の姿が肉眼からは捉えられなくなったところでアスナは即座に立ちあがり――
『私の声が聞こえる人は、ここから南へ――街外れへ避難して!』
 期待に応え短期間で習熟して見せた現地の言葉で、そう叫んだ。

●参加者一覧

/ 花=シルエイト(ga0053) / 榊 兵衛(ga0388) / セシリア・D・篠畑(ga0475) / ケイ・リヒャルト(ga0598) / クラリッサ・メディスン(ga0853) / 地堂球基(ga1094) / 伊藤 毅(ga2610) / 金城 エンタ(ga4154) / 宗太郎=シルエイト(ga4261) / UNKNOWN(ga4276) / アルヴァイム(ga5051) / 秋月 祐介(ga6378) / クライブ=ハーグマン(ga8022) / ロジャー・藤原(ga8212) / 夜十字・信人(ga8235) / ユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751) / 三枝 雄二(ga9107) / 紫藤 文(ga9763) / 抹竹(gb1405) / ジェームス・ハーグマン(gb2077) / ソーニャ(gb5824) / 五十嵐 八九十(gb7911) / 美空・桃2(gb9509) / 綾河 零音(gb9784) / リリナ(gc2236) / ヨハン・クルーゲ(gc3635) / ミリハナク(gc4008) / 斎(gc4127) / エシック・ランカスター(gc4778) / 片山 琢磨(gc5322) / キロ(gc5348

●リプレイ本文

 ワームに乗り込んだ敵側にしてみれば、容易い相手だったに違いない。
 此方は四十数機。それに対し、最初に姿を見せたKVは僅かに五機。
 ――侵略済みのアフリカでの防衛という、ある種の閑職の立場にいたことが彼らの慢心を生んでいた。また彼らの中には確固たるリーダーがいなかったことも、事態の混乱を招く要因といってもいい。
 要するに、兵士としての練度は低かったのだ。
 だから――彼らは予想だにしなかった事態に陥ることになる。

●カバーストーリーの行末
 ワルグラの上空付近に無数のワームの機影を見つけ、交戦状態に入る――。
 といっても僅か五機であったKVはこの場で戦う意思はなく、真っ先に動いたロジャー・藤原(ga8212)が取った行動は、煙幕装置で敵の目を欺くことだった。
「うわ!? 危ねえって!」すれすれでバルカンの弾丸を回避し、ロジャーが叫びを上げる。
 尤も、相手の数はKVに比べて遥かに多い。
 煙幕があろうとどちら側にしても数打てばいずれ当たるのは当然。この場合、後退に徹していた傭兵たちはひたすらに回避かわざと受けることを選択せざるを得なかった。
 アルヴァイム(ga5051)は僚機であるソーニャ(gb5824)機やユーリ・ヴェルトライゼン(ga8751)機を庇うように殿に徹し、もう一方の編隊であるロジャー機とミリハナク(gc4008)機はそれぞれにスキルで防御を固めていた。

 一方、それより北方の空では――。
「傭兵とは因果の商売だな。
 お呼びとあらば、どこにでも出向いて戦わなくてはならないんだからな」
 愛機の中で待機しながら、榊 兵衛(ga0388)が苦笑交じりにそんな言葉を零していた。
 それから一転、表情を引き締め。
「――背中は任せたぞ、クラリー」
 その信頼に、クラリッサ・メディスン(ga0853)は首肯して返す。
「良人の背中を護るのが妻の役目ですものね。
 思う存分戦って下さいませ、ヒョウエ」
 その空域に待機するKVは、全部で十八機。数の上では、推定されている敵群よりも少ない。
 ――が、その辺りを心配・危惧している傭兵はどうやらいないようだった。
 何故ならば。
「エシックさんと轡を並べて飛ぶのは久しぶりなのであります。今日はハッスルしてしまうのでありますよ」
「あなたの傍は俺以外一機も近づけませんよ。フォローをよろしくお願いしますね」
 エシック・ランカスター(gc4778)と美空・桃2(gb9509)がそんなやり取りを交わす。
 何故ならば――そこには、兵衛とクラリッサ、エシックと美空のように、互いを信頼する部分があるから。
「だから、なんでこう大規模な空中戦ばかり誘うんですか、隊長、ねえ、聞いてます? ドラゴン1?」
 愛機であるフェニックスA3型のコックピットで、ジェームス・ハーグマン(gb2077)がそう愚痴めいた言葉を零していた。愚痴の相手は【380戦】隊長の伊藤 毅(ga2610)だが、そもジェームスとて彼を信頼していなければその戦域についてきたりはしないだろう。
 ふと――その場に待機していた全機に、通信が入った。
「釣りは成功です。各部隊一斉攻撃をお願いします」
 斎(gc4127)から告げられるその指示と同時――遠くの空に、無数の機影が見え始めた。

「高々五機相手に全部隊でいけ、か。上は俺らを信用してないのか」
 ワルグラに接近してきた五機のKVを追いかける編隊の、とある小型HWのコックピットで強化人間は吐き捨てていた。
 四十数機からなるワームの群れは、三機のタロスを中心に三つの隊を編成している。その全てが、今はKVの殲滅に向かっていた。
「気が立ってるんじゃないの。ここのところ、アルジェリアの東側も人類に奪われてるっていうし」
 同じ編隊の中型HWを駆る女性がそう答える。とは言っても本人もそんなことはどこ吹く風と考えているのは、投げやりな口調からして誰の目から見ても明らかだった。
 今この場において肝要なのは――。
「とりあえず、いたぶってやればいいのよ」
「――いや、待て」女性が舌なめずりをしたと同時、編隊を統べるタロスのパイロットが警戒心を剥き出しにした声を出した。
「敵は五機だけじゃないぞ!」次いで、別の編隊から通信が入る。
 その直後――追跡対象のKVから最も近いところにいた小型KV群が、ミサイルの雨に包まれた。

「先遣隊を確認。追走してくる敵を攻撃します」
 後ろに控えていた傭兵の中で最初に動いたのはヨハン・クルーゲ(gc3635)だった。ファルコン・スナイプを起動し、最も近くにいたHWに照準を向け、立て続けにトリガーを絞った。
 つい先ほどまで五機を追うのに躍起になっていたワーム群は状況の変化こそすぐに気付いたものの、対応しようとする動きは緩慢だった。
 長い間アフリカにいたということは、つまりは最前線に出てくる機会に乏しかったということ。
 加えて彼らには強化人間としての驕りもある為、兵士としての練度は低かったのである。対応が遅くなるのも、至極当然だった。
 その当然に生まれた隙を、傭兵たちは容赦なく突く。
 兵衛とクラリッサ――夫婦それぞれの機体から放たれた二五〇×四=一〇〇〇のミサイルが、嵐となって前のめりになっていた編隊の前衛をまとめて飲み込んだ。
「よくもまあ好き勝手したくださいましたわね。生かしては返しませんわよ」
 爆発の華が咲き乱れる間に逃げていた五機も反転、戦闘態勢に切り替わっていた。ミリハナクがミサイルを五〇〇追加し、空に咲く赤橙はもう一度輝きを見せる。
 その合間に――
「敵編隊に突っ込む、2・3ついてこい、4・5は後方から支援、はぐれたやつを落としてやれ」
 毅は自ら率いる【380戦】のメンバーにそう指示を出していた。
「隊長、後で答えてくださいね! ドラゴン3了解、左後方に付きます」
「ドラゴン2了解、さてなかなかに厄介な相手っすね。
 有人機故に機械が引っかからないようなフェイントにかかってくれるといいっすけど」
 小隊員であるジェームスと三枝 雄二(ga9107)がそれに応じる。
 待機段階から、【380戦】はアローヘッド陣形を作っていた。先陣には毅機、左右の頂点にはそれぞれジェームス機、雄二機がいる。ドラゴン4と5――エシック機と美空機は、それよりも後方。二機の間でも、エシック機は美空機よりもやや前にいた。
 その態勢を維持したまま、ワームの編隊に向かって前進、突入を試みる。
 K−02の被弾、或いは直撃を逃れたワーム群のうち、意図を察したらしい数機のHWが小隊を狙い撃ちしたものの、
「そうはさせないのじゃ!」
 斎から支援攻撃の指示を受け、キロ(gc5348)がロヴィアタルによるミサイルパーティで敵の目を【380戦】から離す。その間に彼らのうち前三機はワーム群の真っ只中に突入を果たし、エシックと美空は突入直前に速度を緩め、代わりに高度を上げた。
 そして――突入した三機は縦横無尽に動き回り、編隊の中をかき乱し始めた。

「さって前戯はおしまいっと。これからが本番だぜ!」
 敵の編隊が乱れ始めたのを見、ロジャーはそう猛る。
 ミリハナク機が荷電粒子砲「九頭竜」を手ごろな場所にいた大型HWに放つのを見、ロジャー機も続いてUK−10AAMを放った。
 九頭竜の後にまずUK−10AAMがヒットし、更にそこにミリハナクが続けて放っていたレーザーが突き刺さる。
 たまらないとばかりに後退したところは、編隊の外れ。他の獲物が周囲に少ない以上、格好の火器の標的である――と搭乗していたパイロットが気付いたのは、移動した矢先にアルヴァイム機に十式高性能長距離バルカンで狙い打たれた後だった。
 更に三機の追撃は止むことなく、大型HWはそのまま成す術もなく墜ちていった。
 別の空域では、やはり編隊の外れに位置していた小型HWを標的にソーニャが高分子レーザー砲のトリガーを引いていた。
 それから自らも前へ――機影で螺旋を描き、反撃をかわしながら接近し、ヒット&アウェイの離脱間際にもう一撃。
 当然、狙われていたものも含めた周囲のHWは離脱するソーニャ機を追いすがるが――狙った直後に、別の方角から次々と被弾することになった。ソーニャは機体をうまく地堂球基(ga1094)機の射角に滑り込ませ、その球基もタイミングよくトリガーを絞ったのだ。序に、再び斎から攻撃指示を受けたキロも再度のミサイルパーティで周辺のHWをまとめてミサイルの雨の中に巻き込んでいた。
 一方、中々思い通りの行動を起こせず忸怩たる思いを抱く者は傭兵の中にもいた。
「あー、もう、何アレ邪魔」
 吐き捨てたのは綾河 零音(gb9784)だ。彼女が標的と定めた三機のタロスは、それぞれ周囲を大型HWに護られ――未だに一度も被弾していない。
 自身からもまだ一度も攻勢に出ていないのが逆に不気味だったが、それよりも周囲の大型HWを今はどうにかするべきだった。

「3、チェック6、2、3の援護をしてやれ」
 乱戦に持ち込んだ今にあっても、毅は冷静かつ端的に指示を出す。
「「了解」」ジェームスと雄二は短く応え――「って」雄二の声はすぐに続いた。
「先輩、後方警戒。食いつかれてるっすよ」
「――」雄二が言った傍から機体に僅かな――しかし不自然な衝撃が生じ、次いで機体の脇を光線が通過していった。
 そして光線を追った視線の先には別のHWがいる。毅は小さく舌打ちし、飛行する方角を変えた。
 視界の端で、ジェームスと雄二が先ほどの指示通りにHWを狙っているのが見えた。が、それぞれ後方から複数のHWが狙い打とうとしている。
 全弾命中するとは思えないし、その外れたうちには味方であるワームを誤射してしまうものもあるだろうが――とても安心できる状況ではない。
「4・5、そっちに2機抜けた、対応は不能、そちらでの対応を頼む」
 やむなく、雄二機を遠方から墜とそうとしているHWの対応指示をエシックと美空に送る。

 当のエシックと美空は、その時自分たちに警戒していた三機の中型HWを相手取っているところだった。
 高空にいる分だけアドバンテージはエシックたちにあったものの、美空機よりも前に位置取っているエシック機は油断できない。
 ――と、HWの更に下側からソーニャ機とキロ機、それに球基機がHWに接近し始めた。気付いたHWが迎撃態勢に出るが、練度が低い故に一斉に其方に向かう――エシックと美空からの警戒を解いてしまう。
 こうなってしまえばもう本来の狙い通りに行動すればいい。下からの挟撃で以て三機に立て続けに致命的な打撃を与えた後、毅から指示を受けた敵を狙うべく移動を開始する。
 編隊に混乱を招いたことが功を奏し、戦況は傭兵たちの有利であることは揺ぎない。
 それでも。
「中々思うようには墜ちてくれませんね‥‥」
 若干疲れた声が、エシックから漏れた。
 強化人間がどれだけのHWに搭乗しているかは今になっても分からないが、分かることは一つだけある。
 攻撃力は機体によりけりだが、防御面については殆どのHWがかなりの改造を施されているということだ。たびたび誤射があるにも関わらず墜ちた機体は想定よりも多くない。その分だけ、エシックや美空も――否、殆ど全てのKVが消耗戦を強いられていた。
 故に、最初に劇的に変化を遂げた戦局は、それ以後は緩やかな遷移となっていた。
 しかし、状況に変化が訪れるのも時間の問題だった。
 ワームが確実に数を減らしていることもあり、そろそろタロスが動き出してもおかしくないというのが理由の一つ。
 もう一つは――【380戦】のうちひたすらワームを引っ掻き回していた三機の損耗が激しいことだ。敵が兵士としての練度は低いとしても、数が違いすぎる。味方であるワームへの誤射を誘い込めたこともあったが、それと同程度の回数被弾していた。
 
 そして、その時はすぐにやってきた。

 しぶとさに苦慮しながらも、HW全体の数を半分以下にまで減らした頃――突如として三機のタロスから放たれたK−02にも似たミサイルの雨が、【380戦】全機に降り注いだ。
「くそ、エンジン停止‥‥。損傷率99%、ドラゴン2イジェクト! 後で回収頼むっす」
「これ以上は無理か‥‥ドラゴン3脱出します、自力で戻りますから、回収は不要」
 戦える最低限の状況をそれで割ってしまった雄二機とジェームス機が離脱する。
 毅機はまだ辛うじて戦闘能力を残してはいたが、流石に一機では場を引っ掻き回すには足りないと判断し後退した。三機に比べてそれまでの損壊が小さかったエシック機と美空機は毅よりもまだ戦える状態にあるが、それでもダメージは大きい。
 そして――周囲に二機ずつついる大型HWを伴って、タロスがKVたちに向かって接近を開始する。零音やユーリ――タロスを標的とする者、ミリハナクやロジャーといった大物狙いの者たちによって大型HWは大分損壊が見られたが、まだ墜ちたものはいない。
 機体が機体だけあり、タロスをリーダーと見ている傭兵は多かった。
 事実、
「まさかここまでとはな‥‥」
 一機のタロスから、そんな音声が放たれた。
「というか、我々をワルグラから離すのが目的か」
「分かっていたのに退かなかったのか?」
 ユーリの問いに対し、タロスのパイロットは不満そうに鼻を鳴らした。
「これこそ分かっているだろうが、此方の兵士は驕りがあるようでな。
 占領しっぱなしだったが故の、貴様らとは別の意味での平和ボケ、というやつだ」
 どうやらそういう輩に対する罰的な意味合いで、わざと退かなかったらしい。
「――そういう貴方はどうやら違うようですわね?」
「少し前まではスペインにいたからな」
 ミリハナクの問いにはつまらなそうにそう答え――、
「というわけで、これからは本気で行くぞ」
 静かに告げたパイロットとは裏腹、三機のタロスは猛然と前進を始めた。
 人型形態の手に構えた銃器を立て続けに放ち、残る小型や中型のHWを狙い撃とうとしていた球基機やソーニャ機、兵衛機にクラリッサ機といったところまで不意の一撃を浴びせる。
「落雷警報にご注意くださーい!」
 零音が叫んだ刹那、高度を上げていた彼女の機体からG放電装置の電撃がタロスのうち一機に直撃する。
 だが被害を受けたタロスは即座に動き出す。ブーストをかけて零音機の真下に潜りこむとその手を掲げ、お返しとばかりにレーザーを連続で零音機へ叩きこんできた。
 今度は接近戦で攻撃しようとしたのか、高度を上げようとしたそのタロスの動きをユーリ機が弾幕で遮った。
 ただ、タロスには生体パーツによる自己修復機能がある。余計な時間稼ぎは出来るだけ避けたい――。
「っこんのぉ! 再生なんてさせません!」
 そう考えたヨハンがスナイパーライフルD−02で狙撃。
 その間に態勢を立て直した零音機が移動しながら小型帯電粒子加速砲のトリガーを引き、ヨハン機の攻撃で開いた装甲の穴を広げるべく、ユーリ機がソードウィングで斬り裂く。
「くっそ‥‥」タロスのパイロットから苦渋の声が漏れる。
 更に、それまで他のHWを相手取っていたキロや斎、毅、エシック、美空といった面々も攻撃を浴びせ――まず一機目のタロスが墜ちる。
 戦力的に余裕があるわけでもないが、総数の上でも既にKVの方がワームを上回っている。故に、集中攻撃が可能になっていた。
「どうやら貴方の命運もここまでのようですわね!」
(なんかお姉様がかっこいいな‥‥)
 二機目のタロスに向かってレーザーライフルのトリガーを引きながら言い放つミリハナクを横目に、ロジャーはそんなことを考えながら援護射撃をしていた。
 自己修復が追いつかないほどの被害――。
 敵の兵士と違い、連携という手段を持っていた傭兵たちにとって、それを与えることは大して辛いことではなかった。
「‥‥この教訓は、他の戦場でバグアにも活きる。それを忘れるな」
 最後に残っていたタロスのパイロット――先程会話していた者だ――は、最後にそう言い残し、自爆した。

 タロスが墜ちたのを確認したのか、残っていた数機のHWが逃げるように飛び去っていく。
 追いすがるには数も余力も足りなかったが、元々残されていたHWはいずれも小型のものばかりだ。戦闘力的な意味でも、墜としたところでメリットはあまりない。
 結局、傭兵たちはその場で空戦を終了することを選択し――。
「――さて、出番かね」
 UNKNOWN(ga4276)が駆っていた西王母が地上に降り立つ。
 そして――中で待機していた傭兵たちが、ワルグラの街に向かって疾走を始めた。

●誰かの安全の為に
「現地の兵と合流したい。名前と、外見的特徴を教えて下さい」
 空での戦闘が開始されるよりも前、夜十字・信人(ga8235)は作戦に同行した欧州軍の士官にそう尋ねていた。
 地上に残ったバグアが作戦の狙いに気付けば、避難誘導を行っている兵士が狙われる可能性は極めて高い。その護衛を買って出ようとしたのだが――士官から渡された名簿の中に思わぬ名前を見つけ、目を瞠った。
「‥‥アスナ、まさか最前線に出ていたとは。
 この子の担当場所はどこですか?」
 珍しく慌てた様子を見せ、信人は問うた。

 そうして――信人と紫藤 文(ga9763)、抹竹(gb1405)は今、アスナがいると教えられた通りへ向かっている。
 進行方向の都合上、北側の敵拠点を突っ切ってこなければならかった。その拠点にはそれほど強化人間は残っていなかったが、排斥すべき存在である信人たちを見逃すわけもない。
 仕方なく最低限に牽制や攻撃を行いながら来たものの、その分の消耗と、何より時間のロスが今は惜しい。
 事実、大通りに入り――ナイフを構えたまま悠然とした足取りで通りを横切り、脇道にいるであろう何かを追い詰めようとしている敵の姿を見かけた時には、信人の背筋には冷たいものが走ったものだ。
 だから、速攻で敵を伸し――。
「もう大丈夫だ」
「‥‥信人、さん?」
 脇道から顔を覗かせたアスナの驚いた顔を見た時の安心ようは、言葉に出来るものではなかった。
 その様子を横で見ていた文は、名古屋で行方不明になった元恋人の存在を思い出し――。
「‥‥感慨に耽っている暇もないみたいですね」背後に視線を向けていた抹竹の声で我に返る。
「ここは任せて先に行けって」
「まあ、守って差し上げねば男がすたるってものでしょう」
 アスナの任務とて、まだ終わったわけではない。そう文と抹竹が告げると、
「分かった――あっちは任せるから、こっちは任せろ」
 信人が肯きを返す。それを見て、二人は踵を返した。
「さて――」その背を見送った後、信人は微笑みながらアスナの頭に手を置く。
「久しぶりの逢瀬が戦場とは、実に俺たちらしいか」
「‥‥そうね」アスナも苦笑を返す。
 仲間――それも、個人的な感情で以て最も信頼出来る人と合流し、漸く少し精神的に余裕が出てきたようだった。

 その頃、街の北側、バグアの拠点――。
「鬼の居ぬ間になんとやら‥‥ってところか。
 スリル満点のデートになっちまったな」
 宗太郎=シルエイト(ga4261)は隣に立つ月森 花(ga0053)に向かってそんなことを言う。
「――さぁて、楽しんでこうぜ、花」
 こくり。小さく肯く気配がした。
 次いで、
「今日は男の子だから‥‥そのつもりで。気をつけて」
「分かってる」
 花の注意に宗太郎は肯きを返す。
 花が言う『男の子』というのは、彼女がしている変装のことだ。武器を隠す為にぼろ布を外套のように纏い、長い髪や顔を隠すためにマフラーで首元から顔の下部分にかけ覆っていた。
 その姿を上から下まで改めて見、宗太郎はポツリと一言。
「‥‥違和感、あんまりないなぁ‥‥」
 それを聞いた花がちらりと宗太郎を一瞥する。

 彼女は――宗太郎もだが――覚醒中である為彼女の表情からは一切の表情が消え去っていたが、それでも睨まれたような気がした。
 微妙な沈黙の間にどのような部分で以てそう思ったのか、ということを見透かされたような気がして、宗太郎は表面上何食わぬ顔で目を逸らした。

 二人の狙いは、この街に巣食うバグアの規模を調べることだった。
 軍事力の規模や拠点の構造、人員配置や有事への対応状況――そういった情報はここだけでなく、今後別の街を攻略する際にも参考になり得る。
 といっても有事への対応に関しては、現状(この街に関して言えば)出来ているというには程遠い状態なのは、西王母の中で見守っていた空戦を見ているだけでも大体理解できた。
 現に今も――二人が警戒しながら調査を進めているのも勿論あるが――拠点も調べたい放題になっている。セキュリティがなっていないのか、人手があまり多くないのかは分からないが。
 ――ワームが比較的多いこと以外、この街には目を引くような軍事の特徴はないようだった。
 武器庫らしきものも見つけたが、中にあったのはUPCのショップでも見たことのあるようなバルカンやガトリング砲が殆ど。どうやら鹵獲・撃墜したKVや戦闘機から使いまわしているようだった。
 そんな単純な軍事とは裏腹に、拠点は迷路のように複雑な構造になっていた。強化人間がこの構造を把握しているとするなら、それだけ滞在が長いということなのだろう。
 その意味では、花と宗太郎は敵に比べて不利な状況ではあった。
「いたぞ、傭兵だ!」
 監視カメラでも設置されていたか、二人の存在は事前に把握されていたらしい。往く通路の先に突如として現れた強化人間が慌てることなく叫んだ。
 花と宗太郎は、どちらからともなく、小さく舌打ち。
「――撤退だね」
「あぁ」
 そして踵を返し始めると、当然のように強化人間が仲間を二人ほど引き連れて追ってきた。
 大通りに抜ける最短ルートは事前に把握しながら進んでいた。速攻で大通りへ抜け振り返ると、尚も一人が追いすがってきているのが見えた。
「――向こう側からも来てます!」
 不意に警戒を促す叫び声が二人の耳に届いた。大通り沿いの建物の屋根に上っていた五十嵐 八九十(gb7911)が、花たちが往く大通りにいる強化人間の存在に気付いたのだ。
 花と宗太郎は一度視線を交わし肯き合うと、速度を緩めずに脇道へ入った。
 拠点から追いかけ続けていた強化人間が同じ脇道に入ったとき、至近と言ってもいい距離のところに花が銃を構えて立ちはだかっていた。
 その手に握られたアラスカ454から銃声を消した貫通弾が放たれ――強化人間が蹈鞴を踏んだその瞬間には花は既に強化人間の懐へ入り込んでいた。
 強化人間は防刃装備でもしていたのか、そのまま暗殺を試みた花の仕込み刀は硬い感触に弾かれたが――次の瞬間、路地の狭さを利用して両手足を壁に伸ばし高いところへ移動していた宗太郎が、着地ついでに貫手で強化人間の首を叩いた。
「一人‥‥」
「いや、もう一人いるだろ」
 強化人間が気を失ったことを確認し二人は落ち着きかけたが、そんな暇はないことにすぐに気付く。
 実際、次の瞬間には背後の大通りで銃声が轟いた。

「やっぱり叫んだのは拙かったですかね‥‥」
 遠方から放たれた銃弾をかわしながら、八九十は地面に着地する。
 先ほど花たちを追っていた強化人間が現れる様子はない。
 ということは、相手は今自分を狙ってきた輩一人――。
 接近がてら立て続けに数発銃弾を放ってくる強化人間。八九十はそれらを一発だけまともに食らう程度にして何とかやり過ごすことに成功すると、今度は瞬天速と真燕貫突を使用して一気に接近した。
「一発目でこじ開けりゃ二発目で酔い潰すッ!」
 爪を装着した拳の一撃を鳩尾に浴びせると、強化人間の腹のガードががら空きになった。八九十はそこに追撃――ではなく、背中が丸まり丸見えになった後頭部にもう一発、今度はエルボーを叩き込む。
 衝撃音を立てながら強化人間は地面に『落下』――が、すぐに頭を抑えて立ち上がりかける。
 が、それも途中まで。大通りに戻ってきた花がアラスカ454で強化人間の肩を撃ち抜き――今度こそ、とばかりに八九十は再び拳を振るった。

 また別の大通りには、秋月 祐介(ga6378)と片山 琢磨(gc5322)が居た。祐介は住民の避難誘導の、琢磨はその護衛の為である。
 事前に自らの行動予定の情報は「救援・ルート4・突入」という簡略化した形で誘導部隊に送信してある。具体的に言うと、相手はアスナである。
ルート4というのは軍が今作戦中で用いている方角符号で、西北西から進んでいくというものだ。
 祐介はアラビア語、フランス語ともに理解が出来ていた。その為避難誘導も、ボディランゲージに頼ることなく行うことが出来たのだが――、
「‥‥むう、この人もですか」
 語りかけても何の反応もない男性を見、祐介は頭を振る。背後にいる琢磨の背には、別の男性の姿があった。
 衰弱の為か、耳が遠くなってしまっている(或いは聞こえなくなってしまっている)人々が、誘導を始めた当初から散見できた。琢磨の背中にいる男性もそんな一人だった。
 誘導部隊は大分南の方から救助を始めているというから、直接連れて行っても行動に支障は出ないだろうが――まだ拠点からそれほど離れていない祐介たちはそうもいかなかった。
 もう少し人手が居れば、とも考えるところだが、いないものは仕様がない。再びこの場所に来るまで男性が無事であることを祈りつつ、再び歩き出す祐介たち――。
 と、琢磨がすぐに足を止めた。それから背中を祐介に見せ、そこに背負う男性を軽く持ち上げる。
 彼の行動の意味を祐介も察す。
「‥‥きますか。やれやれ、戦闘は苦手なんで、御願いしますよ」
 祐介は一旦彼の背から男性を下ろし、今度は自らの背に背負った。
「序に味方を呼んできておいてくれ」
「当然」言って、祐介はその場を離れる。
 といっても、最初から男性を安全なところまで連れて行ったらすぐに戻ってくるつもりだった。予定通りの行動を果たした後、無線で他の傭兵たちに救援要請を送った。

 強化人間の姿を見止めると、琢磨のすぐ近くで佇んでいた男性が恐れ戦慄くような仕草を見せた。
「先輩からの頼みだ、あんたを助けるように言われた」
 聞こえてはいないだろうが、琢磨はあえてそう告げ――来る敵に対し、構えた。
 強化人間はノーモーションで投げナイフを二本放った。琢磨は一本を目の前で指二本で挟みこみ、もう一本は頬先を掠めただけで済ませる。
 だがその間に強化人間は姿勢を低くして接近してきている。ナイフを放り捨てた琢磨は追撃の拳をかわすと、その後も防戦に入った。
 暫くして――不意に銃声が響き、強化人間の体が揺らいだ。
「間に合いましたか」
「拠点に帰ってくれればお互い幸せなんじゃね?」
 すぐ近くの脇道から、抹竹と文が飛び出してきていた。銃を撃ったのは文だ。
 次いで、祐介も戻ってくる。
「確かに苦手とは言いましたが、できないと言った覚えは無いですよ」
 ――これで四対一。流石に不利を察したか、強化人間は踵を返して拠点に逃亡した。
「いやはや、助かりましたよ」
「でも油断は出来ませんね。多分、こっちよりは奴さんの方が数は多い」
 祐介の言葉に対し、文はそう答えた。

 実際、強化人間が傭兵に数で追い込まれたのはここだけだった。
「これはちょっと‥‥拙いですね」
 別の大通りでは金城 エンタ(ga4154)が複数の強化人間に追われている。周囲の人々を観察して学習した友好的な態度を基に誘導を試みていたところ、一気に二人の強化人間に目をつけられたのだ。
 此方も救援要請は送っているが――それでも、数の不利には歯噛みせざるを得ない。
 しかしどうして、一気に複数に見つかった――?
 暫くして花や宗太郎の援護を得、漸く窮地から脱したエンタはそこに疑念を抱いた。

 ――その頃、その原因をクライブ=ハーグマン(ga8022)が人知れず排除していたことは、本人以外誰も気付いてはいない。

 やはり避難誘導に動いていたリリナ(gc2236)は、脇道で蹲っている男性に気が付いた。
「大丈夫ですか‥‥?」
 衰弱しているのだろうか――。
 それまでそういった類の現地民に飲み物を持って近づいた彼女は、男性がただ蹲っているわけではないことに気が付いた。
「‥‥‥‥」
 小声で、何かを喋っている――?
 しかもその内容が不穏なものであることを、リリナは男性が持っていた無線機と、背後の大通りを通り過ぎるいくつもの殺気で察した。
 ――まさか。
 殺気が少しだけ遠ざかった後に大通りへ飛び出したリリナは、すぐに無線機を取り出した。
「皆さん、すぐに南へ――避難先に行って下さいっ!」

 結果としてその通告が、現地民を救うことになった。
 真っ先に辿りついたアスナを含めた誘導部隊、それと信人が警戒していたところに、同数の強化人間が一斉に現れたのだ。
 能力者であるのはアスナと信人を含め四人。まして、人々を護らなければならない。
 若干不利を強いられかけていたところに、UNKNOWNがまず最初に強化人間の背後から援軍として到着し――それから次々と、街に散っていた傭兵たちが到着したのである。


 やがて、三機のガリーニンが都市の南側に降り立つ。
「なんとかなった、か?」
 探査の目などの手段を用い、避難させた現地民に敵側の人間が紛れていないかというチェックを終えたUNKNOWNが呟く。その間にも、現地民はガリーニンに乗り込んでいく。
 三機がかりでも乗せきることが出来ず、UNKNOWNの西王母にも十数名の住民が乗り込んだ。
 なおも警戒を続ける傭兵たちに護られる形で、現地民たちはガリーニンに搭乗――チュニジアの要塞へと送られた。

 ■

 地上に回った傭兵たちは各々が成すべきと思った行動に従事し、それらは一定の成果を挙げてはいたが――。
 一方で、バグア戦力の排除、という本来成すべき目的の一つは進んでいたとは言い難い。地上に残っていた強化人間も、立派なその戦力である。それの排除を優先とする者が、あまりにも少なすぎた。
 最後に襲い掛かってきた者以外にも、八九十やクライブ、エンタは数名の強化人間を目にしていた。それに拠点に侵入していた花や宗太郎が振り切ってきた強化人間の存在もある。つまりまだ、少なくない強化人間がこの街には残っている。
 ワーム部隊は壊滅といえる状態になっているし、少なくとも作戦前よりは解放に近づいたと言える。
 が、結果としてワルグラという都市は完全にバグアの手から解放されたとは言えない状況で戦闘は終結することとなった。