タイトル:【SV】夏の終わりにマスター:対馬正治

シナリオ形態: ショート
難易度: やや易
参加人数: 8 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2008/09/02 21:19

●オープニング本文


『Vacation』
 南半球だったら冬真っ盛りのこの時期であるが、大平洋上を運行する人工島ラスト・ホープには四季らしい四季がない。地球の人の住める陸地の大半が北半球に存在する為か、この時期に相応しい長期休暇と言うと夏休みと言う言葉かも知れない。

 夏休みと言う言葉に連想されるイメージは様々である。

 そんな夏の1日。
 あなたは何を体験するのだろう。


 街から離れたとある山奥の村の、さらにその外れに小さな喫茶店があった。
 店の名前は「フォセット」。フレッドとエフィーという若い夫婦が経営している。
 古びた木造の一軒家だが、その壁はペンキで綺麗に塗り直され、赤い屋上に黄色い風見鶏が回る光景は、まるで絵本の1ページでも見るかのようだ。

「もう、すっかり夏なのね‥‥」
 店の庭に水を撒きながら、エプロン姿のエフィーが照りつけるような太陽を眩しげに見上げた。
 抜けるような青空。山麓の彼方から湧き上がる入道雲。
 裏山から喧しく響いてくる蝉の鳴き声。
 こうしていると、いまこの世界が異星人との戦争で滅亡の危機に瀕していることさえ、何か夢のように思えてくる。
 もっとも山沿いのこの地方で、絵に描いたような真夏の晴天はそう長く続かない。
 地元で暮らす者の経験上、あと2週間もすれば天候が崩れ、夏の終わりを告げる長雨が降り出すことはエフィーも承知している。
 ふと彼女はまだ冬の季節、村の山道にキメラが出現した出来事を思い出した。その中をわざわざ店で使うためのコーヒー豆を運んでくれ、結果的に幼なじみのフレッドとの縁結びともなった、あのラストホープの能力者たちのことも。
(「そういえば、あの傭兵さんたちも元気にしてるかしら? あれから、まだ何のお礼もできてなかったけど‥‥」)
 あの事件をきっかけに村の側に小さなヘリポートが建設され、現在では高速移動艇により安全な往来が可能になっている。
 水撒きの手を止めたエフィーは、何かいい事を思いついたようにニッコリ笑い、夫のフレッドに相談するため店の中へと引き返した。

 数日後、L・H島内のUPC本部に「フォセット」より1通の招待状が届けられた。

『残暑お見舞い申し上げます。
 能力者の皆様、その後お元気でいらっしゃいますでしょうか?
 以前にお世話になったお礼を兼ねて、ささやかながら皆様をホームパーティーにご招待したいと思います。何もない田舎ですが、精一杯おもてなし致しますので、ぜひお誘い合わせの上ご参加ください』

●参加者一覧

リディス(ga0022
28歳・♀・PN
白鐘剣一郎(ga0184
24歳・♂・AA
煉条トヲイ(ga0236
21歳・♂・AA
御坂 美緒(ga0466
17歳・♀・ER
クラリッサ・メディスン(ga0853
27歳・♀・ER
蓮沼千影(ga4090
28歳・♂・FT
UNKNOWN(ga4276
35歳・♂・ER
勇姫 凛(ga5063
18歳・♂・BM

●リプレイ本文

●山村の朝
 その日の朝、一番に「フォセット」を訪れたのは、咥え煙草を燻らせ物憂げな雰囲気を漂わせた1人の男だった。
 残暑にもかかわらず漆黒のフロックコートを涼しげに着こなし、帽子から革靴に至るまで全て黒一色のダンディな出で立ち。
「申し訳ありません。本日は、貸し切りの予定で‥‥」
 店の庭で掃除をしていた主のフレッドが頭を下げて詫びると、
「友人達を待っていて、ね」
 UNKNOWN(ga4276)は自身もULT所属の傭兵である身分証をちらっと見せ、低く穏やかな声で告げた。

「いらっしゃいませ。お客様も、L・Hの能力者さんですか?」
 店内から現れたエフィーが、屈託のない笑顔で挨拶する。
「――珈琲を一杯、頂けるかね?」
 柔らかい微笑み。だが男の瞳には、どことなく寂寥にも似た気配があった。
「皆さんがいらっしゃるのはお昼頃の予定ですけど‥‥店内でお待ちになりますか?」
「いや。テラスで待たせてもらおう」
 風通しの良い木陰の席を選んで座り、すらりと長い足を組むUNKNOWN。
 間もなくエフィーが珈琲を運んでくると、カップ片手にラテン語の医学書を静かに読み始めた。

●正午少し前
 L・Hから出発した高速移動艇の定期便は、間もなく「フォセット」のある村のヘリポートに到着しようとしていた。
「あーっ、見えてきた、見えてきた☆ 懐かしいなぁ〜!」
 傭兵として初依頼に参加した山村の光景を移動艇の窓から見下ろし、ヒマリア・ジュピトル(gz0029)が声を弾ませる。
「こうして見ると結構懐かしい感じもするな。ヒマリアももう駆け出しではなくなっているし、時間が経つのは早い」
 つい半年ほど前、同じ依頼に参加した白鐘剣一郎(ga0184)も感慨深げに呟く。
「フレッドさんとエフィーさんからのご招待ですから、これは行かなくては失礼に当たりますわね。わたしもその後お二人がどう過ごされているか、近況を伺いたいと思っていた所でしたし、良い機会ですわね」
「フレッドさんとエフィーさん、お元気でしょうか? 二人の仲がどう進展しているかも気になるですよ♪」
 クラリッサ・メディスン(ga0853)と御坂 美緒(ga0466)が楽しげに語り合う。
 例の依頼じたいは平凡なキメラ討伐だったが、結果的に若い2人の縁結びになった事で、彼女達にとってもそれなりに思い出深い一件である。
 あれからおよそ半年、傭兵達にとっても色々な事があった。
 たとえば蓮沼千影(ga4090)のごとく、婚約者や恋人が出来た者も何名かいる。
「ヒマリアちゃん、元気かっ?」
 千影は久々に依頼を共にする後輩傭兵の少女に声をかけた。子供っぽいのは相変わらずだが、それでも以前に比べるとしっかりした印象になった――と、思わず頬を緩める。
 また当時の依頼には関与していないものの、静かな山村での休暇で夏の疲れをのんびり癒そう、という出席者もいる。
「気が付けば、夏も残り僅か‥‥か。戦場ばかり渡り歩いていたら、季節感もへったくれも無くなっていたな‥‥」
 しみじみというのは煉条トヲイ(ga0236)。
(「我ながら余裕が無いと言うか、荒んでいると言うか‥‥丁度良い機会かも知れない。ここで一旦小休止――遅い夏休みを取らせて貰うとしよう」)
「山奥にある喫茶店、というのも雰囲気があっていいものですね‥‥疲れを癒すにはもってこいでしょうか」
 リディス(ga0022)もまた、穏やかに微笑んだ。彼女にとっては初めて訪れる土地だが、眼下に広がる緑の山並みを見渡すだけでも、日々激しさを増すバグアとの戦いを束の間忘れられそうな気がする。
 さらにくたびれてるのは勇姫 凛(ga5063)。傭兵と現役アイドルを兼業する彼はこの夏、日本の某社が制作した怪獣映画に主演したのだが、それが予想以上のヒットを飛ばしたためTV関係の仕事もどっと増え、傭兵として依頼を受ける暇もないほどの多忙さであった。
 移動艇に乗り込んでから日頃の疲れがどっときたのか、座席にもたれたまま泥のように眠りこけていた。

 小さなヘリポートに着陸後、晩夏を告げるかのようなツクツクホウシの鳴き声を聞きつつ、村の細道を歩くこと20分ほど。
「フォセット」のテラスに座っていたUNKNOWNが、少し驚く仲間達に軽くカップ挙げ、片目を瞑った。
「先に楽しませてもらっているよ」
 続いて店先から姿を見せた若い夫婦が、嬉しそうに駆け寄り傭兵達を出迎えた。
「お招きに預かり光栄だ。2人とも元気そうで何より」
「フレッド、エフィー。元気そうで何よりだ。コーヒー、また飲みに来たぜ!」
 2人とは先のキメラ討伐以来の再会となる剣一郎が微笑し、千影はにっこにこの笑顔でフレッドの肩を叩く。
「今回はご招待して頂きありがとうございます。又、エフィーさんが入れて下さったコーヒーが頂けるだけで来た甲斐があったと思いますわ」
 クラリッサも、久々に会うエフィー達に挨拶した。
「今日はお招きいただき本当に有難うございます。日ごろ溜まった疲れをここで取らせてもらいますね」
「初めまして、凛は勇姫凛‥‥楽しそうだったから、みんなについて来ちゃったんだけど、凛も混ぜて貰って大丈夫かな?」
 初対面となるリディスや凜達も、口々に挨拶と礼を述べた。
「とんでもありません。こうしてお店が無事なのも、みんな能力者さん達のおかげですから。何にもない所ですけど、今日はぜひ楽しんでいってくださいね」
 無邪気な笑顔で応じるエフィー。彼女自身も、村の外から来た大勢の客を迎えることで、すっかりはしゃいでいるようだ。
 剣一郎と凜は、手土産として支給品のキリマンジャロ・コーヒーの豆を手渡した。
「まあ‥‥すみません」
「官給品だが、どうせならばより上手く淹れられる人に飲んで貰いたいと思ってな。客に出すには少ないが、二人で飲むには十分だろう」
「凛の部屋にあっても、入れてる暇無いし‥‥」
「せっかく久しぶりに来るのだから、何かお土産を‥‥と思ったんだが、なかなか気の利いたものが浮かばなくてよ。よかったら料理にでも使ってくれな」
 と千影が差し出したのは日本酒だった。
「おっ。これが日本のサケですか?」
「ダメよフレッド? これはお料理に使うんだからっ」
 珈琲豆より日本酒に興味を示すフレッドに、エフィーがチクリと釘を刺す。どうやら年下とはいえすっかり主導権を握っているようだ。
「俺に手伝える事があったら、何でも言ってくれ」
「え? そんな、お客様に手伝わせるなんて――」
 トヲイの申し出に遠慮するエフィーをクラリッサが説得し、結局「みんなで一緒にやろう」という事になった。

 食材の買い出しや料理の下ごしらえ等は一通り店側で用意してあるので、残る準備といえばBBQのコンロを組み立てたり食器を並べたり、というくらいだった。
「お幸せそうで安心しましたわ。依頼に関わった人たちのその後って、けっこう気にはなっていますけど、なかなか知る機会ってありませんものね」
 テラスに運び出した長テーブルに真っ白なクロスをかけ、お皿を並べるエフィーに、クラリッサが話しかけた。
「だから、こうして目の前で幸せそうなお二人を見ることが出来て、自分がしてきたことが人の為になっていると思えることはわたしにとってすごく励みになるんです。どうぞ、いついつまでも仲の良いお二人で居て下さいね」
「ありがとうございます。私にできるのは、ただ珈琲を淹れることくらいですけど‥‥それで少しでもお客様の嬉しそうな顔が見られるのなら、それが私の‥‥いえ、私達の幸せです」
 フレッドの方をちらっと見やり、彼女は赤くなってエプロンで顔を覆った。

 協力してコンロの炭火をおこしながら、剣一郎はフレッドに結婚依頼の経緯をざっと聞いてみた。
「喫茶店のマスターってのも悪かないよ。それに、ここは生まれ育った土地だしな」
「そうか。ともあれ大きなトラブルも無く、という事ならそれが一番だ。それにしてもヘリポートまで出来るとは思わなかったが」
「おかげで病人が出てもすぐ医者が呼べるし、便利になったよ」
 快活に笑いながら、テーブルの上に大きなステーキ肉の塊を運ぶフレッド。
「食事の準備か? ならば俺も手伝わせてくれ」
 剣一郎は店から借りたエプロンを身につけ、腕まくりして包丁を取り上げた。
 2人が切り出した牛肉や、大皿に盛られた夏野菜が次々とコンロの金網に乗せられ、たちまち辺りに食欲をそそる匂いが立ちこめる。
 とりあえず全員がアイスコーヒーで乾杯し、ささやかな宴が始まった。
「――共に楽しもう。この一時を」
 UNKNOWNもグラスを差し上げて微笑むが、時折その目はどこか遠くを見るかのごとく、寂しげに細められた。
「俺も、婚約者ができて、さ。二人のように幸せな夫婦になれれば、って思うぜ」
 料理を頬張りつつ、千影がエフィーらと談笑する。
 この所忙しすぎてまともな食事も摂ってなかった凜は、ほどよく焼けた肉の香りに思わずお腹が鳴った。
「りっ、凛、別に食い意地はってるとか、そういうんじゃないんだからなっ」
 赤面しつつも料理を堪能し、エフィーとフレッドの馴れ初めを聞いてちょっとほのかな憧れを覚えたりする。
(「いいなぁ‥‥凛も、いつか‥‥」)
 そんな彼の瞼の裏に浮かぶのは‥‥さて、誰の面影であろうか?
「自然の中で食欲も倍増だ。とにかく、食べて食べて食べまくる‥‥!」
 自らの宣言通り、食い気No.1を発揮したのはトヲイだった。
「‥‥あ、食事代は負担させて貰うから」
「いいえ、ご遠慮なく。肉は知り合いの牧場からの貰い物だし、野菜はうちの菜園で採れた自家製ですからね」
 新たな肉を次々金網に乗せつつ、フレッドが笑った。

「お肉は成長に良いと聞いたです。これはチャンスですよヒマリアさん♪」
「う”‥‥うまくピンポイントで成長してくれれば、いいんですけどぉ〜」
 帰った後の体重計の針を心配しつつも、食欲には勝てない美緒とヒマリア。
 ついでに村の牧場で今朝絞りたてという牛乳を、二人してジョッキで一気飲み。
「これも効果が期待出来るですよ♪」
 飲み終えたあと、早速恒例のふにふにマッサージを開始。
「むむ‥‥やっぱりそうです! ヒマリアさん、以前ここへ来た時よりも成長してるですね♪」
 ふにふにふに。
「ワーイ☆ ホントですか!?」
 ‥‥本当なのか?
 もはや恒例行事に近いので他の傭兵達は顔色1つ変えずパーティーを続けるが、初めて見るエフィーとフレッドは目を丸くしてその光景を見守っていた。

●晩夏〜穏やかな午後
 やがて料理をほぼ平らげた後、一同はデザートの手作りヨーグルト、そして肉料理の口直しに合う酸味の強い珈琲を飲みつつ歓談した。
「お二人がとても幸せそうで、こちらも嬉しくなります」
 パーティー終了後、後片付けを手伝いながらリディスがいった。
「‥‥夫を亡くした悲しみから戦いに身を投じましたが、少しでも誰かの幸せを守れているのだと思えるのなら救われます。あんな悲しみは、他の誰にもいらないから」
「まあ‥‥」
 それを聞いたエフィーは表情を曇らせた。
 彼女自身、かつてキメラ災害により両親を喪っている。フレッドと結婚するまで、彼女はたった1人で「フォセット」を守っていたのだ。
「また戦いが一段落したら、このお店でコーヒーでも飲みたいですね‥‥その時はまた来てもいいでしょうか?」
「ええ。喜んで!」
 再び、少女は輝くような笑顔に戻った。

 午後のお茶を終えた後、傭兵達の過ごし方は様々であった。
 剣一郎はぶらりと近隣を散歩。
「こうした場所が残っているというのは貴重な事か‥‥大切にしなければな」
 次の機会があれば、ナタリアも連れてきたい――そんな事を思いつつ、持参の使い捨てカメラで目に付いた風景を撮影していく。
 美緒とヒマリアは水着に着替え、凜と共に近所の小川できゃっきゃと水遊び。
 ズボンの裾をまくった千影も加わり、
「魚とかはいるんかなっ? こうやって山遊びするのは久し振り!」
 と一緒にはしゃぐ。
 そんな光景を微笑ましく見守りつつ、リディスは冷たい川水に裸足だけ浸していた。
「これが気持ちいいんですよね‥‥」
 奇襲攻撃で水をかけてきた美緒達に対しては、遠慮無くお返しを浴びせる。
 その傍らでは、釣り竿を手にしたトヲイがのんびり糸を垂らしていた。
「蝉の鳴き声、小川のせせらぎ――こうしていると、とても落ち着く‥‥」
 静かな山村で夏の終わりを感じつつ、能力者達は各々の胸の裡で改めて「平和」の2文字を噛みしめていた。

 夕刻。再び「フォセット」に戻った一同は、移動艇の最終便が出るまでの時間をエフィーらと共に花火大会で過ごした。
 蝋燭の炎から手持ち花火に点火すると、シューッと音を挙げ色鮮やかな火花が降り注ぐ。
 定番の鼠花火やヘビ花火。少し派手な所で、落下傘付きの打ち上げ花火に点火すると、美緒やヒマリア達はキャアキャア笑いながらフワフワ落ちてくる落下傘を追った。
「ほんの一瞬、眩く輝いて‥‥消える。花火はまるで、夏そのものだな‥‥」
 ふと呟いたトヲイの言葉に何かを感じ取ったのか、凜は満天の星空を見上げ、皆に聞かせるようにバラードを口ずさんだ。
 楽しい時間ほど過ぎるのは早い。
 最後はしんみりと線香花火で締め括った後、一行は帰り際に集合して記念写真を撮ろうと話し合った。
 自ら撮影役を申し出たUNKNOWNが、使い捨てカメラを構える。
「‥‥私かね? 私はいい。ただの旅人だから、な」

「また、機会があったら、エフィーさんのコーヒーを頂きに参りますわね。それまでお二人ともお幸せに」
「良い気分転換になったよ、ありがとう。これでまた明日から頑張る事が出来る」
 クラリッサと剣一郎が口々に礼を述べ、若夫婦と握手を交わした。
「また、何時かは分かりませんが必ずここに。次来る時は平和の中で‥‥」
 記念写真は何処に飾ろうか――そんな事を思うリディス。
「二人とも、どうか元気で、な。また遊びに来るからよっ。なんかやる時は誘ってくれな♪」
 にこっ、と笑って千影がいう。
「皆さんも、お元気で‥‥必ず、また来て下さいね?」
 別れが名残惜しいのか、子供のように目に涙を溜めたエフィーが、お土産として絞りたて牛乳を硝子瓶に詰めて傭兵達に配る。
 一行がヘリポートに向けて歩き出した時、ふと思い出したように立ち止まったUNKNOWNが手品のごとく一輪の花を取り出し、エフィーに贈った。
「長く、この平和と平穏の日々が君達の元にある事を私は祈ろう‥‥それこそが本当に素晴らしい事なのだから、な。そして、その生き方こそが人として最も強い‥‥能力者よりもよっぽど、ね」
 帰路、トヲイは最後に店の庭で楽しんだ花火の光景を思い返した。
(「まるで命の輝き‥‥俺は何処まで輝く事が出来るだろうか?」)
 ‥‥と。

<了>