タイトル:【MTP】花冠の乙女2マスター:とりる

シナリオ形態: ショート
難易度: 普通
参加人数: 10 人
サポート人数: 0 人
リプレイ完成日時:
2011/12/02 07:02

●オープニング本文


 九州某所。乙女隊駐屯基地。ブリーフィングルーム――。
 乙女隊総員16名と、その上官である高ノ宮・茜中佐、片瀬・歩美少佐が集まっていた。
「九州バグア軍残党の掃討任務、ご苦労」
「はっ! ありがとうございます!」
 高ノ宮中佐の労いの言葉に、乙女隊の隊長である早乙女・美咲少尉が敬礼。
 その声と同時に他の隊員達も一斉に敬礼した。
 ‥‥乙女隊の、ここ1ヶ月ほどの任務は九州バグア軍残党の掃討任務。
 その内容は九州各地に散らばる虫型対KVキメラの排除が主だった。
「なかなか減りませんね‥‥対KVキメラ」
 ふう、と息を吐く美咲。
 正直もう見飽きるほど倒した。油断のならない敵なので気は抜けないが。
「うむ‥‥やはり未だ、キメラプラントが残っていることが大きいのだろう。
 他の部隊がキメラプラントの破壊に当たっているが‥‥どうも苦戦しているらしい」
「上位のプラントとなると、規模も違うでしょうからね‥‥」
 自分達が歩兵時代に潰したプラントはまだまだ小規模なほうだ。
 と、美咲は考える。
「ともあれ、残るプラントは少ないと聞いている。
 諸君らはこれまで通り、残党の排除に当たって欲しい。
 統率の取れていない、無秩序に暴れまわる対KVキメラは大変危険だからな」
「了解です!」
 高ノ宮中佐の言葉に、美咲は表情を引き締め、びしっと敬礼した。他の隊員達も倣う。

 ***

「さて、話は変わるが――」
 こほんと咳ばらいをしたのち、高ノ宮中佐が言った。
 先程までのぴりぴりとした空気は消えている‥‥。
「何でありますか?」
 首を傾げる美咲。
「お前達にまた依頼を持ってきた」
「え‥‥?」
 きょとんとする乙女隊一同。
「あなた達にはまた、モルディブへ飛んでもらうわ。私も一緒にね」
 今度は片瀬少佐が片目を瞑んで言う。
「えーーー!?」
「ふふ‥‥」
 予想通り驚いた様子の乙女隊の面々に、高ノ宮中佐は小さく笑みを浮かべた。
「諸君らへのご褒美はまだ終わっていないということだ」
「で、でも‥‥宇宙や北米が大変な時に‥‥遊んでばかりでは‥‥」
 もちろん、与えられた任務はきちんとこなしているが‥‥。
「なに、気にする必要はない。諸君らの九州解放への貢献は、それほど大きいということだ。
 無論遊びだけではないがな。依頼内容はメガコーポ3社の、調査チームの護衛。
 今回は海中調査だそうだ。今回も傭兵との合同になる」
「その後は、またビーチでのバカンスになるわね」
 片瀬少佐がにこりと微笑む。
「というわけで、準備に取り掛かれ。以上だ。楽しんでくると良い」
「りょ、了解しました!」
 戸惑いがちに敬礼する美咲。
 こうなったら徹底的に遊んでやる‥‥!
 と、美咲は変な方向に気合を入れるのだった。

==========

【乙女隊メンバー】
<α−01部隊(乙女中隊)>
●早乙女・美咲

●九条・冴
エキスパート
19歳

●神楽坂・有栖
ファイター
18歳

●犬飼・歴
ビーストマン(犬)
18歳

●舞浜・ちずる
サイエンティスト
17歳

●坂城・慧子
グラップラー
18歳

●三門・香苗
スナイパー
15歳
双子の姉

●三門・早苗
ダークファイター
15歳
双子の妹

●森ノ宮・柚葉
(森ノ宮姉妹は全員フェンサー)
19歳
長女

●森ノ宮・瑞葉
18歳
次女

●森ノ宮・紅葉
17歳
三女

●森ノ宮・双葉
16歳
四女

<α−02部隊(乙女小隊)>
●横山・利瀬
キャバルリー
(乙女小隊は全員15歳)

●岩崎・智里
ファイター

●工藤・麗美
ヘヴィガンナー

●山口・麻奈
スナイパー

<上官>
●片瀬・歩美
エースアサルト
29歳

●参加者一覧

ノエル・アレノア(ga0237
15歳・♂・PN
時任 絃也(ga0983
27歳・♂・FC
百瀬 香澄(ga4089
20歳・♀・PN
風間・夕姫(ga8525
25歳・♀・DF
瑞姫・イェーガー(ga9347
23歳・♀・AA
米本 剛(gb0843
29歳・♂・GD
イスル・イェーガー(gb0925
21歳・♂・JG
夏目 リョウ(gb2267
16歳・♂・HD
ティリア=シルフィード(gb4903
17歳・♀・PN
エレシア・ハートネス(gc3040
14歳・♀・GD

●リプレイ本文

●島々の花輪へ その2
 前回と同様、目的地のモルディブへ向かう前に、乙女隊駐屯基地へやって来て、
 乙女隊のメンバー16名+片瀬・歩美少佐と合流した10名の傭兵達――。

 現在は輸送機の出発時刻まで、基地の食堂でくつろぎ中。
「今回またも来てしまいました‥‥乙女隊の皆さん、宜しくお願いします」
 乙女隊の面々に挨拶してゆく浅黄色の髪の少年、ノエル・アレノア(ga0237)。
 少女のような愛らしい顔つきながらも元気いっぱいで、かつ、
 どこか力強さ‥‥頼もしさを感じる。
 それはこれまで潜り抜けてきた激戦の数々の経験が彼の中に宿っているためだろう。
 ノエルは傭兵としても歴戦のつわものと言えた。
 ‥‥彼のすぐ傍で一緒に乙女隊の皆へ挨拶している、
 ちょっぴりボーイッシュな雰囲気の空色のショートヘアの少女の名は‥‥
 ティリア=シルフィード(gb4903)。ノエルとは相思相愛、恋人同士の関係。
 ノエルとティリアの様子を見て片瀬少佐は「相変わらず仲が良いわねぇ」と微笑む。
「そ、そんな‥‥いえ、ありがとうございます」
 ティリアは頬を染めつつ、少し俯き、恥ずかしそうに身体をもじもじさせた。
 そんな恋人の様子をノエルは隣で見つめて‥‥とても愛しく感じた。

「骨休めが本当の意味での骨休みになるとはな、笑えん話だ」
 キャッキャと楽しそうに談笑する乙女達の様子を眺め、
 がっしりとした体格の男はほんの少し苦笑しながら言った。
 男の名は時任 絃也(ga0983)。現在彼は、負傷中の身‥‥
 前回の(乙女隊関係とは別の)依頼で傷を負ってしまったらしい。
 しかしながら今回の依頼は、幸いにしてKVに搭乗しての護衛。
 全力そこ出せないものの、手を抜くつもりは毛頭なかった。
 ‥‥乙女達を少し離れた場所から見て、絃也は少し目を細める。
(彼女らを見るのは牙城戦以来‥‥。どれ程成長したか興味はあるが、それはまだお預けか)
 牙城‥‥牙城・このえ。九州バグア軍のエースであった強化人間。
 九州バグア軍の本拠地、春日基地での決戦にて、
 傭兵部隊との死闘の末‥‥牙城・このえは討たれた。
 最後に手を下したのは‥‥他ならぬ絃也。
 それから数か月の時が過ぎ――乙女達はどのように成長したのか。
 と、絃也は思うが、今回は担当する戦域が違うので、
 その戦いぶりをじっくりと拝見することは出来ない。
 残念ながらまたの機会だ。そう考えつつ、絃也は湯呑みの茶を啜る。

「モルディブ‥‥まさかまた行けるとはね」
 優雅な雰囲気の、長い金髪の女性、百瀬 香澄(ga4089)が、
 ソファーに腰掛けてコーヒーを口にしながら言った。芳ばしい香りが漂う。
 隣にはα−01部隊B小隊長、九条・冴の姿。
 冴はぴったりと身体を寄せて、頭を香澄の肩に預けている。
 ――2人は、想いが通じ合った、深い関係――。
「今回も香澄さんとご一緒出来るなんて‥‥嬉しいです‥‥」
 少しとろんとした表情の冴。
「私もだよ。依頼を片付けたら、思いっ切り楽しもうじゃないか」
 香澄は冴の顎に優しく手を添え‥‥顔を寄せて‥‥その唇に軽く口付けをした。

「‥‥やれやれ、まだ出発前だってのにお熱いじゃないか」
 黒のレザーを身に纏ったワイルドな雰囲気の美人、
 風間・夕姫(ga8525)が香澄と冴の熱々っぷりに目をやりながら言った。
 自分も彼氏を連れてこれば良かったかな、などとも思うが。
 彼氏は彼氏で傭兵業が忙しいようなので致し方ない。
「ま、私は私なりに楽しませてもらおうかね」
 などと言いながら、(食堂は禁煙なので)はむはむとガムを噛む。

「英気を養う、ってトコかな? ならそれに甘えるのも、たまには良いよね」
 イスル・イェーガー(gb0925)が言い、
「そうだね。この時期に海で遊べるのはラッキーだと思う」
 瑞姫・イェーガー(ga9347)が答えた。2人は夫婦である。
 日本はもう冬‥‥これから寒さが厳しくなる時期に常夏のビーチへ行けるのは贅沢かな?
 と、瑞姫は思った。半分は護衛の依頼だが。

(またこのような機会が訪れたことですし‥‥今度こそは!)
 などと意気込んでいる恰幅の良い体型の、スーツ姿の男性、米本 剛(gb0843)。
 正式なお付き合いをしている歩美さん‥‥片瀬少佐との仲を進展させるべく、気合を入れる。
「‥‥しかし、何はともあれまずは依頼の完遂が第一ですな」
 その通り。護衛の依頼が万が一失敗した場合には、常夏のビーチでのバカンスは無くなってしまう。
(依頼が済むまでは後のことは考えぬよう‥‥)
 まずは依頼に集中。浮かれた桃色の気持ちは一時封印だ。

「今回の依頼内容は美咲達、乙女隊の皆と一緒に、調査チームの護衛!
 そして! その後は思いっきりバカンスだ!」
 夏目 リョウ(gb2267)が元気に言い放つ。一瞬皆がリョウのほうを向いた。
 その横で恋人のα−01部隊の隊長である早乙女・美咲は、
「あはは‥‥いつものリョウくんだね‥‥」
 少しだけ苦笑い。皆の視線を感じ、赤らんだ頬に指を当てる。
 そんな恋人の様子に気づいたのか気付かないのか、リョウはふう、と息を吐き。
(その、この間は失敗してしまったからな‥‥言葉と乙女心って奴は難しい‥‥。
 でも、だからこそ――)
「また美咲と一緒に海や砂浜を楽しみたかったから。
 もちろん、タワー計画成功のためにも、調査チームもしっかり護衛しなくちゃな」
 思案ののち、美咲の顔をちゃんと見て、笑顔を浮かべた。釣られて美咲も笑う。
「うん。しっかりと護衛して‥‥その後は、しっかりと遊ばなきゃ!」
「今回もよろしくな‥‥って、美咲、また今回は随分気合いが入って‥‥。
 俺も、楽しみで仕方ないからな。まずは護衛、頑張ろうぜ」
 うふふあははと恋人達の笑い声が食堂に響く。

「今回も‥‥よろしくね‥‥」
 長い金髪に、ルビー色の瞳の美少女、エレシア・ハートネス(gc3040)がぺこりとお辞儀。
 乙女隊のメンバーに挨拶する。その動きに合わせて、彼女のスーパーバストが『ゆさり』と揺れた。
 ――『ぷるん』でも『たゆん』でもなく『ゆさり』だ。
 この場に居る女性全員を凌駕する大きさの、恐るべき‥‥たわわに実った2つの果実。
 空気が一瞬だけ――ピンと張り詰めた。エレシアを除いた女性全員が固まる。
「‥‥?」
 皆の様子に、エレシアは小首をかしげた。

 そんなこんなで、時間を潰している内に出発時刻となり、
 傭兵達と、乙女隊と、片瀬少佐は輸送機に乗り込んだ――。

●海中調査護衛
 出発から約1日後――
 現地に到着した一行は、UPCインド軍の空母に乗艦。
 そこからモルディブ沖の調査海域近くまで移動。
 ‥‥到着したのち、10機のKVが順次発進。潜水艇と共に潜航を開始する。

 乙女隊の16機のKVは戦闘機形態にて空母の滑走路から発進後、
 空母のCDC(戦闘指揮所)に残った片瀬少佐指揮の元、
 調査海域の範囲内に多数のKV用ソナーブイを投下。
 その後は各小隊(4機ずつ)に分かれて調査海域内の海上を哨戒し、敵機の来襲に備える。

 ***

 海中を潜航し、調査地点へ向かう潜水艇と、
 それを護衛しながら海中を移動する10機のKV――。

「かなり透明度が高いですね‥‥さすがモルディブの海‥‥」
 ノエルの機体は自前のビーストソウル改『ラゴウ』。
 モニターに映る光景に思わず、ノエルは目を奪われがちになる‥‥。
(‥‥っとと、いけないいけない)
 ぶんぶんと首を振り、前面のモニターに集中する。

「‥‥不慣れな機体に、初の水中戦、それにおまけ付きか、下手は打てんな」
 絃也の機体は貸し出されたビーストソウル改。
 今回彼には不安要素てんこ盛りではあったが‥‥やれるだけのことはやるつもりだ。

「さてさて、今度は海の中か‥‥出来たらKV無しで潜りたいもんだけどねぇ」
 香澄の機体は貸し出されたビーストソウル改。
 お楽しみ――ダイビングはこの護衛を終えた後である。今は任務に専念。
 メインモニターに映る、前方を進む潜水艇の映像に目をやりつつ、ソナーを常に確認。

「‥‥やはり陸とは勝手が違うから苦手だ」
 夕姫の機体は水中用キット改とMSIダイバーフレームVer.Bを装備した、
 シュテルン・G『ヴァナルガンド』。
 ‥‥彼女は慣れぬ戦場にげんなりした様子‥‥。
「だが‥‥宇宙での戦闘も考えると、擬似的にではあるが良い練習にはなるか‥‥」
 確かに水中での戦闘と宇宙空間での戦闘は共通する点があった。

「宇宙とは勝手が違うか‥‥でも似ている部分はある。‥‥イスル、いける?」
 瑞姫の機体は貸し出されたビーストソウル改。夫のイスルへ通信を送る。
「問題ないよ。宇宙よりこっちのほうが場数を踏んでるし、慣れているから」
 同じく貸し出されたビーストソウル改に搭乗するイスルが返答。
 緊張感を含む瑞姫の口調とは違い、イスルの声は穏やかだった。

「成程‥‥異質な重圧と言う感じですね、水中は」
 米本の機体は貸し出されたビーストソウル改。
 どうやら米本は、水中戦闘はこれが初めてらしい。
 米本の額に一筋の汗が伝う――。
 やはり未知の戦場と言うのは、彼くらいの武人でも緊張するようだ。

「綺麗な海‥‥だけど、いつ敵が出るか分からない。気を引き締めないとな」
 リョウの機体は幾つもの戦場を共にした愛機、リヴァイアサン『蒼炎』。
 美しい海までも侵略する敵――バグアは絶対に許さない! と彼は意気込む。

(初めての水中戦‥‥それも水中用機ではない、
 この、スピリットゴースト・ファントムでどこまでやれるか‥‥)
 ティリアの機体は水中用キット改とMSIダイバーフレームVer.Aを装備した、
 スピリットゴースト・ファントム『Merkabah』。
 水中用ではないKVでの戦闘に‥‥ティリアは不安を隠し切れずにいた。だが――
(やれるよね、『Merkabah』)
 愛機の性能と、自分を信じる。

「調査‥‥何も無く‥‥無事に済めばいいけど‥‥」
 エレシアの機体はMSIダイバーフレームVer.Aを装備した、
 パピルサグ『ペルセフォネII』。
 この綺麗な海を戦闘で汚したくない‥‥。
 ぴっちりセクシーなパイロットスーツを着用したエレシアは純粋にそう思った。

 ほどなく、調査地点に到着。
 10機のKVは調査を行う潜水艇を囲むように展開し、敵の来襲を警戒。

 ***

 しばらくして――パッシブソナーに反応。
 乙女隊が投下したソナーブイ群にも反応があり、
 事前に構築したデータリンクによってデータが各機に転送されてきた。
 敵‥‥バグアは水中においても索敵に重力波レーダーを用いるため、
 パッシブソナーを用いての隠密戦闘は成立しない。要するに敵からはこちらが丸見え。
 対して人類側は従来通りソナーに頼るしかない。かなり‥‥不利な戦闘。
 ゆえに、傭兵達はすぐさまアクティブソナーに切り替え。
 ピンガー(探査音)を発しまくって敵の位置、数、種別の特定を試みる。

 ‥‥ソナーブイとアクティブソナーでの索敵の結果、
 敵は水中用ワームと水棲キメラの混成部隊と判明。
 それが現在、複数に分かれて接近して来ている。
 恐らく時間差で攻撃を仕掛けてくる算段だろう‥‥。

 傭兵達は事前の話し合いで決めていた通り、迎撃班と直衛班に分かれて行動を開始した。

 ***

 迎撃班――。

 接敵。先行して来たのは数機のマンタワームだった。
 足の速い敵が一番厄介と判断したノエルはいち早く前へ出て迎撃行動。
 魚雷ポッドを放ち、ライフルで射撃を加える。

 エレシア機は魚雷ポッドで牽制しつつ、マンタワームにガウスガンで銃撃。
 爆発。1機が無数の水泡と化した。
 続いて、遅れて接近して来た大海蛇の集団に向かって大型魚雷を発射。

 絃也機はエレシア機の大型魚雷に続いて重量魚雷を発射。
 その後はライフルの射程に入り次第、銃撃を加えていく。

 瑞姫機はマンタワームの光線と、体当たりを仕掛けてくる大海蛇の攻撃を回避。
 近距離からライフルの射撃を行う、隙を見せたところで重量魚雷を打ち込み、
 確実に撃破。魚雷が直撃した大海蛇は爆散。周辺の海水が一瞬、真っ赤に染まる。

 イスル機は瑞姫機のサポートに回っていた。
 ライフルと重量魚雷で攻撃支援を行う。
 討ち漏らした敵も出来る限り排除。

 リョウ機は――潜航形態にて接近しつつ、ガウスガンとガトリング砲で牽制。
「行くぞ『蒼炎』大武装変だ! ‥‥さぁ、1匹たりとも潜水艇には近寄らせないぜ!」
 距離が詰まると、人型形態へ変形。マンタワームに対し、機槍斧を叩き込む。
 致命的な損傷を受けた敵機はすぐに全体が圧壊した。

 ***

 直衛班――。
 こちらは迎撃班の攻撃を突破してきた大海蛇の撃破が主になっていた。
 例によってキメラは数が多く、どうしても取りこぼしてしまう。
 それゆえの、直衛班。

「ま、手堅く行こうかな」
 香澄機はライフルと重量魚雷で確実に1体ずつ撃破してゆく。

 夕姫機は水中用の機体ではないため、無理をせず、
 粒子砲やガウスガンで射撃を加える。
 しかし――
「‥‥っ!」
 大海蛇の攻撃手段は噛み付きや体当たりのみ。
 射撃で仕留められなかった場合には、必然的に接近戦になる。
 夕姫機は太刀を振るい、その巨体を切り刻んで対処。

 米本機は潜水艇から離れず、堅実に守りに徹していた。
 突破してきた満身創痍の大海蛇に対し、ライフルで容赦なく銃撃。
 トドメを刺す。米本のところに到達する頃には大抵、
 敵はかなりのダメージを受けていた。

 ティリア機は潜水艇に張り付き、自らに固定砲台的な役割を課していた。
 ミサイルを主に使用し、攻撃。
 リロードが必要な時に敵が来れば2種の魚雷で対応。
「動きは重いし機体特殊能力も使えない‥‥けど、
 だからって、そう簡単にやられる『Merkabah』じゃない!」

 ‥‥傭兵達の奮戦により、潜水艇には傷一つ付くことなく、調査は終了となった。

●バカンス 昼
 調査艇の護衛を終えた傭兵達と乙女隊、片瀬少佐は用意された宿泊施設に一泊
 その翌昼。自由行動。一行はさっそく、モルディブの浜辺へ繰り出していた。

「ねえ、ティリアさん‥‥あの美しい蒼い海を見てると‥‥泳がずにはいられないよっ!」
「わ、きゃっ!? ノエルさん?!」
 という風に、ノエルはちょっぴり強引にティリアの手を引き、2人きりで素潜りに出かけた。
 
 ――透き通る海の中を、2人は息継ぎをしながら見て回る。
(はあ‥‥KVに乗ってじゃなくて、実際に潜ってみると段違いに綺麗に見える‥‥。
 その、海に溶け込む、ティリアさんの青い髪も素敵だけど‥‥って、何考えてるんだろう。僕‥‥)
(‥‥戦ってた時は夢中で気付かなかったけれど‥‥、
 海の中はこんなにも透明で、抜けるような青さで‥‥素敵‥‥)
 あまりの美しさに、2人は感動。
 ‥‥いや、ノエルは、まるで人魚のようにしなやかに海中を泳ぐティリアの姿に、
 見惚れていることのほうが多かったが。

 ***

「しかし若い連中を見ると、つくづく歳を取ったと感じるな」
 絃也は海でキャッキャと遊び回る乙女達の後ろで‥‥
 白い砂浜にビーチパラソルを刺し、ビーチチェアを置いて横になっていた。
 負傷している彼は海には入らず、護衛依頼を終えた今は静養中。
 サイドテーブルに置いてあるグラスを手に取り、ストローを口にし、
 緑色の液体‥‥冷えたゴーヤジュースをじゅるじゅると飲む。
「うむ‥‥苦い。だが、それがいい」
 満足そうな表情をする絃也。彼は彼なりに楽しんでいるようだ。

 ***

 香澄は冴、そしてα−02部隊のメンバー‥‥
 横山・利瀬、岩瀬・智里、工藤・麗美、山口・麻奈を連れ立って、
 バーベキューの食材確保も兼ねて海辺の岩場へ釣りに来ていた。
 ちなみに全員、水着にパーカーを羽織っただけという姿である。
 ‥‥全員が岩に腰掛け、釣竿を持って釣り糸を海に垂らし、のんびりとした時間を過ごす‥‥。
「うーん、なかなかかからないなあ。それになんか、じっとしてるのってつまんなくない?」
「何を言っているの智里。こういったゆったりとした時間は大変、貴重なものですのよ。
 あなたも少し、大人になりなさいな」
 数十分経過しても釣れないことに不満を漏らし始めた智里を麗美がたしなめる。
「そうだよ! せっかく百瀬さんと冴先輩が誘ってくださったんだから、失礼だよ!」
「私は釣りって、けっこう好きだけどね。たまにはのんびりするのもいいじゃない」
 利瀬と麻奈も言う。
「‥‥ははは、彼女達に釣りはちょっと早かったかな?」
 苦笑する香澄。
「いえ、あれはあれで楽しんでいると思いますよ」
 霞の隣に腰掛けた冴はうふふと笑う。

 約1時間後‥‥
「‥‥! 引いてる!」
 智里が声を上げた。
「‥‥! こちらもですわ!」
「‥‥! わ、私も!」
「‥‥! 私も引いてるよ!」
 利瀬、麗美、麻奈も同様に声を上げた。
「香澄さん!」
「ああ、私もだ‥‥魚の群れが来たのか‥‥?」
 全員がヒット。ぐいぐいと引き付けて‥‥一気にリールを巻いて引き上げる。
「フィーッシュ!! ‥‥って、あれ?」
 釣り上げられたのは――
 なんと、巨大なイカと巨大なタコであった。
 陸に上げられてからも自立し、触手をうじゅるうじゅるとくねらせている‥‥。
「こいつは‥‥まさか‥‥」
「ええ‥‥恐らく‥‥」
 汗を垂らす香澄と冴。
「キメラ!?」
「ええっ!?」
 利瀬と麻奈は驚いた表情を浮かべる。
 こんなところにもキメラが‥‥武器は‥‥と、腰に手をやるが――
「きゃー!!」
「いやあああ!!」
 智里と麗美の悲鳴。‥‥見れば、触手に絡まれ水着を脱がされかけているではないか。
「じゅるり‥‥」
 思わず涎を垂らす香澄。
「‥‥香澄さん?」
「ああ、ごめん。とにかく、助けないとな」
 じとーっとした冴の視線を受け、我に返り、香澄は一応護身用に持ってきた槍を構える。
 そして、触手大乱闘が始まるのだった――。

 ***

 夕姫はα−01部隊B小隊所属、坂城・慧子と共に、
 前回とは違うダイビングスポットへやって来ていた。
「ここは珊瑚が凄いな、これなら魚の種類も多そうだ」
「そうだね‥‥色々見られそう‥‥」
 夕姫の水着は黒のビキニ、慧子の水着はハイレグの競泳水着。
 ‥‥2人とも、豊満ながらも引き締まった肉体をしている‥‥。

 今回は特にダイビング用の機材は借りずに、準備運動ののち、
 シュノーケルを装着して海の中へ。
(おお、これは‥‥)
(綺麗‥‥)
 青い海。珊瑚礁。そこを泳ぐ色取り取りの魚達‥‥。
 心が洗われるような光景が広がっていた‥‥。

 ***

 瑞姫とイスルは三門・香苗と三門・早苗の双子の姉妹を連れ立って、
 浜辺の近くのショッピングセンターへお土産を見に来ていた。
 今はテーブルを囲み、椅子に座って休憩中。
 三門姉妹はぺろぺろと美味しそうにソフトクリームを舐めている。
「そういえばもう、2人とも彼氏が居てもおかしくない歳だよね。サナとカナは‥‥彼氏とかいるの?」
 などと尋ねる瑞姫。「いないよー」と答える2人。

 しばらくして、お土産の物色を再開。
「‥‥これとか似合うんじゃない? ねぇ、瑞姫はどう思う?」
「うん、そうだね。これなら良いと思うよ。綺麗だし」
 そのように、4人は南国ならではのお土産の数々を見て回った。

 ***

「仕事は済みましたし、思い切り羽根を伸ばしたいですねぇ」
 米本はアロハシャツにハーフパンツ、ビーチサンダル姿。
 と、完全に息抜きモード。
「そうねぇ。今日は海じゃなくて色々見て回りましょうか。
 せっかく、綺麗なところだし」
「ええ、ではそうしましょう」
 白のセクシーな水着にパーカーを羽織った歩美と一緒に浜辺近くを散策する。

 ***

 リョウはやはり、恋人の美咲と一緒に海遊びを楽しむ。
 この青く透き通る海は――ずっと見ていても飽きない。ずっと遊んでいても飽きない。
 しかし‥‥リョウはそれ以上に‥‥
(美咲、ホントに綺麗になったよな‥‥)
 水着姿の美咲にときめいていた。前回の美咲の言葉を思い出して、ドキドキ。
『リョウくんに喜んで欲しくてイメチェンしたのに‥‥』
 遊びつつも、頭の中で何度も反芻してしまう。
 彼自身、彼女のイメチェンはすごく喜んでいた。
「どうしたの? リョウくん?」
「‥‥い、いや‥‥」
 降り注ぐ太陽にキラキラと輝き、青い海と背景の白い雲に映える、美咲の髪。その姿。
 リョウは直視出来ず、思わず頬を染めて少し顔を背けた。

 ***

「いくのだー」
「おっしゃー! こいやー!」
「‥‥ん、おかえし」
 エレシアはα−01部隊B小隊所属の神楽坂・有栖、犬飼・歴と一緒に水のかけ合いっこ。
「しかし‥‥こりゃとんでもないでかさだな‥‥」
「すごく‥‥大きいのだ‥‥」
「‥‥?」
 エレシアの胸部に2人の視線が集中。

 ***

 しばらく遊んだ皆は、一旦集合。
 エレシアと米本主催のビーチバレー・トーナメントが開催される!
 優勝者、上位入賞者には豪華景品をプレゼント!

 米本は商品として‥‥
 『ホワイトリリー』『レッドローズ』
 『イエローロータス』『グリーンメロン』
 『ラベンダーブルー』『サンセット・シー』
 の各種香水と、
 『【Steishia】デザイナーズウォッチ』
 『【Steishia】ハートフラワーイヤリング』を提供。
「御気に召すかは‥‥自信がありませんが、如何ですかな?」

 エレシアは商品として‥‥
 『【Steishia】ジャージジャケット』『磁気ネックレス』
 『【Steishia】パワーストーンリング』を提供。
「ん‥‥気に入ってもらえれば幸い‥‥」

 ビーチバレー・トーナメントはダブルスで行われる。
 よって、各々がペアを組んだ。そして――試合開始!

「行くよ、サナ! クロスレシーブ!」
 瑞姫は早苗とペア。

「大丈夫、弾道を読むのは得意だからね‥‥」
 イスルは香苗とペア。

「俺達のチームワーク、見せてやろうぜ!」
 リョウは当然、美咲とペア。

 激戦の結果――

 優勝は夕姫と慧子のペア。
 夕姫には賞品として『【Steishia】ジャージジャケット』と
 『磁気ネックレス』と『【Steishia】パワーストーンリング』が贈られた。

 2位はノエルとティリアのペア。
 ノエルには『【Steishia】デザイナーズウォッチ』、
 ティリアには『【Steishia】ハートフラワーイヤリング』が贈られた。

 3位は香澄と冴のペア。
 香澄には『イエローロータス』と『グリーンメロン』が贈られた。

 4位は瑞姫と早苗のペア。
 瑞姫には『ホワイトリリー』と『レッドローズ』が贈られた。

 5位はイスルと香苗のペア。
 イスルには『ラベンダーブルー』と『サンセット・シー』が贈られた。

 ***

 身体を動かしてお腹が空いたら、お楽しみのバーベキュー!
 米本が捩り鉢巻、首には手拭い‥‥という日本伝統の海の家のおっちゃんの格好になり、
 率先して動き、調理に勤しむ。
 串焼きをメインに、焼きトウモロコシ、
 イカ焼き(香澄達が倒したキメラも含む)、焼鳥などなど。
 良い匂いが漂い、皆の食欲を激しく誘った。

「魚とか‥‥ティリアさんの分も取ってきます?」
 と言って、ノエルが持ってきたのは皿に盛られた大量の肉類、魚介類と野菜‥‥。
「あはは‥‥」
 ノエルは外見に似合わずよく食べる。
 ティリアは恋人の大食漢っぷりに苦笑いをした。
 でも‥‥今度手料理をご馳走してあげたいなぁ‥‥などとも思う。

「うむ‥‥美味いな‥‥」
 絃也もノエルに負けじと、モリモリ食べる。
 野菜を中心に、精を着けるために肉もガツガツと。
 早くこの傷を癒さなければ。そのためにはエネルギーが必要。

 香澄は冴と一緒に、がっつくことはなく、ゆっくりと食事。
「イカタコキメラもけっこういけるな」
「そうですね。磯の香りがなかなか‥‥」

 夕姫はキンキンに冷えた缶ビール片手に乙女隊の皆とわいわいやりつつ食べる。
 もちろん、乙女隊のメンバーは未成年なのでビールは片瀬少佐だけ。
 腹八分目程に食べると、夕姫は海の家のおっちゃん‥‥米本のほうへ歩いていく。
「変わるから、お前もそろそろ食べたらどうだ? ずっと焼きっぱなしだっただろ」
「おや? お気遣いはありがたいですが‥‥大丈夫ですよ。
 自分は後ほど、ちゃんと食べますのでお気になさらず、楽しんでください」
「‥‥そっか。悪いな」
「いえいえ」
 というわけで、夕姫は箱の氷水の中から缶ビールを2つ取り出し、片瀬少佐の元へ戻った。

 瑞姫とイスルは夫婦水入らずで食事。
「‥‥野菜も焼いてあると美味しいね」
 焼きトウモロコシをリスのように齧るイスル。
「あはは。可愛いな、イスルのそういうところ」
 その夫の姿がたまらなく愛しくなり、瑞姫はイスルをぎゅーっと抱き締めた。

 リョウは美咲と食事。特に焦らずゆっくりと。
「美味しいね、リョウくん」
「そうだな。やっぱり海で食べる料理は格別だ」
 笑い合う2人。

 エレシアは昼間一緒に海で遊んだ有栖、歴と一緒に食事。
「美味しいのだー美味しいのだー」
「すごく‥‥よく‥‥食べるね‥‥」
「こいつは食べることが生き甲斐だからなぁ」
 ガツガツモリモリ片っ端から食べる歴の様子を呆れた目で見つめるエレシアと有栖。

●バカンス 夜
 楽しい食事が済むと、もう辺りは真っ暗になっていた。
 皆は花火を楽しみ、片付けを終えた後、各自のコテージに戻る。

 ***

「お疲れ様〜」
「ありがとうございます」
 米本と歩美は、同室。
 2つあるベッドの片方に腰掛け、杯を交わす。
 酒をちびちびと飲みながら色々と他愛のない会話をした。
 ‥‥ほんのりと頬の赤らんだ歩美の笑顔。
 米本にはそれが‥‥年上なのに‥‥可愛らしく見えて‥‥。
「歩美さん!」
「きゃっ!?」
 米本は思わず、歩美をベッドに押し倒していた。
 ただし、強引にではなく、一応優しく。
「あ、歩美さん‥‥自分は‥‥」
 自然と息遣いが荒くなる。鼓動が激しくなる。
 以前の、男としてのダメさを挽回したい、その思いで米本は‥‥!
 目を瞑って自分の顔を、歩美に近づけ、口付けを――
「ふぐっ」
 しようとしたが、歩美に手で顔面を抑えられた。
「まったく、せっかちさんなんだから。緊張しているのが見え見えよ?」
 くすくすと笑う歩美。
「‥‥!?」
 ガガーン! とショックを受けて、歩美から離れてベッドに突っ伏す米本。
「あ、ごめんなさい。‥‥なんというか、前回はかなりお酒が入ってしまっていて、
 あんな風に煽っちゃったけど‥‥。剛さんはそのままで良いと思うな」
「え‥‥?」
「無理に男らしくしようとしなくても、良いのよ」
 優しい、母性を感じてしまうような声。
 米本はその言葉に、顔が真っ赤になった。
「剛さんはそのままで良いの。私はそのままの、剛さんが好きだから。
 焦らないで、ね? ゆっくりで良いんだから」
「はい‥‥」
 米本は歩美に、背中からぎゅっと抱きしめられた‥‥。

 ***

 絃也は1人、コテージのベランダで夜空を眺める‥‥。
 バグアとの戦いは、宇宙(そら)へと移りつつある――。
 この地球を取り戻す日も、そう遠くは無い‥‥。
 だが今は――
「寝るか」
 傷を癒すのが先決だ。と、考え、絃也は部屋に戻り、床に就いた。

 ***

 ノエルとティリアは同室。
 就寝前、楽しく談笑していたのだが‥‥
 ふとしたきっかけで、2人一緒に参加したキメラプラント攻略作戦の話になった。
 そこで2人は、負傷し、作戦も失敗。大敗を喫した‥‥。

 ノエルは思う。一歩間違えれば、失っていたかもしれない、自分の大切なもの‥‥。
 ティリアの顔を見つめる。

 ティリアは思う。自分の不甲斐なさで最愛の人に、身体と心に無用の苦痛を与えてしまった‥‥。
 ノエルの顔を見つめる。

「もう絶対、放しません‥‥貴女のこと。これからもずっと一緒です」
「‥‥はい。ボクも、ノエルさんの一番近くから‥‥絶対に‥‥離れませんから‥‥」
 2人は抱き締め合い、深いキスを交わした。この温もりを、決して離さぬよう‥‥。

 ***

 香澄と冴は同室であり――
「きゃっ、香澄さん、くすぐったいです」
「やっぱり冴はスタイルが良いな‥‥もっとよく見せて」
「いやん、恥ずかしいです」
 などと、バスルームに声が響く。
 2人は一緒に泡風呂を楽しんでいたのだった。

 ***

 夕姫とエレシアは同室。乙女隊の慧子、有栖、歴も一緒。
 既にこの部屋は暗く、全員が就寝していた。
「くーかー」
 と、寝息を立てる夕姫。その姿は‥‥下着一枚、黒のブラとショーツだけ!
 薄い掛布団が肌蹴、お腹が見えている。なんという痴態! 色々な意味で!
「ふ、ふご‥‥」
 その横で苦しそうに寝息を立てる有栖。その原因は――
「ふにゅう‥‥」
 エレシアが有栖に絡みつき、スーパーバストが呼吸を妨げていた。
「もう食べられないのだー」
 更にその横でお約束の寝言を言っている歴。
 ‥‥この部屋は、なんというか、すごく平和だった。

 ***

 瑞姫はイスルと同室。
「‥‥瑞姫、どうしたの?」
 眠りながら涙を流した妻に夫が尋ねる。
「何でも無いよ。ちょっと‥‥悲しい夢を見ただけだから‥‥」
 ‥‥2人は起き、ベランダへ場所を移した。
「2人のためにも、そして――の未来のためにも、取り戻そう、この星を」
「‥‥もちろん。そのためにあるのが、僕らの、この『力』だよ」

 ***

 ベランダで、一緒に並んで夜空に輝く星々を眺めているリョウと美咲――。
「俺‥‥今、大好きな人と一緒に居られる幸せ、思いっ切り噛み締めてる‥‥。
 ありがとう、美咲」
 リョウは愛する人の身体を、ぎゅっと抱擁。
「‥‥幸せだよ。私も」
 美咲もぎゅっと抱き返し、目を瞑った。

 こうして、乙女達と傭兵達のバカンスは終了し、モルディブの夜が更けていくのだった。